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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003864
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】型枠通り治具
(51)【国際特許分類】
   E04G 17/06 20060101AFI20240109BHJP
   E04G 17/14 20060101ALI20240109BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20240109BHJP
   E02D 27/01 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E04G17/06 E
E04G17/14 Z
E04G21/12 104F
E02D27/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103178
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】597095131
【氏名又は名称】株式会社東海建商
(74)【代理人】
【識別番号】100110744
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 敬知
(72)【発明者】
【氏名】福田 哲也
【テーマコード(参考)】
2D046
2E150
【Fターム(参考)】
2D046BA11
2E150CA01
2E150FA01
2E150FA22
2E150FA46
2E150HC01
2E150HC11
(57)【要約】
【課題】型枠を直線的に整列させつつ、型枠と鉄筋との間に所定間隔を保持することが可能な型枠通り治具を提供する。
【解決手段】型枠通り治具1は、コンクリート基礎を形成する際に型枠と鉄筋との間に取付けられて型枠を整列させるために使用される治具であって、長手方向に所定長さを有する基部12、及び基部12の一端に交差して設けられる平板部13を有する治具本体10と、鉄筋3に係合される係合穴21cを有し且つ基部12に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる係合部材21、及び係合部材21を鉄筋3に対して取り外し可能に固定する固定部材としての蝶ナット23を有する可動固定具20と、を備える。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート基礎を形成する際に型枠と鉄筋との間に取付けられて前記型枠を整列させるために使用される治具であって、
長手方向に所定長さを有する基部、及び前記基部の一端に交差して設けられる平板部を有する治具本体と、
前記鉄筋に係合される係合穴を有し且つ前記基部に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる係合部材、及び前記係合部材を前記鉄筋に対して取り外し可能に固定する固定部材を有する可動固定具と、
を備える、型枠通り治具。
【請求項2】
前記基部は、前記長手方向に延びる長穴を有し、
前記係合部材は、前記長穴に挿入される凸部を有し、前記凸部が前記長穴の前記長手方向における任意の位置に挿入された状態で前記固定部材を介して前記基部と固定される、請求項1に記載の型枠通り治具。
【請求項3】
前記基部は、断面コの字形状の金具であり、
前記係合部材は、前記基部の内側に重ねて配置される断面コの字形状の金具であって、
前記係合部材は、前記基部の前記長穴形成面に対向する対向面に前記凸部としてのボルトが設けられて前記長穴に挿入され、前記ボルトの前記長穴から突出する部分に前記固定部材としてのナットを螺合して締結することで前記基部及び前記鉄筋と固定される、請求項2に記載の型枠通り治具。
【請求項4】
前記平板部は、前記基部とは反対側の表面に弾性体が設けられている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の型枠通り治具。
【請求項5】
前記係合部材は、前記係合穴における内周の輪郭の一部に三角形状部が形成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の型枠通り治具。
【請求項6】
前記係合部材は、前記係合穴の周方向の一部が開口するC字形状に形成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の型枠通り治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート基礎工事に用いる型枠通り治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等のコンクリート基礎工事において、型枠の外側への傾倒を防止するために振止めサポートと称される治具(単にサポート或いはサポータとも称される)が用いられている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
この振止めサポートは、金属等からなる棒状部材であって、一端側を型枠の外側上部に取付けると共に、他端側を杭状部材の打ち込みを介して地面に固定することで、型枠を外側から内側(鉄筋が配置される側)に向かって押圧して傾倒を防止する。
【0004】
一方、型枠を用いて基礎コンクリートを施工する際、型枠の内側面と基礎鉄筋との間に所定間隔(「被り」と称される)を保持するために、ドーナツ形に樹脂成形された鉄筋ペーサと称される器具が広く用いられている(例えば、特許文献2等参照。)。この鉄筋スペーサは、基礎鉄筋の要所に装着されて、その外周枠が型枠の内側面に当接することで、型枠の内側面と基礎鉄筋との間に所定間隔を保持できるものである。
【0005】
ところが、鉄筋スペーサは、その一部が基礎コンクリートからはみ出す等、埋設状態が正常でない場合には、基礎コンクリートの強度に影響を及ぼす恐れがあるという問題がある。かかる問題を解決するものとして、基礎コンクリートの強度に影響を及ぼすことなく型枠の内側面と基礎鉄筋との間に所定間隔を保持することができる鉄筋用間隔保持具が提案されている( 例えば、特許文献3等参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-173349号公報
【特許文献2】特開平10-238018号公報
【特許文献3】実用新案登録第3232252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される従来技術における振止めサポートによる型枠の支持では、型枠がもっぱら外側からの押圧で支持されるため、連結された型枠同士が左右に捩れた場合、複数の型枠を直線的に整列させること(型枠の通り出し)が困難となる。
【0008】
一方、特許文献2,3に開示される従来技術における鉄筋用間隔保持具では、個々の型枠において内側面と鉄筋との間隔保持はできるものの、間隔が一定であって微調整が不可能であり、型枠の捩れを修正することはできない。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、型枠を直線的に整列させつつ、型枠と鉄筋との間に所定間隔を保持することが可能な型枠通り治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る型枠通り治具は、コンクリート基礎を形成する際に型枠と鉄筋との間に取付けられて前記型枠を整列させるために使用される治具であって、長手方向に所定長さを有する基部、及び前記基部の一端に交差して設けられる板状の平板部を有する治具本体と、前記鉄筋に係合される係合穴を有し且つ前記基部に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる係合部材、及び前記係合部材を前記鉄筋に対して取り外し可能に固定する固定部材を有する可動固定具と、を備える。
