(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038710
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】弁システム
(51)【国際特許分類】
G05D 16/20 20060101AFI20240313BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20240313BHJP
F02M 25/08 20060101ALI20240313BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20240313BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240313BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240313BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240313BHJP
F16K 37/00 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
G05D16/20 Z
F16K31/04 K
F02M25/08 D
F02M37/00 301H
H01M8/04746
H01M8/0438
H01M8/04 J
F16K37/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142941
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山形 匡史
【テーマコード(参考)】
3G144
3H062
3H065
5H127
5H316
【Fターム(参考)】
3G144BA14
3G144DA03
3G144EA05
3G144EA08
3G144FA04
3H062AA02
3H062AA16
3H062BB10
3H062CC02
3H062DD01
3H062FF07
3H062FF10
3H062HH02
3H065AA01
3H065BA01
3H065BA07
3H065BB11
3H065BC02
5H127AB04
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA59
5H127DB82
5H127DC02
5H127EE19
5H316AA09
5H316CC07
5H316DD15
5H316EE02
5H316FF01
(57)【要約】
【課題】封鎖弁の開弁位置をより早く推定できる弁システムを提供すること。
【解決手段】弁システム1は、流体を貯留可能なタンク2と、タンク2の内圧を検出する圧力センサ6と、弁体11を有しタンク2を開閉するバルブ4と、バルブ4の弁体11をストロークさせるための駆動装置と、制御装置5を備える。制御装置5は、駆動装置を操作して閉弁状態のバルブ4を一定の開弁速度で連続的に開弁させ、圧力センサ6によりタンク2の内圧が一定値減少したことを検知した際に弁体11の位置を記憶又は弁体11を停止させ、弁体11の記憶した位置又は停止位置とタンク2の開放前の内圧に対して予め決定された内圧が一定値減少するまでの弁体11の開弁量とに基づいてバルブ4の開弁位置を推定するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁システムであって、
流体を貯留可能なタンクと、該タンクの内圧を検出する圧力センサと、弁体を有し前記タンクを開閉するバルブと、該バルブの前記弁体をストロークさせるための駆動装置と、制御装置を備え、
該制御装置は、
前記駆動装置を操作して閉弁状態の前記弁体を一定の開弁速度で連続的に開弁方向に移動させ、
前記圧力センサにより前記タンクの内圧が一定値減少したことを検知した際に、前記弁体の位置を記憶又は前記弁体を停止させ、
前記弁体の記憶した位置又は停止位置と前記タンクの開弁前の内圧に対して予め決定された内圧が一定値減少するまでの前記弁体の開弁量とに基づいて前記バルブの開弁位置を推定するように構成されている弁システム。
【請求項2】
弁システムであって、
流体を貯留可能なタンクと、該タンクの内圧を検出する圧力センサと、弁体を有し前記タンクを開閉するバルブと、該バルブの前記弁体をストロークさせるための駆動装置と、制御装置を備え、
該制御装置は、
前記駆動装置を操作して閉弁状態の前記弁体を一定の開弁速度で連続的に開弁方向に移動させ、
