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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038629
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ベローズポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/08 20060101AFI20240313BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20240313BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
F04B43/08 A
F04B53/10 C
F16K27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142790
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木下 敦文
【テーマコード(参考)】
3H051
3H071
3H077
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB05
3H051BB10
3H051CC14
3H051FF02
3H051FF09
3H071AA01
3H071BB01
3H071CC12
3H071CC26
3H071DD12
3H071DD13
3H071DD14
3H071DD82
3H077AA08
3H077CC03
3H077CC07
3H077CC13
3H077DD09
3H077DD14
3H077EE01
3H077EE21
3H077FF04
3H077FF12
3H077FF45
(57)【要約】
【課題】チェックバルブのバルブケースが変形するのを抑制することができるベローズポンプを提供する。
【解決手段】ベローズポンプ10のチェックバルブ15,16は、ポンプヘッド11の雌ねじ孔111,112に締め込まれる雄ねじ15e,16eが軸方向一方側の端部15d,16dに形成された筒状のバルブケース15a,16aを有する。ベローズポンプ10は、ポンプヘッド11の雌ねじ孔111,112の底面111a,112aに設けられた係合溝113,114と、バルブケース15a,16aの端部15d,16dに設けられ、係合溝113,114の内周面113a,114aに係合する係合部151,161と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送流体の吸込通路及び吐出通路を有し、有底の雌ねじ孔が形成されたポンプヘッドと、
前記ポンプヘッドに伸縮自在に取り付けられ、伸長により前記吸込通路から内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から前記吐出通路に移送流体を吐出するベローズと、
前記吸込通路又は前記吐出通路に対して、一方向への移送流体の流れを許容するとともに、他方向への移送流体の流れを阻止するチェックバルブと、を備え、
前記チェックバルブは、前記ポンプヘッドの前記雌ねじ孔に締め込まれる雄ねじが軸方向一方側の端部に形成された筒状のバルブケースを有し、
前記ポンプヘッドの前記雌ねじ孔の底面に設けられた係合溝と、
前記バルブケースの前記端部に設けられ、前記係合溝の内周面に係合する係合部と、を備えるベローズポンプ。
【請求項2】
前記係合溝の前記内周面は、前記軸方向一方側に向かうに従って拡径するテーパ面である、請求項1に記載のベローズポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造や化学工業等において、薬液や溶剤等の移送流体を送給するポンプとして、例えば特許文献1に記載されたベローズポンプが知られている。特許文献1に記載されたベローズポンプは、ポンプヘッドの左右両側にポンプケースを連結して2つの空気室を形成し、各空気室の内部にそれぞれ左右方向に伸縮可能な一対のベローズを設け、各空気室に交互に加圧空気を供給することによって各ベローズを収縮又は伸長させるように構成されている。
【0003】
ポンプヘッドには、各ベローズの内部と連通する移送流体の吸込通路及び吐出通路が形成されている。また、ポンプヘッドには、吸込通路又は吐出通路に対する一方向への移送流体の流れを許容し、他方向への移送流体の流れを阻止する複数のチェックバルブが設けられている。各チェックバルブは、バルブケースと、当該バルブケースに収容された弁体と、当該弁体を閉弁方向に付勢するスプリングと、を有している。バルブケースの一端部は、その外周に形成された雄ねじをポンプヘッドに形成された雌ねじ孔に締め込むことによって、ポンプヘッドに取り付けられている。
【0004】
吸込通路用のチェックバルブは、ベローズの伸長により開くことによって吸込通路からベローズ内への移送流体の流れを許容し、ベローズの収縮により閉じることによって当該ベローズ内から吸込通路への移送流体の流れを阻止するように構成されている。また、吐出通路用のチェックバルブは、ベローズの伸長により閉じることによって、吐出通路からベローズ内への移送流体の流れを阻止し、ベローズの収縮により開くことによって、ベローズ内から吐出通路への移送流体の流れを許容するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-003709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ベローズポンプでは、チェックバルブのバルブケースをポンプヘッドに取り付ける際に、バルブケースの雄ねじ側の一端部が、ポンプケースの雌ねじ孔の底部に当接することで、バルブケースの前記一端部が径方向内方に倒れ込むように変形するおそれがある。