(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038570
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61G 5/14 20060101AFI20240313BHJP
A61G 5/04 20130101ALI20240313BHJP
B62K 17/00 20060101ALI20240313BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61G5/14 711
A61G5/04 707
B62K17/00
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142667
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507369936
【氏名又は名称】ホンダ太陽株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】野原 大督
(72)【発明者】
【氏名】池田 鞠花
(72)【発明者】
【氏名】山本 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】矢田 渉
(72)【発明者】
【氏名】金森 聡史
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】小橋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和徳
(72)【発明者】
【氏名】松岡 丈朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】首藤 優一郎
(72)【発明者】
【氏名】田尻 志保
【テーマコード(参考)】
3D212
5H181
【Fターム(参考)】
3D212BB12
3D212BB23
3D212BB32
3D212BB42
3D212BB46
3D212BB66
3D212BB77
3D212BB78
3D212BB83
3D212BB93
3D212BB95
5H181AA01
5H181AA20
5H181CC04
5H181FF03
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】車両の乗降性をより向上させることができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】実施形態の車両制御装置は、利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記位置情報取得部により取得された自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行し、前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記位置情報取得部により取得された自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行し、
前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである、
車両制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定エリアごとに予め設定される前記乗換対象物体に対する位置および向きで自車両を停止させる、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記自車両の着座面の高さを前記利用者により設定された高さに調整する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記乗換対象物体の着座面の高さに基づいて、自車両の着座面の高さを調整する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記利用者が自車両から前記乗換対象物体に乗り換える場合には、自車両の着座面の高さを前記乗換対象物体の着座面よりも高くなるように調整し、
前記利用者が前記乗換対象物体から自車両に乗り換える場合には、自車両の着座面の高さを前記乗換対象物体の着座面よりも低くなるように調整する、
請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
自車両は、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態、前記主車輪以外の接地手段も含めて倒立状態を維持し得る第2の倒立状態、または自車両の移動を抑止して倒立状態を維持する第3の倒立状態が可能であり、
前記制御部は、自車両の挙動を安定させる場合に、前記第2の倒立状態または前記第3の倒立状態に切り替える、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記乗換対象物体の種類または前記乗換対象物体の着座面の高さに基づいて、前記第2の倒立状態または前記第3の倒立状態に切り替える、
請求項6に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記利用者が自車両から前記乗換対象物体に乗り換えた後、自車両に搭載されたバッテリを充電する制御を実行する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記利用者から乗換制御を実行する指示を受け付けた場合に、自車両を前記乗換対象物体に対する位置および向きで停止させ、自車両の挙動を安定化させる制御を実行する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項10】
コンピュータが、
利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得し、
自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させ、
取得した自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行し、
前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである、
車両制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、
利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得させ、
自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させ、
取得された自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行させ、
前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも高齢者や障がい者や子供といった脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、車両の乗降性に関する開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。これに関連して、従来では、倒立振子制御された駆動輪を有する車両(以下「倒立振子型車両」という)が開発されている(例えば特許文献1参照)。倒立振子型車両は、乗用車などの一般的な車両とは異なって操縦方法が独特な乗り物であり、それ故に、その用途も様々である。例えば、独特な体感を楽しむためのレジャー用途として用いられたり、身体不自由者の移動を支援するための介護用途として用いられたりすることが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の乗降性においては、利用者が車両を降りて、トイレの便器や椅子、ソファー等の乗換対象物体に腰掛ける場合や、乗換対象物体から車両に乗り換える場合に、乗り換えし易いように車両の座席シートの高さを調整する必要が生じる。しかしながら、利用者が乗り換えるごとに座席シートの高さを手動で調整する必要が生じるため、利用者の負担が増加し乗降性が損なわれる場合があるというのが課題である。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のため、車両の乗降性をより向上させることができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
