(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038560
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】キャリア
(51)【国際特許分類】
B60R 9/048 20060101AFI20240313BHJP
B60R 9/058 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B60R9/048
B60R9/058
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142644
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】富田 基樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 寿志
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AA01
3D020AA03
3D020AA06
3D020AB01
3D020AB03
3D020AC07
3D020AD03
3D020AD10
3D020AD12
3D020AD19
(57)【要約】
【課題】車両のバックドアやルーフなどの主面に容易に取り付け又は取り外しできるキャリアを提供する。
【解決手段】本発明のキャリア10は、車両の主面に取り付ける荷物を支持するキャリアにおいて、
前記主面と所定間隔を開けて配置する前記荷物を支持するフレームバー20と、
前記フレームバー20の両端と前記主面の間に配置し、前記主面の両端の縁に引っ掛けるフック32と、前記フック32の掛かった状態を維持する方向に付勢するベルト34を備えたステー30を有することを特徴としている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の主面に取り付ける荷物を支持するキャリアにおいて、
前記主面と所定間隔を開けて配置する前記荷物を支持するフレームバーと、
前記フレームバーの両端と前記主面の間に配置し、前記主面の両端の縁に引っ掛けるフックと、前記フックの掛かった状態を維持する方向に付勢するベルトを備えたステーを有することを特徴とするキャリア。
【請求項2】
請求項1に記載されたキャリアにおいて、
前記ステーは、前記ベルトの端部のジョイントに螺合して前記ベルトに張力を付与する長ボルトを備え、前記長ボルトはヘッドにレバーを備えたことを特徴とするキャリア。
【請求項3】
請求項2に記載されたキャリアにおいて、
前記フックと前記レバーは、前記車両の側面に沿った前記ステーの同一面に設けたことを特徴とするキャリア。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1に記載されたキャリアにおいて、
前記ステーは、前記主面の取付面に前記取付面の形状に沿ったクッションベースを備えたことを特徴とするキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のバックドア(リアドアともいう)又はルーフの主面に取り付ける荷物を支持するキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の外側に荷物を取り付ける際にルーフキャリアが多用されている。
特許文献1に開示の取付アダプターは、車両のルーフレールにベルトを巻き付けて固定する構造である。しかし特許文献1の取付アダプターはルーフレールを取り付けていないルーフやバックドアの主面に取り付けることができない。
特許文献2に開示のリアキャリアはバックドアの両側面にフックを引っ掛けて水平方向にフレームバーを並べて配置し荷物を取り付けることができる。しかしステーの取り付けに締結ボルトを用いているため、取り付けに工具が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/016734号
【特許文献2】特開2022-88919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、車両のバックドアやルーフなどの主面に容易に取り付け又は取り外しできるキャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、車両の主面に取り付ける荷物を支持するキャリアにおいて、
前記主面と所定間隔を開けて配置する前記荷物を支持するフレームバーと、
前記フレームバーの両端と前記主面の間に配置し、前記主面の両端の縁に引っ掛けるフックと、前記フックの掛かった状態を維持する方向に付勢するベルトを備えたステーを有することを特徴とするキャリアを提供することにある。
上記第1の手段によれば、主面の両側面に引っ掛けて取り付けるため、ルーフレールを装備していない車両に取り付けることができる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記ステーは、前記ベルトの端部のジョイントに螺合して前記ベルトに張力を付与する長ボルトを備え、前記長ボルトはヘッドにレバーを備えたことを特徴とするキャリアを提供することにある。
