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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038619
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】配線判別装置及び配線判別プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/641 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H01R13/641
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142753
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 達哉
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FC38
5E021JA02
5E021KA08
(57)【要約】
【課題】ケーブルが正しく配線されているか否かの確認の手間を低減する。
【解決手段】温配線判別装置10は、互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第1組合せを取得する取得部11Aと、前記取得部11Aにより取得された前記複数の第1組合せに、前記端子と前記ケーブルとの誤接続の第1組合せが含まれているかを、正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第2組合せを示す配線データを参照して判別する判別部11Bと、を備える。温配線判別装置10は、判別部11Bにより前記複数の第1組合せに前記誤接続の第1組合せが含まれていると判別された場合、前記誤接続の第1組合せの前記端子識別情報及び前記ケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示部に表示する処理を行う情報処理部11Cを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第1組合せを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記複数の第1組合せに、前記端子と前記ケーブルとの誤接続の第1組合せが含まれているかを、正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第2組合せを示す配線データを参照して判別する判別部と、
前記判別部により前記複数の第1組合せに前記誤接続の第1組合せが含まれていると判別された場合、前記誤接続の第1組合せの前記端子識別情報及び前記ケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示部に表示する処理を行う情報処理部と、
を備える配線判別装置。
【請求項2】
前記情報処理部は、前記複数の第1組合せと前記複数の第2組合せとを前記情報として前記表示部に表示し、かつ、前記複数の第1組合せのうち前記正しくない接続の第1組合せを他の第1組合せとは異なる態様で前記表示部に表示する前記処理を行う、
請求項1に記載の配線判別装置。
【請求項3】
前記情報処理部は、前記複数の第2組合せのうち前記正しくない接続の第1組合せに対応する第2組合せを他の第2組合せとは異なる態様で前記表示部に表示する前記処理を行う、
請求項2に記載の配線判別装置。
【請求項4】
機器が備える複数の端子のそれぞれに付された複数の端子識別情報のそれぞれと、複数のケーブルのそれぞれに付された複数のケーブル識別情報のそれぞれとを読み取る読取装置をさらに備え、
前記配線判別装置は、前記機器が取り付けられた盤とは別体に構成されており、
前記取得部は、前記読取装置により前記複数の端子識別情報と前記複数のケーブル識別情報とを互いに接続された端子及びケーブルごとに読み取ることで、前記複数の第1組合せを取得する、
請求項1又は2に記載の配線判別装置。
【請求項5】
盤に取り付けられた第1機器を第2機器に交換するときに、当該第2機器において正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の前記複数の第2組合せを示す組合せデータを前記配線データの少なくとも一部として読み取る読取装置をさらに備え、
前記判別部は、前記取得部により取得された、前記第2機器における前記複数の第1組合せに、前記誤接続の第1組合せが含まれているかを、前記組合せデータを参照して判別する、
請求項1に記載の配線判別装置。
【請求項6】
コンピュータを、
互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第1組合せを取得する取得部、
前記取得部により取得された前記複数の第1組合せに、前記端子と前記ケーブルとの誤接続の第1組合せが含まれているかを、正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第2組合せを示す配線データを参照して判別する判別部、
前記判別部により前記複数の第1組合せに前記誤接続の第1組合せが含まれていると判別された場合、前記誤接続の第1組合せの前記端子識別情報及び前記ケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示部に表示する処理を行う情報処理部、