【0007】
(1):この発明の一態様に係る車両制御装置は、利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記位置情報取得部により取得された自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行し、前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである、車両制御装置である。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記所定エリアごとに予め設定される前記乗換対象物体に対する位置および向きで自車両を停止させるものである。
【0009】
(3):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記自車両の着座面の高さを前記利用者により設定された高さに調整するものである。
【0010】
(4):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記乗換対象物体の着座面の高さに基づいて、自車両の着座面の高さを調整するものである。
【0011】
(5):上記(4)の態様において、前記制御部は、前記利用者が自車両から前記乗換対象物体に乗り換える場合には、自車両の着座面の高さを前記乗換対象物体の着座面よりも高くなるように調整し、前記利用者が前記乗換対象物体から自車両に乗り換える場合には、自車両の着座面の高さを前記乗換対象物体の着座面よりも低くなるように調整するものである。
【0012】
(6):上記(1)の態様において、自車両は、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態、前記主車輪以外の接地手段も含めて倒立状態を維持し得る第2の倒立状態、または自車両の移動を抑止して倒立状態を維持する第3の倒立状態が可能であり、前記制御部は、自車両の挙動を安定させる場合に、前記第2の倒立状態または前記第3の倒立状態に切り替えるものである。
【0013】
(7):上記(6)の態様において、前記制御部は、前記乗換対象物体の種類または前記乗換対象物体の着座面の高さに基づいて、前記第2の倒立状態または前記第3の倒立状態に切り替えるものである。
【0014】
(8):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記利用者が自車両から前記乗換対象物体に乗り換えた後、自車両に搭載されたバッテリを充電する制御を実行するものである。
【0015】
(9):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記利用者から乗換制御を実行する指示を受け付けた場合に、自車両を前記乗換対象物体に対する位置および向きで停止させ、自車両の挙動を安定化させる制御を実行する。
【0016】
(10):この発明の一態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得し、自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させ、取得した自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行し、前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである、車両制御方法である。
【0017】
(11):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得させ、自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させ、取得された自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行させ、前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである、プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)~(11)の態様によれば、車両の乗降性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態の倒立振子型車両の構成の概略を示す外観図(その1)である。
【
図2】実施形態の倒立振子型車両の構成の概略を示す外観図(その2)である。
【
図3】実施形態の倒立振子型車両の構成の概略を示す外観図(その3)である。
【
図4】利用者が離地状態の車両100に搭乗している様子を表したイメージ図である。
【
図5】全方向移動車輪101の構成の概略を示す図である。
【
図6】車両100の操縦例を示す図(その1)である。
【
図7】車両100の操縦例を示す図(その2)である。
【
図8】本実施形態における車両100の構成例を示す図である。
【
図9】設定情報171の内容について説明するための図である。
【
図10】乗り換え時における車両100の制御について説明するための図である。
【
図11】利用者Uが車両100から便器OB1に乗り換えることを説明するための図である。
【
図12】利用者Uが便器OB1から車両100に乗り換えることを説明するための図である。
【
図13】座席シート21のスライド移動制御について説明するための図である。
【
図14】車両100の乗換制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下では、車両制御装置が電動車両に搭載されているものとする。電動車両は、例えば車両に搭載されたバッテリ等から供給される電力を用いて、利用者を搭乗させて移動可能な移動体である。また、実施形態の電動車両は、利用者の手動運転によって走行するだけでなく、センサやカメラ等からの情報による周辺認識結果に基づいて利用者の運転操作に依らずに、自動で操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して走行する自動運転制御が可能である。なお、自動運転制御には、電動車両の倒立状態を切り替える制御や、着座面の高さを調整する制御が含まれてもよい。また、自動運転制御時は、利用者が搭乗していなくてもよい。以下では、電動車両の一例として、倒立振子型車両を用いるものとする。
【0021】
[概略]
図1~
図3は、実施形態の倒立振子型車両100の構成の概略を示す外観図である。倒立振子型車両100は、「自車両」の一例であり、以下では「車両100」と称する。
図1~
図3は、それぞれ、車両100の正面図、側面図、および背面図を表す。
図1~
