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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038696
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20240313BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K1/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142920
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 靖
(72)【発明者】
【氏名】城 雄太郎
【テーマコード(参考)】
5H601
5H605
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC01
5H601CC13
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD31
5H601DD42
5H601DD47
5H601EE03
5H601EE18
5H601FF02
5H601GA03
5H601GA13
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GB48
5H601GC02
5H601GC12
5H601JJ04
5H601KK13
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605GG04
(57)【要約】
【課題】ステータのケースに対する圧入荷重を小さくでき、かつ組み立て精度を向上させることが可能なブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ケース31は、当該ケース31の周方向に並べられた合計6つの第1~第6平坦部32A~32Fおよび隣り合う平坦部を互いに接続する合計6つの第1~第6円弧部32a~32fを有し、これらの第1~第6円弧部32a~32fの内周面CFが、シャフト44の軸方向視において、いずれもケース31の中心ACを中心とした半径R1の円弧状に形成されている。そして、ステータ35が、これらの内周面CF(合計6つ)のみに支持されているので、ステータ35のケース31に対する圧入荷重を小さくすることができ、かつ組み立て精度を向上させることが可能となる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有するステータと、
前記ステータを収容するケースと、
前記中空部に回転自在に収容され、かつ前記ケースに回転自在に支持されるシャフトと、
を備えたブラシレスモータであって、
前記ケースは、当該ケースの周方向に並べられた複数の平坦部および隣り合う前記平坦部を互いに接続する複数の接続部を有し、
前記接続部の内周面が、前記シャフトの軸方向視において、前記ケースの中心を中心とした円弧状に形成され、
前記ステータが、前記内周面のみに支持されている、
ブラシレスモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記シャフトの径方向において、前記平坦部と前記ステータとの間に、隙間が設けられている、
ブラシレスモータ。
【請求項3】
請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ケースは、前記シャフトの端部を回転自在に支持する軸受を収容する軸受収容部を備え、
前記軸受収容部は、前記シャフトの軸方向視において、前記ケースの中心を中心とした円筒状に形成されている、
ブラシレスモータ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、
少なくとも3つの前記内周面に前記ステータが支持され、前記シャフトの軸方向視において、前記内周面に支持される前記ステータの少なくとも3つの被支持部を繋ぐ直線によって囲まれる領域内に、前記ケースの中心が配置されている、
ブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナーロータ型のブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載される車載用のブラシレスモータには、例えば、サンルーフ装置やパワーウインド装置に用いられるものがある。これらのブラシレスモータは、車両の天井やドアの内部の幅狭の空間に設置されるため、薄型化が望まれている。このようなブラシレスモータが、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたブラシレスモータは、インナーロータ型のブラシレスモータであり、回転軸の軸方向視において六角形形状に形成されたモータケースを備えている。また、モータケースの内部には、当該モータケースと同様に、回転軸の軸方向視において六角形形状に形成されたステータコアが収容されている。これにより、ブラシレスモータ全体を、モータケースの中心を中心に互いに対向する二面の幅内に収まるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-127146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載されたブラシレスモータは、六角形形状のモータケース(ケース)の内部に、六角形形状のステータコア(ステータ)を隙間無く収容する構造を採用する。したがって、ステータコアをモータケースに圧入する際に、その圧入荷重が大きくなるという問題があった。そこで、圧入荷重を小さくすべく、両者間に微小隙間を設け、当該隙間にエポキシ樹脂系の接着剤等を充填することも考えられる。しかしながら、この場合には、ステータコアおよびモータケースの中心が互いにずれてしまい、ブラシレスモータの組み立て精度が低下し、ひいては製品毎にブラシレスモータの回転抵抗がばらつくといった問題を生じる。
