(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038671
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】電動車両、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B62K 17/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
B62K17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142873
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507369936
【氏名又は名称】ホンダ太陽株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】池田 鞠花
(72)【発明者】
【氏名】山本 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】野原 大督
(72)【発明者】
【氏名】矢田 渉
(72)【発明者】
【氏名】金森 聡史
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】小橋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和徳
(72)【発明者】
【氏名】松岡 丈朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】首藤 優一郎
(72)【発明者】
【氏名】田尻 志保
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BB08
3D212BB12
3D212BB23
3D212BB32
3D212BB42
3D212BB46
3D212BB72
3D212BB92
(57)【要約】
【課題】利用者の利便性を向上させることができる電動車両、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【解決手段】自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御する倒立状態制御部と、自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部と、を備え、前記支持部は、自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、自身の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能である、を備える電動車両。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、
前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御する倒立状態制御部と、
自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部と、
を備え、
前記支持部は、自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、自身の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能である、
を備える電動車両。
【請求項2】
前記支持部は、基準位置から上方に移動することによって高さの変更が可能である、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記倒立状態制御部は、自車両が前記第2の倒立状態にあり、かつ前記支持部が前記基準位置よりも上方にある場合、自車両を前記第1の倒立状態に移行させない、
請求項2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記支持部は、自車両が前記第1の倒立状態にある場合に、前記基準位置よりも高い位置に変更することができない、
請求項2に記載の電動車両。
【請求項5】
前記主車輪は、全方向移動車輪であり、
前記倒立状態制御部は、前記第1の倒立状態において、前記センサにより利用者の傾動方向を認識し、前記全方向移動車輪により前記傾動方向に自車両を移動させるものであり、
前記支持部は、前記傾動方向に傾動した利用者が支持されるように配置される、
請求項3または4に記載の電動車両。
【請求項6】
前記傾動方向は、自車両に搭乗した利用者の後方である、
請求項5に記載の電動車両。
【請求項7】
自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部とを備える電動車両が、
前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御し、
自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、前記支持部の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能とする、
制御方法。
【請求項8】
