(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038648
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】立体物印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 303
B41J2/01 129
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142837
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 真一
(72)【発明者】
【氏名】須貝 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB07
2C056EB13
2C056EB36
2C056EB37
2C056EC07
2C056EC33
2C056EC35
2C056FA10
2C056FB09
2C056FB10
2C056HA38
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】ヘッドとワークとの接触を低減する。
【解決手段】立体物印刷装置は、立体的なワークに対してZ軸に沿って液体を吐出するヘッドを有するヘッドユニットと、ワークに対する位置関係を検出するセンサーを有するセンサーユニットと、ワークに対するヘッドユニットおよびセンサーユニットの位置を変化させる移動機構と、を備え、移動機構は、Z軸に沿ってワークに対するセンサーユニットの位置を変化させる第1のZ移動機構と、Z軸に沿ってワークに対するヘッドユニットの位置を変化させる第2のZ移動機構と、を含み、第1のZ移動機構および第2のZ移動機構は、センサーユニットおよびヘッドユニットを互いに独立に移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体的なワークに対してZ軸に沿って液体を吐出するヘッドを有するヘッドユニットと、
前記ワークに対する位置関係を検出するセンサーを有するセンサーユニットと、
前記ワークに対する前記ヘッドユニットおよび前記センサーユニットの位置を変化させる移動機構と、を備え、
前記移動機構は、
前記Z軸に沿って前記ワークに対する前記センサーユニットの位置を変化させる第1のZ移動機構と、
前記Z軸に沿って前記ワークに対する前記ヘッドユニットの位置を変化させる第2のZ移動機構と、を含み、
前記第1のZ移動機構および前記第2のZ移動機構は、前記センサーユニットおよび前記ヘッドユニットを互いに独立に移動させる、
ことを特徴とする立体物印刷装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記Z軸と直交するX軸に沿って前記ワークに対する前記ヘッドユニットおよび前記センサーユニットのそれぞれの相対位置を変化させるX移動機構をさらに含み、
前記ヘッドが液体を吐出しない状態で、前記ヘッドおよび前記センサーのそれぞれが前記Z軸に沿う方向にみて前記ワークと重なる範囲で前記X移動機構を動作させつつ、確認動作と、
前記確認動作よりも後の動作であって、前記ヘッドおよび前記センサーのそれぞれが前記Z軸に沿う方向にみて前記ワークと重なる範囲で前記X移動機構を動作させつつ、前記ヘッドが液体を吐出する印刷動作と、を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の立体物印刷装置。
【請求項3】
前記移動機構の動作を制御する移動制御部をさらに備え、
前記ヘッドと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う方向での距離をヘッド距離とし、
前記センサーと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う方向における距離をセンサー距離としたとき、
前記移動制御部は、前記確認動作の実行中における前記ヘッド距離の平均値が前記確認動作の実行中における前記センサー距離の平均値よりも大きくなるように、前記第1のZ移動機構および前記第2のZ移動機構のそれぞれの動作を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の立体物印刷装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記確認動作の実行中における前記ヘッド距離の変化量が前記確認動作の実行中における前記センサー距離の変化量よりも大きくなるように、前記第1のZ移動機構および前記第2のZ移動機構のそれぞれの動作を制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の立体物印刷装置。
【請求項5】
前記移動機構の動作を制御する移動制御部をさらに備え、
前記ヘッドと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う方向における距離をヘッド距離としたとき、
前記移動制御部は、前記確認動作の実行中における前記ヘッド距離の平均値が前記印刷動作の実行中における前記ヘッド距離の平均値よりも大きくなるように、前記第2のZ移動機構の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の立体物印刷装置。
【請求項6】
前記移動制御部は、前記確認動作の実行中における前記ヘッド距離の変化量が前記印刷動作の実行中における前記ヘッド距離の変化量よりも大きくなるように、前記第2のZ移動機構の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の立体物印刷装置。
【請求項7】
前記センサーと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う方向における距離をセンサー距離としたとき、
前記移動制御部は、前記印刷動作の実行中における前記センサー距離の平均値が前記印刷動作の実行中における前記ヘッド距離の平均値と略等しくなるように、前記第1のZ移動機構および前記第2のZ移動機構のそれぞれの動作を制御する、
ことを特徴とする請求項3または5に記載の立体物印刷装置。
【請求項8】
前記センサーと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う方向における距離をセンサー距離としたとき、
前記移動制御部は、前記確認動作の実行中における前記センサー距離の平均値が前記印刷動作の実行中における前記センサー距離の平均値よりも大きくなるように、前記第1のZ移動機構および前記第2のZ移動機構のそれぞれの動作を制御する、
ことを特徴とする請求項3または5に記載の立体物印刷装置。
【請求項9】
前記センサーと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う方向における距離をセンサー距離としたとき、
前記移動制御部は、前記確認動作の実行中における前記センサー距離の平均値が前記印刷動作の実行中における前記センサー距離の平均値よりも小さくなるように、前記第2のZ移動機構の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の立体物印刷装置。
【請求項10】
前記センサーと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う方向における距離をセンサー距離としたとき、
前記移動制御部は、
前記確認動作の実行中における前記第2のZ移動機構の動作量が前記印刷動作の実行中における前記第2のZ移動機構の動作量よりも小さくなるとともに、前記確認動作の実行中における前記センサー距離の平均値が前記印刷動作の実行中における前記センサー距離の平均値よりも大きくなるように、前記第2のZ移動機構の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の立体物印刷装置。
【請求項11】
前記センサーは、前記ワークとの接触を検出する接触センサーを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の立体物印刷装置。
【請求項12】
前記センサーは、前記ワークとの間の距離を検出する距離センサーをさらに有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の立体物印刷装置。
【請求項13】
前記ヘッドは、液体を吐出するノズルが設けられたノズル面を有し、
前記接触センサーは、先端面を有するか、または、先端領域を区画する複数の先端を有しており、
前記先端面または前記先端領域の外形は、前記ノズル面の外形と略等しい、
ことを特徴とする請求項11または12に記載の立体物印刷装置。
【請求項14】
前記センサーユニットは、前記ワーク上の液体を硬化または固化させる光を出射するエネルギー出射部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の立体物印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体物印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的なワークの表面にインクジェット方式により印刷を行う立体物印刷装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の装置は、インクジェットヘッドと、対象物およびインクジェットヘッドをXY方向に相対的に移動させる手段と、インクジェットヘッドの位置を測定する手段と、対象物とインクジェットヘッドとの間隔を測定する手段と、当該位置の測定結果および当該間隔の測定結果に基づいて、インクジェットヘッドを上下する機構と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の装置では、対象物とインクジェットヘッドとの間隔の測定に誤差が生じたり、対象物の設置位置がずれたりした場合、印刷時にインクジェットヘッドが対象物に衝突してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示の立体物印刷装置の一態様は、立体的なワークに対してZ軸に沿って液体を吐出するヘッドを有するヘッドユニットと、前記ワークに対する位置関係を検出するセンサーを有するセンサーユニットと、前記ワークに対する前記ヘッドユニットおよび前記センサーユニットの位置を変化させる移動機構と、を備え、前記移動機構は、前記Z軸に沿って前記ワークに対する前記センサーユニットの位置を変化させる第1のZ移動機構と、前記Z軸に沿って前記ワークに対する前記ヘッドユニットの位置を変化させる第2のZ移動機構と、を含み、前記第1のZ移動機構および前記第2のZ移動機構は、前記センサーユニットおよび前記ヘッドユニットを互いに独立に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る立体物印刷装置の概略を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る立体物印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】ヘッドユニットおよび調整機構の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】センサーユニットおよび調整機構の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】接触センサーの先端領域を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態に係る立体物印刷装置の動作の一例を示す図である。
