(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038715
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240313BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20240313BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240313BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L50/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142947
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】前多 裕史
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC23
5H125BE02
5H125CC06
5H125FF12
(57)【要約】
【課題】充電のための認証を簡易化できる充電装置を提供する。
【解決手段】蓄電池91の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体2の蓄電池91を充電する充電装置A1において、直流電力を出力する直流電源部2と、電気移動体2に接続されて、直流電源部2が出力する直流電力を当該電気移動体2に供給する複数の充電コネクタ61と、充電コネクタ61に取り付けられており、かつ、電気移動体2に取り付けられている被読取部99に記録されている認証情報を読み取る読取部7とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、
直流電力を出力する直流電源部と、
前記電気移動体に接続されて、前記直流電源部が出力する直流電力を当該電気移動体に供給する充電コネクタと、
前記充電コネクタに取り付けられており、かつ、前記電気移動体に取り付けられている被読取部に記録されている認証情報を読み取る読取部と、
を備えている、
充電装置。
【請求項2】
前記被読取部は、ICカードであり、
前記読取部は、非接触で、前記被読取部から前記認証情報を読み取る、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記被読取部は、前記認証情報を示す読取コードであり、
前記読取部は、前記読取コードを読み取る、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記被読取部は、前記電気移動体のプラグインコネクタを覆う開閉蓋の裏に配置されている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の充電装置。
【請求項5】
前記被読取部は、前記電気移動体の内側に、外部から読み取り可能であるように配置されている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の充電装置。
【請求項6】
前記直流電源部が出力する直流電力を前記充電コネクタに供給する充電ケーブルをさらに備え、
前記充電ケーブルの長さは、充電対象である前記電気移動体とは異なる第2電気移動体の配置可能な位置までは届かない長さである、
請求項1に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などを充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電装置の整備が進んでいる。充電装置の利用料金の決済方法は、様々な方法が開発されている。例えば、特許文献1には、ICカードを利用して認証を行う方法が開示されている。当該方法によると、利用者は、ICカードを課金装置にかざすことで、認証処理を行う。認証された場合、充電器に充電開始許可が送信され、充電が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記方法の場合、利用者は、課金装置のICカードの読取部に、所持しているICカードをかざす必要がある。したがって、利用者は、ICカードを携帯しておく必要があり、ICカードを忘れた場合には、充電を行うことができない。また、利用者は、充電の際に、ICカードを財布などから取り出す必要がある。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、充電のための認証を簡易化できる充電装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される充電装置は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、直流電力を出力する直流電源部と、前記電気移動体に接続されて、前記直流電源部が出力する直流電力を当該電気移動体に供給する充電コネクタと、前記充電コネクタに取り付けられており、かつ、前記電気移動体に取り付けられている被読取部に記録されている認証情報を読み取る読取部と、を備えている。
【0008】
