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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038625
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】タンクおよび作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
E02F9/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142779
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 竜一
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015AA04
2D015BA01
(57)【要約】
【課題】複数の配管を流れる油をタンクに入れるのに適した技術を提供する。
【解決手段】例示的なタンクは、タンク本体と、前記タンク本体に設けられる油入口部と、を備える。前記油入口部は、複数の配管からの油が通過する接続口を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク本体と、
前記タンク本体に設けられる油入口部と、
を備え、
前記油入口部は、複数の配管からの油が通過する接続口を有する、タンク。
【請求項2】
前記接続口は、前記油入口部の本体と交わる方向に延びる、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記複数の配管のうちの一部の配管は、前記接続口が延びる方向と同じ方向から前記接続口に接続され、他の一部の配管は、前記接続口が延びる方向と異なる方向から前記接続口に接続される、請求項1に記載のタンク。
【請求項4】
前記接続口は、継手を介して前記複数の配管と接続される、請求項1に記載のタンク。
【請求項5】
前記継手は、
継手本体と、
前記継手本体に対して回転可能に設けられる回転体と、
を有する、請求項4に記載のタンク。
【請求項6】
前記回転体は、前記接続口に締結可能に設けられる、請求項5に記載のタンク。
【請求項7】
前記複数の配管のそれぞれは、締付部材により前記継手に固定される、請求項4に記載のタンク。
【請求項8】
前記タンク本体に設けられる第1開口を覆う第1カバーを備え、
前記油入口部は、前記第1カバーに取り付けられる、請求項1に記載のタンク。
【請求項9】
前記油入口部は、前記タンク本体内に配置されるフィルタ部を有する、請求項8に記載のタンク。
【請求項10】
前記タンク本体に設けられる前記第1開口と異なる第2開口を覆う第2カバーを備え、
前記接続口は、前記第2カバーが存在する方向とは異なる向きに配置される、請求項8に記載のタンク。
【請求項11】
前記複数の配管のそれぞれは、前記第2カバーが存在する方向と異なる方向から前記接続口に接続される、請求項10に記載のタンク。
【請求項12】
前記油入口部は、
フラッシングに利用可能なフラッシング開口と、
前記フラッシング開口を覆う蓋体と、
を有する、請求項1に記載のタンク。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のタンクを備える、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクおよび作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧ショベル等の作業機械の給油構造に関する技術が開示される。特許文献1の作業機械の給油構造においては、給油口を形成するフィラーネックの基端部に、中空の接続ボックスが上記給油口と連通して設けられる。そして、燃料タンクに通じる給油管が、この接続ボックスに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-284559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、互いに異なる複数の経路(配管)を通る油を同じタンクに入れたい場合がある。このような場合に、特許文献1に開示される給油構造を、タンクに対して複数設けることが考えられる。しかし、特許文献1に開示される構造を複数設ける構成とすると、部品点数が増加して、例えば、レイアウトの自由度が低下したり、メンテナンスのための作業が煩雑となったりすることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、複数の配管を流れる油をタンクに入れるのに適した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なタンクは、タンク本体と、前記タンク本体に設けられる油入口部と、を備える。前記油入口部は、複数の配管からの油が通過する接続口を有する。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、複数の配管を流れる油をタンクに入れるのに適した技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業機械の概略の構成を示す側面図