【0006】
本発明の目的は、ステータのケースに対する圧入荷重を小さくでき、かつ組み立て精度を向上させることが可能なブラシレスモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、中空部を有するステータと、前記ステータを収容するケースと、前記中空部に回転自在に収容され、かつ前記ケースに回転自在に支持されるシャフトと、を備えたブラシレスモータであって、前記ケースは、当該ケースの周方向に並べられた複数の平坦部および隣り合う前記平坦部を互いに接続する複数の接続部を有し、前記接続部の内周面が、前記シャフトの軸方向視において、前記ケースの中心を中心とした円弧状に形成され、前記ステータが、前記内周面のみに支持されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースは、当該ケースの周方向に並べられた複数の平坦部および隣り合う平坦部を互いに接続する複数の接続部を有し、接続部の内周面が、シャフトの軸方向視において、ケースの中心を中心とした円弧状に形成され、ステータが、内周面のみに支持されているので、圧入荷重を小さくすることができ、かつ組み立て精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両のルーフに設置されたサンルーフ装置を示す概略図である。
図2】サンルーフモータの出力ギヤ側を示す斜視図である。
図3】サンルーフモータのカバー部材側を示す斜視図である。
図4】シャフトの軸方向に沿うサンルーフモータの断面図である。
図5図4のA-A線に沿う断面図である。
図6図5の破線円B部の拡大図である。
図7図4のC-C線に沿う断面図である。
図8】ステータのケースへの組み付け手順を説明する分解斜視図である。
図9】ステータ単体を図4の矢印D方向から見た図である。
図10】実施の形態2を示す図6に対応した断面図である。
図11】実施の形態3を示す図6に対応した断面図である。
図12】比較例1のステータの支持箇所を説明する図である。
図13】比較例2のステータの支持箇所を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1は車両のルーフに設置されたサンルーフ装置を示す概略図を、図2はサンルーフモータの出力ギヤ側を示す斜視図を、図3はサンルーフモータのカバー部材側を示す斜視図を、図4はシャフトの軸方向に沿うサンルーフモータの断面図を、図5図4のA-A線に沿う断面図を、図6図5の破線円B部の拡大図を、図7図4のC-C線に沿う断面図を、図8はステータのケースへの組み付け手順を説明する分解斜視図を、図9はステータ単体を図4の矢印D方向から見た図をそれぞれ示している。
【0012】
[サンルーフ装置の概要]
図1に示されるように、サンルーフ装置10は、ルーフパネル11を備えている。ルーフパネル11は、車両12のルーフ13に形成された開口部14を開閉する。ルーフパネル11の車幅方向両側(図1の上下側)には、一対のシュー15a,15bがそれぞれ固定されている。また、ルーフ13における開口部14の車幅方向両側には、車両12の前後方向(図1の左右方向)に延びるガイドレール16がそれぞれ固定されている。そして、一対のシュー15a,15bが、対応する一対のガイドレール16にそれぞれ案内されることで、ルーフパネル11が、車両12の前後方向に移動する。
【0013】
車両12の後方側(図1の右側)に配置されたシュー15bのそれぞれには、ギヤ付きの駆動ケーブル17a,17bの一端が連結されている。これらの駆動ケーブル17a,17bの他端は、開口部14よりも車両12の前方側(図1の左側)に取り回されている。
【0014】
開口部14よりも車両12の前方側で、かつフロントガラスFGとの間のルーフ13の内部には、サンルーフモータ20が設けられている。そして、一対の駆動ケーブル17a,17bの他端は、サンルーフモータ20に設けられた出力ギヤ64に噛み合わされている。そして、サンルーフモータ20が駆動されると、一対の駆動ケーブル17a,17bは、互いに逆向きにその長手方向に移動する。これにより、ルーフパネル11は、一対のシュー15bを介して、一対の駆動ケーブル17a,17bにより押し引きされ、開口部14を開閉する。
【0015】
[サンルーフモータの概要]
図2ないし図4に示されるように、サンルーフモータ20は、電動モータ部30および減速機構部50を備えている。そして、これらの電動モータ部30および減速機構部50は、第1締結ねじS1および第2締結ねじS2により互いに強固に連結され、一体化(ユニット化)されている。
【0016】
[電動モータ部]
電動モータ部30は、ブラシを備えないモータ、つまりブラシレスモータであり、本発明におけるブラシレスモータに相当する。電動モータ部30は、鋼板等の磁性体を深絞り加工等することで有底筒状に形成されたケース31を有している。ケース31は、電動モータ部30の外郭を形成し、当該ケース31の軸方向視において六角形形状に形成された側壁部32を備えている。そして、側壁部32の軸方向一側(図2ないし図4の右側)には、円筒状に形成された底壁部33により閉塞されている。
【0017】
[ステータユニット]
