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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038569
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】両軸受け型リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/0155 20060101AFI20240313BHJP
   A01K 89/015 20060101ALI20240313BHJP
   A01K 89/02 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A01K89/0155
A01K89/015 A
A01K89/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142666
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 知明
(72)【発明者】
【氏名】樋口 大輔
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108HF05
(57)【要約】
【課題】スプールに作用する制動力の調整操作が行ない易く、リール全体を小型化することが可能な両軸受け型リールを提供する。
【解決手段】本発明の両軸受け型リールは、リール本体1の左右側板間に回転自在に支持されたスプールと、左右の側板の一方に設けられスプールを回転駆動するハンドルと、反ハンドル側の側板1Bに設けられ、スプールの回転に対する制動力を調整する調整ダイヤル10と、を有する。反ハンドル側の側板1Bは、スプールの回転軸と略同一軸上で調整ダイヤル10を回転可能に支持すると共に、支持された調整ダイヤル10の上方の円弧領域を露出させる開口部20を備えており、反ハンドル側の側板1Bの上面側には、円弧領域が露出した調整ダイヤル10の前方側の外周面を覆い、後方側の外周面を露出する覆い部22Dが形成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の左右側板間に回転自在に支持されたスプールと、前記側板の一方に設けられ前記スプールを回転駆動するハンドルと、反ハンドル側の側板に設けられ、スプールの回転に対する制動力を調整する調整ダイヤルと、を有する両軸受け型リールにおいて、
前記反ハンドル側の側板は、前記スプールの回転軸と略同一軸上で前記調整ダイヤルを回転可能に支持すると共に、支持された調整ダイヤルの上方の円弧領域を露出させる開口部を備えており、
前記反ハンドル側の側板の上面側には、前記円弧領域が露出した調整ダイヤルの前方側の外周面を覆い、後方側の外周面を露出する覆い部が形成されている、
ことを特徴とする両軸受け型リール。
【請求項2】
前記調整ダイヤルの支持部は、前記反ハンドル側の側板の前後方向の中心線よりも後方側に設けられている、
ことを特徴とする両軸受け型リール。
【請求項3】
前記覆い部は、前記調整ダイヤルの支持部を中心として、前記調整ダイヤルの外周面を覆う範囲が覆っていない範囲よりも少なく形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の両軸受け型リール。
【請求項4】
前記調整ダイヤルの支持部の位置から反ハンドル側の側板の最も高い位置までの高さをH、前記調整ダイヤルの支持部の位置から前記調整ダイヤルが露出する最も低い位置までの高さをhとした場合、前記開口部は、0.2H≦h≦0.4Hとなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の両軸受け型リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を巻回するスプールを、リール本体を構成する左右の側板間に回転自在に支持した両軸受け型リールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に両軸受け型リールは、左右のフレームのそれぞれにサイドプレート(カバー部材とも称される)を着脱可能に被着した左右側板を備えている。左右側板の間には、釣糸が巻回されるスプールが回転自在に支持されており、一方の側板側に配設されたハンドルを巻き取り操作することでスプールを回転駆動し釣糸を巻回する。両軸受け型リールとしては、前記ハンドルが左側板に配設された左ハンドルタイプと、右側板に配設された右ハンドルタイプが存在する。
【0003】
