(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038552
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】緩衝材及び梱包材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/07 20060101AFI20240313BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20240313BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B65D81/07
B65D81/05
B65D5/50 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142629
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 圭悟
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060CC14
3E060CC19
3E060DA23
3E060EA06
3E066AA08
3E066BA06
3E066CA04
3E066CB03
3E066DB02
3E066FA13
3E066HA03
3E066JA03
3E066KA01
3E066KA10
3E066MA09
(57)【要約】
【課題】被包装物に沿って変形して被包装物を包む緩衝材であって、被包装物を包む緩衝材が被包装物を収容する箱体の一部を用いたものである場合に、緩衝材による被包装物への圧迫力を維持する。
【解決手段】被包装物を収容する箱体の一部であって、緩衝する機能を備えた緩衝部と被包装物が置かれる底板とで被包装物を挟む天板と、天板から底板を挟んで折り曲げられ、被包装物を挟んだ緩衝部に張力を付加する折り曲げ部と、を有する緩衝材。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収容する箱体の一部であって、緩衝する機能を備えた緩衝部と前記被包装物が置かれる底板とで前記被包装物を挟む天板と、
前記天板から前記底板を挟んで折り曲げられ、前記被包装物を挟んだ前記緩衝部に張力を付加する折り曲げ部と、
を有する緩衝材。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、前記天板の両側からそれぞれ前記底板を挟んで折り曲げられ、前記被包装物を挟んだ前記緩衝部に張力を付与することを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記被包装物が置かれる底板と、
前記被包装物が置かれる面の裏側の面が向く方向に前記底板から伸び、当該底板を支える底板支柱部と、
をさらに備え、
前記折り曲げ部の折り曲げ長さが、前記底板支柱部の長さより長いことを特徴とする請求項2に記載の緩衝材。
【請求項4】
前記底板、前記底板支柱部、前記天板、および前記折り曲げ部は、シート部材の一枚板により形成される請求項3に記載の緩衝材。
【請求項5】
前記底板に折り曲げ可能に連続して設けられる接続部をさらに備え、
前記接続部と前記折り曲げ部とが折り曲げ可能に連続して設けられることを特徴とする請求項4に記載の緩衝材。
【請求項6】
前記折り曲げ部の前記折り曲げ長さは、前記接続部の折り曲げ長さと同じであること、を特徴とする請求項5に記載の緩衝材。
【請求項7】
前記被包装物が置かれる面が向く方向に前記天板から伸びる天板支柱部をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の緩衝材。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の緩衝材と、
前記緩衝材を収納する箱体と、
を備えた梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材及び梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる形状、大きさの被収納物を箱内に保持した状態で収納することができる緩衝具付き箱体がある。