なお、「電気移動体」は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する移動体であって、いわゆる電気自動車だけでなく、ハイブリッド車なども含まれる。また、「電気移動体」は、いわゆる自動車だけでなく、二輪車、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体も含まれる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記被読取部は、ICカードであり、前記読取部は、非接触で、前記被読取部から前記認証情報を読み取る。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記被読取部は、前記認証情報を示す読取コードであり、前記読取部は、前記読取コードを読み取る。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記被読取部は、前記電気移動体のプラグインコネクタを覆う開閉蓋の裏に配置されている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記被読取部は、前記電気移動体の内側に、外部から読み取り可能であるように配置されている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記直流電源部が出力する直流電力を前記充電コネクタに供給する充電ケーブルをさらに備え、前記充電ケーブルの長さは、充電対象である前記電気移動体とは異なる第2電気移動体の配置可能な位置までは届かない長さである。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記読取部が読み取った認証情報に基づいて認証を行う認証部をさらに備え、前記認証部は、充電対象である前記電気移動体の前記電動機が停止してから所定時間を超えると、認証を行わない。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記読取部が読み取った認証情報を認証サーバに送信して、認証サーバでの判定結果を受信する認証部をさらに備え、前記認証サーバは、所定時間以内に認証を行った認証情報と同じ認証情報を受信した場合、当該認証情報が正当でないことを示す判定結果を送信する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、認証情報が記録された被読取部が電気移動体に取り付けられており、認証情報を読み取る読取部が充電コネクタに取り付けられている。したがって、利用者は、電気移動体への充電のために充電コネクタを接続する前に、充電コネクタを被読取部の取り付け位置に移動させて、認証情報を読み取ることができる。これにより、利用者は、認証情報を記録したICカードなどを携帯する必要がない。また、利用者は、ICカードなどを財布などから取り出す手間がかからない。したがって、本発明係る充電装置は、充電のための認証を簡易化できる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は第1実施形態に係る充電装置の全体構成を示すブロック図であり、(b)は認証情報の読みとり方法を説明するための簡略図である。
【
図2】第1実施形態に係る充電装置での充電を開始する方法を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図3】第1実施形態に係る充電装置での充電を開始する方法の変形例を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図4】第1実施形態に係る充電装置の充電ケーブルの変形例を説明するための簡略図である。
【
図5】被読取部の配置位置の変形例を示す簡略図である。
【
図6】第2実施形態に係る充電装置の充電コネクタが電気自動車のプラグインコネクタに接続されている状態を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る充電装置A1の全体構成を示すブロック図である。
【0021】
充電装置A1は、施設の駐車場などに配置され、電気自動車9の充電を行うための設備である。電気自動車9は、動力源としての電動機および電動機に電力を供給する蓄電池91を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。充電装置A1は、いわゆる急速充電装置である。充電装置A1は、直流電源部2、通信部3、制御部4、認証部5、電力線2a、通信線3a、充電ケーブル6、および読取部7を備えている。
【0022】
直流電源部2は、制御部4からの指令に応じて、直流電力を出力する構成である。直流電源部2は、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。直流電源部2は、例えば、コンバータおよび平滑回路を備えている。コンバータは、制御部4からの指令に応じて、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換する。平滑回路は、コンバータが出力する直流電力を平滑して出力する。なお、直流電源部2の具体的な構成は限定されず、直流電力を出力できればよい。例えば、直流電源部2は、電力系統から入力される交流電圧を昇圧する変圧器を備えてもよい。
【0023】
通信部3は、電気自動車9との間で通信を行う。通信部3は、充電ケーブル6に配置された通信線3aを介して、充電ケーブル6に接続された電気自動車9と通信を行う。通信部3は、各電気自動車9と、例えばCAN(Controller Area Network)通信の規格に応じて通信を行う。なお、通信規格は限定されない。通信部3は、電気自動車9から、蓄電池91の容量、現在の充電率(SoC:State of Charge)、および要求電力値などの情報を受信する。要求電力値は、電気自動車9が蓄電池91を充電するために、充電装置A1に要求する電力値である。なお、通信部3と各電気自動車9との間で送受信される情報は限定されない。また、通信部3と電気自動車9との通信方法は限定されず、例えば無線通信であってもよい。また、通信部3は、後述する読取部7とも通信を行う。当該通信の方法は限定されない。通信部3と読取部7との通信は、通信線3aを介して行ってもよいし、図示しない他の通信線を介して行ってもよいし、無線通信により行ってもよい。通信部3は、読取部7から認証情報を受信する。なお、通信部3と読取部7との間で送受信される情報は限定されない。