【0011】
この構成によれば、可動固定具の係合部材は、係合穴に鉄筋を係合させると共に、治具本体の基部に対して長手方向に相対位置を調整した状態で鉄筋に固定される。この状態で、基部の一端に設けられる平板部は型枠の内側面を押圧する。つまり、鉄筋に係合される係合部材との相対位置が適切に調整された基部の一端に設けられた平板部によって、鉄筋側から型枠の内側面に押圧されることで、幅方向に複数配列される型枠の捩れが修正されると共に、型枠と鉄筋との間隔が適切に保持される。よって、型枠を直線的に整列させつつ、型枠と鉄筋との間に所定間隔を保持することができるという効果を奏する。
【0012】
また、前記基部は、前記長手方向に延びる長穴を有し、前記係合部材は、前記長穴に挿入される凸部を有し、前記凸部が前記長穴の前記長手方向における任意の位置に挿入された状態で前記固定部材を介して前記基部と固定される。
【0013】
この構成によれば、係合部材に設けられた凸部が、基部に設けられた長穴の長手方向における任意の位置に挿入された状態で、係合部材が固定部材を介して基部と固定される。よって、係合部材と基部とを長手方向の相対位置を簡単且つ適切に調整した状態で確実に固定することができる。
【0014】
また、前記基部は、断面コの字形状の金具であり、前記係合部材は、前記基部の内側に重ねて配置される断面コの字形状の金具であって、前記係合部材は、前記基部の前記長穴形成面に対向する対向面に前記凸部としてのボルトが設けられて前記長穴に挿入され、前記ボルトの前記長穴から突出する部分に前記固定部材としてのナットを螺合して締結することで前記基部及び前記鉄筋と固定される。
【0015】
この構成によれば、基部の内側に係合部材を重ねて配置し、係合部材に設けられるボルトの基部の長穴から突出する部分にナットを螺合し、長手方向の任意の位置で締結することで、係合部材を簡単な構成で基部及び鉄筋と確実に固定することができる。
【0016】
また、前記平板部は、前記基部とは反対側の表面に弾性体が設けられている。
【0017】
この構成によれば、平板部は型枠に対して面的に押圧力を作用させつつ、弾性体の弾性力の作用で型枠の内側面に対して確実に密着させることができる。
【0018】
また、前記係合部材は、前記係合穴における内周の輪郭の一部に三角形状部が形成されている。
【0019】
この構成によれば、係合穴における内周の輪郭の一部に三角形状部が形成されているので、外径の異なる複数種類の鉄筋に安定して係合させることができる。
【0020】
また、前記係合部材は、前記係合穴の周方向の一部が開口するC字形状に形成されている。
【0021】
この構成によれば、係合穴の周方向の一部に形成された開口から鉄筋の側面を差し込むことができるので、垂直方向に配置される鉄筋である縦筋のみならず、水平方向に配置される横筋に対しても、任意の位置で係合穴に係合させて、型枠と鉄筋との間に型枠通り治具を取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る型枠通り治具の全体構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る型枠通り治具の全体構成を示す別の斜視図である。
図3】実施形態に係る型枠通り治具を示す正面図である。
図4】実施形態に係る型枠通り治具を示す背面図である。
図5】実施形態に係る型枠通り治具を示す右側面図である。
図6】実施形態に係る型枠通り治具を示す左側面図である。
図7】実施形態に係る型枠通り治具を示す平面図である。
図8】実施形態に係る型枠通り治具を示す底面図である。
図9】実施形態に係る係合部材を示す正面図である。
図10】実施形態に係る係合部材を示す背面図である。
図11】実施形態に係る係合部材を示す右側面図である。
図12】実施形態に係る係合部材を示す平面図である。
図13】捨てコンクリート打設工程~外側型枠設置工程を示す施工現場の断面図である。
図14】型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の断面図である。
図15図14におけるXV線矢視部分の拡大図である。
図16】型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の平面図である。
図17図16におけるXVII線矢視部分の拡大図である。
図18】ベース打設工程を示す施工現場の断面図である。
図19】内側型枠設置工程を示す施工現場の断面図である。
図20】布基礎打設工程を示す施工現場の断面図である。
図21】型枠解体工程後を示す施工現場の断面図である。
図22】型枠通り治具を横筋に取付けた様子を正面視にて示す説明図である。
図23】型枠通り治具を横筋に取付けた様子を平面視にて示す説明図である。
図24】第1変形例に係る型枠通り治具の全体構成を示す斜視図である。
図25】第2変形例に係る型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の断面図である。
【0023】
以下、本発明に係る型枠通り治具を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
<型枠通り治具の構成>
最初に、本発明の実施形態に係る型枠通り治具1の構成について、図1乃至図12を参照しつつ説明する。図1は型枠通り治具1の全体構成を示す斜視図、図2は別の斜視図、図3は正面図、図4は背面図、図5は右側面図、図6は左側面図、図7は平面図、図8は底面図である。図9は可動固定具20を示す正面図、図10は背面図、図11は右側面図、図12は平面図である。
【0025】
型枠通り治具1は、例えば、住宅等のコンクリート基礎工事におけるコンクリートの打設をベース部と布基礎部とで2回に分けて行うベタ基礎2回打ち工法において、敷地の外周に沿って配置される複数の型枠を直線的に整列させる(型枠の通り出し)ために使用される治具である。型枠通り治具1は、さらに、型枠と鉄筋との間の間隔保持の機能をも有している。
【0026】
型枠通り治具1は、図1乃至図8に示すように、治具本体10と、可動固定具20と、を備えて構成される。
【0027】
治具本体10は、基部12と、基部12の長手方向の一端面に直交配置されて接合された平板部13とを備えて構成される。基部12は、金属板を折曲げ加工してなり、平面視において水平方向へ所定長さに延びる細長い長方形状を呈すると共に、正面側が開口する断面コの字状を呈している。基部12は、例えば、板厚が2~3mm程度の溶融亜鉛メッキ鋼板からなり、型枠の内側面と鉄筋とに必要な間隔(例えば40mm)以上である所定長さ(例えば、60mm~100mm程度)に設定される。基部12は、断面コの字状とされることで、必要な剛性を確保しつつ重量の軽減化を図ることができる。基部12の背面には長手方向に延びる長穴12aが開口している(つまり、基部12の背面が、本発明の長穴形成面に相当する)。また、基部12の上面及び下面には、長手方向の縁部に沿って複数の目盛り12bが等間隔に刻設されている。目盛り12bは、型枠通り治具1を型枠と鉄筋との間に取付ける際に、型枠の内側面と鉄筋との間隔L(後述する図15及び図17参照)を視認するための目印として使用される。
【0028】