例えば、特許文献1には、箱体と緩衝具とを有し、緩衝具は、箱本体と蓋部を有し、緩衝具は、周状不連続切込みが形成された本体部と、本体部から折れ線を介して連設された立上げ部とを有し、箱体の箱本体に配置した被収納物上に緩衝具を配置し、立上げ部を押し込むことにより、本体部が被収納物の外形に応じて変形して被収納物を覆い、蓋部を閉じることにより、フラップ部が立上げ部の先端側の辺部に接し、フラップ部が立上げ部の先端側の辺部に接する緩衝具付き箱体が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、箱体と、その箱体に納まり物品を挟持する内装重ね体とからなり、その少なくとも一方の内装重ね体について、箱体に箱状において納まるよう段ボ-ルや厚紙等の半剛性ないし半弾性の一体板材にプレス加工が施されてなり、プレス加工においては、前記箱状の底壁となる物品の挟持壁に、全面もしくはほゞ全面に無数の切込みを均等若しくはほゞ均等に散在して設けてあって、物品の荷重で切込みが口開き状に開拡することにより、周囲から中心部に突っ張りを伴いながら凹曲して弾性変形するよう伸縮自在に該挟持壁を形成した内装重ね体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-43948号公報
【特許文献2】特開2008-87837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被包装物に沿って変形して被包装物を包む緩衝材であって、被包装物を包む緩衝材が被包装物を収容している箱体の一部を用いたものである場合には、一度変形すると元に戻る力は乏しく、被包装物に対する圧迫力を維持することが困難となる。特に、箱体の材料と緩衝材の材料とが紙であって、紙に緩衝機能を持たせた場合には、かかる傾向が強くなる。
【0006】
本願は、被包装物に沿って変形して被包装物を包む緩衝材であって、被包装物を包む緩衝材が被包装物を収容する箱体の一部を用いたものである場合に、緩衝材による被包装物への圧迫力を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、被包装物を収容する箱体の一部であって、緩衝する機能を備えた緩衝部と前記被包装物が置かれる底板とで前記被包装物を挟む天板と、前記天板から前記底板を挟んで折り曲げられ、前記被包装物を挟んだ前記緩衝部に張力を付加する折り曲げ部と、を有する緩衝材である。
請求項2記載の発明は、前記折り曲げ部は、前記天板の両側からそれぞれ前記底板を挟んで折り曲げられ、前記被包装物を挟んだ前記緩衝部に張力を付与することを特徴とする請求項1に記載の緩衝材である。
請求項3記載の発明は、前記被包装物が置かれる底板と、前記被包装物が置かれる面の裏側の面が向く方向に前記底板から伸び、当該底板を支える底板支柱部と、をさらに備え、前記折り曲げ部の折り曲げ長さが、前記底板支柱部の長さより長いことを特徴とする請求項2に記載の緩衝材である。
請求項4記載の発明は、前記底板、前記底板支柱部、前記天板、および前記折り曲げ部は、シート部材の一枚板により形成される請求項3に記載の緩衝材である。
請求項5記載の発明は、前記底板に折り曲げ可能に連続して設けられる接続部をさらに備え、前記接続部と前記折り曲げ部とが折り曲げ可能に連続して設けられることを特徴とする請求項4に記載の緩衝材である。
請求項6記載の発明は、前記折り曲げ部の前記折り曲げ長さは、前記接続部の折り曲げ長さと同じであること、を特徴とする請求項5に記載の緩衝材である。
請求項7記載の発明は、前記被包装物が置かれる面が向く方向に前記天板から伸びる天板支柱部をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の緩衝材である。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の緩衝材と、前記緩衝材を収納する箱体と、を備えた梱包材である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、緩衝材による被包装物への圧迫力を維持することができる。
請求項2の発明によれば、片側から折り曲げる場合に比べて、より強い張力を緩衝部に付与することができる。