このようにバルブケースが変形すると、チェックバルブの弁体やスプリングが動作不全を起こし、吐出側の脈動が悪化したり、「ウォータハンマ」と呼ばれる衝撃圧力やキャビテーションが発生したりすることで、ベローズポンプに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、チェックバルブのバルブケースが変形するのを抑制することができるベローズポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示は、移送流体の吸込通路及び吐出通路を有し、有底の雌ねじ孔が形成されたポンプヘッドと、前記ポンプヘッドに伸縮自在に取り付けられ、伸長により前記吸込通路から内部に移送流体を吸い込み、収縮により内部から前記吐出通路に移送流体を吐出するベローズと、前記吸込通路又は前記吐出通路に対して、一方向への移送流体の流れを許容するとともに、他方向への移送流体の流れを阻止するチェックバルブと、を備え、前記チェックバルブは、前記ポンプヘッドの前記雌ねじ孔に締め込まれる雄ねじが軸方向一方側の端部に形成された筒状のバルブケースを有し、前記ポンプヘッドの前記雌ねじ孔の底面に設けられた係合溝と、前記バルブケースの前記端部に設けられ、前記係合溝の内周面に係合する係合部と、を備えるベローズポンプである。
【0009】
本開示のベローズポンプによれば、チェックバルブのバルブケースの端部に形成された雄ねじをポンプヘッドの雌ねじ孔に締め込むと、バルブケースの端部に設けられた係合部が、雌ねじ孔の底面に設けられた係合溝の内周面に係合する。この係合により、チェックバルブのバルブケースをポンプヘッドに取り付けるときに、バルブケースの端部が径方向内方に倒れ込むように変形するのを抑制することができる。
【0010】
(2)前記(1)のベローズポンプにおいて、前記係合溝の前記内周面は、前記軸方向一方側に向かうに従って拡径するテーパ面であるのが好ましい。
この場合、係合部が、係合溝の内周面であるテーパ面に係合することで、バルブケースの端部が径方向外方に押し広げられる。これにより、ポンプヘッドの雌ねじ孔に対するバルブケースの雄ねじの掛かり具合を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示のベローズポンプによれば、チェックバルブのバルブケースが変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係るベローズポンプを備えたベローズポンプ装置の概略構成図である。
図2】ベローズポンプの断面図である。
図3】左側の吸込用チェックバルブの周辺を示す図2の要部拡大断面図である。
図4】左側の吐出用チェックバルブの周辺を示す図2の要部拡大断面図である。
図5】ベローズポンプの動作を示す説明図である。
図6】ベローズポンプの動作を示す説明図である。
図7】本開示の第2実施形態のベローズポンプにおける左側の吐出用チェックバルブの周辺を示す拡大断面図である。
図8】本開示の第3実施形態のベローズポンプにおける左側の吐出用チェックバルブの周辺を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本開示の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載する各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本開示の第1実施形態に係るベローズポンプを備えたベローズポンプ装置1の概略構成図である。ベローズポンプ装置1は、例えば半導体製造装置において薬液や溶剤等の移送流体を一定量供給するときに用いられる。ベローズポンプ装置1は、空気供給装置(流体供給装置)2、機械式レギュレータ3、第1電磁弁4、第2電磁弁5、制御部6、ベローズポンプ10、第1電空レギュレータ(第1流体圧調整部)51、及び第2電空レギュレータ(第2流体圧調整部)52を備えている。
【0014】
空気供給装置2は、例えばエアコンプレッサからなり、ベローズポンプ10に供給する加圧空気(加圧流体)を生成する。機械式レギュレータ3は、空気供給装置2で生成された加圧空気の空気圧(流体圧)を調整する。第1電空レギュレータ51及び第2電空レギュレータ52については後述する。
【0015】
図2は、ベローズポンプ10の断面図である。本実施形態のベローズポンプ10は、ポンプヘッド11と、一対のポンプケース12と、一対のベローズである第1ベローズ13及び第2ベローズ14と、一対の吸込用チェックバルブ(チェックバルブ)15と、一対の吐出用チェックバルブ(チェックバルブ)16と、を備えている。
【0016】
ポンプヘッド11は、ベローズポンプ10の中央部に配置されている。一対のポンプケース12は、ポンプヘッド11の左右両側に取り付けられている。第1ベローズ13及び第2ベローズ14は、各ポンプケース12の内部においてポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられている。一対の吸込用チェックバルブ15は、第1及び第2ベローズ13,14それぞれの内部において、ポンプヘッド11の左右両側に取り付けられている。同様に、一対の吐出用チェックバルブ16は、第1及び第2ベローズ13,14それぞれの内部において、ポンプヘッド11の左右両側に取り付けられている。
【0017】
<ベローズ>
第1ベローズ13及び第2ベローズ14は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂により有底円筒状に形成されている。第1ベローズ13の開放側端部に一体形成されたフランジ部13aは、ポンプヘッド11の側面に気密状に押圧して固定されている。同様に、第2ベローズ14の開放側端部に一体形成されたフランジ部14aは、ポンプヘッド11の側面に気密状に押圧して固定されている。第1及び第2ベローズ13,14の各周壁は、蛇腹形状に形成され、互いに独立して左右方向に伸縮自在に構成されている。