前記圧力センサにより前記タンクの内圧が一定値減少したことを検知した際に、前記弁体の位置を記憶又は前記弁体を停止させ、
前記タンクの開弁前の内圧に対して予め決定された内圧が一定値減少するまでの前記弁体の開弁量以上の一定のストローク量を前記弁体の記憶した位置又は停止位置から差し引いた位置を開弁位置とみなすように構成されている弁システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の弁システムであって、
前記制御装置は、前記予め決定された内圧が一定値減少するまでの前記弁体の開弁量が所定量以下となるように前記タンクの開放前の内圧に応じて、前記弁体の前記開弁速度を切り替えるように構成されている弁システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の弁システムであって、
前記駆動装置はステッピングモータとされる弁システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の弁システムであって、
前記制御装置は、推定された前記開弁位置から前記弁体を閉弁方向に所定量移動させた位置を前記弁体の待機位置として設定するように構成されている弁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弁システムに関する。詳しくは、流体を貯留可能なタンクと、タンクを開閉可能なバルブとを備える弁システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを備えた自動車等の車両には、燃料タンクと、その燃料タンク内で発生した燃料蒸気(ベーパ)を吸着するキャニスタとを備える蒸発燃料処理システムが搭載されている。通常、燃料タンクとキャニスタとを繋ぐベーパ通路は封鎖弁で遮断されており、キャニスタに吸着させる必要があるときにだけ封鎖弁が開かれる。特開2018-100643号公報に開示されているシステムにおける封鎖弁は、ステッピングモータで開度を調整している。封鎖弁の弁体の開弁位置は環境や封鎖弁の部品公差によってばらつきが生じるため、開弁位置を把握する必要がある。上記のシステムでは、閉弁状態の封鎖弁を2ステップずつ段階的に開弁させ、開弁動作に伴う燃料タンクの圧力変化に基づいて封鎖弁の開弁位置を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報の弁システムでは、バルブの2ステップずつの開弁動作毎にタンクの圧力変化に基づいて開弁したかどうかを推定する。このため、バルブの開弁位置を推定するまでに時間がかかる。そこで、バルブの開弁位置をより早く推定できる弁システムを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様としての弁システムは、流体を貯留可能なタンクと、弁体を有しタンクの内圧を検出する圧力センサと、タンクを開閉するバルブと、バルブの弁体をストロークさせるための駆動装置と、制御装置を備える。制御装置は、駆動装置を操作して閉弁状態の弁体を一定の開弁速度で連続的に開弁方向に移動させ、圧力センサによりタンクの内圧が一定値減少したことを検知した際に弁体の位置を記憶又は弁体を停止させ、弁体の記憶した位置又は停止位置とタンクの開弁前の内圧に対して予め決定された内圧が一定値減少するまでの弁体の開弁量とに基づいてバルブの開弁位置を推定するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る弁システムの構成図である。
【
図2】開弁位置の推定方法を説明するタイムチャートである。
【
図3】バルブの開弁速度とタンクの開放前の内圧に基づいた開弁量を示すグラフである。
【
図4】バルブの推定された開弁位置と待機位置を示すグラフである。
【
図5】制御装置にみなされたバルブの開弁位置と待機位置を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<弁システム>
以下、種々の実施形態を
図1~5を用いて説明する。弁システム1は、
図1に示すように、流体を貯留する閉空間を成すタンク2と、タンク2内の流体の供給先7と、タンク2と供給先7とを繋ぐ供給路3を有する。弁システム1は、供給路3を開閉可能なバルブ4を有する。バルブ4を開くとタンク2の流体が供給路3を通って供給先7に流入する。供給先7は例えば燃料電池とすることができ、この場合、弁システム1は、例えば燃料電池に水素燃料を供給する水素タンクを備えた水素燃料供給システムに適用される。