平板部13は、型枠の内側面を押圧する部分であり、長方形状の金属板からなる。平板部13は、例えば、板厚が2~3mm程度の電気亜鉛メッキ鋼板からなり、60mm×60mm~60mm×80mm程度の長方形板状を呈している。平板部13は、一方の面が基部12の長手方向の一端面(図3図7における左端面)に溶接により接合され、基部12と一体化されている。
【0029】
平板部13における基部12とは反対側の面には、ゴム板14が接着剤によって接着されている。ゴム板14は、弾性を有するゴム製の板状体であって、平板部13と整合する形状及び大きさの長方形板状に形成されている。ゴム板14は、例えば、天然ゴムによって構成される。平板部13は、型枠に対して面的に押圧力を作用させつつ、ゴム板14の弾性力の作用で型枠の内側面に対して確実に密着させることができる。
【0030】
可動固定具20は、係合部材21と、蝶ナット23とを備えて構成される。
【0031】
係合部材21は、鉄筋に係合される係合穴21cを有し且つ基部12に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる金具部材である。係合部材21は、図9乃至図12に示すように、平面視C字状であり且つ断面コの字状に形成され、上下の平行面21a,21aとこれらを背面側で接続する直交端面21bとを有し、直交端面21bに固定されるボルト22を備えている。係合部材21は、外側面の上下高さが基部12の内側面の上下高さよりも小さく設定されており、基部12におけるコの字形状の内側へ挿入して重ね合わせて配置されるようになっている。
【0032】
係合部材21において、上下の平行面21a,21aには、それぞれ鉄筋が挿入されて係合される係合穴21c,21cが形成されている。係合部材21は、各係合穴21cの周方向の一部が開口してC字形状に形成されている。係合穴21cの輪郭は、平面視にて長方形と二等辺三角形とを組み合わせた五角形状であって、三角形状部21dの頂点が正面側に形成されている。係合穴21cの内径は、外径の異なる複数種類の鉄筋に係合可能な大きさに設定されている。例えば、鉄筋の外径を、10mm、13mm及び16mmの3種類とした場合、係合穴21cの内径は16mm以上に設定される。鉄筋は、係合穴21cにおける三角形状部21dの2本の等辺に当接するので、いずれの外径であっても、係合穴21cの左右方向(基部12長手方向)中央で係合することになる。直交端面21bには貫通孔が形成され、ボルト22の足部が挿通されている。
【0033】
ボルト22は、公知の平頭ボルトが好適に用いられる。ボルト22は、直交端面21bの貫通孔に、係合部材21の内側から外側(正面側から背面側)に向かって足部が挿通され、頭部の裏面が溶接により直交端面21bの内側面に接合されている。ボルト22の足部は、係合部材21が基部12の内側に挿入配置された状態で、長穴12aを通して背面側に突出する。ボルト22の足部は、長穴12a内を長手方向(図3図7における左右方向)に相対移動可能である。このため、ボルト22の足部と長穴12aとが互いに相対的に案内されつつ、係合部材21と基部12とを相対的に長手方向へスライド移動させることにより、両部材の相対位置を調整することができる。よって、係合部材21を鉄筋に取付けた状態で、鉄筋と型枠との間隔を調整することができる。
【0034】
蝶ナット23は、工具を使うことなく指で掴んで締付けたり緩めたりすることができる公知のナットであって、本発明の固定部材を構成する。蝶ナット23は、係合部材21が基部12の内側に重ねて配置された状態で、長穴12aを通して背面側に突出したボルト22の足部に螺合される。係合部材21を基部12に対して長手方向に相対位置を調整した後、基部12と係合部材21とを蝶ナット23によって共締めすることで、係合部材21が基部12に固定されると同時に、係合穴21c,21cに挿入された鉄筋に対して固定される。
【0035】
<型枠通り治具の使用方法>
次に、本実施形態に係る型枠通り治具1の使用方法について、ベタ基礎2回打ち工法を例にして、図13乃至図17を参照しつつ説明する。図13は捨てコンクリート打設工程~外側型枠設置工程を示す施工現場の断面図である。図14は型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の断面図、図15図14におけるXV線矢視部分の拡大図である。図16は型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の平面図、図17図16におけるXVII線矢視部分の拡大図である。図18はベース打設工程を示す施工現場の断面図、図19は内側型枠設置工程を示す施工現場の断面図、図20は布基礎打設工程を示す施工現場の断面図、図21は型枠解体工程後を示す施工現場の断面図である。尚、各図では、型枠通り治具1における基部12の長手方向である水平方向をX方向、X方向と直交する水平方向である型枠整列方向をY方向、垂直方向をX方向とする。
【0036】
ベタ基礎2回打ち工法では、最初に建物を建てる敷地の地盤を所定の大きさ及び深さに掘って整地した後、捨てコンクリート打設工程を行う(図13参照)。捨てコンクリート打設工程では、砕石50を敷き込んで転圧し、その上に捨てコンクリート52を打設する。捨てコンクリート52の養生後、鉄筋と型枠の位置を墨出しする。
【0037】
次に、配筋工程を行う。配筋工程では、スペーサブロック54を介して捨てコンクリート52に対して水平方向と垂直方向とに鉄筋3を配筋する(図13参照)。ここで、鉄筋3のうち、水平方向(X方向及びY方向)に配置されるものを横筋3Yと称し、垂直方向(Z方向)に配置されるものを縦筋3Tと称することとする。
【0038】
次に、外側型枠設置工程を行う。外側型枠設置工程では、敷地の外周に沿って型枠(以下、外側型枠SKと称する)を立設させる(図13参照)。具体的には、地盤上に型枠支持具58を介して長手方向に複数の外側型枠SKが直線的且つ連続的に立設保持される。また、外側型枠SKの外周には、棒状のサポート治具59が取付けられる。具体的には、サポート治具59は、外側型枠SKの外側面上部に上端が固定されると共に、下方に向かうに従って外側へ傾斜して配置され、下端が地面に固定される。
【0039】
次に、型枠通り治具取付け工程を行う。型枠通り治具取付け工程では、ベース部天端予定高さBLよりも上方位置で、型枠通り治具1を鉄筋3に取付ける(図14参照)。図14図17では、外側型枠SKに対向する縦筋3Tに型枠通り治具1の可動固定具20を固定した様子を示している。型枠通り治具1を縦筋3Tへ取付ける際は、蝶ナット23を緩めて係合穴21c,21cを基部12から露出させた状態で、縦筋3Tの上端から係合部材21の係合穴21c,21cへ挿入、或いは、係合穴21c,21cの周方向の開口部から縦筋3Tの側面に嵌め込む。Y方向に配置される横筋3Yと交差して配置される縦筋3Tは、撓みにくく、縦筋3Tに型枠通り治具1に取付けることで、外側型枠SKの内側面を確実にすることが可能となる。
【0040】
続いて、図15図17で破線にて示すように、治具本体10をX方向にスライド移動させて、外側型枠SKが直線的に整列され且つ外側型枠SKと縦筋3Tとの間隔Lが所定間隔(例えば40mm以上)となる位置に調整し、ボルト22に螺合する蝶ナット23を締付けて固定することで、治具本体10と可動固定具20との固定並びに縦筋3Tへの固定が完了する。これにより、外側型枠SKは、サポート治具59によって外側から押圧されると共に、要所に取付けられた型枠通り治具1によって内側から押圧されることによって隣接する外側型枠SK同士の捩れが修正される。型枠通り治具1は、鉄筋3に係合される係合部材21と平板部13が一端に設けられる基部12との長手方向の相対位置を自在に調整できるので、外側型枠SKにおける数mm程度の僅かな捩れも修正可能であり、外側型枠SKを直線状に正確に整列させることができる。
