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特開2024-38719コジェネレーション設備並びにその制御方法及び改造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038719
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】コジェネレーション設備並びにその制御方法及び改造方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/30 20060101AFI20240313BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20240313BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20240313BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
F02C3/30 C
F02G5/04 H
F02C6/18 A
F23R3/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142954
(22)【出願日】2022-09-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】麻尾 孝志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正平
(72)【発明者】
【氏名】秋山 陵
(57)【要約】
【課題】圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を拡大することが可能なコジェネレーション設備を提供する。
【解決手段】コジェネレーション設備であって、排熱回収ボイラで生成された蒸気をガスタービンにおける圧縮機の出口部から燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、排熱回収ボイラで生成された蒸気をタービンにおける入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、排熱回収ボイラで生成された蒸気をタービンにおける入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を備える、コジェネレーション設備。
【請求項2】
前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御する、請求項1に記載のコジェネレーション設備。
【請求項3】
前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記発電機の出力を増加させる増出力指令を受けた場合において、前記圧縮機の圧力比が閾値以下である場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を大きくし、前記圧縮機の圧力比が前記閾値より大きい場合に前記第3流量調節弁の開度を大きくするように構成された、請求項1に記載のコジェネレーション設備。
【請求項4】
前記制御装置は、前記増出力指令を受けた場合おいて、前記圧縮機の圧力比が閾値以下である場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を大きくし、前記圧縮機の圧力比が前記閾値より大きい場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を小さくするとともに前記第3流量調節弁の開度を大きくするように構成された、請求項3に記載のコジェネレーション設備。
【請求項5】
前記閾値は、前記発電機の出力が増加するにつれて大きくなる、請求項2乃至4の何れか1項に記載のコジェネレーション設備。
【請求項6】
前記タービンは、
前記圧縮機に連結され、前記燃焼器で発生した燃焼ガスが流入する高圧タービンと、
前記発電機に連結され、前記高圧タービンを通過した燃焼ガスが流入する低圧タービンと、
を含み、
前記第2蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記高圧タービンの入口部に供給するように構成され、
前記第3蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記低圧タービンの入口部に供給するように構成された、請求項1に記載のコジェネレーション設備。
【請求項7】
前記圧縮機と前記タービンとは1つの連結軸で連結されて一体的に回転するように構成された、請求項1に記載のコジェネレーション設備。
【請求項8】
前記第3蒸気配管は、前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の中間段の位置に接続し、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記中間段に供給するように構成され、
前記コジェネレーション設備は、
前記タービンにおける前記第2蒸気配管が接続する位置よりも下流側の下流段の位置に接続し、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記下流段に供給するように構成された下流段側蒸気配管を更に備える、請求項7に記載のコジェネレーション設備。
【請求項9】
コジェネレーション設備の制御方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を備え、
前記制御方法は、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合に、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量の合計が前記閾値以下となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
を備える、コジェネレーション設備の制御方法。
【請求項10】
コジェネレーション設備の改造方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備える、コジェネレーション設備の改造方法。
【請求項11】
コジェネレーション設備の改造方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備える、コジェネレーション設備の改造方法。
【請求項12】
コジェネレーション設備の改造方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備える、コジェネレーション設備の改造方法。
【請求項13】
前記タービンは、
前記圧縮機に連結され、前記燃焼器で発生した燃焼ガスが流入する高圧タービンと、
前記発電機に連結され、前記高圧タービンを通過した燃焼ガスが流入する低圧タービンと、
を含み、
前記第2蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記高圧タービンの入口部に供給するように構成され、
前記コジェネレーション設備に対して前記第3蒸気配管を追設するステップでは、前記第3蒸気配管を前記低圧タービンの入口部に接続する、請求項10乃至12の何れか1項に記載のコジェネレーション設備の改造方法。
【請求項14】
前記圧縮機と前記タービンとは1つの連結軸で連結されて一体的に回転するように構成される、請求項10乃至12の何れか1項に記載のコジェネレーション設備の改造方法。
【請求項15】
前記コジェネレーション設備に対して前記第3蒸気配管を追設するステップでは、前記第3蒸気配管を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の中間段の位置に接続し、
前記改造方法は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を供給するための蒸気配管を、前記タービンにおける前記第3蒸気配管が接続する位置よりも下流側の位置に接続するステップを更に備える、請求項14に記載のコジェネレーション設備の改造方法。
【請求項16】
前記コジェネレーション設備は、前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記改造方法は、前記制御装置を改造するステップを備え、
前記制御装置を改造するステップは、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように、前記制御装置の制御プログラムを修正するステップを備える、請求項10乃至12の何れか1項に記載のコジェネレーション設備の改造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コジェネレーション設備並びにその制御方法及び改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスタービンと排熱回収ボイラとを備えるコジェネレーション設備において、ガスタービンの排ガスを用いて排熱回収ボイラで蒸気を生成し、生成された蒸気の一部をガスタービンの燃焼器又はタービンの入口に噴射することにより、余剰蒸気を有効に活用して総合効率を向上しうることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-106168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガスタービンと排熱回収ボイラとを備えるコジェネレーション設備において、排熱回収ボイラで生成された蒸気の一部をガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に供給する場合、タービンの出力増加に寄与し得る一方で、供給された蒸気によって圧縮機の背圧が上昇するため、圧縮機にサージ(逆流)が発生してコジェネレーション設備の熱電可変範囲を拡大することが困難になる場合がある。特許文献1には、このような課題及びその解決策は開示されていない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を拡大することが可能なコジェネレーション設備並びにその制御方法及び改造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備の制御方法において、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を備え、
前記制御方法は、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合に、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量の合計が前記閾値以下となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
を備える。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備の改造方法において、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備える。
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備の改造方法において、
コジェネレーション設備の改造方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備える。
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備の改造方法において、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を拡大することが可能なコジェネレーション設備並びにその制御方法及び改造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係るコジェネレーション設備100Aの概略構成図である。
図2図1に示した制御装置90のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】圧縮機1の運転特性曲線を示す図である。
図4】コジェネレーション設備100Aにおける発電機6の出力に対する各噴射点の蒸気噴射流量特性を示す図である。
図5】コジェネレーション設備100Aにおける熱電可変範囲の拡大を説明するための図である。
図6図2に示した制御装置90の制御フローの一例の一部を示す図である。
図7図6に示した制御フローの続きの一部を示す図である。
図8図7に示した制御フローの続きを示す図である。
図9】他の実施形態に係るコジェネレーション設備100Bの概略構成図である。
図10図9に示した制御装置90のハードウェア構成の一例を示す図である。
図11】コジェネレーション設備100Bにおける発電機6の出力に対する各噴射点の蒸気噴射流量特性を示す図である。
図12図10に示した制御装置90の制御フローの一例の一部を示す図である。
図13図12に示した制御フローの続きの一部を示す図である。
図14図13に示した制御フローの続きの一部を示す図である。
図15図14に示した制御フローの続きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0014】
図1は、一実施形態に係るコジェネレーション設備100Aの概略構成図である。
図1に示す例示的形態では、コジェネレーション設備100Aは、ガスタービン5、発電機6、排熱回収ボイラ15、蒸気配管20、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c及び制御装置90を備える。
【0015】
ガスタービン5は、圧縮機1、燃焼器3及びタービン2を含む。図示する構成では、ガスタービン5は2軸型のガスタービンであり、タービン2は、高圧タービン2a(ガスジェネレータ)及び低圧タービン2b(パワータービン)を含む。圧縮機1と高圧タービン2aとは連結軸40で連結されて一体的に回転するように構成される。低圧タービン2bと発電機6とは連結軸41を介して連結されており、発電機6は低圧タービン2bに駆動されて発電を行う。
【0016】
圧縮機1は、空気7(大気)を圧縮して圧縮空気8を生成し、圧縮空気8を燃焼器3に供給する。図示する例示的形態では、コジェネレーション設備100Aは、圧縮機1の吸込流量を調節するために圧縮機1の入口に設けられた入口案内翼42(以下、入口案内翼をIGVという。)と、IGV42を駆動するためのIGV駆動装置43と、IGV42の開度を計測するためのIGV開度計測装置44と、ガスタービン5を起動するための起動装置4とを含む。
【0017】
IGV42を通った空気は、圧縮機1で圧縮されて圧縮空気8となり、燃焼器3に供給される。燃焼器3は、圧縮機1から供給された圧縮空気8を燃料ライン33から供給された燃料と混合して燃焼することで燃焼ガスを生成する。図示するコジェネレーション設備100Aでは、燃焼器3は例えば拡散燃焼方式の燃焼器であってもよい。燃料ライン33は、燃料供給系統設備9と燃焼器3とを接続しており、燃料ライン33には、燃焼器3へ供給する燃料の流量を調節可能な燃料流量調節弁10が設けられている。
【0018】
燃焼器3で生成された燃焼ガスは、高圧タービン2aに流入して高圧タービン2aを駆動し、これにより、高圧タービン2aに連結された圧縮機1が駆動される。高圧タービン2aを通過した燃焼ガスは、低圧タービン2bに流入して低圧タービン2bを駆動し、これにより、低圧タービン2bに連結された発電機6が電力を生成する。低圧タービン2bを通過した燃焼ガスは、ガスタービン5の排ガス14として排熱回収ボイラ15に供給される。