図4および図5に示されるように、ケース31の内部には、ステータユニット34が収容されている。ステータユニット34は、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して形成されたステータ35を有している。ステータ35は、ケース31の内側に固定され、かつ合計6つのティース36を備えている。これらのティース36には、インシュレータ(絶縁部材)37を介して、U相,V相およびW相からなる三相のコイル38がそれぞれ巻装されている。そして、ステータ35の径方向内側、つまり合計6つのティース36の先端側には、中空部HPが形成されており、当該中空部HPには、ロータユニット40が、ティース36に対して非接触の状態で回転自在に収容されている。
【0018】
[ロータユニット]
ステータ35の径方向内側には、所定のエアギャップAGを介して、ロータユニット40が回転自在に設けられている。ロータユニット40は、筒状に形成されたロータコア41を有している。ロータコア41は、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して形成され、当該ロータコア41の径方向外側には、合計4つの永久磁石42が接着剤等により固定されている。具体的には、それぞれの永久磁石42は、ロータコア41の周方向に等間隔(90°間隔)となるように配置されている。
【0019】
また、ロータコア41に固定されたそれぞれの永久磁石42の径方向外側は、薄いステンレス板等により略筒状に形成されたマグネットホルダ43で覆われている。マグネットホルダ43は、永久磁石42がロータコア41から脱落するのを防止するものである。これにより、ロータユニット40が高速で回転しても、その際の遠心力により永久磁石42がロータコア41から脱落することがない。
【0020】
ロータコア41の径方向内側には、シャフト44が圧入により固定されており、これによりロータユニット40は、シャフト44を中心に回転するようになっている。シャフト44は十分な強度を確保すべく丸鋼棒製(金属製)となっており、その回転中心は、ケース31の中心AC(図5参照)に一致している。
【0021】
そして、シャフト44の軸方向基端側(図4の右側)は、ケース31の内部に収容され、かつケース31の底壁部(軸受収容部)33に収容された第1メタルM1(ラジアル軸受)により回転自在に支持されている。すなわち、シャフト44は、第1メタルM1を介して、ケース31により回転自在に支持されている。なお、底壁部33の中心および第1メタルM1の中心においても、ケース31の中心AC(図5参照)に一致している。ここで、第1メタルM1は、本発明における軸受に相当する。
【0022】
一方、シャフト44の軸方向先端側(図4の左側)は、減速機構部50を形成するハウジング51の内部に収容され、かつハウジング51のウォーム収容部57に装着された第2メタルM2(ラジアル軸受)により回転自在に支持されている。
【0023】
また、シャフト44の軸方向先端側には、減速機構60を形成するウォーム61が一体に設けられている。すなわち、ウォーム61においても丸鋼棒製であり、これにより、ウォーム61の剛性が高められてウォーム61は湾曲したりすることがなく、ひいてはウォームホイール62との確実な噛合が確保される。
【0024】
さらに、シャフト44の軸方向中間部には、ボールベアリング70が設けられている。すなわち、ロータコア41は、ボールベアリング70に並んで設けられている。ボールベアリング70は、シャフト44を回転自在に支持しており、鋼材により略筒状に形成されたインナーレース71と、当該インナーレース71と同様に鋼材により略筒状に形成され、かつインナーレース71よりも大径となったアウターレース72と、を備えている。また、ボールベアリング70の径方向において、インナーレース71とアウターレース72との間には、複数のスチールボール73が設けられている。
【0025】
そして、インナーレース71は、シャフト44に圧入により固定されている。つまり、インナーレース71は、シャフト44と一緒に回転するようになっている。なお、図4に示されるように、シャフト44の外径寸法の方が、ウォーム61の外径寸法よりも大きくなっている。よって、ボールベアリング70は、シャフト44の軸方向に対して、ウォーム61側から圧入可能となっている。
【0026】
ここで、シャフト44の軸方向におけるウォーム61とボールベアリング70との間には、センサマグネットMGが設けられている。センサマグネットMGは、シャフト44の回転方向や回転数を制御するために用いられる。すなわち、ボールベアリング70は、シャフト44の軸方向におけるセンサマグネットMGとロータコア41との間に配置されている。
【0027】
また、図4に示されるように、電動モータ部30は、ベアリング支持部材39を備えている。ベアリング支持部材39は、プラスチック等の樹脂材料からなり、ハウジング51に対して、電動モータ部30側(図4の右側)から装着されている。そして、ベアリング支持部材39は、ボールベアリング70のアウターレース72を、その軸方向から支持している。すなわち、ベアリング支持部材39は、ボールベアリング70のハウジング51内でのがたつきを防止する機能を有する。なお、ベアリング支持部材39の電動モータ部30側は、当該電動モータ部30の外郭を形成するケース31により支持されている。
【0028】
また、ベアリング支持部材39には、合計3つの導電部材CMが装着されている。これらの導電部材CMは、導電性に優れた黄等により棒状に形成され、その長手方向一方が三相のコイル38にそれぞれ電気的に接続されている。これに対し、導電部材CMの長手方向他方は、車両12(図1参照)側に設けられた外部コネクタ(図示せず)が電気的に接続可能となっている。これにより、車載バッテリ等からサンルーフモータ20の三相のコイル38に駆動電流が供給され、シャフト44が正方向または逆方向に回転される。
【0029】
[減速機構部]
