(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038587
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】自律走行型移動体
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240313BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142699
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】円谷 優佑
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 将
(72)【発明者】
【氏名】吉田 耐治
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DE02
3B057DE06
5H301AA02
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG12
5H301GG14
5H301LL01
5H301LL06
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】
自律走行型移動体が走行異常を検出し、かつ、自律移動体自身が走行異常状態から復帰することも可能な自律走行型移動体を提供する。
【解決手段】
本発明の自律走行型移動体100aは、自律走行型移動体100aの加速度を取得するセンサ部101と、自律走行型移動体100aを走行させると共に車輪の回転数を取得する駆動部103と、センサ部101と駆動部103から受信した情報から自律走行型移動体100aを制御する制御部102と、を備え、制御部102は、駆動部103から取得した車輪の回転数から自律走行型移動体100aの第1の速度v
1を算出し、センサ部101から取得した加速度から自律走行型移動体100aの第2の速度v
2を算出し、第1の速度v
1>>0かつ第2の速度v
2≒0である場合は、自律走行型移動体100aが前進していないと判断することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行型移動体の加速度を取得するセンサ部と、前記自律走行型移動体を走行させると共に車輪の回転数を取得する駆動部と、前記センサ部と前記駆動部から受信した情報から前記自律走行型移動体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動部から取得した車輪の回転数から前記自律走行型移動体の第1の速度v1を算出し、前記センサ部から取得した加速度から前記自律走行型移動体の第2の速度v2を算出し、
前記第1の速度v1>>0かつ前記第2の速度v2≒0前である場合は、前記自律走行型移動体が前進していないと判断することを特徴とする自律走行型移動体。
【請求項2】
前記制御部は、前記自律走行型移動体が前進出来なくなっていると判断した場合に、前記自律走行型移動体が前進できない原因となる障害物を回避または乗り上げるように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の自律走行型移動体。
【請求項3】
前記制御部は、前記自律走行型移動体が前進できない原因となる障害物を乗り上げる際に、前記自律走行型移動体を通常の走行速度よりも大きい速度で前進させることを特徴とする請求項1に記載の自律走行型移動体。
【請求項4】
前記制御部は、前記自律走行型移動体が前進できない原因となる障害物を乗り上げる際に、前記自律走行型移動体の角度を変えて前進させることを特徴とする請求項1に記載の自律走行型移動体。
【請求項5】
前記自律走行型移動体の移動動作によって作成するマップを格納するマップ情報部を備え、
前記制御部は、前記自律走行型移動体が前進していないと判断した箇所を前記マップ情報部に記録することを特徴とする請求項1に記載の自律走行型移動体。
【請求項6】
前記制御部が、前記自律走行型移動体が前記マップ情報部に記憶された、前記自律走行型移動体が前進できない原因となる障害物を回避するよう前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の自律走行型移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行型移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律移動体について様々な産業分野への応用が期待され、開発が進んでいる。障害物検出を検出する自律移動体に関する技術として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、掃除機本体の駆動輪を駆動させる駆動モータと、駆動モータの印加電圧を検出する印加電圧検出手段と、掃除機本体に作用する加速度を、掃除機本体の進行方向に対して、前後方向、左右方向及び上下方向の直交する3軸方向について検出する加速度センサと、印加電圧検出手段により検出された駆動モータの印加電圧と加速度センサの検出出力を所定時間間隔で比較し、駆動モータに電圧が印加されているにも関わらず、掃除機本体が移動していないことにより加速度センサの検出出力がない場合には、掃除機本体が走行異常であると判定する走行異常判定手段とを備える自走式掃除機が開示されている。特許文献1によれば、駆動輪の回転検出出力を用いることなく、駆動モータの印加電圧と加速度センサの検出出力のみを用いて掃除機本体の走行異常を検出することにより、駆動輪が空回りしている場合の走行異常の誤判定を防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボット掃除機等の自律走行型移動体においては、掃除途中でスタック(立往生)することなく部屋全体を掃除することが望まれる。特許文献1には、駆動モータの印加電圧と加速度センサの検出出力を用いて走行異常を判定し、走行異常が生じた際にユーザに報知する手段が開示されているが、自律走行型移動体自身が前進できない状態から復帰する方法については開示されていない
