(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038565
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】包装体の製造方法および包装体の製造装置
(51)【国際特許分類】
B65B 5/06 20060101AFI20240313BHJP
B65B 7/18 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B65B5/06
B65B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142655
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】里見 颯斗
【テーマコード(参考)】
3E003
3E049
【Fターム(参考)】
3E003AA05
3E003AB02
3E003BB04
3E003BC06
3E003BD05
3E049AA06
3E049AB10
3E049BA04
3E049DB01
(57)【要約】
【課題】包装資材が封止された後の処理を簡素化する。
【解決手段】包装体10の製造方法は、内容物5の収容空間を囲繞する収容部分を持つ筒状のボディ部分3とボディ部分3から筒軸方向の一方へ延出しており予め閉塞されたトップシール部分2とを有する包装資材1を用意する準備工程P1と、準備工程P1で用意された包装資材1に対して、ボディ部分3において筒軸方向の他方に位置する開口3Bから収容空間に内容物5を挿入する収容工程P2と、収容工程P2により収容空間に内容物5が挿入された包装資材1におけるボディ部分3のうち内容物5から筒軸方向の他方へ延出した延出部分4の全部を収容工程P1で収容された内容物5のうち筒軸方向の他方に位置する端面に沿って折り重ねてから封止するボトムシール工程P3と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の収容空間を囲繞する収容部分を持つ筒状のボディ部分と前記ボディ部分から筒軸方向の一方へ延出しており予め閉塞されたトップシール部分とを有する包装資材を用意する準備工程と、
前記準備工程で用意された前記包装資材に対して、前記ボディ部分において前記筒軸方向の他方に位置する開口から前記収容空間に前記内容物を挿入する収容工程と、
前記収容工程により前記収容空間に前記内容物が挿入された前記包装資材における前記ボディ部分のうち前記内容物から前記筒軸方向の前記他方へ延出した延出部分の全部を前記収容工程で収容された前記内容物のうち前記筒軸方向の前記他方に位置する端面に沿って折り重ねてから封止するボトムシール工程と、を備えた
ことを特徴とする包装体の製造方法。
【請求項2】
前記包装資材は紙を含む資材である
ことを特徴とする請求項1に記載の包装体の製造方法。
【請求項3】
前記ボトムシール工程は、前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる折畳工程を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の包装体の製造方法。
【請求項4】
前記収容工程の後かつ前記折畳工程の前に、前記筒軸方向が搬送方向に沿った第一姿勢をなす前記包装資材を搬送経路に沿って搬送する第一搬送工程と、
前記折畳工程の前に、前記第一搬送工程で搬送された前記包装資材の姿勢を前記第一姿勢から前記筒軸方向が前記搬送方向に交差しかつ前記搬送経路の幅方向に沿った第二姿勢に変更する転向工程と、
前記折畳工程と並行して実施され、前記転向工程で姿勢の変更された前記包装資材を前記第二姿勢のまま搬送する第二搬送工程と、を備え、
前記折畳工程は、前記延出部分が挿通されて前記延出部分を折り倒すスリットが前記搬送方向に沿って延設されかつ前記搬送経路の前記幅方向に沿って貫設されており、前記搬送経路の前記幅方向の一方で前記筒軸方向の前記他方に位置する前記内容物の前記端面に対面する位置に立設された折板を用いて、前記第二搬送工程により前記第二姿勢で前記包装資材が搬送されるにつれて前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる
ことを特徴とする請求項3に記載の包装体の製造方法。
【請求項5】
前記ボトムシール工程は、ホットメルトを用いて前記延出部分を貼合する貼合工程を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の包装体の製造方法。
【請求項6】
内容物の収容空間を囲繞する収容部分を持つ筒状のボディ部分と前記ボディ部分から筒軸方向の一方へ延出しており予め閉塞されたトップシール部分とを有する包装資材を用意する準備パートと、
前記準備パートにより用意された前記包装資材に対し、前記ボディ部分において前記筒軸方向の他方に位置する開口から前記収容空間に前記内容物を挿入する収容パートと、
前記収容パートにより前記収容空間に前記内容物が挿入された前記包装資材における前記ボディ部分のうち前記内容物から前記筒軸方向の前記他方へ延出した延出部分の全部を前記収容パートで収容された前記内容物のうち前記筒軸方向の前記他方に位置する端面に沿って折り重ねてから封止するボトムシールパートと、を備えた
ことを特徴とする包装体の製造装置。
【請求項7】
前記包装資材は紙を含む資材である
ことを特徴とする請求項6に記載の包装体の製造装置。
【請求項8】