自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部とを備える電動車両に、
前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御する処理と、
自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、前記支持部の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倒立振子制御された駆動輪を有する車両(以下「倒立振子型車両」という。)が開発されている(例えば特許文献1参照)。倒立振子型車両は、乗用車などの一般的な車両とは異なって操縦方法が独特な乗り物であり、それ故に、その用途も様々である。例えば、独特な体感を楽しむためのレジャー用途として用いられたり、身体不自由者の移動を支援するための介護用途として用いられたりすることが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
倒立振子型車両は、上述のとおり、幅広い用途で用いられる可能性がある一方で、操縦方法が独特な乗り物である。そのため、倒立振子型車両のさらなる活用のために、操作性や安全性の面で、各種用途に応じた利便性の向上が望まれている。特に、近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化しており、この実現に向けて交通の安全性や利便性をより一層改善することが望まれている。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、利用者の利便性を向上させることができる電動車両、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電動車両、制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
【0007】
(1):この発明の一態様に係る電動車両は、自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御する倒立状態制御部と、自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部と、を備え、前記支持部は、自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、自身の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能である。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記支持部は、基準位置から上方に移動することによって高さの変更が可能である。
【0009】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記倒立状態制御部は、自車両が前記第2の倒立状態にあり、かつ前記支持部が前記基準位置よりも上方にある場合、自車両を前記第1の倒立状態に移行させないものである。
【0010】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記支持部は、自車両が前記第1の倒立状態にある場合に、前記基準位置よりも高い位置に変更することができないものである。
【0011】
(5):上記(1)から(4)のいずれかの態様において、前記主車輪は、全方向移動車輪であり、前記倒立状態制御部は、前記第1の倒立状態において、前記センサにより利用者の傾動方向を認識し、前記全方向移動車輪により前記傾動方向に自車両を移動させるものであり、前記支持部は、前記傾動方向に傾動した利用者が支持されるように配置されるものである。
【0012】
(6):上記(1)から(5)のいずれかの態様において、前記傾動方向は、自車両に搭乗した利用者の後方である。
【0013】
(7):この発明の一態様に係る制御方法は、自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部とを備える電動車両が、前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御し、自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、前記支持部の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能とするものである。
【0014】
(8):この発明の一態様に係るプログラムは、自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部とを備える電動車両に、前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御する処理と、自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、前記支持部の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能する処理と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)~(8)の態様によれば、倒立振子型車両の利用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の倒立振子型車両の構成の概略を示す第1の外観図である。
