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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038579
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】貯蔵庫及びカメラユニット
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240313BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
F25D23/00 301K
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142682
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 勝
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大谷 匠
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045LA18
3L045MA10
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA21
3L345AA26
3L345DD42
3L345EE55
3L345JJ14
3L345JJ26
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】不適切な撮影画像をサーバに送信しないようにする貯蔵庫等を提供する。
【解決手段】冷蔵庫100は、冷蔵室を有する筐体と、筐体の開口を塞ぐ冷蔵室ドアと、冷蔵室ドアの庫内側に設置されるドアポケットと、筐体の外側に設置され、少なくとも冷蔵室を撮影するカメラユニット3と、を備えるともに、カメラユニット3の撮影画像における第1領域にドアポケットの収納物又はドアポケットが写り込んでいる場合、当該撮影画像をユーザの携帯端末に表示させないようにする制御部8を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する筐体と、
前記筐体の開口を塞ぐドアと、
前記ドアの庫内側に設置されるドアポケットと、
前記筐体の外側に設置され、少なくとも前記貯蔵室を撮影するカメラユニットと、を備えるともに、
前記カメラユニットの撮影画像における第1領域に前記ドアポケットの収納物又は前記ドアポケットが写り込んでいる場合、当該撮影画像をユーザの携帯端末に表示させないようにする制御部を備える貯蔵庫。
【請求項2】
複数の前記第1領域が設定され、
前記制御部は、複数の前記第1領域のうちの少なくとも一つに前記収納物又は前記ドアポケットが写り込んでいる場合、当該撮影画像をユーザの前記携帯端末に表示させないようにすること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
所定の音を発するブザーを備え、
前記制御部は、前記第1領域に前記収納物又は前記ドアポケットが写り込んでいる場合、前記ブザーを鳴らすこと
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記撮影画像において、前記筐体の開口縁の稜線が入るように第2領域が設定され、
前記第1領域に前記収納物及び前記ドアポケットのいずれも写り込んでいない場合でも、前記第2領域において前記稜線よりも前記ドアに近い側の部分の平均輝度が所定値以下であるときには、前記制御部は、当該撮影画像をユーザの前記携帯端末に表示させないようにすること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記撮影画像において、前記筐体の開口縁の稜線が入るように第2領域が設定され、
前記制御部は、前記第1領域に前記収納物及び前記ドアポケットのいずれも写り込んでおらず、さらに、前記第2領域において前記稜線よりも前記ドアに近い側の部分の平均輝度が所定値よりも高い場合、当該撮影画像をユーザの前記携帯端末に表示させること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記撮影画像において、前記筐体の開口縁の稜線が入るように第2領域が設定され、
前記制御部は、前記第2領域の境界線と前記稜線との交点の実際の位置と、前記筐体に前記カメラユニットが正常に設置されている場合での前記交点の位置である所定の基準位置と、の間の差分に基づいて、前記第1領域の位置を補正すること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1領域に前記収納物又は前記ドアポケットが写り込んでいる場合、当該撮影画像のデータをサーバに送信しないようにすることで、当該撮影画像をユーザの前記携帯端末に表示させないようにすること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記第1領域は、前記撮影画像における前記筐体の開口縁の付近であって、前記ドアの回動軸側に設定されること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項9】
前記筐体の開口縁の付近であって、前記ドアの回動軸側に所定のマーカが付けられ、前記撮影画像における前記マーカの位置に基づいて、前記第1領域が設定されること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項10】
貯蔵室を有する筐体と、前記筐体の開口を塞ぐドアと、前記ドアの庫内側に設置されるドアポケットと、を備える貯蔵庫の前記筐体の外側に設置され、少なくとも前記貯蔵室を撮影するカメラユニットであって、
前記カメラユニットの撮影画像における第1領域に前記ドアポケットの収納物又は前記ドアポケットが写り込んでいる場合、当該撮影画像をユーザの携帯端末に表示させないようにする制御部を備える、カメラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貯蔵庫等に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷蔵室等をカメラで撮影し、その撮影結果をユーザの携帯端末に表示させる技術として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。すなわち、特許文献1には、「扉の開閉角度に基づいた異なる角度から前記撮像部で撮影された複数の前記画像のデータを用いて新たな画像を作成する」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6323279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、3次元的な合成画像を作成するようにしているが、処理の簡素化を図る余地がある。このような処理の簡素化として、例えば、冷蔵庫の撮影画像からエッジを抽出し、そのエッジに基づいてドアの開角度を算出することも考えられるが、冷蔵庫の外装色と内箱の色とが似通っていて撮影画像上の輝度差が小さい場合には、エッジの抽出精度が低くなるため、さらなる改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る貯蔵庫は、貯蔵室を有する筐体と、前記筐体の開口を塞ぐドアと、前記ドアの庫内側に設置されるドアポケットと、前記筐体の外側に設置され、少なくとも前記貯蔵室を撮影するカメラユニットと、を備えるともに、前記カメラユニットの撮影画像における第1領域に前記ドアポケットの収納物又は前記ドアポケットが写り込んでいる場合、当該撮影画像をユーザの携帯端末に表示させないようにする制御部を備えることとした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の側面図である。