【0019】
排熱回収ボイラ15は、ボイラ給水19をガスタービン5の排ガス14との熱交換により蒸発させて蒸気を生成する。図示する構成では、コジェネレーション設備100Aは、補給水16を貯める補給水タンク17及びボイラ給水ポンプ18を備えており、補給水タンク17を出た水がボイラ給水ポンプ18によって昇圧されてボイラ給水19として排熱回収ボイラ15に供給される。排熱回収ボイラ15を通過したガスタービン5の排ガス28は、排気塔29から排出される。
【0020】
排熱回収ボイラ15における蒸気の出口には蒸気配管20が接続されており、蒸気配管20は分岐位置P0でプロセス装置側蒸気配管21とガスタービン側蒸気配管24とに分岐する。プロセス装置側蒸気配管21は、排熱回収ボイラ15で生成された蒸気をプロセス用蒸気としてプロセス装置23へ供給可能に構成されている。プロセス装置側蒸気配管21におけるプロセス装置23の上流側には、プロセス装置23へ供給するプロセス用蒸気の流量を調節可能なプロセス用蒸気流量調節弁22が設けられている。
【0021】
ガスタービン側蒸気配管24は、燃焼器側蒸気配管24aと高圧タービン入口側蒸気配管24bと低圧タービン入口側蒸気配管24cとに分岐する。図示する例示的形態では、燃焼器側蒸気配管24aは、分岐位置Paでガスタービン側蒸気配管24から分岐しており、高圧タービン入口側蒸気配管24bと低圧タービン入口側蒸気配管24cとは、分岐位置Paよりも下流側の分岐位置Pbで分岐している。
【0022】
燃焼器側蒸気配管24aの下流端は、ガスタービン5における圧縮機1の出口部と燃焼器3との間に位置する燃焼器ヘッドエンドEaに接続し、燃焼器ヘッドエンドEaに蒸気を噴射可能に構成されている。また、高圧タービン入口側蒸気配管24bの下流端は、高圧タービン2aの入口部である高圧タービン入口部Ebに接続し、高圧タービン入口部Eb(例えば高圧タービン2aの第1段の静翼)に蒸気を噴射可能に構成されている。また、低圧タービン入口側蒸気配管24cの下流端は、低圧タービン2bの入口部である低圧タービン入口部Ecに接続し、低圧タービン入口部Ec(例えば低圧タービン2bの第1段の静翼)に蒸気を噴射可能に構成されている。
【0023】
ガスタービン側蒸気配管24における分岐位置Paよりも上流側には、蒸気噴射用減温器25が設けられている。蒸気噴射用減温器25には、減温水供給ライン30が接続されている。蒸気噴射用減温器25は、ガスタービン側蒸気配管24を流れる蒸気に減温水供給ライン30から供給された水を噴射して該蒸気の温度を減温させるように構成されている。減温水供給ライン30には、蒸気噴射用減温器25に供給する水の流量を調節するための減温水流量調節弁25aが設けられている。
【0024】
燃焼器側蒸気配管24aには、燃焼器側蒸気配管24aから燃焼器ヘッドエンドEaへの蒸気の噴射量である燃焼器側蒸気噴射量(燃焼器側蒸気配管24aにおける蒸気の流量)を調節するための燃焼器側蒸気流量調節弁27aが設けられている。高圧タービン入口側蒸気配管24bには、高圧タービン入口側蒸気配管24bから高圧タービン入口部Ebへの蒸気の噴射量である高圧タービン入口側蒸気噴射量(高圧タービン入口側蒸気配管24bにおける蒸気の流量)を調節するための高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bが設けられている。低圧タービン入口側蒸気配管24cには、低圧タービン入口側蒸気配管24cから低圧タービン入口部Ecへの蒸気の噴射量である低圧タービン入口側蒸気噴射量(低圧タービン入口側蒸気配管24cにおける蒸気の流量)を調節するための低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cが設けられている。
【0025】
また、図1に示す例示的形態では、コジェネレーション設備100Aは、圧縮機回転数検出器45、発電機出力検出器46、圧縮機入口空気圧力検出器50、圧縮機入口空気温度検出器51、圧縮機入口空気流量検出器52、圧縮機出口圧力検出器53、ガスタービン出口排ガス温度検出器54、燃料圧力検出器60、燃料温度検出器61、燃料流量検出器62、ボイラ出口蒸気圧力検出器70、ボイラ出口蒸気温度検出器71、プロセス用蒸気流量検出器72、減温後蒸気温度検出器73、減温後蒸気圧力検出器74、燃焼器側蒸気流量検出器75、高圧タービン入口側蒸気流量検出器76、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77、燃焼器側弁開度検出器78、高圧タービン入口側弁開度検出器79、低圧タービン入口側弁開度検出器80及びNOx濃度検出器81を備える。
【0026】
圧縮機回転数検出器45は、圧縮機1の回転数すなわち高圧タービン2aの回転数を検出する。発電機出力検出器46は、発電機6の出力を検出する。圧縮機入口空気圧力検出器50は、圧縮機1の入口における空気の圧力を検出する。圧縮機入口空気温度検出器51は、圧縮機1の入口における空気の温度を検出する。圧縮機入口空気流量検出器52は、圧縮機1の入口における空気の流量を検出する。圧縮機出口圧力検出器53は、圧縮機1の出口の空気の圧力を検出する。
【0027】
ガスタービン出口排ガス温度検出器54は、ガスタービン5の出口における排ガスの温度を検出する。図示する例では、ガスタービン出口排ガス温度検出器54は、低圧タービン2bの出口と排熱回収ボイラ15との間の位置におけるガスタービン5の排ガスの温度を検出する。
【0028】
燃料圧力検出器60は、燃料ライン33の燃料の圧力すなわち燃焼器3に供給する燃料の圧力を検出する。燃料温度検出器61は、燃料ライン33の燃料の温度力すなわち燃焼器3に供給する燃料の温度を検出する。燃料流量検出器62は、燃料ライン33の燃料の流量すなわち燃焼器3に供給する燃料の流量を検出する。
【0029】
ボイラ出口蒸気圧力検出器70は、排熱回収ボイラ15の出口における蒸気の圧力を検出する。ボイラ出口蒸気温度検出器71は、排熱回収ボイラ15の出口における蒸気の温度を検出する。プロセス用蒸気流量検出器72は、プロセス装置側蒸気配管21のプロセス蒸気の流量を検出する。
【0030】
減温後蒸気温度検出器73は、ガスタービン側蒸気配管24における蒸気噴射用減温器25の下流側の蒸気の温度を検出する。図示する例では、減温後蒸気温度検出器73は、ガスタービン側蒸気配管24における蒸気噴射用減温器25と分岐位置Paとの間の位置の蒸気の温度を検出する。
【0031】
減温後蒸気圧力検出器74は、ガスタービン側蒸気配管24における蒸気噴射用減温器25の下流側の蒸気の圧力を検出する。図示する例では、減温後蒸気圧力検出器74は、ガスタービン側蒸気配管24における蒸気噴射用減温器25と分岐位置Paとの間の位置の蒸気の圧力を検出する。
【0032】
燃焼器側蒸気流量検出器75は、燃焼器側蒸気配管24aにおける蒸気の流量すなわち燃焼器側蒸気噴射量を検出する。高圧タービン入口側蒸気流量検出器76は、高圧タービン入口側蒸気配管24bにおける蒸気の流量すなわち高圧タービン入口側蒸気噴射量を検出する。低圧タービン入口側蒸気流量検出器77は、低圧タービン入口側蒸気配管24cにおける蒸気の流量すなわち低圧タービン入口側蒸気噴射量を検出する。
【0033】
燃焼器側弁開度検出器78は、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの弁開度を検出する。高圧タービン入口側弁開度検出器79は、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの弁開度を検出する。低圧タービン入口側弁開度検出器80は、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの弁開度を検出する。
【0034】
NOx濃度検出器81は、ガスタービン5の排ガスにおけるNOxの濃度(以下、NOxの濃度を「NOx値」という。)を検出する。図示する例では、NOx濃度検出器81は、ガスタービン5の出口における排ガスのNOx値を検出する。
【0035】
図2は、図1に示した制御装置90のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、制御装置90は、例えばプロセッサ91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、HDD (Hard Disk Drive)94、入力I/F95、及び出力I/F96を含み、これらがバス97を介して互いに接続されたコンピュータを用いて構成される。なお、制御装置90のハードウェア構成は上記に限定されず、制御回路と記憶装置との組み合わせにより構成されてもよい。また制御装置90は、制御装置90の各機能を実現するプログラムをコンピュータが実行することにより構成される。以下で説明する制御装置90における各部の機能は、例えばROM93に保持されるプログラムをRAM92にロードしてプロセッサ91で実行するとともに、RAM92やROM93におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。制御装置90を構成するハードウェアは、1つの場所に集約されていてもよいし、複数の場所に分散して設けられていてもよい。
【0036】
図2に示す制御装置90は、後に一部詳述するように、IGV開度計測装置44、圧縮機回転数検出器45、発電機出力検出器46、圧縮機入口空気圧力検出器50、圧縮機入口空気温度検出器51、圧縮機入口空気流量検出器52、圧縮機出口圧力検出器53、ガスタービン出口排ガス温度検出器54、燃料圧力検出器60、燃料温度検出器61、燃料流量検出器62、ボイラ出口蒸気圧力検出器70、ボイラ出口蒸気温度検出器71、プロセス用蒸気流量検出器72、減温後蒸気温度検出器73、減温後蒸気圧力検出器74、燃焼器側蒸気流量検出器75、高圧タービン入口側蒸気流量検出器76、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77、燃焼器側弁開度検出器78、高圧タービン入口側弁開度検出器79、低圧タービン入口側弁開度検出器80及びNOx濃度検出器81からそれぞれ入力された各検出信号(計測信号)に基づいて、燃料流量調節弁10、プロセス用蒸気流量調節弁22、減温水流量調節弁25a、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度並びにIGV駆動装置43を制御する。
【0037】
幾つかの実施形態では、上記制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが圧縮機1のサージ限界に基づいて設定された閾値Fth以下である場合に、低圧タービン入口側蒸気配管24cの蒸気の流量が0又は燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量と高圧タービン入口側蒸気配管24bの蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を制御してもよい。低圧タービン入口側蒸気配管24cの蒸気の流量は0または実質的に0となるように各々の開度を制御することが望ましい。ここで蒸気の流量が実質的に0とは、蒸気配管24cに蒸気を流しても低圧タービン2bに駆動される発電機6の出力をより増加させる効果をなしえない程度の小さい蒸気の流量を意味する。また、当該実施形態では、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが閾値Fthよりも大きい場合に、燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量と高圧タービン入口側蒸気配管24bの蒸気の流量との合計が閾値Fth以下となるように燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を制御してもよい。
【0038】
ここで、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttは、図1に示す構成では、燃焼器側蒸気配管24aから燃焼器ヘッドエンドEaに供給される蒸気の流量と高圧タービン入口側蒸気配管24bから高圧タービン入口部Ebに供給される蒸気の流量と低圧タービン入口側蒸気配管24cから低圧タービン入口部Ecに供給される蒸気の流量との合計、すなわち、燃焼器側蒸気流量検出器75によって検出される蒸気の流量と高圧タービン入口側蒸気流量検出器76によって検出される蒸気の流量と低圧タービン入口側蒸気流量検出器77によって検出される蒸気の流量との合計である。また、閾値Fthは、圧縮機1の圧力比が圧縮機1のサージ限界を示すサージライン(図3参照)を超えないように所定のマージンを考慮して設定された閾値であり、図4に示すように、発電機6の出力が増加するにつれて閾値Fthは増加する。
【0039】
図4は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttに占める燃焼器側蒸気噴射量と高圧タービン入口側蒸気噴射量と低圧タービン入口側蒸気噴射量との関係の一例を説明するための図である。
【0040】
図4において、例えば発電機6の出力と、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttとの組み合わせが燃焼器側蒸気噴射領域内の点Q1に位置する場合(総流量Fttが燃焼器側蒸気噴射量の上限値Fa以下である場合)には、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttの全量又は実質的に全量が燃焼器側蒸気配管24aから供給されるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を制御する。なおNOx低減を目的として燃焼器側蒸気配管24aからの蒸気噴射量には適正な範囲があり、それに対応して燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度の可変範囲が決められる。この場合、例えば高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度をそれぞれ対応する最小の開度Ab,Acに制御してもよい。なお、開度Abは、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度の可変範囲における最小の開度であり、例えば0すなわち高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの全閉状態を示す開度であってもよいし、例えば10%以下の開度であってもよい。また、最小の開度Acは、例えば0すなわち低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの全閉状態を示す開度であってもよいし、例えば10%以下の開度であってもよい。
【0041】
また、図4において、例えば発電機6の出力と、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttとの組み合わせが高圧タービン入口側噴射領域内の点Q2に位置する場合(総流量Fttが上記閾値Fth以下である場合、すなわち、総流量Fttが燃焼器側蒸気噴射量の上限値Faと高圧タービン入口側蒸気噴射量の上限値Fbの合計以下である場合)には、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttの全量又は実質的に全量が燃焼器側蒸気配管24a及び高圧タービン入口側蒸気配管24bから供給されるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を制御する。この場合、例えば低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度を上記最小の開度Acに制御してもよい。また、燃焼器側蒸気噴射量を上限値Faに制御し、高圧タービン入口側蒸気噴射量を総流量Fttから上限値Faを減じた量に制御してもよい。