【0018】
第1及び第2ベローズ13,14の閉塞側端部の外面には、ボルト17及びナット18により作動板19が固定されている。第1及び第2ベローズ13,14は、作動板19の外面が有底円筒状のポンプケース12における底壁部121の内面に当接する最伸長状態と、後述するピストン体23の内面が底壁部121の外面に当接する最収縮状態との間で伸縮可能である。
【0019】
<ポンプケース>
第1ベローズ13のフランジ部13aには、ポンプケース12(以下、「第1ポンプケース12A」ともいう)の開口周縁部が、気密状に押圧して固定されている。これにより、第1ポンプケース12Aの内部における第1ベローズ13の外側には、気密状態が保持された第1吐出側空気室(第1吐出側流体室)21Aが形成されている。
【0020】
第1ポンプケース12Aには第1吸排気ポート22Aが設けられており、第1吸排気ポート22Aは、第1電磁弁4、第1電空レギュレータ51及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から第1吐出側空気室21Aの内部に加圧空気が供給されると、第1ベローズ13は所定の収縮状態(以下、単に「収縮状態」という)まで収縮する。第1ベローズ13の収縮状態は、最収縮状態であってもよいし、最収縮状態よりも手前の状態であってもよい。
【0021】
第2ベローズ14のフランジ部14aには、ポンプケース12(以下、「第2ポンプケース12B」ともいう)の開口周縁部が、気密状に押圧して固定されている。これにより、第2ポンプケース12Bの内部における第2ベローズ14の外側には、気密状態が保持された第2吐出側空気室(第2吐出側流体室)21Bが形成されている。
【0022】
第2ポンプケース12Bには第2吸排気ポート22Bが設けられており、第2吸排気ポート22Bは、第2電磁弁5、第2電空レギュレータ52及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から第2吐出側空気室21Bの内部に加圧空気が供給されると、第2ベローズ14は所定の収縮状態(以下、単に「収縮状態」という)まで収縮する。第2ベローズ14の収縮状態は、最収縮状態であってもよいし、最収縮状態よりも手前の状態であってもよい。
【0023】
各ポンプケース12A,12Bの底壁部121には棒状の連結部材20が貫通されている。連結部材20は、底壁部121に対して左右方向に摺動可能に支持されている。連結部材20の外端部には、ピストン体23がナット24により固定されている。ピストン体23は、底壁部121の外側に一体に設けられた円筒状のシリンダ体25の内周面に対して、気密状態を保持しながら左右方向へ摺動可能に支持されている。
【0024】
これにより、第1ポンプケース12A側において、底壁部121、シリンダ体25、及びピストン体23によって囲まれた空間は、気密状態が保持された第1吸込側空気室(第1吸込側流体室)26Aとされている。また、第2ポンプケース12B側において、底壁部121、シリンダ体25、及びピストン体23によって囲まれた空間は、気密状態が保持された第2吸込側空気室(第2吸込側流体室)26Bとされている。
【0025】
第1ポンプケース12A側のシリンダ体25には、第1吸込側空気室26Aに連通する吸排気口251が形成されている。この吸排気口251は、第1電磁弁4、第1電空レギュレータ51及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から吸排気口251を介して第1吸込側空気室26Aの内部に加圧空気が供給されると、第1ベローズ13は所定の伸長状態(以下、単に「伸長状態」という)まで伸長する。第1ベローズ13の伸長状態は、最伸長状態であってもよいし、最伸長状態よりも手前の状態であってもよい。
【0026】
第2ポンプケース12B側のシリンダ体25には、第2吸込側空気室26Bに連通する吸排気口252が形成されている。この吸排気口252は、第2電磁弁5、第2電空レギュレータ52及び機械式レギュレータ3を介して空気供給装置2に接続されている(図1参照)。これにより、空気供給装置2から吸排気口252を介して第2吸込側空気室26Bの内部に加圧空気が供給されると、第2ベローズ14は所定の伸長状態(以下、単に「伸長状態」という)まで伸長する。第2ベローズ14の伸長状態は、最伸長状態であってもよいし、最伸長状態よりも手前の状態であってもよい。
【0027】
以上の構成により、第1吐出側空気室21Aが内部に形成された第1ポンプケース12Aと、第1吸込側空気室26Aを形成するピストン体23及びシリンダ体25とにより、第1ベローズ13を伸長状態と収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第1駆動部27が構成されている。また、第2吐出側空気室21Bが内部に形成された第2ポンプケース12Bと、第2吸込側空気室26Bを形成するピストン体23及びシリンダ体25とにより、第2ベローズ14を伸長状態と収縮状態との間で連続して伸縮動作させる第2駆動部28が構成されている。
【0028】
なお、第1駆動部27及び第2駆動部28は、加圧空気によって駆動させているが、他の流体により駆動させてもよい。
【0029】
<検出部>
第1駆動部27のシリンダ体25には、近接センサ29A及び近接センサ29Bが取り付けられている。第1駆動部27のピストン体23には、各近接センサ29A,29Bにより検出される被検出板30が取り付けられている。被検出板30は、ピストン体23と共に往復動することで、近接センサ29A,29Bに交互に近接する。