図3】第1実施形態に係る冷蔵庫の左右の冷蔵室ドアが開かれた状態の正面図である。
図4】第1実施形態に係る冷蔵庫の左右の冷蔵室ドアが開かれた状態の平面図である。
図5】第1実施形態に係る冷蔵庫において、カメラユニットを斜め下から見上げた場合の斜視図である。
図6A】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットの正面図である。
図6B】第1実施形態に係る冷蔵庫における図6AのII-II線矢視断面図である。
図7】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットを含むシステム構成図である。
図8】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットによる撮影結果であって、画像処理が行われていない状態の例である。
図9】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットによる撮影結果であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
図10A】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドアの開角度が約70°の場合の説明図である。
図10B】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドアの開角度が約60°の場合の説明図である。
図10C】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドアの開角度が約20°の場合の説明図である。
図10D】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドアの開角度が約15°の場合の説明図である。
図11A】第1実施形態に係る冷蔵庫の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図11B】第1実施形態に係る冷蔵庫の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図12A】第2実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットが所定に傾いている状態で撮影された場合の説明図である。
図12B】第2実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットによる撮影画像上の第2領域の拡大図である。
図13】第2実施形態に係る冷蔵庫の制御部が実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の正面図である。
冷蔵庫100(貯蔵庫)は、食品等を冷やす機器であり、筐体1の他、冷蔵室ドア211,212等の各ドアと、カメラユニット3と、を備えている。筐体1は、その内部に複数の貯蔵室を有している。図1の例では、冷蔵庫100の貯蔵室として、上から順に、冷蔵室21と、左右に並ぶ製氷室22・上段冷凍室23と、野菜室24と、下段冷凍室25と、が設けられている。
【0008】
筐体1は、貯蔵室を形成している樹脂製の内箱12(図3参照)と、鋼板製の外箱11と、の間に発泡ウレタン等の断熱材(図示せず)が充填された構成になっている。筐体1の前側(正面側)には、各室に対応する複数の開口10a(図2参照)が設けられている。例えば、冷蔵室21の開口10aを介して食品等が入れられる際には、冷蔵室ドア211,212が開けられる。また、冷蔵室ドア211,212が閉じられると、冷蔵室21の開口10aが閉塞された状態になる。このように、冷蔵室ドア211,212(ドア)は、筐体1の開口10aを塞ぐ機能等を有している。
【0009】
図1に示すように、冷蔵庫100は、筐体1とともに冷蔵室21(貯蔵室)を形成するヒンジ式のドアとして、左右の冷蔵室ドア211,212を備えている。左側の冷蔵室ドア211は、ヒンジ211a(図4参照)の軸を中心として回動可能になっている。なお、右側の冷蔵室ドア212についても同様である。また、冷蔵庫100は、引出し式のドアとして、製氷室ドア221や上段冷凍室ドア231の他、野菜室ドア241や下段冷凍室ドア251を備えている。
【0010】
冷蔵室21には、この冷蔵室21を所定に仕切る複数の棚板213(図3参照)が設けられている。左側の冷蔵室ドア211(ドア)の庫内側には、食品等を収納するための複数のドアポケット211c(図3参照)が設置されている(右側の冷蔵室ドア212も同様)。図1に示す製氷室22には、製氷室ドア221と一体に引き出される製氷室容器(図示せず)が設けられている。同様に、上段冷凍室23には上段冷凍室容器(図示せず)が設けられ、また、野菜室24には野菜室容器(図示せず)が設けられている他、下段冷凍室25には下段冷凍室容器(図示せず)が設けられている。
【0011】
冷蔵庫100は、図示はしないが、圧縮機と、放熱器(凝縮器)と、キャピラリチューブ(絞り機構)と、蒸発器と、を備えている。そして、圧縮機、放熱器、キャピラリチューブ、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環し、蒸発器を通流する冷媒との間の熱交換で貯蔵室の空気が冷やされるようになっている。図1に示すカメラユニット3は、冷蔵庫100の少なくとも貯蔵室(例えば、冷蔵室21)を撮影するものであり、筐体1の外側(図1では、筐体1の上側)に設置されている。
【0012】
図2は、冷蔵庫100の側面図である。
図2に示すように、カメラユニット3は、本体部31と、支持部32と、を備えている。本体部31は、冷蔵庫100の貯蔵室等を撮影するものである。支持部32は、本体部31を支持するものであり、筐体1の上面に設置されている。
【0013】
本体部31の前端付近には、レンズ31a(図5も参照)が設置されている。レンズ31aは、光を屈折させて集束させる光学素子であり、下方に臨むように設置されている。このようなレンズ31aとして、例えば、魚眼レンズが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