【
図2】実施形態の倒立振子型車両の構成の概略を示す第2の外観図である。
【
図3】実施形態の倒立振子型車両の構成の概略を示す第3の外観図である。
【
図4】実施形態の倒立振子型車両の利用状況の一例を示す図である。
【
図6】倒立振子型車両の操縦方法の一例を説明する第1の図である。
【
図7】倒立振子型車両の操縦方法の一例を説明する第2の図である。
【
図8】実施形態の倒立振子型車両の機能構成の一例を示す図である。
【
図9】倒立振子型車両の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】倒立振子型車両の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態の倒立振子型車両によって利用者の利便性が向上する利用シーンの一例を示す図である。
【
図12】実施形態の倒立振子型車両によって利用者の利便性が向上する利用シーンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の電動車両、制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0018】
[概略]
図1~
図3は、実施形態の倒立振子型車両100(以下単に車両100という)の構成の概略を示す外観図である。
図1~
図3は、それぞれ、車両100の正面図、側面図、および背面図を表す。
図1~
図3に図示する車両100は、車輪やモータ等の駆動機構を備えた車両基体10に、座席シート21や背もたれ22のほか、ヘッドレスト23、アームレスト24などを有した搭乗部20が備えられたものであり、バランス制御によって自律的に倒立状態を維持しながら移動することができる1人乗りの電動モビリティである。より具体的には、車両100は、接地点を起点として前後左右の任意の方向に進み出すことを可能にする全方向移動車輪101を備え、自車両の進行方向や加速度を自車両のバランス状態に適応してフィードバック制御することにより倒立状態を維持することができるものである。このようなバランス制御により、車両100は、倒立状態を維持しながら移動したり、その場に静止したりすることができる。車両100は、このようなバランス制御のために、自車両のバランス状態を検知する不図示の各種センサを備えているものである。以下では、このようなバランス制御によって実現される車両100の倒立状態を「第1の倒立状態」という。
図1は、第1の倒立状態の車両100を表すものである。
【0019】
また、一方で、車両100は、複数の補助輪102-1~102-4(以下総称して補助輪102という。)を備えており、補助輪102の支持によって自然にバランスがとられた形で倒立することも可能である。以下では、バランス制御を行うことなく、補助輪102によって車両100が自然に倒立する状態を「第2の倒立状態」という。
図2は、第2の倒立状態の車両100を表すものである。例えば、車両100は、第1の倒立状態では、補助輪102が接地しないように補助輪102を高い位置に保持し、第2の倒立状態に移行する際には、補助輪102が接地するように補助輪102を低い位置に移動させる。補助輪102は、このような位置変更のために上下方向の移動(矢印A1)が制御可能に構成されるものである。また、本実施形態において、第2の倒立状態では補助輪102とともに全方向移動車輪101も接地するものとし、車両100は、全方向移動車輪101の制御により、第2の倒立状態においても任意の方向に移動できるものとする。なお、補助輪102は、全方向移動車輪101の接地点と異なる複数の接地点を形成して第2の倒立状態を実現するための接地手段の一例である。
【0020】
なお、第2の倒立状態では、車両基体10の高さが低いほど移動時のバランスが安定する場合がある。そのため、車両基体10は、第2の倒立状態での高さが、第1の倒立状態での高さよりも低くなるように、上下方向の移動を制御可能に構成されてもよい。この場合、車両100は、車両基体10の高さを低くしつつ、車両基体10に対して補助輪102を下方向に移動させることで第2の倒立状態に移行することができる。なお、この場合、第1の倒立状態と第2の倒立状態とで全方向移動車輪101の接地状態は変わらないので、車両基体10の高さを基準とすれば、第1の倒立状態から第2の倒立状態への移行は、全方向移動車輪101を上方向に移動させて、補助輪102を下方向に移動させることであるいうこともできる。そのため、車両基体10の高さを変更するために、全方向移動車輪101は、車両基体10に対する上下方向の移動(矢印A2)を制御可能に構成されてもよい。
【0021】
また、一方で、車両100は、複数のストッパ103-1~103-4(以下総称してストッパ103という。)を備えており、ストッパ103の支持によって自車両が停車位置から移動することを防止し、当該停車位置に停留しつづけるようにすることが可能である。