【0030】
近接センサ29Aは、第1ベローズ13が収縮状態となる手前の収縮途中状態のときに被検出板30を検出する位置に配置されている。近接センサ29Bは、第1ベローズ13が伸長状態のときに被検出板30を検出する位置に配置されている。各近接センサ29A,29Bは、被検出板30を検出すると、その検出信号を制御部6に出力する。一対の近接センサ29A,29Bは、第1ベローズ13の伸縮状態を検出する第1検出部29として機能する。
【0031】
第2駆動部28のシリンダ体25には、近接センサ31A及び近接センサ31Bが取り付けられている。第2駆動部28のピストン体23には、各近接センサ31A,31Bより検出される被検出板32が取り付けられている。被検出板32は、ピストン体23と共に往復動することで、近接センサ31A,31Bに交互に近接する。
【0032】
近接センサ31Aは、第2ベローズ14が収縮状態となる手前の収縮途中状態のときに被検出板32を検出する位置に配置されている。近接センサ31Bは、第2ベローズ14が伸長状態のときに被検出板32を検出する位置に配置されている。各近接センサ31A,31Bは、被検出板30を検出すると、その検出信号を制御部6に出力する。一対の近接センサ31A,31Bは、第2ベローズ14の伸縮状態を検出する第2検出部31として機能する。
【0033】
ここで、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の「収縮途中状態」とは、第1ベローズ13(第2ベローズ14)の収縮経過位置が収縮開始位置(伸長状態)よりも収縮終了位置(収縮状態)に近い位置にあることを意味し、より詳細には、第1ベローズ13(第2ベローズ14)が伸長状態から収縮状態となるまでの収縮長さの50%~90%まで収縮した位置を意味する。
【0034】
なお、第1検出部29は、近接センサ29A,29Bにより構成されているが、これに限定されるものではなく、例えばレーザ光等を用いた変位センサで構成されていてもよい。同様に、第2検出部31は、近接センサ31A,31Bにより構成されているが、これに限定されるものではなく、例えばレーザ光等を用いた変位センサ等で構成されていてもよい。
【0035】
<ポンプヘッド>
ポンプヘッド11は、PTFEやPFA等のフッ素樹脂から形成されている。ポンプヘッド11の内部には、移送流体の吸込通路34及び吐出通路35が形成されている。吸込通路34は、ポンプヘッド11の外周面において開口し、当該外周面に設けられた吸込ポート(図示省略)に接続されている。吸込ポートは、移送流体の貯留タンク等に接続される。吐出通路35は、ポンプヘッド11の外周面において開口し、当該外周面に設けられた吐出ポート(図示省略)に接続されている。吐出ポートは移送流体の移送先に接続される。
【0036】
吸込通路34は、ポンプヘッド11の内部において左右両側に向けて分岐し、ポンプヘッド11の左右両側において開口する吸込口36を有している。各吸込口36は、吸込用チェックバルブ15を介してベローズ13,14の内部と連通している。吐出通路35は、ポンプヘッド11の内部において左右両側に向けて分岐するとともに、ポンプヘッド11の左右両側において開口する吐出口37を有している。各吐出口37は、吐出用チェックバルブ16を介してベローズ13,14の内部と連通している。
【0037】
<チェックバルブ>
図3は、左側の吸込用チェックバルブ15の周辺を示す図2の要部拡大断面図である。図2及び図3において、ポンプヘッド11の左右の各側壁には、有底の雌ねじ孔111が形成されている。各雌ねじ孔111の底面111aには、吸込通路34の吸込口36が開口している。各雌ねじ孔111は、吸込口36と同心状に形成されている。ポンプヘッド11の各雌ねじ孔111には、吸込用チェックバルブ15が設けられている。
【0038】
吸込用チェックバルブ15は、バルブケース15aと、弁体15bと、スプリング15cと、を有している。バルブケース15aは、円筒状に形成されている。バルブケース15aにおける軸方向一方側の端部15dの外周には、雄ねじ15eが形成されている。バルブケース15aの雄ねじ15eは、ポンプヘッド11の雌ねじ孔111に締め込まれている。これにより、バルブケース15aの軸方向一方側の端部15dは、ポンプヘッド11に取り付けられている。
【0039】
ポンプヘッド11の各雌ねじ孔111の底面111aには、係合溝113が形成されている。係合溝113は、底面111aにおける吸込口36の径方向外方において、吸込口36と同心の円環状に形成されている。係合溝113は、断面視において、底面111aから軸方向一方側に窪むように略凹状に形成されている。また、係合溝113の内周面113aは、断面視において、軸方向他方側から軸方向一方側に向かうに従って拡径する直線状のテーパ面である。係合溝113の外周面113bは、断面視において、軸方向に真っすぐ延びる円周面である。係合溝113の外径(外周面113bの直径)は、雌ねじ孔111の内径と同一である。
【0040】
バルブケース15aの端部15dには、ポンプヘッド11の係合溝113に係合する係合部151が設けられている。本実施形態の係合部151は、バルブケース15aの端部15dの全周にわたって、円環状に形成されている。係合部151は、断面視において、端部15dから軸方向一方側に突出するように略凸状に形成されている。係合部151の内周面151aは、断面視において、係合溝113の内周面(テーパ面)113aに沿って拡径する直線状のテーパ面である。係合部151の外周面151bは、断面視において、軸方向他方側から軸方向一方側に向かうに従って縮径する直線状のテーパ面である。係合部151の最大外径(外周面151bの最大直径)は、係合溝113の外径(外周面113bの直径)と略同一である。