請求項3の発明によれば、折り曲げ部の折り曲げ長さが、底板支柱部の長さより短い場合に比べて、緩衝材による被包装物への圧迫力を容易に維持することができる。
請求項4の発明によれば、緩衝材の作成が容易となる。
請求項5の発明によれば、緩衝材の組み立ての際の、位置合わせを容易に行うことができる。
請求項6の発明によれば、折り曲げ部の折込を容易に行うことができる。
請求項7の発明によれば、天板支柱部が延びる方向から箱体への衝撃を緩和できる。
請求項8の発明によれば、被包装物に沿って変形して被包装物を包む緩衝材であって、被包装物を包む緩衝材が被包装物を収容する箱体の一部を用いたものである場合に、緩衝材による被包装物への圧迫力を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態が適用される緩衝材を有する梱包材に対して被包装物を収納する状態を示す図である。
【
図2】本実施の形態が適用される緩衝材の展開図である。
【
図3】
図1とは箱体が一部異なる例を示した図である。
【
図4】緩衝材の変形例である緩衝材を示す図である。
【
図5】緩衝材の変形例である緩衝材の展開図である。
【
図6】緩衝材の他の変形例である緩衝材の展開図である。
【
図7】緩衝材を箱体に入れる際の他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される緩衝材2を有する梱包材1に対して被包装物10を収納する状態を示す図である。
本実施の形態の梱包材1は、被包装物10を保持する緩衝材2と、緩衝材2が納まる箱体3とを備える。本実施の形態の緩衝材2と箱体3とは、いわゆる段ボ-ルで形成される。この段ボールは、波状に成形した紙の両面に厚紙を貼り合わせたものであり、紙部材により構成される。
【0011】
本実施の形態が適用される緩衝材2は、自らが有する緩衝構造を利用して被包装物10を挟んで保持する。そして、被包装物10と箱体3の内側の面との間で、できるだけ適度な空間を有し、または両者が接触しても被包装物10への外部からの衝撃を極力少なくできるように、被包装物10を保持した緩衝材2を箱体3の内部に収める。緩衝材2には、複数の切込みが設けられており、被包装物10の形状に応じて複数の切込みの少なくとも一部が開くことで、形状が異なる複数種類の被包装物10を保持することができる。
【0012】
緩衝材2は、被包装物10が置かれる底板21と、底板21に置かれた被包装物10を包む天板25と、を備える。底板21と天板25とは、外形形状がほぼ同じ大きさの矩形形状を有する。この天板25は、被包装物10を包むための各種の切込みが設けられ、緩衝する機能を備える緩衝部29を有する。この天板25は、被包装物を収容する箱体の一部であって、緩衝する機能を備えた緩衝部29と被包装物10が置かれる底板21とで被包装物10を挟む。言い換えると、底板21に被包装物10を置いた後、天板25を重ねると、緩衝部29に設けられている切込みが開き、天板25の緩衝部29は、被包装物10の形状に沿うように変形する。
【0013】
緩衝材2は、底板21を箱体3の底面32から浮かせる支柱脚22-1,22-2を備える。支柱脚22-1,22-2は、矩形の底板21の平行な辺に設けられ、底板21と略90度をなして折り曲げられている。支柱脚22-1,22-2は、被包装物10が置かれる面の裏側の面が向く方向(下方向)に底板21から伸び、この底板21を支える底板支柱部の一例である。
【0014】
また、緩衝材2は、
図1の上方向へ底板21が移動することを制限する支柱腕26-1,26-2を備える。支柱腕26-1,26-2は、矩形の天板25の平行な辺に設けられ、天板25および底板21と略90度をなして折り曲げられている。支柱腕26-1,26-2は、被包装物10が置かれる面が向く方向(上方向)にこの天板25から伸びる天板支柱部の一例である。
【0015】
被包装物10を挟んで底板21と天板25とが重ね合わされた際、支柱脚22-1が設けられている一辺と支柱腕26-1が設けられている一辺とは、ほぼ重なりあう。また、底板21と天板25とを重ねた場合に、支柱脚22-2が設けられている他の辺と支柱腕26-2が設けられている他の辺とは、ほぼ重なりあう。
【0016】
