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特開2024-38703サイドブランチ型消音装置の設計方法、製造方法及びサイドブランチ型消音装置
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  • 特開-サイドブランチ型消音装置の設計方法、製造方法及びサイドブランチ型消音装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038703
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】サイドブランチ型消音装置の設計方法、製造方法及びサイドブランチ型消音装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
G10K11/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142930
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000233619
【氏名又は名称】株式会社ニチリン
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】森 浩一
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061EE27
5D061EE31
(57)【要約】
【課題】サイドブランチチャンバの長さを容易に設定し、広範囲の周波数に対して消音効果を高くすることができるサイドブランチ型消音装置の設計方法、製造方法及びサイドブランチ型消音装置を提供する。
【解決手段】設定範囲の周波数領域の音源に対して消音するサイドブランチ型消音装置の設計方法において、n個目の基本周波数が、周波数領域の最小周波数の2n-1倍となるように、n個の基本周波数を設定し、n個の基本周波数の各々に対応する複数のサイドブランチチャンバの長さを設定する。サイドブランチ型消音装置のサイドブランチが適用可能な最大長さから、最小周波数を設定する。複数のサイドブランチチャンバの長さは、n個目のサイドブランチチャンバの長さが最大のサイドブランチチャンバの長さの1/2n-1倍になるように、設定する。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定範囲の周波数領域の音源に対して消音するサイドブランチ型消音装置の設計方法において、
n個目の基本周波数が、前記周波数領域の最小周波数の2n-1倍となるように、n個の基本周波数を設定し、
前記n個の基本周波数の各々に対応する複数のサイドブランチチャンバの長さを設定することを特徴とするサイドブランチ型消音装置の設計方法。
【請求項2】
前記サイドブランチ型消音装置のサイドブランチが適用可能な最大長さから、前記最小周波数を設定することを特徴とする請求項1に記載のサイドブランチ型消音装置の設計方法。
【請求項3】
複数のサイドブランチチャンバの長さは、n個目のサイドブランチチャンバの長さが最大のサイドブランチチャンバの長さの1/2n-1倍になるように、設定することを特徴とする請求項1に記載のサイドブランチ型消音装置の設計方法。
【請求項4】
請求項1から3のサイドブランチ型消音装置の設計方法をステップとして含むサイドブランチ型消音装置の製造方法。
【請求項5】
設定範囲の周波数領域の音源に対して消音するサイドブランチ型消音装置において、
n個目の基本周波数が、前記周波数領域の最小周波数の2n-1倍となるn個の基本周波数の各々に対応する複数のサイドブランチチャンバの長さを有することを特徴とするサイドブランチ型消音装置。
【請求項6】
n個目のサイドブランチチャンバの長さが、最大のサイドブランチチャンバの長さの1/2n-1倍となるn個のサイドブランチチャンバを備えることを特徴とする請求項5に記載のサイドブランチ型消音装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドブランチ型消音装置の設計方法、製造方法及びサイドブランチ型消音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置において、コンプレッサの機械騒音や冷媒のキャビティによる騒音が配管を介してエバポレータに伝わり、吹出口からドライバに伝わるか、あるいは、配管の途中でエンジンルームの空間を介して車体経由でドライバに伝わる。このため、車両用空調装置の配管には、マフラー型のサイレンサが介設されたり、内挿型のサイレンサが挿入されている。マフラー型のサイレンサは、大型で重く、ろう付けによるコストアップが生じるため、近年では、内挿型のサイレンサが多く採用されている。
【0003】
内挿型のサイレンサの代表として、サイドブランチ型消音装置があるが、共鳴型や膨張型に比べて適用される周波数の範囲が狭いという問題があるため、複数のサイドブランチチャンバを設けることで、適用される周波数の範囲を広くしている。
【0004】
特許文献1には、吸音通路に複数のブランチ管が形成され、各ブランチ管の内部空間の長さを異ならせた消音器が記載されている。