図3に図示する車両100は、車輪やモータ等の駆動機構を備えた車両基体10に、座席シート21や背もたれ22の他、ヘッドレスト23、アームレスト24などを有した搭乗部20が備えられたものであり、バランス制御によって自律的に倒立状態を維持しながら移動することができる1人乗りの電動モビリティである。より具体的には、車両100は、接地点を起点として前後左右の任意の方向に進み出すことを可能にする全方向移動車輪(主車輪の一例)101を備え、車両100の進行方向や加速度を車両100のバランス状態に適応してフィードバック制御することにより倒立状態を維持することができるものである。このようなバランス制御により、車両100は、倒立状態を維持しながら移動したり、その場に静止したりすることができる。車両100は、このようなバランス制御のために、車両100のバランス状態を検知する不図示の各種センサを備えているものである。以下では、このようなバランス制御によって実現される車両100の倒立状態を「第1の倒立状態」という。
図1は、第1の倒立状態の車両100を表すものである。
【0022】
また、一方で、車両100は、複数の補助輪102-1~102-4(以下、必要に応じて補助輪102と総称する)を備えており、補助輪102の支持によって自然にバランスがとられた形で倒立することも可能である。以下では、バランス制御を行うことなく、補助輪102によって車両100が自然に倒立する状態を「第2の倒立状態」という。
図2は、第2の倒立状態の車両100を表すものである。例えば、車両100は、第1の倒立状態では、補助輪102が接地しないように補助輪102を高い位置に保持し、第2の倒立状態に移行する際には、補助輪102が接地するように補助輪102を低い位置に移動させる。補助輪102は、このような位置変更のために上下方向の移動(
図1に示す矢印A1)が制御可能に構成されるものである。また、本実施形態において、第2の倒立状態では補助輪102とともに全方向移動車輪101も接地するものとし、車両100は、全方向移動車輪101の制御により、第2の倒立状態においても任意の方向に移動できるものとする。なお、補助輪102は、全方向移動車輪101の接地点と異なる複数の接地点を形成して第2の倒立状態を実現するための接地手段の一例である。
【0023】
なお、第2の倒立状態では、車両基体10の高さが低いほど移動時のバランスが安定する場合がある。そのため、車両基体10は、第2の倒立状態での高さが、第1の倒立状態での高さよりも低くなるように、上下方向の移動を制御可能に構成されてもよい。この場合、車両100は、車両基体10の高さを低くしつつ、車両基体10に対して補助輪102を下方向に移動させることで第2の倒立状態に移行することができる。なお、この場合、第1の倒立状態と第2の倒立状態とで全方向移動車輪101の接地状態は変わらないので、車両基体10の高さを基準とすれば、第1の倒立状態から第2の倒立状態への移行は、全方向移動車輪101を上方向に移動させて、補助輪102を下方向に移動させることであるいうこともできる。そのため、車両基体10の高さを変更するために、全方向移動車輪101は、車両基体10に対する上下方向の移動(
図1に示す矢印A2)を制御可能に構成されてもよい。
【0024】
また、一方で、車両100は、複数のストッパ(移動抑制部)103-1~103-4(以下、必要に応じてストッパ103と総称する)を備えており、ストッパ103の支持によって車両100が停車位置から移動することを防止し、当該停車位置に停留しつづけるようにすることが可能である。
図3は、ストッパ103により停車位置に停留している状態の車両100を表すものである。図示するストッパ103は、床面(地面)との摩擦力によって車両100の移動を防止するものであり、摩擦力の調整のために、上下方向の移動(
図1に示す矢印A3)が制御可能に構成されるものである。なお、ストッパ103は、このような態様のものに限定されない。例えば、ストッパ103は、全方向移動車輪101や補助輪102の回転を抑止するロック機構であってもよいし、回転を抑制するブレーキ機構であってもよい。以下では、ストッパ103によって車両100が停車位置に停留している状態を「第3の倒立状態」という。第3の倒立状態では、車両100の移動が抑止され倒立状態が維持される。バランス制御は、第3の倒立状態において継続されてもよいし、一時停止されてもよい。
【0025】
また、
図1において、矢印A4は、ヘッドレスト23が背もたれ22に対して上下に移動させることができることを表している。例えば、ヘッドレスト23は、ガイド23Gによって背もたれ22に連結され、ガイド23Gが背もたれ22の内外方向にスライドすることによって、その高さが調整可能である。ヘッドレスト23の高さ調整は、手動でのスライド操作によって行われてもよいし、モータ等の駆動部を制御することにより電動で行われてもよい。
【0026】
また、
図2において、矢印A5は、アームレスト24が背もたれ22側の端部を支点として上下に回転させることができることを表している。また、
図2において、矢印A6は、座席シート21が、その基準位置21bから車両基体10に対して水平方向にスライド可能であることを表している。例えば
図2の例において、基準位置21bは、座席シート21の移動可能範囲のうち最も背もたれ22に近い側の位置であってもよい。また、
図2は、車両100において、車両基体10が、正面方向にフットレスト25を有することを表している。
【0027】
また、
図1~
図3は、右腕側のアームレスト24に、利用者(搭乗者)が車両100を操作に用いる操作パネル110が設置されていることを表している。例えば、操作パネル110は、ディスプレイや、ボタンやスイッチ、レバー等の機械式スイッチ、スピーカ、マイクなどを備え、車両100の制御部(不図示)との間で車両100の操作に関する情報の入出力を行うように構成される。操作パネル110は、例えば、制御部から出力された操作メニューの情報をディスプレイに表示させ、ボタンやスイッチにより、操作メニューに対する操作入力やその他の操作指示(例えば、後述する特定操作)を受け付けてもよい。また、操作パネル110は、例えば、操作メニューの説明や各種効果音などを示す音声をスピーカから出力してもよいし、マイクを介して音声による操作入力を受け付けてもよい。また、操作パネル110は、入出力が可能なタッチパネル装置であってもよい。この場合、GUI(Graphical User Interface)スイッチやアイコンを示す画像がディスプレイに表示され、所定の画像を選択することにより、その画像に対応付けられた情報が受け付けられる。
【0028】
なお、操作パネル110は、必ずしも右腕側のアームレスト24に設置される必要はない。例えば、操作パネル110は、左腕側のアームレスト24に設置されてもよいし、右腕側および左腕側の両方のアームレスト24に設置されてもよいし、アームレスト24から着脱可能であり、任意のアームレスト24に収納可能なように構成されてもよい。また、操作パネル110は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末でもよい。この場合、携帯端末と車両100とは、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信が実行される。また、車両100は、例えば、利用者が利用する携帯端末(利用者端末)を操作パネル110として利用してもよい。
【0029】
上述した全方向移動車輪101、補助輪102、ストッパ103、ヘッドレスト23の上下移動、アームレスト24の回転移動、座席シート21の水平移動に関し、車両100は、レールやガイド、ギヤ、駆動輪、モータ等の変位機構(不図示)を有しているものとする。変位機構は、上述の上下移動、回転移動、水平移動を実現できるものであれば特定のものに限定されない。また、ここでいう変位とは物体の位置や向きが変化することを意図するものであり、外力や応力等によって物体自体が変形または歪みを生じることを意味しないものとする。変位機構は、上下移動、回転移動、水平移動の移動種別ごとに設けられてもよいし、移動させる対象の部位ごとに設けられてもよい。また、複数の変位機構を構成する場合、一の変位機構は、一部の部品を他の変位機構と共用する形で構成されてもよい。