図2ないし図4に示されるように、減速機構部50は、減速機構60を収容するハウジング51を備えている。ハウジング51は、プラスチック等の樹脂材料により、略扁平の直方体形状に形成され、第1壁部52,第2壁部53および第3壁部54を有している。第1,第2および第3壁部52,53,54のうち、第1壁部52の占める割合が最も大きくなっている。
【0030】
図4に示されるように、ハウジング51の内部には、ウォームホイール収容部55が設けられている。ウォームホイール収容部55は、第3壁部54寄りに配置されている。そして、ウォームホイール収容部55の内部には、減速機構60を形成するウォームホイール62が回転自在に収容されている。ここで、ウォームホイール62は、プラスチック等の樹脂材料からなり、軽量化が図られている。そして、ウォームホイール62には歯部62aが設けられ、当該歯部62aは、ハウジング51の内部において、ウォーム61に噛み合わされている。
【0031】
すなわち、減速機構60は、比較的大きな減速比が得られるウォーム減速機となっている。具体的には、本実施の形態では、減速機構60の減速比は[1:67]となっている。すなわち、ウォーム61が67回転すると、漸くウォームホイール62が1回転する減速比となっている。
【0032】
また、ウォームホイール62の回転中心には、丸鋼棒(金属製)からなる出力軸63の軸方向基端部が固定されている。これに対し、出力軸63の軸方向先端部には、一対の駆動ケーブル17a,17b(図1参照)が噛み合わされる出力ギヤ64(図2参照)が一体に設けられている。
【0033】
したがって、シャフト44の高速回転が減速機構60により減速され、かつ減速されて高トルク化された回転力が、出力軸63および出力ギヤ64を介して、一対の駆動ケーブル17a,17bに伝達される。なお、ウォーム61およびウォームホイール62により、減速機構60が形成されている。
【0034】
ここで、ウォームホイール収容部55は、その第1壁部52側とは反対側が開口されている(図示せず)。そして、図3に示されるように、ウォームホイール収容部55の開口部分は、鋼板(金属製)をプレス加工等して形成されたカバー部材56により閉塞されている。なお、カバー部材56の外周部分には、合計4つの差し込み脚56aが一体に設けられている。これらの差し込み脚56aは、第1壁部52に向けて延びており、図4に示されるように、ハウジング51の差し込み穴HLに抜け止め状態で差し込まれている。
【0035】
さらに、図4に示されるように、ハウジング51の内部には、ウォーム収容部57が設けられている。ウォーム収容部57は、第2壁部53寄りに配置されている。そして、ウォーム収容部57は、ウォームホイール収容部55の近くに配置され、これらの収容部57,55の内部は、ウォーム61および歯部62aの噛合部分の近傍で互いに連通している。
【0036】
ウォーム収容部57は、シャフト44の軸方向に延びており、ウォーム収容部57の軸方向一側(図4の左側)には、シャフト44の軸方向先端側を回転自在に支持する第2メタルM2が収容されている。なお、第2メタルM2の中心においても、ケース31の中心AC(図5参照)に一致している。
【0037】
このように、シャフト44は、3つのベアリング(第1メタルM1,第2メタルM2およびボールベアリング70により3点支持されている。よって、サンルーフモータ20の作動時において、ウォーム61がウォームホイール62の歯部62aから離れるようなこと(互いの噛合が外れること)が抑えられ、互いに確実に噛合可能となっている。
【0038】
また、シャフト44には、ボールベアリング70のインナーレース71が固定され、ボールベアリング70のアウターレース72は、ベアリング支持部材39により支持されている。したがって、シャフト44はその軸方向に移動することがない。よって、シャフト44の軸方向両側に、スラスト軸受を設ける必要がなく、ひいては部品点数の削減や軽量化を図れるようになっている。
【0039】
その一方で、シャフト44を3点支持によりスムーズに回転させるには、サンルーフモータ20を形成する部品の精度向上や、これらの組み立て精度の向上が要求される。具体的には、第1メタルM1,第2メタルM2およびボールベアリング70を、それぞれ精度良くケース31の中心AC上に配置する必要があるが、このような対応では、製造工程の煩雑化や製品コストのアップを招くため現実的ではない。
【0040】
よって、本実施の形態では、ボールベアリング70の径方向において、アウターレース72とハウジング51との間に、径方向に移動自在にサポートリングSRを設けている。ここで、サポートリングSRは、ハウジング51の内部において、径方向に若干の移動のみが許容され、ウォーム61と歯部62aとの噛合が外れたり、噛合にがたつきが生じたりすることがない。
【0041】
[メタルジャケット]
図2ないし図4に示されるように、サンルーフモータ20の外側、具体的にはハウジング51の外側には、メタルジャケット80が装着されている。メタルジャケット80は、サンルーフモータ20の内部で発生した電気ノイズが、ハウジング51の外部に放射されるのを防止する機能を有する。具体的には、メタルジャケット80は、樹脂製のハウジング51の周囲に逃げようとする電気ノイズを受け止めて、鋼材製のケース31を介して車体ボディに逃がす(アースする)機能を有する。
【0042】
なお、メタルジャケット80は、第1導電プレート81および第2導電プレート82を備えている。第1,第2導電プレート81,82は、導電性に優れた材料からなる薄い鋼板(磁性体)をプレス加工等することで、それぞれ所定形状に形成されている。そして、第1,第2導電プレート81,82は、互いに導通可能に電気的に接続されている。
【0043】
[ステータの支持構造]
次に、ケース31に対するステータ35(ステータユニット34)の支持構造について、図面を用いて詳細に説明する。
【0044】
