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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038658
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ロードセル
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20240313BHJP
   G01L 1/26 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G01L1/22 L
G01L1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142848
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 璋好
【テーマコード(参考)】
2F049
【Fターム(参考)】
2F049BA04
2F049CA10
(57)【要約】
【課題】荷重作用部におけるねじの影響を排除した引張圧縮荷重検出用の密閉小型のロードセルを提供する。
【解決手段】接続部2gと起歪部2fとが軸方向に直列に配置され、起歪部2fに添着した感歪抵抗体4により軸方向AXの荷重を検出するロードセル1であって、接続部2gの少なくとも一方の端部には、軸方向AXにねじインサート5が埋設され、接続部2g及び起歪部2fには、ねじインサート5のタップ用下穴が軸方向AXに設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部と起歪部とが軸方向に直列に配置され、前記起歪部に添着された感歪抵抗体により前記軸方向の荷重を検出するロードセルであって、
前記接続部の少なくとも一方の端部には、前記軸方向にねじインサートが埋設され、
前記接続部及び前記起歪部には、前記ねじインサートのタップ用下穴が前記軸方向に設けられているロードセル。
【請求項2】
接続部と起歪部とが軸方向に直列に配置され、前記起歪部に添着された感歪抵抗体により前記軸方向の荷重を検出するロードセルであって、
前記接続部の少なくとも一方の端部には、前記軸方向に雌ねじが配置され、
前記接続部の前記雌ねじから前記起歪部へ延伸した延伸部、及び前記起歪部には、前記雌ねじの谷の径より大きい穴が前記軸方向に設けられているロードセル。
【請求項3】
少なくとも前記起歪部を覆う中空円筒形で、半径方向の内側に突出した突起を備えるカバーを有し、
前記接続部は、前記起歪部を前記軸方向に挟む鍔部を有し、
前記鍔部は、外周面に全周溝と、凹部と、を有し
前記全周溝にはシール部材がはめ込まれ、
前記接続部と前記カバーは、前記カバーが前記接続部へ前記軸方向に挿入されて前記シール部材を介して密着すると共に、前記カバーの前記突起が前記凹部に係合して位置決め固定される請求項1又は2に記載のロードセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮及び引張の荷重を測定するロードセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
引張及び圧縮の荷重を検出するロードセルが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-184153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロードセルは、圧縮荷重に加えて引張荷重を検出するため、荷重が作用する荷重作用部部に雌ねじが切ってあり、この雌ねじに被測定物の雄ねじの部材を挿入して使用される。このようなロードセルに対して小さなサイズで密閉型の小型ロードセルが要求されている。そして、この雌ねじの不完全ねじ部まで被測定物のボルト等が挿入されてしまう場合があって、不完全ねじ部でひずみが発生して起歪部に影響するという課題がある。
【0005】
このような問題に鑑みて、本発明は、荷重作用部におけるねじの影響を排除した密閉小型のロードセルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロードセルは、上記の目的を達成するために、
接続部と起歪部とが軸方向に直列に配置され、起歪部に添着された感歪抵抗体により軸方向の荷重を検出するロードセルであって、
接続部の少なくとも一方の端部には、軸方向にねじインサートが埋設され、
接続部及び起歪部には、ねじインサートのタップ用下穴が軸方向に設けられている。
【0007】
本発明のロードセルは、上記の目的を達成するために、
接続部と起歪部とが軸方向に直列に配置され、起歪部に添着された感歪抵抗体により軸方向の荷重を検出するロードセルであって、
接続部の少なくとも一方の端部には、軸方向に雌ねじが配置され、
接続部の雌ねじから起歪部へ延伸した延伸部、及び起歪部には、雌ねじの谷の径より大きい穴が軸方向に設けられている。
【0008】
また、少なくとも起歪部を覆う中空円筒形で、半径方向の内側に突出した突起を備えるカバーを有し、
接続部は、起歪部を軸方向に挟む鍔部を有し、
鍔部は、外周面に全周溝と、凹部と、を有し
全周溝にはシール部材がはめ込まれ、
接続部とカバーは、カバーが接続部へ軸方向に挿入されてシール部材を介して密着すると共に、カバーの突起が凹部に係合して位置決め固定されるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロードセルによれば、荷重作用部におけるねじの影響を排除した密閉小型ロードセルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係るロードセルの外観斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るロードセルの分解斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るロードセルの断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係るロードセルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態に係るロードセルについて、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係るロードセル1の斜視構成図である。図2は本発明の第1の実施形態に係るロードセルの分解斜視図である。ロードセル1は、軸方向AXに加わる引張荷重及び圧縮荷重を検出する。ロードセル1は、本体2と、感歪抵抗体4と、ねじインサート5と、カバー30と、シール部材32と、を含んで構成されている(図2)。
