(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038660
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】二次曲線作図器
(51)【国際特許分類】
B43L 11/00 20060101AFI20240313BHJP
F16C 29/00 20060101ALI20240313BHJP
B43L 11/055 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B43L11/00
F16C29/00
B43L11/055
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142850
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】522357699
【氏名又は名称】大田 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(74)【代理人】
【識別番号】100187399
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 敏文
(72)【発明者】
【氏名】大田 勇二
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA16
3J104AA27
3J104AA34
3J104AA63
3J104AA70
3J104AA73
3J104AA76
3J104DA16
3J104EA07
(57)【要約】
【課題】装置を構成する部材の固定位置を簡単な操作で変更することによって、変化の割合が異なる二次関数のグラフ(二次曲線)を自在に作図することができる二次曲線作図器を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の二次曲線作図器は、枠体と、ガイド部材と、十字状回転部材と、準線移動部材とから構成された二次曲線作図器であって、枠体が、第一枠体及び第二枠体で構成され、所定の間隔に目盛を付され平行に配置されて、ガイド部材が、中央ガイド部、焦点ガイド部及び準線ガイド部で構成されて、十字状回転部材が、二次曲線追従部及び腕部によって垂直を保持した状態で構成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、ガイド部材と、十字状回転部材と、準線移動部材とから構成された二次曲線作図器であって、
枠体が、
第一枠体及び第二枠体で構成され、所定の間隔に目盛を付され、作図する二次曲線の開口端部間の距離を空けて平行に配置されて、
ガイド部材が、
中央ガイド部、焦点ガイド部及び準線ガイド部で構成されて、
中央ガイド部が、
第一枠体及び第二枠体に対して垂直に架け渡されて固定され、
焦点ガイド部及び準線ガイド部が、
第一枠体及び第二枠体上を移動可能であって、作図時には中央ガイド部との距離を等間隔にして第一枠体及び第二枠体に架け渡され固定されて、
十字状回転部材が、
二次曲線追従部及び腕部で構成されて、二次曲線追従部と腕部とが垂直を保持した状態で、腕部略中央において、固定部によって中央ガイド部上の第一枠体及び第二枠体から略等距離の位置で回転自在に固定されて、腕部及び焦点ガイド部、並びに腕部及び準線ガイド部の交点において、回転かつ滑動自在に結合されて、
準線移動部材が、
枠体に対し平行を保持した状態で、中央ガイド部から焦点ガイド部側において二次曲線追従部との交点で該準線移動部材上を描画部材が回転かつ滑動自在に結合され、中央ガイド部から準線ガイド部側において準線ガイド部上を滑動自在に結合され、
準線ガイド部長手方向に移動させて、描画部材が紙面に二次曲線を描くことを特徴とする二次曲線作図器。
【請求項2】
二次曲線追従部が、
二次曲線を描く描画部材の動作を妨げることがないよう、固定部における回転軸と描画部材が滑動する部分とが二層に構成されていること、
を特徴とする請求項1に記載する二次曲線作図器
【請求項3】
焦点ガイド部及び準線ガイド部が、
中央ガイド部からの距離を等しく保持された状態で、中央ガイド部からの距離を変更して枠体に固定されることによって、描かれる二次曲線の開口部の大きさが変更されること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載する二次曲線作図器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な機構を用いて変化の割合が異なる二次関数のグラフ、すなわち開口部の大きさが異なる二次曲線を自在に描く二次曲線作図器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次曲線は、学校教育では中学校及び高等学校で学ぶ。また、工業上の利用では、代表的なものとしてパラボラアンテナの設計において用いられる。