【0041】
型枠通り治具取付け工程の後、ベース部Bを形成するためのベースコンクリートを打設するベース打設工程を行う(図18参照)。ベース打設工程では、外側型枠SKで囲まれた領域内にベース部天端予定高さBLまで生コンクリートの打設を行う。
【0042】
ベース打設工程の後、ベースコンクリートの養生期間が経過してベースコンクリート硬化後に、外側型枠SKの内周側のベース部B上に複数の型枠(以下、内側型枠UKと称する)を対向して立設させる内側型枠設置工程を行う(図19参照)。内側型枠設置工程では、型枠通り治具1の取り外しも行う。型枠通り治具1は、蝶ナット23を指で掴んで緩めることにより鉄筋3(縦筋3T)から取り外すことができる。続いて、内側型枠設置工程の後、外側型枠SKと内側型枠UKとの間に布基礎部Nを形成するための布基礎コンクリートを打設する布基礎打設工程を行う(図20参照)。
【0043】
布基礎コンクリートの養生期間が経過して、布基礎打設工程で打設された布基礎コンクリートが硬化した後、最後に、外側型枠SK及び内側型枠UKを解体する型枠解体工程を行う。型枠解体工程では、全ての外側型枠SK、内側型枠UK及びサポート治具59を解体し、整地を行ってベタ基礎の施工が完了する(図21参照)。
【0044】
<実施形態のまとめ>
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態に係る型枠通り治具1は、コンクリート基礎を形成する際に外側型枠SKと鉄筋3との間に取付けられて型枠を整列させるために使用される治具であって、長手方向に所定長さを有する基部12、及び基部12の一端に交差して設けられる平板部13を有する治具本体10と、鉄筋3に係合される係合穴21cを有し且つ基部12に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる係合部材21、及び係合部材21を鉄筋3に対して取り外し可能に固定する固定部材としての蝶ナット23を有する可動固定具20と、を備える。
【0045】
この構成によれば、可動固定具20の係合部材21は、係合穴21cに鉄筋3を係合させると共に、治具本体10の基部12に対して長手方向に相対位置を調整した状態で鉄筋3に固定される。この状態で、基部12の一端に設けられる平板部13は型枠としての外側型枠SKの内側面を押圧する。つまり、鉄筋3に係合される係合部材21との相対位置が適切に調整された基部12の一端に設けられた平板部13によって、鉄筋3側から外側型枠SKの内側面に押圧されることで、幅方向に複数配列される外側型枠SKの捩れが修正されると共に、外側型枠SKと鉄筋3との間隔Lが適切に保持される。よって、外側型枠SKを直線的に整列させつつ、外側型枠SKと鉄筋3との間に所定間隔を保持することができるという効果を奏する。
【0046】
また、基部12は、長手方向に延びる長穴12aを有し、係合部材21は、長穴12aに挿入される凸部としてのボルト22を有し、ボルト22が長穴12aの長手方向における任意の位置に挿入された状態で固定部材としての蝶ナット23を介して基部12と固定される。
【0047】
この構成によれば、係合部材21に設けられた凸部としてのボルト22が、基部12に設けられた長穴12aの長手方向における任意の位置に挿入された状態で、係合部材21が蝶ナット23を介して基部12と固定される。よって、係合部材21と基部12とを長手方向の相対位置を簡単且つ適切に調整した状態で確実に固定することができる。
【0048】
また、基部12は、断面コの字形状の金具であり、係合部材21は、基部12の内側に重ねて配置される断面コの字形状の金具であって、係合部材21は、基部12の長穴12a形成面に対向する対向面に凸部としてのボルト22が設けられて長穴12aに挿入され、ボルト22の長穴12aから突出する部分に固定部材としての蝶ナット23を螺合して締結することで基部12及び鉄筋3と固定される。
【0049】
この構成によれば、基部12の内側に係合部材21を重ねて配置し、係合部材21に設けられるボルト22の基部12の長穴12aから突出する部分に蝶ナット23を螺合し、長手方向の任意の位置で締結することで、係合部材21を簡単な構成で基部12及び鉄筋3と確実に固定することができる。
【0050】
また、平板部13は、基部12とは反対側の表面に弾性体としてのゴム板14が設けられている。
【0051】
この構成によれば、平板部13は型枠としての外側型枠SKに対して面的に押圧力を作用させつつ、ゴム板14の弾性力の作用で外側型枠SKの内側面に対して確実に密着させることができる。
【0052】
また、係合部材21は、係合穴21cにおける内周の輪郭の一部に三角形状部21dが形成されている。
【0053】
この構成によれば、係合穴21cにおける内周の輪郭の一部に三角形状部21dが形成されているので、外径の異なる複数種類の鉄筋3を係合穴21cに安定して係合させることができる。
【0054】
また、係合部材21は、係合穴21cの周方向の一部が開口するC字形状に形成されている。
【0055】
この構成によれば、係合穴21cの周方向の一部に形成された開口から鉄筋3の側面を差し込むことができるので、垂直方向に配置される鉄筋3である縦筋3Tのみならず、水平方向に配置される横筋3Yに対しても、任意の位置で係合穴21cに係合させて、外側型枠SKと鉄筋3との間に型枠通り治具1を取付けることができる。
【0056】
ここで、型枠通り治具1を横筋3Yに取付ける例について、図22及び図23を参照しつつ説明する。図22は型枠通り治具1を横筋3Yに取付けた様子を正面視にて示す説明図であり、図23は同じく平面視にて示す説明図である。図22図23に示すように、型枠通り治具1は、蝶ナット23が基部12に対して上方に位置する姿勢で、横筋3Yに取付けられている。Y方向に配置され且つ外側型枠SKに対向する横筋3Yへの型枠通り治具1の取り付け位置は、撓みにくい箇所が好適であり、例えば、X方向に配置される横筋3Yとの交差部近傍とすることが好ましい。横筋3Yにおける撓みにくい箇所に型枠通り治具1を取付けることで、外側型枠SKの内側面を確実に押圧することが可能となる。尚、型枠通り治具1は、横筋3Yに対して蝶ナット23が基部12の下側となる向きで取付けてもよい。
【0057】
<第1変形例>
上記実施形態では、基部12と平板部13とをそれぞれ別体の金属板により形成し、基部12の長手方向の一端面に平板部13を溶接により接合して両部材を一体化する構成としたが、これには限られない。予め一体の金属板を用いて、折曲げ加工により基部12と平板部13とそれぞれ形成するようにしてもより。例えば、図24に示す第1変形例は、基部12と平板部13とを一枚の金属板によって構成したものであり、基部12における断面コの字状に成形された部分の一端側が長方形状に延設され、上下一対の長方形部分をそれぞれ上向きと下向きとにそれぞれ直角に折曲げ加工を施して平板部13,13を形成したものである。本変形例では、上下一対の平板部13,13に一対のゴム板14,14がそれぞれ接着剤により接着される。
【0058】
<第2変形例>
上記実施形態では、型枠通り治具取付け工程を示す図14において、縦筋3Tの上端付近に型枠通り治具1を固定した様子を示したが、これには限られない。型枠通り治具1の鉄筋3への取り付け位置は、ベース部天端予定高さBLよりも上方位置であればよく、例えば、図25に示す第二変形例では、縦筋3Tにおいて上から1番目の横筋3Yと上から2番目の横筋3Yとの間の位置に型枠通り治具1を固定した様子を示している、