【0030】
図4は、利用者が離地状態の車両100に搭乗している様子を表したイメージ図である。上述のとおり、離地状態ではバランス制御が必要になる。
図4は、車両100が全方向移動車輪101を制御することにより、車両100のバランスを維持している状況をイメージしたものである。この状況において、利用者が操縦操作を行えば、車両100はバランスを取りながら車両100を支持された進行方向に走行させる一方、利用者が操縦操作を行わなければ、車両100はその場でバランスをとりながら倒立し続ける。なお、本実施形態の車両100は、全方向移動車輪101として全方向移動車輪を備えるものである。この構成により、実施形態の車両100は、その場(倒立の状態)から、360度の任意方向に進み出すことができるものである。
【0031】
図5は、全方向移動車輪101の構成の概略を示す図である。全方向移動車輪101は、例えば、大径車輪101Aと、大径車輪101Aの円周に沿って配置された複数の小径車輪101Bとを備える。大径車輪101Aは、主に前後方向への直進移動を実現する車輪である。小径車輪101Bは、大径車輪101Aの回転方向(円周方向;矢印RA)を軸として矢印RB方向に回転することにより、主にその場での横方向の移動を実現する車輪である。全方向移動車輪101は、大径車輪101Aおよび小径車輪101Bの回転をそれぞれ独立して制御可能なモータ(図示せず)で駆動させる。このような構成により、全方向移動車輪101は、その場から、前後、左右、斜めの任意方向に進み出すことができる。
【0032】
なお、車両100は、全方向移動車輪101に加えて、旋回用車輪を備えてもよい。例えば、旋回用車輪は、全方向移動車輪101の後輪として配置され、大径車輪101Aの回転軸に直交する回転軸で回転することにより、車両100の向きを変更することができる。すなわち、旋回用車輪のみを回転させた場合、車両100をその場で回転させ、大径車輪101Aと旋回用車輪を同時に回転させた場合、車両100を進行方向に向きを変えながら旋回前進させることができる。
【0033】
図6および
図7は、車両100の操縦例を示す図である。ここでは簡単のため、離地状態の車両100を、車両基体10、座席シート21、全方向移動車輪101のみ示した形で簡略化して記載しているが、
図6および
図7に示す車両100は、
図1~
図4で説明したものと同じである。車両100には、車両100に搭乗する利用者Uが姿勢を傾かせる動作(傾動)を検知するセンサが搭載されている。なお、センサは、例えば、利用者Uの傾動による体重移動に基づいて、車両100のバランス状態を検知してもよい。車両100はセンサの検知結果に基づいて車両のバランスをとるように構成される。
【0034】
図6は、このように構成された車両100に対して、利用者Uが紙面手前方向を正面方向として右方向に身体(例えば、上半身)の姿勢を傾動させて体重移動を行った場合を示す。この場合、車両100は利用者Uの体重移動により崩れたバランスを回復するために傾動方向である右方向に移動する。また、
図7は、利用者Uが前方向(紙面左方向)に体重移動を行った場合を示し、この場合、車両100はバランスを回復するために前方向に移動する。このようなバランス制御が行われることにより、利用者Uは、自身の進行したい方向に体重移動を行うことで車両100に対して移動方向を指示することができる。
【0035】
また、利用者Uが姿勢を大きく傾動させて体重移動を行った場合、車両100はバランスを回復するためにより速く移動するように制御される。つまり、車両100は、利用者Uの傾動方向および傾動角度に基づいて、移動方向および移動速度が制御される。例えば、
図6において、車両100は、車両100の右方向に対する利用者Uの傾動角度(車両100の走行面に対する鉛直方向(図中Z軸方向)と、傾動時の利用者Uの頭上方向とによって成す角度)θ1が大きいほど、右方向への速度が速くなるように制御する。また、
図7の例において、車両100は、車両100の前方に対する利用者Uの傾動角度θ2が大きいほど、前方向への速度が速くなるように制御する。このように、利用者Uは、傾動角度の大きさを変えることにより車両100の移動速度を調整することができる。
【0036】
また、車両100は、傾動角度θ1、θ2の大きさに代えて(または加えて)、利用者Uが姿勢を傾動させている時間(体重移動している時間)に応じて速度を調整してもよい。この場合、車両100は、身体の姿勢を傾動させている時間が長いほど、速度が速くなるように制御する。また、車両100は、速度の上限値を設けて、上限値を超えて速くならないように制御してもよい。なお、上限値は、例えば、第1の倒立状態と第2の倒立状態とで異なる値が設定されてよい。これにより、利用者Uの安全性をより向上させることができる。
【0037】
また、車両100は、車両100の移動方向と反対方向に利用者Uが体重移動した場合(身体を傾動させた場合)に、車両100を所定速度まで減速または停止するように制御する。この場合、車両100は、傾動角度の大きさや傾動時間に応じて、減速量が大きくなるように制御されてよい。また、車両100は、移動方向と反対方向に移動者Uが体重移動した場合に、徐々に減速して停止する制御を行ってもよい。上述した速度制御は、後述する制御部300によって実行される。
【0038】
[全体構成]
図8は、本実施形態における車両100の構成例を示す図である。車両100は、例えば、操作パネル110と、センサ120と、カメラ130と、無線通信部140と、位置情報取得部150と、インジケータ160と、記憶部170と、内部バッテリ180と、駆動部200と、制御部300とを備える。制御部300は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、制御部300の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部170などの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで車両100の記憶部170などにインストールされてもよい。操作パネル110、センサ120、位置情報取得部150、および制御部300は、「車両制御装置」の一例である。
【0039】
操作パネル110は、上述のとおり、利用者に対して車両100の操作に関するユーザインタフェースを提供する装置である。例えば、操作パネル110は、車両100の操作に関し、利用者Uからの操作入力を受け付けて制御部300に出力するとともに、制御部300から出力された各種情報の出力を行う。操作パネル110は、「操作受付部」の一例である。
【0040】
センサ120は、車両100に搭乗する利用者Uの傾動を検知する。また、センサ120は、利用者Uの傾動による体重移動に基づいて、車両100のバランス状態を検知してもよい。センサ120には、例えば、座席シート21に対する圧力(荷重)またはシート上面の圧力分布を検知するセンサや、車両100の3次元の慣性運動を検出するIMU(Inertial Measurement Unit)センサ、並進運動を検出する加速度センサや回転運動を検出するジャイロセンサ、車両本体の姿勢を検知する3軸方位センサ等が含まれる。例えば、センサ120は、圧力分布や車両100の傾き(姿勢)に基づいて、利用者Uの位置や傾動(体重移動)等を検知する。また、センサ120は、座席シート21に対する圧力に基づいて、車両100に利用者Uが搭乗しているか否かを検知してもよい。また、センサ120には、座席シート21の着座面(上面)の床(地面)からの高さや、車両100が制御可能な最も低い位置からの高さを検知するセンサが含まれてよい。また、センサ120には、車両100の正面方向の方角を検知する方位センサや、車両100の周辺物体を検知する外界センサが含まれてよい。また、センサ120には、内部バッテリ180の充電量(電力残量)を検知するセンサが含まれてよい。センサ120による検知結果は、制御部300に出力される。