【
図7】確認動作の第1確認動作を説明するための図である。
【
図8】確認動作の第2確認動作を説明するための図である。
【
図11】第2実施形態における確認動作を説明するための図である。
【
図12】第3実施形態における確認動作を説明するための図である。
【
図13】第3実施形態における印刷動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0008】
以下の説明は、便宜上、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。また、以下の説明では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向およびY2方向である。また、Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向およびZ2方向である。
【0009】
ここで、X軸、Y軸およびZ軸は、後述の移動機構2および支持機構4が設置される空間に設定されるワールド座標系の座標軸に相当する。典型的には、Z軸が鉛直な軸であり、Z2方向が鉛直方向での下方向に相当する。以下では、便宜上、ワールド座標系を用いて移動機構2の動作を制御する場合が例示される。
【0010】
なお、Z軸は、鉛直な軸でなくともよい。また、X軸、Y軸およびZ軸は、典型的には互いに直交するが、これに限定されず、直交しない場合もある。例えば、X軸、Y軸およびZ軸が80°以上100°以下の範囲内の角度で互いに交差すればよい。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.立体物印刷装置の概略
図1は、第1実施形態に係る立体物印刷装置1の概略を示す斜視図である。立体物印刷装置1は、立体的なワークWの表面にインクジェット方式により印刷を行う装置である。
【0012】
ワークWは、印刷対象となる面WFを有する。
図1に示す例では、面WFが曲率の異なる複数の部分を有する凸曲面である。なお、印刷対象は、ワークWが有する複数の面のうち面WF以外の面でもよい。また、ワークWの大きさ、形状または設置姿勢は、
図1に示す例に限定されず、任意である。
【0013】
図1に示すように、立体物印刷装置1は、基台10と移動機構2とヘッドユニット3_1~3_4とセンサーユニット30と支持機構4とメンテナンス機構12とを備える。以下、
図1に基づいて、立体物印刷装置1の各部を順次簡単に説明する。なお、以下では、ヘッドユニット3_1~3_4のそれぞれをヘッドユニット3という場合がある。
【0014】
基台10は、移動機構2、支持機構4およびメンテナンス機構12を支持する面10aを有する台である。面10aは、Z1方向を向く面である。ここで、移動機構2、支持機構4およびメンテナンス機構12のそれぞれは、基台10に対して、ネジ止め等により直接的または他の部材を介して間接的に固定される。
【0015】
図1に示す例では、基台10が箱状をなしており、面10aがZ1方向を向く面である。基台10に対してZ1方向の位置には、詳細な図示を省略するが、
図1中の二点鎖線で示すように、ケース11が配置される。ケース11は、基台10に支持される移動機構2、支持機構4およびメンテナンス機構12等の構造物を収容する空間を面10aとの間に形成する箱状の構造体である。ケース11は、例えば、金属等で構成される複数の柱および複数の梁と、アクリル樹脂等の透明材料で構成される天板および壁板等の複数の板材と、を有する。また、図示しないが、ケース11には、支持機構4へのワークWの供給および取り出しのための扉と、ケース11の外部からメンテナンス機構12を視認するための窓と、が設けられる。
【0016】
なお、基台10の構成は、
図1に示す例に限定されず、任意である。また、基台10およびケース11のそれぞれは、必要に応じて設ければよく、省略されてもよい。基台10が省略される場合、立体物印刷装置1の各構成要素は、例えば、建物の床、壁または天井等に設置される。言い換えると、基台10は、立体物印刷装置1の構成要素でなくともよく、例えば、建物の床、壁または天井等でもよい。本実施形態では、移動機構2、支持機構4およびメンテナンス機構12が同一平面である面10aに支持されるが、これらが互いに異なる方向を向く面に支持されてもよい。例えば、床、壁および天井のうち、1つに、移動機構2が設置され、他の1つに、支持機構4が設置されてもよい。また、互いに異なる方向を向く複数の壁のうち、1つに、移動機構2が設置され、他の1つに、支持機構4が設置されてもよい。
【0017】
移動機構2は、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30の相対的な位置を変化させる機構である。
【0018】
図1に示す例では、移動機構2は、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30の相対的な位置をX軸およびZ軸に沿う方向で変化させる。移動機構2は、X移動機構2XとZ移動機構2Z_1~2Z_5とを備える。ここで、Z移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれが「第1のZ移動機構」の一例であり、Z移動機構2Z_5が「第2のZ移動機構」の一例である。なお、以下では、Z移動機構2Z_1~2Z_5のそれぞれをZ移動機構2Zという場合がある。
【0019】
X移動機構2Xは、Z軸と直交するX軸に沿ってワークWに対するヘッドユニット3およびセンサーユニット30のそれぞれの相対位置を変化させる直動機構である。
図1に示す例では、X移動機構2Xは、Z移動機構2Z_1~2Z_5を介してヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30を支持しており、ヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30をX軸に沿う方向に移動させる。
【0020】
X移動機構2Xは、1対の柱2aと梁2bと1対のレール2cと可動体2dとを有する。これらは、例えば、鉄、ステンレス鋼またはアルミニウム合金等の金属で構成される。
【0021】
1対の柱2aのそれぞれは、基台10の面10aからZ1方向に延びる部材である。
図1に示す例では、1対の柱2aがX軸に沿う方向に並ぶ。1対の柱2aの先端には、梁2bが架け渡される。梁2bは、1対の柱2aに支持される部材である。
図1に示す例では、梁2bは、X軸に沿う方向に延びており、Z軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなす。梁2bのZ1方向を向く面には、1対のレール2cが配置される。1対のレール2cのそれぞれは、可動体2dを1対の柱2aおよび梁2bに対してX軸に沿う方向に相対的に移動させるように案内するリニアレールであり、X軸に沿う方向に延びる。1対のレール2cには、図示しない直動軸受を介して、可動体2dが取り付けられる。可動体2dは、1対の柱2aおよび梁2bに対してX軸に沿う方向に相対的に移動する部材である。
図1に示す例では、Z軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなす。図示しないが、X移動機構2Xは、当該移動のための駆動力を発生させるサーボモーター等の電動機を有するアクチュエーターと、当該移動の動作量を検出するリニアエンコーダー等のエンコーダーと、を有する。なお、X移動機構2Xの構成は、
図1に示す例に限定されない。
【0022】
以上のX移動機構2Xの可動体2dには、支持体2eを介してZ移動機構2Z_1~2Z_5が取り付けられる。これにより、可動体2dの移動に伴って、Z移動機構2Z_1~2Z_5がX軸に沿う方向に移動する。
【0023】
ここで、支持体2eは、図示しない直動機構を介して可動体2dに取り付けられる。当該直動機構は、可動体2dに対して支持体2eをZ軸に沿う方向に移動させる。これにより、Z移動機構2Z_1~2Z_5が一括してZ軸に沿う方向に移動する。当該直動機構は、例えば、Z移動機構2Zと同様に構成される電動式の機構であってもよいし、手動式の機構であってもよい。当該直動機構は、電動式である場合、印刷時に駆動制御されてもよい。
【0024】
Z移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれは、Z軸に沿ってワークWに対するヘッドユニット3の位置を変化させる直動機構である。
図1に示す例では、Z移動機構2Z_1~2Z_4が支持体2eを介して前述のX移動機構2Xの可動体2dに取り付けられており、ヘッドユニット3をZ軸に沿う方向に移動させる。また、Z移動機構2Z_1~2Z_4がこの順でX1方向に並ぶ。
【0025】
ここで、Z移動機構2Z_1~2Z_4には、ヘッドユニット3_1~3_4がそれぞれ一対一で対応する。そして、Z移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれには、対応するヘッドユニット3が取り付けられる。したがって、Z移動機構2Z_1は、ワークWに対するヘッドユニット3_1の相対的な位置をZ軸に沿う方向で変化させる。同様に、Z移動機構2Z_2~2Z_4は、ワークWに対するヘッドユニット3_2~3_4の相対的な位置をそれぞれZ軸に沿う方向で変化させる。このように、Z移動機構2Z_1~2Z_4は、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4の相対的な位置を互いに独立にZ軸に沿う方向で変化させる。
【0026】