前記ボトムシールパートは、前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる折り機構を含む
ことを特徴とする請求項6または7に記載の包装体の製造装置。
【請求項9】
前記ボトムシールパートの前記折り機構で折り重ねられる前であって前記収容パートで前記内容物が挿入された後の前記包装資材を、前記筒軸方向が搬送方向に沿った第一姿勢で搬送経路に沿って搬送する第一搬送パートと、
前記ボトムシールパートの前記折り機構で前記包装資材が折り重ねられる前に、前記第一搬送パートで搬送された前記包装資材の姿勢を前記第一姿勢から前記筒軸方向が前記搬送方向に交差しかつ前記搬送経路の幅方向に沿った第二姿勢に変更する転向パートと、
前記搬送方向における領域が前記折り機構の設けられた領域と重複して設けられ、前記転向パートで姿勢の変更された前記包装資材を前記第二姿勢のまま搬送する第二搬送パートと、を備え、
前記折り機構は、前記延出部分が挿通されて前記延出部分を折り倒すスリットが前記搬送方向に沿って延設されかつ前記搬送経路の前記幅方向に沿って貫設されており、前記搬送経路の前記幅方向の一方で前記筒軸方向の前記他方に位置する前記内容物の前記端面に対面する位置に立設された折板を含み、前記第二搬送パートにより前記第二姿勢で前記包装資材が搬送されるにつれて前記折板により前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる
ことを特徴とする請求項8に記載の包装体の製造装置。
【請求項10】
前記ボトムシールパートは、ホットメルトを用いて前記延出部分を貼合する貼合パートを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の包装体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の製造方法および包装体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状をなす包装資材に内容物が収容された包装体を製造する手法の一つとして、下記の三工程を実施して包装体を製造する方法が知られている。
・準備工程:筒状の包装資材を筒軸方向の一方が予め閉塞された状態で用意する
・収容工程:包装資材において筒軸方向の他方に位置する開口から内容物を挿入する
・ボトムシール工程:包装資材における筒軸方向の他方を封止する
【0003】
たとえばボトムシール工程において、収容工程で内容物の挿入された包装資材のうち内容物よりも筒軸方向の他方に延出した延出部分をガゼット包装やピロー包装のように封止することが提案されている。すなわち、延出部分のうち筒軸方向の他端を含む一部が収容工程で挿入された内容物のうち筒軸方向の他方に位置する端面と交差する方向に突出した形態で封止されることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように挿入された内容物の端面と交差する方向に延出部分の一部が突出した形態で封止される包装体の製造手法では、封止後に突出している部分の一部を切り落とす処理(いわゆるトリム処理)あるいは突出している部分を折り畳む処理といった処理を招くおそれがある。
よって、包装資材が封止された後の処理を簡素化するうえで、改善の余地がある。
【0006】
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、包装資材が封止された後の処理を簡素化することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件の包装体の製造方法は、以下に示す(1)~(5)の構成を備えている。
(1)
内容物の収容空間を囲繞する収容部分を持つ筒状のボディ部分と前記ボディ部分から筒軸方向の一方へ延出しており予め閉塞されたトップシール部分とを有する包装資材を用意する準備工程と、
前記準備工程で用意された前記包装資材に対して、前記ボディ部分において前記筒軸方向の他方に位置する開口から前記収容空間に前記内容物を挿入する収容工程と、
前記収容工程により前記収容空間に前記内容物が挿入された前記包装資材における前記ボディ部分のうち前記内容物から前記筒軸方向の前記他方へ延出した延出部分の全部を前記収容工程で収容された前記内容物のうち前記筒軸方向の前記他方に位置する端面に沿って折り重ねてから封止するボトムシール工程と、を備えた
ことを特徴とする包装体の製造方法。
(2)
前記包装資材は紙を含む資材からなる紙製資材である
ことを特徴とする(1)に記載の包装体の製造方法。
(3)
前記ボトムシール工程は、前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる折畳工程を含む
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の包装体の製造方法。
(4)
前記収容工程の後かつ前記折畳工程の前に、前記筒軸方向が搬送方向に沿った第一姿勢をなす前記包装資材を搬送経路に沿って搬送する第一搬送工程と、
前記折畳工程の前に、前記第一搬送工程で搬送された前記包装資材の姿勢を前記第一姿勢から前記筒軸方向が前記搬送方向に交差しかつ前記搬送経路の幅方向に沿った第二姿勢に変更する転向工程と、
前記折畳工程と並行して実施され、前記転向工程で姿勢の変更された前記包装資材を前記第二姿勢のまま搬送する第二搬送工程と、を備え、