図3は、ストッパ103により停車位置に停留している状態の車両100を表すものである。図示するストッパ103は、床面(地面)との摩擦力によって自車両の移動を防止するものであり、摩擦力の調整のために、上下方向の移動(矢印A3)が制御可能に構成されるものである。なお、ストッパ103は、このような態様のものに限定されない。例えば、ストッパ103は、全方向移動車輪101や補助輪102の回転を抑止するロック機構であってもよいし、回転を抑制するブレーキ機構であってもよい。以下では、ストッパ103によって車両100が停車位置に停留している状態を「第3の倒立状態」という。バランス制御は、第3の倒立状態において継続されてもよいし、一時停止されてもよい。
【0022】
また、
図1において、矢印A4は、ヘッドレスト23が背もたれ22に対して上下に移動させることができることを表している。例えば、ヘッドレスト23は、ガイド23Gによって背もたれ22に連結され、ガイド23Gが背もたれ22の内外方向にスライドすることによって、その高さが調整可能である。ヘッドレスト23の高さ調整は、手動でのスライド操作によって行われてもよいし、モータ等の駆動部を制御することにより電動で行われてもよい。すなわち、ヘッドレスト23は、その基準位置23bから上方に移動可能である。
【0023】
また、
図2において、矢印A5は、アームレスト24が背もたれ22側の端部を支点として上下に回転させることができることを表している。また、
図2において、矢印A6は、座席シート21が、その基準位置21bから車両基体10に対して水平方向にスライド可能であることを表している。例えば
図2の例において、基準位置21bは、座席シート21の移動可能範囲のうち最も背もたれ22に近い側の位置であってもよい。また、
図2は、車両100において、車両基体10が、正面方向にフットレスト25を有することを表している。
【0024】
また、
図1~
図3は、右腕側のアームレスト24に、利用者(搭乗者)が車両100を操作に用いる操作パネル110が設置されていることを表している。例えば、操作パネル110は、ディスプレイや、ボタンやスイッチ、スピーカ、マイクなどを備え、車両100の制御部(不図示)との間で車両100の操作に関する情報の入出力を行うように構成される。操作パネル110は、例えば、制御部から出力された操作メニューの情報をディスプレイに表示させ、ボタンやスイッチにより、操作メニューに対する操作入力を受け付けてもよい。操作パネル110は、例えば、操作メニューの説明や各種効果音などを示す音声をスピーカから出力してもよいし、マイクを介して音声による操作入力を受け付けてもよい。なお、操作パネル110は、必ずしも右腕側のアームレスト24に設置される必要はない。例えば、操作パネル110は、左腕側のアームレスト24に設置されてもよいし、右腕側および左腕側の両方のアームレスト24に設置されてもよいし、アームレスト24から着脱可能であり、任意のアームレスト24に収納可能なように構成されてもよい。
【0025】
上述した全方向移動車輪101、補助輪102、ストッパ103、ヘッドレスト23の上下移動、アームレスト24の回転移動、座席シート21の水平移動に関し、車両100は、レールやガイド、ギヤ、駆動輪、モータ等の変位機構(不図示)を有しているものとする。変位機構は、上述の上下移動、回転移動、水平移動を実現できるものであれば特定のものに限定されない。また、ここでいう変位とは物体の位置や向きが変化することを意図するものであり、外力や応力等によって物体自体が変形またはひずみを生じることを意味しないものとする。変位機構は、上下移動、回転移動、水平移動の移動種別ごとに設けられてもよいし、移動させる対象の部位ごとに設けられてもよい。また、複数の変位機構を構成する場合、一の変位機構は、一部の部品を他の変位機構と共用する形で構成されてもよい。
【0026】
図4は、利用者が離地状態の車両100に搭乗している様子を表したイメージ図である。上述のとおり、離地状態ではバランス制御が必要になる。
図4は、車両100が全方向移動車輪101を制御することにより、自車両のバランスを維持している状況をイメージしたものである。この状況において、利用者が操縦操作を行えば、車両100はバランスを取りながら自車両を支持された進行方向に走行させる一方、利用者が操縦操作を行わなければ、車両100はその場でバランスをとりながら倒立し続ける。なお、本実施形態の車両100は、全方向移動車輪101として全方向移動車輪を備えるものである。この構成により、実施形態の車両100は、その場倒立の状態から、360度の任意方向に進み出すことができるものである。以下、全方向移動車輪101としての全方向移動車輪を全方向移動車輪101と記載する。
【0027】
図5は、全方向移動車輪101の構成の概略を示す図である。全方向移動車輪101は、例えば、大径車輪101Aと、大径車輪101Aの円周に沿って配置された複数の小径車輪101Bとを備える。大径車輪101Aは、主に前後方向への直進移動を実現する車輪である。小径車輪101Bは、大径車輪101Aの回転方向(円周方向;矢印RA)を軸として矢印RB方向に回転することにより、主にその場での横方向の移動を実現する車輪である。全方向移動車輪101は、大径車輪101Aおよび小径車輪101Bの回転をそれぞれ独立して制御可能なモータ(図示せず)で駆動させる。このような構成により、全方向移動車輪101は、その場から、前後、左右、斜めの任意方向に進み出すことができる。
【0028】
なお、車両100は、全方向移動車輪101に加えて、旋回用車輪を備えてもよい。例えば、旋回用車輪は、全方向移動車輪101の後輪として配置され、大径車輪101Aの回転軸に直交する回転軸で回転することにより、車両100の向きを変更することができる。すなわち、旋回用車輪のみを回転させた場合、車両100をその場で回転させ、大径車輪101Aと旋回用車輪を同時に回転させた場合、車両100を進行方向に向きを変えながら旋回前進させることができる。
