(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038643
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】通信システム、計測方法、およびプログラム管理システム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/0864 20220101AFI20240313BHJP
【FI】
H04L43/0864
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142822
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】397065480
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】田坂 明照
(72)【発明者】
【氏名】貞苅 昌史
(72)【発明者】
【氏名】上田 勇人
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 真充
(72)【発明者】
【氏名】江川 知樹
(72)【発明者】
【氏名】関戸 功基
(72)【発明者】
【氏名】高野 将志
(57)【要約】
【課題】トランスポンダ等の通信装置をプログラムで動作させることで通信装置間のパフォーマンス等を高い精度で計測すること。
【解決手段】本発明の一態様は、ホワイトボックス型のトランスポンダにより信号を伝送する伝送システムと、前記伝送システムのうち計測対象に設定された複数の前記トランスポンダのそれぞれに計測用プログラムを配置し、前記計測用プログラムのそれぞれにより前記複数のトランスポンダの間で信号を伝送させることで取得した前記複数の計測結果に基づいて前記複数のトランスポンダ間の信号伝送状態を計測するプログラム管理システムと、を備える、通信システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホワイトボックス型のトランスポンダにより信号を伝送する伝送システムと、
前記伝送システムのうち計測対象に設定された複数のトランスポンダのそれぞれに計測用プログラムを配置し、前記計測用プログラムのそれぞれにより前記複数のトランスポンダの間で信号を伝送させることで取得した複数の計測結果に基づいて前記複数のトランスポンダの間の信号伝送状態を計測するプログラム管理システムと、
を備える、通信システム。
【請求項2】
ユーザに操作される端末装置を備え、
前記トランスポンダは、監視エージェント部と、前記計測用プログラムがコンテナとして配置されるコンテナ配置部と、前記コンテナ配置部に前記コンテナを追加および変更し、前記コンテナを動作させるコンテナ管理部と、を備え、前記監視エージェント部により前記計測結果を取得し、
前記プログラム管理システムは、前記監視エージェント部から前記計測結果を収集する監視サーバ部と、前記端末装置に対するユーザの操作に基づいて前記コンテナの元となるコンテナイメージを複数蓄積するコンテナ蓄積部と、前記複数のトランスポンダのそれぞれに前記コンテナイメージを用いて前記コンテナを提供するコンテナ提供部と、を備え、
前記コンテナが配置される複数のトランスポンダ、および各トランスポンダに配置される前記コンテナは、前記端末装置に対するユーザの操作に基づいて設定される、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記コンテナイメージのそれぞれは、前記複数のトランスポンダの間におけるターンアラウンドタイムを計測するプログラムデータと、前記ターンアラウンドタイムを計測するための計測タイミングを含む設定情報と、を含む、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
計測用プログラムを複数蓄積するステップと、
ホワイトボックス型のトランスポンダにより信号を伝送する伝送システムのうち計測対象に設定された複数のトランスポンダのそれぞれに前記計測用プログラムを配置するステップと、
前記計測用プログラムのそれぞれにより前記複数のトランスポンダの間で信号を伝送するステップと、
前記計測用プログラムのそれぞれにより取得した複数の計測結果を収集するステップと、
を含む、計測方法。
【請求項5】
ホワイトボックス型のトランスポンダにより信号を伝送する伝送システムのうち計測対象に設定された複数のトランスポンダのそれぞれに計測用プログラムを提供するプログラム提供部を備え、
前記計測用プログラムのそれぞれにより前記複数のトランスポンダの間で信号を伝送させることで取得した複数の計測結果に基づいて、前記複数のトランスポンダの間の信号伝送状態を計測する、プログラム管理システム。
【請求項6】
端末装置に対するユーザの操作に基づいて前記計測用プログラムとしてのコンテナの元となるコンテナイメージを複数蓄積するコンテナ蓄積部を備え、
前記コンテナが配置される複数のトランスポンダ、および各トランスポンダに配置される前記コンテナは、前記端末装置に対するユーザの操作に基づいて設定される、