【0024】
充電ケーブル6は、内部に電力線2aおよび通信線3aが配置されており、先端に充電コネクタ61が配置されている。充電ケーブル6は、充電コネクタ61が電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続されることで、電気自動車9と接続される。充電コネクタ61が接続された電気自動車9は、通信線3aおよび充電コネクタ61を介して、通信部3と通信を行う。また、当該電気自動車9は、電力線2aおよび充電コネクタ61を介して、直流電源部2から供給される電力によって、蓄電池91を充電される。
【0025】
充電コネクタ61は、本体61aおよびコネクタ61bを備えている。本体61aは、利用者が把持する部分であって、ハンドルが形成されている。本体61aは、内部に電力線2aおよび通信線3aが配置されている。コネクタ61bは、本体61aの先端部に配置された例えば金属製の筒状部材であり、電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続される部分である。コネクタ61bの内側には、図示しないが、電力線2aに導通する電源端子、および、通信線3aに導通する信号端子などが配置されている。充電コネクタ61は、充電コネクタ61をプラグインコネクタ92にロックする機構、および、取り外すためのボタンなどを備えているが、記載を省略している。なお、充電コネクタ61の構成はこれに限定されない。本実施形態では、充電コネクタ61の本体61aに、読取部7が取り付けられている。
【0026】
読取部7は、認証情報を読み取るための構成であり、充電コネクタ61の本体61aに取り付けられている。読取部7は、被読取部99から認証情報を読み取る。本実施形態では、被読取部99は、ICカードである。読取部7は、ICカードリーダを備えており、被読取部99の図示しない記憶部に記録された認証情報を、非接触で読み取る。具体的には、読取部7は、図示しないコイルから電磁波を出力する。被読取部99は、内蔵された図示しないアンテナコイルが受信した電磁波から電力を供給されて、記憶部に記録された認証情報を送信する。読取部7は、被読取部99から送信された認証情報を受信する。これにより、読取部7は、電磁波が届く距離に位置する被読取部99から、認証情報を読み取ることができる。読取部7は、読み取った認証情報を通信部3に送信する。
【0027】
本実施形態では、被読取部99は、電気自動車9に取り付けられている。電気自動車9は、プラグインコネクタ92を覆う例えば金属製の開閉蓋93を備えている。開閉蓋93は、通常時、プラグインコネクタ92を覆って閉鎖された状態でロックされている。また、開閉蓋93は、充電の際には、利用者の操作によりロックが解除されて開放される。これにより、プラグインコネクタ92が露出し、充電コネクタ61が接続可能になる。本実施形態では、被読取部99は、開閉蓋93の裏側、すなわち、閉鎖時にプラグインコネクタ92に対向する側に取り付けられている。充電を行う際には開閉蓋93が開放されることで、開閉蓋93の裏側に配置された被読取部99が、読み取り可能な状態になる。一方、充電を行うとき以外は、開閉蓋93が閉鎖された状態でロックされているので、被読取部99は、不正な読み取りを防止でき、また、盗難を防止できる。なお、開閉蓋93は、金属製に限定されない。
【0028】
認証部5は、認証処理を行うための構成である。認証部5は、読取部7が読み取った被読取部99の認証情報を、通信回線を介して認証サーバ8に送信する。認証サーバ8は、受信した認証情報が正当なものであるかを判定して、判定結果を認証部5に送信する。認証部5は、受信した判定結果を制御部4に入力する。利用料金が定額制の場合、認証サーバ8は、当該認証情報に基づいて、利用料金の決済処理を行う。利用料金が従量制の場合、認証部5は、充電完了後に利用料金の情報と認証情報とを、通信回線を介して認証サーバ8に送信する。認証サーバ8は、受信した認証情報に基づいて、利用料金の決済処理を行う。
【0029】
制御部4は、充電装置A1の制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部4は、直流電源部2の出力電力を制御する。また、制御部4は、通信部3による通信を制御する。制御部4は、通信部3が受信した情報または信号を取得し、また、通信部3を介して、情報または信号を送信する。制御部4は、通信部3を介して電気自動車9と通信を行うことで、当該電気自動車9の情報を取得する。制御部4は、各種情報に基づいて、直流電源部2の出力電力を制御する。各種情報には、通信により取得した情報、および、図示しない操作部から入力された情報などが含まれている。
【0030】
また、制御部4は、通信部3が受信した認証情報を認証部5に出力して、認証を行う。制御部4は、認証部5から入力される判定結果が、認証情報が正当であることを示す場合、直流電源部2に電力を出力させる。一方、制御部4は、認証部5から入力される判定結果が、認証情報が正当でないことを示す場合、直流電源部2に電力を出力させない。この場合、制御部4は、認証情報が正当でないことを、図示しない表示部に表示したり、音声で案内してもよい。
【0031】