前記折畳工程は、前記延出部分が挿通されて前記延出部分を折り倒すスリットが前記搬送方向に沿って延設されかつ前記搬送経路の前記幅方向に沿って貫設されており、前記搬送経路の前記幅方向の一方で前記筒軸方向の前記他方に位置する前記内容物の前記端面に対面する位置に立設された折板を用いて、前記第二搬送工程により前記第二姿勢で前記包装資材が搬送されるにつれて前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる
ことを特徴とする(3)に記載の包装体の製造方法。
(5)
前記ボトムシール工程は、ホットメルトを用いて前記延出部分を貼合する貼合工程を含む
ことを特徴とする(1)~(4)の何れか一つに記載の包装体の製造方法。
【0008】
本件の包装体の製造装置は、以下に示す(6)~(10)の構成を備えている。
(6)
内容物の収容空間を囲繞する収容部分を持つ筒状のボディ部分と前記ボディ部分から筒軸方向の一方へ延出しており予め閉塞されたトップシール部分とを有する包装資材を用意する準備パートと、
前記準備パートにより用意された前記包装資材に対し、前記ボディ部分において前記筒軸方向の他方に位置する開口から前記収容空間に前記内容物を挿入する収容パートと、
前記収容パートにより前記収容空間に前記内容物が挿入された前記包装資材における前記ボディ部分のうち前記内容物から前記筒軸方向の前記他方へ延出した延出部分の全部を前記収容パートで収容された前記内容物のうち前記筒軸方向の前記他方に位置する端面に沿って折り重ねてから封止するボトムシールパートと、を備えた
ことを特徴とする包装体の製造装置。
(7)
前記包装資材は紙を含む資材である
ことを特徴とする(6)に記載の包装体の製造装置。
(8)
前記ボトムシールパートは、前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる折り機構を含む
ことを特徴とする(6)または(7)に記載の包装体の製造装置。
(9)
前記ボトムシールパートの前記折り機構で折り重ねられる前であって前記収容パートで前記内容物が挿入された後の前記包装資材を、前記筒軸方向が搬送方向に沿った第一姿勢で搬送経路に沿って搬送する第一搬送パートと、
前記ボトムシールパートの前記折り機構で前記包装資材が押し重ねられる前に、前記第一搬送パートで搬送された前記包装資材の姿勢を前記第一姿勢から前記筒軸方向が前記搬送方向に交差しかつ前記搬送経路の幅方向に沿った第二姿勢に変更する転向パートと、
前記搬送方向における領域が前記折り機構の設けられた領域と重複して設けられ、前記転向パートで姿勢の変更された前記包装資材を前記第二姿勢のまま搬送する第二搬送パートと、を備え、
前記折り機構は、前記延出部分が挿通されて前記延出部分を折り倒すスリットが前記搬送方向に沿って延設されかつ前記搬送経路の前記幅方向に沿って貫設されており、前記搬送経路の前記幅方向の一方で前記筒軸方向の前記他方に位置する前記内容物の前記端面に対面する位置に立設された折板を含み、前記第二搬送パートにより前記第二姿勢で前記包装資材が搬送されるにつれて前記折板により前記延出部分の全部を合わせ包み型の折り形態で折り重ねる
ことを特徴とする(8)に記載の包装体の製造装置。
(10)
前記ボトムシールパートは、ホットメルトを用いて前記延出部分を貼合する貼合パートを含む
ことを特徴とする(6)~(9)の何れか一つに記載の包装体の製造装置。
【発明の効果】
【0009】
本件によれば、包装資材が封止された後の処理を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】包装体の製造過程(製造方法)を時系列で示す説明図である。
【
図2】斜め上方から見た包装体を示す斜視図である。
【
図3】斜め下方から見た包装体を示す斜視図である。
【
図4】包装体の製造装置を模式的に示す側面図である。
【
図5】包装体の製造装置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態としての包装体の製造方法および包装体の製造装置を説明する。
本実施形態で参照する
図2および
図3においては、包装体が水平面に載置された状態を前提にし、水平面に対して直交する向きを上下方向と称する。上下方向のうち、重力の作用する方向が下方(
図2および
図3で「D」と記す)であり、その反対が上方(
図2および
図3で「U」と記す)である。
【0012】
また、本実施形態で参照する
図4および
図5においては、製造装置において製造過程の進捗していく方向をMD方向(搬送方向,「流れ方向」とも称される)と称し、MD方向を基準に上流側および下流側を定める。
図4および
図5では、水平方向に沿うMD方向を例示し、水平方向のうちMD方向と交差(直交する)方向をCD方向(搬送経路の幅方向)と称する。CD方向のうち一方を手前側(
図5で「F」と記す)と称し、CD方向の他方を奥側(
図5で「B」と記す)と称する。また、MD方向およびCD方向に直交する向きをTD方向と称する。TD方向は上下方向に対応している。CD方向から見ることを「側面視」と称する。また、TD方向に沿って見ることを「平面視」と称する。
【0013】
[I.一実施形態]
下記の一実施形態では、包装体の製造装置および包装体の製造方法によって製造される包装体の構成を項目[1]で説明したうえで、包装体の製造装置の構成を項目[2]で述べ、包装体の製造方法の構成を項目[3]で述べる。
そして、項目[1],[2]および[3]の構成による作用および効果を項目[4]で述べる。
【0014】
[1.包装体]
図2および
図3に示すように、本実施形態の包装体10は、包装資材1(
図1参照)に内容物が収容されて封止された立体状のパッケージである。