請求項5に記載のプログラム管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、計測方法、およびプログラム管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラックボックス型のトランスポンダを多数配置した通信システムが知られている。ブラックボックス型のトランスポンダは、ユーザが自由に作成したアプリケーションプログラムを動作させることができないため、トランスポンダ間のパフォーマンスを定量化するためにはトランスポンダの外部に計測装置を配置する必要があった。トランスポンダの外部に計測装置を配置すると、測定値にトランスポンダと計測装置との間の計測値も含まれてしまうため正確さが損なわれてしまう。したがって、ブラックボックス型のトランスポンダを備えた通信システムは、トランスポンダ間のパフォーマンスを純粋に計測することができなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】インターネット<https://www.ntt-electronics.com/new/information/2019/11/ntt-electronics-contributes-goldstone-open-source-network-os-for-disaggregated-coherent-transponders.html>、NTTエレクトロニクス株式会社「ホワイトボックス型光伝送装置向けオープンソースOS「Goldstone」に貢献」、2019年11月13日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1には、ホワイトボックス型光伝送装置にオープンソースのプログラムを用いることが記載されているが、ホワイトボックス型光伝送装置をどのようなプログラムを導入し、どのようにホワイトボックス型光伝送装置を動作させることは記載されていない。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、トランスポンダ等の通信装置をプログラムで動作させることで通信装置間のパフォーマンス等を高い精度で計測することができる通信システム、計測方法、およびプログラム管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、ホワイトボックス型のトランスポンダにより信号を伝送する伝送システムと、前記伝送システムのうち計測対象に設定された複数の前記トランスポンダのそれぞれに計測用プログラムを配置し、前記計測用プログラムのそれぞれにより前記複数のトランスポンダの間で信号を伝送させることで取得した前記複数の計測結果に基づいて前記複数のトランスポンダ間の信号伝送状態を計測するプログラム管理システムと、を備える、通信システムである。
【0007】
(2)本発明の一態様は、上記の通信システムであって、ユーザに操作される端末装置を備え、前記トランスポンダは、監視エージェント部と、前記計測用プログラムがコンテナとして配置されるコンテナ配置部と、前記コンテナ配置部に前記コンテナを追加および変更し、前記コンテナを動作させるコンテナ管理部と、を備え、前記監視エージェント部により前記計測結果を取得し、前記プログラム管理システムは、前記監視エージェント部から前記計測結果を収集する監視サーバ部と、前記端末装置に対するユーザの操作に基づいて前記コンテナの元となるコンテナイメージを複数蓄積するコンテナ蓄積部と、前記複数のトランスポンダのそれぞれに前記コンテナイメージを用いて前記コンテナを提供するコンテナ提供部と、を備え、前記コンテナが配置される複数のトランスポンダ、および各トランスポンダに配置される前記コンテナは、前記端末装置に対するユーザの操作に基づいて設定されてよい。
【0008】
(3)本発明の一態様は、上記の通信システムであって、前記コンテナイメージのそれぞれは、前記複数のトランスポンダの間におけるターンアラウンドタイムを計測するプログラムデータと、前記ターンアラウンドタイムを計測するための計測タイミングを含む設定情報と、前記コンテナの生存期間情報とを含んでよい。
【0009】
(4)本発明の一態様は、計測用プログラムを複数蓄積するステップと、ホワイトボックス型のトランスポンダにより信号を伝送する伝送システムのうち計測対象に設定された複数のトランスポンダのそれぞれに計測用プログラムを配置するステップと、前記計測用プログラムのそれぞれにより前記複数のトランスポンダの間で信号を伝送するステップと、前記計測用プログラムのそれぞれにより取得した複数の計測結果を収集するステップと、を含む、計測方法である。
【0010】
(5)本発明の一態様は、ホワイトボックス型のトランスポンダにより信号を伝送する伝送システムのうち計測対象に設定された複数のトランスポンダのそれぞれに計測用プログラムを提供するプログラム提供部を備え、前記計測用プログラムのそれぞれにより前記複数のトランスポンダの間で信号を伝送させることで取得した前記複数の計測結果に基づいて、前記複数のトランスポンダ間の信号伝送状態を計測する、プログラム管理システムである。
【0011】