【0008】
弁システム1は、タンク2の内圧Pを測定する圧力センサ6と、制御装置5を有する。制御装置5は、少なくとも一つのプロセッサと少なくとも一つのメモリとを有するコンピュータシステムである。制御装置5には、圧力センサ6からの測定信号が入力される。また制御装置5は、バルブ4の動作状態を制御するように制御信号を出力する。制御装置5のメモリには、バルブ4の制御のための各種プログラムや各種データ(マップを含む)が記憶されている。メモリに記憶されているプログラムがプロセッサで実行されることで、以下に説明する制御が実現される。例えば、バルブ4を通した流体の流量制御は、プログラムが実行されることによって実現される機能の一つである。
【0009】
<バルブ>
バルブ4は、
図1に示すように、弁体11と、これをストロークさせる駆動装置(アクチュエータ)とを有する。駆動装置は例えばロータとステータを備えるステッピングモータ12と、弁体11から上方に延びる出力軸13を有する。ステッピングモータ12は、出力軸13を介して弁体11をストロークさせる。詳しくは、出力軸13の表面には雄ねじが形成される。出力軸13は、ステッピングモータ12のロータと螺合した状態に組み付けられる。このため出力軸13は、ロータの回転により、軸方向(上下方向)に動く。出力軸13の上下移動に伴い、弁体11も上下に移動する。
【0010】
また、弁体11の下面にはゴム状のシール部材14が設けられている。弁体11がステッピングモータ12により下降すると、シール部材14が供給路3の座部3aに上方から押し付けられる。これにより、弁体11が供給路3を適切に遮断して、タンク2を封鎖することができる。そして、弁体11が上昇してシール部材14が座部3aから離されることで、上流路3bと下流路3cとが連通状態となる。これにより、タンク2から供給先7に向かって流体が流れるようになる。
【0011】
制御装置5は、ステップ数の制御によりステッピングモータ12を正転又は逆転方向に回転駆動させることができる。予め決められたステップ数だけステッピングモータ12を正転又は逆転方向に回転させることで、弁体11が上下方向(開閉方向)に予め決められたストローク量だけ移動する。すなわち、ステップ数の制御により弁体11のストローク量を調整することができるようになっている。
【0012】
上記シール部材14が供給路3の座部3aから離れ始める開弁位置を基準として弁体11のストローク量を調整することで、タンク2から供給先7に流れる流量をコントロールすることができる。しかし、バルブ4の開弁位置は、弁システム1の環境や部品の公差によりばらつきが生じる。そこで、流量のコントロールを行う前にバルブ4の開弁位置を推定する必要がある。
【0013】
<開弁位置の推定方法>
次に、
図2を用いてバルブ4の開弁位置の推定方法について説明する。
図2の上側のグラフは、時間(横軸)に対するタンク2の内圧Pの変化を表している。タンク2の内圧Pは、圧力センサ6により例えば一定周期毎に測定される。また
図2の下側のグラフは、時間(横軸)に対するステッピングモータ12のステップ数の変化、すなわち弁体11のストローク量を表している。
【0014】
図2に示すように、初め、弁体11はステッピングモータ12のステップ数が0の位置まで下げられた状態とされる。これによりバルブ4は閉弁状態となっている。まず、制御装置5は、一定の速度(例えば30ms/ステップ)で連続的に弁体11を開弁方向に移動させる。そして、弁体11の開弁動作によって供給路3が開き始めると、タンク2内の流体が流出してタンク2の内圧Pが減少し始める。
【0015】
次に、制御装置5でタンク2の内圧Pを監視し、タンク2の内圧Pが一定の判定圧ΔP(例えば0.2kPa)分減少したことを検知した時点で、弁体11の開弁動作を停止させる。判定圧ΔPは、用いた圧力センサ6の分解能(例えば0.1kPa)を基準にその倍数(例えば2倍)として設定することができるが、これに限定されない。
【0016】
圧力センサ6の分解能が有限である限り、弁体11の停止位置S1は、供給路3がちょうど開き始める開弁位置からある程度の量だけ開弁した位置となる。この開弁量は判定圧ΔPだけでなくバルブ4の開弁速度とタンク2の開放前の内圧Pとに依存すると考えられるため、様々な開弁速度と内圧Pに対して予め測定(あるいはこれらのパラメータに基づいて計算)し、マップ等の形で制御装置5に記憶させておく。