図2】旋回フレーム上に搭載される一部の要素を抽出して示す概略斜視図
図3】作業機械が備えるタンクの周辺を拡大して示す概略斜視図
図4図3に示す図からタンクの一部の要素を取り除いた図
図5】継手が有する継手本体の概略の構成を示す斜視図
図6】継手が有する回転体の概略の構成を示す斜視図
図7】継手と接続口とが締結された状態の概略の構成を示す断面斜視図
図8】タンクの上面の構成を模式的に示した平面図
図9】変形例に係るタンクの上面の構成を模式的に示した平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、特に説明の必要がない場合には、その説明を繰り返さない。また、以下では、本発明のタンクが作業機械に適用される場合を例として説明する。ただし、本発明のタンクは、作業機械以外に適用されてもよい。
【0010】
<1.作業機械の概略構成>
まず、タンクを備える作業機械について簡単に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る作業機械1の概略の構成を示す側面図である。詳細には、作業機械1は油圧ショベルである。より詳細には、作業機械1はバックホーである。ただし、本発明が適用される作業機械1は、バックホー等の油圧ショベルに限定されず、例えばホイルローダ等の他の建設機械や、農業機械等であってもよい。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の作業機械1は、走行体2と、旋回体3と、作業装置4とを備える。
【0012】
ここで、方向を以下のように定義する。まず、走行体2が直進する方向を前後方向とし、そのうちの一方側を「前」とし、他方側を「後」とする。本明細書では、クローラ21に対してブレード5がある側を「前」とする。また、前後方向に垂直な横方向を左右方向とする。本明細書では、一例として、前方を向いて運転席32に座った状態のオペレータ(操縦者、運転者)から見て左側を「左」とし、右側を「右」とする。さらに、前後方向および左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。また、本明細書では、上下方向と平行な面を鉛直面と表現することがある。上下方向と直交する面を水平面として、水平面に平行な方向を水平方向と表現することもある。なお、これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0013】
走行体2は、作業機械1を自走可能とする。走行体2は、前後方向に直進可能である。詳細には、走行体2は、左右一対のクローラ21を有する。各クローラ21は、走行モータ22により駆動される。走行モータ22は油圧モータである。走行体2は、左右のクローラ21が同時に駆動されると、前後方向に直進する。走行体2は、左右のクローラ21が独立して駆動されることで右旋回および左旋回を行うことができる。
【0014】
なお、本実施形態の作業機械1はクローラ式であるが、作業機械はホイール式とされてもよい。また、本実施形態では、走行体2の前部には、ブレードシリンダ(不図示)の駆動によって上下動可能に設けられるブレード5が設けられる。ブレード5を用いることによって、作業機械1は整地作業を行うことができる。
【0015】
旋回体3は、走行体2に旋回可能に搭載される。旋回体3は、上下方向からの平面視において、左右一対のクローラ21の間に配置される旋回台31を有する。旋回台31は、走行体2の本体フレーム23に回転可能に支持される。旋回台31は、油圧モータとして構成される不図示の旋回モータにより駆動され、上下方向に延びる中心軸を中心として旋回する。旋回台31は、右旋回と左旋回とを可能に設けられる。
【0016】