図2は、充電装置A1での充電を開始する方法を説明するためのフローチャートの一例である。
図2(a)は、利用者が行う処理を示すフローチャートであり、
図2(b)は、制御部4が行う充電開始処理を示すフローチャートである。
【0032】
充電装置A1で充電を行う場合、利用者はまず、電気自動車9の所定の操作部を操作して、開閉蓋93のロックを解除し、開閉蓋93を開放させる(S1)。次に、利用者は、
図1(b)に示すように、充電コネクタ61をプラグインコネクタ92に近づけ、読取部7で被読取部99から認証情報を読み取る(S2)。読取部7は、認証情報を読み取った場合、認証情報を通信部3に送信する。制御部4は、通信部3が認証情報を受信するのを待っている(S11)。制御部4は、認証情報を受信した場合(S11:YES)、認証情報の読み取りを完了したことを利用者に知らせるための画面表示および音声案内を行う(S12)。また、制御部4は、利用者に、充電コネクタ61をプラグインコネクタ92に接続することを促すための画面表示および音声案内を行う。
【0033】
利用者は、画面表示に応じて、充電コネクタ61をプラグインコネクタ92に接続する(S3)。制御部4は、充電コネクタ61がプラグインコネクタ92に接続されるのを待っている(S13)。具体的には、制御部4は、通信部3を介して電気自動車9と通信を行い、通信ができた場合は充電コネクタ61がプラグインコネクタ92に接続されたと判断し、通信ができない場合はまだ接続されていないと判断する。制御部4は、充電コネクタ61がプラグインコネクタ92に接続された場合(S13:YES)、認証部5に認証処理を行わせる(S14)。認証部5は、通信回線を介して認証サーバ8に認証情報を送信する。認証サーバ8は、受信した認証情報が正当なものであるかを判定して、判定結果を認証部5に送信する。制御部4は、認証部5から入力される判定結果が、認証情報が正当であることを示す場合(S15:YES)、直流電源部2に電力を出力させて、充電を開始し(S16)、充電開始処理は終了する。
【0034】
一方、認証情報が正当でないことを示す場合(S15:NO)、制御部4は、認証情報が正当でないことを利用者に知らせるための画面表示および音声案内を行って(S17)、充電開始処理はステップS11に戻る。利用者は、認証情報が正当でないことを示す画面表示を見た場合(S4:YES)、再度、読取部7で認証情報の読み取りを試たり(S2)、被読取部99の使用期限などの確認を行う。なお、
図2の各フローチャートに示す処理は一例であって、充電装置A1での充電を開始する方法は上述したものに限定されない。例えば、接続完了の確認(S13)の前に認証処理(S13)を行ってもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係る充電装置A1の作用および効果について説明する。
【0036】
本実施形態によると、認証情報が記録された被読取部99が電気自動車9に取り付けられており、認証情報を読み取る読取部7が充電コネクタ61に取り付けられている。したがって、利用者は、電気自動車9への充電のために、充電コネクタ61をプラグインコネクタ92に接続する前に、充電コネクタ61を被読取部99の取り付け位置に移動させて、認証情報を読み取ることができる。これにより、利用者は、認証情報を記録したICカードなどを携帯する必要がない。また、利用者は、ICカードなどを財布などから取り出す手間がかからない。したがって、充電装置A1は、充電のための認証を簡易化できる。
【0037】
また、本実施形態によると、被読取部99は、開閉蓋93の裏側に取り付けられている。開閉蓋93は、通常時、プラグインコネクタ92を覆って閉鎖された状態でロックされており、充電の際にロックが解除されて開放される。したがって、被読取部99は、充電を行う際にはプラグインコネクタ92とともに露出されるが、充電を行うとき以外は開閉蓋93に覆われて、不正な読み取りおよび盗難を防止できる。
【0038】
また、本実施形態によると、被読取部99がICカードであり、読取部7は、被読取部99から非接触で認証情報を読み取る。したがって、利用者は、読取部7を被読取部99にかざすだけで、認証情報を読み取ることができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、充電装置A1は、認証情報の判定だけで充電を開始する場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、隣で充電中の電気自動車9の被読取部99を読み取る不正を防止するための措置を講じてもよい。例えば、充電装置A1は、
図3に示すように、認証情報の読み取りだけでなく、認証情報に対応付けられた暗証番号の入力をさせて(S18)、認証処理(S14)では、認証情報と暗証番号とを認証サーバ8に送信して判定させてもよい。また、充電装置A1は、ワンタイムパスワードを発行して、または、認証サーバが発行して送信したワンタイムパスワードを表示して、利用者に入力させてもよい。ワンタイムパスワードは一度きりのパスワードなので、通常のパスワードのように盗まれて悪用されることがない。また、充電装置A1は、
図4に示すように、充電ケーブル6の長さが、充電対象である電気自動車9とは異なる電気自動車9の駐車可能な位置までは届かない長さに調整されてもよい。また、充電装置A1は、認証部5が、充電対象である電気自動車9の電動機が停止してから所定時間を超えると認証を行わない、すなわち、認証部5の認証処理が電動機の停止から所定時間以内に限定されてもよい。なお、電動機の停止情報は、通信部3が通信線3aを介して、電気自動車9から取得すればよい。また、認証サーバ8は、所定時間以内に認証を行った認証情報と同じ認証情報を受信した場合、当該認証情報が正当でないことを示す判定結果を送信する仕様としてもよい。この場合、充電にかかる時間を目安として所定時間に設定すれば、充電中の電気自動車9の被読取部99から認証情報を不正に読み取ったとしても、認証が認められることを防止できる。