これに対し、Z移動機構2Z_5は、Z軸に沿ってワークWに対するセンサーユニット30の位置を変化させる直動機構であり、前述のZ移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれとは独立に動作する。Z移動機構2Z_5には、センサーユニット30が取り付けられる。
図1に示す例では、Z移動機構2Z_5が支持体2eを介して前述のX移動機構2Xの可動体2dに取り付けられており、センサーユニット30をZ軸に沿う方向に移動させる。このように、Z移動機構2Z_5は、ワークWに対するセンサーユニット30の相対的な位置をヘッドユニット3_1~3_4のそれぞれとは独立にZ軸に沿う方向で変化させる。
【0027】
以上のZ移動機構2Z_1~2Z_5は、前述のように移動の対象が異なること以外は、同様に構成される。図示しないが、Z移動機構2Z_1~2Z_5のそれぞれは、レールと可動体とアクチュエーターとエンコーダーとを有する。当該レールは、支持体2eに固定されており、Z軸に沿う方向に延びるリニアレールである。当該可動体は、直動軸受を介して当該レールに取り付けられており、Z軸に沿う方向に移動する。当該アクチュエーターは、当該移動のための駆動力を発生させるサーボモーター等の電動機を有する。当該エンコーダーは、当該移動の動作量を検出するリニアエンコーダー等である。なお、Z移動機構2Z_1~2Z_5の構成は、互いに異なってもよい。ただし、低コスト化等の観点から、Z移動機構2Z_1~2Z_5は、互いに同一の構成であることが好ましい。
【0028】
図1では、図示を省略するが、当該可動体には、ヘッドユニット3またはセンサーユニット30の姿勢を微調整するための調整機構を介して、ヘッドユニット3またはセンサーユニット30が取り付けられる。当該調整機構の具体例については、後に
図3に基づいて説明する。
【0029】
ヘッドユニット3_1~3_4のそれぞれは、「液体」の一例であるインクをワークWに向けて吐出するヘッド3aを有するアセンブリーである。なお、ヘッドユニット3の詳細については、後に
図3に基づいて説明する。
【0030】
当該インクとしては、特に限定されず、例えば、水系溶媒に染料または顔料等の色材を溶解させた水系インク、紫外線硬化型等の硬化性樹脂を用いた硬化性インク、および、有機溶剤に染料または顔料等の色材を溶解させた溶剤系インク等が挙げられる。中でも、硬化性インクが好適に用いられる。硬化性インクは、特に限定されず、例えば、熱硬化型、光硬化型、放直線硬化型および電子線硬化型等のいずれでもよいが、紫外線硬化型等の光硬化型が好適である。なお、当該インクは、溶液に限定されず、分散媒に色材等を分散質として分散させたインクでもよい。また、当該インクは、色材を含むインクに限定されず、例えば、配線等を形成するための金属粒子等の導電性粒子を分散質として含むインクでもよいし、クリアインクでもよいし、ワークWの表面処理のための処理液でもよい。
【0031】
ヘッドユニット3には、図示しない配線および供給管が接続される。当該配線は、ヘッド3aを駆動するための電気信号をヘッド3aに供給する。当該配線は、当該供給管と同じ経路で配置されてもよいし、当該供給管と異なる経路で配置されてもよい。当該供給管は、図示しないインクタンクからのインクをヘッドユニット3に供給する可撓性の管体である。
【0032】
センサーユニット30は、ワークWとの位置関係を検出するセンサー31を有するアセンブリーである。なお、センサーユニット30の詳細については、後に
図4に基づいて説明する。
【0033】
支持機構4は、ワークWを支持する機構である。
図1に示す例では、支持機構4は、Y移動機構4Yを有する。
【0034】
Y移動機構4Yは、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30の相対的な位置をY軸に沿う方向で変化させる直動機構である。
図1に示す例では、Y移動機構4Yは、ワークWをY軸に沿う方向に移動させる。
【0035】
Y移動機構4Yは、支持体4aと1対のレール4bと可動体4cとを有する。これらは、例えば、鉄、ステンレス鋼またはアルミニウム合金等の金属で構成される。
【0036】
支持体4aは、基台10の面10aにネジ留め等により固定される部材である。
図1に示す例では、支持体4aは、Y軸に沿う方向に延びており、Z軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなす。支持体4aのZ1方向を向く面には、1対のレール4bが配置される。1対のレール4bのそれぞれは、可動体4cを支持体4aに対してY軸に沿う方向に相対的に移動させるように案内するリニアレールであり、Y軸に沿う方向に延びる。1対のレール4bには、図示しない直動軸受を介して、可動体4cが取り付けられる。可動体4cは、支持体4aに対してY軸に沿う方向に相対的に移動する部材である。
図1に示す例では、Z軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなす。図示しないが、Y移動機構4Yは、当該移動のための駆動力を発生させるサーボモーター等の電動機を有するアクチュエーターと、当該移動の動作量を検出するリニアエンコーダー等のエンコーダーと、を有する。
【0037】
可動体4cには、ステージ4dが取り付けられる。ステージ4dは、ワークWを載置するための部材である。
図1に示す例では、ステージ4dは、板状をなす。ここで、図示しないが、可動体4cとステージ4dとの間には、可動体4Cに対してステージ4dをX軸に平行な軸まわりに回動させる調整機構が介在する。当該調整機構により、ワークWのX軸に平行な軸まわりの姿勢を微調整することができる。当該調整機構は、アクチュエーターおよびエンコーダーを含む電動式の構成であってもよいし、手動で調整可能な構成であってもよい。
【0038】
なお、Y移動機構4Yの構成は、
図1に示す例に限定されない。例えば、支持体4aが省略されてもよいし、支持体4aが1対のレール4bと一体で構成されてもよい。支持体4aが省略される場合、1対のレール4bが基台10に直接にネジ留め等により固定される。また、可動体4cとステージ4dとの間に介在する調整機構は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0039】
メンテナンス機構12は、ヘッドユニット3のヘッド3aのメンテナンスを行うための機構である。
図1に示す例では、メンテナンス機構12は、ユニット12aとユニット12bとを有する。
【0040】
ユニット12aは、図示しないが、キャップとワイパーと吸引機構とを有する。当該キャップは、ゴム等の弾性部材で構成され、ヘッド3aのノズルおよびノズル面を覆うことにより、ヘッド3aのノズル付近のインクの乾燥を防止する。また、当該キャップは、インクが光硬化型である場合、ヘッド3aのノズル面を覆い外光を遮断することにより、ヘッド3aのノズル付近のインクの増粘または固化を防止する。当該ワイパーは、ヘッド3aのノズル面をワイピングすることにより、当該ノズル面を清掃する。当該吸引機構は、当該キャップにノズル面が覆われた状態のヘッド3aのノズルからインクを吸引することにより、当該ノズル内のインクをリフレッシュする。
【0041】
ユニット12bは、ヘッド3aのインク吐出機能を検査するための機構である。例えば、ユニット12bは、検査用のパターンを印刷するための紙またはフィルム等の媒体を支持する。
図1に示す例では、ユニット12bは、Y軸に沿う方向に移動可能に構成されており、Z軸に沿う方向にみてユニット12aに重なる状態と重ならない状態とを切り替える。ここで、ユニット12aを使用しない場合、ユニット12bは、Z軸に沿う方向にみてユニット12aに重なる状態であり、ユニット12aを覆うカバーとして機能する。一方、ユニット12aを使用する場合、ユニット12bは、Z軸に沿う方向にみてユニット12aに重ならない状態である。
【0042】
なお、メンテナンス機構12の構成は、
図1に示す例に限定されず、任意である。また、メンテナンス機構12は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0043】
1-2.立体物印刷装置の電気的な構成
図2は、第1実施形態に係る立体物印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図2では、立体物印刷装置1の構成要素のうち、電気的な構成要素が示される。
図2に示すように、立体物印刷装置1は、前述の
図1に示す構成要素のほか、コントローラー5と制御モジュール6とコンピューター7とを有する。以下、コントローラー5、制御モジュール6およびコンピューター7を順次説明する。
【0044】
なお、
図2に示す電気的な各構成要素は、適宜に分割されてもよいし、一部が他の構成要素に含まれてもよいし、他の構成要素と一体で構成されてもよい。例えば、コントローラー5または制御モジュール6の機能の一部または全部は、コンピューター7により実現されてもよいし、LAN(Local Area Network)またはインターネット等のネットワークを介してコントローラー5に接続されるPC(personal computer)等の他の外部装置により実現されてもよい。
【0045】
コントローラー5は、移動機構2および支持機構4の駆動を制御する機能と、ヘッドユニット3でのインクの吐出動作を移動機構2の動作に同期させるための信号D3を生成する機能と、を有する。
【0046】
コントローラー5は、記憶回路5aと処理回路5bとを有する。
【0047】
記憶回路5aは、処理回路5bが実行する各種プログラムと、処理回路5bが処理する各種データと、を記憶する。記憶回路5aは、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーとROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)またはPROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーとの一方または両方の半導体メモリーを含む。なお、記憶回路5aの一部または全部は、処理回路5bに含まれてもよい。
【0048】
記憶回路5aには、経路情報Daが記憶される。経路情報Daは、移動機構2の動作の制御に用いられ、ヘッド3aの移動すべき経路におけるヘッド3aの位置を示す情報である。経路情報Daは、例えば、ワールド座標系の座標値を用いて表される。経路情報Daは、ワークWの少なくとも一部の形状を表すワークデータに基づいて、コンピューター7により生成される。経路情報Daは、コンピューター7から記憶回路5aに入力される。なお、経路情報Daは、ワーク座標系の座標値を用いて表されてもよい。この場合、経路情報Daは、ワーク座標系の座標値からワールド座標系の座標値に変換した後に移動機構2の動作の制御に用いられる。