(6)本発明の一態様は、上記のプログラム管理システムであって、端末装置に対するユーザの操作に基づいて前記計測用プログラムとしてのコンテナの元となるコンテナイメージを複数蓄積するコンテナ蓄積部を備え、前記コンテナが配置される複数のトランスポンダ、および各トランスポンダに配置される前記コンテナは、前記端末装置に対するユーザの操作に基づいて設定されてよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、トランスポンダ等の通信装置をプログラムで動作させることで通信装置間のパフォーマンス等を高い精度で計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態の通信システム1の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態におけるホワイトボックス型トランスポンダ210の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態におけるホワイトボックス型トランスポンダ210におけるソフトウェアスタックの一例を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態においてホワイトボックス型トランスポンダ210にコンテナ215aを配置する処理の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態においてホワイトボックス型トランスポンダ210にコンテナ215aを配置する処理の一例を示シーケンス図である。
【
図6】実施の形態においてターンアラウンドタイムを計測する区間を示す図である。
【
図7】実施の形態においてターンアラウンドタイムを計測する処理の一例を示す図である。
【
図8】実施の形態におけるターンアラウンドタイムを計測する処理の一例を示シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した通信システム、通信制御装置、通信制御方法、通信装置、通信方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0015】
実施の形態の通信システムは、ホワイトボックス型トランスポンダ等により信号を伝送する伝送システムにおける複数のホワイトボックス型トランスポンダ間の信号伝送状態を計測する計測システムを備える。ホワイトボックス型トランスポンダは、OSを含むソフトウェアをユーザにより選択または開発して導入することができ、導入したソフトウェアによりハードウェアを動作させることができるトランスポンダである。通信システムは、伝送システムのうち計測対象に設定された複数のホワイトボックス型トランスポンダのそれぞれに計測用プログラムを配置し、計測用プログラムのそれぞれにより複数のホワイトボックス型トランスポンダの間で信号を伝送させ、計測用プログラムのそれぞれから取得した複数の計測結果に基づいて複数のホワイトボックス型トランスポンダ間の信号伝送状態を計測する。これにより通信システムは、トランスポンダ等の通信装置をプログラムで動作させることで通信装置間のパフォーマンス等を高い精度で計測することができる。以下、通信システムについて詳細に説明する。
【0016】
図1は、実施の形態の通信システム1の一例を示すブロック図である。通信システム1は、例えば、コンテナ管理システム100と、伝送システム200と、ユーザ端末装置300と、コンテナレジストリ装置400とを備える。コンテナ管理システム100の各部、伝送システム200の各部、ユーザ端末装置300、およびコンテナレジストリ装置400のそれぞれは、例えば通信ネットワークに接続され、NIC(Network Interface Card)や無線通信モジュールなどの通信インターフェイスを備えてよい(
図1では不図示)。通信ネットワークは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、セルラー網などを含む。
【0017】
コンテナ管理システム100は、例えば、オーケストレータ装置110と、デバイスアダプタ装置120と、監視サーバ装置130とを備える。オーケストレータ装置110、デバイスアダプタ装置120、および監視サーバ装置130のそれぞれは、例えば通信ネットワークに接続され、NICや無線通信モジュールなどの通信インターフェイスを備えてよい。オーケストレータ装置110、デバイスアダプタ装置120、および監視サーバ装置130は、本実施の形態においては別体として示しているが、1台または2台のコンピュータにより構成してよい。なお、本実施の形態はホワイトボックス型トランスポンダ210にコンテナを導入することについて説明するが、ホワイトボックス型トランスポンダ210に導入するソフトウェアはコンテナに限定されず、コンテナ管理システム100をソフトウェア管理システムやプログラム管理システムと読み替えてよい。
【0018】
オーケストレータ装置110は、コンピュータシステム、アプリケーション、およびサービスにおける設定、管理、および調整を自動化で行い、複雑なタスクおよびワークフローを管理することが可能な情報処理装置である。デバイスアダプタ装置120は、伝送システム200におけるホワイトボックス型トランスポンダ210のコンテナを管理するための情報処理装置である。オーケストレータ装置110およびデバイスアダプタ装置120は、複数のホワイトボックス型トランスポンダ210のそれぞれにコンテナイメージを用いてコンテナを提供するコンテナ提供部の一例であり、例えばUbiqube MSActivatorと称されるソフトウェアにより構成されてよい。監視サーバ装置130は、ホワイトボックス型トランスポンダ210における監視エージェント部から計測結果を受信するための情報処理装置である。監視サーバ装置130は、受信した計測結果に基づいてホワイトボックス型トランスポンダ210の死活監視および性能監視を行う。