図5に示されるように、ケース31を形成する側壁部32は、合計6つの平坦部32A~32Fを備えている。具体的には、時計回り方向に、第1平坦部32A,第2平坦部32B,第3平坦部32C,第4平坦部32D,第5平坦部32Eおよび第6平坦部32Fが、この順番で配置されている。すなわち、合計6つの平坦部32A~32Fは、ケース31の周方向に並べられている。
【0045】
そして、第1平坦部32Aおよび第4平坦部32Dがケース31の中心ACを中心に互いに対向し、第2平坦部32Bおよび第5平坦部32Eがケース31の中心ACを中心に互いに対向し、第3平坦部32Cおよび第4平坦部32Dがケース31の中心ACを中心に互いに対向している。これにより、サンルーフモータ20の扁平化(薄型化)を実現している。
【0046】
また、図5に示されるように、ケース31を形成する側壁部32は、合計6つの円弧部32a~32fを備えている。これらの円弧部32a~32fは、ケース31の周方向において、隣り合う平坦部を互いに接続する機能を有しており、本発明における接続部に相当する。具体的には、時計回り方向に、第1円弧部32a,第2円弧部32b,第3円弧部32c,第4円弧部32d,第5円弧部32eおよび第6円弧部32fが、この順番で配置されている。
【0047】
そして、第1円弧部32aは、第1平坦部32Aと第2平坦部32Bとを接続している(図5の(1)の部分参照)。第2円弧部32bは、第2平坦部32Bと第3平坦部32Cとを接続している(図5の(2)の部分参照)。第3円弧部32cは、第3平坦部32Cと第4平坦部32Dとを接続している(図5の(3)の部分参照)。第4円弧部32dは、第4平坦部32Dと第5平坦部32Eとを接続している(図5の(4)の部分参照)。第5円弧部32eは、第5平坦部32Eと第6平坦部32Fとを接続している(図5の(5)の部分参照)。第6円弧部32fは、第6平坦部32Fと第1平坦部32Aとを接続している(図5の(6)の部分参照)。
【0048】
また、第1~第6円弧部32a~32fの径方向内側には、それぞれ内周面CFが設けられ、これらの円弧部32a~32fの内周面CFは、シャフト44の軸方向視において、いずれもケース31の中心ACを中心とした半径R1の円弧状に形成されている(図6参照)。そして、ケース31の周方向に沿う第1~第6円弧部32a~32fの長さ寸法は、いずれも同じ長さ寸法L1(図6参照)となっている。
【0049】
これに対し、ケース31の内部に収容されるステータ35には、その径方向外側に、合計6つの平坦面FS1~FS6および合計6つの円弧面AS1~AS6が設けられている。具体的には、時計回り方向に、第1平坦面FS1,第2平坦面FS2,第3平坦面FS3,第4平坦面FS4,第5平坦面FS5および第6平坦面FS6が、この順番で配置されている。
【0050】
そして、第1円弧面AS1は、第1平坦面FS1と第2平坦面FS2との間に配置されている(図5の(1)の部分参照)。第2円弧面AS2は、第2平坦面FS2と第3平坦面FS3との間に配置されている(図5の(2)の部分参照)。第3円弧面AS3は、第3平坦面FS3と第4平坦面FS4との間に配置されている(図5の(3)の部分参照)。第4円弧面AS4は、第4平坦面FS4と第5平坦面FS5との間に配置されている(図5の(4)の部分参照)。第5円弧面AS5は、第5平坦面FS5と第6平坦面FS6との間に配置されている(図5の(5)の部分参照)。第6円弧面AS6は、第6平坦面FS6と第1平坦面FS1との間に配置されている(図5の(6)の部分参照)。
【0051】
第1~第6円弧面AS1~AS6は、シャフト44の軸方向視において、いずれもケース31の中心ACを中心とした半径R1の円弧状に形成されている(図6参照)。よって、第1~第6円弧面AS1~AS6は、第1~第6円弧部32a~32fの内周面CFに、それぞれ面接触して支持される。つまり、ステータ35は、それぞれの内周面CF(合計6つ)のみに支持されている。ここで、ステータ35の周方向に沿う第1~第6円弧面AS1~AS6の長さ寸法は、いずれも同じ長さ寸法L2となっている。
【0052】
ただし、第1~第6円弧面AS1~AS6の長さ寸法L2は、第1~第6円弧部32a~32fの長さ寸法L1よりも小さくなっている(L2<L1)。これにより、従前に比してステータ35のケース31に対する接触部分が少なくなる。したがって、ステータユニット34をケース31に差し込んで組み付ける際に、その時の圧入荷重を従前に比して低減することが可能となっている。その際に、第1~第6円弧面AS1~AS6は、第1~第6円弧部32a~32fの内周面CFにそれぞれ面接触するため、第1~第6円弧面AS1~AS6が内周面CFを削るようなことはない。
【0053】
また、ステータユニット34をケース31に組み付けるだけで、両者の中心ACは自動的に一致された状態となる。そのため、従前のようなステータユニット34とケース31との軸ずれ(互いの中心ACのずれ)を起こさずに済む。
【0054】
ここで、図7に示されるように、ケース31には、シャフト44の端部を回転自在に支持する第1メタルM1を収容する底壁部33が設けられ、当該底壁部33は、シャフト44の軸方向視において、ケース31の中心ACを中心とした円筒状に形成されている。したがって、ロータユニット40の中心も、ケース31の中心ACに精度良く配置することが可能となっている。すなわち、本実施の形態においては、ケース31,ステータユニット34およびロータユニット40の中心を、それぞれ精度良く一致させることが可能となっている。
【0055】
また、図5に示されるように、シャフト44の径方向において、第1~第6平坦部32A~32Fと、ステータ35の第1~第6平坦面FS1~FS6との間には、それぞれ隙間G1~G6が形成されている。ここで、シャフト44の軸方向視において、合計6つの隙間G1~G6は、それぞれシャフト44の径方向に対して微小寸法W1の隙間となっている。具体的には、微小寸法W1は、ケース31の肉厚よりも小さい寸法となっている。