【0042】
また、図4において、例えば発電機6の出力と、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttとの組み合わせが低圧タービン入口側蒸気噴射領域内の点Q3に位置する場合(総流量Fttが上記閾値Fthと低圧タービン入口側蒸気噴射量の上限値Fcとの合計以下である場合、すなわち、総流量Fttが燃焼器側蒸気噴射量の上限値Faと高圧タービン入口側蒸気噴射量の上限値Fbと低圧タービン入口側蒸気噴射量の上限値Fcとの合計以下である場合)には、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttの全量が燃焼器側蒸気配管24a、高圧タービン入口側蒸気配管24b及び低圧タービン入口側蒸気配管24cから供給されるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を制御する。より詳細には、燃焼器側蒸気噴射量を燃焼器側蒸気噴射量の上限値Faに制御し、高圧タービン入口側蒸気噴射量を高圧タービン入口側蒸気噴射量の上限値Fbに制御し、低圧タービン入口側蒸気噴射量を総流量Fttから上限値Faと上限値Fbとを減じた量に制御してもよい。
【0043】
このように、上記制御装置90によれば、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが閾値Fth以下である場合には、圧縮機1の圧力比がサージ限界を超えない範囲で総流量Fttの全部又は実質的に全部を燃焼器ヘッドエンドEa及び高圧タービン入口部Ebに供給する。また、総流量Fttが閾値Fthよりも大きい場合には、圧縮機1の圧力比がサージ限界を超えない範囲で燃焼器ヘッドエンドEa及び高圧タービン入口部Ebに蒸気を最大限供給する(すなわち燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量と高圧タービン入口側蒸気配管24bの蒸気の流量との合計が閾値Fthとなるように供給する)とともに、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度を最小の開度Acよりも大きくして残りの蒸気の流量(FttからFthを減じた流量)を低圧タービン入口部Ecに供給する。これにより、圧縮機1のサージの発生を抑制しつつ低圧タービン2bに駆動される発電機6の出力を増加させて、コジェネレーション設備100Aの熱電可変範囲を拡大することができる。例えば図5に示すように、従来は、プロセス装置側蒸気配管21からプロセス装置23へ供給可能なプロセス蒸気量と発電機6によって発電可能な電力である発電端出力との組み合わせは、X領域内で運用可能であったのに対し、コジェネレーション設備100Aでは、Y領域まで拡大することが可能となる。
【0044】
幾つかの実施形態では、発電機6の出力を増加させる指令である増出力指令(以下、単に増出力指令という。)を制御装置90が受けた場合において、制御装置90は、圧縮機1の圧力比が圧縮機1のサージ限界に基づいて設定された閾値Rth以下である場合に、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度及び高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度のうち少なくとも一方を大きくしてもよい。また、当該実施形態では、制御装置90は、増出力指令を受けた場合において、圧縮機1の圧力比が閾値Rthより大きい場合に、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度及び高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度のうち少なくとも一方を小さくするとともに低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度を大きくしてもよい。
【0045】
これにより、増出力指令に応じて発電機6の出力を増加させつつ、圧縮機1のサージの発生を抑制することができる。なお、図3に示すように、閾値Rthは、圧縮機1のサージ限界を示すサージラインに対して所定のマージンを考慮して設定された閾値であり、圧縮機1の流量(修正流量)が増加するにつれて閾値Rthは増加する。また、「燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度及び高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度のうち少なくとも一方」とは、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度のみであってもよいし、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度のみであってもよいし、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度と高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度の両方であってもよい。また、制御装置90は、圧縮機出口圧力検出器53によって検出した圧縮機1の出口の空気の圧力を圧縮機入口空気圧力検出器50によって検出した圧縮機1の入口の空気の圧力で除することで算出した圧縮機1の圧力比を閾値Rthと比較してもよい。
【0046】
図6は、図2に示した制御装置90の制御フローの一例の一部を示す図である。図7は、図6に示した制御フローの続きの一部を示す図である。図8は、図7に示した制御フローの続きを示す図である。
【0047】
図6に示すように、S101において、制御装置90が増出力指令を受けると、S102において、制御装置90は、増出力指令に基づく発電機6の増出力目標値(以下、単に増出力目標値という。)に応じて、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度を拡大させる量である燃焼器側開度拡大量、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度を拡大させる量である高圧タービン入口側開度拡大量、及び、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度を拡大させる量である低圧タービン入口側開度拡大量を設定する。
【0048】
S103において、制御装置90は、増出力目標値に応じて圧縮機1の回転数の上昇量を設定する。また、S104において、制御装置90は、増出力目標値に応じてIGV42の開度を増加させるためのIGV開度指令をIGV駆動装置43に出力してIGV42の開度を制御する。
【0049】
S105において、S103で設定した圧縮機1の回転数の上昇量に到達したことを圧縮機回転数検出器45の検出結果に基づいて制御装置90が検知すると、S106において、制御装置90は、ガスタービンの排ガスのNOxの濃度の目標値である目標NOx値に基づいて、燃焼器側蒸気噴射量を設定する。
【0050】
S107において、制御装置90は、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cに対して、それぞれ、S102で設定した燃焼器側開度拡大量、高圧タービン入口側開度拡大量及び低圧タービン入口側開度拡大量を含む蒸気噴射指令を送って各弁27a~27cを制御し、S106で設定した燃焼器側蒸気噴射量を実現するように燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度を調節する。
【0051】
S108において、制御装置90は、NOx濃度検出器81によって検出したガスタービン5の排ガスのNOx値が目標NOx値以下であるか否かを判定する。S108において、NOx濃度検出器81によって検出したガスタービン5の排ガスのNOx値が目標NOx値以下でないと制御装置90が判定した場合には、S106に戻って、制御装置90は、燃焼器側蒸気噴射量を増加させるように燃焼器側蒸気噴射量を再設定し、S107で燃焼器側蒸気流量調節弁27の開度を大きくする。
【0052】
S108において、NOx濃度検出器81によって計測したガスタービン5の排ガスのNOx値が目標NOx値以下であると制御装置90が判定した場合には、S109において、制御装置90は、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度をS107で調節した開度に決定する。以降のステップでは、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度はS109で決定した開度に制御される。
【0053】
図7に示すように、S110において、制御装置90は、増出力目標値に基づいて高圧タービン入口側蒸気噴射量を設定する。
【0054】
S111において、制御装置90は、S110で設定した高圧タービン入口側蒸気噴射量を実現するように、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bに蒸気噴射指令を送って高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度を調節する。
【0055】
S112において、制御装置90は、圧縮機出口圧力検出器53によって検出した圧縮機1の出口の空気の圧力を圧縮機入口空気圧力検出器50によって検出した圧縮機1の入口の空気の圧力で除することで、圧縮機1の圧力比を検知する。
【0056】
S113において、制御装置90は、S112で検知した圧縮機1の圧力比が上述の閾値Rth以下であるか否かを判定する。S113において、S112で検知した圧縮機1の圧力比が閾値Rth以下でないと制御装置90が判定した場合には、S110に戻って、制御装置90は、高圧タービン入口側蒸気噴射量を減少させるように高圧タービン入口側蒸気噴射量を再設定し、S111で高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度を小さくする。
【0057】
S113において、S112で検知した圧縮機1の圧力比が閾値Rth以下であると制御装置90が判定した場合には、S114において、制御装置90は、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度をS111で調節した開度に決定する。以降のステップでは、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27bの開度はS114で決定した開度に制御される。
【0058】
図8に示すように、S115において、制御装置90は、発電機出力検出器46の検出結果に基づいて発電機6の増出力を検知する。S116において、制御装置90は、増出力目標値に基づいて、低圧タービン入口側蒸気噴射量を設定する。
【0059】
S117において、制御装置90は、S114で設定した低圧タービン入口側蒸気噴射量を実現するように、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cに蒸気噴射指令を送って低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度を調節する。
【0060】
S118において、制御装置90は、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が目標出力に到達したか否かを判定する。
【0061】
S118において、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が目標出力に到達していないと制御装置90が判定した場合には、S117に戻って、制御装置90は、低圧タービン入口側蒸気噴射量を増加させるように低圧タービン入口側蒸気噴射量を再設定し、S117で低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度を大きくする。
【0062】
S118において、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が目標出力に到達したと判定された場合には、S119において、制御装置90は、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの開度をS117で調節した開度に決定する。
【0063】
以上のように、制御装置90は、増出力指令を受けた場合に、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を、上記フローにより決定された開度となるように制御する。これにより、上述のように、増出力指令に応じて発電機6の出力を増加させつつ、圧縮機1のサージの発生を抑制することができ、コジェネレーション設備100Aの熱電可変範囲を拡大することができる。
【0064】
図9は、他の実施形態に係るコジェネレーション設備100Bの概略構成図である。
コジェネレーション設備100Bにおいて、上述したコジェネレーション設備100Aの各構成と共通の符号は、特記しない限りコジェネレーション設備100Aの各構成と同様の構成を示すものとし、説明を省略する。
【0065】
コジェネレーション設備100Bは、ガスタービン5が一軸型のガスタービンである点、及び、ガスタービン側蒸気配管24の構成がコジェネレーション設備100Aと異なる。
【0066】
図9に示すように、コジェネレーション設備100Bでは、圧縮機1とタービン2とは連結軸40で連結されて一体的に回転するように構成されており、タービン2と発電機6とは連結軸41で連結されており、発電機6はタービン2に駆動されて発電を行う。
【0067】
また、コジェネレーション設備100Bでは、ガスタービン側蒸気配管24は、燃焼器側蒸気配管24aとタービン入口側蒸気配管24dとタービン中間段側蒸気配管24eとタービン最終段側蒸気配管24fとに分岐する。
【0068】
図示する例示的形態では、燃焼器側蒸気配管24aは、分岐位置Paでガスタービン側蒸気配管24から分岐しており、タービン入口側蒸気配管24dは分岐位置Paよりも下流側の分岐位置Pdでガスタービン側蒸気配管24から分岐しており、タービン中間段側蒸気配管24eとタービン最終段側蒸気配管24fとは分岐位置Pdよりも下流側の分岐位置Peで分岐している。
【0069】
図示する例示的形態では、燃焼器側蒸気配管24aの下流端は、圧縮機1の出口部と燃焼器3との間に位置する燃焼器ヘッドエンドEaに接続し、燃焼器ヘッドエンドEaに蒸気を噴射可能に構成されている。また、タービン入口側蒸気配管24dの下流端は、タービン2の入口部であるタービン入口部Edに接続し、タービン入口部Ed(例えばタービン2の第1段の静翼)に蒸気を噴射可能に構成されている。また、タービン中間段側蒸気配管24eの下流端は、タービン2の第1段と最終段との間の段落であるタービン中間段Eeに接続し、タービン中間段Ee(例えばタービン中間段Eeの静翼)に蒸気を噴射可能に構成されている。また、タービン最終段側蒸気配管24fの下流端は、タービン2の最終段落であるタービン最終段Efに接続し、タービン最終段Ef(例えばタービン最終段Efの静翼)に蒸気を噴射可能に構成されている。
【0070】