【0003】
学校教育において、二次曲線の作図は、与えられた二次関数に数値を代入して得られた座標をグラフ用紙にプロットし、定規を用いて、又はフリーハンドによってプロットを繋ぐことによって行われる。
【0004】
現在、二次曲線を正確に作図する文具は存在しないため、中学生又は高校生は、上記の方法で、手間と時間を掛けて折れ線になるなど不完全な作図を行っていることが多い。
【0005】
中学生又は高校生が課題として与えられた二次関数の二次曲線を自在に作図することができれば、二次関数に対する関心が高まり、学習意欲も高まっていくと考えられるが、現時点においては、二次曲線を自在に作図する文具は実現できていない。
【0006】
一方で、工業面においては、パラボラアンテナの設計に二次曲線を作図する必要があるため、二次曲線の作図装置が開発されている。
【0007】
図10に先行技術文献における二次曲線を作図するメカニズムを示す。パラボラアンテナは、空間を進んでくる電波又は光をパラボラアンテナの椀状の反射面に当てて反射させて焦点に集める必要がある。そのため、パラボラアンテナの設計では、二次曲線上の任意の点から準線までの距離と、当該任意の点から焦点までの距離とが等しい性質を利用又は応用する。
【0008】
具体的には、二次曲線の焦点Fを固定点として、焦点Fと、焦点Fを中心とする二次曲線に接する円周上の任意の点Eとを結ぶ直線FEを二次曲線上との交点Pまで延長した直線PFと、交点PからX軸に下ろした垂線PHを準線DX上の交点Rpまで延長した直線RpPとの距離が等しい関係を利用又は応用して作図する作図器が開発され、先行技術文献として開示されている。図中の一点鎖線PLは、焦点を通るX軸との平行線である。
【0009】
前記の性質によると、
図10において直線RpHと円の半径であるFEは等しい。したがって、垂線PHと直線PEの長さは等しい。交点Pを通る二次曲線の接線と直線RpFとの交点をTとすると、接線PTと直線RpFとは直角を成す。同様に接線PTと直線EHとは交点Sにおいて直角を成す。該直角を保持し、かつ点HがX軸上を移動するように接線PT(交点P又は交点Tを超えて延長されていてもよい、)と直線EHによって構成されたリンク機構を備えた十字部材において、十字部材の円周との結合点Eを、手動で円周上を移動させることによって二次曲線を作図する二次曲線創成具が特許文献1に開示されている。
【0010】
また、前記の性質を用いて直線RpPと直線PFとの長さが等しい状態を保持し、かつ点Rpが準線DX上を移動するように構成されたリンク機構であるリンク素子体において、接線PQと直線RpFとで構成されるリンク素子体の結合点Tを、手動でX軸上を移動させることによって二次曲線を作図する二次曲線創成具が特許文献2に開示されている。なお、点Qは、直線PTを交点T外側に延長した際の任意の点である。また、接線PQは、交点Pを超えて延長されていてもよい。上記の説明で用いた符号は、特許文献2で示された符号とは異なり、
図10に基づいた符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平1-113294号公報
【特許文献2】特開昭61-152498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記2件の先行技術文献においては、二次関数の二次の項の係数、すなわち変化の割合を変更して、二次曲線の開口部の大きさを変更する旨の記載はない。また、二次関数の変化の割合を変更するための装置構成についても示されていない。したがって、装置の構成を容易に変更して、変化の割合が異なる二次関数のグラフ(二次曲線)を作図することができない課題がある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、装置を構成する部材の固定位置を簡単な操作で変更することによって、変化の割合が異なる二次関数のグラフ(二次曲線)を自在に作図することができる二次曲線作図器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の二次曲線作図器は、枠体と、ガイド部材と、十字状回転部材と、準線移動部材とから構成された二次曲線作図器であって、枠体が、第一枠体及び第二枠体で構成され、所定の間隔に目盛を付され、作図する二次曲線の開口端部間の距離を空けて平行に配置されて、ガイド部材が、中央ガイド部、焦点ガイド部及び準線ガイド部で構成されて、中央ガイド部が、第一枠体及