本実施形態では、包装体10の内容物5としてトイレットロールを例示する(以下、「トイレットロール5」と記す)。
図2および
図3では、一段あたり四個のトイレットロール5が二段に積み重ねられた、計八個のトイレットロール5が包装資材1に収容された例を示す。
【0015】
包装体10は、トイレットロール5を収容する主部30と、主部30の上方に位置する頂部20と、主部30の下方に位置する底部40とを有する。
主部30は、トイレットロール5の周囲を囲繞する筒状(立体状)の部位である。頂部20は、主部30の上端を閉塞する切妻屋根形状の部位である。この頂部20には、上方へ延出した平板状のトップシール部22が突設されている。底部40は、下方へ延出した部位を含まない平坦面をなし、主部30の下端を閉塞している。
【0016】
包装体10は、頂部20が切妻屋根形状をなすゲーブルトップ型のパッケージと言える。本包装体10をゲーブルトップ型の牛乳パックに準えれば、牛乳の充填された角柱状の部位が主部30に対応し、トップシールされた部位がトップシール部22(頂部20)に対応する。
図2および
図3の包装体10において、トップシール部22には手穴24が貫設されている。手穴24は、ユーザの手を掛けて持ち運びやすくするために設けられた貫通穴である。トップシール部22は、包装体を持ち運ぶユーザの持手部として機能する。
【0017】
本実施形態で例示する包装体10に用いられる包装資材1は、紙製資材である。
ここでいう「紙製資材」には、紙のみからなる資材が含まれるだけでなく、紙からなる資材のほかに紙以外の資材を含む資材も含まれる。すなわち、「紙製資材」は、紙を含む資材と換言でき、紙を主成分とした資材とも言える。紙製資材としては、包装資材1における紙の比率が50%以上(たとえば紙をなすパルプの含有重量が全体の重量に対して50%以上)の資材が一例として挙げられる。
【0018】
このような紙製資材としては、ポリエチレン層(樹脂フィルム層)がラミネートや貼合された加工紙(複合材)からなる資材や、紙に何らかの物質を塗布した資材などが挙げられる。紙に塗布される物質の一例として、以下に限定されないが、ホットメルト,塗料あるいはインクなどが挙げられる。
本実施形態では、包装資材1の一例として、少なくともオモテ面の一部にポリエチレン層が接着層として予め設けられた紙製資材を例示する。オモテ面とは、包装資材1のうちトイレットロール5が収容される側とは主に反対側を向く面である。
【0019】
[2.製造装置]
つぎに、包装体10の製造装置50を説明する。
包装体10は、
図4および
図5に示す製造装置50により、包装資材1を用いて製造された製品(完成品)である。包装資材1は、包装体10の製造に用いる資材(半製品)である。
【0020】
製造装置50には、上流側から下流側へ向かって、準備パート51(
図4参照),収容パート52,横転パート53,搬送パート54,ボトムシールパート55および後パート56が設けられている。この製造装置50は、包装資材1をMD方向へ搬送しつつ各パート51~56で加工を施して包装体10を自動的に製造する製造ラインに組み込まれている。
図1は、製造装置50の各パート51~56で加工された包装資材1A~1Cを時系列順に示している。
【0021】
<準備パート>
準備パート51は、包装資材1を用意するパートである。
準備パート51で用意される包装資材1Aは、ボディ部分3とトップシール部分2とを有する筒状の資材である。
ここで例示する包装資材1は、マチ付きのガゼット袋(すなわちガゼット紙袋)である。準備パート51では、複数の包装資材1が連続した帯状の資材から一[枚]ずつ切り出された包装資材1を用意することが好ましい。
【0022】
ボディ部分3は、トイレットロール5の収容空間を囲繞する収容部分3Aを持つ筒状の部位である。ボディ部分3の一部である収容部分3Aは、包装体10における主部(
図2および
図3の符号20)に対応する。
本明細書では、ボディ部分3の筒軸に沿う方向(
図2,
図3の包装体10では上下方向に対応)を「筒軸方向」と称する。ボディ部分3に対して筒軸方向の一方(
図2,
図3の包装体10では上方に対応)は、予め閉塞されたトップシール部分2をなす。ボディ部分3に対して筒軸方向の他方(
図2,
図3の包装体10では下方に対応)は、トップシール部分2のように予め閉塞されておらず、詳細を後述するボトムシールパート55で包装処理を施されるまでは収容部分3Aを外部に連通する開口3Bをなす。
【0023】
トップシール部分2は、ボディ部分3から筒軸方向の一方へ延出した部位である。このトップシール部分2は、準備パート51により包装資材1が用意される段階で、包装資材1における筒軸方向の一方側の端縁(一端)を含む領域を平板状に貼合して形成される。
包装資材1における筒軸方向の他方側の端縁は、閉塞されておらず、筒軸方向の他方側の端縁(他端)で囲繞された部位が開口3Bをなす。
【0024】
トップシール部分2は、
図2および
図3の包装体10におけるトップシール部22に対応する。ボディ部分3のうち収容部分3Aよりも筒軸方向の一方側の一部とトップシール部分2とが、
図2および
図3の包装体10における頂部20に対応する。
ボディ部分3で収容部分3Aよりも筒軸方向の他方側の部分は、
図2および
図3の包装体10における底部40に対応し、詳細を後述する延出部分4にも対応する。
上記のように各部が設けられた包装資材1が準備パート51で用意され、準備パート51で用意された包装資材1Aは、つぎに説明する収容パート52へ供給される。
【0025】
<収容パート>