燃焼器側蒸気配管24aには、燃焼器側蒸気配管24aから燃焼器ヘッドエンドEaへの蒸気の噴射量である燃焼器側蒸気噴射量(燃焼器側蒸気配管24aにおける蒸気の流量)を調節するための燃焼器側蒸気流量調節弁27aが設けられている。タービン入口側蒸気配管24dには、タービン入口側蒸気配管24dからタービン入口部Edへの蒸気の噴射量であるタービン入口側蒸気噴射量(タービン入口側蒸気配管24dにおける蒸気の流量)を調節するためのタービン入口側蒸気流量調節弁27dが設けられている。タービン中間段側蒸気配管24eには、タービン中間段側蒸気配管24eからタービン中間段Eeへの蒸気の噴射量であるタービン中間段蒸気噴射量(タービン中間段側蒸気配管24eにおける蒸気の流量)を調節するためのタービン中間段側蒸気流量調節弁27eが設けられている。タービン最終段側蒸気配管24fには、タービン最終段側蒸気配管24fからタービン最終段Efへの蒸気の噴射量であるタービン最終段蒸気噴射量(タービン最終段側蒸気配管24fにおける蒸気の流量)を調節するためのタービン最終段側蒸気流量調節弁27fが設けられている。
【0071】
また、コジェネレーション設備100Bは、燃焼器側蒸気流量検出器75、タービン入口側蒸気流量検出器83、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、燃焼器側弁開度検出器78、タービン入口側弁開度検出器86、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88を備える。
【0072】
燃焼器側蒸気流量検出器75は、燃焼器側蒸気配管24aにおける蒸気の流量すなわち燃焼器側蒸気噴射量を検出する。タービン入口側蒸気流量検出器83は、タービン入口側蒸気配管24dにおける蒸気の流量すなわちタービン入口側蒸気噴射量を検出する。タービン中間段側蒸気流量検出器84は、タービン中間段側蒸気配管24eにおける蒸気の流量すなわちタービン中間段蒸気噴射量を検出する。タービン最終段側蒸気流量検出器85は、タービン最終段側蒸気配管24fにおける蒸気の流量すなわちタービン最終段蒸気噴射量を検出する。
【0073】
燃焼器側弁開度検出器78は、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの弁開度を検出する。タービン入口側弁開度検出器86は、タービン入口側蒸気流量調節弁27dの弁開度を検出する。タービン中間段側弁開度検出器87は、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの弁開度を検出する。タービン最終段側弁開度検出器88は、タービン最終段側蒸気流量調節弁27fの弁開度を検出する。
【0074】
図10は、図9に示した制御装置90のハードウェア構成の一例を示す図である。図10に示す制御装置90のハードウェア構成は図2に示す構成と同様であるため説明を省略する。
図10に示すように、制御装置90は、IGV開度計測装置44、圧縮機回転数検出器45、発電機出力検出器46、圧縮機入口空気圧力検出器50、圧縮機入口空気温度検出器51、圧縮機入口空気流量検出器52、圧縮機出口圧力検出器53、ガスタービン出口排ガス温度検出器54、燃料圧力検出器60、燃料温度検出器61、燃料流量検出器62、ボイラ出口蒸気圧力検出器70、ボイラ出口蒸気温度検出器71、プロセス用蒸気流量検出器72、減温後蒸気温度検出器73、減温後蒸気圧力検出器74、燃焼器側蒸気流量検出器75、NOx濃度検出器81、タービン入口側蒸気流量検出器83、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、燃焼器側弁開度検出器78、タービン入口側弁開度検出器86、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88からそれぞれ入力された各検出信号(計測信号)に基づいて、燃料流量調節弁10、プロセス用蒸気流量調節弁22、減温水流量調節弁25a、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度並びにIGV駆動装置43を制御する。
【0075】
幾つかの実施形態では、コジェネレーション設備100Bの制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが圧縮機1のサージ限界に基づいて設定された閾値Fth以下である場合に、タービン中間段側蒸気配管24e及びタービン最終段側蒸気配管24fの各々の蒸気の流量が0又は燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量とタービン入口側蒸気配管24dの蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御してもよい。タービン中間段側蒸気配管24e及びタービン最終段側蒸気配管24fの各々の蒸気の流量はいずれも0または実質的に0となるように各々の開度を制御することが望ましい。ここで蒸気の流量が実質的に0とは、蒸気配管24e及び/又は蒸気配管24fに蒸気を流してもタービン2に駆動される発電機6の出力をより増加させる効果をなしえない程度の小さい蒸気の流量を意味する。また、当該実施形態では、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが閾値Fthよりも大きい場合に、燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量とタービン入口側蒸気配管24dの蒸気の流量との合計が閾値Fth以下となるように燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御してもよい。
【0076】
なお、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttは、図9に示す構成では、燃焼器側蒸気配管24aから燃焼器ヘッドエンドEaに供給される蒸気の流量とタービン入口側蒸気配管24dからタービン入口部Edに供給される蒸気の流量とタービン中間段側蒸気配管24eからタービン中間段Eeに供給される蒸気の流量とタービン最終段側蒸気配管24fからタービン最終段Efに供給される蒸気の流量の合計、すなわち、燃焼器側蒸気流量検出器75によって検出される蒸気の流量とタービン入口側蒸気流量検出器83によって検出される蒸気の流量とタービン中間段側蒸気流量検出器84によって検出される蒸気の流量とタービン最終段側蒸気流量検出器85によって検出される蒸気の流量との合計である。また、閾値Fthは、圧縮機1の圧力比が圧縮機1のサージ限界を示すサージライン(図3参照)を超えないように所定のマージンを考慮して設定された閾値であり、図11に示すように、発電機6の出力が増加するにつれて閾値Fthは増加する。
【0077】
図11は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttに占める燃焼器側蒸気噴射量とタービン入口側蒸気噴射量とタービン中間段側蒸気噴射量とタービン最終段側蒸気噴射量との関係の一例を説明するための図である。
【0078】
図11において、例えば発電機6の出力と、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttとの組み合わせが燃焼器側蒸気噴射領域内の点Q1に位置する場合(総流量Fttが燃焼器側蒸気噴射量の上限値Fa以下である場合)には、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttの全量又は実質的に全量が燃焼器側蒸気配管24aから供給されるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御する。なおNOx低減を目的として燃焼器側蒸気配管24aからの蒸気噴射量には適正な範囲があり、それに対応して燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度の可変範囲が決められる。この場合、例えばタービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度をそれぞれ対応する最小の開度Ad,Ae,Afに制御してもよい。なお、最小の開度Adは、タービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度の可変範囲における最小の開度であり、例えば0すなわち全閉状態を示す開度であってもよいし、例えば10%以下の開度であってもよい。また、最小の開度Aeは、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度の可変範囲における最小の開度であり、例えば0すなわち全閉状態を示す開度であってもよいし、例えば10%以下の開度であってもよい。また、最小の開度Afは、タービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度の可変範囲における最小の開度であり、例えば0すなわち全閉状態を示す開度であってもよいし、例えば10%以下の開度であってもよい。
【0079】
また、図11において、例えば発電機6の出力と、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttとの組み合わせがタービン入口側蒸気噴射領域内の点Q2に位置する場合(総流量Fttが上限値Faより大きく閾値Fth以下である場合、すなわち、総流量Fttが上限値Faより大きく燃焼器側蒸気噴射量の上限値Faとタービン入口側蒸気噴射量の上限値Fdの合計以下である場合)には、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttの全量又は実質的に全量が燃焼器側蒸気配管24a及びタービン入口側蒸気配管24dから供給されるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御する。この場合、例えばタービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度をそれぞれ対応する最小の開度Ae,Afに制御してもよい。また、燃焼器側蒸気噴射量を上限値Faに制御し、タービン入口側蒸気噴射量を総流量Fttから上限値Faを減じた量に制御してもよい。
【0080】
また、図11において、例えば発電機6の出力と、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttとの組み合わせがタービン中間段側蒸気噴射領域内の点Q3に位置する場合(総流量Fttが、閾値Fthより大きく、且つ、閾値Fthとタービン中間段側蒸気噴射量の上限値Feとの合計以下である場合)には、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttの全量が燃焼器側蒸気配管24a、タービン入口側蒸気配管24d及びタービン中間段側蒸気配管24eから供給されるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御する。この場合、燃焼器側蒸気噴射量を燃焼器側蒸気噴射量の上限値Faに制御し、タービン入口側蒸気噴射量をタービン入口側蒸気噴射量の上限値Fdに制御し、タービン中間段側蒸気噴射量を総流量Fttから上限値Faと上限値Fdとを減じた量に制御してもよい。
【0081】
また、図11において、例えば発電機6の出力と、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttとの組み合わせがタービン最終段側蒸気噴射領域内の点Q4に位置する場合(総流量Fttが、閾値Fthと上限値Feとの合計よりも大きく、且つ、閾値Fthとタービン中間段側蒸気噴射量の上限値Feとタービン最終段側蒸気噴射量の上限値Ffとの合計以下である場合)には、制御装置90は、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttの全量が燃焼器側蒸気配管24a、タービン入口側蒸気配管24d、タービン中間段側蒸気配管24e及びタービン最終段側蒸気配管24fから供給されるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御する。この場合、燃焼器側蒸気噴射量を燃焼器側蒸気噴射量の上限値Faに制御し、タービン入口側蒸気噴射量をタービン入口側蒸気噴射量の上限値Fdに制御し、タービン中間段側蒸気噴射量をタービン中間段側蒸気噴射量の上限値Feに制御し、タービン最終段側蒸気噴射量を総流量Fttから上限値Faと上限値Fdと上限値Feとを減じた量に制御してもよい。
【0082】
このように、上記制御装置90によれば、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが閾値Fth以下である場合には、圧縮機1の圧力比がサージ限界を超えない範囲で総流量Fttの全部又は実質的に全部を燃焼器ヘッドエンドEa及びタービン入口部Edに供給する。また、総流量Fttが閾値Fthよりも大きい場合には、例えば図11に示すように、圧縮機1の圧力比がサージ限界を超えない範囲で燃焼器ヘッドエンドEa及びタービン入口部Edに蒸気を最大限供給する(すなわち燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量とタービン入口側蒸気配管24dの蒸気の流量との合計が閾値Fthとなるように供給する)とともに、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度の少なくとも一方を対応する最小の開度Ae,Afよりも大きくして残りの蒸気の流量(FttからFthを減じた流量)をタービン中間段Ee及びタービン最終段Efに分配する。これにより、圧縮機1のサージの発生を抑制しつつ低圧タービン2bに駆動される発電機6の出力を増加させて、コジェネレーション設備100Aの熱電可変範囲を拡大することができる。
【0083】
幾つかの実施形態では、上記制御装置90は、増出力指令を受けた場合において、圧縮機1の圧力比が閾値Rth以下である場合に、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度及びタービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度のうち少なくとも一方を大きくしてもよい。また、上記制御装置90は、増出力指令を受けた場合において、圧縮機1の圧力比が閾値Rthより大きい場合に、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度及びタービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度のうち少なくとも一方を小さくするとともにタービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度の少なくとも一方の開度を大きくしてもよい。
【0084】