として機能させる配線判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線判別装置及び配線判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、制御盤などの盤に取付けられた機器の複数の端子には複数のケーブルがそれぞれ接続される。ここで、個々のケーブルは、当該ケーブルに付された番号又は当該ケーブルの色により識別され、作業者によるケーブルの配線作業では、ケーブルの番号又は色と機器の端子との関係が記載された盤図が参照される。また、ケーブルが正しく接続されたか否かは、盤図での確認の他、テスターなどでの通電確認などで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-253378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルが正しく配線されているか否かの確認は、配線作業を行う作業者による目視によりなされているため手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、ケーブルが正しく配線されているか否かの確認の手間を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る配線判別装置は、互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第1組合せを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記複数の第1組合せに、前記端子と前記ケーブルとの誤接続の第1組合せが含まれているかを、正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第2組合せを示す配線データを参照して判別する判別部と、前記判別部により前記複数の第1組合せに前記誤接続の第1組合せが含まれていると判別された場合、前記誤接続の第1組合せの前記端子識別情報及び前記ケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示部に表示する処理を行う情報処理部と、を備える。
【0007】
一例として、前記情報処理部は、前記複数の第1組合せと前記複数の第2組合せとを前記情報として前記表示部に表示し、かつ、前記複数の第1組合せのうち前記正しくない接続の第1組合せを他の第1組合せとは異なる態様で前記表示部に表示する前記処理を行う。
【0008】
一例として、前記情報処理部は、前記複数の第2組合せのうち前記正しくない接続の第1組合せに対応する第2組合せを他の第2組合せとは異なる態様で前記表示部に表示する前記処理を行う。
【0009】
一例として、機器が備える複数の端子のそれぞれに付された複数の端子識別情報のそれぞれと、複数のケーブルのそれぞれに付された複数のケーブル識別情報のそれぞれとを読み取る読取装置をさらに備え、前記配線判別装置は、前記機器が取り付けられた盤とは別体に構成されており、前記取得部は、前記読取装置により前記複数の端子識別情報と前記複数のケーブル識別情報とを互いに接続された端子及びケーブルごとに読み取ることで、前記複数の第1組合せを取得する。
【0010】
一例として、盤に取り付けられた第1機器を第2機器に交換するときに、当該第2機器において正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の前記複数の第2組合せを示す組合せデータを前記配線データの少なくとも一部として読み取る読取装置をさらに備え、前記判別部は、前記取得部により取得された、前記第2機器における前記複数の第1組合せに、前記誤接続の第1組合せが含まれているかを、前記組合せデータを参照して判別する。
【0011】
本発明に係る配線判別プログラムは、コンピュータを、互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第1組合せを取得する取得部、前記取得部により取得された前記複数の第1組合せに、前記端子と前記ケーブルとの誤接続の第1組合せが含まれているかを、正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の第2組合せを示す配線データを参照して判別する判別部、前記判別部により前記複数の第1組合せに前記誤接続の第1組合せが含まれていると判別された場合、前記誤接続の第1組合せの前記端子識別情報及び前記ケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示部に表示する処理を行う情報処理部、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケーブルが正しく配線されているか否かの確認の手間が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係る盤の構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る配線判別装置のハードウェア構成図である。
図3図3は、配線データの構成例を示す図である。
図4図4は、一覧データの構成例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る配線判別装置の構成図である。
図6図6は、コードの読み取り順序を示す図である。
図7図7は、誤接続の端子及びケーブルを特定する表示画像である。