【0059】
<その他の変形例>
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変更を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では係合部材21を係合穴21cの周方向の一部が開口するC字形状に形成される構成を示したが、これには限られない。例えば、係合部材21を係合穴21cの全周が閉塞されたリング形状に形成される構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、型枠の内側面と鉄筋との間隔Lを確認し易くするため、基部12の上面又は下面に刻設された各目盛り12bの近傍に、40[mm]、45[mm]、50[mm]・・・のように、治具本体10の長手方向一端(型枠の内側面に当接するゴム板14の表面)からの距離を表す数値を表示するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、平板部13において、基部12とは反対側の表面にゴム板14を設ける構成としたが、必要な弾性を有する弾性体であれば、ゴム板以外の弾性体を用いる構成としてもよい。例えば、本発明の弾性体として、合成樹脂を発泡させて形成したスポンジ板を平板部13に設ける構成としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、それぞれ別体の金属板により形成した基部12と平板部13とを溶接により接合して一体化する例を示したが、溶接以外の方法で両部材を一体化した構成としてもよい。例えば、予め基部12及び平板部13の一方又は両方の部材に固定代を延設しておき、固定代にプレス成形加工を施すことで両部材を一体化するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 型枠通り治具
10 治具本体
12 基部
12a 長穴
13 平板部
14 ゴム板(弾性体)
20 可動固定具
21 係合部材
21c 係合穴
21d 三角形状部
22 ボルト(凸部)
23 蝶ナット(固定部材、ナット)
B ベース部
BL ベース部天端予定高さ
N 布基礎部
SK 外側型枠
UK 内側型枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2022-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート基礎工事に用いる型枠通り治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等のコンクリート基礎工事において、型枠の外側への傾倒を防止するために振止めサポートと称される治具(単にサポート或いはサポータとも称される)が用いられている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
この振止めサポートは、金属等からなる棒状部材であって、一端側を型枠の外側上部に取付けると共に、他端側を杭状部材の打ち込みを介して地面に固定することで、型枠を外側から内側(鉄筋が配置される側)に向かって押圧して傾倒を防止する。
【0004】
一方、型枠を用いて基礎コンクリートを施工する際、型枠の内側面と基礎鉄筋との間に所定間隔(「被り」と称される)を保持するために、ドーナツ形に樹脂成形された鉄筋ペーサと称される器具が広く用いられている(例えば、特許文献2等参照。)。この鉄筋スペーサは、基礎鉄筋の要所に装着されて、その外周枠が型枠の内側面に当接することで、型枠の内側面と基礎鉄筋との間に所定間隔を保持できるものである。
【0005】
ところが、鉄筋スペーサは、その一部が基礎コンクリートからはみ出す等、埋設状態が正常でない場合には、基礎コンクリートの強度に影響を及ぼす恐れがあるという問題がある。かかる問題を解決するものとして、基礎コンクリートの強度に影響を及ぼすことなく型枠の内側面と基礎鉄筋との間に所定間隔を保持することができる鉄筋用間隔保持具が提案されている( 例えば、特許文献3等参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-173349号公報
【特許文献2】特開平10-238018号公報
【特許文献3】実用新案登録第3232252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される従来技術における振止めサポートによる型枠の支持では、型枠がもっぱら外側からの押圧で支持されるため、連結された型枠同士が左右に捩れた場合、複数の型枠を直線的に整列させること(型枠の通り出し)が困難となる。
【0008】
一方、特許文献2,3に開示される従来技術における鉄筋用間隔保持具では、個々の型枠において内側面と鉄筋との間隔保持はできるものの、間隔が一定であって微調整が不可能であり、型枠の捩れを修正することはできない。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、型枠を直線的に整列させつつ、型枠と鉄筋との間に所定間隔を保持することが可能な型枠通り治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る型枠通り治具は、コンクリート基礎を形成する際に型枠と鉄筋との間に取付けられて前記型枠を整列させるために使用される治具であって、長手方向に所定長さを有する基部、及び前記基部の一端に交差して設けられる板状の平板部を有する治具本体と、前記鉄筋に係合される係合穴を有し且つ前記基部に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる係合部材、及び前記係合部材を前記鉄筋に対して取り外し可能に固定する固定部材を有する可動固定具と、を備える。
【0011】
この構成によれば、可動固定具の係合部材は、係合穴に鉄筋を係合させると共に、治具本体の基部に対して長手方向に相対位置を調整した状態で鉄筋に固定される。この状態で、基部の一端に設けられる平板部は型枠の内側面を押圧する。つまり、鉄筋に係合される係合部材との相対位置が適切に調整された基部の一端に設けられた平板部によって、鉄筋側から型枠の内側面に押圧されることで、幅方向に複数配列される型枠の捩れが修正されると共に、型枠と鉄筋との間隔が適切に保持される。よって、型枠を直線的に整列させつつ、型枠と鉄筋との間に所定間隔を保持することができるという効果を奏する。
【0012】
また、前記基部は、前記長手方向に延びる長穴を有し、前記係合部材は、前記長穴に挿入される凸部を有し、前記凸部が前記長穴の前記長手方向における任意の位置に挿入された状態で前記固定部材を介して前記基部と固定される。
【0013】
この構成によれば、係合部材に設けられた凸部が、基部に設けられた長穴の長手方向における任意の位置に挿入された状態で、係合部材が固定部材を介して基部と固定される。よって、係合部材と基部とを長手方向の相対位置を簡単且つ適切に調整した状態で確実に固定することができる。
【0014】
また、前記基部は、断面コの字形状の金具であり、前記係合部材は、前記基部の内側に重ねて配置される断面コの字形状の金具であって、前記係合部材は、前記基部の前記長穴形成面に対向する対向面に前記凸部としてのボルトが設けられて前記長穴に挿入され、前記ボルトの前記長穴から突出する部分に前記固定部材としてのナットを螺合して締結することで前記基部及び前記鉄筋と固定される。
【0015】