収容パート52は、準備パート51から供給された包装資材1Aにトイレットロール5を挿入(収容)するパートである。
本実施形態で例示する収容パート52には、包装資材1Aに対してトイレットロール5を挿入するために、押し込み機構60が設けられている。
図4および
図5の押し込み機構60には、MD方向に沿って往復動可能な押動部材60Aと押動部材60Aの駆動機構(図示省略)とが設けられている。
【0026】
この押し込み機構60に対して、下流側にトイレットロール5が配置される。
具体的に言えば、一つの包装資材1に収容される八[個]のトイレットロール5は、芯材がMD方向に沿う姿勢で二段重ね配置に並べられた状態で、押し込み機構60に対して下流側に配置される。このように配置されたトイレットロール5に対して、下流側に包装資材1Aが配置される。
ここで、包装資材1Aは、トイレットロール5に対して開口3B(
図1参照)を向け、かつ、筒軸方向の他方がMD方向の上流側に向く姿勢(筒軸方向の一方がMD方向の下流側を向く姿勢)で配置される。さらに、本実施形態の包装資材1Aは、
図4および
図5に示すように、トップシール部分2が上下方向に沿って延在する姿勢で配置される。
【0027】
収容パート52には、上記のように配置された包装資材1Aにおいてトイレットロール5の挿入口を確保するために、開口3Bを広げた状態で保持する保持機構(図示省略)が設けられている。保持機構(図示省略)としては、たとえば包装資材1Aにおいて開口3Bを囲繞した端縁を互いに向かい合う二箇所で把持し、これら二箇所を離隔させて保持するアーム部材や、開口3Bからエアーを送って収容空間を広げる機構などが挙げられる。これにより、外部から包装資材1Aの収容空間内へトイレットロール5を挿入するための開口3Bを確実に広げることが可能である。
【0028】
上記のように開口3Bが広げられた包装資材1Aに対して、押し込み機構60によりトイレットロール5が開口3Bから押し込まれ、収容空間内に挿入される。収容パート52では、包装資材1Aの筒軸方向がトイレットロール5の挿入方向およびMD方向に沿う姿勢で配置されている。すなわち、トイレットロール5の挿入方向とトイレットロール5の挿入された包装資材1Bの移送方向とが同方向に設定され、トイレットロール5の挿入および包装資材1Bの移送が円滑に実施される。
【0029】
ここで、収容パート52におけるボディ部分3の筒軸方向に沿う寸法を「ボディ寸法D1」とし、トイレットロール5の筒軸方向に沿う寸法を「ロール寸法D2」とすると、ボディ寸法D1はロール寸法D2よりも大きく(D1>D2)設定されている。
そのため、収容パート52によりトイレットロール5を挿入した後の包装資材1Bでは、ボディ部分3のうちトイレットロール5から筒軸方向の他方へ延出した延出部分4が生じる。延出部分4の筒軸方向に沿う寸法は、ボディ寸法D1からロール寸法D2を減算した寸法である。なお、
図1の包装資材1Bでは、延出部分4に斜線を付して示す。
本収容パート52でトイレットロール5が挿入された包装資材1Bは、つぎに説明する横転パート53へ移送される。
【0030】
<横転パート>
横転パート53は、収容パート52から移送された包装資材1Bを、その筒軸を中心に略90[°]横転(回転)させるパートである。
横転パート53は、
図2および
図3に示すように包装体10が完成した状態でトップシール部22の延在する向きと底部40の折り形態とが外観上揃って見えるように、包装資材1の筒軸を中心とした姿勢を事前に変更するための付加的なパートである。
【0031】
図4および
図5に示す横転パート53は、搬送パート54のうち上流側の一部とMD方向に重複している。搬送パート54のうち上流側の一部において、CD方向の奥側(CD方向の他方)の一部に横転パート53が設けられている。横転パート53は、搬送パート54のうち上流側の一部に対してTD方向で上方に位置し、このような上下に異なる位置設定により段差が形成されている。なお、横転パート53は、MD方向の寸法が包装資材1Bの筒軸方向の寸法よりも長い範囲に設定されている。
【0032】
横転パート53へ移送された包装資材1Bでは、CD方向の奥側の部分よりも手前側の部分が下方に位置する。そのため、横転パート53において包装資材1Bは、MD方向へ搬送されるにつれて、CD方向の奥側から手前側へ向かって、筒軸を中心に横倒しにされ、横転した姿勢で搬送パート54上へ移送される。これにより、包装資材1Bの姿勢は、トップシール部分2が上下方向に沿って延在する姿勢から、トップシール部分2が水平方向に沿って延在する姿勢(
図4および
図5において符号「1B′」)に変更される。
【0033】
<搬送パート>
搬送パート54は、横転パート53から移送された包装資材1B′を下流側へ搬送するパートである。
本実施形態の搬送パート54には、第一搬送パート54Aと、転向パート54Bと、第二搬送パート54Cとが、上流側から下流側へ向かってこの順で設けられている。
【0034】
搬送パート54のうち第一搬送パート54Aと第二搬送パート54Cとは、MD方向に沿って直線状に延在する搬送経路54Dに沿って包装資材1を搬送するパートである。搬送経路54Dの幅方向はCD方向に対応している。
第一搬送パート54Aと第二搬送パート54Cとのそれぞれには、搬送経路54Dに沿って包装資材1を搬送する搬送機構が設けられている。搬送機構としては、たとえばベルトコンベヤや、包装資材1を挟持して搬送する機構が挙げられる。
【0035】