これにより、増出力指令に応じて発電機6の出力を増加させつつ、圧縮機1のサージの発生を抑制することができる。なお、「燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度及びタービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度のうち少なくとも一方」とは、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度のみであってもよいし、タービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度のみであってもよいし、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度とタービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度の両方であってもよい。また、「タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度の少なくとも一方」とは、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度のみであってもよいし、タービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度のみであってもよいし、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度とタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度の両方であってもよい。また、制御装置90は、圧縮機出口圧力検出器53によって検出した圧縮機1の出口の空気の圧力を圧縮機入口空気圧力検出器50によって検出した圧縮機1の入口の空気の圧力で除することで算出した圧縮機1の圧力比を閾値Rthと比較してもよい。
【0085】
図12は、図10に示した制御装置90の制御フローの一例の一部を示す図である。図13は、図12に示した制御フローの続きの一部を示す図である。図14は、図13に示した制御フローの続きを示す図である。
【0086】
図12に示すように、S201において、制御装置90が増出力指令を受けると、S202において、制御装置90は、増出力指令に基づく発電機6の増出力目標値(以下、単に増出力目標値という。)に応じて、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度を拡大させる量である燃焼器側開度拡大量、タービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度を拡大させる量であるタービン入口側開度拡大量、及び、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度を拡大させる量であるタービン中間段側開度拡大量、及び、タービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度を拡大させる量であるタービン最終段側開度拡大量を設定する。
【0087】
S203において、制御装置90は、増出力目標値に応じてIGV42の開度を制御するためのIGV開度指令をIGV42に出力する。
【0088】
S204において、制御装置90は、ガスタービンの排ガスのNOxの濃度の目標値である目標NOx値に基づいて、燃焼器側蒸気噴射量を設定する。
【0089】
S205において、制御装置90は、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d及びタービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fに対して、それぞれ、S202で設定した燃焼器側開度拡大量、タービン入口側開度拡大量、タービン中間段側開度拡大量及びタービン最終段側開度拡大量に基づく蒸気噴射指令を送って各弁27a,27d,27e,27fを制御し、S204で設定した燃焼器側蒸気噴射量を実現するように燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度を調節する。
【0090】
S206において、NOx濃度検出器81によって検出したガスタービン5の排ガスのNOx値が目標NOx値以下であるか否かを制御装置90が判定する。S206において、NOx濃度検出器81によって検出したガスタービン5の排ガスのNOx値が目標NOx値以下でないと制御装置90が判定した場合には、S204に戻って、制御装置90は、燃焼器側蒸気噴射量を増加させるように燃焼器側蒸気噴射量を再設定し、S205で燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度を大きくする。
【0091】
S206においてNOx濃度検出器81によって計測したガスタービン5の排ガスのNOx値が目標NOx値以下であると制御装置90が判定した場合には、S207において、制御装置90は、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度をS205で調節した開度に決定する。以降のステップでは、燃焼器側蒸気流量調節弁27aの開度はS207で決定した開度に制御される。
【0092】
図13に示すように、S208において、制御装置90は、増出力目標値に基づいて、タービン入口側蒸気噴射量を設定する。
【0093】
S209において、制御装置90は、S208で設定したタービン入口側蒸気噴射量を実現するように、タービン入口側蒸気流量調節弁27dに蒸気噴射指令を送ってタービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度を調節する。
【0094】
S210において、制御装置90は、圧縮機出口圧力検出器53によって検出した圧縮機1の出口の空気の圧力を圧縮機入口空気圧力検出器50によって検出した圧縮機1の入口の空気の圧力で除することで、圧縮機1の圧力比を検知する。
【0095】
S211において、制御装置90は、S210で検知した圧縮機1の圧力比が閾値Rth以下であるか否かを判定する。
【0096】
S211において、S210で検知した圧縮機1の圧力比が閾値Rth以下でないと制御装置90が判定した場合には、S208に戻って、制御装置90は、タービン入口側蒸気噴射量を低下させるようにタービン入口側蒸気噴射量を再設定し、S209でタービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度を小さくする。
【0097】
S211において、S111で検知した圧縮機1の圧力比が閾値Rth以下であると制御装置90が判定した場合には、S212において、制御装置90は、タービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度をS209で調節した開度に決定する。以降のステップでは、タービン入口側蒸気流量調節弁27dの開度はS212で決定した開度に制御される。
【0098】
図14に示すように、S213において、制御装置90は、発電機出力検出器46の検出結果に基づいて発電機6の増出力を検知する。S214において、制御装置90は、増出力目標値に基づいて、タービン中間段蒸気噴射量を設定する。
【0099】
S215において、制御装置90は、S214で設定したタービン中間段蒸気噴射量を実現するように、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eに蒸気噴射指令を送ってタービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度を調節する。
【0100】
S216において、制御装置90は、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が第1目標出力に到達したか否かを判定する。
【0101】
S216において、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が第1目標出力に到達していないと制御装置90が判定した場合には、S214に戻って、制御装置90は、タービン中間段蒸気噴射量を増加させるようにタービン中間段蒸気噴射量を再設定し、S215でタービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度を大きくする。
【0102】
S216において、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が第1目標出力(増出力目標値)に到達したと判定された場合には、S217において、制御装置90は、タービン中間段側蒸気流量調節弁27eの開度をS215で調節した開度に決定する。
【0103】
図15に示すように、S218において、制御装置90は、増出力目標値に基づいてタービン最終段蒸気噴射量を設定する。
【0104】
S219において、制御装置90は、S218で設定したタービン最終段蒸気噴射量を実現するように、タービン最終段側蒸気流量調節弁27fに蒸気噴射指令を送ってタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度を調節する。
【0105】
S220において、制御装置90は、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が第2目標出力に到達したか否かを判定する。
【0106】
S220において、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が第2目標出力に到達していないと制御装置90が判定した場合には、S218に戻って、制御装置90は、タービン最終段蒸気噴射量を増加させるようにタービン最終段蒸気噴射量を再設定し、S219でタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度を大きくする。
【0107】
S220において、発電機出力検出器46によって検出された発電機6の出力が第2目標出力に到達したと判定された場合には、S221において、制御装置90は、タービン最終段側蒸気流量調節弁27fの開度をS219で調節した開度に決定する。
【0108】
以上のように、制御装置90は、増出力指令を受けた場合に、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を、上記フローにより決定された開度となるように制御する。これにより、上述のように、増出力指令に応じて発電機6の出力を増加させつつ、圧縮機1のサージの発生を抑制することができ、コジェネレーション設備100Bの熱電可変範囲を拡大することができる。
【0109】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0110】
幾つかの実施形態では、図1に示したコジェネレーション設備100Aは、既存のコジェネレーション設備に対して例えば高圧タービン入口側蒸気配管24b、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b、低圧タービン入口側蒸気配管24c、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c、高圧タービン入口側蒸気流量検出器76、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77、高圧タービン入口側弁開度検出器79及び低圧タービン入口側弁開度検出器80を追設する改造を行うことで製造されてもよい。この場合、コジェネレーション設備の改造を行う際に、高圧タービン入口側蒸気配管24bの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、高圧タービン入口側蒸気配管24bの他端を高圧タービン入口部Ebに接続する。また、低圧タービン入口側蒸気配管24cの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、低圧タービン入口側蒸気配管24cの他端を低圧タービン入口部Ecに接続する。なお、この場合の既存のコジェネレーション設備は、図1に示した構成のうち、例えば高圧タービン入口側蒸気配管24b、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b、低圧タービン入口側蒸気配管24c、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c、高圧タービン入口側蒸気流量検出器76、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77、高圧タービン入口側弁開度検出器79及び低圧タービン入口側弁開度検出器80を除く全ての構成を備えているものとする。
【0111】
また、図1に示したコジェネレーション設備100Aは、既存のコジェネレーション設備に対して例えば低圧タービン入口側蒸気配管24c、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77及び低圧タービン入口側弁開度検出器80を追設する改造を行うことで製造されてもよい。この場合、コジェネレーション設備の改造を行う際に、低圧タービン入口側蒸気配管24cの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、低圧タービン入口側蒸気配管24cの他端を低圧タービン入口部Ecに接続する。なお、この場合の既存のコジェネレーション設備は、図1に示した構成のうち、例えば低圧タービン入口側蒸気配管24c、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77及び低圧タービン入口側弁開度検出器80を除く全ての構成を備えているものとする。
【0112】
また、図1に示したコジェネレーション設備100Aは、既存のコジェネレーション設備に対して例えば燃焼器側蒸気配管24a、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気配管24b、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b、低圧タービン入口側蒸気配管24c、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c、燃焼器側蒸気流量検出器75、高圧タービン入口側蒸気流量検出器76、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77、燃焼器側弁開度検出器78、高圧タービン入口側弁開度検出器79及び低圧タービン入口側弁開度検出器80を追設する改造を行うことで製造されてもよい。この場合、コジェネレーション設備の改造を行う際に、燃焼器側蒸気配管24aの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、燃焼器側蒸気配管24aの他端を燃焼器ヘッドエンドEaに接続する。また、高圧タービン入口側蒸気配管24bの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、高圧タービン入口側蒸気配管24bの他端を高圧タービン入口部Ebに接続する。また、低圧タービン入口側蒸気配管24cの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、低圧タービン入口側蒸気配管24cの他端を低圧タービン入口部Ecに接続する。なお、この場合の既存のコジェネレーション設備は、図1に示した構成のうち、例えば燃焼器側蒸気配管24a、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気配管24b、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b、低圧タービン入口側蒸気配管24c、低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c、燃焼器側蒸気流量検出器75、高圧タービン入口側蒸気流量検出器76、低圧タービン入口側蒸気流量検出器77、燃焼器側弁開度検出器78、高圧タービン入口側弁開度検出器79及び低圧タービン入口側弁開度検出器80を除く全ての構成を備えているものとする。