また、緩衝材2は、天板25の張力を付与する折り曲げ部27-1,27-2を有する。折り曲げ部27-1,27-2は、矩形形状を有する天板25の4辺のうち、支柱腕26-1,26-2が設けられていない2辺に設けられている。折り曲げ部27-1,27-2は、天板25から底板21の辺を挟んで折り曲げ可能に設けられている。天板25の両端に折り曲げ可能に設けられている折り曲げ部27-1,27-2を、天板25から底板21の辺を挟んで折り曲げると、天板25の両端の辺は引っ張られ、天板25に生じる張力が増加する。この張力の増加により、天板25による被包装物10の保持力を増加させることができる。
【0017】
箱体3は、立方体形状に形成され、この立方体形状の1つの面が開閉可能となっている。箱体3は、側面となる筒状の胴部31と、筒状の胴部31の一方の開口を塞ぐ底面32と、胴部31の他方の開口を開閉することができる蓋部34と、を備えている。
胴部31は、壁面部31-1,31-2,31-3,31-4を備える。壁面部31-1,31-2,31-3,31-4は、各々矩形形状を有している。
【0018】
底面32は、壁面部31-1,31-2,31-3,31-4の下端に折り曲げ線を介して設けられた底面フラップ32-1,32-2,32-3,32-4で構成される。底面フラップ32-1,32-2,32-3,32-4は各々矩形形状を有しており、底面32は、対向する一対の底面フラップ32-1および底面フラップ32-3を、壁面部31-1および壁面部31-3から各々内側へ略90度折り曲げた後、さらに、底面フラップ32-2および32-4を壁面部31-2および壁面部31-4から各々内側へ略90度折り曲げ、先端縁同士が突き合うようにして固定されている。この固定には、粘着テープや接着剤、各種ビス等が用いられる。
【0019】
蓋部34は、壁面部31-1,31-2,31-3,31-4の上端縁に設けられた天面フラップ34-1,34-2,34-3,34-4で構成される。天面フラップ34-1,34-2,34-3,34-4を開くことで、箱体3の開口から、箱体3内にある緩衝材2を取り出すことができる。
【0020】
次に、
図2を用いて緩衝材2の構造を詳細に説明する。
図2は、本実施の形態が適用される緩衝材2の展開図である。
緩衝材2は、板状の段ボ-ルに対して、切り抜き加工、切込み加工、および曲げ線加工等を施すことにより、シート部材の一枚板として形成される。なお、本実施の形態では、シート部材として板状の段ボールを用いているが、厚紙や樹脂材等を用いることもできる。
【0021】
緩衝材2の底板21から延びる支柱脚22-1は、底板21の辺の長手方向に伸びる辺の一辺に折り曲げ線を介して設けられている。支柱脚22-2は、支柱脚22-1が設けられている辺と平行な他の辺に折り曲げ線を介して設けられている。
【0022】
また、緩衝材2は、底板21と天板25とが接続されるように構成されている。この底板21と天板25とを接続する接続構造として、底板21からは接続部23-1および23-2が接続構造の一つとして延びており、また、天板25からは上述した折り曲げ部27-1,27-2が接続構造の一つとして延びている。また、接続部23-1,23-2は矩形形状を有し、底板21の平行な辺に各々設けられる。すなわち、接続部23-1は、底板21の一辺に折り曲げ線を介して設けられており、接続部23-2は、接続部23-1が設けられている一辺に平行な他の辺に折り曲げ線を介して設けられている。
【0023】
緩衝材2は、折り曲げ部27-2と接続部23-2とを糊付けするための糊代24を備える。
図2に示す例では、糊代24は、接続部23-2から延伸して設けられており、接続部23-2の辺に折り曲げ線を介して設けられている。この糊代24は、被包装物10を挟んで底板21と天板25とが重ね合わされた際、折り曲げ部27-2の端部と接着されることで、折り曲げ部27-2と接続部23-2とを連結している。なお、本実施の形態では、この糊代24を底板21の接続部23-2の側に設けたが、天板25の折り曲げ部27-2の側に設けることもできる。
【0024】
天板25は、被包装物10を包むための切込みとして、図示するような複数の切込みが設けられている緩衝部29を有する。図示する例では、辺の長さが異なる複数の矩形の周に沿って、不連続な切込みが形成されている。この辺の長さは、外側から内側に向かって短くなって、小さな矩形となっており、これらの矩形の周に沿って間隔を開けて切り込まれている。図示する例では、複数の矩形の中心の位置と、天板25の矩形の中心の位置とは、重なり合っている。また、矩形の周に沿った切込みの他、矩形の辺に対して例えば45度等の交差する方向に伸びる切込みも設けられている。