転向パート54Bは、第一搬送パート54Aに対して下流側であって第二搬送パート54Cに対して上流側に設けられており、包装資材1の姿勢を筒軸方向がMD方向に沿う姿勢(以下「第一姿勢」と称する)からCD方向に沿う姿勢(以下「第二姿勢」と称する)へ回転するパートである。この転向パート54Bは、包装資材1の姿勢をボトムシールパート55の上流側において、事前にボトムシールパート55での処理に適した姿勢に変更するために設けられている。
転向パート54Bの回転機構(図示省略)には、たとえば包装資材1を挟持して回転する機構などの周知技術を適用できる。
【0036】
第一姿勢は、収容パート52でトイレットロール5が挿入された包装資材1Bの姿勢であり、横転パート53を介して第一搬送パート54Aへ移送された包装資材1B′の姿勢でもある。
転向パート54Bよりも上流側に位置する第一搬送パート54Aは、筒軸方向がMD方向に沿う第一姿勢の包装資材1B′を搬送するパートと言える。
【0037】
第二姿勢は、
図5の符号1B′′で示すように、第一姿勢をなす包装資材1B′を平面視で90[°]回転した姿勢である。転向パート54Bよりも下流側に位置する第二搬送パート54Cは、第二姿勢をなす包装資材1B′′を搬送するパートと言える。
図4および
図5に示すように、第一姿勢をなす包装資材1B′では延出部分4がMD方向の上流側に位置する。一方、第二姿勢をなす包装資材1B′′では延出部分4がCD方向の手前側に位置する。
【0038】
以下、搬送パート54の構成をまとめる。
第一搬送パート54Aは、収容パート52よりも下流側かつボトムシールパート55の上流側に設けられ、第一姿勢をなす包装資材1B′を搬送する。すなわち、第一搬送パート54Aは、詳細を後述する折り機構70で折り重ねられる前であって収容パート52でトイレットロール5が挿入された後の包装資材1B′を第一姿勢で搬送経路に沿って搬送する。転向パート54Bは、ボトムシールパート55の折り機構70で包装資材が折り重ねられる前に、第一姿勢の包装資材1B′を第二姿勢の包装資材1B′′に変更して、第二姿勢をなす包装資材1B′′を第二搬送パート54Cへ移送する。第二搬送パート54Cは、つぎに説明するボトムシールパート55の設けられたMD方向領域と重複して設けられ、包装資材1B′′を第二姿勢のまま下流側へ搬送する。
【0039】
<ボトムシールパート>
ボトムシールパート55は、上記のように第二搬送パート54Cと並行に設けられ、収容パート52でトイレットロール5が挿入された後の包装資材1(
図1の符号1B)に対して延出部分4を処理するパートである。詳細に言えば、ボトムシールパート55は、トイレットロール5においてCD方向の手前側に位置する端面5A(収容パート52で収容されたトイレットロール5のうち筒軸方向の他方に位置する端面)に沿って延出部分4の全部を折り重ねてから封止するパートである。このボトムシールパート55は、延出部分4を切り落とさずに折り重ねてから封止するパートとも言える。
【0040】
本実施形態のボトムシールパート55には、包装資材1のうち延出部分4の全部を合わせ包み型(「キャラメル折り」とも称される)の折り形態で折り畳む折り機構70が設けられている。
図4および
図5に示すボトムシールパート55では、折板71を用いた折り機構70を例示する。
折り機構70には、折板71のほか、折板71において上流側に位置する端部73に向かい合って配置されたタッカー74が設けられている。タッカー74と折板71の端部73とは、ボトムシールパート55における延出部分4のうち下流部分4Fおよび上流部分4Bを折り曲げるために設けられている。
【0041】
タッカー74は、MD方向に沿って往復動可能に設けられた板状部材で形成されている。タッカー74は、第二搬送パート54Cにおける包装資材1B′′の搬送中であって折板71よりも上流側において所定のタイミングで上流側から下流側へ移動する。これにより、タッカー74の下流側の端部が延出部分4の上流部分4Bに接触し、上流部分4Bを下流側へ折り曲げられる。
また、第二搬送パート54Cにおいて包装資材1B′′が搬送されると、延出部分4のうち下流部分4Fが折板71の端部73に接触する。この接触により、第二搬送パート54Cによって包装資材1B′′が搬送されるにつれて、端部73に接触した下流部分4Fは上流側へ折り曲げられていく。
【0042】
折板71は、TD方向およびMD方向に沿って延在する板状部材である。折板71は、第二搬送パート54Cで搬送される包装資材1B′′のうち収容されたトイレットロール5よりもCD方向の手前側であって、第二搬送パート54Cで搬送される包装資材1B′′のうち延出部分4と重複するCD方向領域に立設されている。この折板71は、包装資材1B′′に挿入されたトイレットロール5においてCD方向の手前側に位置する端面5Aに対面する位置に設定されている。
ここで、折板71の位置を基準にして、CD方向の奥側へ向かう方向を「内側」、反対にCD方向の手前側へ向かう方向を「外側」と称する。端面5Aよりも外側に配置された折板71は、端面5Aよりも外側(言い換えれば筒軸方向の他方)へ延出した延出部分4における外側の端縁よりも内側に配置されている。
【0043】
折板71には、スリット72がMD方向に沿って延設されかつCD方向に沿って貫設されている。スリット72は、包装資材1B′′の延出部分4のうち下方部分4Dと上方部分4Uとのそれぞれが挿通される溝であり、下方部分4Dと上方部分4Uとのそれぞれを折り倒すために延設されている。
下方部分4Dおよび上方部分4Uとは、延出部分4のうち下流部分4Fおよび上流部分4Bとが折り曲げられた状態で延出部分4の上方および下方に形成されるフラップ状の部分である。
【0044】