【0113】
また、幾つかの実施形態では、図9に示したコジェネレーション設備100Bは、既存のコジェネレーション設備に対して例えばタービン入口側蒸気配管24d、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気配管24e、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e、タービン最終段側蒸気配管24f、タービン最終段側蒸気流量調節弁27f、タービン入口側蒸気流量検出器83、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、タービン入口側弁開度検出器86、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88を追設する改造を行うことで製造されてもよい。この場合、コジェネレーション設備の改造を行う際に、タービン入口側蒸気配管24dの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン入口側蒸気配管24dの他端をタービン入口部Edに接続し、タービン中間段側蒸気配管24eの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン中間段側蒸気配管24eの他端をタービン中間段Eeに接続し、タービン最終段側蒸気配管24fの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン最終段側蒸気配管24fの他端をタービン最終段Efに接続する。なお、この場合の既存のコジェネレーション設備は、図9に示した構成のうち、タービン入口側蒸気配管24d、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気配管24e、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e、タービン入口側蒸気流量検出器83、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、タービン入口側弁開度検出器86、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88を除く全ての構成を備えているものとする。
【0114】
また、図9に示したコジェネレーション設備100Bは、既存のコジェネレーション設備に対して例えばタービン中間段側蒸気配管24e、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、タービン入口側弁開度検出器86、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88を追設する改造を行うことで製造されてもよい。この場合、コジェネレーション設備の改造を行う際に、タービン中間段側蒸気配管24eの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン中間段側蒸気配管24eの他端をタービン中間段Eeに接続し、タービン最終段側蒸気配管24fの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン最終段側蒸気配管24fの他端をタービン最終段Efに接続する。なお、この場合の既存のコジェネレーション設備は、図9に示した構成のうち、タービン中間段側蒸気配管24e、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e、タービン最終段側蒸気配管24f、タービン最終段側蒸気流量調節弁27f、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88を除く全ての構成を備えているものとする。
【0115】
また、幾つかの実施形態では、図9に示したコジェネレーション設備100Bは、既存のコジェネレーション設備に対して例えば燃焼器側蒸気配管24a、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気配管24d、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気配管24e、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e、タービン最終段側蒸気配管24f、タービン最終段側蒸気流量調節弁27f、燃焼器側蒸気流量検出器75、燃焼器側弁開度検出器78、タービン入口側蒸気流量検出器83、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、タービン入口側弁開度検出器86、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88を追設する改造を行うことで製造されてもよい。この場合、コジェネレーション設備の改造を行う際に、燃焼器側蒸気配管24aの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、燃焼器側蒸気配管24aの他端を燃焼器ヘッドエンドEaに接続する。また、タービン入口側蒸気配管24dの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン入口側蒸気配管24dの他端をタービン入口部Edに接続し、タービン中間段側蒸気配管24eの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン中間段側蒸気配管24eの他端をタービン中間段Eeに接続し、タービン最終段側蒸気配管24fの一端をガスタービン側蒸気配管24に接続し、タービン最終段側蒸気配管24fの他端をタービン最終段Efに接続する。なお、この場合の既存のコジェネレーション設備は、図9に示した構成のうち、燃焼器側蒸気配管24a、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気配管24d、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気配管24e、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e、燃焼器側蒸気流量検出器75、燃焼器側弁開度検出器78、タービン入口側蒸気流量検出器83、タービン中間段側蒸気流量検出器84、タービン最終段側蒸気流量検出器85、タービン入口側弁開度検出器86、タービン中間段側弁開度検出器87及びタービン最終段側弁開度検出器88を除く全ての構成を備えているものとする。
【0116】
また、図1に示したコジェネレーション設備100A及び図9に示したコジェネレーション設備100Bの各々は、既存のコジェネレーション設備に対してガスタービン側蒸気配管24から分岐した前述の蒸気配管24a~24fのうちの任意の蒸気配管並びにそれらに付随する蒸気流量調節弁27a~27f及び各種検出器を追設することによって製造されてもよい。
【0117】
また、既存のコジェネレーション設備を上述のように改造することによってコジェネレーション設備100Aを製造する場合、上述した制御装置90の各機能を制御装置90の制御プログラムを修正することにより実現してもよい。例えば、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが圧縮機1のサージ限界に基づいて設定された閾値Fth以下である場合に、低圧タービン入口側蒸気配管24cの蒸気の流量が0又は燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量と高圧タービン入口側蒸気配管24bの蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を制御し、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが閾値Fthよりも大きい場合に、燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量と高圧タービン入口側蒸気配管24bの蒸気の流量との合計が閾値Fth以下となるように燃焼器側蒸気流量調節弁27a、高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b及び低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27cの各々の開度を制御するように、制御装置90のプログラムを修正してもよい。なお排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが圧縮機1のサージ限界に基づいて設定された閾値Fth以下である場合には、低圧タービン入口側蒸気配管24cの蒸気の流量は0または実質的に0となるように各々の開度を制御することが望ましい。ここで蒸気の流量が実質的に0とは、蒸気配管24cに蒸気を流しても低圧タービン2bに駆動される発電機6の出力をより増加させる効果をなしえない程度の小さい蒸気の流量を意味する。
【0118】
また、既存のコジェネレーション設備を上述のように改造することによってコジェネレーション設備100Bを製造する場合、上述した制御装置90の各機能を制御装置90の制御プログラムを修正することにより実現してもよい。例えば、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが圧縮機1のサージ限界に基づいて設定された閾値Fth以下である場合に、タービン中間段側蒸気配管24eの蒸気の流量及びタービン最終段側蒸気配管24fの蒸気の流量の各々が0又は燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量とタービン入口側蒸気配管24dの蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように、燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d及びタービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御し、排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが閾値Fthよりも大きい場合に、燃焼器側蒸気配管24aの蒸気の流量とタービン入口側蒸気配管24dの蒸気の流量との合計が閾値Fth以下となるように燃焼器側蒸気流量調節弁27a、タービン入口側蒸気流量調節弁27d、タービン中間段側蒸気流量調節弁27e及びタービン最終段側蒸気流量調節弁27fの各々の開度を制御するように、制御装置90のプログラムを修正してもよい。なお排熱回収ボイラ15からガスタービン5に供給される蒸気の総流量Fttが圧縮機1のサージ限界に基づいて設定された閾値Fth以下である場合には、タービン中間段側蒸気配管24e及びタービン最終段側蒸気配管24fの蒸気の流量の各々が0または実質的に0となるように各々の開度を制御することが望ましい。ここで蒸気の流量が実質的に0とは、蒸気配管24e及び/又は蒸気配管24fに蒸気を流してもタービン2に駆動される発電機6の出力をより増加させる効果をなしえない程度の小さい蒸気の流量を意味する。
【0119】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0120】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備(例えば上述のコジェネレーション設備100A,100B)は、
圧縮機(例えば上述の圧縮機1)、燃焼器(例えば上述の燃焼器3)及びタービン(例えば上述のタービン2)を含むガスタービン(例えば上述のガスタービン5)と、
前記ガスタービンに連結された発電機(例えば上述の発電機6)と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラ(例えば上述の排熱回収ボイラ15)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置(例えば上述の燃焼器ヘッドエンドEa)に供給するように構成された第1蒸気配管(例えば上述の燃焼器側蒸気配管24a)と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁(例えば上述の燃焼器側蒸気流量調節弁27a)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部(例えば上述の高圧タービン入口部Eb,タービン入口部Ed)に供給するように構成された第2蒸気配管(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気配管24b,タービン入口側蒸気配管24d)と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b,タービン入口側蒸気流量調節弁27d)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置(例えば上述の低圧タービン入口部Ec,タービン中間段Ee,タービン最終段Ef)に供給するように構成された第3蒸気配管(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気配管24c,タービン中間段側蒸気配管24e,タービン最終段側蒸気配管24f)と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c,タービン中間段側蒸気流量調節弁27e,タービン最終段側蒸気流量調節弁27f)と、
を備える。
【0121】
排熱回収ボイラで生成された蒸気をガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に供給すると、タービンの出力増加に寄与し得る一方で、圧縮機の背圧(圧縮機の出口部の圧力)が上昇して圧縮機の圧力比が上昇するため、圧縮機のサージが発生する場合がある。この点、上記(1)に記載のコジェネレーション設備では、第1流量調節弁及び第2流量調節弁の弁開度を調節することにより、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲でガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に蒸気を供給することができ、さらに第3流量調節弁の開度を大きくすることによって、圧縮機のサージの発生を抑制しつつタービンに駆動される発電機の出力を増加させることができる。このため、圧縮機のサージの発生を抑制しつつコジェネレーション設備の熱電可変範囲を拡大することができる。
【0122】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のコジェネレーション設備において、
前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置(例えば上述の制御装置90)を更に備え、
前記制御装置は、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量(例えば上述の総流量Ftt)が閾値(例えば上述の閾値Fth)以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量(例えば上述の総流量Ftt)が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御する。