図8図8は、交換後の機器を示す構成図である。
図9図9は、機器交換後の配線データの構成例を示す図である。
図10図10は、機器交換後の一覧データの構成例を示す図である。
図11図11は、機器交換時の誤接続の端子及びケーブルを特定する表示画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態及びその変形例について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る配線判別装置10は、自立盤又は制御盤などの盤50を新規設置し、新規設置後に保守をする作業者Sなどにより携帯される携帯端末として構成されている。
【0016】
まず、新規設置される盤50の構成について説明する。盤50は、機器60、70、及び80を備える。機器60は、4本のケーブル101~104の各一端がそれぞれ接続される4つの端子61~64を備える。機器70は、4本のケーブル101~104の各他端がそれぞれ接続される4つの端子71~74を備える。機器70は、さらに2本のケーブル105~106の各一端がそれぞれ接続された2つの端子75~76を備える。機器80は、2本のケーブル105~106の各他端がそれぞれ接続された2つの端子85~86を備える。各ケーブルは、電源ケーブルでもよいし、信号ケーブルでもよい。端子は、ジャックを含む。
【0017】
機器60には、当該機器60を識別する機器識別情報をコード化したコード60Aと、当該機器識別情報の内容を作業者Sが目視で確認可能な識別表示60Bと、が付されている。コード60Aは、例えば、バーコード、2次元バーコードなどであればよい(他のコードについても同様)。機器識別情報は、例えば、文字、数字、色、模様などの少なくとも1つにより表わされればよい(他の識別情報についても同様)。ここでは、機器識別情報が、当該情報が識別する機器60の符号「60」であるとする(他の識別情報についても同様)。このため、識別表示60Bは、「60」の数字となる。コード60A及び識別表示60Bは、例えば、これらが印刷されたシールを機器60に貼付することにより機器60に付される。
【0018】
端子61には、当該端子61を識別する端子識別情報をコード化したコード61Aと、当該端子識別情報の内容を作業者Sが目視で確認可能な識別表示61Bと、が付されている。コード61A及び識別表示61B(より詳細には、これらが印刷されたシール)は、端子61の近傍又は端子61を構成する端子台上に配置されることで端子61に付される。識別表示61Bは、「61」の数字となる。端子62~64にも、自身を識別する端子識別情報に係るコード62A~64A及び識別表示62B~64Bがそれぞれ付されている。
【0019】
同様に、機器70及び80それぞれには、自身を識別する機器識別情報に係るコード70A及び80Aと識別表示70B~70Bとがそれぞれ付されている。端子71~76、85~86には、自身を識別する端子識別情報に係るコード71A~76A、85A~86Aと識別表示71B~76B、85B~86Bがそれぞれ付されている。
【0020】
ケーブル101~106のそれぞれの各両端には、そのケーブルを識別するケーブル識別情報をコード化したコード101A~106Aと、当該ケーブル識別情報の内容を作業者Sが目視で確認可能な識別表示101B~106Bと、が付されている。例えば、ケーブル101の両端それぞれにケーブル101を識別するコード101A及び識別表示101Bが付されている。コード101A及び識別表示101Bは、自身が印刷されたシール又はタグが当該ケーブル101に貼付又は取り付けられることでケーブル101に付される。このようなことは、コード102A~106A及び識別表示102B~106Bについても同様である。
【0021】
作業者Sは、盤50の新規設置時、盤50の機器60~80にケーブル101~106を接続する配線作業を行う。配線作業は、盤50の設計者が作成した盤図に基づいて行われる。その後、作業者Sは、自身が所持する配線判別装置10を用いて、ケーブル101~106の接続先の端子が正しいか、つまり、ケーブル101~106の誤配線がないかを確認し、誤配線があればケーブルの接続先を変更する。ここで、配線判別装置10について説明する。
【0022】
図2に示すように、配線判別装置10は、コンピュータとして構成されている。配線判別装置10は、CPUなどのプロセッサ11と、プロセッサ11のメインメモリとして機能するRAM12と、及び、プロセッサ11に実行又は使用される配線判別プログラム及びデータを記憶している不揮発性の記憶装置13と、を備える。配線判別装置10は、さらに、コード60Aなどの各コードを読み取ることで識別情報を読み取る読取装置14を備える。読取装置14は、エリアセンサ、ラインセンサ、又はカメラなどを含んで構成されている。配線判別装置10は、さらに、各種画像を表示する表示部15と、操作ボタン及びタッチパネルとの少なくとも一方を備える操作部16と、を備える。
【0023】
記憶装置13には、端子とケーブルとが正しく接続されたときの、端子とケーブルとの関係を示す配線データが格納されている。図3に示すように、配線データは、機器識別情報ごとに、正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報とケーブル識別情報との複数の組合せを示す。上述のように、各識別情報は、その識別情報が識別する要素に振られた符号とされている。例えば、コード60Aは、機器識別情報としての「60」をコード化したコードである。コード61Aは、端子識別情報としての「60」をコード化したコードである。コード101Aは、端子識別情報としての「101」をコード化したコードである。また、記憶装置13は、図4に示すような機器識別情報の一覧データも記憶している。配線データ及び一覧データは、盤50の設計者から提供されるものとする。