上記第2の手段によれば、工具を用いることなく容易に設置することができる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第2の手段において、前記フックと前記レバーは、前記車両の側面に沿った前記ステーの同一面に設けたことを特徴とするキャリアを提供することにある。
上記第3の手段によれば、フック及びレバーが車両の側面側に配置されて着脱作業を容易に行える。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし3のいずれか1の手段において、前記ステーは、前記主面の取付面に前記取付面の形状に沿ったクッションベースを備えたことを特徴とするキャリアを提供することにある。
上記第4の手段によれば、クッションベースを取り換えることにより、取り付ける車両の選択の幅を広げることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、主面の両側面に引っ掛けて取り付けるため、ルーフレールを装備していない車両に取り付けることができる。また工具を用いることなく容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】バックドアに固定した本発明のキャリアの斜視図である。
【
図2】フレームバー及びステーの一部分解斜視図である。
【
図5】ルーフに固定した本発明のキャリアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のキャリアの実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
なお本発明のキャリアを車両の背面に取り付ける場合、上下に開閉するバックドアを有する車両に限られる。
また本発明のキャリアに取り付ける荷物は、脚立、自転車、コンテナボックス、スキー、スノーボードなどである。
【0012】
(キャリア10)
図1は、バックドアに固定した本発明のキャリアの斜視図である。
図2はフレームバー及びステーの一部分解斜視図である(同図中のステー30のみ断面図で示す)。
図3はキャリアの取り付け説明図である。
図示のように本発明のキャリア10は、車両1のルーフ4又はバックドア2の主面に取り付ける荷物を支持するキャリアにおいて、主面と所定間隔を開けて配置する荷物を支持するフレームバー20と、フレームバー20の両端と主面の間に配置し、主面の両端の縁に引っ掛けるフック32と、フック32の掛かった状態を維持する方向に付勢するベルト34を備えたステー30を有している。
【0013】
[フレームバー20]
フレームバー20は、車両のルーフ4又はバックドア2の主面の幅方向に亘って延出する長尺、所定強度を備えた金属製の棒部材である。フレームバー20の断面形状は、中心矩形と、中心矩形を間に挟んで相対する凹部23を備えた形状に形成している(
図2参照)。フレームバー20の相対する面に設けた凹部23は中心に長手方向に沿ってスリット24を備えている。凹部23は後述するステー30の上面に取り付ける取付ボルト27bの頭部を収容する箇所であり、スリット24は、後述するステー30の上面に取り付ける取付ボルト27bの軸部が突出する箇所であり、スリット24の幅は軸部の直径よりも長く頭部の対辺寸法よりも短く設定している。また取付ボルト27bを挿入しないスリット24には、可撓性のモール29を嵌め込んでいる。
【0014】
[ステー30]
ステー30は、フレームバー20の両端と主面の間に2つ配置し、それぞれ主面の両端の縁に引っ掛けるフック32と、フック32の掛かった状態を維持する方向に付勢するベルト34を備えている。ベルト34は、ケーシング31の内部で2つのローラ33a,33bにより鋭角に屈曲支持された状態で配置し、両端にジョイント35a,35bを設けている。ベルト34は材質に一例として軟質樹脂で覆われたステンレス板を用いることができる。一方のジョイント35aはフック32が接続してベルト34の一部及びフック32が、車両1の側面に沿ったケーシング31の側面の第1開口36aから外部に突出している。他方のジョイント35bは軸心と直交する方向に貫通孔35cを設けている。貫通孔35cはねじ切り加工している。貫通孔35cに螺合する長ボルト48をケーシング31の内部に設けている。長ボルト48のヘッドにはレバー50を設けている。レバー50はケーシング31の第1開口36aと同一面に設けた第2開口36bから外部へ突出させている。レバー50を正逆回転させることにより、ケーシング31の内部のベルト34の他端に設けたフック32の第1開口36aからの突出量を増減させることができる。例えば、長ボルト48を締め付けるとフック32を引っ掛けた状態で維持できる。一方、長ボルト48を緩めるとフック32を縁から取り外すことができる。
【0015】