【0025】
なお、緩衝部29に設けられる複数の切込みは、図示する例に限られず、被包装物10の形状などに応じて、適宜、決定される。
【0026】
また、前述のように、緩衝材2は、2つの支柱腕26-1,26-2を備えている。支柱腕26-1は、矩形の天板25の一辺に設けられ、支柱腕26-2は、支柱腕26-1が設けられている一辺と平行な他の辺に設けられ、天板25から折り曲げ可能となっている。天板25から曲げられた際の支柱腕26-1,26-2の高さ(
図1に示す上方向の長さ)は、被包装物10を天板25にて押さえつけたときの被包装物10の高さよりも高い。これによって、被包装物10と箱体3の内側の面との間で適度な空間を維持でき、被包装物10への外部からの衝撃を軽減できる。また、箱体3の天地がひっくり返った場合に、被包装物10への衝撃を軽減することができる。
【0027】
ここで、本実施の形態が適用される緩衝材2は、緩衝材2を組み立てて箱体3に入れたときに、支柱腕26-1,26-2が倒れこむのを抑制するための倒れ防止フラップ28-1,28-2,28-3,28-4を備えている。ここでは、倒れ防止フラップ28-1,28-2,28-3,28-4は、矩形の支柱腕26-1,26-2に、それぞれ2個、設けられ、全体で4個、すなわち複数個、設けられている。本実施の形態では、各々の倒れ防止フラップ28-1,28-2,28-3,28-4は、支柱腕26-1,26-2の辺を長辺とする略台形形状を有している。
【0028】
緩衝材2の折り曲げ部27-1は、底板21に折り曲げ可能に連続して設けられる接続部23-1に対して折り曲げ可能に連続して設けられる。そして、折り曲げ部27-1の折り曲げ長さLは、接続部23-1の折り曲げ長さLと同じである。そのため、緩衝材2の折り曲げ部27-1と27-2は、前述のように天板25に生じる張力を増加させる機能を有するが、被包装物10を挟んで底板21と天板25とが重ね合わされた際に、それぞれ、底板21の接続部23-1と接続部23-2とに重ね合わされる。
【0029】
また、接続部23-1と折り曲げ部27-1が接続されているため、例えば、底板21と天板25とが切り離されている場合に比べて位置合わせの必要がなく、組み立てるのが容易となる。重ね合わされる接続部23-1と折り曲げ部27-1および接続部23-2と折り曲げ部27-2は、矩形形状を有しており、折り曲げ長さLを形成している。折り曲げ長さLは、底板支柱部の長さである高さHより長い。底板21と天板25とにより保持された被包装物10を箱体3に入れた際、支柱脚22-1,22-2の高さHにより台座の位置は決定されるが、折り曲げ長さLが高さHより長いことで、折り曲げ部27-1,27-2の先端側が必ず箱体3(
図1参照)の内底に当接した状態となる。
【0030】
次に、
図1および
図2を用いて、本実施の形態が適用される緩衝材2の作用を説明する。
本実施の形態が適用される緩衝材2は、
図2の展開図のように構成される板状の緩衝材2を組み立てることにより、被包装物10を保持する。
【0031】
緩衝材2の組み立てでは、まず、緩衝材2の底板21に被包装物10を置き、接続部23-1と折り曲げ部27-1との間で緩衝材2を折り曲げて、被包装物10に向かって天板25を押しあてて、底板21と天板25とを重ね合わせる。
【0032】
その後、折り曲げ部27-2の先端と糊代24とを接着し、折り曲げ部27-2と接続部23-2とが連結される。なお、接着は、以下に示す組み立ての途中で行われても構わない。
【0033】
緩衝材2の組み立てでは、まず、支柱脚22-1,22-2を、その先端側が
図1の下方向を向くように、底板21に対して略90度折り曲げる。また、支柱腕26-1,26-2を、その先端側が上方向を向くように、天板25に対して略90度折り曲げる。この支柱脚22-1,22-2の下方向への折り曲げと支柱腕26-1,26-2の上方向の折り曲げとによって、折り曲げられた緩衝材2の高さ方向(上下方向)の寸法と、箱体3の深さ方向(箱体3の内側の上下方向)の寸法とが同等となる。これによって、緩衝材2の箱体3内での動きが制限される。