【0049】
処理回路5bは、移動機構2の動作を制御する移動制御部5b1として機能するとともに、信号D3を生成する。処理回路5bは、例えば、1個以上のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。なお、処理回路5bは、CPUに代えて、または、CPUに加えて、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0050】
移動制御部5b1は、処理回路5bが記憶回路5a等から読み込んだプログラムを実行することにより実現される。移動制御部5b1は、経路情報Daを移動機構2の移動量および移動速度等の動作量に変換する演算を行う。そして、移動制御部5b1は、移動機構2の実際の動作量が前述の演算結果となるように、移動機構2の各エンコーダーからの出力信号Dx、Dz_1~Dz5に基づいて、制御信号Sx、Sz_1~Sz_5を出力する。出力信号Dxは、X移動機構2Xのエンコーダーから出力される信号である。出力信号Dz_1~Dz_5は、Z移動機構2Z_1~2Z_5のエンコーダーから出力される信号である。制御信号Sxは、X移動機構2Xのアクチュエーターの駆動を制御するための信号である。制御信号Sz_1~Sz_5は、Z移動機構2Z_1~2Z_5のアクチュエーターの駆動を制御するための信号である。ここで、制御信号Sx、Sz_1~Sz_5は、必要に応じて、センサーユニット30のセンサー31からの出力信号D1に基づいて移動制御部5b1により補正される。
【0051】
このように、移動制御部5b1は、Z移動機構2Z_1~2Z_5の駆動を独立に制御する。なお、移動制御部5b1の一部または全部がコンピューター7等の他の装置により実現されてもよい。
【0052】
また、処理回路5bは、出力信号Dx、Dz_1~Dz5のうちの少なくとも1つの信号に基づいて、信号D3を生成する。例えば、処理回路5bは、出力信号Dxが所定値となるタイミングのパルスを含む信号D3を生成する。
【0053】
制御モジュール6は、コントローラー5から出力される信号D3とコンピューター7からの印刷データとに基づいて、ヘッドユニット3でのインクの吐出動作を制御する回路である。制御モジュール6は、タイミング信号生成回路6aと電源回路6bと制御回路6cと駆動信号生成回路6dとを有する。
【0054】
タイミング信号生成回路6aは、信号D3に基づいてタイミング信号PTSを生成する。タイミング信号生成回路6aは、例えば、信号D3の検出を契機としてタイミング信号PTSの生成を開始するタイマーで構成される。
【0055】
電源回路6bは、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、制御モジュール6およびヘッドユニット3の各部に適宜に供給される。例えば、電源回路6bは、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドユニット3に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路6dに供給される。
【0056】
制御回路6cは、タイミング信号PTSに基づいて、制御信号SI_1~SI_4と波形指定信号dComとラッチ信号LATとクロック信号CLKとチェンジ信号CNGとを生成する。これらの信号は、タイミング信号PTSに同期する。これらの信号のうち、波形指定信号dComは、駆動信号生成回路6dに入力され、それ以外の信号は、ヘッドユニット3のスイッチ回路3eに入力される。制御信号SI_1~SI_4は、ヘッドユニット3_1~3_4にそれぞれ一対一で対応する。なお、以下では、制御信号SI_1~SI_4のそれぞれを制御信号SIという場合がある。
【0057】
制御信号SIは、ヘッドユニット3のヘッド3aが有する駆動素子の動作状態を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、制御信号SIは、印刷データに基づいて、当該駆動素子に対して後述の駆動信号Comを供給するか否かを指定するための信号である。この指定により、例えば、当該駆動素子に対応するノズルからインクを吐出するか否かを指定したり、当該ノズルから吐出されるインクの量を指定したりする。波形指定信号dComは、駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。ラッチ信号LATおよびチェンジ信号CNGは、制御信号SIと併用され、当該駆動素子の駆動タイミングを規定することにより、当該ノズルからのインクの吐出タイミングを規定するための信号である。クロック信号CLKは、タイミング信号PTSに同期した基準となるクロック信号である。
【0058】
以上の制御回路6cは、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路6cは、CPUに代えて、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0059】
駆動信号生成回路6dは、ヘッドユニット3のヘッド3aの有する各駆動素子を駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路6dは、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路6dでは、当該DA変換回路が制御回路6cからの波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路6bからの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することで駆動信号Comを生成する。ここで、駆動信号Comに含まれる波形のうち、当該駆動素子に実際に供給される波形の信号が駆動パルスPDである。駆動パルスPDは、ヘッドユニット3のスイッチ回路3eを介して、駆動信号生成回路6dから当該駆動素子に供給される。
【0060】
ここで、スイッチ回路3eは、制御信号SIに基づいて、駆動信号Comに含まれる波形のうちの少なくとも一部を駆動パルスPDとして供給するか否かを切り替えるスイッチング素子を含む回路である。
【0061】
コンピューター7は、プログラムPG等のプログラムをインストールしたデスクトップ型またはノート型等のコンピューターである。コンピューター7は、経路情報Daを生成する機能と、コントローラー5に経路情報Da等の情報を供給する機能と、制御モジュール6に印刷データ等の情報を供給する機能と、を有する。本実施形態のコンピューター7は、これらの機能のほか、ヘッドユニット3のエネルギー出射部3cとセンサーユニット30のエネルギー出射部32との駆動を制御する機能を有する。
【0062】
1-3.ヘッドユニットの構成
図3は、ヘッドユニット3および調整機構2f、2g、2hの概略構成を示す斜視図である。
図3に示すように、ヘッドユニット3は、調整機構2f、2g、2fを介してZ移動機構2Zに支持される。
図3に示す例では、調整機構2f、2g、2fは、この順でZ2方向に並ぶ。
【0063】
調整機構2fは、Z移動機構2Zとヘッドユニット3とのY軸に沿う方向での位置関係を微調整するための機構である。
図3に示す例では、調整機構2fは、第1部材2f1と第2部材2f2とを有し、これらがY軸に沿う方向の相対的な位置を変更可能に構成される。図示しないが、調整機構2fには、当該微調整のためのツマミ等が設けられており、手動により当該微調整が可能である。第1部材2f1は、Z移動機構2Zにネジ留め等により取り付けられる。なお、第1部材2f1は、Z移動機構2Zと一体で構成されてもよい。
【0064】
調整機構2gは、Z移動機構2Zとヘッドユニット3とのX軸に平行な軸まわりの角度関係を微調整するための機構である。
図3に示す例では、調整機構2gは、第1部材2g1と第2部材2g2とを有し、これらがX軸に平行な軸まわりの相対的な角度を変更可能に構成される。調整機構2gには、当該微調整のためのツマミ等が設けられており、手動により当該微調整が可能である。第1部材2g1は、調整機構2fの第2部材2f2に取り付けられる。なお、第1部材2g1は、第2部材2f2と一体で構成されてもよい。
【0065】
調整機構2hは、Z移動機構2Zとヘッドユニット3とのZ軸に平行な軸まわりの角度関係を微調整するための機構である。
図3に示す例では、調整機構2hは、第1部材2h1と第2部材2h2とを有し、これらがZ軸に平行な軸まわりの相対的な角度を変更可能に構成される。図示しないが、調整機構2hには、当該微調整のためのツマミ等が設けられており、手動により当該微調整が可能である。第1部材2h1は、調整機構2gの第2部材2g2に取り付けられる。なお、第1部材2h1は、第2部材2g2と一体で構成されてもよい。
【0066】
なお、調整機構2f、2g、2fの並び順は、
図3に示す例に限定されず、任意である。また、調整機構2f、2g、2fは、電動により微調整を行う構成であってもよい。
【0067】
ヘッドユニット3は、ヘッド3aと圧力調整弁3bとエネルギー出射部3cとを有する。これらは、
図3中の二点鎖線で示される支持体3fに支持される。なお、
図3に示す例では、ヘッドユニット3が有するヘッド3aおよび圧力調整弁3bのそれぞれの数が1個であるが、当該数は、
図3に示す例に限定されず、2個以上でもよい。また、圧力調整弁3bは、ヘッドユニット3の外部に設けられてもよい。
【0068】
支持体3fは、実質的な剛体であり、例えば、金属材料等で構成される。なお、
図3では、支持体3fが扁平な箱状をなすが、支持体3fの形状は、特に限定されず、任意である。
【0069】
以上の支持体3fは、前述の調整機構2f、2g、2fを介してZ移動機構2Zに装着される。したがって、ヘッド3a、圧力調整弁3bおよびエネルギー出射部3cが支持体3fにより一括してZ移動機構2Zに支持される。
図3に示す例では、ヘッド3aに対してZ1方向の位置には、圧力調整弁3bが配置される。ヘッド3aに対してX2方向の位置には、エネルギー出射部3cが配置される。
【0070】
ヘッド3aは、ノズル面FNと、ノズル面FNに開口する複数のノズルNと、を有する。ノズル面FNは、ノズルNが開口するノズル面であり、例えば、シリコン(Si)または金属等の材料で構成されるか、または、その板面を延長した平面上に他の部材がヘッドユニット3の構成要素として配置される場合、ノズルプレートの板面と当該他の部材の面とで構成される面である。
図3に示す例では、ノズル面FNの法線方向、すなわちノズルNからのインクの吐出方向DEがZ2方向である。
【0071】