ステー30は、上面にフレームバー20を取り付ける取付孔27aを設けている。取付孔27aに螺合する取付ボルト27bを用いてフレームバー20を任意の位置で固定できる。またフレームバー20は端部を覆うキャップ27cを有している。
ステー30は、下面にクッションベース52を設けている。車両1に接触するクッションベース52の接触面は、車両1のルーフ4又はバックドア2の取付面の形状に沿った形状に形成している。バックドア2の取付面は、例えば、主面に凹部又は溝等が形成されている場合、この凹部又は溝に嵌る凸部の形状に形成することにより、走行時の振動、衝撃に対して、位置ズレ、落下等を防止することができる。クッションベース52の材質は一例として、ゴム、エラストマーを適用することができる。このようなクッションベース52を適用することにより、取り付ける車両の選択の幅を広げることができる。
【0016】
[アーム40]
バックドアに取り付けた上下2本のフレームバー20のうち、下方のフレームバー20には、フレームバー20の軸心と直交方向に延出して荷物3の下面を支持するアーム40を設けている。
図4はアームの取り付け説明図である。
図4に示すアーム40は、U字状であり、端部に回転部42を有している。回転部42は、ベース42aと、取付ボルト42b及びナット42cを有している。ベース42aはフレームバー20のスリット24と対向する取付孔42dを備えている。またベース42aはアーム40の水平位置(荷物3を載せる位置)及び垂直位置(荷物3を載せていない位置)に回転しながら切り替える軸42fを備え、水平位置及び垂直位置で固定できる嵌め合いのロック部42gを備えている。
このような構成のアーム40は、フレームバー20のスリット24に取付ボルト42bを収容して取付孔42dを位置合わせしてナット42cを螺合する。その後、フレームバー20の任意位置まで移動してナット42cを本締めして固定できる。バックドア2に荷物3を取り付ける際には、アーム40を水平方向に回転して倒してロック部42gで固定して載せることができる。荷物3を下ろした後は、アーム40を垂直方向に回転して起こす。これにより荷物3を積まない未使用時にフレームバー20からアーム40を取り外す必要がない。
【0017】
(取り付け方法)
図3はキャリアの取り付け説明図である。車両1のバックドア2へキャリア10を取り付ける際は、フレームバー20とステー30をあらかじめ組み立てた一体型のキャリア10としておく。
図3(1)に示すように、車両1のバックドア2を開けて、主面が水平となる位置まで開放する。そしてキャリア10をバックドア2の取り付け箇所に載せる。次にバックドア2の取付面とクッションベース52の位置合わせを行う。
図3(2)に示すように、ステー30のフック32をバックドア2の(水平方向の)両端の縁に引っ掛ける。
図3(3)に示すように、長ボルト48のレバー50を締め付けることにより、フック32を引っ掛けた状態で維持できる。レバー50は、キャリア10の外側、換言すると、車両1の側面に沿って取り付けているため、作業者の手が容易に届き操作できる。これによりバックドア2にキャリア10を取り付けることができる。
同様の操作を繰り返し、バックドア2の上下2箇所にフレームバー20を設置する。なお下方のフレームバー20には予めアーム40を取り付けておくと良い。
脚立などの荷物3をバックドア2に取り付ける際、脚立下方の踏ざんをアーム40上に置き、下方のフレームバー20と踏ざんに跨るように荷締めベルト54を巻き回して固定する。また脚立上方と上方のフレームバー20に跨るように荷締めベルト54を巻き回して固定する(
図1参照)。
荷物3の形態、例えばボックス形状などにより、ナンバープレート、テールランプが荷物3で隠れてしまう場合には、下方のフレームバー20のアーム40の取付位置を水平方向にずらして、ナンバープレート等が隠れないように容易に移動することができる。
【0018】
図5はルーフに固定した本発明のキャリアの斜視図である。図示のように車両1のルーフ4にキャリア10を固定する場合、フック32をルーフ4の両端の縁に引っ掛けて、バックドア2の主面を水平に開放した状態と同じ手順で取り付けることができる。
このような本発明によれば、主面の両側面に引っ掛けて取り付けるため、ルーフレールを装備していない車両に取り付けることができる。また工具を用いることなく容易に設置することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 車両
2 バックドア
3 荷物
4 ルーフ
10 キャリア
20 フレームバー
23 凹部
24 スリット
27a 取付孔
27b 取付ボルト
27c キャップ
29 モール
30 ステー
31 ケーシング
32 フック
33a,33b ローラ
34 ベルト
35a,35b ジョイント
35c 貫通孔
36a 第1開口
36b 第2開口
40 アーム
42 回転部
42a ベース
42b 取付ボルト
42c ナット
42d 取付孔
42f 軸
42g ロック部
48 長ボルト
50 レバー
52 クッションベース
54 荷締めベルト