【0041】
カメラ130は、車両100の周辺を撮像する。カメラ130は、例えば、所定周期または所定のタイミングで周辺を撮影する。カメラ130により撮像された車両周辺の画像データは、制御部300に出力される。
【0042】
無線通信部140は、車両100が他の装置と通信するための通信インタフェースである。無線通信部140は、Wi-FiやBluetooth等に基づく無線LAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、セルラー網や専用線等に接続するためのWAN(Wide Area Network)インタフェースであってもよい。
【0043】
位置情報取得部150は、車両100の位置情報を取得する。位置情報取得部150は、例えばGPS(Global Positioning System)発信器を含み、車両100の位置情報(例えば、緯度経度)を取得して制御部300に出力する。
【0044】
インジケータ160は、標識や、計器、表示器、指針、指標などの機器であり、制御部300の指示により、車両100に関する各種標示を行う装置である。
【0045】
記憶部170は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部170は、車両100の制御に関連する各種の設定情報171や、プログラム、その他各種情報を記憶する。設定情報171は、制御部300によって参照または更新される。
図9は、設定情報171の内容について説明するための図である。
図9に示す設定情報171は、例えば、エリア情報に、乗換対象物体情報、位置情報、向き情報、および高さ情報が対応付けられている。エリア情報は、利用者Uが車両100の乗降を行うエリアに関する情報である。エリアに関する情報には、例えば、乗換対象物体が設置されている部屋(例えば、トイレットルーム)の広さの情報や、乗換対象物体の設置位置の情報(例えば、緯度経度や部屋内のどの位置(例えば、右端や中央)に設置されているかの情報)が含まれる。乗換対象物体とは、例えば、利用者Uが腰掛ける(着座する)ことが可能な物体であり、具体的にはトイレの便器や椅子(車椅子も含む)、ソファー、ベッド等が含まれる。また、エリア情報には、乗換対象物体の周辺環境(例えば、手すりの有無や、手すりの設置位置(乗換対象物体に対して右側または左側等)、バリアフリーの有無等)、周辺に存在する充電設備等の情報が含まれてよい。
【0046】
乗換対象物体情報には、例えば、乗換対象物体の種類、乗換対象物体の着座面の高さ等の情報が含まれる。また、乗換対象物体情報には、乗換対象物体の色や形状、文字列等の特徴量に関する情報が含まれてもよい。乗換対象物体情報は、利用者Uが設定してもよく、エリア情報に基づき地図情報等から取得されてもよい。地図情報は、記憶部170に記憶されてもよく、無線通信部140を介して通信可能な外部装置から取得してもよい。
【0047】
位置情報は、乗り換え時の車両100の停車位置に関する情報である。位置情報には、車両100との乗換対象物体との乗り換え時の距離に関する情報が含まれてもよい。また、位置情報には、例えば、利用者Uが車両100から降りて乗換対象物体へ乗り換える場合の位置と、乗換対象物体から車両100に乗り換える(車両100に戻る場合)の位置とが含まれる。車両100から降りる場合の位置と車両100に乗る場合の位置とは、同じ位置でもよく、異なる位置でもよい。向き情報は、乗物先物体の正面方向に対して、車両100をどの向きで停止させるかを示す情報である。向き情報には、例えば、対面(前向き)、横向き、後向き等の情報が設定される。また、向き情報には、車両100の停止時における正面方向の方角が設定されてもよい。
【0048】
高さ情報は、車両100との乗換対象物体との乗り換え時の座席シート21の着座面の床(地面)からの高さに関する情報である。また、高さ情報は、車両100が調整可能な座席シート21の最も低い位置からの高さでもよい。高さ情報には、例えば、利用者Uが車両100から降りて乗換対象物体へ乗り換える場合の高さ情報と、乗換対象物体から車両100に乗り換える(車両100に戻る場合)の高さ情報とが含まれる。車両100から降りる場合の高さと、車両100に乗る場合の高さは、同じ高さでもよく、異なる高さでもよい。
【0049】
上述した設定情報171の少なくとも一部は、例えば、制御部300による制御によって操作パネル110を用いて利用者Uにより事前に設定することが可能である。利用者Uの体型、身体の状態等によって、乗り換えがし易い位置や向き、高さは異なるため、上述の設定情報を利用者Uごとに設定可能とすることで、利用者Uごとに車両100の乗降性を向上させることができる。なお、上述の位置情報、向き情報、および高さ情報は、エリアに関係なく、予め基準値が設定されてもよい。例えば、利用者Uによる位置情報、向き情報、および高さ情報のうち少なくとも一つの設定がない場合には基準値が適用される。
【0050】
また、設定情報171には、上述の情報に加えて、利用者Uの傾動の大きさ(傾動角度)や傾動時間に応じた車両100の速度(加速や減速を含む)や速度上限値、第1~3の倒立状態における利用者Uごとの座席シートの位置の高さ等が含まれてよい。
【0051】
内部バッテリ180は、車両100の各部に動力を供給する電源として機能する。内部バッテリ180には、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの充電可能な蓄電池が使用される。内部バッテリ180は、車両100に固定されたものであってもよいし、車両100に着脱可能なものであってもよい。内部バッテリ180は、例えば車両100に装着された状態または取り外した状態で、外部給電機器により充電が可能である。
【0052】
駆動部200は、車両100の各部の位置または姿勢を変化させる各種の変位機構の集合である。ここでいう集合とは、概念的な集合を意図したものであり、各変位機構が物理的に集合したものであることを必ずしも意図しない。すなわち、各変位機構は、物理的に別々のものであってもよいし、一部または全部を共有するものであってもよい。駆動部200の動作は、制御部300によって制御される。
【0053】
より具体的には、駆動部200は、例えば、全方向移動車輪駆動部210と、補助輪駆動部220と、ストッパ駆動部230と、座席シート駆動部240と、ヘッドレスト駆動部250と、アームレスト駆動部260とを備える。全方向移動車輪駆動部210は、全方向移動車輪101を駆動する駆動部である。補助輪駆動部220は、補助輪102を駆動する駆動部である。ストッパ駆動部230は、ストッパ103を駆動する駆動部である。座席シート駆動部240は、座席シート21を駆動する駆動部である。ヘッドレスト駆動部250は、ヘッドレスト23を駆動する駆動部である。アームレスト駆動部260は、アームレスト24を駆動する駆動部である。
【0054】
制御部300は、車両100の各部の動作を制御する機能を有する。より具体的には、制御部300は、操作パネル110やセンサ120、カメラ130、無線通信部140、位置情報取得部150、記憶部170から取得される各種情報をもとに各部の制御内容を決定し、決定した制御内容で各部の動作を制御する。例えば、制御部300は、車両100の全体的な制御を行う主制御部310と、自車両周辺の状況を認識する周辺認識部320と、駆動部200の各種駆動部に対応した制御機能を有する駆動制御部330とを備える。
【0055】
主制御部310は、利用者Uによる運転操作(手動運転)または自動運転制御に基づいて車両100の走行時や停止時の状態等を制御する。例えば、主制御部310は、周辺認識部320による認識結果や利用者Uによる手動操作等に基づいて、後述する駆動制御部330の各構成を制御する。主制御部310の処理の詳細については、後述する。