旋回体3には、作業機械1を操縦するオペレータが座る運転席32が配置される。運転席32に座るオペレータは、運転席32の近傍に設けられる各種の操作レバーやペダルを操作する。また、旋回体3の内部には、エンジン(不図示)が配置される。原動機としてのエンジンは、作業機械1に搭載された油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプ(不図示)を駆動する。油圧アクチュエータには、各種の油圧モータおよび油圧シリンダが含まれる。
【0017】
なお、本実施形態では、原動機は、ディーゼルエンジンである。ただし、原動機は、例えばガソリンエンジン等の他の内燃機関であってもよく、その他、電動モータ等であってもよい。
【0018】
作業装置4は、ブーム41と、アーム42と、バケット43とを有する。作業装置4は、これらを同時に又は独立して動かすことで、土砂等の掘削作業を可能とする。ブーム41は、その一端部がブームブラケット44に支持され、伸縮可能に設けられるブームシリンダ45により鉛直面内で回転可能である。アーム42は、その一端部がブーム41の他端部に支持されており、伸縮可能に設けられるアームシリンダ46により鉛直面内で回転可能である。バケット43は、その一端部がアーム42の他端部に支持されており、伸縮可能に設けられるバケットシリンダ47により鉛直面内で回転可能である。図1において、ブーム41、アーム42、および、バケット43は、詳細には、それぞれ左右方向に延びる中心軸を中心として回転可能に設けられる。
【0019】
作業装置4は、旋回体3の設置部33に取り付けられる。設置部33は、旋回体3の前端部から前方に突出する。ブームブラケット44は、上下方向に延びる中心軸を中心として回動可能に、設置部33に支持される。ブームブラケット44は、旋回体3に前後方向に伸縮可能に配置されるスイングシリンダ(不図示)に接続される。ブームブラケット44は、スイングシリンダの伸縮により左回り又は右回りに回動する。すなわち、スイングシリンダを動作させることにより、作業装置4を左回り又は右回りにスイングさせることができる。
【0020】
図2は、旋回体3を構成する旋回フレーム34上に搭載される一部の要素を抽出して示す概略斜視図である。図2に示すように、旋回フレーム34の右端側には、タンク6およびオイルクーラ7が配置される。本実施形態では、一例として、タンク6は、オイルクーラ7の前方に配置される。タンク6は、詳細には、油を溜める貯油タンクである。タンク6は、より詳細には、作動油を溜める作動油タンクである。オイルクーラ7は、作動油の冷却を行う。また、旋回フレーム34の左端側には、作業機械1が備える各種の油圧アクチュエータを制御する制御バルブを含む制御部8が配置される。
【0021】
タンク6内の作動油は、油圧ポンプ(不図示)を駆動させることにより、制御部8へ送られる。制御部8へ送られた作動油は、制御バルブによる制御のもと、各種の油圧アクチュータへ送られる。制御部8へ送られた作動油のうち、油圧アクチュエータからの戻り油の一部は、第1配管(油圧ホース)9内を通ってタンク6へ戻される。一方、戻り油の他の一部は、オイルクーラ7へと送られ、オイルクーラ7から第2配管(油圧ホース)10を通ってタンク6へ戻される。
【0022】
<2.タンクの詳細>
次に、タンク6について詳細に説明する。
【0023】
[2-1.タンクの構成]
図3は、作業機械1が備えるタンク6の周辺を拡大して示す概略斜視図である。図3に示すように、タンク6は、タンク本体61と、油入口部62と、第1カバー63と、第2カバー64とを備える。タンク6は、給油部65と、油出口部66(後述の図4参照)とを更に備える。
【0024】
タンク本体61は、外形柱状であり、上下方向に延びる。タンク本体61は、天壁61a、底壁61b、および、側壁61cで囲まれる内部空間を有する。タンク本体61の内部空間に、油(本例では作動油)が溜められる。タンク本体61は、例えば板金等の金属製であるが、樹脂等の他の部材で構成されてもよい。また、タンク本体61の形状は、例えば旋回体3の形状等に応じて適宜変更されてよい。
【0025】
タンク本体61の天壁61aには、油入口部62、第1カバー63、第2カバー64、および、給油部65が配置される。給油部65は、作業機械1の外部から、タンク本体61内への油の供給を可能とする部分である。給油部65を利用するタンク6への給油は、キャップ651を外すことによって可能となる。なお、本実施形態では、キャップ651が取り付けられた状態で、タンク本体61の内側と外側とは連通している。すなわち、キャップ651は、ブリーザとしての機能を有する。キャップ651には、タンク本体61の外側から内側にごみ等の異物が入らないようにフィルタ(不図示)が配置される。
【0026】