上記した両軸受け型リールには、例えば、特許文献1に開示されているように、握り心地が良く、ハンドルと反対側の側板を釣竿とともに握り込んでキャスティング操作、スプールの制動力調整操等が行える小型化されたものが知られている。
この公知の両軸受け型リールは、反ハンドル側の側板の前方側に、スプールに作用する制動力を調整する調整ダイヤルを配置しており、調整ダイヤルは、上側の約半分の円弧領域が露出するように支持されている。
【0004】
前記調整ダイヤルは、制動力調整機構の構成部材を作動させてスプールに作用する制動力を調整するために回転操作されるものであり、例えば、ルアーを交換したり、風の影響を考慮する等、ルアーをキャスト操作する前に頻繁に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-123802号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した両軸受け型リールの調整ダイヤルは、側板の前方側に配置されているため、反ハンドル側の側板を握持している手の指で調整ダイヤルの回転操作が行ない難い。調整ダイヤルの配設位置を考慮すると、釣竿と共にリール本体を握持している手の親指を前方に延ばす必要があるが、このような状態では回転操作がし難く、制動力の調整の際には、リール本体を持ち替えて回転操作する必要があり、操作性が良いとはいえない。また、調整ダイヤルが側板の前方側に配設されるので、リール全体を小型化する上で限界がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、スプールに作用する制動力の調整操作が行ない易く、リール全体を小型化することが可能な両軸受け型リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る両軸受け型リールは、リール本体の左右側板間に回転自在に支持されたスプールと、前記側板の一方に設けられ前記スプールを回転駆動するハンドルと、反ハンドル側の側板に設けられ、スプールの回転に対する制動力を調整する調整ダイヤルと、を有しており、前記反ハンドル側の側板は、前記スプールの回転軸と略同一軸上で前記調整ダイヤルを回転可能に支持すると共に、支持された調整ダイヤルの上方の円弧領域を露出させる開口部を備えており、前記反ハンドル側の側板の上面側には、前記円弧領域が露出した調整ダイヤルの前方側の外周面を覆い、後方側の外周面を露出する覆い部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記した構成の両軸受け型リールでは、反ハンドル側の側板に開口部を形成し、この開口部の内部に、スプール回転に作用する制動力を調整する調整ダイヤルを配設している。前記調整ダイヤルは、回転操作することで制動力が調整され、スプールの回転軸と略同一軸上で回転可能に支持されているため、側板が前方に大きく張り出すことがなく、側板を前後方向に小型化することが可能となる。また、調整ダイヤルは、側板の後方側に配設されるので、釣竿とともにリール本体を握り込んだ際、反ハンドル側の側板の上面に載置した親指を横方向に移動させるだけで、調整ダイヤルが覆い部によって覆われていない露出領域に親指を当て付けることができ、手を持ち替えなくても調整ダイヤルの回転操作が行なえるようになる。この場合、調整ダイヤルの前方側の外周面は、覆い部によって覆われているため、誤って調整ダイヤルに親指を接触させてしまうことがなく、誤操作を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スプールに作用する制動力の調整操作が行ない易く、リール全体を小型化することが可能な両軸受け型リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る両軸受け型リールの一実施形態を示す平面図。
図2図1に示す両軸受け型リールを反ハンドル側から見た側面図。
図3】(a)は、調整ダイヤルを後方側から見た図、(b)は、調整ダイヤル部分を覆う覆い部の拡大断面図。
図4図1に示す両軸受け型リールを釣竿に装着した状態を示す図。
図5】釣竿と共にリール本体を保持して調整ダイヤルを操作する状態を示す図。
図6】調整ダイヤルの操作態様を示し、(a)は、釣竿と共にリール本体を保持した状態を示す図、(b)は、調整ダイヤルを操作している状態を斜め上方から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1から図6を参照して本発明に係る両軸受け型リールの一実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、前後方向、左右方向、上下方向とは、図1及び図2で示す方向として定義する。