【0024】
プロセッサ11は、記憶装置13に記憶されている配線判別プログラムを実行することにより、図5に示す、取得部11A、判別部11B、情報処理部11C、及び、更新部11Dとして動作する。
【0025】
取得部11Aは、読取装置14により、コード61A~64A、71A~76A、85A~86A、及び、コード101A~106Aを読み取ることで、これらコードが表す識別情報を読み取る。これにより、取得部11Aにより各種の識別情報を取得する。なお、読取時のコードのデコードは、取得部11Aと読取装置14とのいずれで行われてもよい。
【0026】
取得部11Aは、互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の組合せを取得する。例えば、作業者Sは、配線判別装置10を操作して、読取装置14に、(1)機器のコードの読み取り→(2)端子のコードの読み取り→(3)当該端子に接続されたケーブルのコードの読み取りを行わせる。以下、作業者Sは、配線判別装置10を操作して、読取装置14に、同じ機器の全端子及びこれらに接続された全ケーブルの各コードを読み取るまで(2)及び(3)を繰り返し行わせる。これら読み取りは、各機器について行われる。端子とケーブルとの接続が正しい場合、配線判別装置10の取得部11Aは、図6に示す順序でコードを読み取る。ここで、取得部11Aは、読み取った識別情報が、図5の機器識別情報の一覧データのいずれかの機器識別情報と合致する場合、読み取った識別情報が機器識別情報であると認識する。これにより、取得部11Aは、その後に順次読み取られる2つの識別情報の組が、互いに接続された端子及びケーブルの端子識別情報及びケーブル識別情報の組だと認識する。このようにして、取得部11Aは、互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の組合せを取得する。
【0027】
判別部11Bは、取得部11Aにより取得された上記複数の組合せに、端子とケーブルとの誤接続の組合せが含まれているかを、配線データを参照して判別する。判別部11Bは、取得部11Aにより取得された複数の組合せと配線データにおける複数の組合せとを、同じ端子識別情報を含む組合せ同士ごとに比較し、ケーブル識別情報が互いに異なる組合せがあるかを判別する。例えば、取得部11Aにより取得された「61」を含む組合せのケーブル識別情報が配線データとは同じで「101」であれば、当該組合せの端子とケーブルとは正しく接続されていることになる。取得部11Aにより取得された「61」を含む組合せのケーブル識別情報が配線データとは異なり「101」以外の「102」などであれば、当該組合せの端子とケーブルとは誤接続されていることになる。このようにして、ケーブル識別情報が互いに異なる組合せがある場合、誤接続の組合せが含まれていると判別される。
【0028】
情報処理部11Cは、取得部11Aが取得した複数の組合せに誤接続の組合せが含まれていると判別部11Bにより判別された場合、誤接続の組合せの端子識別情報及びケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示部15に表示する処理を行う。
【0029】
例えば、端子61とケーブル102とが誤接続され、端子62とケーブル101とが誤接続された場合、表示部15には、図7に示す画像が表示される。図7に示す画像では、誤接続された機器である機器60について、取得部11Aにより取得された端子識別情報とケーブル識別情報との複数の組合せの一覧(「読取結果」)と、配線データに含まれる端子識別情報とケーブル識別情報との複数の組合せの一覧(「正解配線」)と、が併記されている。そして、前者の複数の組合せのうちの誤接続に係る組合せが、当該前者の複数の組合せのうちの他の組合せとは異なる第1表示態様で強調表示されている。さらに、後者の複数の組合せのうちの、前記誤接続に係る組合せに対応する組合せ(端子識別情報が共通する組合せ)が、当該後者の複数の組合せのうちの他の組合せとは異なる第2表示態様で強調表示されている。なお、図7では、第1表示態様と第2表示態様とを同じとしているが、両者は異なってもよい。
【0030】
作業者Sは、表示部15に表示された図7の画像を見て、識別表示61B(つまり、「61」)が付された端子61に接続された、識別表示102B(つまり、「102」)が付されたケーブル102を、識別表示62B(つまり、「62」)が付された端子62に接続する。さらに、作業者Sは、識別表示62B(つまり、「62」)が付された端子62に接続された、識別表示101B(つまり、「101」)が付されたケーブル101を、識別表示61B(つまり、「61」)が付された端子61に接続する。
【0031】
さらに、情報処理部11Cは、取得部11Aが取得した複数の組合せに誤接続の組合せが含まれていないと判別部11Bにより判別された場合、接続が正しく行われた旨を表示部15に表示する。
【0032】
盤50が設置されたあとの保守では、機器60~80のいずれかが新たな機器に変更されることがある。以下、図8に示すように機器60が機器90に交換される場合について説明する。
【0033】