この構成によれば、基部の内側に係合部材を重ねて配置し、係合部材に設けられるボルトの基部の長穴から突出する部分にナットを螺合し、長手方向の任意の位置で締結することで、係合部材を簡単な構成で基部及び鉄筋と確実に固定することができる。
【0016】
また、前記平板部は、前記基部とは反対側の表面に弾性体が設けられている。
【0017】
この構成によれば、平板部は型枠に対して面的に押圧力を作用させつつ、弾性体の弾性力の作用で型枠の内側面に対して確実に密着させることができる。
【0018】
また、前記係合部材は、前記係合穴における内周の輪郭の一部に三角形状部が形成されている。
【0019】
この構成によれば、係合穴における内周の輪郭の一部に三角形状部が形成されているので、外径の異なる複数種類の鉄筋に安定して係合させることができる。
【0020】
また、前記係合部材は、前記係合穴の周方向の一部が開口するC字形状に形成されている。
【0021】
この構成によれば、係合穴の周方向の一部に形成された開口から鉄筋の側面を差し込むことができるので、垂直方向に配置される鉄筋である縦筋のみならず、水平方向に配置される横筋に対しても、任意の位置で係合穴に係合させて、型枠と鉄筋との間に型枠通り治具を取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る型枠通り治具の全体構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る型枠通り治具の全体構成を示す別の斜視図である。
図3】実施形態に係る型枠通り治具を示す正面図である。
図4】実施形態に係る型枠通り治具を示す背面図である。
図5】実施形態に係る型枠通り治具を示す右側面図である。
図6】実施形態に係る型枠通り治具を示す左側面図である。
図7】実施形態に係る型枠通り治具を示す平面図である。
図8】実施形態に係る型枠通り治具を示す底面図である。
図9】実施形態に係る係合部材を示す正面図である。
図10】実施形態に係る係合部材を示す背面図である。
図11】実施形態に係る係合部材を示す右側面図である。
図12】実施形態に係る係合部材を示す平面図である。
図13】捨てコンクリート打設工程~外側型枠設置工程を示す施工現場の断面図である。
図14】型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の断面図である。
図15図14におけるXV線矢視部分の拡大図である。
図16】型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の平面図である。
図17図16におけるXVII線矢視部分の拡大図である。
図18】ベース打設工程を示す施工現場の断面図である。
図19】内側型枠設置工程を示す施工現場の断面図である。
図20】布基礎打設工程を示す施工現場の断面図である。
図21】型枠解体工程後を示す施工現場の断面図である。
図22】型枠通り治具を横筋に取付けた様子を正面視にて示す説明図である。
図23】型枠通り治具を横筋に取付けた様子を平面視にて示す説明図である。
図24】第1変形例に係る型枠通り治具の全体構成を示す斜視図である。
図25】第2変形例に係る型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る型枠通り治具を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
<型枠通り治具の構成>
最初に、本発明の実施形態に係る型枠通り治具1の構成について、図1乃至図12を参照しつつ説明する。図1は型枠通り治具1の全体構成を示す斜視図、図2は別の斜視図、図3は正面図、図4は背面図、図5は右側面図、図6は左側面図、図7は平面図、図8は底面図である。図9は可動固定具20を示す正面図、図10は背面図、図11は右側面図、図12は平面図である。
【0025】
型枠通り治具1は、例えば、住宅等のコンクリート基礎工事におけるコンクリートの打設をベース部と布基礎部とで2回に分けて行うベタ基礎2回打ち工法において、敷地の外周に沿って配置される複数の型枠を直線的に整列させる(型枠の通り出し)ために使用される治具である。型枠通り治具1は、さらに、型枠と鉄筋との間の間隔保持の機能をも有している。
【0026】
型枠通り治具1は、図1乃至図8に示すように、治具本体10と、可動固定具20と、を備えて構成される。
【0027】
治具本体10は、基部12と、基部12の長手方向の一端面に直交配置されて接合された平板部13とを備えて構成される。基部12は、金属板を折曲げ加工してなり、平面視において水平方向へ所定長さに延びる細長い長方形状を呈すると共に、正面側が開口する断面コの字状を呈している。基部12は、例えば、板厚が2~3mm程度の溶融亜鉛メッキ鋼板からなり、型枠の内側面と鉄筋とに必要な間隔(例えば40mm)以上である所定長さ(例えば、60mm~100mm程度)に設定される。基部12は、断面コの字状とされることで、必要な剛性を確保しつつ重量の軽減化を図ることができる。基部12の背面には長手方向に延びる長穴12aが開口している(つまり、基部12の背面が、本発明の長穴形成面に相当する)。また、基部12の上面及び下面には、長手方向の縁部に沿って複数の目盛り12bが等間隔に刻設されている。目盛り12bは、型枠通り治具1を型枠と鉄筋との間に取付ける際に、型枠の内側面と鉄筋との間隔L(後述する図15及び図17参照)を視認するための目印として使用される。
【0028】
平板部13は、型枠の内側面を押圧する部分であり、長方形状の金属板からなる。平板部13は、例えば、板厚が2~3mm程度の電気亜鉛メッキ鋼板からなり、60mm×60mm~60mm×80mm程度の長方形板状を呈している。平板部13は、一方の面が基部12の長手方向の一端面(図3図7における左端面)に溶接により接合され、基部12と一体化されている。
【0029】
平板部13における基部12とは反対側の面には、ゴム板14が接着剤によって接着されている。ゴム板14は、弾性を有するゴム製の板状体であって、平板部13と整合する形状及び大きさの長方形板状に形成されている。ゴム板14は、例えば、天然ゴムによって構成される。平板部13は、型枠に対して面的に押圧力を作用させつつ、ゴム板14の弾性力の作用で型枠の内側面に対して確実に密着させることができる。
【0030】
可動固定具20は、係合部材21と、蝶ナット23とを備えて構成される。
【0031】
係合部材21は、鉄筋に係合される係合穴21cを有し且つ基部12に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる金具部材である。係合部材21は、図9乃至図12に示すように、平面視C字状であり且つ断面コの字状に形成され、上下の平行面21a,21aとこれらを背面側で接続する直交端面21bとを有し、直交端面21bに固定されるボルト22を備えている。係合部材21は、外側面の上下高さが基部12の内側面の上下高さよりも小さく設定されており、基部12におけるコの字形状の内側へ挿入して重ね合わせて配置されるようになっている。
【0032】
係合部材21において、上下の平行面21a,21aには、それぞれ鉄筋が挿入されて係合される係合穴21c,21cが形成されている。係合部材21は、各係合穴21cの周方向の一部が開口してC字形状に形成されている。係合穴21cの輪郭は、平面視にて長方形と二等辺三角形とを組み合わせた五角形状であって、三角形状部21dの頂点が正面側に形成されている。係合穴21cの内径は、外径の異なる複数種類の鉄筋に係合可能な大きさに設定されている。例えば、鉄筋の外径を、10mm、13mm及び16mmの3種類とした場合、係合穴21cの内径は16mm以上に設定される。鉄筋は、係合穴21cにおける三角形状部21dの2本の等辺に当接するので、いずれの外径であっても、係合穴21cの左右方向(基部12長手方向)中央で係合することになる。直交端面21bには貫通孔が形成され、ボルト22の足部が挿通されている。