図4は、図3に示す図からタンク6の一部の要素を取り除いた図である。例えば、図4においては、タンク本体61の側壁61cの一部(前壁、および左右壁)、第1カバー63、第2カバー64、および、キャップ651が取り除かれている。なお、図4に示されるように、着脱可能に設けられるキャップ651が外されると、給油口652が露出される。
【0027】
油入口部62は、タンク本体61に設けられる。油入口部62は、第1配管9および第2配管10を通ってタンク6へ戻される作動油がタンク本体61内に入る入口部分を構成する。詳細には、油入口部62は、タンク本体61の天壁61aに設けられる。天壁61aには、上下方向に貫通する第1開口611が設けられる。油入口部62は、上下方向からの平面視において第1開口611内に配置される。
【0028】
油入口部62は、上下方向に延びる筒状の油入口部本体621を有する。油入口部本体621は、第1開口611内に配置される。油入口部本体621の一部は、天壁61aから上方に突出する。油入口部本体621の他の一部は、タンク本体61内に配置される。
【0029】
油入口部62は、複数の配管9、10からの油が通過する接続口622を有する。詳細には、油入口部62は、第1配管9および第2配管10からの作動油が通過する1つの接続口622を有する。接続口622は、油入口部62を他の部材と接続する部分を構成する。なお、本実施形態では、複数の配管の数は2つであるが、3つ以上であってもよい。
【0030】
本実施形態の構成によれば、1つの接続口622によって複数の配管9、10からの油を一箇所に纏めてタンク本体61内に導くことができる。本実施形態の構成によれば、複数の配管9、10と接続するために油入口部62に設ける接続口622の数を少なくすることができる。この結果、油入口部62の取り付けの向きやレイアウトの自由度を高めることができる。
【0031】
詳細には、接続口622は筒状体である。接続口622は、油入口部62の本体621と交わる方向に延びる。上述のように、油入口部本体621は上下方向に延びる。接続口622は、例えば水平方向に延びる構成等とされてよい。接続口622は、筒状の油入口部本体621の側面から突出する。接続口622は、油入口部本体621の天壁61aよりも上方の側面から突出する。接続口622の内部と、油入口部本体621の内部とは連通する。なお、油入口部本体621と接続口622とは、一体化されている。
【0032】
また、油入口部62は、タンク本体61内に配置される第1フィルタ部623を有する。詳細には、第1フィルタ部623は、油入口部本体621の下端に取り付けられて、タンク本体61内に配置される。第1配管9および第2配管10から接続口622を介して油入口部本体621に入った作動油は、第1フィルタ部623を通ってタンク本体61内に至る。第1フィルタ部623が設けられることにより、タンク本体61内に異物が混入することを抑制することができる。
【0033】
第1カバー63は、タンク本体61に設けられる第1開口611を覆う。第1カバー63は、タンク本体61に固定される。本実施形態では、第1カバー63は、ボルト11を用いてタンク本体61の天壁61aに固定される。詳細には、天壁61aには、第1カバー63を取り付けるための第1取付部材612が配置されている。第1取付部材612は、上端にフランジが設けられた筒状体であり、フランジは溶接等の技法により天壁61aに固定されている。第1カバー63は、第1取付部材612の上側に配置され、ボルト11を用いて第1取付部材612に固定される。第1カバー63と第1取付部材612との上下方向間にはシール部材(不図示)が配置される。
【0034】
筒状の油入口部本体621の上部は、環状の第1カバー63の内方に配置される。詳細には、油入口部本体621は、第1カバー63に溶接等の技法により固定されている。すなわち、油入口部621は、第1カバー63に取り付けられている。別の言い方をすると、油入口部62は、第1カバー63と一体化されている。ボルト11を外して第1カバー63をタンク本体61から取り外すことができる状態とすることにより、第1カバー63と共に油入口部62もタンク本体61から取り外すことができる。油入口部62をタンク本体61から取り外すことにより、例えば、第1フィルタ部623の清掃、メンテナンス、或いは、交換等を行うことができる。
【0035】
第2カバー64は、タンク本体61に設けられる第1開口611と異なる第2開口613を覆う。第2カバー64は、タンク本体61に固定される。本実施形態では、第2開口613は、天壁61aに設けられる。第2カバー64は、ボルト11を用いてタンク本体61の天壁61aに固定される。
【0036】