【0056】
そして、それぞれの隙間G1~G6には、サンルーフモータ20の組立時において、エポキシ樹脂等からなる接着剤(図示せず)が充填されるようになっている。これにより、ステータ35(ステータユニット34)のケース31に対する抜け止めがなされ、かつ互いの周方向へのがたつきが抑えられる。
【0057】
[組み立て手順]
次に、以上のように形成されたサンルーフモータ20の組み立て手順、特に、ステータ35(ステータユニット34)のケース31への組み付け手順について、図8および図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0058】
図8に示されるように、まず、予め別の製造工程で組み立てられたステータユニット34と、ケースアッシーCAを準備する。ここで、ケースアッシーCAとは、ケース31の底壁部33に、第1メタルM1(図4および図7参照)を装着したものである。
【0059】
ここで、ステータユニット34の長手方向一側(図8の左側)には、同相のコイル38同士を接続する渡り線LNが設けられており、ケース31の長手方向一側(図8の左側)には、減速機構部50のハウジング51(図4参照)に突き当てられるフランジ部FLが設けられている。
【0060】
そして、図8の矢印AR1に示されるように、ステータユニット34をケース31に臨ませる。その際に、ステータユニット34の長手方向他側(図中右側)を、ケース31の長手方向一側(図中左側)に臨ませるようにする。また、図5に示されるように、第1~第6円弧面AS1~AS6を、第1~第6円弧部32a~32fの内周面CFにそれぞれ整合させる。
【0061】
次いで、図9に示されるように、ステータユニット34の長手方向一側において、ステータ35が露出された部分、つまり、ステータ35のインシュレータ37で覆われていない部分(図9の網掛部分)に、装着治具(図示せず)を押し当てて、ステータユニット34をケース31の内部に挿入していく。具体的には、装着治具により、図9の網掛部分に設けられた押圧ポイントPPを均等に押圧するようにする。
【0062】
これにより、比較的小さな(従前に比して小さな)圧入荷重でステータユニット34をケース31に装着することができ、かつステータユニット34の中心をケース31の中心ACに一致させることができる。なお、ステータユニット34がケース31に対して相対回転するように周方向に多少ずれたとしても、両者の中心は互いにずれることはない。よって、ステータユニット34をケース31に対して容易に組み付けることが可能となっている。
【0063】
ここで、図5に示されるように、本実施の形態では、合計6つの内周面CFのみにステータ35が支持され、シャフト44の軸方向視において、内周面CFに支持されるステータ35の合計6つの被支持点(被支持部)SPを繋ぐ直線によって囲まれる領域VP1(太い二点鎖線で囲った領域)内に、ケース31の中心ACが配置されている。ここで、ステータ35の被支持点SPは、ステータ35を形成する第1~第6円弧面AS1~AS6における周方向中央部の点である。
【0064】
これにより、ステータユニット34をケース31に対してバランス良くかつ精度良く圧入することが可能となり、ステータ35(ステータユニット34)の中心をケース31の中心ACに一致させることが可能となる。
【0065】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、ケース31は、当該ケース31の周方向に並べられた合計6つの第1~第6平坦部32A~32Fおよび隣り合う平坦部を互いに接続する合計6つの第1~第6円弧部32a~32fを有し、これらの第1~第6円弧部32a~32fの内周面CFが、シャフト44の軸方向視において、いずれもケース31の中心ACを中心とした半径R1の円弧状に形成されている。そして、ステータ35が、これらの内周面CF(合計6つ)のみに支持されているので、ステータ35のケース31に対する圧入荷重を小さくすることができ、かつ組み立て精度を向上させることが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、シャフト44の径方向において、第1~第6平坦部32A~32Fと、ステータ35の第1~第6平坦面FS1~FS6との間に、それぞれ隙間G1~G6が設けられている。これにより、それぞれの隙間G1~G6に、エポキシ樹脂等からなる接着剤を充填することができる。よって、ステータ35(ステータユニット34)のケース31に対する抜け止めが確実に行われ、かつ互いの周方向へのがたつきをより確実に抑えることができる。
【0067】
さらに、本実施の形態によれば、ケース31は、シャフト44の端部を回転自在に支持する第1メタルM1を収容する底壁部33を備え、底壁部33は、シャフト44の軸方向視において、ケース31の中心ACを中心とした円筒状に形成されている。これにより、ロータユニット40の中心も、ケース31の中心ACに精度良く配置することができる。よって、ケース31,ステータユニット34およびロータユニット40の中心をそれぞれ精度良く一致させることができ、ひいては製品毎に電動モータ部30の回転抵抗がばらつくことを抑制できる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、第1~第6円弧部32a~32fのそれぞれの内周面CFにステータ35が支持され、シャフト44の軸方向視において、内周面CFに支持されるステータ35の合計6つの被支持点SPを繋ぐ直線によって囲まれる領域VP1内に、ケース31の中心ACが配置されている。これにより、ステータユニット34をケース31に対してバランス良くかつ精度良く圧入することができ、ステータ35の中心をケース31の中心ACに確実に一致させることができる。