び第二枠体に対して垂直に架け渡されて固定され、焦点ガイド部及び準線ガイド部が、第一枠体及び第二枠体上を移動可能であって、作図時には中央ガイド部との距離を等間隔にして第一枠体及び第二枠体に架け渡され固定されて、十字状回転部材が、二次曲線追従部及び腕部で構成されて、二次曲線追従部と腕部とが垂直を保持した状態で、腕部略中央において、固定部によって中央ガイド部上の第一枠体及び第二枠体から略等距離の位置で回転自在に固定されて、腕部及び焦点ガイド部、並びに腕部及び準線ガイド部の交点において、回転かつ滑動自在に結合されて、準線移動部材が、枠体に対し平行を保持した状態で、中央ガイド部から焦点ガイド部側において二次曲線追従部との交点で該準線移動部上を描画部材が回転かつ滑動自在に結合され、中央ガイド部から準線ガイド部側において準線ガイド部上を滑動自在に結合され、準線ガイド部長手方向に移動させて、描画部材が紙面に二次曲線を描くことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の二次曲線作図器は、二次曲線追従部が、二次曲線を描く描画部材の動作を妨げることがないよう、固定部における回転軸と描画部材が滑動する部分とが二層に構成されていること、を特徴とする。
【0016】
また、本発明の二次曲線作図器は、焦点ガイド部及び準線ガイド部が、中央ガイド部からの距離を等しく保持された状態で、中央ガイド部からの距離を変更して枠体に固定されることによって、描かれる二次曲線の開口部の大きさが変更されること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の二次曲線作図器によれば、作図の際に二次曲線の焦点を固定する必要がないため、焦点ガイド部及び準線ガイド部を枠体に付された目盛に合わせて、中央ガイド部からの距離を等間隔に保持した状態で移動させることによって、二次関数の変化の割合を変更することができ、開口部の大きさが異なる二次曲線を容易に作図することができる。
【0018】
また、本発明の二次曲線作図器によれば、二次曲線の極点を固定点としているにも関わらず、移動する各部材を層状に構成することによって、描画部材が、二字曲線の極点を通過することができるので、作図する前に作図者が二次曲線作図器によって描かれる二次曲線の形状に関してイメージしやすい利点があり、学習教材として好適である効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の二次曲線作図器1の上面方向から視た外観図である。
【
図2】本発明の二次曲線作図器1の側面方向から視た外観図である。
【
図4】本発明の二次曲線作図器1の第二枠体104側の側面から視た模式図である。
【
図5】本発明の二次曲線作図器1の準線ガイド部126側の側面から視た模式図である。
【
図6】スライド部材40における回転部42と車輪部46の構造を示した斜視図である。
【
図7】本発明の二次曲線作図器1を使用して作図を行う際の工程図である。
【
図8】ガイド部材12の間隔を変えて変化の割合が異なる二次曲線を作図する状態を示した図である。
【
図9】ガイド部材12の間隔を変えて作図することができる二次曲線のグラフである。
【
図10】先行技術文献における二次曲線を作図するメカニズムを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る二次曲線作図器1を実施するための形態について、図を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の二次曲線作図器1の上面方向から視た外観図である。
【0021】
本発明に係る二次曲線作図器1は、枠体10と、ガイド部材12と、十字状回転部材20と、準線移動部材30とから構成される。
【0022】
枠体10は、第一枠体102及び第二枠体104で構成されて、ガイド部材12が第一枠体102及び第二枠体104の間に架け渡される。第一枠体102若しくは第二枠体104、又は第一枠体102及び第二枠体104の上面には予め定められた間隔に目盛1022が付される。第一枠体102及び第二枠体104は、例えば作図する二次曲線の開口端部間の距離を空けて平行に配置されて、脚部14によって作図する紙等の被作図材料との高さ方向の距離を調整し、接地部16を用いて被作図材料が置かれた平面に安定して固定される。
【0023】
ガイド部材12は、中央ガイド部124、焦点ガイド部122及び準線ガイド部126で構成される。中央ガイド部124は、長手方向の両端に備えられた枠体固定部128の間をスライド部材40が滑動可能なレール部50で構成される。中央ガイド部124は、例えば枠体10の予め定められた中央ガイド部124の配置位置に付された目盛上において第一枠体102及び第二枠体104に架け渡されて、枠体固定部128で固定される。