当該複数のノズルNは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ第1ノズル列NL1と第2ノズル列NL2とに区分される。第1ノズル列NL1および第2ノズル列NL2のそれぞれは、Y軸に沿う方向であるノズル列方向DNに直線状に配列される複数のノズルNの集合である。ここで、ヘッド3aにおける第1ノズル列NL1の各ノズルNに関連する要素と第2ノズル列NL2の各ノズルNに関連する要素とがX軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。
【0072】
ただし、第1ノズル列NL1における複数のノズルNと第2ノズル列NL2における複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致してもよいし異なってもよい。また、第1ノズル列NL1および第2ノズル列NL2のうちの一方の各ノズルNに関連する要素が省略されてもよい。以下では、第1ノズル列NL1における複数のノズルNと第2ノズル列NL2における複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。
【0073】
図示しないが、ヘッド3aは、ノズルNごとに、駆動素子である圧電素子と、インクを収容するキャビティと、有する。ここで、当該圧電素子は、当該圧電素子に対応するキャビティの圧力を変化させることにより、当該キャビティに対応するノズルからインクを吐出方向DEに吐出させる。このようなヘッド3aは、例えば、エッチング等により適宜に加工したシリコン基板等の複数の基板を接着剤等により貼り合わせることにより得られる。なお、ノズルからインクを吐出させるための駆動素子として、当該圧電素子に代えて、キャビティ内のインクを加熱するヒーターを用いてもよい。
【0074】
以上のヘッド3aには、供給管20を介して図示しないインクタンクからインクが供給される。ここで、供給管20とヘッド3aとの間には、圧力調整弁3bが介在する。ここで、圧力調整弁3bは、インクを移送する管体で構成されるヘッド接続流路3gを介して、ヘッド3aに接続される。
【0075】
エネルギー出射部3cは、ワークW上のインクを半硬化または半固化させるための光、熱、電子線または放射線等のエネルギーを出射面FLからZ2方向に出射する。「半硬化」とは、完全硬化に至らずに部分的に硬化した状態をいう。同様に、「半固化」とは、完全固化に至らずに部分的に固化した状態をいう。エネルギー出射部3cは、例えば、紫外線を出射するLED(light emitting diode)等の発光素子等で構成される。なお、エネルギー出射部3cは、エネルギーの出射方向または出射範囲等を調整するためのレンズ等の光学部品等を有してもよい。なお、エネルギー出射部3cは、必要に応じて設ければよく、省略されてもよい。また、エネルギー出射部3cは、後述のエネルギー出射部32と同様、ワークW上のインクを完全硬化させてもよい。
【0076】
1-4.センサーユニットの構成
図4は、センサーユニット30および調整機構2f、2g、2fの概略構成を示す斜視図である。
図4示すように、センサーユニット30は、ヘッドユニット3と同様、調整機構2f、2g、2fを介してZ移動機構2Zに支持される。
図4に示す例では、調整機構2f、2g、2fは、この順でZ2方向に並ぶ。なお、調整機構2f、2g、2fの並び順は、
図4に示す例に限定されず、任意である。また、調整機構2f、2g、2fは、電動により微調整を行う構成であってもよい。
【0077】
センサーユニット30は、センサー31とエネルギー出射部32とを有する。これらは、支持体33に支持される。ここで、センサー31は、複数の接触センサー31aと距離センサー31bとを有しており、複数の接触センサー31aは、取付部材34を介して支持体33に支持される。
【0078】
支持体33は、実質的な剛体であり、例えば、金属材料等で構成される。
図4に示す例では、支持体33が2つの部材33a、33bを有する。部材33aは、Z軸に沿う方向を板厚方向とする板状部材である。部材33aのZ1方向を向く面は、前述の調整機構2f、2g、2fを介してZ移動機構2Zに装着される。一方、部材33aのZ2方向を向く面には、部材33bがネジ留め等により固定される。部材33bは、X軸に沿う方向を板厚方向とする板状部材である。部材33bのX1方向を向く面には、距離センサー31bがネジ留め等により固定される。一方、部材33bのX2方向を向く面には、エネルギー出射部32がネジ留め等により固定される。また、部材33bのZ2方向での端には、取付部材34がネジ留め等により固定される。取付部材34は、実質的な剛体であり、例えば、金属材料等で構成される。
【0079】
なお、支持体33および取付部材34の形状は、
図4に示す例に限定されず、任意である。また、取付部材34は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。この場合、複数の接触センサー31aは、支持体33に直接ネジ留め等により固定される。
【0080】
複数の接触センサー31aのそれぞれは、ワークWとの接触を検出する接触式のセンサーである。各接触センサー31aは、ベース31a1とワイヤー31a2とを有する。ベース31a1は、取付部材34に固定される触覚スイッチであり、外力を検出する検出部を有する。当該検出部には、ワイヤー31a2が取り付けられる。ワイヤー31a2は、Z軸に沿う方向に延びており、Z軸に直交する方向の外力を受けて当該検出部に伝達する。
【0081】
複数の接触センサー31aの先端ESは、Z軸に直交する同一の仮想平面上に配置される。
図4に示す例では、接触センサー31aの数が4個であり、4個の先端ESにより区画される先端領域REの形状がX軸に沿う1対の短辺とY軸に沿う1対の長辺とを有する長方形である。
【0082】
ここで、先端領域REの形状は、前述のノズル面FNの形状と同一である。したがって、先端領域REのX軸に沿う方向での長さL2aは、ノズル面FNのX軸に沿う方向での長さL1aと等しい。また、先端領域REのY軸に沿う方向での長さL2bは、ノズル面FNのY軸に沿う方向での長さL1bと等しい。また、先端領域REの長手方向は、ノズル面FNの長手方向に平行である。
【0083】
距離センサー31bは、ワークWとの間の距離を検出する光学式の変位センサーである。距離センサー31bは、ワークWに向けてレーザー光を出射する出射部31b1を有し、ワークWで反射した当該レーザー光を受光した結果に基づいて、Z軸に沿う方向におけるワークWとの間の距離に応じた信号を出力する。なお、距離センサー31bは、必要に応じて設ければよく、省略されてもよい。
【0084】
エネルギー出射部32は、ワークW上のインクを硬化または固化させるための光、熱、電子線または放射線等のエネルギーを出射面FLからZ2方向に出射する。エネルギー出射部32は、例えば、紫外線を出射するLED(light emitting diode)等の発光素子等で構成される。なお、エネルギー出射部32は、エネルギーの出射方向または出射範囲等を調整するためのレンズ等の光学部品等を有してもよい。
【0085】
図5は、接触センサー31aの先端領域REを説明するための図である。前述の距離センサー31bは、先端領域REに対してZ1方向の位置に配置されており、先端領域REを介してワークWとの間の距離を検出する。
図5に示す例では、Z軸に沿う方向にみて、距離センサー31bの出射部31b1が先端領域REの中心CPに位置する。
【0086】
1-5.立体物印刷装置の動作
図6は、第1実施形態に係る立体物印刷装置1の動作の一例を示す図である。立体物印刷装置1は、
図6に示すように、確認動作S10と印刷動作S20と硬化動作S30とをこの順で実行する。
図6に示す例では、確認動作S10が第1確認動作S11と第2確認動作S12とをこの順で実行する。これらの動作では、前述の
図2に示す移動制御部5b1が移動機構2の動作を制御することにより、ヘッドユニット3およびセンサーユニット30のX軸およびZ軸に沿う方向での位置が変化する。なお、第1確認動作S11および第2確認動作S12のうちの一方が省略されてもよい。
【0087】
確認動作S10は、ヘッド3aおよびセンサー31のそれぞれがZ軸に沿う方向にみてワークWと重なる範囲でX移動機構2Xを動作させつつ、ヘッド3aがワークWの表面への画像形成に寄与するインクを吐出しない。確認動作S10では、センサー31の検出結果に基づいて、前述の経路情報Daに基づく経路の妥当性が判断される。本実施形態では、第1確認動作S11において、距離センサー31bの検出結果に基づいて、前述の経路情報Daに基づく経路の妥当性が判断される。また、第2確認動作S12において、接触センサー31aの検出結果に基づいて、前述の経路情報Daに基づく経路の妥当性が判断される。
【0088】
印刷動作S20は、確認動作S10よりも後の動作であって、ヘッド3aおよびセンサー31のそれぞれがZ軸に沿う方向にみてワークWと重なる範囲でX移動機構2Xを動作させつつ、ヘッド3aがインクを吐出する。ここで、必要に応じて、印刷動作S20の実行中の期間にわたり、エネルギー出射部3cがエネルギーを出射する。これにより、ワークW上に着弾した直後のインクに当該エネルギーが照射される。この結果、ワークW上のインクが半硬化または半固化されることによりワークW上にピニングされる。
【0089】
硬化動作S30は、印刷動作S20よりも後の動作であって、エネルギー出射部32がZ軸に沿う方向にみてワークWと重なる範囲でX移動機構2Xを動作させつつ、エネルギー出射部32がエネルギーを出射する。これにより、ワークW上のインクが硬化または固化される。ここで、ワークW上のインクの硬化または固化を促進する観点から、硬化動作S30の実行中の期間にわたり、エネルギー出射部32だけでなく、エネルギー出射部3cがエネルギーを出射してもよい。
【0090】
以下、これらの動作について、
図7から
図10に基づいて順に詳述する。
図7から
図10では、説明の便宜上、X移動機構2Xに支持される複数のZ移動機構2Zのうち、Z移動機構2Z_1およびZ移動機構2Z_5が代表的に示される。また、
図7から
図9では、確認動作S10または印刷動作S20の実行時におけるX移動機構2Xの駆動方向がX1方向である場合が例示される。ここで、
図7から
図9中、上段は、センサーユニット30のX軸に沿う方向での位置が位置P1である状態を示し、下段は、ヘッドユニット3のX軸に沿う方向での位置が位置P1である状態を示す。
【0091】
図7は、確認動作S10の第1確認動作S11を説明するための図である。以下では、
図7に基づいて、第1確認動作S11の実行時におけるZ移動機構2Z_1およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係の変遷について代表的に説明する。なお、以下で述べる事項は、第1確認動作S11の実行時におけるZ移動機構2Z_2~2Z_4およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係についても同様である。