詳細には、天壁61aには、第2カバー64を取り付けるための第2取付部材614が配置されている。第2取付部材614は、上端にフランジが設けられた筒状体である。第2取付部材614は、フランジは溶接等の技法により天壁61aに固定されている。第2カバー64は、第2取付部材614の上側に配置され、ボルト11を用いて第2取付部材614に固定される。第2カバー64と第2取付部材614との上下方向間にはシール部材(不図示)が配置される。
【0037】
第2カバー64は、上面に把持部641を有する。把持部641は、第2カバー64と一体化されている。また、第2カバー64は、連結部642を介して第2フィルタ部643と一体化されている。第2カバー64が天壁61aに固定された状態において、上下に延びる連結部642の下端に配置される第2フィルタ部643は、タンク本体61内に配置される。タンク本体61内に配置される第2フィルタ部643は、タンク本体61の下部に設けられる油出口部66と接続される。タンク本体61から制御部8(図2参照)へと送られる作動油は、第2フィルタ部643および油出口部66を順に通ってタンク本体61外へと出る。
【0038】
ボルト11を外して第2カバー64をタンク本体61から取り外すことができる状態とする。これにより、作業者は、把持部641を持って第2カバー64を引き上げることにより、第2フィルタ部643をタンク本体61の外側に引き出すことができる。タンク本体61外へ引き出された第2フィルタ部643は、清掃、メンテナンス、或いは、新しい部品への交換等の対象とされる。
【0039】
本実施形態では、上述のように油入口部本体621は筒状であり、その上端は開口している(図4参照)。当該開口部分は、タンク6および油圧回路のフラッシング(洗浄)のために利用することができる。すなわち、油入口部621は、フラッシングに利用可能なフラッシング開口624を有する。フラッシング開口624は、通常は、蓋体625によって覆われている(図3参照)。すなわち、油入口部本体621は、フラッシング開口624を覆う蓋体625を有する。
【0040】
フラッシングは、不図示のフラッシング専用の機械を用いて行われる。例えば、フラッシングを行う際には、フラッシング専用機からフラッシングオイルをタンク本体61内に送り込む送りホースと、タンク本体61内のオイルを排出する排出ホースとが、タンク6に取り付けられる。
【0041】
例えば、送りホースは、フラッシング開口624を介してタンク本体61内にフラッシングオイルを送り込むことができるように、タンク6に取り付けられる。排出ホースは、第2開口613を介してタンク本体61内のオイルを外部に排出できるようにタンク6に取り付けられる。フラッシングオイルをタンク本体61内に送り込みながら、作業機械1の油圧ポンプを駆動することで、タンク本体61内および油圧回路のフラッシングを行うことができる。フラッシング開口624が設けられることにより、複数のボルト11により固定された第1カバー63を外すことなく、簡単にフラッシングを行うことができる。このために、フラッシングの作業効率を向上することができる。
【0042】
[2-2.接続口と配管との関係]
本実施形態では、例えば図3図4に示すように、接続口622は、継手12を介して複数の配管9、10と接続される。なお、継手12は、タンク6に含まれる部材であってよい。接続口622、第1配管9、および、第2配管10は、それぞれ、継手12と接続される。継手12が配置されることにより、接続口622と複数の配管9、10との接続を簡単に行うことができる。
【0043】
また、一例として、第1フィルタ部623の交換等のために油入口部62をタンク本体61から取り外す場合を想定する。このような場合、接続口622と継手12との接続だけが切り離されればよく、各配管9、10は継手12に接続したままとされてよい。すなわち、接続の切り離し箇所を少なくして、油入口部62の取り外しを行うことができる。すなわち、第1フィルタ部623の洗浄、メンテナンス、或いは、交換作業等を効率良く行うことができる。
【0044】
図4に示すように、継手12は、継手本体121と回転体122とを有する。回転体122は、継手本体121に対して回転可能に設けられる。継手12が継手本体121と回転体122との2部材で構成されることにより、接続口622と継手12との着脱を簡単に行うことができる。
【0045】
図5は、本実施形態の継手12が有する継手本体121の概略の構成を示す斜視図である。図5に示すように、継手本体121は、合流部1211と、接続口用筒部1212と、第1配管用筒部1213と、第2配管用筒部1214とを有する。
【0046】