【0013】
本実施形態に係る両軸受け型リールのリール本体1は、左側板1A、右側板1B、及び両側板1A,1B間に回転自在に支持したスプール3を備えている。本実施形態では、左側板1A側にハンドル5を設けており、ハンドル5を巻き取り操作することで、左側板内に配設された駆動力伝達機構(図示せず)を介して前記スプール3を回転駆動する構成となっている(左ハンドル式)。なお、ハンドル5については、右側板側に設けられた構成であっても良い。
【0014】
前記リール本体1は、左右の側板1A,1Bを構成するフレームとフレームに被着されるサイドプレートとを備えている。前記フレームは、左フレーム7Aと右フレーム7Bを備えており、これらは一体形成されている。また、前記左フレーム7Aには、左サイドプレート8A(左カバー部材)が被着され、前記右フレーム7Bには、右サイドプレート8B(右カバー部材)が被着されている。これにより、左側板(ハンドル側側板)1Aは、左フレーム7Aとこれに被着される左サイドプレート8Aによって構成され、右側板(反ハンドル側側板)1Bは、右フレーム7Bとこれに被着される右サイドプレート8Bによって構成されている。
【0015】
前記フレーム7は、左フレーム7Aと右フレーム7Bを連結する複数の連結部、例えば、前方連結部7C、上方連結部(サムレストとして機能しても良い)7D、及び、下方連結部7Eを備えている。これらの連結部の内、スプールの下方に設けられる下方連結部7Eには、釣竿100(図4,5参照)のリールシート101に装着されるリール脚7Fが一体的に形成されている。
【0016】
前記左右の側板1A,1Bの形状については限定されることはないが、本実施形態の左右の側板1A,1Bは、外周形状が側面視で前後方向に延びる非円形状(略楕円形状)に構成されている(図2参照)。なお、左右の側板については、略同一の形状であっても良いが、駆動力伝達機構の駆動ギアに大型のものを用いるような場合、駆動力伝達機構が配設される側の側板(ハンドル側の側板)は、反ハンドル側の側板に対して、前後方向に膨出させる等、略同一の形状に構成されていなくても良い。
【0017】
本実施形態では、ハンドル側の側板(左側板1A)を構成する左フレーム7Aと左サイドプレート8Aとの間に、ハンドル5の回転をスプール3に伝達する公知の駆動力伝達機構、及び、スプール3のフリー回転に対して制動力を調整する公知のドラグ機構等が収容されている。また、左側板1A内には、上記の駆動力伝達機構、及び、ドラグ機構以外にも、スプール3の前方に配設された釣糸案内体9aを左右に往復駆動するレベルワインド装置9用の動力伝達ギアや、ハンドル軸に配設され、ハンドル軸の逆回転を防止する逆回転防止機構等の各種の機能部品が収容されている。
【0018】
前記反ハンドル側の側板(右側板1B)には、スプール3の回転に作用する制動力を調整する公知の制動力調整機構が収容されている。この制動力調整機構は、スプール3の回転に作用する制動力を調整できるよう構成されており、例えば、磁気制動方式で構成することが可能である。この場合、制動力を調整するための調整ダイヤル10は、反ハンドル側の側板(右サイドプレート8B)の表面に露出した状態で支持されており、本実施形態では、調整ダイヤル10の回転中心(支持部)は、前記スプール3の回転軸Xと同一軸上となるように設置されている。
【0019】
なお、調整ダイヤル10をスプール3の回転軸Xと同一軸上に設置した制動力調整機構については公知の構成であり、本発明では、制動力調整機構の具体的な構成については特に限定されることはない。例えば、スプール3の釣糸巻回胴部の内側空間に制動磁石や導電体を配設することで、調整ダイヤル10の支持部をスプール3の回転軸X上と同一軸上に支持し、右側板の制動力調整機構部分が軸方向に膨出することを抑制することも可能である。
【0020】
また、左右の側板1A,1Bのいずれかには、スプール3をフリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構が配設されている。クラッチ機構は、スプール3の後方の左右側板間に橋設されたクラッチレバー12を押し下げ操作することで、クラッチON状態からクラッチOFF状態に切り換え可能であり、スプール3はフリー回転状態(釣糸放出状態)となる。クラッチON状態への復帰は、前記ハンドル5を巻き取り操作することで、公知の自動復帰機構を介して行うことが可能である。
【0021】
本発明は、上記した制動力調整機構の調整ダイヤル10の側板に対する配設態様に特徴がある。
以下、調整ダイヤルの配設態様と、その操作態様について説明する。