図1においては、目盛「0」に合わせて配置されている。焦点ガイド部122及び準線ガイド部126は、中央ガイド部124と同じく長手方向の両端に備えられた枠体固定部128の間をスライド部材40が滑動可能なレール部50で構成される。中央ガイド部124を中心にして、焦点ガイド部122は二次曲線内側、すなわち開口側に存在する焦点を通り中央ガイド部124と平行に、準線ガイド部126は二次曲線外側の準線上に中央ガイド部124と平行に配置され、中央ガイド部124との距離を等間隔に保持して、第一枠体102及び第二枠体104上を移動可能に架け渡されて、枠体固定部128によって、二次曲線の作図時には固定される。
【0024】
十字状回転部材20は、二次曲線追従部22及び腕部24で構成される。二次曲線追従部22は、長手方向にスライド部材40が滑動可能なレール部50を備え、端部はレール止め部52が設けられる。腕部24も同様に、長手方向にスライド部材40が滑動可能なレール部50を備え、端部はレール止め部52が設けられる。二次曲線追従部22と腕部24とは平面視で垂直を保持した状態で、腕部24略中央において、中央ガイド部124上の第一枠体102及び第二枠体104から等距離の位置で、固定部26によって回転自在に固定される。また、焦点ガイド部122及び準線ガイド部126との交点の腕部24において配設されたスライド部材40は、腕部24のレール部50上の固定部26及びレール止め部52の間を滑動自在に取り付けられる。同時に、焦点ガイド部122及び準線ガイド部126のスライド部材40に対して回転自在に結合される。二次曲線追従部22のレール部50は、固定部26を中心に略等距離の長さを有する。準線移動部材30に備えられた描画部材60と結合するスライド部材40が、二次曲線追従部22のレール部50全長を移動可能な構造を備えているが、具体的な理由については後述する。
【0025】
準線移動部材30は、長手方向に描画部材60が滑動可能なレール部50を備え、端部はレール止め部52が設けられる。準線移動部材30は、長手方向を枠体10に対し平行を保持した状態で、中央ガイド部124を基準として焦点側(以下、焦点側という。)における二次曲線追従部22との交点で、二次曲線追従部22に備えられたスライド部材40の回転部42を介して、描画部材60の回転部42と回転自在に結合される。また、描画部材60は準線移動部材30のレール部50を滑動自在に取り付けられる。中央ガイド部124を基準として準線側(以下、準線側という。)においては、準線補助ガイド部1262のレール部50を滑動自在のスライド部材40が、準線移動部材30の準線側の端部で結合され、取っ手32を用いて準線移動部材30を準線ガイド部126の長手方向に移動させると、描画部材60が紙面に二次曲線を描く。
【0026】
図2は、本発明の二次曲線作図器1の第二枠体104側の側面方向から視た外観図である。二次曲線作図器1は、第一層が枠体10及びガイド部材12、第二層が腕部24、第三層が二次曲線追従部22のスライド補助部224(
図3又は
図4を参照)、第四層が二次曲線追従部本体222(
図3又は
図4を参照)、第五層が準線補助ガイド部1262、第六層が準線移動部材30の六層構造としている。
【0027】
図3は、本発明の二次曲線作図器1の構成図である。
図3は、
図2と同方向から視た際の構成図である。第一層の図に向かって左は、枠体10に取り付けられた準線ガイド部126をスライドするスライド部材40である。スライド部材40の中央部分に示した円中の×印(バツ印)と黒丸印は、スライド部材40が図に向かって奥行き方向の手前又は奥側にスライド自在であることを示している。すなわち、準線ガイド部126のレール部50をスライド部材40が自在に滑動することを示している。また、軸部44に付された矢印は、軸部44が転がり軸受を用いて構成され時計回り又は反時計回りに回転自在であることを示している。したがって、準線ガイド部126のスライド部材40は、第二層の腕部24の準線側のスライド部材40と軸部44を介して回転自在に結合される。また、腕部24のスライド部材40は、図中央の固定部26までの間をスライドすることができる。さらに、軸部44は、第五層において、準線補助ガイド部1262のレール部50に備えられたスライド部材40に対し回転自在に結合される。準線ガイド部126及び準線補助ガイド部1262に備えられたスライド部材40は、準線ガイド部126から準線移動部材30までが層方向に距離が離れるため、軸ぶれ等を防止して二次曲線作図器1の剛性を高め、正確な二次曲線を描くことを目的として配設されている。準線移動部材30は、準線補助ガイド部1262のスライド部材40に固定されるため、取っ手32の操作によってスライド部材40の移動可能方向である準線ガイド部126長手方向に移動することができる。