【0040】
また、本実施形態においては、被読取部99が開閉蓋93の裏側に取り付けられている場合について説明したが、これに限られない。被読取部99は、
図5に示すように、プラグインコネクタ92に隣接し、開閉蓋93の閉鎖時に、開閉蓋93に覆われる位置に取り付けられてもよい。この場合も、被読取部99は、不正な読み取りおよび盗難を防止できる。また、被読取部99は、例えば電気自動車9の車体のプラグインコネクタ92に近い位置、または、ナンバープレートなどに取り付けられてもよい。ただし、この場合は、不正な読み取りを防止するために、上述した不正を防止するための措置を講じる必要がある。また、被読取部99は、盗難防止のために、容易に取り外せないように取り付ける必要がある。また、盗難防止の観点から、被読取部99は、電気自動車9の外側ではなく、内側に取り付けられてもよい。この場合、被読取部99は、読取部7での読み取りを容易にするために、例えばフロントガラスの内側などの所定の位置に、電気自動車9の外部から読み取り可能であるように取り付けるのが望ましい。なお、被読取部99は、電気自動車9の外部から読み取りできない位置に配置されてもよい。ただし、この場合、利用者は、電気自動車9の内部で、充電コネクタ61を被読取部99に近づけて、読取部7で読み取る必要がある。
【0041】
また、本実施形態においては、被読取部99がICカードであり、読取部7がICカードリーダを備えている場合について説明したが、これに限られない。例えば、被読取部99は、ICタグ(RFIDタグ)であってもよい。また、被読取部99は、認証情報を示す二次元コードまたはバーコードなどの読取コードであってもよい。この場合、読取部7は、当該読取コードを読み取るためのスキャナを備えればよい。具体的には、読取部7は、光を照射し、読取コードに反射した光を受光素子で受光して、認証情報を読み取る。被読取部99(読取コード)は、シールなどに印刷して貼り付けることで取り付けることができるし、取り付け位置に直接印刷してもよい。したがって、被読取部99のコストを抑制可能である。また、被読取部99がナンバープレートであり、読取部7がナンバープレートを撮像するためのカメラを備えてもよい。この場合、読取部7は、撮像されたナンバープレートの画像からナンバーを読み取って、読み取ったナンバーを認証情報として送信する。認証サーバ8は、認証情報が登録されたナンバーであるか否かを判定する。以上のように、被読取部99が認証情報を記録された媒体であり、読取部7が当該被読取部99から認証情報を読み取ることができれば、被読取部99よび読取部7の各構成は限定されない。したがって、読取部7が被読取部99に接触することで認証情報を読み取る構成であってもよく、非接触に限定されるものではない。
【0042】
また、本実施形態においては、充電装置A1がいわゆる急速充電装置である場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、いわゆる普通充電装置であってもよい。
【0043】
また、本実施形態においては、充電装置A1が電気自動車9を充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、電気自動車9以外の移動体を充電してもよい。この移動体の他の例として、例えば二輪車(電動オートバイ、電動アシスト自転車)、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体などが考えられる。
【0044】
〔第2実施形態〕
図6は、第2実施形態に係る充電装置A2の充電コネクタ61が電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続されている状態を示す簡略図である。なお、
図6においては、充電装置A2の充電コネクタ61、充電ケーブル6、および読取部7のみを記載し、その他の部分の記載を省略している。また、
図6において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。
【0045】
第2実施形態に係る充電装置A2は、充電コネクタ61をプラグインコネクタ92に接続したときに、読取部7の読取領域、具体的には読取部7が発する電磁波を受信できる領域に被読取部99が位置するように、読取部7の配置位置が調整されている。
【0046】
本実施形態によると、利用者が充電コネクタ61をプラグインコネクタ92に接続することで、同時に、読取部7が被読取部99から認証情報を読み取ることができる。これにより、利用者は認証情報を記録したICカードなどを携帯する必要がなく、また、ICカードなどを財布などから取り出す手間がかからない。したがって、充電装置A2は、充電のための認証を簡易化できる。また、充電装置A2は、充電装置A1と共通する構成により、充電装置A1と同等の効果を奏する。さらに、充電コネクタ61を接続する前に読取部7を被読取部99にかざす必要がないので、充電装置A2は、充電のための認証を、充電装置A1よりさらに簡易化できる。
【0047】
本発明に係る充電装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0048】
A1~A2:充電装置、2:直流電源部、6:充電ケーブル、61:充電コネクタ、7:読取部、9:電気自動車、91:蓄電池、92:プラグインコネクタ、93:開閉蓋、99:被読取部