【0019】
伝送システム200は、例えば、複数のホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bと、複数のROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)装置220とを備えるが、これに限定されず、信号を伝送するために動作を行う他の要素を含んでよい。伝送システム200は、例えば、複数のROADM装置220同士を光ネットワークで接続し、各ROADM装置220をIPネットワークと接続して構成してよい。
【0020】
ホワイトボックス型トランスポンダ210は、端末装置500から受信したパケットデータを電気信号から光信号に変換してROADM装置220に送信するとともに、ROADM装置220から受信した光信号を電気信号に変換してパケットデータを端末装置500に送信する。本実施の形態においてホワイトボックス型トランスポンダは、端末装置500Aに接続されたホワイトボックス型トランスポンダ210Aと端末装置500Bに接続されたホワイトボックス型トランスポンダ210Bとを含むが、複数のホワイトボックス型トランスポンダを総称する場合には単に「ホワイトボックス型トランスポンダ210」と記載する。
【0021】
ROADM装置220は、ホワイトボックス型トランスポンダ210および他のROADM装置220と光通信路230を介して接続される。ROADM装置220は、ホワイトボックス型トランスポンダ210から受信した光信号を波長多重して他のROADM装置220に送信し、他のROADM装置220から受信した光信号から所望の波長の光信号を抽出してホワイトボックス型トランスポンダ210側に光信号を転送する。
【0022】
図2は、実施の形態におけるホワイトボックス型トランスポンダ210の一例を示すブロック図である。ホワイトボックス型トランスポンダ210は、例えば、信号伝送部211と、ハードウェア部212と、OS部213と、コンテナ管理部214と、コンテナ配置部215と、監視エージェント部216とを備える。OS部213、コンテナ管理部214、コンテナ配置部215、および監視エージェント部216はソフトウェアにより実現される機能部であり、機能部のそれぞれは、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
【0023】
信号伝送部211は、光信号の受信部、光信号の変換等を行う処理部、および光信号の送信部等を含む。ハードウェア部212は、ホワイトボックス型トランスポンダ210がコンテナ管理システム100におけるデバイスアダプタ装置120および監視サーバ装置130と通信を行うための通信部、メモリ、およびCPU等を含む。OS部213は、オープンソースのオペレーションシステムにより実現される。コンテナ管理部214は、コンテナ配置部215にコンテナ215aを追加および変更し、コンテナ215aを動作させる。コンテナ配置部215は、計測用プログラムがコンテナ215aとして配置される。コンテナ215aは、例えば、計測用プログラムとしてのアプリケーションソフトウェア、およびライブラリを含むコンテナイメージにより実現される。コンテナイメージのそれぞれは、複数のホワイトボックス型トランスポンダ210の間におけるターンアラウンドタイムを計測するプログラムデータと、ターンアラウンドタイムを計測するための計測タイミングを含む設定情報とを含んでよい。さらに、コンテナイメージのそれぞれは、コンテナ215a自身をデバイスアダプタ装置120などの外部から管理するための情報を含んでよい。コンテナ215aを外部から管理するための情報は、例えば、コンテナ215aの生存期間情報である。コンテナ215aの生存期間は、ターンアラウンドタイムを計測するための計測タイミングを含むように設定される。
【0024】
監視エージェント部216は、ホワイトボックス型トランスポンダ210の動作を監視するソフトウェアにより実現される。監視エージェント部216は、ホワイトボックス型トランスポンダ210内部の情報を収集する。ホワイトボックス型トランスポンダ210内部の情報は、例えば、インターフェイスのエラーまたはホワイトボックス型トランスポンダ210の死活に関する情報であるが、これに限定されない。監視エージェント部216は、例えば、ホワイトボックス型トランスポンダ210の動作として、ホワイトボックス型トランスポンダ210のターンアラウンドタイムを監視することもできる。具体的に、監視エージェント部216は、信号伝送部211がパケットデータを他のホワイトボックス型トランスポンダ210に送信してから他のホワイトボックス型トランスポンダ210から返信されたパケットデータを受信するまでの期間をターンアラウンドタイムとして監視する。
【0025】