【0029】
図6および
図7は、車両100の操縦例を示す図である。ここでは簡単のため、離地状態の車両100を、車両基体10、座席シート21、全方向移動車輪101のみ示した形で簡略化して記載しているが、
図6および
図7に示す車両100は、
図1~
図4で説明したものと同じである。車両100には自車両のバランス状態を検知するためのIMUセンサが搭載されており、車両100はIMUセンサの検知結果に基づいて自車両のバランスをとるように構成される。
図6は、このように構成された車両100に対して、利用者Uが紙面手前方向を正面方向として右方向に体重移動を行った場合を示す。この場合、車両100は利用者Uの体重移動により崩れたバランスを回復するために右方向に移動する。また、
図7は、利用者Uが後ろ方向(紙面右方向)に体重移動を行った場合を示し、この場合車両100はバランスを回復するために後ろ方向に移動する。このようなバランス制御が行われることにより、利用者Uは、自身の進行したい方向に体重移動を行うことで車両100に対して移動方向を指示することができる。また、利用者Uが大きく体重移動を行った場合、車両100はバランスを回復するためにより速く移動するように制御される。これにより、利用者Uは、自身の体重移動の大きさを変えることにより車両100の移動速度を調節することができる。
【0030】
[全体構成]
図8は、本実施形態における車両100の構成例を示す図である。車両100は、例えば、操作パネル110と、IMU120と、カメラ130と、無線通信部140と、位置情報取得部150と、インジケータ160と、記憶部170と、内部バッテリ180と、駆動部200と、制御部300とを備える。制御部300は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、制御部300の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部170などの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで車両100の記憶部170などにインストールされてもよい。
【0031】
操作パネル110は、上述のとおり、利用者に対して車両100の操作に関するユーザインタフェースを提供する装置である。例えば、操作パネル110は、車両100の操作に関し、利用者の操作入力を受け付けて制御部300に出力するとともに、制御部300から出力された各種情報の出力を行う。
【0032】
IMU(Inertial Measurement Unit)120は、3次元の慣性運動を検出するセンサである。IMU120は、並進運動を検出する加速度センサや回転運動を検出するジャイロセンサなどを含んでもよい。IMU120は、検出結果を制御部300に出力する。
【0033】
カメラ130は、車両100の周辺を撮像する。カメラ130は、撮像した自車両周辺の画像データを制御部300に出力する。
【0034】
無線通信部140は、車両100が他の装置と通信するための通信インタフェースである。無線通信部140は、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等に基づく無線LAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、セルラー網や専用線等に接続するためのWAN(Wide Area Network)インタフェースであってもよい。
【0035】
位置情報取得部150は、車両100の位置情報を取得する。位置情報取得部150は、例えばGPS(Global Positioning System)発信器を含み、自車両の位置情報を取得して制御部300に出力する。
【0036】
インジケータ160は、標識や、計器、表示器、指針、指標などの機器であり、制御部300の指示により、車両100に関する各種標示を行う装置である。
【0037】
記憶部170は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部170は、車両100の制御に関連する各種の設定情報171を記憶する。設定情報171は、制御部300によって参照または更新される。
【0038】
内部バッテリ180は、車両100の各部に動力を供給する電源として機能する。内部バッテリ180には、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの充電可能な蓄電池が使用される。内部バッテリ180は、車両100に固定されたものであってもよいし、車両100に着脱可能なものであってもよい。
【0039】
駆動部200は、車両100の各部の位置または姿勢を変化させる各種の変位機構の集合である。ここでいう集合とは、概念的な集合を意図したものであり、各変位機構が物理的に集合したものであることを必ずしも意図しない。すなわち、各変位機構は、物理的に別々のものであってもよいし、一部または全部を共有するものであってもよい。駆動部200の動作は、制御部300によって制御される。
【0040】