【0013】
本体2は、六角部2aと、鍔部2bと、起歪部2fとを有している。本体2はステンレスなどの金属材料を切削などで加工したものである。六角部2aは、工具のスパナなどでロードセル1を固定するための部位であって、本体2の両側に設けられている。2つの六角部2aから軸方向AXに沿って内側に2箇所の鍔部2bが設けられている。鍔部2bの外周面には全周溝2cが設けられている。また一方の鍔部2bの外周には、凹んだ凹部2dが設けられている。軸方向AXに沿って2つの鍔部2bに挟まれるようにして、断面が矩形の起歪部2fが設けられている。起歪部2fは中空で薄肉である。起歪部2fの外面には感歪抵抗体4が添着されている。感歪抵抗体4は例えばポリイミドベースに折返しパターンの抵抗体フィラメントを積層した歪みゲージである。
【0014】
2つの六角部2aの端部には、ねじインサート5が軸方向AXにそれぞれ挿入されている。ねじインサート5は、中空円筒状で外周面には雄ねじが、内周面には雌ねじが設けられたステンレスなどの金属部材である。ねじインサート5は、コイルで形成されるもの、切削加工で形成されるもの、いずれであっても良い。
【0015】
また全周溝2cには、シール部材32がはめ込まれる。シール部材32は例えばゴムのOリングである。
【0016】
カバー30は、中空円筒形状で、内周面の直径が鍔部2bの外周面と僅かな隙間にて軸方向AXに沿って、鍔部2bに挿入可能な寸法である。
【0017】
以上の構成で、接続部2gに設けられたねじインサート5の部分に被測定部材を挿入して、軸方向AXの引張荷重及び圧縮荷重を測定することができる。
【0018】
図3は本発明の第1の実施形態に係るロードセル1の断面図である。軸方向AXに沿って、六角部2aと鍔部2bの範囲が接続部2gであり、接続部2gに挟まれた部分が起歪部2fである。接続部2gは厚肉で剛性が高く軸方向AXに加わる引張及び圧縮荷重では変形しない。一方で、起歪部2fは薄肉で引張及び圧縮荷重にて弾性変形して、結果として起歪部2fに添着された感歪抵抗体4にて荷重を検出することができる。
【0019】
六角部2aにねじインサート5を挿入するためには、まず軸方向AX全域に渡って直径D1の貫通したタップ用下穴6を形成する。次いで、このタップ用下穴6に対して、ねじインサート5の外径の雄ねじに対応したねじインサート用雌ねじ2eを、略ねじインサート5の長さ方向分だけ、ねじ切り工具にて形成する。そしてねじインサート5を、専用工具などを用いて挿入する。
【0020】
この結果、接続部2gのねじインサート5に被測定部のボルトを挿入することができる。被測定部のボルトは、雄ねじの外径がD2である。そしてタップ用下穴6の径D1はボルト外径D2より大きい。したがって被測定部のボルトを、ねじインサート5の範囲を超えて深く挿入しても、ボルトがタップ用下穴6に干渉することはなく、起歪部2fに影響を及ぼすことは避けられる。
【0021】
一方、中空円筒形状のカバー30は、鍔部2bの外周面と僅かな隙間にて軸方向AXに沿って、鍔部2bに挿入される。この時、シール部材32が変形して、鍔部2bに挟まれた起歪部2fの気密をカバー30と本体2とで保つことができる。起歪部2fには感歪抵抗体4が添着されており、感歪抵抗体4は外部の湿度の影響から保護される。さらに、カバー30の半径方向内側へ突出して設けられた突起31が、鍔部2bの凹部2dに係合して、カバー30と本体2とが、円周方向と軸方向AXとで位置決めされる。突起31は予めカバー30に設けられていても良いし、カバー30を鍔部2bに挿入した後にプレス工具等により形成してもよい。
【0022】
図4は本発明の第2の実施形態に係るロードセルの断面図である。第2の実施形態ではねじインサート5に代えて雌ねじ20が設けられている。すなわち、接続部2gの六角部2aには雌ねじ20が設けられている。この雌ねじ20を形成するために、雌ねじ20のタップ下穴が直径D3で加工される。そして、これを基に直径D5の雌ねじ20がタップ加工される。さらに、雌ねじ20の不完全ねじ部を含めた延伸部21と起歪部2fに対し、内ぐり加工で直径D4まで穴を拡大する。なお直径D4は直径D5よりも大きい。したがって被測定部のボルトを、雌ねじ20の範囲を超えて挿入しても、ボルトが直径D4の内ぐり穴部に干渉することはなく、起歪部2fに影響を及ぼすことは避けられる。
【0023】
本発明の第1の実施形態のロードセル1では、ねじインサート5を用いることから、比較的小さい寸法のボルトを有する被測定物に対応したロードセルに適用できる。一方、本発明の第2の実施形態のロードセルは内ぐり加工を行うため、比較的大きい寸法の雌ねじ20を有するロードセルに適用される。
【0024】
なお説明した実施形態では、感歪抵抗体4から引き出された配線ケーブルと、配線ケーブルを固定するカバー30の部分については図示していないが、ケーブルグランドをカバー30に固定する方法やカバー30に穴を設けて配線ケーブルを通して接着剤で保護固定する方法などの、既知の方法で配線が行われる。
【0025】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の活用例として、荷重計測機器、荷重センサ等への適用が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 :ロードセル
2 :本体
2a :六角部
2b :鍔部
2c :全周溝
2d :凹部
2e :ねじインサート用雌ねじ
2f :起歪部
2g :接続部
4 :感歪抵抗体
5 :ねじインサート
6 :タップ用下穴
20 :雌ねじ
21 :延伸部
30 :カバー
31 :突起
32 :シール部材

図1
図2
図3
図4