【0005】
引用文献1の消音器では、ブランチ管に発生する逆位相の音を、吸音通路で消音しきれない比較的低周波数の音に設定しておくことにより、広い幅の低周波数の騒音を効果的に消音することができるとされている。しかし、各ブランチ管の長さをどのように設定するかは、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-18755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、サイドブランチチャンバの長さを容易に設定し、広範囲の周波数に対して消音効果を高くすることができるサイドブランチ型消音装置の設計方法、製造方法及びサイドブランチ型消音装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)設定範囲の周波数領域の音源に対して消音するサイドブランチ型消音装置の設計方法において、
n個目の基本周波数が、前記周波数領域の最小周波数の2n-1倍となるように、n個の基本周波数を設定し、
前記n個の基本周波数の各々に対応する複数のサイドブランチチャンバの長さを設定する。
【0009】
(2)前記(1)に記載のサイドブランチ型消音装置の設計方法において、
前記サイドブランチ型消音装置のサイドブランチが適用可能な最大長さから、前記最小周波数を設定する。
【0010】
(3)前記(1)又は(2)に記載のサイドブランチ型消音装置の設計方法において、
複数のサイドブランチチャンバの長さは、n個目のサイドブランチチャンバの長さが最大のサイドブランチチャンバの長さの1/2n-1倍になるように、設定する。
【0011】
(4)サイドブランチ型消音装置の製造方法は、前記(1)から(3)のサイドブランチ型消音装置の設計方法をステップとして含む。
【0012】
(5)設定範囲の周波数領域の音源に対して消音するサイドブランチ型消音装置において、
n個目の基本周波数が、前記周波数領域の最小周波数の2n-1倍となるn個の基本周波数の各々に対応する複数のサイドブランチチャンバの長さを有する。
【0013】
(6)前記(5)に記載のサイドブランチ型消音装置において、
n個目のサイドブランチチャンバの長さが、最大のサイドブランチチャンバの長さの1/2n-1倍となるn個のサイドブランチチャンバを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サイドブランチチャンバの長さを容易に設定し、広範囲の周波数に対して消音効果を高くすることができるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のサイドブランチ型消音装置の設計方法で設計されたサイドブランチ型消音装置の主管の一部を破断した斜視図。
図2図1の主管に挿入される消音装置の斜視図。
図3図2のIIIa-IIIa線断面図(a)、及び IIIb-IIIb線断面図(b)。
図4図3のIVa-IVa線断面図(a)、及び IVb-IVb線断面図(b)。
図5】本発明のサイドブランチ型消音装置の設計方法の流れを示すフローチャート。
図6】本発明のサイドブランチ型消音装置の設計方法で使用する周波数テーブル。
図7】本発明のサイドブランチ型消音装置の設計方法で設計したサイドブランチ型消音装置のモデル1、モデル2、モデル3を示す図。
図8】本発明のサイドブランチ型消音装置の設計方法で設計したサイドブランチ型消音装置のモデル1、モデル2、モデル3の透過損失の解析結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
まず、本発明のサイドブランチ型消音装置の設計方法の対象となる消音装置について説明する。
【0018】
図1に示す消音装置1は、車両用空調装置の冷媒が流れる配管に設けられる。具体的には、消音装置1は、図示しないコンプレッサ、コンデンサ、膨張弁及びエバポレータからなる車両用空調装置におけるエバポレータ又はコンプレッサの出口側の配管(以下、「主管」という)2に挿入される。主管2は、ゴムや合成樹脂等の弾性と可撓性とを有する素材で形成されているが、これに限らず、アルミニウム等の可撓性を有さない素材を使用してもよい。主管2には、図1において、左側の上流から右側の下流に流体(以下「冷媒」という)が流れるものとする。
【0019】
図2図3に示すように、消音装置1は、内管3と、該内管3の上流側端部及び下流側端部に形成された端部仕切り板4(4a、4b)と、内管3の外面に形成された中間仕切り板5と、内管3の周方向に所定間隔で形成された複数のリブ板6(6a、6b、6c、6d)とを備え、合成樹脂により一体に形成されている。
【0020】
消音装置1は、図示しない固定部材により、主管2の外側から上流側又は下流側のいずれかの端部仕切り板4a、4bが締め付けられることにより、主管2の内部に固定されている。
【0021】