【0056】
周辺認識部320は、センサ120による検知結果や、カメラ130により撮像された画像データに基づいて、車両100の周辺(車両100から所定距離以内)の物体(例えば、乗換対象物体や障害物、手すり等)を認識する。また、周辺認識部320は、画像データに対する周知の画像解析処理に基づいて、物体の種別や形状、位置、向きなどの特徴情報を認識してもよい。また、周辺認識部320は、位置情報取得部150により取得された車両100の位置情報に基づいて地図情報等を参照して、車両100の周辺の状況(例えば、車両100がどこにいるか)等を認識してもよい。また、周辺認識部320は、車両100の位置情報に基づいて、車両100が所定エリア内に存在するか否かを判定してもよい。所定エリアとは、例えば、設定情報171のエリア情報に登録されたエリアであってもよく、地図情報に含まれる特定のエリア(例えば、公共トイレ)であってもよい。
【0057】
駆動制御部330は、例えば、全方向移動車輪制御部331と、補助輪制御部332と、ストッパ制御部333と、座席シート制御部334と、ヘッドレスト制御部335と、アームレスト制御部336とを備える。全方向移動車輪制御部331は、全方向移動車輪駆動部210を制御する。補助輪制御部332は、補助輪駆動部220を制御する。ストッパ制御部333は、ストッパ駆動部230を制御する。座席シート制御部334は、座席シート駆動部240を制御する。ヘッドレスト制御部335は、ヘッドレスト駆動部250を制御する。アームレスト制御部336は、アームレスト駆動部260を制御する。
【0058】
例えば、主制御部310は、全方向移動車輪制御部331による全方向移動車輪駆動部210の制御により、全方向移動車輪101による全方向移動を行ったり、全方向移動車輪101を上下方向に移動させたりする。なお、全方向移動車輪101による全方向移動には、第1の倒立状態における移動と、第2の倒立状態における移動とがあり、全方向移動車輪駆動部210の制御には、センサ120の検知結果に基づくバランス制御が含まれる。全方向移動車輪制御部331は、バランス制御を実行することにより、車両100の倒立状態を維持しながら車両100を移動させる。
【0059】
また、主制御部310は、第2の倒立状態において補助輪制御部332による補助輪駆動部220の制御により、補助輪102による移動を行う。また、主制御部310は、補助輪102を上下方向に移動させたりする。また、主制御部310は、ストッパ制御部333によるストッパ駆動部230の制御により、ストッパ103を上下方向に移動させる。これにより、主制御部310は、全方向移動車輪101の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、全方向移動車輪101以外の接地手段である補助輪102も含めてバランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態と、ロック機構等により車両100の移動を抑止して倒立状態を維持する第3の倒立状態とのうち、いずれかの倒立状態に切り替えることができる。なお、第2の倒立状態は、第1の倒立状態よりも車体が安定した状態になり、第3の倒立状態は、第2の倒立状態よりも車体が安定した状態になる。主制御部310は「倒立状態制御部」の一例である。
【0060】
また、座席シート制御部334は、座席シート駆動部240を制御することにより、座席シート21を水平方向にスライドして移動させる。より具体的には、座席シート制御部334は、自車両の倒立状態に基づいて座席シート駆動部240を制御するものである。また、座席シート制御部334は、座席シート駆動部240を制御することにより、座席シート21を上下方向に移動させる。主制御部310は、車両100が所定エリア内に存在する場合に、所定の位置で停止させて倒立状態を切り替えたり、座席シート21の着座面の高さを調整する制御を行う。
【0061】
ヘッドレスト制御部335は、ヘッドレスト駆動部250を制御することにより、ヘッドレスト23を上下方向に移動させる。アームレスト制御部336は、アームレスト駆動部260を制御することにより、アームレスト24を、支点を中心として回転移動させる。
【0062】
駆動制御部330は、利用者が操作パネル110に入力した内容に基づいて操作対象の駆動部を制御してもよいし、周辺認識部320によって認識された自車両周辺の状況に基づいて各駆動部を制御してもよいし、センサ120や位置情報取得部150等により検知された車両100の状態(バランス状態や位置、姿勢等)に基づいて各駆動部を制御してもよいし、主制御部310の全体制御に基づいて各駆動部を制御してもよい。
【0063】
例えば、駆動制御部330は、上述したように、利用者Uの姿勢の傾動(体重移動)に基づいて、所定方向に所定速度(例えば、利用者Uの姿勢の傾動角度または姿勢を傾動させている時間に応じた速度)で車両100を走行させるように制御する。また、駆動制御部330は、上述した制御に加えて、周辺認識部320による認識結果に基づいて、自動運転制御を行ってもよい。例えば、駆動制御部330は、主制御部310の制御により、車両100の進行方向に障害物等がある場合には障害物と接触しないように車両100を減速または停止させる速度制御や、進行を変更する操舵制御を行う。また、駆動制御部330は、狭い場所を走行する場合に減速制御を行う。
【0064】
また、駆動制御部330は、操作パネル110に移動方向を指定するスイッチや速度を指定するスイッチがある場合に、スイッチ操作に対応する移動方向および移動速度で車両100を走行させる。また、駆動制御部330は、操作パネル110に、車両100の向きや座席シート21の高さを調整するスイッチがある場合に、スイッチ操作に対応する向きや高さの制御が実行される。
【0065】
[乗り換え時の制御]
次に、車両100と乗換対象物体との間の乗り換え時の制御について具体的に説明する。
図10は、乗り換え時における車両100の制御について説明するための図である。
図10の例において、利用者Uは、車両100の座席シート21上に着座しているものとする。また、
図10では、乗換対象物体の一例としてトイレの便器OB1が示されている。
【0066】
例えば、周辺認識部320は、位置情報取得部150により車両100の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、車両100が所定エリア内に存在するか否かを判定する。例えば、周辺認識部320は、車両100の位置情報に基づいて、設定情報171のエリア情報を参照し、車両100がエリア情報に設定された所定エリア内に存在するか否かを判定する。なお、周辺認識部320は、カメラ130により撮像された画像データを周期の解析し、解析結果として得られる色や形状、文字列等の特徴情報から車両100が所定エリア内に存在するか否かを判定したり、乗換対象物体の種類や向きを認識してもよい。
【0067】
車両100が所定エリア内に存在すると判定された場合、主制御部310は、設定情報171に設定されたエリア情報に対応付けられた位置情報、向き情報、および高さ情報を取得し、利用者Uの乗り換え時の制御を行う。なお、
図10の例では、センサ120により利用者Uが車両100に搭乗していることを検知しているため、主制御部310は、利用者Uが車両100から降りる場合の位置情報および高さ情報を取得する。例えば、主制御部310は、取得した位置情報および向き情報に基づいて、便器OB1との距離D1が位置情報に設定された距離となる位置で、且つ、便器OB1の正面方向に対して、向き情報で設定された向きに車両100が停止されるように駆動制御部330に制御させる。
図10の例では、設定情報に基づき、便器OB1と正対する向きで車両100が停止している。
【0068】