本発明は、上記事情に鑑み、自律走行型移動体が走行異常を検出し、かつ、自律移動体自身が走行異常状態から復帰することも可能な自律走行型移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、自律走行型移動体の加速度を取得するセンサ部と、自律走行型移動体を走行させると共に車輪の回転数を取得する駆動部と、センサ部と駆動部から受信した情報から移動体を制御する制御部と、を備え、制御部は、駆動部から取得した車輪の回転数から自律走行型移動体の第1の速度v1を算出し、センサ部から取得した加速度から自律走行型移動体の第2の速度v2を算出し、第1の速度v1>>0かつ第2の速度v2≒0前である場合は、自律走行型移動体が前進していないと判断することを特徴とする自律走行型移動体である。
【0006】
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自律走行型移動体自身が走行異常を検出し、かつ、走行異常状態から復帰することも可能な自律走行型移動体を提供できる。これにより、例えば接触センサや赤外線センサ等の外界認識センサでは検出が困難な低背の段差や障害物による走行異常状態の検出、回避、乗り越えが可能となり、掃除途中でスタックすることなく部屋全体を掃除可能なロボット掃除機の提供が可能となる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の自律移動体の構成を示すブロック図
【
図2】実施例1の自律走行型移動体の制御を示すフローチャート
【
図3】実施例1の自律走行型移動体が低背の段差により車輪が滑り前進出来なくなっている状態を示す模式図
【
図4】実施例2の自律走行型移動体の制御を示すフローチャート
【
図5A】実施例2の自律走行型移動体の乗り上げ動作について説明する模式図
【
図5B】実施例2の自律走行型移動体の乗り上げ動作について説明する模式図
【
図5C】実施例2の自律走行型移動体の乗り上げ動作について説明する模式図
【
図6A】実施例3の自律走行型移動体の乗り上げ動作について説明する模式図
【
図6B】実施例3の自律走行型移動体の乗り上げ動作について説明する模式図
【
図6C】実施例3の自律走行型移動体の乗り上げ動作について説明する模式図
【
図6D】実施例3の自律走行型移動体の乗り上げ動作について説明する模式図
【
図7】実施例4の自律移動体の構成を示すブロック図
【
図8】実施例4の自律移動体が配置される環境の模式図
【
図10】実施例6の自律移動体が配置される環境の模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明について詳細に説明する。
【実施例0011】
図1は実施例1の自律移動体の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施例1の自律移動体100aは、センサ部101と、駆動部103と、センサ部101および駆動部103を制御する制御部102とを備える。センサ部101は、自律走行移動体100aの加速度αを取得して制御部102に送信する。駆動部103は、車輪の回転数を取得して制御部102に送信する。駆動部103は、制御部102から受信した情報に基づいて動作し、自律走行型移動体100aを移動させる。
【0012】
図2は実施例1の自律走行型移動体の制御を示すフローチャートである。また、
図3は実施例1の自律走行型移動体が低背の段差により車輪が滑り前進出来なくなっている状態を示す模式図である。
図3は、床302を走行中の自律走行型移動体100aが、床302上にある障害物(低背の段差301)にぶつかって前進できない状態である。以下、
図1~
図3を参照しながら、本実施例の自律走行型移動体の障害物があった場合の動作について説明する。である。
【0013】
図2に示すように、まず始めに、自律走行型移動体100aに電源の入力があった場合に制御を開始し、自律走行型移動体100aの走行を始める(S0)。次に、制御部102は、駆動部103から車輪の回転数を取得する(S1)。取得した車輪の回転数から、自律走行型移動体100aの第1の速度v
1を算出する(S2)。次に、センサ部101から自律走行型移動体100aの加速度αを取得する(S3)。次に、取得した加速度αを積分する事によって自律走行型移動体100の第2の速度v
2を算出する(S4)。
【0014】
そして、第1の速度v
1>>0かつ第2の速度v
2≒0である場合(S5でYES)は、自律走行型移動体100aが回避動作を行うよう制御する(S6)。
図3示すような状況の場合、すなわち、自律走行型移動体100aは走行方向(
図3中の矢印の方向)の車輪1の前方に低背の段差301が存在する場合、車輪1が滑り、前進出来なくなる。この状態では車輪1は回転しているため、車輪1の回転数から算出する第1の速度v
1は0より大きくなる。また、センサ部101から取得する加速度は0であり、加速度を積分する事によって算出する第2の速度v
2は0となる。このような場合は、自律走行型移動体100aが正常に走行できるよう、回避動作を行う。一方、第1の速度v
1>>0かつ第2の速度v
2≒0でない場合(S5でNO)は、自律走行型移動体100aの走行を継続する(S7)。
【0015】
走行終了の場合(S8でYES)は制御を終了する(S9)。走行終了でない場合(S8でNO)は(S1)に戻り走行を続ける。
【0016】
本実施例によれば、上述したように、車輪の回転数から算出した第1の速度v1と、センサ部101から取得した加速度αから取得した第2の速度v2から、自律走行型移動体100aが正常に走行しているか、前進できない状態(障害物にぶつかって車輪が空回りしている状態)を検出する事が可能となる。
【0017】
なお、上述した本実施例では、自律走行型移動体100aの加速度と車輪の回転数との比較から自律走行型移動体100aが正常に走行しているか、前進できない状態かを判断したが、自律走行型移動体100aの加速度から算出した自律移動体の位置と、車輪の回転数から算出した自律走行型移動体100aの位置の比較から判断することもできる。