【0022】
反ハンドル側の側板(右側板1B)を構成する右サイドプレート8Bの上面側の側面には、前後方向に延出するように開口部20が形成されている。この開口部20は、右サイドプレート8Bを貫通しており、開口部を介して前記右フレーム7Bが視認可能となっている。この場合、開口部20には、部分的又は全体的に底部が形成された構成であっても良いし、右サイドプレート8Bと右フレーム7Bとの間に、各種の機能部品を支持するセットプレートを配設する構成では、そのセットプレートが視認できるような構成であっても良い。
【0023】
図2に示されるように、前記開口部20は、前後方向に延出する下側稜線21と、前後方向に延出する上側稜線22によって規定される。開口部20を規定するこれらの稜線21,22は、側面視した際に視認されるエッジであり、左右方向に多少の肉厚を有する部分の端縁によって構成される(図3参照)。
前記下側稜線21と上側稜線22は、それぞれ前後方向に沿って湾曲状に形成されており、前端側の交点23で交差して終端する。また、前記下側稜線21と上側稜線22は、後端側では交差することなく開放状態となる。前記調整ダイヤル10は、側面視した際、開口部20を介して上方の円弧領域が露出した状態で右サイドプレート8Bに回転可能に支持されている。
【0024】
前記下側稜線21は、その後方側、好ましくは、前記スプールの回転軸Xよりも後方側において、後側の稜線21Aが前側の稜線21Bの後端から下降するように形成されており、開口部20は、後方に移行するに従って大きく開口するように形成されている(図2図4図5参照)。このため、開口部20は、調整ダイヤル10の後方側の露出範囲が、前方側の露出範範囲よりも大きくなるように形成されている(後述するθ1>θ2)。
【0025】
前記上側稜線22は、円弧領域が露出した調整ダイヤル10の前方側の外周面10aを覆う覆い部22Dの端縁となっている。覆い部22Dは、調整ダイヤル10の前方側の外周面10aを覆うと共に、フレーム7の上方連結部(サムレスト)7Dの側部のスプール3の回転軸近傍の表面領域7Dbに親指を当接した状態において、その親指を側方にずらした際、調整ダイヤル10の外周面10aに当接できるように、右サイドプレート8Bに一体形成されている。
【0026】
このため、上側稜線22は、前方に移行するに従い、図3に示すように、次第に側方に張り出すような形状に形成されており、前方側では、表面領域7Dbに当接した親指を側方にずらした際に、調整ダイヤル10の外周面10aに当接し難く(当接できないことが好ましい)、後方側では、調整ダイヤル10の外周面10aに当接できるように形成されている。
【0027】
ここで、上側稜線22で規定される覆い部22Dの構成について説明する。
上記したように、覆い部22Dは、調整ダイヤル10の露出した円弧領域の前方側を覆って指を当て付け難くすると共に、後方側の円弧領域を解放して指を当て付けることが可能に構成されている。調整ダイヤル10は、図3に示すように、外周面10aに凹凸が形成されて指が掛かり易いように構成されており、さらに、径方向外方の輪帯領域10bにも凹凸を形成して指が掛かり易いように構成されている。
なお、図3(b)では、覆い部22Dが調整ダイヤル10を覆う位置と、覆わない位置との境界点を符号Pで示してある。
【0028】
前記調整ダイヤル10の支持部は、上記したように、スプール3の回転軸Xと一致する位置に配設されており、本実施形態の支持部(回転軸X)は、図5に示すように、持部(回転軸X)が、側板1Bの前後方向の中心線Laよりも後方側となるように設定されている。
【0029】
前記調整ダイヤル10の支持部を図5に示した位置に設定することで、調整ダイヤル10が後方側にシフトする。従って、側板1Bを前方に張り出すような形状にする必要性が無くなり、リール本体(リール全体)を小型化することが可能となる。また、一般的に、ルアー等をキャスティング操作する場合、リールシート101に形成されたトリガー102の前側に人差し指T2及び薬指T3の2本の指をかけた状態でリール本体1を握り(図6(a)参照)、この状態で、親指T1を、そのまま左右方向にシフトさせて、リール本体1のサムレストの両側の表面領域7Da,7Db、クラッチレバー12の押し下げ操作、スプール3に巻回された釣糸表面のサミング操作等が行なわれる。
【0030】