【0041】
以上より、係合部151の内周面151aは、係合溝113の内周面113aに係合される。また、係合部151の外周面151bと係合溝113の外周面113bとの間には、円環状のスペースS1が形成される。スペースS1は、係合部151の内周面151aが係合溝113の内周面113aに係合する際に、係合部151を径方向外方に逃がすためのスペースとして機能する。
【0042】
吸込用チェックバルブ15の弁体15bは、バルブケース15a内において、閉弁方向(図3では軸方向一方側)及び開弁方向(図3では軸方向他方側)に移動可能に設けられている。スプリング15cは、例えば圧縮コイルバネからなり、バルブケース15a内に収容されている。スプリング15cは、弁体15bを閉弁方向に付勢している。弁体15bは、スプリング15cの付勢力により吸込口36を閉鎖(閉弁)し、ベローズ13,14の伸縮に伴う移送流体の流れによる背圧が作用すると、吸込口36を開放(開弁)するようになっている。
【0043】
これにより、吸込用チェックバルブ15は、自身が配置されているベローズ13,14が伸長したときに開弁して、吸込通路34からベローズ13,14内部に向かう方向(一方向)への移送流体の吸入を許容する。また、吸込用チェックバルブ15は、自身が配置されているベローズ13,14が収縮したときに閉弁して、ベローズ13,14内部から吸込通路34に向かう方向(他方向)への移送流体の逆流を阻止する。
【0044】
なお、右側の吸込用チェックバルブ15、及びこれに対応する係合部151と係合溝113は、ポンプヘッド11の左右方向の中心線Xを挟んで、上述した左側の吸込用チェックバルブ15、及びこれに対応する係合部151及び係合溝113と対称に形成されている。
【0045】
図4は、左側の吐出用チェックバルブ16の周辺を示す図2の要部拡大断面図である。図2及び図4において、ポンプヘッド11の左右の各側壁には、有底の雌ねじ孔112が形成されている。各雌ねじ孔112の底面112aには、吐出通路35の吐出口37が開口している。各雌ねじ孔112は、吐出口37と同心状に形成されている。ポンプヘッド11の各雌ねじ孔112には、吐出用チェックバルブ16が設けられている。
【0046】
吐出用チェックバルブ16は、バルブケース16aと、弁体16bと、スプリング16cと、を有している。バルブケース16aは、円筒状に形成されている。バルブケース16aにおける軸方向一方側の端部16dの外周には、雄ねじ16eが形成されている。バルブケース16aの雄ねじ16eは、ポンプヘッド11の雌ねじ孔112に締め込まれている。これにより、バルブケース16aの軸方向一方側の端部16dは、ポンプヘッド11に取り付けられている。
【0047】
ポンプヘッド11の各雌ねじ孔112の底面112aには、係合溝114が形成されている。係合溝114は、底面112aにおける吐出口37の径方向外方において、吐出口37と同心の円環状に形成されている。係合溝114は、断面視において、底面112aから軸方向一方側に窪むように略凹状に形成されている。また、係合溝114の内周面114aは、断面視において、軸方向他方側から軸方向一方側に向かうに従って拡径する直線状のテーパ面である。係合溝114の外周面114bは、断面視において、軸方向に真っすぐ延びる円周面である。係合溝114の外径(外周面114bの直径)は、雌ねじ孔112の内径と同一である。
【0048】
バルブケース16aの端部16dには、ポンプヘッド11の係合溝114に係合する係合部161が設けられている。本実施形態の係合部161は、バルブケース16aの端部16dの全周にわたって、円環状に形成されている。係合部161は、断面視において、端部16dから軸方向一方側に突出するように略凸状に形成されている。係合部161の内周面161aは、断面視において、係合溝114の内周面(テーパ面)114aに沿って拡径する直線状のテーパ面である。係合部161の外周面161bは、断面視において、軸方向他方側から軸方向一方側に向かうに従って縮径する直線状のテーパ面である。係合部161の最大外径(外周面161bの最大直径)は、係合溝114の外径(外周面114bの直径)と略同一である。
【0049】
以上より、係合部161の内周面161aは、係合溝114の内周面114aに係合される。また、係合部161の外周面161bと係合溝114の外周面114bとの間には、円環状のスペースS2が形成される。スペースS2は、係合部161の内周面161aが係合溝114の内周面114aに係合する際に、係合部161を径方向外方に逃がすためのスペースとして機能する。
【0050】
吐出用チェックバルブ16の弁体16bは、バルブケース16a内において、閉弁方向(図4では軸方向一方側)及び開弁方向(図4では軸方向他方側)に移動可能に設けられている。スプリング16cは、例えば圧縮コイルバネからなり、バルブケース16a内に収容されている。スプリング16cは、弁体16bを閉弁方向に付勢している。弁体16bは、スプリング16cの付勢力により、バルブケース16aの軸方向他方側の開口16fを閉鎖(閉弁)し、ベローズ13,14の伸縮に伴う移送流体の流れによる背圧が作用すると、開口16fを開放(開弁)するようになっている。
【0051】
これにより、吐出用チェックバルブ16は、自身が配置されているベローズ13,14が収縮したときに開弁して、ベローズ13,14内部から吐出通路35に向かう方向(一方向)への移送流体の流出を許容する。また、吐出用チェックバルブ16は、自身が配置されているベローズ13,14が伸長したときに閉弁して、吐出通路35からベローズ13,14内部に向かう方向(他方向)への移送流体の逆流を阻止する。
【0052】