【0033】
ボルト22は、公知の平頭ボルトが好適に用いられる。ボルト22は、直交端面21bの貫通孔に、係合部材21の内側から外側(正面側から背面側)に向かって足部が挿通され、頭部の裏面が溶接により直交端面21bの内側面に接合されている。ボルト22の足部は、係合部材21が基部12の内側に挿入配置された状態で、長穴12aを通して背面側に突出する。ボルト22の足部は、長穴12a内を長手方向(図3図7における左右方向)に相対移動可能である。このため、ボルト22の足部と長穴12aとが互いに相対的に案内されつつ、係合部材21と基部12とを相対的に長手方向へスライド移動させることにより、両部材の相対位置を調整することができる。よって、係合部材21を鉄筋に取付けた状態で、鉄筋と型枠との間隔を調整することができる。
【0034】
蝶ナット23は、工具を使うことなく指で掴んで締付けたり緩めたりすることができる公知のナットであって、本発明の固定部材を構成する。蝶ナット23は、係合部材21が基部12の内側に重ねて配置された状態で、長穴12aを通して背面側に突出したボルト22の足部に螺合される。係合部材21を基部12に対して長手方向に相対位置を調整した後、基部12と係合部材21とを蝶ナット23によって共締めすることで、係合部材21が基部12に固定されると同時に、係合穴21c,21cに挿入された鉄筋に対して固定される。
【0035】
<型枠通り治具の使用方法>
次に、本実施形態に係る型枠通り治具1の使用方法について、ベタ基礎2回打ち工法を例にして、図13乃至図17を参照しつつ説明する。図13は捨てコンクリート打設工程~外側型枠設置工程を示す施工現場の断面図である。図14は型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の断面図、図15図14におけるXV線矢視部分の拡大図である。図16は型枠通り治具取付け工程を示す施工現場の平面図、図17図16におけるXVII線矢視部分の拡大図である。図18はベース打設工程を示す施工現場の断面図、図19は内側型枠設置工程を示す施工現場の断面図、図20は布基礎打設工程を示す施工現場の断面図、図21は型枠解体工程後を示す施工現場の断面図である。尚、各図では、型枠通り治具1における基部12の長手方向である水平方向をX方向、X方向と直交する水平方向である型枠整列方向をY方向、垂直方向をX方向とする。
【0036】
ベタ基礎2回打ち工法では、最初に建物を建てる敷地の地盤を所定の大きさ及び深さに掘って整地した後、捨てコンクリート打設工程を行う(図13参照)。捨てコンクリート打設工程では、砕石50を敷き込んで転圧し、その上に捨てコンクリート52を打設する。捨てコンクリート52の養生後、鉄筋と型枠の位置を墨出しする。
【0037】
次に、配筋工程を行う。配筋工程では、スペーサブロック54を介して捨てコンクリート52に対して水平方向と垂直方向とに鉄筋3を配筋する(図13参照)。ここで、鉄筋3のうち、水平方向(X方向及びY方向)に配置されるものを横筋3Yと称し、垂直方向(Z方向)に配置されるものを縦筋3Tと称することとする。
【0038】
次に、外側型枠設置工程を行う。外側型枠設置工程では、敷地の外周に沿って型枠(以下、外側型枠SKと称する)を立設させる(図13参照)。具体的には、地盤上に型枠支持具58を介して長手方向に複数の外側型枠SKが直線的且つ連続的に立設保持される。また、外側型枠SKの外周には、棒状のサポート治具59が取付けられる。具体的には、サポート治具59は、外側型枠SKの外側面上部に上端が固定されると共に、下方に向かうに従って外側へ傾斜して配置され、下端が地面に固定される。
【0039】
次に、型枠通り治具取付け工程を行う。型枠通り治具取付け工程では、ベース部天端予定高さBLよりも上方位置で、型枠通り治具1を鉄筋3に取付ける(図14参照)。図14図17では、外側型枠SKに対向する縦筋3Tに型枠通り治具1の可動固定具20を固定した様子を示している。型枠通り治具1を縦筋3Tへ取付ける際は、蝶ナット23を緩めて係合穴21c,21cを基部12から露出させた状態で、縦筋3Tの上端から係合部材21の係合穴21c,21cへ挿入、或いは、係合穴21c,21cの周方向の開口部から縦筋3Tの側面に嵌め込む。Y方向に配置される横筋3Yと交差して配置される縦筋3Tは、撓みにくく、縦筋3Tに型枠通り治具1に取付けることで、外側型枠SKの内側面を確実にすることが可能となる。
【0040】
続いて、図15図17で破線にて示すように、治具本体10をX方向にスライド移動させて、外側型枠SKが直線的に整列され且つ外側型枠SKと縦筋3Tとの間隔Lが所定間隔(例えば40mm以上)となる位置に調整し、ボルト22に螺合する蝶ナット23を締付けて固定することで、治具本体10と可動固定具20との固定並びに縦筋3Tへの固定が完了する。これにより、外側型枠SKは、サポート治具59によって外側から押圧されると共に、要所に取付けられた型枠通り治具1によって内側から押圧されることによって隣接する外側型枠SK同士の捩れが修正される。型枠通り治具1は、鉄筋3に係合される係合部材21と平板部13が一端に設けられる基部12との長手方向の相対位置を自在に調整できるので、外側型枠SKにおける数mm程度の僅かな捩れも修正可能であり、外側型枠SKを直線状に正確に整列させることができる。
【0041】
型枠通り治具取付け工程の後、ベース部Bを形成するためのベースコンクリートを打設するベース打設工程を行う(図18参照)。ベース打設工程では、外側型枠SKで囲まれた領域内にベース部天端予定高さBLまで生コンクリートの打設を行う。
【0042】
ベース打設工程の後、ベースコンクリートの養生期間が経過してベースコンクリート硬化後に、外側型枠SKの内周側のベース部B上に複数の型枠(以下、内側型枠UKと称する)を対向して立設させる内側型枠設置工程を行う(図19参照)。内側型枠設置工程では、型枠通り治具1の取り外しも行う。型枠通り治具1は、蝶ナット23を指で掴んで緩めることにより鉄筋3(縦筋3T)から取り外すことができる。続いて、内側型枠設置工程の後、外側型枠SKと内側型枠UKとの間に布基礎部Nを形成するための布基礎コンクリートを打設する布基礎打設工程を行う(図20参照)。
【0043】
布基礎コンクリートの養生期間が経過して、布基礎打設工程で打設された布基礎コンクリートが硬化した後、最後に、外側型枠SK及び内側型枠UKを解体する型枠解体工程を行う。型枠解体工程では、全ての外側型枠SK、内側型枠UK及びサポート治具59を解体し、整地を行ってベタ基礎の施工が完了する(図21参照)。
【0044】
<実施形態のまとめ>
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態に係る型枠通り治具1は、コンクリート基礎を形成する際に外側型枠SKと鉄筋3との間に取付けられて型枠を整列させるために使用される治具であって、長手方向に所定長さを有する基部12、及び基部12の一端に交差して設けられる平板部13を有する治具本体10と、鉄筋3に係合される係合穴21cを有し且つ基部12に対して長手方向に相対位置を調整可能に設けられる係合部材21、及び係合部材21を鉄筋3に対して取り外し可能に固定する固定部材としての蝶ナット23を有する可動固定具20と、を備える。
【0045】