【0092】
図7に示すように、ヘッド3aのZ軸に沿う方向での位置が第1確認動作S11の実行中の期間にわたり一定である。同様に、センサー31のZ軸に沿う方向での位置が第1確認動作S11の実行中の期間にわたり一定である。つまり、第1確認動作S11の実行中においては、Z移動機構2Zは動作しない。
図7に示す例では、第1確認動作S11の実行中の期間にわたり、ヘッド3aおよびセンサー31のそれぞれがX軸に平行な直線LSに沿って移動する。直線LSは、経路情報Daに基づく経路RUよりもZ1方向に位置しており、好ましくは、可能な限りZ1方向に退避した場合のノズル面FNまたは先端領域REの位置を通る直線である。
【0093】
ここで、前述のようにワークWの面WFがX軸に対して平行でないことから、ヘッド3aのX軸に沿う方向での移動に伴って、ヘッド3aとワークWとの間のZ軸に沿う方向での距離であるヘッド距離Lzhが変化する。同様に、センサー31のX軸に沿う方向での移動に伴って、センサー31とワークWとの間のZ軸に沿う方向における距離であるセンサー距離Lzsが変化する。
【0094】
このような第1確認動作S11の実行中では、ヘッド距離Lzhの平均値が後述の印刷動作S20の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値よりも大きい。このため、第1確認動作S11の実行中では、ヘッド3aとワークWとの衝突が好適に防止される。
【0095】
ここで、ある動作の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値とは、例えば、当該動作の開始時から終了時までの間において、任意の時間間隔でヘッド距離Lzhを複数回測定し、それらのヘッド距離Lzhを合計した値を測定回数によって除することで得られる値である。同様に、ある動作の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値とは、例えば、当該動作の開始時から終了時までの間において、任意の時間間隔でセンサー距離Lzsを複数回測定し、それらのセンサー距離Lzsを合計した値を測定回数によって除することで得られる値である。
【0096】
同様に、第1確認動作S11の実行中では、センサー距離Lzsの平均値が後述の印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも大きい。しかも、第1確認動作S11の実行中では、Z移動機構2Z_5の動作量が印刷動作S20の実行中におけるZ移動機構2Z_5の動作量よりも小さい。このため、第1確認動作S11の実行中では、距離センサー31bを用いて面WFの形状測定を好適に行うことができる。
【0097】
第1確認動作S11の実行中では、前述のようなヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係の変遷のもとで、距離センサー31bの検出結果に基づいて、前述の経路情報Daに基づく経路RUの妥当性が判断される。具体的には、例えば、距離センサー31bの検出結果に基づく経路と経路情報Daに基づく経路RUとの差分が所定範囲内である場合、経路情報Daに基づく経路RUが妥当であると判断され、一方、距離センサー31bの検出結果に基づく経路と経路情報Daに基づく経路RUとの差分が所定範囲外である場合、経路情報Daに基づく経路RUが妥当でないと判断される。
【0098】
図8は、確認動作S10の第2確認動作S12を説明するための図である。以下では、
図8に基づいて、第2確認動作S12の実行時におけるZ移動機構2Z_1およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係の変遷について代表的に説明する。なお、以下で述べる事項は、第2確認動作S12の実行時におけるZ移動機構2Z_2~2Z_4およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係についても同様である。
【0099】
図8に示すように、ヘッド3aのZ軸に沿う方向での位置が第2確認動作S12の実行中の期間にわたり一定である。
図7に示す例では、第1確認動作S11の実行中の期間にわたり、ヘッド3aがX軸に平行な直線LSに沿って移動する。ここで、第1確認動作S11と同様、ヘッド3aのX軸に沿う方向での移動に伴ってヘッド距離Lzhが変化する。
【0100】
これに対し、センサー距離Lzsが第2確認動作S12の実行中の期間にわたり一定である。したがって、ワークWの面WFに沿って、センサー31のZ軸に沿う方向での位置が第2確認動作S12の実行中に変化する。
図8に示す例では、第2確認動作S12の実行中の期間にわたり、センサー31が経路情報Daに基づく経路RUに沿って移動する。つまり、第2確認動作S12の実行中においては、Z移動機構2Z_5は動作するのに対して、Z移動機構2Z_1は動作しない。
【0101】
このような第2確認動作S12の実行中では、ヘッド距離Lzhの平均値が後述の印刷動作S20の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値よりも大きい。このため、第2確認動作S12の実行中では、ヘッド3aとワークWとの衝突が好適に防止される。
【0102】
また、第2確認動作S12の実行中では、ヘッド距離Lzhの変化量がセンサー距離Lzsの変化量よりも大きい。そのうえ、第2確認動作S12の実行中では、ヘッド距離Lzhの平均値がセンサー距離Lzsの平均値よりも大きい。このため、第2確認動作S12の実行中では、この点でも、ヘッド3aとワークWとの衝突が好適に防止される。
【0103】
第2確認動作S12の実行中では、前述のようなヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係の変遷のもとで、接触センサー31aの検出結果に基づいて、前述の経路情報Daに基づく経路RUの妥当性が判断される。具体的には、例えば、接触センサー31aがワークWおよびその他の物体と接触しない場合、経路情報Daに基づく経路RUが妥当であると判断され、一方、接触センサー31aがワークWおよびその他の物体と接触した場合、経路情報Daに基づく経路RUが妥当でないと判断される。
【0104】
図9は、印刷動作S20を説明するための図である。以下では、
図9に基づいて、印刷動作S20の実行時におけるZ移動機構2Z_1およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係の変遷について代表的に説明する。なお、以下で述べる事項は、印刷動作S20の実行時におけるZ移動機構2Z_2~2Z_4およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係についても同様である。
【0105】
図9に示すように、ヘッド距離Lzhが印刷動作S20の実行中の期間にわたり一定である。したがって、ワークWの面WFに沿って、ヘッド3aのZ軸に沿う方向での位置が印刷動作S20の実行中に変化する。同様に、センサー距離Lzsが印刷動作S20の実行中の期間にわたり一定である。したがって、ワークWの面WFに沿って、センサー31のZ軸に沿う方向での位置が印刷動作S20の実行中に変化する。
図9に示す例では、印刷動作S20の実行中の期間にわたり、ヘッド3aおよびセンサー31のそれぞれが経路情報Daに基づく経路RUに沿って移動する。
【0106】
このような印刷動作S20の実行中では、ヘッド距離Lzhの平均値が確認動作S10の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値よりも小さい。このため、画質を高めることができる。
【0107】
また、印刷動作S20の実行中では、ヘッド距離Lzhの変化量が確認動作S10の実行中におけるヘッド距離Lzhの変化量よりも小さい。このため、この点でも、画質を高めることができる。
【0108】
さらに、印刷動作S20の実行中では、センサー距離Lzsの平均値がヘッド距離Lzhの平均値と略等しい。このため、前述の先端領域REをノズル面FNと略等しい経路で移動させることができる。なお、「略等しい」とは、厳密に等しい場合のほか、製造誤差または動作誤差等の誤差程度の差異を有する場合も含む。
【0109】
また、印刷動作S20の実行中では、Z移動機構2Z_5の動作量が第1確認動作S11の実行中におけるZ移動機構2Z_5の動作量よりも大きい。言い換えると、第1確認動作S11の実行中におけるZ移動機構2Z_5の動作量が印刷動作S20の実行中におけるZ移動機構2Z_5の動作量よりも小さい。第1確認動作S11の実行中において、Z移動機構2Z_5の動作量を小さくすること、より好ましくは、Z移動機構2Z_5を動作しないことによれば、第1確認動作S11での距離センサー31bの測定精度の低下を抑制することができる。
【0110】
そのうえで、印刷動作S20の実行中では、センサー距離Lzsの平均値が第1確認動作S11の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも小さい。言い換えると、第1確認動作S11の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも大きい。このため、第1確認動作S11の実行時にセンサー31とワークWとの衝突を好適に防止することができる。
【0111】
図10は、硬化動作S30を説明するための図である。以下では、
図10に基づいて、硬化動作S30の実行時におけるZ移動機構2Z_1およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係の変遷について代表的に説明する。なお、以下で述べる事項は、硬化動作S30の実行時におけるZ移動機構2Z_2~2Z_4およびZ移動機構2Z_5の動作によるヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置関係についても同様である。
【0112】
図10では、硬化動作S30の実行時におけるX移動機構2Xの駆動方向がX2方向である場合が例示される。ここで、
図10では、硬化動作S30の開始時の状態が実線で示され、硬化動作S30の終了時の状態が二点鎖線で示される。なお、硬化動作S30の実行時におけるX移動機構2Xの駆動方向は、
図10に示す例に限定されず、X1方向であってもよい。ただし、硬化動作S30の実行時におけるX移動機構2Xの駆動方向が印刷動作S20の実行時におけるX移動機構2Xの駆動方向と反対方向であることにより、印刷動作S20から硬化動作S30へ速やかに移行することができる。
【0113】