また、主制御部310は、車両100が停止した後、車両100の座席シート21の着座面の高さVH1が設定情報171の高さ情報で設定された高さとなるように駆動制御部330に制御させる。なお、設定情報171に高さ情報が登録されていない場合、主制御部310は、車両100の座席シート21の着座面の高さVH1が、便器OB1に設けられた便座OS1の着座面(上面)の床(地面)からの高さOH1よりも高い位置となるように制御させてもよい。なお、便座OS1の高さOS1は、例えば、カメラ130により撮像された画像データの解析結果により取得してもよい。これにより、利用者Uは、着座面が高い位置から低い位置に乗り換えることができる。そのため、利用者Uの乗り換え時の負担を軽減させ、容易に乗り換えさせることができる。
【0069】
また、主制御部310は、乗り換え時の制御によって車両100を停止させた場合に、停止させた位置で車両100の挙動を安定化させる制御(安定化制御)を実行する。挙動を安定化させるとは、車両本体を、より動かないようにすることであり、移動させないだけでなく傾動させないことも含まれてよい。安定化制御とは、例えば、車両100の停止前の状態が第1の倒立状態である場合に、第2または第3の倒立状態に切り替え、停止前の状態が第2の倒立状態である場合には、第3の倒立状態に切り替える制御である。また、安定化制御には、制御実行前に車両100の倒立状態が第3の倒立状態である場合に、他の倒立状態に切り替えないことが含まれてよい。
【0070】
なお、乗り換え時にどの倒立状態で安定化させるかについては、予め利用者Uにより設定されていてもよく、乗換対象物体の種類や、乗換対象物体の着座面の高さに基づいて決定されてもよい。
図10の例では、安定化制御の実行によって、補助輪102-1~102-4およびストッパ103-1~103-4が床に接地された第3の倒立状態に切り替わったことを示している。このように安定化制御を行うことで、利用者Uは、より安定した車両100から降りることができるため、容易に乗り換えを行うことができる。
【0071】
なお、利用者Uは、特定の乗換対象物体への乗り換えが頻繁に生じるような場合に、
図10に示すように乗り換えを行うタイミングで操作パネル110に設けられた登録ボタン等を押下して、エリア情報の登録(または更新)を行ってもよい。この場合、主制御部310は、操作パネル110に予め設定された登録ボタンの押下による登録指示を受け付けると、現在のエリア情報に対応付けて、位置情報取得部150により取得される車両100の現在位置や、向き、座席シート21の高さ情報等を設定情報171に登録する。この場合、主制御部310は、センサ120やカメラ130により取得される情報も設定情報171に登録してもよい。これにより、利用者Uが直接入力することなく、容易に設定することができる。
【0072】
次に、利用者Uが車両100から乗換対象物体に乗り換え、その後乗換対象物体から車両100に戻る(乗り換える)までにおける車両100の制御について説明する。
【0073】
図11は、利用者Uが車両100から便器OB1に乗り換えることを説明するための図である。
図11の例では、センサ120により利用者Uが車両100に搭乗していると検知されているものとする。
図11の例において、主制御部310は、車両100が所定エリア内に存在すると判定し、設定情報171に含まれる位置情報(利用者Uが車両100から降りる場合の位置情報)および向き情報に基づいて、便器OB1から距離D2だけ離れた位置に停止している。主制御部310は、安定化制御を実行し、車両100の倒立状態を第3の倒立状態に切り替える。
【0074】
また、主制御部310は、設定情報171の高さ情報(利用者Uが車両100から降りる場合の高さ情報)に基づいて、座席シート制御部334に座席シート21の着座面の高さVH1を調整させる。なお、例えば、高さ情報が設定されていない場合、主制御部310は、上述したように座席シート21の着座面の高さVH1が、便座OS1の着座面の高さOH1よりも高い位置になるように調整させる。
【0075】
ここで、利用者Uが車両100から便器OB1に乗り換えた後、主制御部310は、設定情報171のエリア情報を参照して周辺に充電設備がある場合に、車両100の安定化制御を解除して自動運転制御で充電設備がある位置まで移動させ、充電設備から供給される電力によって内部バッテリ180を充電させる制御(充電制御)を行ってもよい。これにより、車両100が利用されていない時間を有効に活用して効率的に充電を行うことができる。なお、充電制御は、例えば、内部バッテリ180の充電量が所定量未満のときに実行されてよい。また、充電時間は、乗換対象物体の種類によって設定されてもよく、利用者Uによって事前に設定されてもよい。設定した充電時間が経過した場合または内部バッテリ180の充電量が所定量以上となった場合、主制御部310は、利用者Uを搭乗させるため車両100を移動させる。また、主制御部310は、利用者Uからから乗換制御を実行する指示を受け付けた場合に、車両100を便器OB1に対して予め設定された位置および向きで停止させ、車両100の挙動を安定化させる制御を実行してもよい。乗換制御を実行する指示は、例えば、利用者Uからの所定の音声(例えば、車両100を呼び戻す音声)であってもよく、利用者Uが操作パネル110を保持したまま便器OB1に乗り換えた場合に、操作パネル110からの指示であってもよい。これにより、利用者Uの所望するタイミングで車両100を乗り換え位置に移動させることができる。
【0076】
図12は、利用者Uが便器OB1から車両100に乗り換えることを説明するための図である。
図12の例では、センサ120により利用者Uが車両100に搭乗していないと検知されているものとする。
図12の例において、主制御部310は、車両100が所定エリア内に存在すると判定し、設定情報171に含まれる位置情報(利用者Uが車両100に乗る場合の位置情報)および向き情報に基づいて、便器OB1から距離D3だけ離れた位置に停止している。主制御部310は、安定化制御を実行し、車両100の倒立状態を第3の倒立状態に切り替える。
【0077】
また、主制御部310は、設定情報171の高さ情報(利用者Uが車両100に乗る場合の高さ情報)に基づいて、座席シート制御部334に座席シート21の着座面の高さVH2を調整させる。なお、高さ情報が設定されていない場合、主制御部310は、上述したように座席シート21の着座面の高さVH2が、便座OS1の着座面の高さOH1よりも低い位置になるように調整させる。これにより、利用者Uは、車両100に戻る乗り換え動作時においても、高い位置から低い位置に移動することができるため、利用者Uの乗り換え時の負担を軽減させ、容易に乗り換えさせることができる。利用者Uが車両100に乗り換えた後、主制御部310は、利用者Uに指示または自動で、車両100の倒立状態を第1または第2の倒立状態に切り替え、車両100の移動を可能にする。
【0078】
<変形例>
なお、上述した乗り換え制御においては、主制御部310は、座席シート21の高さ調整に加えて(または代えて)、座席シート21のスライド移動(水平移動)を行ってもよい。この場合、主制御部310は、車両100の倒立状態を、第2または第3の倒立状態にする。
【0079】
図13は、座席シート21のスライド移動制御について説明するための図である。
図13の例では、車椅子VC1(乗換対象物体の一例)に乗っている利用者Uが、車椅子VC1から車両100に乗り換えようとしている状況を示している。また、
図13の例では、車両100が第2の倒立状態である状況を示している。主制御部310は、乗換制御において、座席シート制御部334による座席シート駆動部240の制御によって、利用者Uが乗車し易い位置に座席シート21をスライド移動させる。
【0080】
また、主制御部310は、基本的な制御として、