【0034】
さらに、天板25から上方向に折り曲げられた支柱腕26-1,26-2から、倒れ防止フラップ28-1,28-2,28-3,28-4を折り曲げる。その際、倒れ防止フラップ28-1,28-2,28-3,28-4は、その先端側が内側を向くように、支柱腕26-1,26-2に対して略90度折り曲げる。
そして、折り曲げ部27-1,27-2の先端が下方向を向くように、折り曲げると、緩衝材2は、
図1の姿勢に組み立てられる。
【0035】
ここで、底板21と天板25とによって挟まれた被包装物10は、緩衝部29に設けられた切込みの変形によって底板21上での動きが抑制されている。また、前述のように、底板21と天板25とは、支柱脚22-1,22-2および支柱腕26-1,26-2とによって箱体3内での動きが制限されている。そのため、本実施の形態が適用される緩衝材2は、箱体3内における被包装物10の動きを抑制することができる。
【0036】
なお、支柱脚22-1,22-2、支柱腕26-1,26-2、倒れ防止フラップ28-1,28-2,28-3,28-4、及び折り曲げ部27-1,27-2を折り曲げる上記順序は一例であり、これに限定されない。
【0037】
本実施の形態が適用される緩衝材2では、上述したように、底板21に被包装物10を置いた後、天板25を重ねて用いられるが、被包装物10を置いた後に天板25を重ねると、緩衝部29に設けられている切込みが開き、緩衝部29は被包装物10の形状に沿うように変形する。被包装物10の形状に沿って、緩衝部29は変形するため、天板25の4辺は縮む方向に力が与えられる。そのため、天板25の4辺は、被包装物10の周囲に、内側に向かって寄せられる。すなわち、何ら対策を打たない場合には、被包装物10を包む天板25の4辺は、底板21の外形である矩形形状の内側に引っ張られる。
【0038】
本実施の形態が適用される緩衝材2では、天板25の両辺に折り曲げ線を介して設けられている折り曲げ部27-1,27-2を、天板25の両側からそれぞれ底板21を挟んで折り曲げるように構成した。この折り曲げ部27-1,27-2を折り曲げると、折り曲げ線が施されている天板25の辺が底板21の辺に重なるように引っ張られる。これにより、天板25の外側に生じる張力が増加し、被包装物10を挟んだ緩衝部29に張力を付与する。緩衝部29に張力が付与されると、緩衝部29による被包装物10への圧迫力が増加し、緩衝部29による被包装物10の保持力を増加させることができる。なお、天板25の両側から折り込むことで、被包装物10にかかる圧力を分散させる効果も期待できる。
【0039】
また、本実施の形態が適用される緩衝材2では、底板21に被包装物10を置いた後、天板25を重ねると、折り曲げ部27-1と接続部23-1とが重なり合わされ、折り曲げ部27-2と接続部23-2とが重なり合わされる。そのため、折り曲げ部27-1,27-2を天板25の両側からそれぞれ底板21を挟んで折り曲げると、接続部23-1,23-2も一緒に折り込まれる。折り曲げ部27-1,27-2が折り込む際に、接続部23-1,23-2を一緒に折り込むため、天板25の2辺は、接続部23-1,23-2が有する厚みの分だけ、より外側に引っ張られることになる。これにより、折り曲げ部27-1,27-2を折り込む際に接続部23-1,23-2を一緒に折り込まない場合に比べて、より強い張力が緩衝部29に付加される。
【0040】
なお、上述した緩衝材2は、天板25の両端に折り曲げ部27-1,27-2を有しているが、折り曲げ部27-1,27-2の一方を有しない構成とすることもできる。例えば、
図2における折り曲げ部27-1および接続部23-1を取り除き、底板21の一辺と天板25の一辺とを直に接続することもできる。この場合、底板21に被包装物10を置いた後、天板25を底板21に対して略180度折り曲げ、天板25を被包装物10に押しあてて緩衝部29が被包装物10を包む。その後、折り曲げ部27-2を、天板25から底板21を挟んで折り曲げることにより、被包装物10を挟んだ緩衝部29に張力を付加する。
【0041】