折板71が延出部分4の端縁よりも内側に配置されていることから、折板71の設けられた領域を包装資材1B′′が通過する際、延出部分4のうち下方部分4Dと上方部分4Uとが折板71のスリット72に挿通される。延出部分4のうち下流部分4Fおよび上流部分4Bは、スリット72よりも上流側で折り曲げられているため、折り曲げられた状態のまま折板71の内側に位置する。
【0045】
上記のように下方部分4Dと上方部分4Uとスリット72に挿通された状態で、包装資材1B′′が第二搬送パート54Cを搬送されるにつれて、スリット72が延出部分4の上方部分4Uと下方部分4Dとに接触し、上方部分4Uと下方部分4Dとのそれぞれが折り曲げられる。本実施形態のスリット72は、下方部分4Dが上方へ折り曲げられてから、上方部分4Uを下方へ折り曲げられるように形成されている。
【0046】
このように設けられた折板71により、
図3および
図4に示すように、折り曲げられた下流部分4Fおよび上流部分4Bとの外側に下方部分4Dが折り重ねられ、下方部分4Dの外側に上方部分4Uが折り重ねられ、延出部分4の全部が折り重ねられる。
本実施形態のボトムシールパート55において折板71に対して下流側には、折り重ねられた延出部分4を貼り合せて封止する貼合パート(封止パート)が設けられている。ここで例示する貼合パートには、ヒータ75が設けられている。ヒータ75は、CD方向の手前側で折り重ねられた延出部分4に対面する位置に設けられている。
【0047】
包装資材1B′′は第二搬送パート54Cを搬送されつつ、延出部分4がヒータ75に近接または接触してヒータ75により加熱される。これにより、折り重ねられた延出部分4のオモテ面に予め設けられた接着層が溶融して、上記のように折り重ねられた延出部分4が貼合される。その結果、
図1および
図4に示すように、包装資材1Cでは筒軸方向の他方に延出した延出部分4の全部が折り重ねられて封止される。このようにして、折り重ねられた延出部分4の全部が折り重ねられてから封止された底部40(
図3および
図4)を有する包装体10が製造される。
【0048】
<後パート>
第二搬送パート54Cおよびボトムシールパート55の下流側には、後パート56が設けられている。
後パート56は、完成した包装体10に対して後処理を施すパートである。
後処理の例として、不良品を検出する検査処理,包装体10に印刷を施す印刷処理,あるいは、複数個の包装体10を一つにまとめる梱包処理などが挙げられる。
上述のように構成された包装体の製造装置50によって、つぎに説明する包装体の製造方法が実施される。
【0049】
[3.製造方法]
包装体の製造方法では、項目[2]の製造装置50の構成として上述の各パートにおいて、その名称のうち「パート」を工程に置換した工程が実施される。たとえば、準備パート51により準備工程(
図1の符号P1)が実施され、収容パート52により収容工程(
図1の符号P2)が実施され、ボトムシールパート55によりボトムシール工程(
図1の符号P3)が実施される。
【0050】
ボトムシール工程では、折り機構70によって折畳工程が実施され、それから貼合パートのヒータ75によって貼合工程が実施される。
なお、搬送パート54では、第一搬送パート54Aにより第一搬送工程が実施され、それから転向パート54Bにより転向工程が実施され、その後に第二搬送パート54Cにより第二搬送工程が実施される。第二搬送工程は、折畳工程やヒータ75(貼合パート)による貼合工程と並行して実施される。
そのほか、収容工程の後であって搬送工程の前には、横転パート53により横転工程が実施される。
【0051】
まず、準備工程では、筒状のボディ部分3とボディ部分3から筒軸方向の一方へ延出しており予め閉塞されたトップシール部分2とを有する包装資材1Aを用意する。
つぎに、収容工程では、準備工程で用意された包装資材1Aに対して、ボディ部分3において筒軸方向の他方に位置する開口3Bから収容空間にトイレットロール5を挿入する。これにより、トイレットロール5が挿入された包装資材1Bが得られる。
それから、筒軸を中心にした包装資材1Bの姿勢を90[°]横転させる横転工程が実施される。
【0052】
横転工程で姿勢が変更された後(収容工程の後かつ折畳工程の前)の第一搬送工程では、筒軸方向がMD方向に沿う第一姿勢の包装資材1B′を搬送経路54Dに沿って搬送する。それから、転向工程では、折畳工程の前に、包装資材1B′の姿勢を第一姿勢から第二姿勢に変更する。第二搬送工程では、転向工程で第二姿勢に変更された包装資材1B′′を第二姿勢のまま搬送し、つぎに説明する折畳工程と並行して実施される。
【0053】
折畳工程では、折り機構70として設けられた折板71およびタッカー74により、包装資材1の延出部分4の全部がつぎのように折り畳まれる。
第二搬送工程による搬送中の包装資材1B′′は、はじめに折板71の端部73に延出部分4の下流部分4Fが接触して折れ曲げられ、タッカー74が上流側から下流側へ押し込まれてタッカー74に延出部分4の上流部分4Bが接触して折れ曲げられる。このようにして延出部分4のうち下流部分4Fおよび上流部分4Bが折り曲げられるとともに、延出部分4の上下にフラップ状の上方部分4Uおよび下方部分4Dが形成される。
【0054】
上方部分4Uと下方部分4Dは、第二搬送工程による包装資材1B′′の搬送によってスリット72に挿通され、包装資材1B′′が搬送されるにつれて、下方部分4Dがスリット72に接触して上方へ折れ曲げられ、それから上方部分4Uがスリット72に接触して下方へ折れ曲げられる。