図13に示すように、座席シート21を正面方向(図中X軸方向)に移動させる。このように、座席シート21を車両100の正面方向に移動させることにより、利用者Uは、車椅子VC1から車両100への乗り換えをより容易に行うことが可能となる。例えば、車両100の前端部には、車両100の安定化(バランス維持)を目的とした補助輪102が設置されているため、補助輪102が利用者の乗り換え動作に干渉する蓋然性が高い。このため、主制御部310は、座席シート21を、少なくとも車両100の前端側の補助輪102よりも前方(利用者Uに近い位置)に移動させることで、より乗り換えを円滑に行うことができる。
【0081】
なお、座席シート21の移動量△Dは、利用者Uが座席シート21のX軸方向の先端部に荷重をかけた場合でも車両100が傾動することがないように、所定距離に留めることが望ましい。所定距離は、例えば、座席シート21の長さ(X軸方向における長さ)Wの3分の1未満である。また、移動量△Dは、利用者Uにより設定情報171に設定されていてもよい。
【0082】
座席シート21のスライド移動の後、利用者Uが座席シート21に着座したことを検知した場合、主制御部310は、座席シート21を元の位置に戻す制御を座席シート制御部334に実行させる。なお、上述した座席シート21のスライド制御は、その移動の一部または全部を利用者Uの手動操作によって実現されてもよい。この場合、座席シート21には、利用者Uの手動操作を支援するための部材(例えば、取っ手等)が設置されてもよい。
【0083】
また、主制御部310は、乗換対象物体(例えば、便器OB1や車椅子VC1)から車両100に乗り換える場合に、車両100を乗換対象物体が存在する方向(言い換えると、利用者Uがいる方向)に傾動させてもよい。利用者U側に車体本体を所定角度だけ傾けることで、車両100に乗り易くすることができる。また、主制御部310は、センサ120により検知される座席シート21への圧力が閾値以上である場合に、傾動を解除して元の位置に戻す制御を行う。
【0084】
[処理フロー]
次に、実施形態の車両100により実行される処理について説明する。なお、以下では、車両100により実行される処理のうち、主に車両100と乗換対象物体との間での乗換制御処理を中心として説明する。なお、以下に示す処理は、所定周期または所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。所定のタイミングとは、例えば、操作パネル110に設けられた乗換制御を実行することを示す乗換ボタンを利用者Uによって押下されたことを受け付けたタイミングである。
【0085】
図14は、車両100の乗換制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14の例において、制御部300は、車両100の位置情報に基づいて、車両100が所定エリア内に存在するか否かを判定する(ステップS100)。所定エリア内に存在すると判定した場合、制御部300は、設定情報171から位置情報、向き情報、および高さ情報を取得し(ステップS110)、取得した情報に基づいて、車両100の位置、向き、および高さを調整する(ステップS120)。次に、制御部300は、車両100の安定化制御を実行する(ステップS130)。なお、ステップS130の処理は、ステップS120の処理の途中(例えば、設定された位置および向きに停車した場合であって、高さ調整の前)に実行されてよい。
【0086】
次に、制御部300は、利用者Uの乗り換えが完了したか否かを判定する(ステップS140)。乗り換えが完了していないと判定した場合、制御部300は、乗り換えが完了するまで待機する。また、乗り換えが完了したと判定した場合、制御部300は、車両の安定化制御を解除し(ステップS150)、利用者Uによる操作または自動運転制御による走行制御を実行する(ステップS160)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。また、ステップS100の処理において、車両100が所定エリア内に存在しないと判定した場合に、本フローチャートの処理は、終了する。
【0087】
なお、
図14に示す処理において、制御部300は、ステップS140の処理において、所定時間が経過しても利用者の乗り換えが完了しない場合は、乗り換えを行わないものとして、ステップS150以降の処理を実行してもよく、そのまま本フローチャートの処理を終了してもよい。また、制御部300は、ステップS140の処理中において、操作パネル110により利用者Uから乗り換えを行わないことを示す指示を受け付けた場合に、ステップS150以降の処理を実行したり、本フローチャートの処理を終了してもよい。また、制御部300は、ステップS100の処理において車両100が所定エリア内に存在しないと判定した場合であっても、操作パネル110に設けられた乗換ボタンを利用者Uによって押下されたことを受け付けた場合に、ステップS110以降の処理を実行してもよい。
【0088】
以上の通り説明した実施形態によれば、車両制御装置において、利用者を搭乗させて走行可能な車両(自車両の一例)100の位置情報を取得する位置情報取得部150と、車両100の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して車両100を走行させる制御部300と、を備え、制御部300は、位置情報取得部150により取得された車両100の位置情報に基づき、車両100が所定エリアに存在する場合に、車両100の挙動を安定化させる制御を実行し、所定エリアは、利用者が車両100との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアであることにより、車両の乗降性をより向上させることができる。したがって、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0089】
具体的には、実施形態によれば、例えば、狭くかつ乗り換えが必要なエリア(例えば、トイレ)等において、毎回利用者が車両100の位置や向き、座席の高さを手動で調整する必要がなく、自動で調整することができるため、利用者の乗り換え時の負荷を軽減させることができる。
【0090】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)、
利用者を搭乗させて走行可能な自車両の位置情報を取得し、
自車両の操舵と速度とのうち少なくとも一方を制御して自車両を走行させ、
取得した自車両の位置情報に基づき、自車両が所定エリアに存在する場合に、自車両の挙動を安定化させる制御を実行し、
前記所定エリアは、前記利用者が自車両との間で乗り換えを行う乗換対象物体が存在するエリアである、
車両制御装置。
【0091】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0092】
100…倒立振子型車両、10…車両基体、20…搭乗部、21…座席シート、21b…基準位置、22…背もたれ、23…ヘッドレスト、23G…ガイド、24…アームレスト、25…フットレスト、101…全方向移動車輪、101A…大径車輪、101B…小径車輪、102…補助輪、103…ストッパ、110…操作パネル、120…センサ、130…カメラ、140…無線通信部、150…位置情報取得部、160…インジケータ、170…記憶部、171…設定情報、180…内部バッテリ、200…駆動部、210…全方向移動車輪駆動部、220…補助輪駆動部、230…ストッパ駆動部、240…座席シート駆動部、250…ヘッドレスト駆動部、260…アームレスト駆動部、300…制御部、310…主制御部、320…周辺認識部、330…駆動制御部、331…全方向移動車輪制御部、332…補助輪制御部、333…ストッパ制御部、334…座席シート制御部、335…ヘッドレスト制御部、336…アームレスト制御部