図2に示すように、レンズ31aは、筐体1の前端(つまり、開口10a)よりも前側に位置している。より好ましくは、レンズ31aは、閉状態の冷蔵室ドア211,212(図1参照)の前面よりもさらに前側に位置している。これによって、例えば、冷蔵室ドア211,212が開けられた際、レンズ31aの視野に冷蔵室21が入りやすくなる。なお、野菜室ドア241等の引出し式のドアが開かれた状態で、カメラユニット3によって野菜室24等(図1参照)を撮影することも可能である。
【0015】
図3は、冷蔵庫100の左右の冷蔵室ドア211,212が開かれた状態の正面図である。
図3に示すように、左側の冷蔵室ドア211の内板211bには、食品等を収納するための複数のドアポケット211cが設置されている(右側の冷蔵室ドア212も同様)。そして、左右の冷蔵室ドア211,212が開けられると、冷蔵室21やドアポケット211c,212cの食品等がカメラユニット3のレンズ31aの視野に俯瞰的に入るようになっている(図8も参照)。
【0016】
左側の冷蔵室ドア211における内板211bの縁付近には、四角枠状のパッキン211dが設置されている。パッキン211dは、冷蔵室21の気密性を高めるための樹脂製部材である。そして、冷蔵室ドア211が閉じられた場合、筐体1の開口10a(図4参照)の周囲にパッキン211dが接触(密着)するようになっている。
【0017】
図3に示すサイドピース211eは、冷蔵室ドア211の側面を形成している板状部材であり、上下方向に細長く延びている。なお、冷蔵室ドア211は、ヒンジ211a(図4参照)の軸とは反対側に設けられるサイドピース211eの他、ヒンジ211aの軸の付近に設けられる別のサイドピース211f(図4参照)も備えている。これらのサイドピース211e,211f(図4参照)は、いずれも上下方向に延びており、ヒンジ211a(図4参照)の軸に対して平行に設けられている。なお、右側の冷蔵室ドア212についても同様である。
【0018】
また、カメラユニット3を用いて冷蔵室21を手動で撮影する際、ユーザによって押される撮影ボタン5が、左右の冷蔵室ドア211,212にひとつずつ設置されている。図3の例では、左右のサイドピース211e,212eの下部に撮影ボタン5がひとつずつ設置されている。
【0019】
図4は、冷蔵庫100の左右の冷蔵室ドア211,212が開かれた状態の平面図である。
図4に示すように、筐体1の上面には、ヒンジ211a,212aが設置されている。左側のヒンジ211aは、冷蔵室ドア211を回動自在に軸支するものである(右側のヒンジ212aも同様)。また、図4の例では、左右方向において、冷蔵庫100の筐体1の中央よりも若干左側にカメラユニット3が配置されている。より詳しく説明すると、閉状態の冷蔵室ドア211,212の合わせ目の真上にカメラユニット3が配置されている(図1も参照)。これによって、冷蔵室ドア211,212が開けられた際、ドアポケット211c,212cの食品等がカメラユニット3の視野に入りやすくなる。
【0020】
図5は、カメラユニット3を斜め下から見上げた場合の斜視図である。
図5に示すように、カメラユニット3の本体部31は、前記したレンズ31a(図2も参照)の他、ケース31bと、LEDカバー31cと、を備えている。本体部31のケース31bは、概ね、前後方向に細長い直方体状を呈している。ケース31bの前端付近の下面には、円形状の孔(符号は図示せず)が設けられ、この孔を介してレンズ31aが露出している。ケース31bの下面においてレンズ31aの後側(奥側)には、左右方向に細長い孔(符号は図示せず)が設けられ、この孔にLEDカバー31cが嵌め込まれている。LEDカバー31cは、カメラLED31d(図6B参照)を保護するための透光性の樹脂製部材である。
【0021】
図6Aは、カメラユニット3の正面図である。
図6Aに示すように、カメラユニット3の本体部31が支持部32の上側に設置されている。また、左右方向において、支持部32の中央付近に本体部31が設置されている。
【0022】
図6Bは、図6AのII-II線矢視断面図である。
図6Bに示すように、カメラユニット3は、前記したレンズ31a(図5も参照)やLEDカバー31c(図5も参照)、ケース31bを備える他、カメラLED31dと、回路基板31eと、を備えている。
【0023】
カメラLED31d(照明部)は、冷蔵室21等の貯蔵室を照らす光源である。すなわち、カメラユニット3が冷蔵室21(図3参照)やドアポケット211c,212c(図3参照)を適度な明るさのもとで撮影できるように、筐体1の外側(本実施形態では、筐体1の上側)にカメラLED31dが設置されている。そして、冷蔵室ドア211,212(図3参照)の少なくとも一方が開かれた場合、カメラLED31dが点灯されるようになっている。図6Bの例では、冷蔵庫100の筐体1(図2参照)の前端(筐体1の開口10a)よりも前側にカメラLED31dが配置されている。つまり、平面視において筐体1の開口10a(図2参照)よりも前側(外側)にカメラLED31dが位置している。これによって、カメラLED31dから照射された光が冷蔵室21等に入射しやすくなるため、鮮明な撮影結果が得られやすくなる。カメラLED31dの下側には、透光性のLEDカバー31c(図5も参照)が設置されている。
【0024】
回路基板31eは、後記するイメージセンサ31f(図7参照)やカメラ/通信制御SoC31g(System-on-a-Chip:図7参照)が実装されたプリント基板である。このように、レンズ31aやカメラLED31d、回路基板31eを一つのケース31bに収容することで、これらを別体で設ける場合に比べて、カメラユニット3を小型化できる。
【0025】
図7は、冷蔵庫100のカメラユニット3を含むシステム構成図である。
図7に示すように、冷蔵庫100は、カメラユニット3の他に、ドアセンサ4と、撮影ボタン5と、操作パネル6と、庫内灯7と、制御部8と、無線LANユニット9と、を備えている。
ドアセンサ4は、冷蔵室ドア211,212(図1参照)の開閉状態を示す所定の信号を制御部8に出力する。なお、図7ではひとつのドアセンサ4を示しているが、実際には、冷蔵庫100(図1参照)の各ドアに対応するように複数のドアセンサ4が設けられている。例えば、左側の冷蔵室ドア211(図1参照)が開かれた場合には、この冷蔵室ドア211に対応するドアセンサ4から制御部8に所定の開信号が出力される。
【0026】
撮影ボタン5(図3も参照)は、前記したように、カメラユニット3を用いて手動で撮影する際、ユーザによって押されるボタンである。操作パネル6は、ユーザの操作に基づいて、所定の設定情報を入力するためのパネルである。庫内灯7は、冷蔵室21(貯蔵室)を照らす光源であり、冷蔵室21の壁に設置されている。
【0027】
制御部8は、例えば、マイコンであり、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。なお、制御部8が行う処理については後記する。
【0028】
カメラユニット3は、レンズ31a(図6Bも参照)やカメラLED31d(図6Bも参照)の他、イメージセンサ31fと、カメラ/通信制御SoC31gと、ブザー31hと、を備えている。イメージセンサ31fは、レンズ31aを介して入射する光を光電変換して、撮影画像データを生成する素子である。このようなイメージセンサ31fとして、例えば、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる。