また、上述したように、折り曲げ長さLが高さHより長いことで、折り曲げ部27-1,27-2の先端側が必ず箱体3の内底に当接した状態となり、折り曲げ部27-1,27-2は、折り込まれた状態が維持される。このため、支柱脚22-1は、箱体3の壁面部31-1と折り曲げ部27-1,27-2とに挟まれた状態が維持され、支柱脚22-1が倒れることが防止される。同様に、支柱脚22-2は、箱体3の壁面部31-3と折り曲げ部27-1,27-2とに挟まれた状態が維持され、支柱脚22-2が倒れることが防止される。
【0042】
また、折り曲げ長さLが高さHより長いことで、折り曲げ部27-1,27-2の先端側が箱体3の内底に当接した状態となるため、緩衝材2を箱体3に入れて運搬する際に、箱体3内で折り曲げ部27-1,27-2の折込の角度が維持される。
【0043】
次に、
図1および
図3を用いて本実施の形態が適用される梱包材1を説明する。
図3は、
図1とは箱体3が一部異なる例を示した図である。
図3は、
図1と比べて箱体3の底面フラップ32-1,32-2,32-3,32-4の位置関係が異なっている。
【0044】
具体的には、
図1と
図3とは、底面フラップ32-1,32-2,32-3,32-4を折り曲げる順番が異なっている。
図1では、箱体3の底面フラップ32-1,32-3が底面フラップ32-2,32-4より箱体3の内側に位置している。
図3では、箱体3の底面フラップ32-2,32-4が底面フラップ32-1,32-3より箱体3の内側に位置している。
【0045】
図1において、底面フラップ32-1,32-3は、底面フラップ32-1,32-3が設けられている辺から先端に向かって跳ね上がる傾向にある。ここで、本実施の形態が適用される緩衝材2は、上述したように、折り曲げ部27-1,27-2の折り曲げ長さL(
図2参照)は、支柱脚22-1,22-2の高さH(
図2参照)に比べて長い。そのため、折り曲げ部27-1,27-2を鋭角に折り込んだ姿勢で、箱体3に収納すると、折り曲げ部27-1,27-2の端部が箱体3の底面フラップ32-1,32-3の先端に接触する。
【0046】
底面フラップ32-1,32-3の先端に接触する折り曲げ部27―1,27-2は、底面フラップ32-1,32-3から上方向への力を受ける。これによって、底面フラップ32-1,32-3は、折り曲げ部27―1,27-2の折り込みが大きくなる方向へ働くこととなる。
【0047】
一方、
図3において、底面フラップ32-2、32-4は、底面フラップ32―2、32-4が設けられている辺から先端に向かって跳ね上がる傾向にある。そのため、
図3に示すように、折り曲げ部27-1,27-2を鋭角に折り込んだ姿勢で、箱体3に収納すると、支柱脚22-1、22-2の端部が箱体3の底面フラップ32-2,32-4の先端に接触する。
【0048】
底面フラップ32-2,32-4に接触した支柱脚22-1,22-2は、底面フラップ32-2,32-4から上方向への力を受ける。これによって、支柱脚22-1,22-2は、外部に直接接する底面フラップ32-1,32-3と密接することが抑制され、底面フラップ32-1,32-3から支柱脚22-1,22-2に伝わる衝撃が抑制される。
【0049】
次に
図4および
図5を用いて緩衝材2の変形例である緩衝材6を説明する。
図4は、緩衝材2の変形例である緩衝材6を示す図である。また、
図5は、この緩衝材6の展開図である。なお、緩衝材6にて、上述した
図1の緩衝材2と同様な機能については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0050】
変形例が適用される緩衝材6は、緩衝材2に対して、第1緩衝フラップ61-1,61-2,61-3,61-4をさらに備えた点に特徴がある。第1緩衝フラップ61-1~61-4は、矩形の接続部23-1および接続部23-2にそれぞれ2個、全体で4個の、複数個、設けられている。各々の第1緩衝フラップ61-1~61-4は、接続部23-1および接続部23-2の辺を一辺とする4角形形状を有している。そして第1緩衝フラップ61-1~61-4は、
図4に示すように、接続部23-1、23-2から各々延び、折り曲げられて、底板21に接する。これにより、各々の第1緩衝フラップ61-1~61-4の板面に沿った方向が上下方向となり、下方向からの衝撃をこの第1緩衝フラップ61-1~61-4によって緩和することができる。