図3は、実施の形態におけるホワイトボックス型トランスポンダ210におけるソフトウェアスタックの一例を示すブロック図である。ホワイトボックス型トランスポンダ210のソフトウェアスタックは、例えば、組み込みソフトウェア(ネットワークOS)としてOpen Network Linux213A(linuxは登録商標)をベースにしたGoldstoneを含む。また、ホワイトボックス型トランスポンダ210のソフトウェアスタックは、Kubernetes214Aと、SouthboundIF215Bと、POD215Aと、NorthboundIF215Cとを含む。Kubernetes214Aは、コンテナ化されたワークロード、およびサービスを管理するためのオープンソースのプラットフォームである。SouthboundIF215Bは、ホワイトボックス型トランスポンダ210が持つ信号伝送部211等のハードウェアを制御および管理するインターフェイスである。POD215Aは、例えばユーザが作成したコンテナ215aおよび各種インターフェイスを利用してホワイトボックス型トランスポンダ210が持つ機能を組み合わせることでユーザの意図する伝送システム200の制御および管理を行う。また、POD215Aは、ターンアラウンドタイムを計測するためのアプリケーションソフトウェア、およびユーザが作成したプログラムをマイクロサービス化したコンテナ215aとして配置する。NorthboundIF215Cは、ホワイトボックス型トランスポンダ210が持つ機能を上位層としてのユーザ端末装置300に提供するインターフェイスである。
【0026】
コンテナレジストリ装置400は、コンテナイメージを格納するためのリポジトリである。コンテナレジストリ装置400は、ユーザ端末装置300から提供されたコンテナイメージを追加または変更する。コンテナレジストリ装置400は、ホワイトボックス型トランスポンダ210からの要求に応じてコンテナイメージをホワイトボックス型トランスポンダ210に提供する。なお、コンテナレジストリ装置400は、コンテナ管理システム100に含まれて構成されてよく、オーケストレータ装置110と一体で構成されてよい。
【0027】
図4は、実施の形態においてホワイトボックス型トランスポンダ210にコンテナ215aを配置する処理の一例を示すブロック図である。
図5は、実施の形態においてホワイトボックス型トランスポンダ210にコンテナ215aを配置する処理の一例を示シーケンス図である。
【0028】
まずユーザ端末装置300は、コンテナレジストリ装置400に、コンテナイメージを含むコンテナ登録要求S10を送信する(
図4の(1))。コンテナイメージは、例えばユーザの操作に基づいてプログラムデータ、ターンアラウンドタイムを計測するための計測タイミングを含む設定情報と、コンテナ215aを外部から管理する情報が設定される。
【0029】
次にユーザ端末装置300は、マニフェストファイルの配置要求S12をオーケストレータ装置110に送信する(
図4の(2))。マニフェストファイルは、例えば、コンテナイメージを特定する情報、コンテナイメージに対応したコンテナ215aが配置されるホワイトボックス型トランスポンダ210を特定する情報等の入力値を含む。
【0030】
次にオーケストレータ装置110は、ワークフローS14を実行する(
図4の(3))。オーケストレータ装置110は、マニフェストファイルの入力値に基づいてデバイスアダプタ装置120にホワイトボックス型トランスポンダ210のマニフェストS16を変更させる(
図4の(4))。デバイスアダプタ装置120は、伝送システム200のうち計測対象に設定されたホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bのマニフェストを変更させる。
【0031】
次にホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bのそれぞれは、コンテナレジストリ装置400にコンテナイメージの要求S18を送信し、コンテナレジストリ装置400は、要求S18に対応したコンテナイメージS20をホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bのそれぞれに送信する(
図4の(4))。
【0032】
ホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bは、コンテナ管理部214によって、コンテナ配置部215にコンテナイメージS22を提供する。これによりホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bは、コンテナイメージに対応したコンテナ215aを実装させる。
【0033】
次にユーザ端末装置300は、例えばユーザの操作に基づいてコンテナ215aにおけるアプリケーションソフトウェアの起動要求S24をコンテナ215aに送信する。コンテナ215aは、起動要求S24を受け付けたことによりターンアラウンドタイムの計測を実行させる。
【0034】
ユーザの操作に基づいてコンテナ215aを起動させたが、これに限定されず、ホワイトボックス型トランスポンダ210にコンテナ215aを配置した後、ターンアラウンドタイムを計測するための計測タイミングを含む設定情報に基づいて、ターンアラウンドタイムを計測するタイミングが到来したときにコンテナ215aが自動的に起動してよい。
【0035】
図6は、実施の形態においてターンアラウンドタイムを計測する区間を示す図である。実施の形態においてホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bのそれぞれには、ターンアラウンドタイムを計測するためのコンテナ215aが配置される。したがって、ホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bのそれぞれは、信号伝送部211により光信号の送信時刻および光信号の受信時刻を計時し、ターンアラウンドタイムを計測することができる。