【0028】
第一層中央は、中央ガイド部124に固定された固定部26である。第一層固定部262は回転自在の軸部44を介して腕部24の略中央の第二層固定部264と結合される。さらに、二次曲線追従部22のスライド補助部224の第三層固定部266と回転自在に結合される。
【0029】
第一層図に向かって右は、枠体10に取り付けられた焦点ガイド部122のレール部50を滑動するスライド部材40である。焦点ガイド部122のスライド部材40は、第二層腕部24の焦点側のスライド部材40と軸部44を介して回転自在に結合される。
【0030】
図4は、本発明の二次曲線作図器1の第二枠体104側の側面から視た模式図である。十字状回転部材20は、第二層固定部264及び第三層固定部266が、第一層固定部262に回転自在の軸部44を介して結合される。二次曲線追従部22は、二次曲線追従部本体222及びスライド補助部224の二層構造を成している。スライド補助部224は、準線移動部材30に配設された描画部材60と結合するスライド部材40が、固定部26を越えて二次曲線追従部本体222のレール部50を両端までスライドすることができるように二次曲線追従部本体222とは異なる層に設けられる。詳述すると、図に向かって固定部26から二次曲線追従部本体222左側のレール部50は、固定部26より第一枠体102側の象限の二次曲線を描く際に描画部材60に結合するスライド部材40が通過する。また、図に向かって固定部26から二次曲線追従部本体222右側のレール部50は、固定部26より第二枠体104側の象限の二次曲線を描く際に描画部材60に結合するスライド部材40が通過する。スライド補助部224は、描画部材60を結合するスライド部材40の移動を固定部26によって妨げることがないように、第三層固定部266から二次曲線追従部本体222と平行に延長されて所定の長さを備えて、端部で第四層の二次曲線追従部本体222の端部と結合し固定される。前記所定の長さは、描く二次曲線の開口端部間の距離によって定められる。
【0031】
図5は、本発明の二次曲線作図器1の準線ガイド部126側の側面から視た模式図である。準線ガイド部126は、第二層の十字状回転部材腕部24の準線側スライド部材40及び第六層の準線移動部材30が、準線ガイド部126の長手方向に同期して移動可能に結合する必要がある。第二層から第六層までは距離が長く、準線ガイド部126のスライド部材40にのみ準線移動部材30を保持すると、結合している軸部44が芯ぶれを生じる可能性がある。そのため、準線ガイド部126は、軸部44の芯ぶれを防止する目的で、準線補助ガイド部1262を備え、第六層直上の第五層に配置される。準線移動部材30には、描画部材60が備えられているため、準線移動部材30を保持している準線ガイド部126の軸部44の芯ぶれは、作図の精度に影響を与えるので、特に防止する必要がある。
【0032】
準線ガイド部126及び準線補助ガイド部1262は、十字状回転部材20及び準線移動部材30の協働動作を妨げることがないよう、第一枠体102及び第二枠体104の外側で結合され固定される。固定の方法は、スペーサなどで結合する方法があるが、特に限定されるものではなく周知の方法でよい。
【0033】
図6は、スライド部材40における回転部42と車輪部46との構造を示した斜視図である。
図6は、二次曲線追従部22と準線移動部材30の結合部分を例示している。スライド部材40は、二枚の板材を上下に重ね合わせて構成され、上下の板材でレール部50を挟持している。同時に上下の板材は車輪部46を挟んで結合される。車輪部46は、転がり軸受の円柱底面の軸を上下の板材に固定する。転がり軸受の円柱側面がレール部50表面を回動可能に接触して固定される。スライド部材の滑動をスムーズにするために、レール部50の一本に対して二個の車輪部46が、接触して構成される。本実施の形態においては、レール部50は、二本の棒状体によって構成されるため、上下の板材は、スライド方向に沿った両端に棒状体を挟み、片側に二個ずつの車輪部46が備えられる。なお、レール部50は一本の棒状体で構成され、両側から車輪部46で挟持する構成でもよい。また、図ではレール部50断面は円形状を例示しているが、多角形でもよい。
【0034】
スライド部材40を平面視した中心には、転がり軸受を備えた回転部42を備える。回転部42は軸部44を介して、他のスライド部材40の回転部42と結合される。焦点ガイド部122、準線ガイド部126及び腕部24に備えられたスライド部材40も同じ構造を備える。スライド部材40が、回転部42と車輪部46とを備えることにより、スライド部材40を介して結合された十字状回転部材20は、準線移動部材30の動きに伴って角度を変え、準線移動部材30に備えられた描画部材60は、二次曲線を描いて移動することができる。