この構成によれば、可動固定具20の係合部材21は、係合穴21cに鉄筋3を係合させると共に、治具本体10の基部12に対して長手方向に相対位置を調整した状態で鉄筋3に固定される。この状態で、基部12の一端に設けられる平板部13は型枠としての外側型枠SKの内側面を押圧する。つまり、鉄筋3に係合される係合部材21との相対位置が適切に調整された基部12の一端に設けられた平板部13によって、鉄筋3側から外側型枠SKの内側面に押圧されることで、幅方向に複数配列される外側型枠SKの捩れが修正されると共に、外側型枠SKと鉄筋3との間隔Lが適切に保持される。よって、外側型枠SKを直線的に整列させつつ、外側型枠SKと鉄筋3との間に所定間隔を保持することができるという効果を奏する。
【0046】
また、基部12は、長手方向に延びる長穴12aを有し、係合部材21は、長穴12aに挿入される凸部としてのボルト22を有し、ボルト22が長穴12aの長手方向における任意の位置に挿入された状態で固定部材としての蝶ナット23を介して基部12と固定される。
【0047】
この構成によれば、係合部材21に設けられた凸部としてのボルト22が、基部12に設けられた長穴12aの長手方向における任意の位置に挿入された状態で、係合部材21が蝶ナット23を介して基部12と固定される。よって、係合部材21と基部12とを長手方向の相対位置を簡単且つ適切に調整した状態で確実に固定することができる。
【0048】
また、基部12は、断面コの字形状の金具であり、係合部材21は、基部12の内側に重ねて配置される断面コの字形状の金具であって、係合部材21は、基部12の長穴12a形成面に対向する対向面に凸部としてのボルト22が設けられて長穴12aに挿入され、ボルト22の長穴12aから突出する部分に固定部材としての蝶ナット23を螺合して締結することで基部12及び鉄筋3と固定される。
【0049】
この構成によれば、基部12の内側に係合部材21を重ねて配置し、係合部材21に設けられるボルト22の基部12の長穴12aから突出する部分に蝶ナット23を螺合し、長手方向の任意の位置で締結することで、係合部材21を簡単な構成で基部12及び鉄筋3と確実に固定することができる。
【0050】
また、平板部13は、基部12とは反対側の表面に弾性体としてのゴム板14が設けられている。
【0051】
この構成によれば、平板部13は型枠としての外側型枠SKに対して面的に押圧力を作用させつつ、ゴム板14の弾性力の作用で外側型枠SKの内側面に対して確実に密着させることができる。
【0052】
また、係合部材21は、係合穴21cにおける内周の輪郭の一部に三角形状部21dが形成されている。
【0053】
この構成によれば、係合穴21cにおける内周の輪郭の一部に三角形状部21dが形成されているので、外径の異なる複数種類の鉄筋3を係合穴21cに安定して係合させることができる。
【0054】
また、係合部材21は、係合穴21cの周方向の一部が開口するC字形状に形成されている。
【0055】
この構成によれば、係合穴21cの周方向の一部に形成された開口から鉄筋3の側面を差し込むことができるので、垂直方向に配置される鉄筋3である縦筋3Tのみならず、水平方向に配置される横筋3Yに対しても、任意の位置で係合穴21cに係合させて、外側型枠SKと鉄筋3との間に型枠通り治具1を取付けることができる。
【0056】
ここで、型枠通り治具1を横筋3Yに取付ける例について、図22及び図23を参照しつつ説明する。図22は型枠通り治具1を横筋3Yに取付けた様子を正面視にて示す説明図であり、図23は同じく平面視にて示す説明図である。図22図23に示すように、型枠通り治具1は、蝶ナット23が基部12に対して上方に位置する姿勢で、横筋3Yに取付けられている。Y方向に配置され且つ外側型枠SKに対向する横筋3Yへの型枠通り治具1の取り付け位置は、撓みにくい箇所が好適であり、例えば、X方向に配置される横筋3Yとの交差部近傍とすることが好ましい。横筋3Yにおける撓みにくい箇所に型枠通り治具1を取付けることで、外側型枠SKの内側面を確実に押圧することが可能となる。尚、型枠通り治具1は、横筋3Yに対して蝶ナット23が基部12の下側となる向きで取付けてもよい。
【0057】
<第1変形例>
上記実施形態では、基部12と平板部13とをそれぞれ別体の金属板により形成し、基部12の長手方向の一端面に平板部13を溶接により接合して両部材を一体化する構成としたが、これには限られない。予め一体の金属板を用いて、折曲げ加工により基部12と平板部13とそれぞれ形成するようにしてもより。例えば、図24に示す第1変形例は、基部12と平板部13とを一枚の金属板によって構成したものであり、基部12における断面コの字状に成形された部分の一端側が長方形状に延設され、上下一対の長方形部分をそれぞれ上向きと下向きとにそれぞれ直角に折曲げ加工を施して平板部13,13を形成したものである。本変形例では、上下一対の平板部13,13に一対のゴム板14,14がそれぞれ接着剤により接着される。
【0058】
<第2変形例>
上記実施形態では、型枠通り治具取付け工程を示す図14において、縦筋3Tの上端付近に型枠通り治具1を固定した様子を示したが、これには限られない。型枠通り治具1の鉄筋3への取り付け位置は、ベース部天端予定高さBLよりも上方位置であればよく、例えば、図25に示す第二変形例では、縦筋3Tにおいて上から1番目の横筋3Yと上から2番目の横筋3Yとの間の位置に型枠通り治具1を固定した様子を示している、
【0059】
<その他の変形例>
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変更を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では係合部材21を係合穴21cの周方向の一部が開口するC字形状に形成される構成を示したが、これには限られない。例えば、係合部材21を係合穴21cの全周が閉塞されたリング形状に形成される構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、型枠の内側面と鉄筋との間隔Lを確認し易くするため、基部12の上面又は下面に刻設された各目盛り12bの近傍に、40[mm]、45[mm]、50[mm]・・・のように、治具本体10の長手方向一端(型枠の内側面に当接するゴム板14の表面)からの距離を表す数値を表示するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、平板部13において、基部12とは反対側の表面にゴム板14を設ける構成としたが、必要な弾性を有する弾性体であれば、ゴム板以外の弾性体を用いる構成としてもよい。例えば、本発明の弾性体として、合成樹脂を発泡させて形成したスポンジ板を平板部13に設ける構成としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、それぞれ別体の金属板により形成した基部12と平板部13とを溶接により接合して一体化する例を示したが、溶接以外の方法で両部材を一体化した構成としてもよい。例えば、予め基部12及び平板部13の一方又は両方の部材に固定代を延設しておき、固定代にプレス成形加工を施すことで両部材を一体化するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 型枠通り治具
10 治具本体
12 基部
12a 長穴
13 平板部
14 ゴム板(弾性体)
20 可動固定具
21 係合部材
21c 係合穴
21d 三角形状部
22 ボルト(凸部)
23 蝶ナット(固定部材、ナット)
B ベース部
BL ベース部天端予定高さ
N 布基礎部
SK 外側型枠
UK 内側型枠