上記のようにしてトイレットロール5においてCD方向の手前側に位置する端面5Aに沿って延出部分4の全部が折り重ねられる。その後、この延出部分4の全部を貼合する貼合工程が実施される。貼合工程では、全部が折り重ねられた延出部分4がヒータ75で加熱され、延出部分4が貼合される。このようにして、延出部分4の全部が折り重ねられてから封止され、包装資材1にトイレットロール5が収容されて封緘された包装体10が製造される。
【0055】
[4.作用および効果]
本実施形態の包装体の製造方法および包装体の製造装置50は、上述の構成を備えているため、下記のような作用および効果を得ることができる。
(1)ボトムシール工程P3(ボトムシールパート55)によって、トイレットロール5においてCD方向の手前側に位置する端面5Aに沿って延出部分4の全部が折り重ねられてから封止される。そのため、従来のように延出部分が封止された後の処理を原理的に生じない。なぜならば、延出部分4の封止後に突出している部分が原理的に生じないからである。そのため、ガゼット包装やピロー包装のように封止後に突出している部分が生じる従来の手法では必要となりうる処理が原理的に回避できる。ここで回避される処理としては、突出している部分の一部を切り落とすトリム処理や突出している部分を折り畳む処理などが挙げられる。
よって、包装資材1が封止された後の処理を簡素化できる。
【0056】
(2)包装体を製造する従来の手法では、包装資材として紙製資材を用いた場合には、フィルム資材よりも紙製資材のほうが比重の重い傾向にあることから、トリム処理によって切り落とされた部位であるトリムの廃棄処理に不具合を招く傾向があった。具体的な一例を挙げれば、包装資材にフィルム資材を用いた場合には、ブロアを用いた送風によりトリムを吹き飛ばしやすくて廃棄処理が容易であるのに対して、包装資材に紙製資材を用いた場合には送風によりトリムを吹き飛ばしにくくて廃棄処理が困難であった。
これに対し、ボトムシール工程P3(ボトムシールパート55)によれば、延出部分4の封止後に突出している部分が原理的に生じないことから、包装資材1に紙製資材が用いられた場合であってもトリムの廃棄に伴う不具合を原理的に回避できる。そのため、包装資材1として紙製資材を用いた包装体の製造方法および包装体の製造装置50に好適である。
【0057】
(3)ボトムシール工程P3(ボトムシールパート55)において、延出部分4の全部を合わせ包み型の折り形態で折り畳むことにより、包装体10の底部40の外観を損なうことなく、かつ、確実に封止することができる。
(4)転向工程(転向パート54B)により、包装資材1が第一姿勢から第二姿勢に変更されるため、CD方向の手前側に設けられた折板71を用いて延出部分4の全部を合わせ包み型の折り形態で折り畳むことができる。
【0058】
[II.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0059】
たとえば、ボトムシール工程P3(ボトムシールパート55)における折り形態は、上記の合わせ包み型に限らず、トイレットロール5においてCD方向の手前側に位置する端面5Aに沿って延出部分の全部を折り重ねて封止する形態であれば、どのような折り形態であってもよい。
また、ボトムシール工程P3(ボトムシールパート55)の貼合工程は、上記のヒータ75を用いた工程に限らず、ホットメルトを用いて延出部分を貼合する工程であってもよい。このような貼合工程(貼合パート)が設けられる場合には、貼合前の延出部分に対してホットメルトを予め塗布する塗布工程(塗布パート)も設けられる。この場合には、ホットメルトを用いて延出部分が貼合されるので、包装資材1として予め接着層が設けられていない資材を用いた場合であっても、延出部分4を貼合することが可能となる。予め接着層が設けられていない資材の一例としては、紙のみからなる資材である。紙のみからなる資材を包装資材に用いることは、資材コストの低減に寄与する。
【0060】
そのほか、ボトムシール工程P3(ボトムシールパート55)は、MD方向に包装資材1を搬送しつつ延出部分4の全部を折り重ねて封止するものに限らない。延出部分4の全部を折り重ねて封止することが可能であれば、搬送されている包装資材1の筒軸方向(いわば姿勢)や搬送方向は任意であり、更に言えば静止している包装資材1に対して延出部分4の全部を折り重ねて封止する工程(パート)を採用してもよい。
あるいは、横転工程(横転パート53)を省略して、包装資材1Bを筒軸まわりに回転
させずに搬送工程(搬送パート)やボトムシール工程P3(ボトムシールパート55)を実施してもよい。
【0061】
なお、包装資材1は紙を含む資材や、紙のみからなる紙資材に限らず、フィルム資材であってもよい。
包装体10の内容物5は、トイレットロール5に限らない。内容物5の例として、トイレットロールと同様な、紙材が巻回されたか各種ロール体や、ティッシュペーパを収容したボックスティッシュなど箱類,あるいは、粒状物といった種々の物が挙げられる。
【符号の説明】
【0062】
1 包装資材
2 トップシール部分
3 ボディ部分
3A 収容部分
3B 開口
4 延出部分
5 トイレットロール(内容物)
10 包装体
20 頂部
22 トップシール部
24 手穴
30 主部
40 底部
50 製造装置
51 準備パート
52 収容パート
53 横転パート
54 搬送パート
54A 第一搬送パート
54B 転向パート
54C 第二搬送パート
54D 搬送経路
55 ボトムシールパート
60 押し込み機構
70 折り機構
71 折板
72 スリット
73 端部
74 タッカー
75 ヒータ
P1 準備工程
P2 収容工程
P3 ボトムシール工程