【0069】
さらに、本実施の形態によれば、上述のようにステータ35のケース31に対する圧入荷重を小さくして、電動モータ部30の製造エネルギーの省力化を図ることができ、かつ製品毎に電動モータ部30の回転抵抗がばらつくことを抑制して不良品の発生を抑えることができる。これにより、国連で定められた持続可能な開発目標(SDGs)における特に目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる)を実現することが可能となる。
【0070】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
図10は、実施の形態2を示す図6に対応した断面図を示している。
【0072】
図10に示されるように、実施の形態2の電動モータ部(ブラシレスモータ)90は、ケース31を形成する第2円弧部32bの内周面CF,第4円弧部32dの内周面CFおよび第6円弧部32fの内周面CFの合計3つの内周面CFのみで、ステータ91を支持している。具体的には、ケース31の周方向に第2円弧部32b,第4円弧部32dおよび第6円弧部32fが120°間隔で配置され、これらの内周面CFのそれぞれに、ステータ91の第2円弧面AS2,第4円弧面AS4および第6円弧面AS6が面接触されている。
【0073】
これにより、シャフト44の軸方向視において、合計3つの内周面CFに支持されるステータ91の合計3つの被支持点SPを繋ぐ直線によって囲まれる領域VP2(太い二点鎖線で囲った領域)内に、ケース31の中心ACが配置される。
【0074】
ここで、ステータ91の第1円弧面AS1とケース31の第1円弧部32aとの間、ステータ91の第3円弧面AS3とケース31の第3円弧部32cとの間およびステータ91の第5円弧面AS5とケース31の第5円弧部32eとの間には、微小寸法W2(W2>W1)の隙間G7~G9が形成されている。
【0075】
また、ステータ91の第1円弧面AS1,第3円弧面AS3および第5円弧面AS5は、シャフト44の軸方向視において、いずれもケース31の中心ACを中心とした半径R2(R2<R1)の円弧状に形成されている。
【0076】
そして、これらの隙間G7~G9にも、サンルーフモータ20(電動モータ部90)の組立時において、エポキシ樹脂等からなる接着剤(図示せず)が充填されるようになっている。
【0077】
以上のように形成された実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、ステータ35の被支持点SPを、120°間隔で分散させるように3箇所としたので、ステータ91のケース31に対する位置精度を確保しつつ、実施の形態1に比して圧入荷重をさらに小さくすることが可能となる。したがって、より電動モータ部90の組み立て性を向上させることができる。
【0078】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
図11は、実施の形態3を示す図6に対応した断面図を示している。
【0080】
図11に示されるように、実施の形態3の電動モータ部(ブラシレスモータ)100は、ケース31を形成する第1円弧部32aの内周面CF,第2円弧部32bの内周面CF,第4円弧部32dの内周面CFおよび第5円弧部32eの内周面CFの合計4つの内周面CFのみで、ステータ101を支持している。具体的には、ケース31の周方向に第1円弧部32a,第2円弧部32b,第4円弧部32dおよび第5円弧部32eがこの順番で配置され、これらの内周面CFのそれぞれに、ステータ101の第1円弧面AS1,第2円弧面AS2,第4円弧面AS4および第5円弧面AS5が面接触されている。言い換えると、ケース31の中心ACを中心に点対称となる位置に存在する円弧部(第1円弧部32aと第4円弧部32d,第2円弧部32bと第5円弧部32e)において、これらの円弧部の内周面CFのそれぞれに、ステータ101が面接触されている。
【0081】
これにより、シャフト44の軸方向視において、合計4つの内周面CFに支持されるステータ101の合計4つの被支持点SPを繋ぐ直線によって囲まれる領域VP3(太い二点鎖線で囲った領域)内に、ケース31の中心ACが配置される。
【0082】
ここで、ステータ101の第3円弧面AS3とケース31の第3円弧部32cとの間およびステータ101の第6円弧面AS6とケース31の第6円弧部32fとの間には、微小寸法W2(W2>W1)の隙間G10,G11が形成されている。
【0083】
また、ステータ101の第3円弧面AS3および第6円弧面AS6は、シャフト44の軸方向視において、いずれもケース31の中心ACを中心とした半径R2(R2<R1)の円弧状に形成されている。
【0084】
そして、これらの隙間G10,G11にも、サンルーフモータ20(電動モータ部100)の組立時において、エポキシ樹脂等からなる接着剤(図示せず)が充填されるようになっている。
【0085】
以上のように形成された実施の形態3においても、上述した実施の形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
[望ましくないステータの支持構造]
ここで、ステータの支持構造として望ましくないもの(比較例1および比較例2)を、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0087】
図12は比較例1のステータの支持箇所を説明する図を、図13は比較例2のステータの支持箇所を説明する図をそれぞれ示している。
【0088】
[比較例1]