なお、右側の吐出用チェックバルブ16、及びこれに対応する係合部161と係合溝114は、ポンプヘッド11の左右方向の中心線Xを挟んで、上述した左側の吐出用チェックバルブ16、及びこれに対応する係合部151及び係合溝114と対称に形成されている。
【0053】
<ベローズポンプの動作>
次に、本実施形態のベローズポンプ10の動作を図5及び図6を参照して説明する。なお、図5及び図6では、第1及び第2ベローズ13,14の構成を簡略化して示している。図5に示すように、第1ベローズ13が収縮し、第2ベローズ14が伸長した場合、ポンプヘッド11の図中左側に装着された吸込用チェックバルブ15及び吐出用チェックバルブ16の各弁体15b,16bは、第1ベローズ13内の移送流体から圧力を受けて、各バルブケース15a,16aの図中右側にそれぞれ移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が閉弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が開弁し、第1ベローズ13内の移送流体が吐出通路35からポンプ外へ吐出される。
【0054】
一方、ポンプヘッド11の図中右側に装着された吸込用チェックバルブ15の弁体15bは、第2ベローズ14による吸入作用によってバルブケース15aの図中右側に移動する。ポンプヘッド11の図中右側に装着された吐出用チェックバルブ16の弁体16bは、第2ベローズ14による吸入作用、及び第1ベローズ13から吐出通路35に吐出された移送流体による押圧作用によって、バルブケース16aの図中右側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が開弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が閉弁し、吸込通路34から第2ベローズ14内に移送流体が吸い込まれる。
【0055】
次に、図6に示すように、第1ベローズ13が伸長し、第2ベローズ14が収縮した場合、ポンプヘッド11の図中右側に装着された吸込用チェックバルブ15及び吐出用チェックバルブ16の各弁体15b,16bは、第2ベローズ14内の移送流体から圧力を受けて、各バルブケース15a,16aの図中左側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が閉弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が開弁し、第2ベローズ14内の移送流体が吐出通路35からポンプ外へ吐出される。
【0056】
一方、ポンプヘッド11の図中左側に装着された吸込用チェックバルブ15の弁体15bは、第1ベローズ13による吸入作用によってバルブケース15aの図中左側に移動する。ポンプヘッド11の図中左側に装着された吐出用チェックバルブ16の弁体16bは、第1ベローズ13による吸入作用、及び第1ベローズ13から吐出通路35に吐出された移送流体による押圧作用によって、バルブケース16aの図中左側に移動する。これにより吸込用チェックバルブ15が開弁するとともに、吐出用チェックバルブ16が閉弁し、吸込通路34から第1ベローズ13内に移送流体が吸い込まれる。
以上の動作を繰り返し行うことで、左右のベローズ13,14は、交互に移送流体の吸入と吐出とを行うことができる。
【0057】
<電磁弁>
図1において、第1電磁弁4は、例えば、一対のソレノイド4a,ソレノイド4bを有する三位置の電磁切換弁からなる。各ソレノイド4a,4bは制御部6から受けた指令信号に基づいて励磁されるようになっている。これにより、第1電磁弁4は、制御部6により切り換え制御される。第1電磁弁4は、第1駆動部27において、第1吐出側空気室21Aに対する加圧空気の給排、及び第1吸込側空気室26Aに対する加圧空気の給排を切り換える。
【0058】
具体的には、第1電磁弁4は、ソレノイド4aが励磁されると、第1吐出側空気室21Aに加圧空気を供給するとともに第1吸込側空気室26A内の加圧空気を排出する状態に切り換わる。また、第1電磁弁4は、ソレノイド4bが励磁されると、第1吐出側空気室21A内の加圧空気を排出するとともに第1吸込側空気室26Aに加圧空気を供給する状態とに切り換わる。
【0059】
第2電磁弁5は、例えば一対のソレノイド5a,ソレノイド5bを有する三位置の電磁切換弁からなる。各ソレノイド5a,5bは制御部6から指令信号を受けて励磁されるようになっている。これにより、第2電磁弁5は、制御部6により切り換え制御される。第2電磁弁5は、第2駆動部28において、第2吐出側空気室21Bに対する加圧空気の給排、及び第2吸込側空気室26Bに対する加圧空気の給排を切り換える。
【0060】
具体的には、第2電磁弁5は、ソレノイド5aが励磁されると、第2吐出側空気室21Bに加圧空気を供給するとともに第2吸込側空気室26B内の加圧空気を排出する状態に切り換わる。また、第2電磁弁5は、ソレノイド5bが励磁されると、第2吐出側空気室21B内の加圧空気を排出するとともに第2吸込側空気室26Bに加圧空気を供給する状態とに切り換わる。なお、本実施形態の第1及び第2電磁弁4,5は、三位置の電磁切換弁からなるが、中立位置を有しない二位置の電磁切換弁であってもよい。
【0061】
<電空レギュレータ>
第1電空レギュレータ51は、機械式レギュレータ3と第1電磁弁4との間に配置されている。第1電空レギュレータ51は、第1駆動部27の第1吸込側空気室26Aに供給される加圧空気の空気圧、及び第1駆動部27の第1吐出側空気室21Aに供給される加圧空気の空気圧をそれぞれ調整する。
【0062】
第2電空レギュレータ52は、機械式レギュレータ3と第2電磁弁5との間に配置されている。第2電空レギュレータ52は、第2駆動部28の第2吸込側空気室26Bに供給される加圧空気の空気圧、及び第2駆動部28の第2吐出側空気室21Bに供給される加圧空気の空気圧をそれぞれ調整する。