合流部1211は、内部に空間を有し、当該空間は、接続口用筒部1212、第1配管用筒部1213、および、第2配管用筒部1214の各内部と連通する。本実施形態では、合流部1211は直方体状である。接続口用筒部1212、第1配管用筒部1213、および、第2配管用筒部1214は、合流部1211の互いに異なる側面から突出する。接続口用筒部1212と第1配管用筒部1213とは、互いに対向する側面から反対方向に突出する。第2配管用筒部1214は、接続口用筒部1212が配置される側面と、第1配管用筒部1213が配置される側面との両方に隣り合う側面に配置される。
【0047】
図6は、本実施形態の継手12が有する回転体122の概略の構成を示す斜視図である。図6に示すように、回転体122は、外形六角柱状の部分1221を有する筒状体である。詳細には、回転体122は、外形六角柱状の部分1221の内周面に螺子が切られたナットである。回転体122は、その内側に接続口用筒部1212が入れられた状態とされて継手本体121に取り付けられる。回転体122の内周面と、接続口用筒部1212の外周面との間には隙間があり、回転体122は、接続口用筒部1212に対して回転可能である。
【0048】
図7は、継手12と接続口622とが締結された状態の概略の構成を示す断面斜視図である。図7に示すように、継手12と接続口622とが締結された状態においては、接続口用筒部1212の先端部分が、接続口622の先端部分の内側に入った状態とされる。詳細には、接続口用筒部1212の先端部分の外面と、接続口622の先端部分の内面とのそれぞれには、傾斜面1212a、622aが設けられている。継手12と接続口622との締結状態においては、互いの傾斜面同士が接した状態とされる。各傾斜面1212a、622aは、継手12と接続口622とが締結された状態で油漏れが生じないように設けられる。
【0049】
ナットとして構成される回転体122の内面は、接続口622の先端部分の外面に形成されるねじ山と係り合う。すなわち、回転体122は、接続口622に締結可能に設けられる。詳細には、回転体122は、雄ねじと雌ねじの関係を利用して接続口622に締結可能に設けられる。螺子を締め付ける方向に回転体122を回すことにより、継手12および複数の配管9,10の取付時の姿勢を変えることなく、接続口用筒部1212と接続口622を、図7に示す締結状態とすることができる。逆に、螺子を緩める方向に回転体122を回すことによって、接続口622が接続口用筒部1212から外れた状態にすることができる。
【0050】
図3および図4に示すように、本実施形態では、複数の配管9、10のそれぞれは、締付部材13により継手12に固定される。締付部材13は、詳細には、ホースバンドである。各配管9、10と継手12とが締付部材13を利用して固定されることにより、各配管9、10と継手12との接続部分から油が漏れ出すことを抑制することができる。また、接続口622と継手12との間におけるような、ねじの原理を利用した固定手法とは異なる形態で固定することにより、各配管9、10の継手12に対する取り付けを容易とすることができる。
【0051】
第1配管9は、その先端部分に第1配管用筒部1213が入れられることにより、継手12に取り付けられる。そして、第1配管9の外側に嵌められた締付部材13による締め付けが行われることにより、第1配管9は継手12に固定される。また、第2配管10は、その先端部分に第2配管用筒部1214が入れられることにより、継手12に取り付けられる。そして、第2配管10の外側に嵌められた締付部材13による締め付けが行われることにより、第2配管9は継手12に固定される。
【0052】
図8は、本実施形態に係るタンク6の上面の構成を模式的に示した平面図である。図8に示すように、第1配管9は、接続口622が延びる方向(図8中に示すX方向)と同じ方向から接続口622に接続される。第2配管10は、接続口622が延びる方向と異なる方向(図8中に示すY方向)から接続口622に接続される。
【0053】
すなわち、本実施形態では、複数の配管9、10のうちの一部の配管9は、接続口622が延びる方向と同じ方向から接続口622に接続され、他の一部の配管10は、接続口622が延びる方向と異なる方向から接続口622に接続される。なお、詳細には、第1配管9および第2配管10は、継手12を介して接続口622に接続される。
【0054】
また、図9に示すように、複数の配管9、10は、いずれも接続口622が延びる方向と異なる方向から接続口622に接続される構成としてもよい。なお、図9は、変形例に係るタンク6Aの上面の構成を模式的に示した平面図である。複数の配管9、10の配置等に合わせて、接続口622と複数の配管9、10との位置関係は適宜変更されてよい。継手12が設けられることにより、接続口622の向きを各配管9、10の位置を考慮して適切な向きに向けることができる。