このような操作において、調整ダイヤル10の支持部を、反ハンドル側の側板の前後方向の中心線Laよりも後方側に設置したことで、表面領域7Dbに載置した親指をそのまま側方にシフトして、調整ダイヤル10の回転操作が容易に行えるようになる。特に、調整ダイヤル10の支持位置をスプール3の回転軸Xと一致させることで、リール本体1を握持した状態で、釣糸が巻回されたスプール表面やサムレストの表面領域7Dbに当接した親指T1を、側方にそのままずらすだけで調整ダイヤル10の外周面に当て付けることが可能となる。このため、キャスティング操作する前に、釣竿100とともにリール本体1を握持した手の親指で調整ダイヤル10の回転操作(スプール3の制動力の調整操作)を行ない、引き続いて、クラッチOFF操作、サミング操作の一連の操作を、手を持ち替えなくても容易に行なうことができる(図5図6参照)。
【0031】
また、右サイドプレート8Bに形成した覆い部22Dは、調整ダイヤルの前方側を覆っており、後方側の広く開口した部分については覆っていないため、釣竿100とともにリール本体1を握った手の親指を、後方側から調整ダイヤル10に掛け易くなり、調整操作が容易でありながら、誤操作することを抑止することが可能となる。また、本実施形態では、開口部20が、調整ダイヤル10の上半分の円弧領域を露出させており、操作に必要な個所のみを露出しているので、調整ダイヤルの操作が行ない易く、かつ、誤操作を効果的に防止することが可能となる。
【0032】
なお、前記覆い部22Dについては、調整ダイヤル10の支持部(回転軸X)を中心として、調整ダイヤル10の外周面を覆う範囲が、覆っていない範囲よりも少ない範囲に形成されていることが好ましい。具体的には、調整ダイヤル10に対し、覆い部22Dによって覆われない範囲と覆う範囲との境界点Pの位置は、調整ダイヤル10の後方側の露出範囲θ1が、前方側の露出範囲θ2よりも大きくなるように形成することが好ましい(θ1>θ2;図2参照)。
【0033】
このように、後方側の露出範囲を前方側よりも広くすることで、調整ダイヤルの調整操作をし易くすることができる。この場合、θ1とθ2の比率については、上記したようにθ1>θ2にすることが好ましく、具体的には、良好な操作性と誤操作を抑制できるように、θ1とθ2は、60:40程度にすることが好ましい。このため、θ1+θ2を、例えば120°に設定するのであれば、70°<θ1<75°程度に設定することが好ましい。
【0034】
また、上記した開口部20については、側板1Bの高さの関係で適切な位置に形成することが好ましい。すなわち、あまり高い位置や低い位置に形成すると、調整ダイヤルに指が掛け難くなって操作性が低下したり、誤操作が生じる可能性が高まってしまう。このため、調整ダイヤル10の支持部(回転軸X)の位置から反ハンドル側の側板の最も高い位置までの高さをH、調整ダイヤル10の支持部の位置から調整ダイヤルが露出する最も低い位置までの高さをhとした場合、開口部20は、0.2H≦h≦0.4Hとなるように形成することが好ましい。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
例えば、反ハンドル側のサイドプレートに形成される開口部20の位置、形状については特に限定されることはない。また、反ハンドル側のサイドプレートについては、ロック装置を備えた開閉機構によって、フレームに対して開閉できるように構成しても良い。このような開閉機構は公知であり、本実施形態では、例えば、反ハンドル側の側板1Bの下面に設けられた操作部材30を操作することで、右サイドプレート8Bをフレームに対して開閉できるように構成されている。
【0036】
前記調整ダイヤル10は、反ハンドル側の側板において、その支持部がスプール3の回転軸Xと同一軸上となるように配置したが、回転軸Xと正確に一致しなくても良い(径方向に多少ずれた略同一軸上であれば良い)。また、調整ダイヤル10の大きさ、形状、肉厚については限定されることはなく、その支持部については、回転軸Xと略同一軸上に存在しなくても、制動力調整機構の構造に応じて、側板の前後方向の長さの中間位置Laよりも後方に存在していれば良い。このような位置であっても、側板の前方への張り出しを抑制することが可能となる。
【0037】
また、上記した調整ダイヤル10の前方側を覆う覆い部22Dについては、図3(b)に示すように、前方に移行するに従って、連続的な曲線形状で軸方向外方に突出するように形成したが、段階的に突出させたり、直線形状で軸方向外方に突出させる等、適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 リール本体
1A,1B 左右側板
3 スプール
5 ハンドル
7A,7B 左右フレーム
8A,8B 左右サイドプレート
10 調整ダイヤル
12 クラッチレバー
20 開口部
21 下側稜線
22 上側稜線
22D 覆い部
100 釣竿
101 リールシート
102 トリガー
図1
図2
図3
図4
図5
図6