より具体的には、駆動部200は、例えば、全方向移動車輪駆動部210と、補助輪駆動部220と、ストッパ駆動部230と、座席シート駆動部240と、ヘッドレスト駆動部250と、アームレスト駆動部260とを備える。全方向移動車輪駆動部210は、全方向移動車輪101を駆動する駆動部である。補助輪駆動部220は、補助輪102を駆動する駆動部である。ストッパ駆動部230は、ストッパ103を駆動する駆動部である。座席シート駆動部240は、座席シート21を駆動する駆動部である。ヘッドレスト駆動部250は、ヘッドレスト23を駆動する駆動部である。アームレスト駆動部260は、アームレスト24を駆動する駆動部である。
【0041】
制御部300は、車両100の各部の動作を制御する機能を有する。より具体的には、制御部300は、操作パネル110やIMU120、カメラ130、無線通信部140、位置情報取得部150、記憶部170から取得される各種情報をもとに各部の制御内容を決定し、決定した制御内容で各部の動作を制御する。例えば、制御部300は、車両100の全体的な制御を行う主制御部310と、自車両周辺の状況を認識する周辺認識部320と、駆動部200の各種駆動部に対応した制御機能を有する駆動制御部330とを備える。
【0042】
駆動制御部330は、例えば、全方向移動車輪制御部331と、補助輪制御部332と、ストッパ制御部333と、座席シート制御部334と、ヘッドレスト制御部335と、アームレスト制御部336とを備える。全方向移動車輪制御部331は、全方向移動車輪駆動部210を制御する。補助輪制御部332は、補助輪駆動部220を制御する。ストッパ制御部333は、ストッパ駆動部230を制御する。座席シート制御部334は、座席シート駆動部240を制御する。ヘッドレスト制御部335は、ヘッドレスト駆動部250を制御する。アームレスト制御部336は、アームレスト駆動部260を制御する。
【0043】
主制御部310は、全方向移動車輪制御部331による全方向移動車輪駆動部210の制御により、全方向移動車輪101による全方向移動を行ったり、全方向移動車輪101を上下方向に移動させたりすることができる。なお、全方向移動車輪101による全方向移動には、第1の倒立状態における移動と、第2の倒立状態における移動とがあり、第1の倒立状態における全方向移動車輪駆動部210の制御には、IMU120の検知結果に基づくバランス制御が含まれる。全方向移動車輪制御部331は、バランス制御を実行することにより、第1の倒立状態において車両100の倒立状態を維持しながら車両100を移動させることができる。
【0044】
また、主制御部310は、補助輪制御部332による補助輪駆動部220の制御により、補助輪102による移動を行ったり、補助輪102を上下方向に移動させたりすることができる。また、車両100は、ストッパ制御部333によるストッパ駆動部230の制御により、ストッパ103を上下方向に移動させることができる。このように、主制御部310は、全方向移動車輪101の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、全方向移動車輪101以外の接地手段である補助輪102を用い、バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御するものである。主制御部310は「倒立状態制御部」の一例である。
【0045】
また、座席シート制御部334は、座席シート駆動部240を制御することにより、座席シート21を水平方向にスライドして移動させることができる。より具体的には、座席シート制御部334は、自車両の倒立状態に基づいて座席シート駆動部240を制御するものである。
【0046】
また、ヘッドレスト制御部335は、ヘッドレスト駆動部250を制御することにより、ヘッドレスト23を上下方向に移動させることができる。また、アームレスト制御部336は、アームレスト駆動部260を制御することにより、アームレスト24を、支点を中心として回転移動させることができる。
【0047】
また、ヘッドレスト制御部335は、所定のロック条件が満たされた場合には、ヘッドレスト23を移動させる指示が入力された場合であっても、当該指示を破棄することで、ヘッドレスト23が動かないように位置を固定(ロック)してもよい。ヘッドレスト23を移動させる指示は、利用者が操作パネル110を操作して指示するものであってもよいし、他の駆動制御部330から指示されるものであってもよい。このようにすることで、ヘッドレスト制御部335は、所定の条件が満たされた場合に、ヘッドレスト23をロックすることができる。ヘッドレスト制御部335は、所定のロック解除条件が満たされた場合に、ヘッドレスト23のロックを解除してもよい。ロック解除条件は、ロック条件が満たさないことであってもよいし、それ以外の条件であってもよい。なお、ヘッドレスト23のロック機構は、上記のようなソフトウェア制御によって実現されてもよいし、一部または全部が、スイッチやボタン、フック等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0048】
駆動制御部330は、利用者が操作パネル110に入力した内容に基づいて操作対象の駆動部を制御してもよいし、周辺認識部320によって認識された自車両周辺の状況に基づいて各駆動部を制御してもよいし、IMU120や位置情報取得部150等により検知された自車両の状態(バランス状態や位置、姿勢等)に基づいて各駆動部を制御してもよいし、主制御部310の全体制御に基づいて各駆動部を制御してもよい。