【0029】
カメラ/通信制御SoC31gは、マイコンの機能や他の応用的な機能を有する回路を1チップ上に集積し、連携して機能するよう設計された集積回路である。カメラ/通信制御SoC31gは、制御部8との間で所定に通信を行い、イメージセンサ31fに撮影指令を出力する。これによって、イメージセンサ31fからカメラ/通信制御SoC31gに撮影画像のデータが入力される。
【0030】
ブザー31hは、例えば、カメラユニット3による撮影時にエラーが生じた場合に所定の音を発するものである。なお、カメラユニット3で撮影が開始される際、ブザー31hから所定の音が発せられるようにしてもよい。
【0031】
無線LANユニット9は、カメラ/通信制御SoC31gから出力される撮影画像のデータをルータ51に送信する。ルータ51は、通信の中継機器であり、無線LANユニット9から受信した撮影画像のデータをネットワーク52を介して、サーバ53に送信する。サーバ53は、撮影画像のデータに基づいて所定の処理を行い、冷蔵庫100の識別情報に対応付けて保存する。また、サーバ53は、ユーザの携帯端末54から冷蔵庫100の撮影画像(庫内画像)の要求信号を受信した場合、撮影画像のデータを携帯端末54に送信する。このような携帯端末54として、携帯電話やスマートフォンの他、タブレットやウェアラブル端末が用いられる。
【0032】
図8は、カメラユニットによる撮影結果であって、画像処理が行われていない状態の例である。
なお、図8では、紙面上側を前方とし、紙面下側を後方としている関係上、図3等に対して左右が反転している(図9も同様)。図8の例では、左右の冷蔵室ドア211,212の両方が開かれており、冷蔵室21の他、左側の冷蔵室ドア211のドアポケット211cや、右側の冷蔵室ドア212のドアポケット212cも撮影されている。
【0033】
特に、カメラユニット3(図5参照)のレンズ31aとして魚眼レンズが用いられた場合、広範囲の画角で撮像できる。ただし、画像処理が行われていない状態では、図8に示すように、直線状の稜線が湾曲して写る他、同じ長さの稜線であってもカメラユニット3から遠くなるにつれて撮影画像上の画素数が少なくなる。
【0034】
図9は、カメラユニット3による撮影結果であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
例えば、図8の撮影結果に基づいて、サーバ53(図7参照)で所定の画像処理が行われることで、あたかも冷蔵室21や左右の冷蔵室ドア211,212を正面から見たような撮影画像(展開画像)に変換される。このような撮影画像が携帯端末54(図7参照)に表示されることで、冷蔵室21等にどのような食品が収容されているかをユーザが一目で把握できる。
【0035】
なお、冷蔵室ドア211,212(図3参照)が十分に開かれた状態の撮影画像が携帯端末54(図7参照)に表示されることが望ましい。冷蔵室ドア211,212の開角度が小さすぎると、図10のような展開画像における冷蔵室21の領域にドアポケット211c,212cの一部が写り込んで、視認性が悪くなるからである。そこで、第1実施形態では、次に説明するように、撮影画像上の所定の第1領域A1~A8(図10A参照)のうちの少なくとも一つにドアポケット211c,212c等(図3参照)が写り込んでいる場合、制御部8が撮影画像をユーザの携帯端末54(図7参照)に表示させないようにしている。
【0036】
このような方法を用いることで、冷蔵庫100の外装色(例えば、白色)と内箱12(図3参照)の色(例えば、白色)とが似通っていて撮影画像上の輝度差が小さく、エッジを抽出精度が低くなるような場合でも、撮影に際しての冷蔵室ドア211,212の開角度不足を制御部8が適切に検知できる。
【0037】
図10Aは、カメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドア212の開角度が約70°の場合の説明図である。
なお、図10Aでは、紙面上側を前方とし、紙面下側を後方としている関係上、図3等に対して左右が反転している(図10B図10C図10Dも同様)。
図10Aにおける紙面左側の第1領域A1~A4は、冷蔵室ドア212の開角度が不足しているか否かの判定に用いられる撮影画像上の領域であり、予め設定されている。具体的には、撮影画像における筐体1の開口縁の付近であって、冷蔵室ドア212(ドア)の回動軸側に第1領域A1~A4が設定されている。例えば、冷蔵室ドア212の開角度が60°以下である場合(撮影時の開角度が不足している場合)には、ドアポケット212cの端部(冷蔵室ドア212の回動軸側の端部)が筐体1の開口縁の付近に写り込むことが多い。そこで、第1実施形態では、第1領域A1~A4にドアポケット212c等が写り込んでいるか否かに基づいて、制御部8(図7参照)が冷蔵室ドア212の開角度不足を検知するようにしている。図10Aの例では、大きさの異なる4つの矩形状の第1領域A1~A4が順次に隣り合うように配置されている。
【0038】
図10Aにおける紙面右側の第1領域A5~A8は、他方の冷蔵室ドア211の開角度が不足しているか否かの判定に用いられる撮影画像上の領域であり、予め設定されている。図10Aの例では、大きさの異なる4つの矩形状の第1領域A5~A8が順次に隣り合うように配置されている。これらの第1領域A5~A8は、他方の第1領域A1~A4との間で横方向において略対称となるように設定されている。
【0039】
第1領域A1~A8の位置や面積(画素数)は、事前の実験等に基づいて、予め設定されている。具体的には、冷蔵室ドア212の開角度が所定値(例えば、70°)以上の状態では、図10Aに示すように、ドアポケット212cの食品等やドアポケット212c自体が第1領域A1~A4のいずれにも写り込まないように、第1領域A1~A4が設定されている。また、第1領域A1~A4に筐体1の開口付近の稜線(エッジ)が写り込まないように、第1領域A1~A4が設定されている。なお、他方の第1領域A5~A8も同様である。以下では、ドアポケット212cに収納された食品等やドアポケット212cのことを「ドアポケット212c等」という。
【0040】
図10Aに示す矩形状の第2領域B1は、第1領域A1~A4のいずれにもドアポケット212c等が写り込んでいない場合において、冷蔵室ドア212の開角度が不足しているか否かの判定に用いられる領域である。図10Aの例では、撮影画像において、筐体1の開口縁(開口の上縁)の稜線R1が入るように第2領域B1が設定されている。なお、第2領域B1の詳細については後記する。
【0041】
図10Bは、カメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドア212の開角度が約60°の場合の説明図である。
図10Bの例では、冷蔵室ドア212の開角度が約60°になったとき、ドアポケット212cに収納された缶C1(冷蔵室ドア212の回動軸に最も近い収納物)の一部が第1領域A1に写り込んでいる。なお、ドアポケット212cに食品等が収納されていない状態では、第1領域A1にドアポケット212cの一部が写り込む。筐体1の内箱12(図3参照)とドアポケット212cとは、光の反射率が異なるため、撮影画像上でドアポケット212cの稜線が所定のエッジとして抽出される。