内管3は、主管2の内径より小さい外径を有する。端部仕切り板4は、主管2の内径とほぼ同じ外径を有する円環形であり、上流側の端部仕切り板4a、下流側の端部仕切り板4bの2つ設けられている。中間仕切り板5は、主管2の内径とほぼ同じ外径を有する扇形である。リブ板6は、内管3の上流側から見て時計回りに6a、6b、6c、6dの4つ設けられ、内管3の外周面の周4等配位置に放射状に突出されるとともに、軸方向に延びている。リブ板6の数は任意であり、1つ以上あればよい。また、リブ板6は、周方向に等間隔でなくてもよい。端部仕切り板4の外周面、中間仕切り板5の外周面、及びリブ板6の外端面は、消音装置1が主管2に挿入されたときに主管2の内面と密着することで、後述するサイドブランチチャンバ7a、7b、7c、7dが主管2によって密封されるようになっている。
【0022】
図3に示すように、主管2と内管3との間には、4つのサイドブランチチャンバ7a、7b、7c、7dが形成されている。
【0023】
サイドブランチチャンバ7aは、リブ板6aとリブ板6bとの間の空間と、リブ板6dとリブ板6aとの間の空間とが、リブ板6aの上流側端に設けられた切欠き6eを介して連通するように設けられている。サイドブランチチャンバ7aが内管3と連通する出入口8aは、リブ板6aとリブ板6bとの間の空間で、下流側の端部仕切り板4bの近傍に設けられている。
【0024】
サイドブランチチャンバ7bは、リブ板6bとリブ板6cとの間の空間に設けられている。サイドブランチチャンバ7bが内管3と連通する出入口8bは、リブ板6bとリブ板6cとの間の空間で、下流側の端部仕切り板4bの近傍に設けられている。
【0025】
サイドブランチチャンバ7cは、リブ板6cとリブ板6dとの間の空間であって、中間仕切り板5と下流側の端部仕切り板4bとの間に設けられている。サイドブランチチャンバ7cが内管3と連通する出入口8cは、リブ板6cとリブ板6dとの間の空間で、中間仕切り板5の上流側近傍に設けられている。
【0026】
サイドブランチチャンバ7dは、リブ板6cとリブ板6dとの間の空間であって、中間仕切り板5と上流側の端部仕切り板4aとの間に設けられている。サイドブランチチャンバ7dが内管3と連通する出入口8dは、リブ板6cとリブ板6dとの間の空間で、中間仕切り板5の下流側近傍に設けられている。
なお、各サイドブランチチャンバ7a、7b、7c、7dの出入口8a、8b、8c、8dは、上流側と下流側のいずれに設けられていてもよい。
【0027】
次に、本実施形態の消音装置1の作用について説明する。
【0028】
図4に示すように、主管2内を流れる冷媒は、消音装置1の上流側端部で内管3内に流入し、下流側端部で内管3内より流出する。消音装置1の上流側の図示しない音源から発生する音(コンプレッサの機械騒音や、冷媒のキャビティ音)は、冷媒とともに下流側に伝搬し、消音装置1の内管3内に進入する。なお、音源は、下流側にあってもよく、その場合は、上流側で消音効果が生じることになる。
【0029】
主管2から内管3内に伝搬してきた音波は、内管3の内面に設けられた出入口8a、8b、8c、8dから4つのサイドブランチチャンバ7a、7b、7c、7dに進入し、各サイドブランチチャンバ7a、7b、7c、7dの奥端で反射して出入口8a、8b、8c、8dに戻り、ここで、内管3の音波と逆位相になって干渉し、消音される。
【0030】
ここで、内管の断面積をS、サイドブランチチャンバの断面積をSs、サイドブランチチャンバの長さをl、音波の周波数をf、音速をcとすると、消音装置1での透過損失TLは数1で表される。なお、サイドブランチチャンバの長さlは、各サイドブランチチャンバの出入口から奥端までの軸方向距離である。
【数1】
【0031】
次に、前述したようなサイドブランチ型消音装置の設計方法について説明する。
【0032】
設定された範囲の周波数領域の音源に対して消音するためのサイドブランチ型消音装置の設計方法は、図5に示すように、最小周波数の設定(ステップ101)と、n個の基本周波数の設定(ステップ102)と、サイドブランチチャンバの長さの設定(ステップ103)との3つのステップをとる。
【0033】
最小周波数の設定のステップ101では、サイドブランチ型消音装置のサイドブランチが適用可能な最大長さから、最小周波数を設定する。図1に示すような主管2に挿入される挿入型のサイドブランチ型消音装置1は、主管2のレイアウト等との関係から、主管2に挿入される長さに制約があるため、この主管2に適用可能な消音装置1の全長をLmaxとすると、サイドブランチチャンバの最大長さlは2Lmaxとなる。最小周波数fは、サイドブランチチャンバの長さをl、音速をcとすると、数2で表される。
【0034】
【数2】
【0035】
なお、サイドブランチ型消音装置の長さに制約がない場合は、ステップ101は省略することができる。
【0036】
n個の基本周波数の設定のステップ102では、n個目の基本周波数が、周波数領域の最小周波数の2n-1倍となるように、n個の基本周波数を設定する。ここでは、図6に示す表を使用することができる。
【0037】
図6は、列の先頭に、初項a=1、公比r=2の等比数列a=arn-1で表される1,2,4,8,16,32,64,128の数列を表示し、行の先頭に、初項a=1、等差d=2の等差数列a=a+(n-1)d=2n-1で表される1,3,5,7,9,・・・39の数列を表示して、各セルに周波数を示す数値を表示したものである。「1」の行には、最小周波数100Hzの2n-1倍となる100,200,400,800,1600,3200,6400,12800の数値が表示され、「3」の行以降は、「1」の行の周波数の2n-1倍(奇数倍)となる数値が表示されている。