【0049】
図9は、倒立振子型車両の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、車両100がヘッドレスト23のロックまたはロック解除を行う際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、車両100において、ヘッドレスト制御部335が、自車両の倒立状態が変更されたか否かを判定する(ステップS101)。例えば、ヘッドレスト制御部335は、IMU120の出力をもとに倒立状態が変更されたか否かを判定してもよいし、全方向移動車輪制御部331や補助輪制御部332、ストッパ制御部333などの動作状態を認識することによって倒立状態が変更されたか否かを判定してもよい。
【0050】
ここで、自車両の倒立状態が変更されていないと判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、ステップS101に処理を戻し、自車両の倒立状態が変更されたと判定するまでステップS101を繰り返し実行する。一方、ステップS101において、自車両の倒立状態が変更されたと判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、続いて、変更後の倒立状態が第1の倒立状態および第2の倒立状態のいずれであるかを判定する(ステップS102)。ここで、変更後の倒立状態は第1の倒立状態であると判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、ヘッドレスト23をロックする(ステップS103)。一方、ステップS102において、変更後の倒立状態が第2の倒立状態であると判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、ヘッドレスト23のロック解除を行う(ステップS104)。
【0051】
このような処理を行うことにより、車両100は、自車両が第1の倒立状態にある場合に、ヘッドレスト23をロックして位置変更できないようにすることができる。これにより、車両100は、第1の倒立状態において、利用者に自車両をより安全に使用させることができる。一方で、車両100は、自車両が第2の倒立状態にある場合に、ヘッドレスト23のロックを解除して位置変更できるようにすることができる。これにより、車両100は、第2の倒立状態において、利用者がヘッドレスト23にもたれかかれるようにすることができ、利用者はよりリラックスした状態で車両100を使用することができる。
【0052】
図10は、倒立振子型車両の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、車両100がヘッドレスト23の位置に応じて倒立状態の移行を制御する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、車両100において、ヘッドレスト制御部335が、自車両において、第1の倒立状態への移行指示が発生したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、第1の倒立状態への移行指示が発生していないと判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、ステップS201に処理を戻し、第1の倒立状態への移行指示が発生したと判定するまでステップS201を繰り返し実行する。
【0053】
一方、ステップS201において、第1の倒立状態への移行指示が発生したと判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、ヘッドレスト23が基準位置にあるか否かを判定する(ステップS202)。基準位置は、第1の倒立状態の車両100において望ましいと考えられるヘッドレスト23の位置である。例えば、第1の倒立状態の車両100では、利用者は傾動動作によって車両100を操縦するので、ヘッドレスト23がその傾動動作を邪魔しない位置、または、利用者がより傾動動作をしやすい位置を基準位置と考えることができる。例えばこの場合、最下部まで下げられた位置(すなわち背もたれ22に当接する位置)を基準位置とすることが考えられる。
【0054】
ここで、ヘッドレスト23が基準位置にないと判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、当該移行指示を破棄し(ステップS203)、ステップS201に処理を戻す。一方、ステップS202において、ヘッドレスト23が基準位置にあると判定した場合、ヘッドレスト制御部335は、当該移行指示を全方向移動車輪制御部331などに通知することにより、自車両を第1の倒立状態に移行することを許可する(ステップS204)。
【0055】
このような処理を行うことにより、車両100は、自車両において第1の倒立状態への移行指示が発生した場合に、ヘッドレスト23が所定位置(例えば基準位置)にある場合に第1の倒立状態に移行し、ヘッドレスト23が所定位置(例えば基準位置)にない場合には第1の倒立状態への移行を禁止する。これにより、車両100は、第1の倒立状態において、利用者に自車両をより安全に使用させることができる。