【0063】
なお、電空レギュレータ51,52は、少なくとも吸込側空気室26A,26Bに供給される加圧空気の空気圧を調整するものであればよい。また、本実施形態では、流体圧調整部として、空気圧を直接的に調整する電空レギュレータ51,52を用いているが、空気流量を調整する空気流量調整弁を用いて空気圧を間接的に調整してもよいし、空気以外の気体(例えば窒素)や液体等の圧力又は流量を調整する機器を用いてもよい。
【0064】
<制御部>
図1及び図2において、制御部6は、CPU等を有するコンピュータを備えて構成されている。制御部6の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることで発揮される。制御部6は、第1検出部29及び第2検出部31の各検出結果に基づいて、第1電磁弁4及び第2電磁弁5を切り換えることにより、第1駆動部27及び第2駆動部28の駆動制御を行う。
【0065】
具体的には、制御部6は、第1検出部29及び第2検出部31の各検出結果に基づいて、第1ベローズ13が収縮状態となる手前で第2ベローズ14を伸長状態から収縮させるとともに、第2ベローズ14が収縮状態となる手前で第1ベローズ13を伸長状態から収縮させるように、第1駆動部27及び第2駆動部28の各駆動を制御する。
【0066】
以上のように制御部6が駆動制御を行うことで、第1ベローズ13及び第2ベローズ14のうち、一方のベローズの収縮から伸長(移送流体の吐出から吸い込み)へ切り換えるタイミングにおいて、他方のベローズは既に収縮して移送流体を吐出しているので、前記タイミングにおいて移送流体の吐出圧力が大きく落ち込むのを低減することができる。その結果、ベローズポンプ10の吐出側の脈動を低減することができる。
【0067】
なお、制御部6は、第1ベローズ13及び第2ベローズ14のうち、一方のベローズ13(ベローズ14)が収縮状態となってから他方のベローズ14(ベローズ13)を伸長状態から収縮させるように、第1エアシリンダ41及び第2エアシリンダ42の各駆動を制御してもよい。また、ベローズポンプ10は、吸込用チェックバルブ15に対応する係合部151及び係合溝113(図3参照)と、吐出用チェックバルブ16に対応する係合部161及び係合溝114(図4参照)と、を備えているが、これらのチェックバルブ15,16のうちのいずれか一方に対応する係合部及び係合溝だけを備えていてもよい。
【0068】
<本実施形態の作用効果>
以上、第1実施形態のベローズポンプ10によれば、チェックバルブ15,16のバルブケース15a,16aの雄ねじ15e,16eをポンプヘッド11の雌ねじ孔111,112に締め込むと、バルブケース15a,16aの端部15d,16dに設けられた係合部151,161が、雌ねじ孔111,112の底面111a,112aに形成された係合溝113,114の内周面113a,114aに係合する。この係合により、チェックバルブ15,16のバルブケース15a,16aをポンプヘッド11に取り付けるときに、バルブケース15a,16aの端部15d,16dが径方向内方に倒れ込むように変形するのを抑制することができる。
【0069】
係合溝113,114の内周面113a,114aは、軸方向一方側に向かうに従って拡径するテーパ面である。このため、このテーパ面(内周面)113a,114aに係合部151,161が係合することで、バルブケース15a,16aの端部15d,16dが径方向外方に押し広げられる。これにより、ポンプヘッド11の雌ねじ孔111,112に対するバルブケース15a,16aの雄ねじ15e,16eの掛かり具合を向上させることができる。
【0070】
係合部151,161の外周面151b,161bと、係合溝113,114の外周面113b,114bとの間には、円環状のスペースS1,S2が形成されている。このため、係合部151,161の内周面151a,161aが係合溝113,114の内周面113a,114aに係合する際に、スペースS1,S2内において係合部151,161を径方向外方に逃がすことができる。これにより、バルブケース15a,16aの端部15d,16dを確実に径方向外方に押し広げることができる。
【0071】
[第2実施形態]
図7は、本開示の第2実施形態のベローズポンプ10における左側の吐出用チェックバルブ16の周辺を示す拡大断面図である。第2実施形態では、ポンプヘッド11の係合溝114、及び吐出用チェックバルブ16の係合部161の各断面形状が、第1実施形態と相違する。
【0072】
本実施形態のポンプヘッド11の係合溝114は、断面視において、雌ねじ孔112の底面112aから軸方向一方側に窪むように凹円弧状に形成されている。係合溝114における最底点114cよりも径方向内側(吐出口37側)の内周面114aは、断面視において、軸方向他方側から軸方向一方側に向かうに従って拡径する曲線状のテーパ面である。係合溝114における最底点114cよりも径方向外側の外周面114bは、断面視において、軸方向一方側から軸方向他方側に向かうに従って拡径する曲線状のテーパ面である。
【0073】
吐出用チェックバルブ16のバルブケース16aの端部16dに設けられた係合部161は、断面視において、端部16dから軸方向一方側に突出するように凸円弧状に形成されている。係合部161における最頂点161cよりも径方向内側(吐出口37側)の内周面161aは、断面視において、軸方向他方側から軸方向一方側に向かうに従って拡径する曲線状のテーパ面である。係合部161における最頂点161cよりも径方向外側の外周面161bは、断面視において、軸方向一方側から軸方向他方側に向かうに従って拡径する曲線状のテーパ面である。
【0074】