【0042】
また、十分に開かれた状態から冷蔵室ドア212が閉じられる過程で撮影が繰り返されると、ドアポケット212c等がまず第1領域A1に入った後、続いて第1領域A2,A3,A4に順次に入ることが多い。このように、冷蔵室ドア212の開角度の大きさに対応して、複数の第1領域A1~A4が設定されている。同様に、他方の冷蔵室ドア211の開角度の大きさに対応して、複数の第1領域A5~A8が設定されている。
【0043】
制御部8(図7参照)は、例えば、撮影画像(カラーの画像)をグレースケールに変換し、さらに2値化処理を行う。すなわち、制御部8は、輝度が所定値以上の画素の値を‘1’(白色)とし、輝度が所定値未満の画素の値を‘0’(黒色)にすることで、2値化処理を行う。そして、制御部8は、例えば、第1領域A1の内部に存在する黒色の画素の総数が所定値以上である場合、第1領域A1にドアポケット212c等が写り込んでいると判定する。
【0044】
なお、第1領域A1において縦方向又は横方向に黒色の画素が連なっている個数が所定値以上である(つまり、縦方向又は横方向のエッジが存在する)場合、第1領域A1にドアポケット212c等が写り込んでいると制御部8が判定するようにしてもよい。第1領域A1にドアポケット212c等が写り込んでいる場合、制御部8は、その撮影画像をユーザの携帯端末54(図7参照)に表示させないようにする。これによって、視認性の悪い撮影画像がユーザの携帯端末54(図7参照)に表示されることを防止できる。
【0045】
図10Cは、カメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドア212の開角度が約20°の場合の説明図である。
図10Cの例では、第1領域A2に缶C2のエッジが写り込んでおり、また、別の第1領域A3,A4に缶C1のエッジが写り込んでいる。このように第1領域A2にドアポケット212c等が写り込んでいる場合、制御部8は、その撮影画像をユーザの携帯端末54(図7参照)に表示させないようにする。
【0046】
図10Dは、カメラユニットによる撮影結果であって、冷蔵室ドア212の開角度が約15°の場合の説明図である。
図10Dに示すように、冷蔵室ドア212の開角度がかなり小さくなると、冷蔵室ドア212の上面が写っている部分に第1領域A1~A4の全てが含まれることがある。その結果、第1領域A1~A4にドアポケット212c等が写り込まなくなる。このような状態でも、撮影に際しての冷蔵室ドア212の開角度不足を制御部8が適切に判定できるように、第2領域B1が設けられている。なお、他方の第2領域B2は、冷蔵室ドア211の開角度不足を検知する際に用いられる。
【0047】
前記したように、撮影画像において、筐体1の開口縁の稜線R1が入るように第2領域B1が設定されている。そして、第1領域A1~A4に食品等(収納物)及びドアポケット212cのいずれも写り込んでいない場合でも、第2領域B1において稜線R1よりも冷蔵室ドア212(ドア)に近い側の部分B11(ドットで示した部分)の平均輝度が所定値以下であるときには、制御部8が、その撮影画像をユーザの携帯端末54(図7参照)に表示させないようにしている。
【0048】
冷蔵室ドア212が少しでも開いた状態では、第2領域B1において稜線R1よりも冷蔵室ドア212に近い側の部分B11に冷蔵室21(図3参照)の一部が写り込む。冷蔵室ドア212の開角度がかなり小さくなると、カメラLED31d(図6B参照)からの光が冷蔵室ドア212で遮られるため、第2領域B1の部分B11が暗くなり、その輝度が所定値以下になる。このように、第1領域A1~A4にドアポケット212c等が写り込まない状態でも、第2領域B1の部分B11の平均輝度を用いることで、冷蔵室ドア212の開角度不足を制御部8が適切に検知できる。
【0049】
図11A図11Bは、冷蔵庫の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図7も参照)。
なお、図11Aの「START」時には、左右の冷蔵室ドア211,212(図3参照)が閉状態であるものとする。
ステップS101において制御部8は、ドアセンサ4から開信号の入力があったか否かを判定する。つまり、制御部8は、左右の冷蔵室ドア211,212(図3参照)のうちの少なくとも一方が開かれたか否かを判定する。ステップS101において、ドアセンサ4から開信号の入力がない場合(S101:No)、制御部8は、ステップS101の処理を繰り返す。一方、ステップS101において、ドアセンサ4から開信号の入力があった場合(S101:Yes)、制御部8の処理はステップS102に進む。
【0050】
ステップS102において制御部8は、カメラLED31cを点灯させる。これによって、冷蔵室21に光が照射されるため、ユーザが冷蔵室21を視認しやすくなる他、その後の撮影に備えることができる。カメラLED31cは、左右の冷蔵室ドア211,212の両方が閉められるまで点灯され続ける。なお、カメラLED31dを点灯させる際、制御部8が庫内灯7を消灯してもよいし、また、庫内灯7を点灯させてもよい。
【0051】
次に、ステップS103において制御部8は、露光調整を行う。つまり、制御部8は、イメージセンサ31fから出力される電気信号を増幅する際のゲイン(明るさに対する感度)を調整する他、カメラユニット3のシャッタスピードを調整する。例えば、制御部8は、撮影画像データの平均輝度が所定範囲内に含まれるように、前記したゲインを調整する。このように露光調整を行うことで、撮影画像における白飛び(ハレーション)や黒つぶれを抑制できる。
ステップS104において制御部8は、撮影画像を取り込む。すなわち、制御部8は、光電変換によってイメージセンサ31fから出力され、さらに、所定のゲインで増幅された電気信号を撮影画像として取り込む。
【0052】
以下では主に、一方の冷蔵室ドア212(図3参照)が開かれた場合について説明するが、他方の冷蔵室ドア211(図3参照)が開かれる場合についても同様である。
図11BのステップS105において制御部8は、撮影画像における第1領域A1~A4(図10A参照)にドアポケット212c等が写り込んでいるか否かを判定する。第1領域A1~A4のうちの少なくとも一つにドアポケット212c等が写り込んでいる場合(S105:Yes)、制御部8の処理はステップS107に進む。例えば、図10B図10Cに示すように、第1領域A1~A4の少なくとも一つに缶C1,C2が写り込んでいる場合、制御部8の処理はステップS107に進む。
【0053】
ステップS107において制御部8は、撮影結果を破棄する。つまり、複数の第1領域A1~A4のうちの少なくとも一つにドアポケット212cの食品等(収納物)又はドアポケット212cが写り込んでいる場合(S105:Yes)、制御部8は、その撮影画像をユーザの携帯端末54(図7参照)に表示させないようにする。例えば、制御部8は、第1領域A1~A4のうちの少なくとも一つにドアポケット212c等が写り込んでいる場合、その撮影画像のデータをサーバ53(図7参照)に送信しないようにすることで、その撮影画像をユーザの携帯端末54(図7参照)に表示させないようにする。これによって、視認性の悪い撮影画像がユーザの携帯端末54に表示されることを防止できる。