図3は、タンク2の開放前の内圧Pに応じた弁体11の開弁量、すなわち開弁位置を基準とした際の停止位置S1を表しており、〇印は弁体11を30ms/ステップで開弁させた場合を示す(停止位置S1a)。また、×印が弁体11を60ms/ステップで開弁させた場合を示す(停止位置S1b)。例えば開弁速度が30ms/ステップでタンク2の開放前の内圧Pが11kPaの場合、タンク2が0.2kPa減少するまでにバルブ4がおよそ15ステップに相当する量だけ開弁することを示している。
【0017】
制御装置5は、この予め測定や計算により決定された停止までの開弁量に基づいてバルブ4の開弁位置を推定する。具体的には、バルブ4の停止位置S1から上記の予め決定された開弁量の分を差し引いた位置S2を開弁位置として推定する(推定開弁位置S2)。
【0018】
図示しない別の実施形態として、制御装置5は、タンク2の内圧Pが一定の判定圧ΔP分減少したことを検知した時点の弁体11の位置(ステップ数)を記憶しても良い。そして、停止位置S1の代わりに、この記憶した位置から上記予め決定された開弁量を差し引いた位置を開弁位置として推定しても良い。これにより、判定圧ΔPを検知した際すぐに弁体11を停止させることが難しい場合でも開弁位置を推定することができる。
【0019】
<タンク内圧が低い場合の推定方法>
バルブ4の開弁速度を一定とした場合、タンク2の開放前の内圧Pが小さいほど内圧Pの変化に時間がかかるため、圧力変化が判定圧ΔPに達するまでの弁体11の開弁量が増加する。例えば、バルブ4の開弁速度を常に30ms/ステップに設定した場合、タンク2の開放前の内圧Pが11kPaよりも小さいと、
図3のグラフの傾向から判定圧ΔPに達するまでの開弁量がより大きくなると推測される。このように弁体11が開弁位置からより大きく開弁することは、例えばタンク2から供給先7に対する流量を抑えたい場合には好ましくない。また、開弁速度が速すぎることで通常の場合よりも弁体11が過剰に開弁してしまう懸念がある。
【0020】
そこで、タンク2の開放前の内圧Pが小さい場合にはバルブ4の開弁速度を下げることが望ましい。例えばバルブ4の開弁速度を60ms/ステップに設定することで、
図3の×印に示すように、タンク2の内圧Pが0.2kPa下がるまでの弁体11の開弁量を15ステップ以下に抑えることができる。このような場合でも、バルブ4の停止位置S1から予め測定された停止までの開弁量を差し引くことによってバルブ4の開弁位置を推定することができる。このように、タンク2の開放前の内圧Pに応じてバルブ4の開弁速度を切り替えることで、流量を過剰に増やすことなく精度よく開弁位置を推定することができる。上記の具体的な開弁速度はあくまで例であり、タンクの内圧や判定圧に応じて任意の適切な開弁速度を設定することができる。また、タンクの開放前の内圧に応じて3つ以上の速度を設定することもできる。
【0021】
<バルブの待機位置>
推定開弁位置S2を推定した後には、
図2に示すように、バルブ4の反転に必要な一定時間の待機後にバルブ4を待機位置S3まで閉弁させることができる。待機位置S3は、推定開弁位置S2よりも閉弁側に位置する。例えば待機位置S3は、推定開弁位置S2から16ステップ分閉弁させた位置とすることができる。バルブ4が待機位置S3まで閉弁することで、周囲から振動等を受けてもバルブ4が適切にシールされた状態に保持することができる。
図4にタンク2の開放前の内圧Pに応じたバルブ4の停止位置S1、推定開弁位置S2及び待機位置S3を示す。なお待機位置S3は、推定開弁位置S2から必ずしも16ステップ分閉じた位置である必要はなく、推定開弁位置S2から閉弁側に位置すれば良い。
【0022】
<開弁位置の大まかな推定>
別の実施形態として、制御装置5は、
図3に示す予め測定などにより決定された開弁量のデータを用いることなくバルブ4の開弁位置を大まかに推定しても良い。例えば、上記開弁量のデータが得られた場合、タンク2の開放前の内圧Pが11kPa≦P≦35kPaの場合には開弁速度を30ms/ステップ、タンク2の開放前の内圧Pが2kPa<P<11kPaの場合には開弁速度を60ms/ステップとすることで、上記範囲のいずれの内圧においても停止位置S1での開弁量が15ステップ以下となることが予め分かっている。このような場合、
図5に示すように、タンク2の内圧によらずバルブ4の停止位置S1から15ステップだけ差し引いた位置S2を開弁位置としてみなす(大まかな推定開弁位置S2)。この大まかな推定開弁位置S2ではバルブ4は少なくとも供給路3を閉弁する。このため、より早く推定開弁位置S2を決定することができる。そして、推定開弁位置S2から更に所定量(例えば16ステップ)だけ差し引いた位置にてバルブ4を待機させても良い(待機位置S3)。