係合部161の断面凸円弧状の曲率半径R2は、係合溝114の断面凹円弧状の曲率半径R1よりも小さい。また、係合部161の断面凸円弧状の中心点C2は、係合溝114の断面凹円弧状の中心点C1よりも径方向内側(吐出口37側)に位置している。
【0075】
以上より、係合部161の内周面161aは、係合溝114の内周面114aに係合される。また、係合部161の外周面161bと係合溝114の外周面114bとの間には、円環状のスペースS2が形成される。スペースS2は、係合部161の内周面161aが係合溝114の内周面114aに係合する際に、係合部161を径方向外方に逃がすためのスペースとして機能する。
【0076】
第2実施形態の他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。第2実施形態のベローズポンプ10においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、第2実施形態では、吐出用チェックバルブ16の係合部161、及び当該係合部161が係合される係合溝114の各断面形状を、それぞれ凸円弧状及び凹円弧状に形成しているが、吸込用チェックバルブ15の係合部151、及び当該係合部151が係合される係合溝113の各断面形状を、係合部161及び係合溝114と同様に、それぞれ凸円弧状及び凹円弧状に形成してもよい。
【0077】
[第3実施形態]
図8は、本開示の第3実施形態のベローズポンプ10における左側の吐出用チェックバルブ16の周辺を示す拡大断面図である。第3実施形態では、ポンプヘッド11の係合溝114、及び吐出用チェックバルブ16の係合部161の各断面形状が、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。
【0078】
本実施形態におけるポンプヘッド11の係合溝114は、断面視において、雌ねじ孔112の底面112aから軸方向一方側に窪むように凹状に形成されている。係合溝114の内周面114a及び外周面114bは、それぞれ断面視において、軸方向に真っすぐ延びる円周面である。係合溝114の外径(外周面114bの直径)は、雌ねじ孔112の内径よりも小さい。
【0079】
吐出用チェックバルブ16のバルブケース16aの端部16dに設けられた係合部161は、断面視において、端部16dから軸方向一方側に突出するように凸状に形成されている。係合部161の内周面161a及び外周面161bは、それぞれ断面視において、軸方向に真っすぐ延びる円周面である。係合部161の内径(内周面161aの直径)は、係合溝114の内径(内周面114aの直径)と略同一である。係合部161の外径(外周面161bの直径)は、係合溝114の外径(外周面114bの直径)と略同一である。これにより、係合部161の内周面161a及び外周面161bは、それぞれ係合溝114の内周面114a及び外周面114bに係合される。
【0080】
第3実施形態の他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。第3実施形態のベローズポンプ10においても、バルブケース16aの端部16dに設けられた係合部161が、雌ねじ孔112の底面112aに形成された係合溝114の内周面114aに係合する。この係合により、チェックバルブ16のバルブケース16aをポンプヘッド11に取り付けるときに、バルブケース16aの端部16dが径方向内方に倒れ込むように変形するのを抑制することができる。
【0081】
なお、第3実施形態では、吐出用チェックバルブ16の係合部161、及び当該係合部161が係合される係合溝114の各断面形状を、それぞれ凸状及び凹状に形成しているが、吸込用チェックバルブ15の係合部151、及び当該係合部151が係合される係合溝113の各断面形状を、係合部161及び係合溝114と同様に、それぞれ凸状及び凹状に形成してもよい。
【0082】
[その他]
上記各実施形態のベローズポンプ10は、半導体製造装置での使用に限定されるものではない。また、ベローズポンプ10は、一対のベローズ13,14を備えているが、単一のベローズのみを備えたものであってもよい。例えば、一対のベローズのうちの一方をアキュムレータに入れ替えて構成されたベローズポンプであってもよい。
【0083】
上記各実施形態の係合部151,161は、バルブケース15a,16aの端部15d,16dの全周にわたって設けられているが、当該端部15d,16dの周方向の一部のみに設けられていてもよい。
【0084】
上記各実施形態における係合部151,161の外周面151b,161bと係合溝113,114の外周面113b,114bとの間のスペースS1,S2は、係合部151,161の外周面151b,161bをテーパ面にすることによって形成されているが、当該外周面151b,161bを軸方向に真っすぐ延びる円周面とし、当該円周面よりも径方向外側に拡径するテーパ面を、係合溝113,114の外周面113b,114bに形成することによって、スペースS1,S2を形成してもよい。
【0085】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
10 ベローズポンプ
11 ポンプヘッド
13 第1ベローズ(ベローズ)
14 第2ベローズ(ベローズ)
15 吸込用チェックバルブ(チェックバルブ)
15a バルブケース
15d 端部
15e 雄ねじ
16 吐出用チェックバルブ(チェックバルブ)
16a バルブケース
16d 端部
16e 雄ねじ
34 吸込通路
35 吐出通路
111 雌ねじ孔
111a 底面
112 雌ねじ孔
112a 底面
113 係合溝
113a 内周面(テーパ面)
114 係合溝
114a 内周面(テーパ面)
151 係合部
161 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8