【0056】
図11は、実施形態の倒立振子型車両によって利用者の利便性が向上する利用シーンの一例を示す図である。
図11は、利用者Uが第2の倒立状態の車両100に搭乗している状況を表している。この状況では、全方向移動車輪101に加え、補助輪102も接地しているので、車両100は安定的にバランスがとれた状態で倒立することができる。そこで、この状況では、利用者Uに、よりリラックスした状態で自車両に搭乗させるために、車両100は、
図11に示すように、ヘッドレスト23を上方に引き上げる。このように、ヘッドレスト23が上方に引き上げられた状態では、利用者Uはヘッドレスト23にもたれかかって体を預けることができるので快適である。
【0057】
図12は、実施形態の倒立振子型車両によって利用者の利便性が向上する利用シーンの一例を示す図である。
図12は、利用者Uが第1の倒立状態の車両100に搭乗している状況を表している。この状況において、車両100は、全方向移動車輪101のみ接地した状態で、バランス制御により倒立している状態である。この状況でヘッドレスト23が高い位置にあると利用者Uが車両100を運転するために傾動動作を行いにくい。そこで、第1の倒立状態において、利用者Uが自車両を運転しやすくするために、車両100は、第1の倒立状態に移行する際にヘッドレスト23を基準位置に戻し、またはヘッドレスト23が基準位置にない状況では第1の倒立状態に移行しないようにする。これにより、車両100は、第1の倒立状態において、ヘッドレスト23が基準位置にある状態となるので、利用者Uは車両100の運転のために傾動動作を行いやすくなる。
【0058】
以上説明した実施形態の車両100は、自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、全方向移動車輪101の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、全方向移動車輪101以外の接地手段を用いてバランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御する主制御部310と、自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたなヘッドレスト23と、を備え、ヘッドレスト23は、自車両が第2の倒立状態にある場合に、自身の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能である。そして、このような構成を備えることにより、実施形態の車両100は、倒立振子型車両の利用者の利便性を向上させることができる。
【0059】
<変形例>
上記の実施形態では、全方向移動車輪101以外の接地手段が補助輪102であり、補助輪102が接地した第2の倒立状態においてヘッドレスト23を基準位置より高い位置に移動し、または移動可能とする場合について説明した。これに代えて、車両100は、ストッパ103を全方向移動車輪101以外の接地手段とし、ストッパ103が接地した第3の倒立状態においてヘッドレスト23を基準位置より高い位置に移動し、または移動可能とするように構成されてもよい。また、上記実施形態では、ヘッドレスト23が基準位置にない場合には第1の倒立状態への移行を禁止する場合について説明したが、移行元の倒立状態は、第2の倒立状態であってもよいし、第3の倒立状態であってもよい。
【0060】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
自車両のバランス状態を検知するためのセンサと、
自車両に搭乗した利用者の体を支える部材であって、その高さが調整可能に構成されたな支持部と、
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記プログラムを実行することにより、
前記センサの検知結果に基づくバランス制御により、主車輪の接地点を支点として倒立する第1の倒立状態と、前記主車輪以外の接地手段を用い前記バランス制御によらずに倒立状態を維持し得る第2の倒立状態とのいずれかに自車両の倒立状態を制御し、
自車両が前記第2の倒立状態にある場合に、前記支持部の位置を所定の基準位置よりも高い位置に変更可能とする、
電動車両。
【0061】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0062】
10…車両基体、20…搭乗部、21…座席シート、22…背もたれ、23…ヘッドレスト、23G…ガイド、24…アームレスト、25…フットレスト、100…倒立振子型車両、101…全方向移動車輪、101A…大径車輪、101B…小径車輪、102…補助輪、103…ストッパ、110…操作パネル、120…IMU、130…カメラ、140…無線通信部、150…位置情報取得部、160…インジケータ、170…記憶部、171…設定情報、180…内部バッテリ、200…駆動部、210…全方向移動車輪駆動部、220…補助輪駆動部、230…ストッパ駆動部、240…座席シート駆動部、250…ヘッドレスト駆動部、260…アームレスト駆動部、300…制御部、310…主制御部、320…周辺認識部、330…駆動制御部、331…全方向移動車輪制御部、332…補助輪制御部、333…ストッパ制御部、334…座席シート制御部、335…ヘッドレスト制御部、336…アームレスト制御部