【0036】
図7は、実施の形態においてターンアラウンドタイムを計測する処理の一例を示す図である。ホワイトボックス型トランスポンダ210Aは、計測タイミングが到来するとコンテナ215aにおけるアプリケーションソフトウェアが起動し、アプリケーションソフトウェアにより信号伝送部211を動作させる。これによりホワイトボックス型トランスポンダ210Aは、ホワイトボックス型トランスポンダ210Bを宛先としたパケットを送信する(
図7の(1))。パケットデータは、光通信路230を介して複数のROADM装置220により中継されてホワイトボックス型トランスポンダ210Bに到達する。
【0037】
ホワイトボックス型トランスポンダ210Bは、計測タイミングが到来するとコンテナ215aにおけるアプリケーションソフトウェアが起動し、アプリケーションソフトウェアにより信号伝送部211を動作させる。これによりホワイトボックス型トランスポンダ210Bは、ホワイトボックス型トランスポンダ210Bを宛先としたパケットを受信する(
図7の(1))。ホワイトボックス型トランスポンダ210Bは、自身を宛先としたパケットデータに対する折り返しとしてホワイトボックス型トランスポンダ210Aを宛先としたパケットを送信する(
図7の(2))。
【0038】
ホワイトボックス型トランスポンダ210Aは、ホワイトボックス型トランスポンダ210Bを宛先としたパケットを送信した後に待機し、ホワイトボックス型トランスポンダ210Bから折り返されたパケットを受信する(
図7の(2))。ホワイトボックス型トランスポンダ210Aは、アプリケーションソフトウェアにより、ホワイトボックス型トランスポンダ210B宛のパケットの送信時刻から信号伝送部211により受信した折り返しパケットの受信時刻までのターンアラウンドタイムを計測する。ホワイトボックス型トランスポンダ210Aは、計測したターンアラウンドタイムを示す情報を、監視エージェント部216により監視サーバ装置130に送信する(
図7の(3))。
【0039】
ホワイトボックス型トランスポンダ210Bは、ホワイトボックス型トランスポンダ210Aと同様に、ホワイトボックス型トランスポンダ210A宛のパケット送信、折り返されたパケットの受信、およびターンアラウンドタイムの計測を行い、ターンアラウンドタイムを示す情報を監視サーバ装置130に送信する。
【0040】
監視サーバ装置130は、ホワイトボックス型トランスポンダ210Aおよび210Bからターンアラウンドタイムを示す情報を収集する(
図7の(4))。これにより監視サーバ装置130は、ホワイトボックス型トランスポンダ210Aからホワイトボックス型トランスポンダ210Bへパケットを送信した時のターンアラウンドタイム、ホワイトボックス型トランスポンダ210Bからホワイトボックス型トランスポンダ210Aへパケットを送信した時のターンアラウンドタイムを取得し、双方のターンアラウンドタイムが同じとなるかを比較することができる(
図7の(5))。
【0041】
図8は、実施の形態におけるターンアラウンドタイムを計測する処理の一例を示シーケンス図である。上述したように、複数のホワイトボックス型トランスポンダ210に配置された複数のコンテナ215aによりターンアラウンドタイムの計測を行い、複数の監視エージェント部216は計測データS32を取得し、監視サーバ装置130は計測データS34を収集する。コンテナ215a、監視エージェント部216、および監視サーバ装置130は、例えば、マニフェストファイルに入力された定期的に設定された計測タイミングが到来する度に計測データを取得し、取得した計測データを収集する。
【0042】
ユーザ端末装置300は、計測データを閲覧する場合、監視サーバ装置130に計測データの閲覧要求S36を送信し、計測データを閲覧するためのコンテンツデータを監視サーバ装置130からダウンロードする。これによりユーザ端末装置300は、マニフェストファイルに入力した複数のホワイトボックス型トランスポンダ210間の疎通確認、およびホワイトボックス型トランスポンダ210間のパフォーマンスをモニタすることができる。
【0043】
以上のように、通信システム1によれば、ホワイトボックス型トランスポンダ210により信号を伝送する伝送システム200と、伝送システム200のうち計測対象に設定された複数のホワイトボックス型トランスポンダ210のそれぞれに計測用プログラム(コンテナ215a)を配置し、計測用プログラムのそれぞれにより複数のホワイトボックス型トランスポンダ210の間で信号を伝送させることで取得した複数の計測結果に基づいて複数のホワイトボックス型トランスポンダ210間の信号伝送状態を計測するコンテナ管理システム100と、を備える、通信システムを実現することができる。この通信システム1によれば、ホワイトボックス型トランスポンダ210等の通信装置をプログラムで動作させることでホワイトボックス型トランスポンダ210間のパフォーマンス等を高い精度で計測することができる。すなわち、通信システム1によれば、ホワイトボックス型トランスポンダ210に測定装置を接続せずに、ホワイトボックス型トランスポンダ210で計測した時刻を用いてターンアラウンドタイムを計測することができる。