【0054】
次に、ステップS108において制御部8は、ブザー31hを鳴らす。すなわち、第1領域A1~A4の少なくとも一つにドアポケット212cの食品等(収納物)又はドアポケット212cが写り込んでいる場合(S105:Yes)、制御部8は、ブザー31hを鳴らす。これによって、今回の撮影では適切な撮影画像が生成されなかったことをユーザに報知できる。また、ステップS105において、第1領域A1~A4のいずれにもドアポケット212c等が写り込んでいない場合(S105:No)、制御部8の処理はステップS106に進む。
【0055】
ステップS106において制御部8は、第2領域B1において稜線R1よりも冷蔵室ドア212に近い側の部分B11(図10D参照)の平均輝度が所定値以下であるか否かを判定する。第2領域B1の部分B11の平均輝度が所定値以下である場合(S106:Yes)、制御部8は、その撮影結果を破棄し(S107)、ブザー31hを鳴らす(S108)。これによって、視認性の悪い撮影画像がユーザの携帯端末54に表示されることを防止できる。
【0056】
また、ステップS106において、第2領域B1の部分B11の平均輝度が所定値よりも高い場合(S106:No)、制御部8の処理はステップS109に進む。
ステップS109において制御部8は、撮影結果を保存する。この場合には、冷蔵室ドア211,212が十分に開かれている可能性が高いからである。ステップS108又はS109の処理を行った後、制御部8の処理はステップS110に進む。
【0057】
ステップS110において制御部8は、ドアセンサ4から閉信号の入力があったか否かを判定する。ドアセンサ4から閉信号の入力がない場合(S110:No)、制御部8の処理は、図11AのステップS104(撮影画像の取込み)に戻る。また、図11BのステップS110において、ドアセンサ4から閉信号の入力があった場合(S110:Yes)、制御部8の処理はステップS111に進む。
【0058】
ステップS111において制御部8は、カメラLED31cを消灯する。
ステップS112において制御部8は、撮影結果を選定する。例えば、制御部8は、保存されている複数の撮影結果のうち、最も新しいものをサーバ53への送信用の撮影結果として選定する。
【0059】
ステップS113において制御部8は、撮影結果をサーバ53に送信する。すなわち、制御部8は、図7に示す無線LANユニット9、ルータ51、及びネットワーク52を順次に介して、撮影画像のデータをサーバ53に送信する。ステップS113の処理を行った後、制御部8は、一連の処理を終了する(END)。
【0060】
なお、サーバ53では、撮影結果において、冷蔵室21(図3参照)の左側・右側の各領域の他、一方の冷蔵室ドア211(図3参照)の領域や、他方の冷蔵室ドア212(図3参照)の領域が抽出される。そして、サーバ53において、それぞれの領域の画像が個別に最新のものに更新される。さらに、携帯端末54からの要求信号に応じて、サーバ53から携帯端末54に撮影画像データが送信され、携帯端末54のディスプレイ(図示せず)に所定に表示される。
【0061】
第1実施形態によれば、撮影画像上の第1領域A1~A4のうちの少なくとも一つにドアポケット211c,212c等が写り込んでいる場合、制御部8は、その撮影画像をユーザの携帯端末54に表示させないようにする。これによって、冷蔵庫100の外装色と内箱12の色とが似通っていて撮影画像上の輝度差が小さい場合でも、冷蔵室ドア211,212の開角度の不足を制御部8が適切に検知できる。したがって、冷蔵室ド212の開角度が小さい状態の撮影画像がユーザの携帯端末54に表示されることを防止できる。
【0062】
また、第1実施形態によれば、撮影画像の第1領域A1~A4のいずれにもドアポケット212cが写り込んでいない場合でも、第2領域B1において稜線R1よりも冷蔵室ドア212に近い側の部分B11(図10D参照)の平均輝度が所定値以下であるときには、制御部8が、その撮影画像をユーザの携帯端末54に表示させないようにする。これによって、冷蔵室ドア212の開角度がかなり小さい状態でも、第2領域B1の部分B11の平均輝度に基づいて、開角度の不足を制御部8が適切に検知できる。
【0063】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、第2領域B1(図12A参照)における稜線R1(図12A参照)の位置に基づいて、制御部8が第1領域A1~A4(図12A参照)の位置を補正する点が第1実施形態とは異なっている。なお、その他については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0064】
図12Aは、カメラユニットが所定に傾いている状態で撮影された場合の説明図である。
前記したように、冷蔵室21の筐体1(図2参照)には、発泡ウレタン等の断熱材が充填されるが、断熱材の発泡圧力に対して、筐体1の天板が若干膨れ上がることがある。その結果、筐体1の天板が水平面に対して平行にならず、例えば、カメラユニット3(図2参照)の前部の高さ位置が後部よりも若干低くなることもある。このような場合、カメラユニット3の視野が本来の範囲から庫内側にずれるため、冷蔵室ドア212が十分に開かれた状態でも、第1領域A1~A4に筐体1の開口縁のエッジが写り込む可能性がある。
【0065】
図12Aの例では、冷蔵室ドア212が十分に開かれた状態でも、第1領域A1~A4に筐体1の鉛直方向のエッジが写り込んでいる。なお、左側の冷蔵室ドア211が十分に開かれた場合も同様に、第1領域A5~A8の少なくとも一つに筐体1のエッジが写り込む可能性がある。
【0066】
そこで、第2実施形態では、第2領域B1における稜線R1の位置に基づいて、制御部8(図7参照)が第1領域A1~A8の撮影画像上の位置を補正するようにしている。カメラユニット3の前端(又は後端)がせり上がるように傾いた場合、第1領域A1~A8及び第2領域B1,B2が本来の位置から所定にずれるが、そのずれ量(画素数)は第1領域A1~A8及び第2領域B1,B2で共通である。したがって、例えば、第2領域B1のずれ量を第1領域A1~A8の位置の補正に用いることができる。なお、他方の第2領域B2のずれ量を第1領域A1~A8の位置の補正に用いることも可能である。
【0067】
図12Bは、撮影画像上の第2領域B1の拡大図である。
なお、図12Bでは、本来の稜線R1の位置(破線)を明示するために、稜線R1よりも冷蔵室ドア212に近い側の部分B11をドットで示さないようにしている。
図12に示す線分L1は、第2領域B1に含まれる筐体1の開口縁の稜線R1を直線で近似したものである。第2領域B1の矩形状の境界線と線分L1との2つの交点のうち一方の交点Q1が、ずれ量ΔYの算出に用いられる。前記した「ずれ量ΔY」とは、第1領域A1~A8や第2領域B1,B2が撮影画像上の本来の位置からずれている画素数である。
【0068】