【0023】
別の実施形態として、タンク2の内圧Pが判定圧ΔP分減少したことを検知した時点での弁体11の位置を記憶し、記憶した位置から一定のストローク量(例えば15ステップ)だけ差し引いた位置を推定開弁位置としてみなしても良い。
【0024】
<利点>
以上をまとめると、弁システム1は、流体を貯留可能なタンク2と、弁体11を有しタンク2の内圧を検出する圧力センサ6と、タンク2を開閉するバルブ4と、バルブ4の弁体11をストロークさせるための駆動装置と、制御装置5を備える。制御装置5は、駆動装置を操作して閉弁状態の弁体11を一定の開弁速度で連続的に開弁方向に移動させ、圧力センサ6によりタンク2の内圧が一定値減少したことを検知した際に、弁体11の位置を記憶又は弁体11を停止させ、弁体11の記憶した位置又は停止位置S1とタンク2の開弁前の内圧に対して予め決定された内圧が一定値減少するまでの弁体11の開弁量とに基づいてバルブ4の推定開弁位置S2を推定するように構成されている。このような構成となっていることにより、弁体11を断続的に開弁方向に移動させて都度開弁したか否かを推定する方法と比べて、バルブ4の開弁位置をより早く推定することができる。
【0025】
実施形態によっては、制御装置5は、駆動装置を操作して閉弁状態の弁体11を一定の開弁速度で連続的に開弁方向に移動させ、圧力センサ6によりタンク2の内圧が一定値減少したことを検知した際に、弁体11の位置を記憶又は弁体11を停止させ、タンク2の開弁前の内圧に対して予め決定された内圧が一定値減少するまでの弁体11の開弁量以上の一定のストローク量を弁体11の記憶した位置又は停止位置S1から差し引いた位置を推定開弁位置S2とみなすように構成されている。このような構成となっていることにより、大まかな推定開弁位置S2をより早く決定することができる。大まかな推定値であっても推定開弁位置S2が把握できていれば、開弁位置が全く不明である場合と比べれば流量の制御性を高めることができるうえ、バルブ4の適切な待機位置S3を設定することが可能となる。
【0026】
また、制御装置5は、予め決定された内圧が一定値減少するまでの弁体11の開弁量が所定量以下となるようにタンク2の開放前の内圧に応じて、バルブ4の開弁速度を切り替えるように構成されている。このような構成となっていることにより、バルブ4を開き過ぎることなく精度よく推定開弁位置S2を推定又は決定することができる。
【0027】
また、駆動装置はステッピングモータ12とされる。このような構成となっていることにより、環境条件や部品交差等によりばらつきへの影響の大きいステッピングモータ12を用いてもバルブ4の推定開弁位置S2をより早く推定又は決定することができる。
【0028】
また、制御装置5は、推定された推定開弁位置S2からバルブ4を閉弁方向に所定量移動させた位置をバルブ4の待機位置S3として設定するように構成されている。このような構成となっていることにより、バルブ4が外部からの振動等の外力を受けてもシール性を保持したまま適切に閉弁することができる。
【0029】
<その他の実施形態>
以上に説明した弁システムは、水素燃料供給システムの他、例えば自動車の燃料を貯留する燃料タンクと、燃料タンクから蒸発した燃料蒸気を吸着するキャニスタと、燃料タンクとキャニスタとを繋ぐベーパ通路とを備えた蒸発燃料処理システムに適用することもできる。弁システムは、その他流体を貯留するタンクとタンクを開閉するバルブを備えたシステムであれば広く適用することができる。
【0030】
別の実施形態として、駆動装置はステッピングモータの他にリニアソレノイド、DCモータ方式等を用いても良い。その他、バルブの弁体を電気的に駆動できるものであればどのような装置であっても良い。
【0031】
以上、様々な実施形態を説明したが、本開示はそれらの実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば他にも各種の変形、置換、改良などが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 弁システム
2 タンク
3 供給路
3a 座部
3b 上流路
3c 下流路
4 バルブ
5 制御装置
6 圧力センサ
7 供給先
11 弁体
12 ステッピングモータ
13 出力軸
14 シール部材
P 内圧
ΔP 判定圧
S1 停止位置
S1a 停止位置
S1b 停止位置
S2 推定開弁位置
S3 待機位置