図12に示される比較例1では、ステータ110に、ケース31の中心ACを中心とした半径R1の第1円弧面AS1,第2円弧面AS2および第3円弧面AS3を設け、これらをケース31の第1円弧部32aの内周面CF,第2円弧部32bの内周面CFおよび第3円弧部32cの内周面CFにそれぞれ面接触させる設計としている。
【0089】
また、ステータ110には、ケース31の中心ACを中心とした半径R2(R2<R1)の第4円弧面AS4,第5円弧面AS5および第6円弧面AS6も設けられている。すなわち、図12に示されるように、ケース31の中心ACとステータ110の中心とが一致している場合には、第4円弧面AS4と第4円弧部32dとの間、第5円弧面AS5と第5円弧部32eとの間および第6円弧面AS6と第6円弧部32fとの間に、それぞれ微小寸法W2(W2>W1)の隙間G12,G13,G14が形成される。
【0090】
このような比較例1では、シャフト44(図5参照)の軸方向視において、合計3つの内周面CFに支持されるステータ110の合計3つの被支持点SPを繋ぐ直線によって囲まれる領域VP4(太い二点鎖線で囲った領域)の外部に、ケース31の中心ACが配置されることになる。したがって、ステータ110はケース31に対して図12の矢印AR2の方向に移動して、ステータ110の中心がケース31の中心ACから容易にずれる虞がある。よって、比較例1(図12)のような設計は望ましくない。
【0091】
[比較例2]
図13に示される比較例2では、ステータ120に、ケース31の中心ACを中心とした半径R1の第2円弧面AS2,第3円弧面AS3,第4円弧面AS4および第5円弧面AS5を設け、これらをケース31の第2円弧部32bの内周面CF,第3円弧部32cの内周面CF,第4円弧部32dの内周面CFおよび第5円弧部32eの内周面CFにそれぞれ面接触させる設計としている。
【0092】
また、ステータ120には、ケース31の中心ACを中心とした半径R2(R2<R1)の第1円弧面AS1および第6円弧面AS6も設けられている。すなわち、図13に示されるように、ケース31の中心ACとステータ120の中心とが一致している場合には、第1円弧面AS1と第1円弧部32aとの間および第6円弧面AS6と第6円弧部32fとの間に、それぞれ微小寸法W2(W2>W1)の隙間G15,G16が形成される。
【0093】
このような比較例2では、シャフト44(図5参照)の軸方向視において、合計4つの内周面CFに支持されるステータ120の合計4つの被支持点SPを繋ぐ直線によって囲まれる領域VP5(太い二点鎖線で囲った領域)の線上に、ケース31の中心ACが配置されることになる(領域VP5内に中心ACが配置されない)。したがって、ステータ120はケース31に対して図13の矢印AR3の方向に移動して、ステータ120の中心がケース31の中心ACから容易にずれる虞がある。よって、比較例2(図13)のような設計は望ましくない。
【0094】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。上記実施の形態では、本発明を、車両12のサンルーフ装置10に用いられるサンルーフモータ20に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、車両に搭載されるスライドドア装置,パワーウインド装置,ワイパ装置等に用いられる車載用モータにも適用することができる。
【0095】
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0096】
10:サンルーフ装置,11:ルーフパネル,12:車両,13:ルーフ,14:開口部,15a,15b:シュー,16:ガイドレール,17a,17b:駆動ケーブル,20:サンルーフモータ,30:電動モータ部(ブラシレスモータ),31:ケース,32:側壁部,32a:第1円弧部(接続部),32A:第1平坦部,32b:第2円弧部(接続部),32B:第2平坦部,32c:第3円弧部(接続部),32C:第3平坦部,32d:第4円弧部(接続部),32D:第4平坦部,32e:第5円弧部(接続部),32E:第5平坦部,32f:第6円弧部(接続部),32F:第6平坦部,33:底壁部(軸受収容部),34:ステータユニット,35:ステータ,36:ティース,37:インシュレータ,38:コイル,39:ベアリング支持部材,40:ロータユニット,41:ロータコア,42:永久磁石,43:マグネットホルダ,44:シャフト,50:減速機構部,51:ハウジング,52:第1壁部,53:第2壁部,54:第3壁部,55:ウォームホイール収容部,56:カバー部材,56a:差し込み脚,57:ウォーム収容部,60:減速機構,61:ウォーム,62:ウォームホイール,62a:歯部,63:出力軸,64:出力ギヤ,70:ボールベアリング,71:インナーレース,72:アウターレース,73:スチールボール,80:メタルジャケット,81:第1導電プレート,82:第2導電プレート,90:電動モータ部(ブラシレスモータ),91:ステータ,100:電動モータ部(ブラシレスモータ),101:ステータ,110:ステータ,120:ステータ,AC:ケース31の中心,AG:エアギャップ,AS1:第1円弧面,AS2:第2円弧面,AS3:第3円弧面,AS4:第4円弧面,AS5:第5円弧面,AS6:第6円弧面,CA:ケースアッシー,CF:内周面,CM:導電部材,FG:フロントガラス,FL:フランジ部,FS1:第1平坦面,FS2:第2平坦面,FS3:第3平坦面,FS4:第4平坦面,FS5:第5平坦面,FS6:第6平坦面,G1~G16:隙間,HL:差し込み穴,HP:中空部,LN:渡り線,M1:第1メタル(軸受),M2:第2メタル,MG:センサマグネット,PP:押圧ポイント,SP:被支持点(被支持部),SR:サポートリング,VP1~VP5:領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13