上記(2)に記載のコジェネレーション設備によれば、圧縮機の圧力比が圧縮機のサージ限界を示すサージラインを超えないように所定のマージンを考慮して上記閾値を設定することにより、排熱回収ボイラで発生する蒸気を圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲で第3蒸気配管よりも第1蒸気配管と第2蒸気配管から優先的に蒸気を供給し、発電機の出力を効率的に増加させることができる。また、排熱回収ボイラからガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、第1蒸気配管の蒸気の流量と第2蒸気配管の蒸気の流量の合計を上記閾値以下としつつ残りの蒸気の少なくとも一部を第3蒸気配管からタービンの入口部より下流側の位置に蒸気を供給することにより、圧縮機のサージの発生を抑制しつつタービンに駆動される発電機の出力をさらに増加させることができる。このため、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を効果的に拡大することができる。
【0123】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のコジェネレーション設備において、
前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置(例えば上述の制御装置90)を更に備え、
前記制御装置は、前記発電機の出力を増加させる増出力指令を受けた場合において、前記圧縮機の圧力比が閾値(例えば上述の閾値Rth)以下である場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を大きくし、前記圧縮機の圧力比が前記閾値より大きい場合に前記第3流量調節弁の開度を大きくするように構成される。
【0124】
上記(3)に記載のコジェネレーション設備によれば、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えないように所定のマージンを考慮して上記閾値を設定することにより、増出力指令に応じて発電機の出力を増加させつつ、圧縮機のサージの発生を抑制することができる。
【0125】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載のコジェネレーション設備において、
前記制御装置は、前記増出力指令を受けた場合おいて、前記圧縮機の圧力比が閾値以下である場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を大きくし、前記圧縮機の圧力比が前記閾値より大きい場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を小さくするとともに前記第3流量調節弁の開度を大きくするように構成される。
【0126】
上記(4)に記載のコジェネレーション設備によれば、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えないように所定のマージンを考慮して上記閾値を設定することにより、増出力指令に応じて発電機の出力を増加させつつ、圧縮機のサージの発生を抑制することができる。
【0127】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れかに記載のコジェネレーション設備において、
前記閾値は、前記発電機の出力が増加するにつれて大きくなる。
【0128】
上記(5)に記載のコジェネレーション設備によれば、圧縮機のサージの発生を効果的に抑制しつつ熱電可変範囲を拡大することができる。
【0129】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載のコジェネレーション設備において、
前記タービンは、
前記圧縮機に連結され、前記燃焼器で発生した燃焼ガスが流入する高圧タービン(例えば上述の高圧タービン2a)と、
前記発電機に連結され、前記高圧タービンを通過した燃焼ガスが流入する低圧タービン(例えば上述の低圧タービン2b)と、
を含み、
前記第2蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記高圧タービンの入口部(例えば上述の高圧タービン入口部Eb)に供給するように構成され、
前記第3蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記低圧タービンの入口部(例えば上述の低圧タービン入口部Ec)に供給するように構成される。
【0130】
上記(6)に記載のコジェネレーション設備によれば、2軸式のガスタービンを備える構成において、第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁の弁開度を調節することにより、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲で高圧タービンの入口部に蒸気を供給することができ、さらに第3流量調節弁の開度を大きくすることによって、低圧タービンに駆動される発電機の出力を増加させることができる。このため、2軸式のガスタービンを備えるコジェネレーション設備において、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を拡大することができる。
【0131】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載のコジェネレーション設備において、
前記圧縮機と前記タービンとは1つの連結軸(例えば上述の連結軸40)で連結されて一体的に回転するように構成される。
【0132】
上記(7)に記載のコジェネレーション設備によれば、1軸式のガスタービンを備える構成において、圧縮機のサージの発生を抑制しつつコジェネレーション設備の熱電可変範囲を拡大することができる。
【0133】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)に記載のコジェネレーション設備において、
前記第3蒸気配管は、前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の中間段の位置(例えば上述のタービン中間段Ee)に接続し、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記中間段に供給するように構成され、
前記コジェネレーション設備は、
前記タービンにおける前記第3蒸気配管が接続する位置よりも下流側の下流段の位置(例えば上述のタービン最終段Ef)に接続し、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記下流段に供給するように構成された下流段側蒸気配管(例えば上述のタービン最終段側蒸気配管24f)を更に備える。
【0134】
上記(8)に記載のコジェネレーション設備によれば、1軸式のガスタービンを備える構成において、排熱回収ボイラで生成された蒸気をタービンの中間段及びその下流の下流段に供給することにより発電機の出力を増加させることができる。
【0135】
(9)本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備(例えば上述のコジェネレーション設備100A,100B)の制御方法において、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機(例えば上述の圧縮機1)、燃焼器(例えば上述の燃焼器3)及びタービン(例えば上述のタービン2)を含むガスタービン(例えば上述のガスタービン5)と、
前記ガスタービンに連結された発電機(例えば上述の発電機6)と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラ(例えば上述の排熱回収ボイラ15)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置(例えば上述の燃焼器ヘッドエンドEa)に供給するように構成された第1蒸気配管(例えば上述の燃焼器側蒸気配管24a)と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁(例えば上述の燃焼器側蒸気流量調節弁27a)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部(例えば上述の高圧タービン入口部Eb,タービン入口部Ed)に供給するように構成された第2蒸気配管(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気配管24b,タービン入口側蒸気配管24d)と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b,タービン入口側蒸気流量調節弁27d)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置(例えば上述の低圧タービン入口部Ec,タービン中間段Ee,タービン最終段Ef)に供給するように構成された第3蒸気配管(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気配管24c,タービン中間段側蒸気配管24e,タービン最終段側蒸気配管24f)と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c,タービン中間段側蒸気流量調節弁27e,タービン最終段側蒸気流量調節弁27f)と、
を備え、
前記制御方法は、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量(例えば上述の総流量Ftt)が閾値(例えば上述の閾値Fth)以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量(例えば上述の総流量Ftt)が前記閾値よりも大きい場合に、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量の合計が前記閾値以下となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
を備える。
【0136】
上記(9)に記載のコジェネレーション設備の制御方法によれば、圧縮機の圧力比が圧縮機のサージ限界を示すサージラインを超えないように所定のマージンを考慮して上記閾値を設定することにより、排熱回収ボイラで発生する蒸気を圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲で第3蒸気配管よりも第1蒸気配管と第2蒸気配管から優先的に蒸気を供給し、発電機の出力を効率的に増加させることができる。また、排熱回収ボイラからガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、第1蒸気配管の蒸気の流量と第2蒸気配管の蒸気の流量の合計を上記閾値以下としつつ残りの蒸気の少なくとも一部を第3蒸気配管からタービンの入口部より下流側の位置に供給することにより、圧縮機のサージの発生を抑制しつつタービンに駆動される発電機の出力をさらに増加させることができる。このため、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を効果的に拡大することができる。
【0137】
(10)本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備の改造方法において、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機(例えば上述の圧縮機1)、燃焼器(例えば上述の燃焼器3)及びタービン(例えば上述のタービン2)を含むガスタービン(例えば上述のガスタービン5)と、
前記ガスタービンに連結された発電機(例えば上述の発電機6)と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラ(例えば上述の排熱回収ボイラ15)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置(例えば上述の燃焼器ヘッドエンドEa)に供給するように構成された第1蒸気配管(例えば上述の燃焼器側蒸気配管24a)と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁(例えば上述の燃焼器側蒸気流量調節弁27a)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部(例えば上述の高圧タービン入口部Eb,タービン入口部Ed)に供給するように構成された第2蒸気配管(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気配管24b,タービン入口側蒸気配管24d)と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b,タービン入口側蒸気流量調節弁27d)と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置(例えば上述の低圧タービン入口部Ec,タービン中間段Ee,タービン最終段Ef)に供給するように構成された第3蒸気配管(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気配管24c,タービン中間段側蒸気配管24e,タービン最終段側蒸気配管24f)と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c,タービン中間段側蒸気流量調節弁27e,タービン最終段側蒸気流量調節弁27f)と、
を追設するステップを備える。
【0138】
排熱回収ボイラで生成された蒸気をガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に供給すると、タービンの出力増加に寄与し得る一方で、圧縮機の背圧(圧縮機の出口部の圧力)が上昇して圧縮機の圧力比が上昇するため、圧縮機のサージが発生する場合がある。この点、上記(10)に記載のコジェネレーション設備の改造方法では、第1流量調節弁及び第2流量調節弁の弁開度を調節することにより、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲でガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に蒸気を供給することができ、さらに第3流量調節弁の開度を大きくすることによって、タービンに駆動される発電機の出力を増加させることができる。このため、圧縮機のサージの発生を抑制しつつコジェネレーション設備の熱電可変範囲を拡大することができる。
【0139】
(11)本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備の改造方法において、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機(例えば上述の圧縮機1)、燃焼器(例えば上述の燃焼器3)及びタービン(例えば上述のタービン2)を含むガスタービン(例えば上述のガスタービン5)と、