図8に示すように、機器90は、4本のケーブル101~104の各一端がそれぞれ接続される4つの端子91~94を備える。機器90には、当該機器90を識別する機器識別情報をコード化したコード90Aと、当該機器識別情報の内容を作業者Sが目視で確認可能な識別表示90Bと、が付されている。端子91には、当該端子91を識別する端子識別情報をコード化したコード91Aと、当該端子識別情報の内容を作業者Sが目視で確認可能な識別表示91Bと、が付されている。端子92~94にも、自身を識別する端子識別情報に係るコード92A~94A及び識別表示92B~94Bがそれぞれ付されている。
【0034】
機器60が機器90と交換される際には、記憶装置13に記憶されている配線データの機器60についての端子識別情報とケーブル識別情報との各組が更新される。例えば、コード90Aには、機器90に係る端子識別情報とケーブル識別情報との組合せを示す組合せデータも含まれるものとする。作業者Sは、配線判別装置10の操作部16を操作し、交換作業をする旨を入力する。このような場合、更新部11Dが以下のように動作する。なお、交換作業をする旨は、交換を示すコードを読取装置14及び取得部11Aにより読み取ることで入力されてもよい。
【0035】
作業者Sは、配線判別装置10を操作して、読取装置14にコード60Aを読み取らせたあと、コード90Aを読み取らせる。この場合、取得部11Aが、機器60の機器識別情報(「60」)を取得し、その後、機器90の機器識別情報(「90」)及び機器90の組合せデータを取得する。この場合、更新部11Dは、機器60が交換される前の機器であると認識し、記憶装置13の配線データのうち、機器60の機器識別情報(「60」)と端子識別情報及びケーブル識別情報の組合せとを、前記で取得した機器90の機器識別情報(「90」)及び組合せデータに更新する。これにより、記憶装置13の配線データが更新される。更新後の配線データを図9に示す。また、更新部11Dは、一覧データの機器60の機器識別情報(「60」)を、機器90の機器識別情報(「90」)に更新する。更新後の一覧データを図10に示す。
【0036】
機器90の交換後、作業者Sは、配線判別装置10を操作して、ケーブル101~ケーブル104の接続先が正しいか確認する。具体的に、作業者Sは、配線判別装置10を操作して、読取装置14に、上記と同様、(A)コード90Aの読み取り→(B)コード91Aの読み取り→(C)端子91に接続されたケーブルのコードの読み取りを行わせる。以下、作業者Sは、配線判別装置10を操作して、読取装置14に、機器90の全端子及びこれらに接続された全ケーブルの各コードを読み取るまで(B)及び(C)を繰り返し行わせる。
【0037】
上記同様、取得部11Aは、読取装置14により読み取った識別情報が、機器識別情報の一覧データのいずれかの機器識別情報と合致する場合、読み取った識別情報が機器識別情報であると認識する。これにより、取得部11Aは、その後に順次読み取られる2つの識別情報の組が、交換後の機器90において互いに接続された端子及びケーブルの端子識別情報及びケーブル識別情報の組だと認識する。このようにして、取得部11Aは、交換後の機器90において互いに接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の組合せを取得する。
【0038】
判別部11Bは、取得部11Aにより取得された上記複数の組合せに、端子とケーブルとの誤接続の組合せが含まれているかを、配線データを参照して判別する。判別部11Bは、機器90について、取得部11Aにより取得された複数の組合せと配線データにおける複数の組合せとを、同じ端子識別情報を含む組合せ同士ごとに比較し、ケーブル識別情報が互いに異なる組合せがあるかを判別する。具体的な判別方法は、盤50の新規設置時と同様である。
【0039】
情報処理部11Cは、盤50の新規設置時と同様、取得部11Aが取得した複数の組合せに誤接続の組合せが含まれていると判別部11Bにより判別された場合、誤接続の組合せの端子識別情報及びケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示部15に表示する処理を行う。
【0040】
例えば、端子91とケーブル104とが誤接続され、端子94とケーブル101とが誤接続された場合、表示部15には、図11に示す画像が表示される。図11の説明は、図7の画像の説明に準じる。作業者Sは、表示部15に表示された図11の画像を見て、盤50の新規設置時と同様に誤接続を修正することができる。
【0041】
情報処理部11Cは、取得部11Aが取得した複数の組合せに誤接続の組合せが含まれていないと判別部11Bにより判別された場合、接続が正しく行われた旨を表示部15に表示する。
【0042】
以上のように、この実施形態では、コードの読み取りにより、端子識別情報及びケーブル識別情報の端子ごとの複数の組合せが取得され、当該複数の組合せと正解の配線を示す配線データとの比較により、誤接続の有無が判別され、作業者Sに報知される。これにより、ケーブルが正しく配線されているか否かの確認の手間が低減される。
【0043】
また、この実施形態では、図7及び図11のように、取得部11Aにより取得された、誤接続を含む端子識別情報及びケーブル識別情報の各組合せの一覧と、配線データに含まれる、誤接続を含ない端子識別情報及びケーブル識別情報の各組合せの一覧と、が表示される。そして、誤接続の組合せと、配線データの前記誤接続の組合せに対応する組合せとが協調表示されることで、作業者Sは、誤接続のケーブル、及び、正解のケーブルを容易に特定できる。これにより、誤接続されたケーブルの接続先の端子を容易に正しい接続先の端子に接続できる。その結果、配線作業の手間が軽減される。なお、協調表示は、誤接続の組合せのみに対して行われもよい。これによっても、作業者Sは、少なくとも誤接続のケーブルを容易に特定できる。