【0038】
数1において、基本周波数をf=c/(4l)とすると、数1Aとなり、fがfの奇数倍に近づくにつれて透過損失が大となり、消音効果が高くなることが分かる。
【数1A】
【0039】
図6において、最小周波数を100Hz、最大周波数を4000Hzとした場合、最小周波数の2n-1倍で最大周波数以下である100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1600Hz、3200Hzの6個の基本周波数を設定する。この場合、6個の基本周波数の2n-1倍(奇数倍)で、最大周波数4000Hzまでの範囲(図6中A-A線で示す)で、消音効果が期待できる。
【0040】
サイドブランチチャンバの長さの設定のステップ103では、ステップ101で設定したn個の基本周波数の各々に対応する複数のサイドブランチチャンバの長さを設定する。サイドブランチチャンバの長さlは、周波数をf、音速をcとすると、数3で表される。
【0041】
【数3】
【0042】
n個の基本周波数は、最小周波数100Hzの2n-1倍であるから、各サイドブランチチャンバの長さは、n個目のサイドブランチチャンバの長さが、最大のサイドブランチチャンバの長さの1/2n-1倍になるように設定する。
【0043】
ここで、同一長さのサイドブランチチャンバを複数設けることができる。また、基本周波数が最大周波数に近づくにつれてサイドブランチチャンバの長さが短くなるため、サイドブランチチャンバの長さを物理的に確保することが困難になる場合は、当該基本周波数のサイドブランチチャンバを設ける必要がない。
【0044】
図7は、前述の設計方法により設計したサイドブランチ型消音装置の3つのモデル1,モデル2,モデル3を示す。
【0045】
モデル1は、100Hz、200Hz、及び400Hzを狙いとするものである。モデル1には、100Hzを狙いとする長さ344mm(172×2)の第1サイドブランチチャンバ7aと、200Hzを狙いとする長さ172mmの第2サイドブランチチャンバ7bと、400Hzを狙いとする長さ85mmの第3サイドブランチチャンバ7c及び第4サイドブランチチャンバ7dとを備えている。
【0046】
モデル2は、100Hz、200Hz、400Hz、及び800Hzを狙いとするものである。モデル2は、第1サイドブランチチャンバ7a、第2サイドブランチチャンバ7b、第3サイドブランチチャンバ7cはモデル1と同一であるが、モデル1の第4サイドブランチチャンバ7dを2分割して、800Hzを狙いとする長さ42mmの第4サイドブランチチャンバ7dと、長さ41mmの第5サイドブランチチャンバ7eとを備えている。
【0047】
モデル3は、100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、及び1600Hzを狙いとするものである。モデル3は、第1サイドブランチチャンバ7a、第2サイドブランチチャンバ7b、第3サイドブランチチャンバ7c、第4サイドブランチチャンバ7dはモデル2と同一であるが、モデル2の第5サイドブランチ7eを2分割して、1600Hzを狙いとする長さ18mmの第5サイドブランチチャンバ7eと、第6サイドブランチチャンバ7fとを備えている。
【0048】
図8は、モデル1、モデル2、モデル3において、周波数を0から2000Hzまで変化させたときの透過損失を示す。図8より、モデル1では、100Hz,200Hz及び400Hzと、それらの奇数倍の周波数で、高い透過損失のピークが見られる。また、400Hzを狙ったサイドブランチチャンバが2つあるため、400Hz前後で高い透過損失が見られる。モデル2では、100Hz,200Hz、400Hz及び800Hzと、それらの奇数倍の周波数で、高い透過損失のピークが見られる。また、800Hzを狙ったサイドブランチチャンバが2つあるため、800Hz前後で高い透過損失が見られる。モデル3は、100Hz,200Hz、400Hz、800Hz及び1600Hzと、それらの奇数倍の周波数で、高い透過損失のピークが見られる。また、1600Hzを狙ったサイドブランチチャンバが2つあるため、1600Hz前後で高い透過損失が見られる。各モデルのいずれも、広範囲の周波数に対して透過損失が大きく、消音効果が高いことが確認された。
【0049】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨の範囲内で修正し変更することができる。
例えば、サイドブランチチャンバの数は、前記実施形態のように4つに限らないし、サイドブランチチャンバの長さも適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…消音装置
2…主管
3…内管
4、4a、4b…端部仕切り板
5…中間仕切り板
6、6a、6b、6c、6d…リブ板
6e…切欠き
7a、7b、7c、7d…サイドブランチチャンバ
8a、8b、8c、8d…サイドブランチチャンバの出入口

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8