図12に基準位置P1は、カメラユニット3(図2参照)が傾いていない場合での筐体1の開口縁の稜線R1a(破線)と、第2領域B1の矩形状の境界線と、の2つの交点のうちの一方側であり、予め設定されている。つまり、筐体1にカメラユニット3が正常に設置されている場合での交点Q1の本来の位置が、基準位置P1である。制御部8(図7参照)は、基準位置P1と、交点Q1と、の間の縦方向の画素数に基づいて、カメラユニット3の傾きに伴う第1領域A1~A8のずれ量ΔYを算出する。なお、基準位置P1と交点Q1との間の画素数が大きいほど、ずれ量ΔYも大きくなるように、所定の数式又はデータテーブルが予め設定されている。
【0069】
そして、制御部8は、ずれ量ΔYを打ち消すように、第1領域A1~A8の位置を補正する。図12Aの例では、白抜き矢印で示すように、撮影画像上の第1領域A1~A8のそれぞれ位置が庫内側に移動されている。このように、第1領域A1~A8が本来の位置に移動されることで、カメラユニット3が若干傾いた状態でも、筐体1の開口縁が第1領域A1~A8に写り込まなくなる。
【0070】
図13は、冷蔵庫の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図7も参照)。
なお、図13のステップS101~S104については、第1実施形態(図11A参照)と同様であるから、説明を省略する。ステップS104において撮影画像を取り込んだ後、制御部8の処理はステップS201に進む。
ステップS201において制御部8は、ずれ量ΔYを算出する。すなわち、制御部8は、第2領域B1の境界線と筐体1の開口縁の稜線R1(図12Bの例では、線分L1で近似したもの)との交点Q1の実際の位置と、筐体1にカメラユニット3が正常に設置されている場合での交点Q1の位置である所定の基準位置P1(図12B参照)と、の間の差分を「ずれ量ΔY」として算出する。
【0071】
ステップS202において制御部8は、ずれ量ΔYが許容範囲を超えているか否かを判定する。ここで、「許容範囲」とは、第1領域A1~A8(図12A参照)の位置を補正するか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。ステップS202において、ずれ量ΔYが許容範囲を超えている場合(S202:Yes)、制御部8の処理はステップS203に進む。
【0072】
ステップS203において制御部8は、第1領域A1~A8(図12A参照)の位置を補正する。すなわち、制御部8は、交点Q1(図12B参照)と基準位置P1(図12B参照)との間のずれ量ΔY(差分)に基づいて、第1領域A1~A8の位置を補正する。具体的には、制御部8は、ずれ量ΔYを打ち消すように撮影画像上の第1領域A1~A8の位置を移動させる。ステップS203の処理を行った後、制御部8は、第1実施形態と同様にステップS105~S113(図11B参照)の処理を行う。これによって、カメラユニット3が傾いている状態でも、冷蔵室ドア211,212の開角度不足を制御部8が適切に検知できる。
【0073】
なお、ステップS103において、制御部8が第1領域A1~A8の位置を補正するとともに、第2領域B1,B2の位置も補正するようにしていてもよい。すなわち、前記したずれ量ΔYを打ち消すように、制御部8が第1領域A1~A8及び第2領域B1,B2を移動させるようにしてもよい。このような処理でも同様の効果が奏される。
また、ステップS202において、ずれ量ΔYが許容範囲内である場合(S202:No)、制御部8は、第1領域A1~A8の補正を特に行うことなく、第1実施形態と同様にステップS105~S113(図11B参照)の処理を行う。
【0074】
第2実施形態によれば、カメラユニット3が傾いている状態でも、第1領域A1~A8が適切な位置に移動されることで、冷蔵室ドア211,212の開角度不足を適切に検知できる。
【0075】
≪変形例≫
以上、本開示に係る冷蔵庫100等について実施形態で説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、左右方向の一方側に4つの矩形状の第1領域A1~A4(図10A参照)が設定され、また、他方側に4つの矩形状の第1領域A5~A8(図10A参照)が設定される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、「第1領域」の位置や個数や形状は、適宜に変更可能である。このような構成において制御部8は、カメラユニット3の撮影画像における第1領域にドアポケット211c,212cの収納物又はドアポケット211c,212cが写り込んでいる場合、その撮影画像のデータをユーザの携帯端末54に表示させないようにする。これによって、視認性の悪い撮影画像が携帯端末54に表示されることを防止できる。なお、第2領域B1,B2の位置や個数や形状も適宜に変更可能である。
【0076】
また、各実施形態では、第1領域A1~A4(図10A参照)の輝度の他、第2領域B1,B2(図10A参照)の輝度に基づいて、制御部8が冷蔵室ドア211,212の開角度不足を検知する処理について説明したが、第2領域B1,B2に関する処理を省略してもよい。例えば、第1領域A1~A4のいずれかにドアポケット211c,212c又はその収納物が写り込んだ複数の撮影画像が連続して撮影された場合、制御部8が次の処理を行うようにしてもよい。すなわち、前記した複数の撮影画像のうち、撮影タイミングが最も早い撮影画像を基準として1回前に(又は複数回前まで)撮影されたもの、及び、撮影タイミングが最も遅い撮影画像を基準として1回後(又は複数回後まで)に撮影されたものを制御部8がサーバ53に送信しないようにしてもよい。これによって、第2領域B1,B2を特に使わずとも、図10Dのような状態での撮影画像が携帯端末54(図7参照)に表示されることを防止できる。
【0077】
また、カメラユニット3の撮影画像における第1領域A1~A8(図10A参照)にドアポケット211c,212cの食品等(収納物)及びドアポケット211c,212cのいずれも写り込んでおらず、さらに、第2領域B1,B2において稜線R1よりも冷蔵室ドア211,212の近い側の部分B11,B21の平均輝度が所定値よりも高い場合、その撮影画像を制御部8がユーザの携帯端末54に表示させるようにしてもよい。これによって、冷蔵室ドア211,212が十分に開かれた状態での撮影画像を携帯端末54に表示させることができる。
【0078】
また、第2実施形態では、第2領域B1(図12A参照)における稜線R1の位置に基づいて、一方の第1領域A1~A4、及び他方の第1領域A5~A8のそれぞれの位置の補正を行う処理について説明したが、これに限らない。すなわち、左右方向の一方側の第2領域B1(図12A参照)における稜線R1の位置に基づいて、制御部8が一方側の第1領域A1~A4の位置を補正するようにしてもよい。同様に、他方側の第2領域B2(図12A参照)における稜線R1の位置に基づいて、制御部8が他方側の第1領域A5~A8の位置を補正するようにしてもよい。
【0079】
また、第2実施形態では、第2領域B1(図12A参照)における筐体1の開口縁の稜線R1に基づいて、制御部8が第1領域A1~A8の位置を補正する処理について説明したが、これに限らない。すなわち、第2領域B1において、筐体1の開口縁とは異なる所定の稜線(筐体1のエッジ)に基づいて、制御部8が第1領域A1~A8の位置を補正するようにしてもよい。
【0080】