【0044】
読取装置14は、上記のように、交換される機器90において正しく接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の組合せを示す組合せデータ(上記ではコード90Aが表す組合せデータ)を配線データの少なくとも一部として読み取ってもよい。そして、判別部11Bは、取得部11Aにより取得された機器90おいて実際に接続された端子とケーブルとをそれぞれ識別する端子識別情報及びケーブル識別情報の複数の組合せに、前記誤接続の組合せが含まれているかを、前記の組合せデータ(配線データの一部として記録された組合せデータ)を参照して判別する。これにより、配線データの用意が容易となる。
【0045】
また、配線判別装置10が、盤50とは別体であることにより、盤50の通電の有無にかかわらず、配線の接続の正誤の判別が可能となる。
【0046】
(変形例)
上記実施の形態の構成は、任意に変更可能である。以下変形例を例示する。各変形例は、少なくとも一部同士組み合わせることもできる。
【0047】
取得部11Aが端子識別情報とケーブル識別情報とを取得する方法は任意である。これら情報は、作業者Sが端子及びケーブルに付された各識別表示を見て配線判別装置10に入力してもよい。このような場合、識別情報の入力に手間がかかるものの、接続先の正誤判定は判別部11Bにより行われるので、その分、ケーブルが正しく配線されているか否かの確認の手間が低減される。なお、取得部11Aが読取装置14により端子識別情報とケーブル識別情報とを取得することで、これら情報の入力の手間が省かれ、ケーブルが正しく配線されているか否かの確認の手間がより低減される。各識別情報は、コードの代わりに機器、端子、及び、ケーブルのそれぞれに付された(例えば貼付された)ICタグなどに格納されてもよい。この場合、読取装置14は、ICリーダとして構成され、取得部11Aは、ICリーダとしての読取装置14により各識別情報を読み取ることで各識別情報を取得する。
【0048】
例えば、配線判別装置10は、端子及びケーブルの接続一般に使用可能である。機器60~80についてはコードが付されなくてもよい。例えば、機器90についてコードが付されていればよい。これにより、既存の盤の機器交換についても配線判別装置10を使用できる。なお、交換される対象の機器の情報については、適宜の方法で配線判別装置10に入力されてもよい。
【0049】
情報処理部11Cは、配線判別装置10の外部の装置の表示部に、誤接続の組合せの端子識別情報及びケーブル識別情報が識別する端子とケーブルとの組合せを特定した情報を表示してもよい。
【0050】
表示部15又は外部の装置の表示部に表示される前記の情報は、図7及び図11の形式に限られない。情報処理部11Cは、端子及び又はケーブルが色分けされている場合には、識別情報と色との対応関係を示すテーブルを参照して、誤接続の端子及び又はケーブルの色を取得してもよい。情報処理部11Cは、取得した色により誤接続の端子及びケーブルを特定した画像を前記情報として表示してもよい。
【0051】
上記各部11A~11Dの少なくとも一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及び、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの各種の論理回路から構成されてもよい。配線判別装置10などの各装置は、装置の構成要素が一つの筐体にまとめられた装置の他、装置の構成要素が複数の筐体に分散して収容されたシステムを含む。配線判別プログラムは、上記記憶装置13など、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記録されればよい。
【0052】
(本発明の範囲)
以上、実施形態及び変形例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、本発明には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る、上記実施形態及び変形例に対する様々な変更が含まれる。上記実施形態及び変形例に挙げた各構成は、矛盾の無い範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0053】
10…配線判別装置、11…プロセッサ、11A…取得部、11B…判別部、11C…情報処理部、11D…更新部、13…記憶装置、14…読取装置、15…表示部、16…操作部、50…盤、60…機器、60A~64A…コード、60B~64B…識別表示、61~64…端子、70…機器、70A~76A…コード、70B~76B…識別表示、71~76…端子、80…機器、80A,85A,86A…コード、80B,85B,86B…識別表示、85,86…端子、90…機器、90A~94A…コード、90B~94B…識別表示、91~94…端子、101~106…ケーブル、101A~106A…コード、101B~106B…識別表示。
図1
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図11