【0044】
通信システム1によれば、計測用プログラムとしてコンテナイメージを複数蓄積するステップと、ホワイトボックス型トランスポンダ210により信号を伝送する伝送システム200のうち計測対象に設定された複数のホワイトボックス型トランスポンダ210のそれぞれに計測用プログラムとしてのコンテナ215aを配置するステップと、計測用プログラムのそれぞれにより複数のホワイトボックス型トランスポンダ210の間で信号を伝送するステップと、計測用プログラムのそれぞれにより取得した複数の計測結果を収集するステップと、を含む、計測方法を実現することができる。この計測方法によれば、ホワイトボックス型トランスポンダ210等の通信装置をプログラムで動作させることでホワイトボックス型トランスポンダ210間のパフォーマンス等を高い精度で計測することができる。すなわち、計測方法によれば、ホワイトボックス型トランスポンダ210に測定装置を接続せずに、ホワイトボックス型トランスポンダ210で計測した時刻を用いてターンアラウンドタイムを計測することができる。
【0045】
実施の形態の通信システム1によれば、ユーザに操作されるユーザ端末装置300を備え、ホワイトボックス型トランスポンダ210は、監視エージェント部216と、計測用プログラムがコンテナ215aとして配置されるコンテナ配置部215と、コンテナ配置部215にコンテナ215aを追加および変更し、コンテナ215aを動作させるコンテナ管理部214と、を備え、監視エージェント部216により計測結果を取得し、コンテナ管理システム100は、監視エージェント部216から計測結果を収集する監視サーバ装置130と、ユーザ端末装置300に対するユーザの操作に基づいてコンテナ215aの元となるコンテナイメージを複数蓄積するコンテナレジストリ装置400と、複数のホワイトボックス型トランスポンダ210のそれぞれにコンテナイメージを用いてコンテナ215aを提供するオーケストレータ装置110およびデバイスアダプタ装置120と、を備え、コンテナ215aが配置される複数のホワイトボックス型トランスポンダ210、および各ホワイトボックス型トランスポンダ210に配置されるコンテナ215aは、ユーザ端末装置300に対するユーザの操作に基づいて設定される。この通信システム1によれば、ユーザにより設定されたコンテナ215aをユーザが所望するホワイトボックス型トランスポンダ210に配置することができる。これにより通信システム1によれば、伝送システム200における疎通確認およびパフォーマンスの計測の自由度を高くすることができる。
【0046】
実施の形態の通信システム1によれば、コンテナイメージのそれぞれが、複数のホワイトボックス型トランスポンダ210の間におけるターンアラウンドタイムを計測するプログラムデータと、ターンアラウンドタイムを計測するための計測タイミングを含む設定情報と、コンテナ215aの生存期間情報とを含むので、ターンアラウンドタイムを計測するタイミングおよびコンテナ215aの死活をユーザの操作に基づいて設定することができる。
【0047】
なお、各実施の形態および変形例について説明したが、一例であってこれらに限られず、例えば、各実施の形態や各変形例のうちのいずれかや、各実施の形態の一部や各変形例の一部を、他の1または複数の実施の形態や他の1または複数の変形例と組み合わせて本発明の一態様を実現させてもよい。
【0048】
本実施の形態におけるコンテナ管理システム100、伝送システム200、ユーザ端末装置300、およびコンテナレジストリ装置400の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムを、コンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、コンテナ管理システム100、伝送システム200、ユーザ端末装置300、およびコンテナレジストリ装置400に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0049】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
【0050】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic
Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0051】
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 通信システム
100 コンテナ管理システム
110 オーケストレータ装置
120 デバイスアダプタ装置
130 監視サーバ装置
200 伝送システム
210、210A、210B ホワイトボックス型トランスポンダ
211 信号伝送部
212 ハードウェア部
213 OS部
213A Open Network Linux
214 コンテナ管理部
214A Kubernetes
215 コンテナ配置部
215a コンテナ
215A POD
216 監視エージェント部
220 ROADM装置
230 光通信路
300 ユーザ端末装置
400 コンテナレジストリ装置
500、500A、500B 端末装置