また、各実施形態では、冷蔵室ドア211,212の開角度が特に算出されない場合について説明したが、これに限らない。すなわち、制御部8が撮影画像に基づいて、冷蔵室ドア211,212の開角度を算出する処理を行う場合において、第1領域A1~A8のいずれかにドアポケット211c,212c等が写り込んでいる場合、その撮影画像をユーザの携帯端末54に表示させないようにしてもよい。
【0081】
また、各実施形態では、筐体1の開口縁の稜線R1が通るように第2領域B1,B2(図10A参照)が設定される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、撮影画像において、冷蔵室21の一部が第2領域B1,B2の全てを含むように、第2領域B1,B2が設定されるようにしてもよい。制御部8は、例えば、第1領域A1~A4のいずれにもドアポケット212c等が写り込んでいない場合において、第2領域B1の平均輝度が所定値以下であるとき、その撮影画像をユーザの携帯端末54に表示させないようにする。
【0082】
また、第2実施形態においてカメラユニット3がかなり傾いている状態では、第2領域B1(図12B参照)に筐体1の開口縁の稜線R1が写らない可能性もある。このような場合、制御部8がサーバ53に所定のエラー信号を送信し、ユーザの携帯端末54でエラー表示が行われるようにしてもよい。これによって、カメラユニット3のメンテナンス又は交換を要することをユーザが把握できる。
【0083】
また、第2実施形態では、稜線R1(図12B参照)を直線で近似した場合の線分L1と、第2領域B1の矩形状の境界線と、の交点Q1の位置に基づいて、ずれ量ΔYが算出される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、稜線R1そのものと、第2領域B1の境界線と、の交点の位置に基づいて、ずれ量ΔYが算出されるようにしてもよい。
【0084】
また、各実施形態では、撮影画像上の所定の座標(絶対座標)に基づいて、第1領域A1~A8(図10A参照)が設定される場合について説明したが、これに限らない。例えば、筐体1の開口縁の付近であって、冷蔵室ドア211,212(ドア)の回動軸側に所定のマーカ(図示せず)が付けられ、撮影画像におけるマーカの位置に基づいて、第1領域A1~A8(図10A参照)が設定されるようにしてもよい。このように、筐体1に付けられたマーカ(図示せず)を第1領域A1~A8のキャリブレーション(位置の調整)に用いることで、第1領域A1~A8の位置を適切に設定できる。なお、前記したマーカの位置や個数の他、マーカの色や大きさや材料は、適宜に変更可能である。
また、各実施形態では、冷蔵庫100にカメラユニット3が一体的に設置されている場合について説明したが、これに限らない。例えば、カメラユニット3が単体で販売されているオプション品であり、冷蔵庫100の筐体1(図1参照)に対して着脱自在となるように構成されていてもよい。
【0085】
また、各実施形態では、冷蔵庫100の制御部8(図7参照)が、撮影画像に基づいて、冷蔵室ドア211,212の開角度不足を検知する処理について説明したが、これに限らない。例えば、カメラユニット3の撮影画像における第1領域A1~A4(図10A参照)にドアポケット211c,212cの食品等(収納物)又はドアポケット211c,212cが写り込んでいる場合、その撮影画像をユーザの携帯端末54に表示させないようにする「制御部」をカメラユニット3が備えるようにしてもよい。このような構成でも、各実施形態と同様の効果が奏される。
また、各実施形態では、冷蔵室ドア211,212の開角度不足を検知した場合、制御部8(図7参照)がサーバ53(図7参照)に撮影画像のデータを送信しないようにする処理について説明したが、これに限らない。例えば、冷蔵室ドア211,212の開角度不足を検知した場合、その撮影画像を制御部8がサーバ53に送信する際、開角度不足であることを示す所定のデータを撮影画像に付けるようにしてもよい。サーバ53は、開角度不足を示す所定のデータが付けられた撮影画像については、ユーザの携帯端末54(図7参照)に送信しないようにする。このような処理も、制御部8が所定の撮影画像をユーザの携帯端末54に表示させないようにするという事項に含まれる。
【0086】
また、各実施形態では、カメラユニット3のレンズ31a(図5参照)として魚眼レンズが用いられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、カメラユニット3のレンズ31aとして、魚眼レンズ以外の一般的なレンズが用いられるようにしてもよい。
【0087】
また、各実施形態では、カメラユニット3がブザー31h(図7参照)を備える構成について説明したが、これに限らない。すなわち、冷蔵庫100におけるカメラユニット3の外側の所定箇所にブザーが設置されるようにしてもよい。
【0088】
また、各実施形態では、撮影画像を生成するカメラユニット3(図2参照)が筐体1の上面に設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、筐体1の外側における別の所定位置にカメラユニット3が設けられるようにしてもよい。
【0089】
また、各実施形態では、フレンチ式の冷蔵室ドア211,212(図3参照)を備える冷蔵庫100について説明したが、これに限らない。例えば、片開き式の冷蔵室ドア(図示せず)を備える冷蔵庫や、ポータブル冷蔵庫(図示せず)にも実施形態を適用できる。
また、各実施形態を適用可能な「貯蔵庫」は、冷蔵庫に限定されるものではない。すなわち、さまざまな種類のヒンジ式の「貯蔵庫」にも実施形態を適用できる。この場合において、「貯蔵庫」の筐体は、外箱・内箱といった区別が特にないような構成であってもよい。また、例えば、チェスト式の冷凍庫や収納庫にも各実施形態を適用できる。また、上開き扉(跳ね上げ扉)や下開き扉や折れ戸等を備える貯蔵庫にも各実施形態を適用できる。また、例えば、折れ戸を備えるクローゼット等にも各実施形態を適用できる。
【0090】
また、各実施形態で説明した冷蔵室ドア211,212の開角度不足を検知する方法を実行するプログラムの全部又は一部を、一つ又は複数のコンピュータ(図示せず)が実行するようにしてもよい。前記したプログラムは、通信回線を介して提供することもできる他、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0091】
また、各実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0092】
1 筐体
3 カメラユニット
4 ドアセンサ
5 撮影ボタン
6 操作パネル
7 庫内灯
8 制御部
9 無線LANユニット
10a 開口
21 冷蔵室(貯蔵室)
31a レンズ
31d カメラLED
31h ブザー
53 サーバ
54 携帯端末
100 冷蔵庫(貯蔵庫)
211,212 冷蔵室ドア(ドア)
211c,212c ドアポケット
A1,A2,A3,A4 第1領域
B1,B2 第2領域
B11,B21 部分(第2領域において稜線よりもドアに近い側の部分)
R1 稜線(筐体の開口縁の稜線)
P1 基準位置
Q1 交点
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A
図12B
図13