図10に示すように、ヘッド3aのZ軸に沿う方向での位置が硬化動作S30の実行中の期間にわたり一定である。
図10に示す例では、硬化動作S30の実行中の期間にわたり、ヘッド3aがX軸に平行な直線LSに沿って移動する。ここで、第2確認動作S12と同様、ヘッド3aのX軸に沿う方向での移動に伴ってヘッド距離Lzhが変化する。
【0114】
これに対し、センサー距離Lzsが硬化動作S30の実行中の期間にわたり一定である。したがって、ワークWの面WFに沿って、センサー31のZ軸に沿う方向での位置が第2確認動作S12の実行中に変化する。
図10に示す例では、硬化動作S30の実行中の期間にわたり、センサー31が経路RU2に沿って移動する。経路RU2は、経路情報Daに基づく経路RUと一致してもよいし、異なってもよいが、センサー31とワークWとの接触を防止するとともにワークW上の広範囲にエネルギーを照射する観点から、経路RUよりもZ1方向に位置することが好ましい。なお、
図10に示す例では、経路RU2が経路RUと同様、面WFに沿う形状をなすが、これに限定されず、例えば、経路RU2がX軸に平行であってもよい。
【0115】
以上のように、立体物印刷装置1は、ヘッドユニット3とセンサーユニット30と移動機構2とを備える。ヘッドユニット3は、立体的なワークWに対して、Z軸に沿って、「液体」の一例であるインクを吐出するヘッド3aを有する。センサーユニット30は、ワークWに対する位置関係を検出するセンサー31を有する。移動機構2は、ワークWに対するヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置を変化させる。
【0116】
そのうえで、移動機構2は、「第1のZ移動機構」の一例であるZ移動機構2Z_1~2Z_4と、「第2のZ移動機構」の一例であるZ移動機構2Z_5と、を含む。Z移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれは、Z軸に沿ってワークWに対するヘッドユニット3の位置を変化させる。Z移動機構2Z_5は、Z軸に沿ってワークWに対するセンサーユニット30の位置を変化させる。しかも、Z移動機構2Z_1~2Z_4およびZ移動機構2Z_5は、センサーユニット30およびヘッドユニット3を互いに独立に移動させる。
【0117】
以上の立体物印刷装置1では、Z移動機構2Z_1~2Z_4およびZ移動機構2Z_5がセンサーユニット30およびヘッドユニット3を互いに独立に移動させるので、ヘッドユニット3をワークWに対して印刷時に比べて退避させた状態で、センサーユニット30をワークWに対して走査させることができる。このため、ワークWに対するヘッド3aの衝突を防止しつつ、センサーユニット30を用いてワークWに対する位置関係を検出することができる。この結果、ワークWに対するヘッド3aの追従性を高めることができる。
【0118】
また、ヘッドユニット3に対して走査方向での前方にセンサーユニット30を配置し、かつ、センサーユニット30とワークWとの間の距離をヘッド3aとワークWとの間の距離に一致させるかそれよりも小さくすることができる。このため、ワークWとヘッド3aとの間隔の測定に誤差が生じたり、ワークWの設置位置がずれたりした場合であっても、ワークWに対してヘッドユニット3よりも前にセンサーユニット30が衝突する。したがって、センサーユニット30とワークWとの衝突を契機として印刷動作S20を停止することにより、ヘッドユニット3とワークWとの接触を防止することができる。また、センサー31とワークWとが衝突しても、ヘッド3aの交換、それに伴うインク供給およびアライメントのやり直しが不要であるため、センサー31が万が一故障等しても、早期の装置復旧が可能である。
【0119】
これに対し、ヘッドユニット3をセンサーユニット30と同一のZ移動機構2Zに取り付ける構成では、センサー31およびヘッド3aの位置関係が固定であるため、ヘッド3aとワークWとの衝突を防止しようとすると、センサー31とワークWとの間の距離を小さくすることが難しく、センサー31の測定精度の低下を招いたり、ヘッド3aとワークWとの間の距離を小さくすることが難しく、画質の低下を招いたりする問題がある。
【0120】
本実施形態では、前述のように、移動機構2は、X移動機構2Xをさらに含む。X移動機構2Xは、Z軸と直交するX軸に沿ってワークWに対するヘッドユニット3およびセンサーユニット30のそれぞれの相対位置を変化させる。また、立体物印刷装置1は、確認動作S10と印刷動作S20とを実行する。確認動作S10は、ヘッド3aおよびセンサー31のそれぞれがZ軸に沿う方向にみてワークWと重なる範囲でX移動機構2Xを動作させつつ、ヘッド3aがインクを吐出しない。印刷動作S20は、確認動作S10よりも後の動作であって、ヘッド3aおよびセンサー31のそれぞれがZ軸に沿う方向にみてワークWと重なる範囲でX移動機構2Xを動作させつつ、ヘッド3aがインクを吐出する。このため、印刷動作S20に先立って確認動作S10を実行することにより、ヘッド3aとワークWとの衝突を好適に防止することができる。
【0121】
本実施形態では、確認動作S10が第1確認動作S11および第2確認動作S12を含む。ここで、第1確認動作S11および第2確認動作S12のそれぞれが「確認動作」の一例であるともいえる。なお、第1確認動作S11および第2確認動作S12のうちの一方が省略されてもよい。
【0122】
また、前述のように、立体物印刷装置1は、移動機構2の動作を制御する移動制御部5b1をさらに備える。移動制御部5b1は、確認動作S10の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値が確認動作S10の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも大きくなるように、Z移動機構2Z_1~2Z_4およびZ移動機構2Z_5のそれぞれの動作を制御する。このため、確認動作S10でのヘッド3aとワークWとの衝突を防止することができる。なお、ヘッド距離Lzhは、ヘッド3aとワークWとの間のZ軸に沿う方向での距離である。センサー距離Lzsは、センサー31とワークWとの間のZ軸に沿う方向における距離である。
【0123】
さらに、前述のように、移動制御部5b1は、確認動作S10の実行中におけるヘッド距離Lzhの変化量が確認動作S10の実行中におけるセンサー距離Lzsの変化量よりも大きくなるように、Z移動機構2Z_1~2Z_4およびZ移動機構2Z_5のそれぞれの動作を制御する。このため、確認動作S10でのZ移動機構2Z_1~2Z_4の動作量を低減し、Z移動機構2Z_1~2Z_4を構成する部材の消耗や電力消費を抑制することができる。
【0124】
また、前述のように、移動制御部5b1は、確認動作S10の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値が印刷動作S20の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値よりも大きくなるように、Z移動機構2Z_5の動作を制御する。このため、確認動作S10でのヘッド3aとワークWとの衝突を防止することができる。
【0125】
さらに、前述のように、移動制御部5b1は、確認動作S10の実行中におけるヘッド距離Lzhの変化量が印刷動作S20の実行中におけるヘッド距離Lzhの変化量よりも大きくなるように、Z移動機構2Z_5の動作を制御する。このため、確認動作S10でのZ移動機構2Z_1~2Z_4の動作量を低減し、Z移動機構2Z_1~2Z_4を構成する部材の消耗や電力消費を抑制することができる。
【0126】
また、前述のように、移動制御部5b1は、印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるヘッド距離Lzhの平均値と略等しくなるように、Z移動機構2Z_1~2Z_4およびZ移動機構2Z_5のそれぞれの動作を制御する。このため、センサー31をヘッド3aに対して先行させた状態で同じ経路でワークWの表面に追従するように走査することができる。
【0127】
さらに、前述のように、移動制御部5b1は、確認動作S10の実行中(本実施形態では、特に第1確認動作S11の実行中)におけるセンサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも大きくなるように、Z移動機構2Z_1~2Z_4およびZ移動機構2Z_5のそれぞれの動作を制御する。このため、確認動作S10でのヘッド3aとワークWとの衝突を防止することができる。特に、最初の確認動作S10では、ワークW形状の詳細な情報が得られない場合もあるため、センサー距離Lzsを大きくすることにより、センサー31とワークWとの衝突を好適に防止することができる。
【0128】
さらに、前述のように、移動制御部5b1は、第1確認動作S11の実行中におけるZ移動機構2Z_5の動作量が印刷動作S20の実行中におけるZ移動機構2Z_5の動作量よりも小さくなるとともに、第1確認動作S11の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも大きくなるように、Z移動機構2Z_5の動作を制御する。このため、第1確認動作S11でのZ移動機構2Z_5の動作量を低減し、Z移動機構2Z_5を構成する部材の消耗または電力消費を抑制することができる。この結果、センサー31が距離センサー31bを含む場合、第1確認動作S11において距離センサー31bの検出結果に基づいてワークWの形状を容易に測定することができる。また、センサー31とワークWとの衝突を好適に防止することができる。
【0129】
また、前述のように、センサー31は、ワークWとの接触を検出する接触センサー31aを有する。このため、ヘッド3aとワークWとの衝突を好適に防止することができる。
【0130】
さらに、前述のように、センサー31は、ワークWとの間の距離を検出する距離センサー31bをさらに有する。このため、距離センサー31bの検出結果に基づいてヘッド3aの移動経路に関する情報を生成することができる。
【0131】
また、前述のように、ヘッド3aは、インクを吐出するノズルNが設けられたノズル面FNを有する。接触センサー31aは、先端領域REを区画する複数の先端ESを有する。先端領域REの外形は、ノズル面FNの外形と略等しい。このため、センサー31を用いてヘッド3aの印刷動作S20の実行時の配置を再現することができる。この結果、センサー31の検出結果に基づいてヘッド3aとワークWとの衝突を好適に防止することができる。なお、接触センサー31aは、複数の先端ESを有する構成に限定されず、例えば、ノズル面FNの外形と略等しい外形の先端面を有する構成であってもよい。この場合でも、前述と同様、センサー31を用いてヘッド3aの印刷動作S20の実行時の配置を再現することができる。