【0035】
図7は、本発明の二次曲線作図器1を使用して作図を行う際の工程図である。最初に、枠体10に付された目盛1022を使用して焦点ガイド部122及び準線ガイド部126の位置決めを行う。
【0036】
焦点ガイド部122及び準線ガイド部126の位置決めを完了した後、取っ手32を持ち、
図7(a)の位置に準線移動部材30を移動させて、二次曲線作図器1を紙面に置いて固定する。
図7に向かって上がY軸正方向、右がX軸正方向を示している。固定部26を原点とした場合には、y=ax
2の二次曲線を描くことができる。
【0037】
紙面に二次曲線作図器1をおいた後、取っ手32を持ち、
図7(b)に示すX軸正方向に取っ手32を移動させる。その際、準線移動部材30は、Y軸に平行を保持した状態で、X軸正方向に移動する。準線移動部材30の移動に伴い、十字状回転部材20は、固定部26を中心に反時計回りに回転する。その際、準線移動部材30において、スライド部材40と同じ回転部42と車輪部46とを備えた描画部材60は、二次曲線追従部22に備えられたスライド部材40の動きに連動して準線移動部材30のレール部50を移動して、固定部26の略真下を通過するまでは、下降曲線を描き、固定部26の略真下を極点として、その後上昇曲線の二次曲線を描く。さらに、取っ手32をX軸正方向に移動させると、
図7(c)に示すように、さらに上昇曲線を描いていく。すなわち、準線移動部材30とスライド部材40を介して結合された十字状回転部材20は、準線移動部材30のX軸方向への移動に連動して、固定部26を中心に回転し、描画部材60は、回転運動とX軸方向への直線運動が組み合わせられ協働することによって、二次曲線を描くのである。
【実施例0038】
図8は、ガイド部材12の間隔を変えて変化の割合が異なる二次曲線を作図する状態を示した図である。作図前に、枠体10に付された目盛1022を使用して焦点ガイド部122及び準線ガイド部126の中央ガイド部124からの距離を変更することによって、二次曲線の開口の大きさを変更することができる。具体的には、1cm目盛の方眼紙を使用して二次曲線を作図する場合には、枠体10の片側又は両側に目盛1022を1cm間隔で中央ガイド部124の固定位置を「0」として、焦点側の方向及び準線側の方向に「1」ずつ増加するように付して、枠体10の片側又は両側の目盛「1」に焦点ガイド部122及び準線ガイド部126を配置すると、y=x
2の二次曲線を描くことができる。また、枠体10の片側又は両側の目盛「2」に焦点ガイド部122及び準線ガイド部126を配置すると、y=(1/2)x
2の二次曲線を描くことができる。焦点ガイド部122及び準線ガイド部126の中央ガイド部124からの距離を広げると、準線移動部材30をX軸正方向に移動する割合に対する十字状回転部材20の回転角度が小さくなる。すなわち、描画部材60がY軸方向に移動する割合が小さくなるため、二次曲線の変化の割合も小さくなる。逆に、焦点ガイド部122及び準線ガイド部126の中央ガイド部124からの距離を狭めると、十字状回転部材20は準線移動部材30をX軸正方向に移動する割合に対する回転角度が大きくなる。すなわち、描画部材60がY軸方向に移動する割合が大きくなるため、二次曲線の変化の割合も大きくなる。
【0039】
すなわち、目盛「1」の長さを基準として、二次関数の変化の割合を決定することができるので、例えば1inch目盛の方眼紙を使用して二次曲線を作図する場合には、枠体10の片側又は両側に目盛1022を1inch間隔で付して、片側又は両側の目盛「1」に焦点ガイド部122及び準線ガイド部126を配置すると、1inch目盛の方眼紙にy=x2の二次曲線を描くことができる。また、片側又は両側の目盛「2」に焦点ガイド部122及び準線ガイド部126を配置すると、1inch目盛の方眼紙にy=(1/2)x2の二次曲線を描くことができるのである。
【0040】
図9に、ガイド部材12の間隔を変えて作図することができる二次曲線のグラフを示した。
図9(a)は
図8(a)に対応しており、
図9(b)は
図8(b)に対応している。
図9に示すように、枠体10に付された目盛1022にしたがって、焦点ガイド部122及び準線ガイド部126の位置決めを行うことによって、容易かつ自在に作図者が望む二次曲線を描くことができる。本実施の形態及び図においては、説明を容易にするために二次曲線の極点が原点になるように二次曲線作図器1を配置して説明したが、二次曲線作図器1の位置を変更して、作図者が望む位置に極点を変更することができる。