【0051】
なお、接続部23-1と第1緩衝フラップ61-1との間、接続部23-1と第1緩衝フラップ61-3との間、接続部23-2と第1緩衝フラップ61-2との間、および接続部23-2と第1緩衝フラップ61-4との間は、折り曲げ線に加えて、切り取りカット線が施されていてもよい。ここで、切り取りカット線とは、いわゆるミシン目状の切込みで、人の手で段ボールを切り離すことができるようにするための加工である。緩衝材6を用いる際の状況に応じて、容易に第1緩衝フラップ61-1~61-4を切り離すことができる。例えば、折り曲げ部27-1,27-2の折り込み角度の大きさを、第1緩衝フラップ61-1~61-4が制限している場合であれば、折り曲げ部27-1,27-2をより鋭角に折り曲げるために、第1緩衝フラップ61-1~61-4を切り離すことも可能である。
【0052】
次に、
図6を用いて緩衝材2の他の変形例である緩衝材7を説明する。
図6は、緩衝材2の他の変形例である緩衝材7の展開図である。他の変形例が適用される緩衝材7は、
図4および
図5に示す緩衝材6に対して、第2緩衝フラップ71-1,71-2,71-3,71-4をさらに備えた点に特徴がある。
【0053】
第2緩衝フラップ71-1~71-4は、矩形の折り曲げ部27-1および折り曲げ部27-2にそれぞれ2個、全体で4個の、複数個、設けられている。第2緩衝フラップ71-1~71-4が設けられている辺には、折り曲げ線に加えて、切り取りカット線が施されている。この他の変形例では、各々の第2緩衝フラップ71-1~71-4は、折り曲げ部27-1および折り曲げ部27-2の辺を一辺とする4角形形状を有している。第2緩衝フラップ71-1~71-4の外形は、第1緩衝フラップ61-1~61-4の外形と同様に、折り曲げ部27-1および折り曲げ部27-2の辺を一辺とする4角形形状を有している。
【0054】
緩衝材7を組み立てた場合に、第1緩衝フラップ61-1と第2緩衝フラップ71-1、第1緩衝フラップ61-2と第2緩衝フラップ71-2、第1緩衝フラップ61-3と第2緩衝フラップ71-3、および第1緩衝フラップ61-4と第2緩衝フラップ71-4とが重なり合う。これによって、緩衝材6に比べて、緩衝材7はより強い衝撃に耐えることができる。
【0055】
なお、第1緩衝フラップ61-1~61-4の形状と、第2緩衝フラップ71-1~71-4の形状と、を異ならせてもよい。例えば、折り曲げ部27-1,27-2を折り込む角度に応じて、第1緩衝フラップ61-1~61-4と第2緩衝フラップ71-1~71-4との一方、または両方を切り離して用いることが可能である。
【0056】
次に、緩衝材2を箱体3に組み込む際の他の例を説明する。
図7は、緩衝材2を箱体3に入れる際の他の例を示した図である。なお、ここでは、説明の都合上、緩衝材2だけを説明しているが、緩衝材6,7も同様である。
図7に示す例では、前述した
図1、3とは緩衝材2の箱体3への挿入方向が異なり、緩衝材2を箱体3に対してスライド移動させて挿入させている。すなわち、緩衝材2を箱体3に対して縦向きにして収めている。
【0057】
図7のように、緩衝材2を箱体3に対して縦向きにして収めると、折り曲げ部27-1、27-2が箱体3の内壁面36に接触するまで、折り曲げ部27-1、27-2の折込角度を手で抑えることができる。これによって、折り込み角度が維持される。
【0058】
なお、本実施の形態の緩衝材2は、支柱脚22-1,22-2および支柱腕26-1,26-2の高さを変えることで様々な大きさの箱体3に対応することができる。
また、支柱脚22-1,22-2の高さと支柱腕26-1,26-2の高さとを異ならせてもよく、例えば、支柱脚22-1,22-2の高さを低くすることで、被包装物10を収納した梱包材1全体の重心を低くすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1…梱包材、2,6,7…緩衝材、3…箱体、10…被包装物、21…底板、22-1,22-2…支柱脚、23-1,23-2…接続部、24…糊代、25…天板、26-1,26-2…支柱腕、27-1,27-2…折り曲げ部、28-1~28-4…倒れ防止フラップ、29…緩衝部、61-1~61-4…第1緩衝フラップ、71-1~72-4…第2緩衝フラップ