【0132】
さらに、前述のように、センサーユニット30は、ワークW上のインクを硬化または固化させる光を出射するエネルギー出射部32をさらに有する。このため、Z移動機構2Z_5の駆動により、Z軸に沿ってワークWに対するエネルギー出射部32の位置をヘッドユニット3と独立して変化させることができる。したがって、ヘッド3aとワークWと衝突を防止しつつ、ワークW上の「液体」の一例であるインクをエネルギー出射部32からのエネルギーにより硬化または固化させることができる。
【0133】
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0134】
図11は、第2実施形態における確認動作S10を説明するための図である。
図11では、説明の便宜上、X移動機構2Xに支持される複数のZ移動機構2Zのうち、Z移動機構2Z_1およびZ移動機構2Z_5が代表的に示される。また、
図11では、確認動作S10の実行時におけるX移動機構2Xの駆動方向がX1方向である場合が例示される。ここで、
図11中、上段は、センサーユニット30のX軸に沿う方向での位置が位置P1である状態を示し、下段は、ヘッドユニット3のX軸に沿う方向での位置が位置P1である状態を示す。
【0135】
本実施形態は、確認動作S10が異なること以外は、前述の第1実施形態と同様である。本実施形態の確認動作S10は、第1実施形態の確認動作S10または第2確認動作S12に代えて行われる。なお、本実施形態の確認動作S10は、第1実施形態の確認動作S10に加えて行われてもよい。この場合、本実施形態の確認動作S10は、第1実施形態の第1確認動作S11と第2確認動作S12との間に実行されることが好ましい。
【0136】
本実施形態の確認動作S10は、センサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも大きいこと以外は、第1実施形態の第2確認動作S12と同様である。
図11に示す例では、確認動作S10の実行中の期間にわたり、センサー31が経路RU3に沿って移動する。経路RU3は、経路情報Daに基づく経路RUに沿う形状であり、経路RUよりもZ1方向に位置する。
【0137】
以上の第2実施形態によっても、ヘッド3aとワークWとの接触を低減することができる。本実施形態では、前述のように、移動制御部5b1は、確認動作S10の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも大きくなるように、Z移動機構2Z_1~2Z_4およびZ移動機構2Z_5のそれぞれの動作を制御する。このため、確認動作S10でのヘッド3aとワークWとの衝突を防止することができる。特に、最初の確認動作S10では、ワークW形状の詳細な情報が得られない場合もあるため、センサー距離Lzsを大きくすることにより、センサー31とワークWとの衝突を好適に防止することができる。
【0138】
3.第3実施形態
以下、本開示の第3実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0139】
図12は、第3実施形態における確認動作S10を説明するための図である。
図13は、第3実施形態における印刷動作S20を説明するための図である。
図12および
図13では、説明の便宜上、X移動機構2Xに支持される複数のZ移動機構2Zのうち、Z移動機構2Z_1およびZ移動機構2Z_5が代表的に示される。また、
図12および
図13では、確認動作S10の実行時におけるX移動機構2Xの駆動方向がX1方向である場合が例示される。ここで、
図12および
図13中、上段は、センサーユニット30のX軸に沿う方向での位置が位置P1である状態を示し、下段は、ヘッドユニット3のX軸に沿う方向での位置が位置P1である状態を示す。
【0140】
本実施形態は、ワークWの形状および印刷動作S20が異なること以外は、前述の第1実施形態と同様である。本実施形態では、
図12に示すように、ワークWの面WFには、凸部WFaが設けられる。本実施形態の確認動作S10は、第1実施形態の第2確認動作S12と同様である。
【0141】
本実施形態の印刷動作S20は、センサー距離Lzsの平均値が確認動作S10の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値がよりも大きいこと以外は、第1実施形態の印刷動作S20と同様である。したがって、本実施形態では、確認動作S10の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも小さい。
【0142】
以上の第3実施形態によっても、ヘッド3aとワークWとの接触を低減することができる。本実施形態では、前述のように、移動制御部5b1は、確認動作S10の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値が印刷動作S20の実行中におけるセンサー距離Lzsの平均値よりも小さくなるように、Z移動機構2Z_5の動作を制御する。このため、印刷動作S20でのセンサー31とワークWとの衝突を防止することができる。
【0143】
4.変形例
以上の例示における各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択される2以上の態様は、互いに矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0144】
4-1.変形例1
前述の形態では、ワークWをY軸に沿う方向に移動させる態様が例示されるが、この態様に限定されず、例えば、支持機構4のY移動機構4Yが省略されてもよい。この場合、移動機構2がヘッドユニット3およびセンサーユニット30をY軸に沿う方向に移動させる機構を備えてもよい。
【0145】
4-2.変形例2
前述の形態では、移動機構2がX移動機構2Xを有する態様が例示されるが、この態様に限定されず、X移動機構2Xが省略されてもよい。この場合、支持機構4がワークWをX軸に沿う方向に移動させる機構を備えてもよい。
【0146】
4-3.変形例3
前述の形態では、立体物印刷装置1が4個のヘッドユニット3を備える態様が例示されるが、この態様に限定されず、立体物印刷装置1の有するヘッドユニット3の数は、1個以上3個以下でもよいし、5個以上でもよい。ここで、立体物印刷装置1が複数のヘッドユニット3を備える場合、第1のZ移動機構によりZ軸に沿う方向に移動するヘッドユニット3の数が1個以上であればよく、当該複数のヘッドユニット3は、Z軸に沿う方向に移動しないヘッドユニット3を含んでもよい。すなわち、立体物印刷装置1の有する第1のZ移動機構の数が1個以上であればよい。
【0147】
4-4.変形例4
また、前述の形態では、硬化動作S30を実行する態様が例示されるが、この態様に限定されず、硬化動作S30が省略されてもよい。この場合、例えば、エネルギー出射部3cは、ワークW上のインクを完全硬化させてもよい。
【0148】
4-5.変形例5
前述の形態では、移動機構2がヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置を変化させる構成が例示されるが、これに限定されず、移動機構2がヘッドユニット3およびセンサーユニット30の位置および姿勢を変化させる構成であってもよい。例えば、移動機構2が垂直多軸ロボットまたは水平多軸ロボットでもよい。
【0149】
4-6.変形例6
前述の形態では、1種類のインクを用いて印刷を行う構成が例示されるが、当該構成に限定されず、2種以上のインクを用いて印刷を行う構成にも本開示を適用することができる。
【0150】
4-7.変形例7
本開示の立体物印刷装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する立体物印刷装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する立体物印刷装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、立体物印刷装置は、接着剤等の液体を媒体に塗布するジェットディスペンサーとしても利用できる。
【符号の説明】
【0151】
1…立体物印刷装置、2…移動機構、2X…X移動機構、2Z…Z移動機構、2Z_1…Z移動機構(第1のZ移動機構)、2Z_2…Z移動機構(第1のZ移動機構)、2Z_3…Z移動機構(第1のZ移動機構)、2Z_4…Z移動機構(第1のZ移動機構)、2Z_5…Z移動機構(第2のZ移動機構)、2a…柱、2b…梁、2c…レール、2d…可動体、2e…支持体、2f…調整機構、2f1…第1部材、2f2…第2部材、2g…調整機構、2g1…第1部材、2g2…第2部材、2h…調整機構、2h1…第1部材、2h2…第2部材、3…ヘッドユニット、3_1…ヘッドユニット、3_2…ヘッドユニット、3_3…ヘッドユニット、3_4…ヘッドユニット、3a…ヘッド、3b…圧力調整弁、3c…エネルギー出射部、3d…距離センサー、3e…スイッチ回路、3f…支持体、3g…ヘッド接続流路、4…支持機構、4C…可動体、4Y…Y移動機構、4a…支持体、4b…レール、4c…可動体、4d…ステージ、5…コントローラー、5a…記憶回路、5b…処理回路、5b1…移動制御部、5c…仮硬化用光源、6…制御モジュール、6a…タイミング信号生成回路、6b…電源回路、6c…制御回路、6d…駆動信号生成回路、7…コンピューター、10…基台、10a…面、11…ケース、12…メンテナンス機構、12a…ユニット、12b…ユニット、20…供給管、30…センサーユニット、31…センサー、31a…接触センサー、31a1…ベース、31a2…ワイヤー、31b…距離センサー、31b1…出射部、32…エネルギー出射部、33…支持体、33a…部材、33b…部材、34…取付部材、36…センサー、CLK…クロック信号、CNG…チェンジ信号、CP…中心、Com…駆動信号、D1…出力信号、D3…信号、DE…吐出方向、DN…ノズル列方向、Da…経路情報、Dx…出力信号、Dz_1…出力信号、ES…先端、FN…ノズル面、LAT…ラッチ信号、LS…直線、Lzh…ヘッド距離、Lzs…センサー距離、N…ノズル、NL1…第1ノズル列、NL2…第2ノズル列、P1…位置、PD…駆動パルス、PG…プログラム、PTS…タイミング信号、RE…先端領域、RU…経路、RU2…経路、RU3…経路、S10…確認動作、S11…第1確認動作、S12…第2確認動作、S20…印刷動作、S30…硬化動作、SI…制御信号、SI_1…制御信号、Sx…制御信号、Sz_1…制御信号、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、W…ワーク、WF…面、WFa…凸部、dCom…波形指定信号。