【0055】
図8に示すように、本実施形態では、接続口622は、第2カバー64が存在する方向とは異なる向きに配置される。詳細には、接続口622は、油入口部本体621に、第2カバー64が存在する方向と異なる向きに配置される。接続口622は、第2カバー64が存在する方向とは異なる向きに延びる。
【0056】
なお、図9に示す変形例においても、このような構成となっている。そして、このような構成とすると、接続口622、或いは、接続口622と接続される複数の配管9、10が第2カバー64の上を通過することを避けることができる。このために、第2カバー64の着脱を容易に行うことができる。
【0057】
図8に示すように、本実施形態では、複数の配管9、10のそれぞれは、第2カバー64が存在する方向と異なる方向から接続口622に接続される。このために、第2フィルタ部643の交換等のために第2カバー64を取り外す作業を配管9、10に邪魔されずに容易に行うことができる。
【0058】
なお、図9に示す変形例においても、複数の配管9、10のそれぞれは、第2カバー64が存在する方向と異なる方向から接続口622に接続される構成となっている。
【0059】
<3.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0060】
<4.付記>
例示的な本発明のタンクは、タンク本体と、前記タンク本体に設けられる油入口部と、
を備え、前記油入口部は、複数の配管からの油が通過する接続口を有する構成(第1の構成)であってよい。
【0061】
上記第1の構成のタンクにおいて、前記接続口は、前記油入口部の本体と交わる方向に延びる構成(第2の構成)であってよい。
【0062】
上記第1又は第2の構成のタンクにおいて、前記複数の配管のうちの一部の配管は、前記接続口が延びる方向と同じ方向から前記接続口に接続され、他の一部の配管は、前記接続口が延びる方向と異なる方向から前記接続口に接続される構成(第3の構成)であってよい。
【0063】
上記第1から第3のいずれかの構成のタンクにおいて、前記接続口は、継手を介して前記複数の配管と接続される構成(第4の構成)であってよい。
【0064】
上記第4の構成のタンクにおいて、前記継手は、継手本体と、前記継手本体に対して回転可能に設けられる回転体と、を有する構成(第5の構成)であってよい。
【0065】
上記第5の構成のタンクにおいて、前記回転体は、前記接続口に締結可能に設けられる構成(第6の構成)であってよい。
【0066】
上記第4から第6のいずれかの構成のタンクにおいて、前記複数の配管のそれぞれは、締付部材により前記継手に固定される構成(第7の構成)であってよい。
【0067】
上記第1から第7のいずれかの構成のタンクは、前記タンク本体に設けられる第1開口を覆う第1カバーを備え、前記油入口部は、前記第1カバーに取り付けられる構成(第8の構成)であってよい。
【0068】
上記第8の構成のタンクにおいて、前記油入口部は、前記タンク本体内に配置されるフィルタ部を有する構成(第9の構成)であってよい。
【0069】
上記第8又は第9の構成のタンクは、前記タンク本体に設けられる前記第1開口と異なる第2開口を覆う第2カバーを備え、前記接続口は、前記第2カバーが存在する方向とは異なる向きに配置される構成(第10の構成)であってよい。
【0070】
上記第10の構成のタンクにおいて、前記複数の配管のそれぞれは、前記第2カバーが存在する方向と異なる方向から前記接続口に接続される構成(第11の構成)であってよい。
【0071】
上記第1から第11のいずれかの構成のタンクにおいて、前記油入口部は、フラッシングに利用可能なフラッシング開口と、前記フラッシング開口を覆う蓋体と、を有する構成(第12の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0072】
1・・・作業機械
6、6A・・・タンク
9・・・第1配管
10・・・第2配管
12・・・継手
13・・・締付部材
61・・・タンク本体
62・・・油入口部
63・・・第1カバー
64・・・第2カバー
121・・・継手本体
122・・・回転体
611・・・第1開口
613・・・第2開口
621・・・油入口部本体
622・・・接続口
623・・・第1フィルタ部
624・・・フラッシング開口
625・・・蓋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9