前記ガスタービンに連結された発電機(例えば上述の発電機6)と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラ(例えば上述の排熱回収ボイラ15)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置(例えば上述の燃焼器ヘッドエンドEa)に供給するように構成された第1蒸気配管(例えば上述の燃焼器側蒸気配管24a)と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁(例えば上述の燃焼器側蒸気流量調節弁27a)と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部(例えば上述の高圧タービン入口部Eb,タービン入口部Ed)に供給するように構成された第2蒸気配管(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気配管24b,タービン入口側蒸気配管24d)と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b,タービン入口側蒸気流量調節弁27d)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置(例えば上述の低圧タービン入口部Ec,タービン中間段Ee,タービン最終段Ef)に供給するように構成された第3蒸気配管(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気配管24c,タービン中間段側蒸気配管24e,タービン最終段側蒸気配管24f)と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c,タービン中間段側蒸気流量調節弁27e,タービン最終段側蒸気流量調節弁27f)と、
を追設するステップを備える、コジェネレーション設備の改造方法。
【0140】
排熱回収ボイラで生成された蒸気をガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に供給すると、タービンの出力増加に寄与し得る一方で、圧縮機の背圧(圧縮機の出口部の圧力)が上昇して圧縮機の圧力比が上昇するため、圧縮機のサージが発生する場合がある。この点、上記(11)に記載のコジェネレーション設備の改造方法では、第1流量調節弁及び第2流量調節弁の弁開度を調節することにより、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲でガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に蒸気を供給することができ、さらに第3流量調節弁の開度を大きくすることによって、タービンに駆動される発電機の出力を増加させることができる。このため、圧縮機のサージの発生を抑制しつつコジェネレーション設備の熱電可変範囲を拡大することができる。
【0141】
(12)本開示の少なくとも一実施形態に係るコジェネレーション設備の改造方法において、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機(例えば上述の圧縮機1)、燃焼器(例えば上述の燃焼器3)及びタービン(例えば上述のタービン2)を含むガスタービン(例えば上述のガスタービン5)と、
前記ガスタービンに連結された発電機(例えば上述の発電機6)と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラ(例えば上述の排熱回収ボイラ15)と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置(例えば上述の燃焼器ヘッドエンドEa)に供給するように構成された第1蒸気配管(例えば上述の燃焼器側蒸気配管24a)と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁(例えば上述の燃焼器側蒸気流量調節弁27a)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部(例えば上述の高圧タービン入口部Eb,タービン入口部Ed),に供給するように構成された第2蒸気配管(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気配管24b,タービン入口側蒸気配管24d)と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁(例えば上述の高圧タービン入口側蒸気流量調節弁27b,タービン入口側蒸気流量調節弁27d)と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置(例えば上述の低圧タービン入口部Ec,タービン中間段Ee,タービン最終段Ef)に供給するように構成された第3蒸気配管(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気配管24c,タービン中間段側蒸気配管24e,タービン最終段側蒸気配管24f)と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁(例えば上述の低圧タービン入口側蒸気流量調節弁27c,タービン中間段側蒸気流量調節弁27e,タービン最終段側蒸気流量調節弁27f)と、
を追設するステップを備える。
【0142】
排熱回収ボイラで生成された蒸気をガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に供給すると、タービンの出力増加に寄与し得る一方で、圧縮機の背圧(圧縮機の出口部の圧力)が上昇して圧縮機の圧力比が上昇するため、圧縮機のサージが発生する場合がある。この点、上記(12)に記載のコジェネレーション設備の改造方法では、第1流量調節弁及び第2流量調節弁の弁開度を調節することにより、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲でガスタービンにおける圧縮機の出口部からタービンの入口部までの区間内の位置に蒸気を供給することができ、さらに第3流量調節弁の開度を大きくすることによって、タービンに駆動される発電機の出力を増加させることができる。このため、圧縮機のサージの発生を抑制しつつコジェネレーション設備の熱電可変範囲を拡大することができる。
【0143】
(13)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(12)の何れかに記載のコジェネレーション設備の改造方法において、
前記タービンは、
前記圧縮機に連結され、前記燃焼器で発生した燃焼ガスが流入する高圧タービン(例えば上述の高圧タービン2a)と、
前記発電機に連結され、前記高圧タービンを通過した燃焼ガスが流入する低圧タービン(例えば上述の低圧タービン2b)と、
を含み、
前記第2蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記高圧タービンの入口部(例えば上述の高圧タービン入口部Eb)に供給するように構成され、
前記コジェネレーション設備に対して前記第3蒸気配管を追設するステップでは、前記第3蒸気配管を前記低圧タービンの入口部(例えば上述の低圧タービン入口部Ec)に接続する。
【0144】
上記(13)に記載のコジェネレーション設備の改造方法によれば、2軸式のガスタービンを備える構成において、第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁の弁開度を調節することにより、圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲で高圧タービンの入口部に蒸気を供給することができ、さらに第3流量調節弁の開度を大きくすることによって、低圧タービンに駆動される発電機の出力を増加させることができる。このため、2軸式のガスタービンを備えるコジェネレーション設備において、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を拡大することができる。
【0145】
(14)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(12)の何れかに記載のコジェネレーション設備の改造方法において、
前記圧縮機と前記タービンとは1つの連結軸(例えば上述の連結軸40)で連結されて一体的に回転するように構成される。
【0146】
上記(14)に記載のコジェネレーション設備の改造方法によれば、1軸式のガスタービンを備える構成において、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を拡大することができる。
【0147】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)に記載のコジェネレーション設備の改造方法において、
前記コジェネレーション設備に対して前記第3蒸気配管を追設するステップでは、前記第3蒸気配管を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の中間段の位置(例えば上述のタービン中間段Ee)に接続し、
前記改造方法は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を供給するための蒸気配管を、前記タービンにおける前記第3蒸気配管が接続する位置よりも下流側の位置(例えば上述のタービン最終段Ef)に接続するステップを更に備える。
【0148】
上記(15)に記載のコジェネレーション設備の改造方法によれば、1軸式のガスタービンを備える構成において、排熱回収ボイラで生成された蒸気をタービンの中間段の位置及びその下流側の位置に供給することにより発電機の出力を増加させることができる。
【0149】
(16)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(12)の何れかに記載のコジェネレーション設備の改造方法において、
前記コジェネレーション設備は、前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記改造方法は、前記制御装置を改造するステップを備え、
前記制御装置を改造するステップは、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量(例えば上述の総流量Ftt)が閾値(例えば上述の閾値Fth)以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように、前記制御装置の制御プログラムを修正するステップを備える。
【0150】
上記(16)に記載のコジェネレーション設備の改造方法によれば、圧縮機の圧力比が圧縮機のサージ限界を示すサージラインを超えないように所定のマージンを考慮して上記閾値を設定することにより、排熱回収ボイラで発生する蒸気を圧縮機の圧力比がサージ限界を超えない範囲で第3蒸気配管よりも第1蒸気配管及び第2蒸気配管から優先的に蒸気を供給し、発電機の出力を効率的に増加させることができる。また、排熱回収ボイラからガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、第1蒸気配管の蒸気の流量と第2蒸気配管の蒸気の流量の合計を上記閾値以下としつつ残りの蒸気の少なくとも一部を第3蒸気配管からタービンの入口部より下流側の位置に蒸気を供給することにより、圧縮機のサージの発生を抑制しつつタービンに駆動される発電機の出力をさらに増加させることができる。このため、圧縮機のサージの発生を抑制しつつ熱電可変範囲を効果的に拡大することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 圧縮機
2 タービン
2a 高圧タービン
2b 低圧タービン
3 燃焼器
4 起動装置
5 ガスタービン
6 発電機
7 空気
8 圧縮空気
9 燃料供給系統設備
10 燃料流量調節弁
14 排ガス
15 排熱回収ボイラ
16 補給水
17 補給水タンク
18 ボイラ給水ポンプ
19 ボイラ給水
20 蒸気配管
21 プロセス装置側蒸気配管
22 プロセス用蒸気流量調節弁
23 プロセス装置
24 ガスタービン側蒸気配管
24a 燃焼器側蒸気配管
24b 高圧タービン入口側蒸気配管
24c 低圧タービン入口側蒸気配管
24d タービン入口側蒸気配管
24e タービン中間段側蒸気配管
24f タービン最終段側蒸気配管
25 蒸気噴射用減温器
25a 減温水流量調節弁
27a 燃焼器側蒸気流量調節弁
27b 高圧タービン入口側蒸気流量調節弁
27c 低圧タービン入口側蒸気流量調節弁
27d タービン入口側蒸気流量調節弁
27e タービン中間段側蒸気流量調節弁
27f タービン最終段側蒸気流量調節弁
28 排ガス
29 排気塔
30 減温水供給ライン
33 燃料ライン
40,41 連結軸
42 入口案内翼
43 IGV駆動装置
44 IGV開度計測装置
45 圧縮機回転数検出器
46 発電機出力検出器
50 圧縮機入口空気圧力検出器
51 圧縮機入口空気温度検出器
52 圧縮機入口空気流量検出器
53 圧縮機出口圧力検出器
54 ガスタービン出口排ガス温度検出器
60 燃料圧力検出器
61 燃料温度検出器
62 燃料流量検出器
70 ボイラ出口蒸気圧力検出器
71 ボイラ出口蒸気温度検出器
72 プロセス用蒸気流量検出器
73 蒸気温度検出器
74 蒸気圧力検出器
75 燃焼器側蒸気流量検出器
76 高圧タービン入口側蒸気流量検出器
77 低圧タービン入口側蒸気流量検出器
78 燃焼器側弁開度検出器
79 高圧タービン入口側弁開度検出器
80 低圧タービン入口側弁開度検出器
81 NOx濃度検出器
83 タービン入口側蒸気流量検出器
84 タービン中間段側蒸気流量検出器
85 タービン最終段側蒸気流量検出器
86 タービン入口側弁開度検出器
87 タービン中間段側弁開度検出器
88 タービン最終段側弁開度検出器
90 制御装置
91 プロセッサ
92 RAM
92 ROM
94 HDD
95 入力I/F
96 出力I/F
97 バス
100A,100b コジェネレーション設備
Ea 燃焼器ヘッドエンド
Eb 高圧タービン入口部
Ec 低圧タービン入口部
Ed タービン入口部
Ee タービン中間段
Ef タービン最終段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を備え
前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御する、コジェネレーション設備。
【請求項2】
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を備え、
前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記発電機の出力を増加させる増出力指令を受けた場合において、前記圧縮機の圧力比が閾値以下である場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を大きくし、前記圧縮機の圧力比が前記閾値より大きい場合に前記第3流量調節弁の開度を大きくするように構成された、コジェネレーション設備。
【請求項3】
前記制御装置は、前記増出力指令を受けた場合おいて、前記圧縮機の圧力比が閾値以下である場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を大きくし、前記圧縮機の圧力比が前記閾値より大きい場合に前記第1流量調節弁の開度及び前記第2流量調節弁の開度のうち少なくとも一方を小さくするとともに前記第3流量調節弁の開度を大きくするように構成された、請求項に記載のコジェネレーション設備。
【請求項4】
前記閾値は、前記発電機の出力が増加するにつれて大きくなる、請求項乃至の何れか1項に記載のコジェネレーション設備。
【請求項5】
前記タービンは、
前記圧縮機に連結され、前記燃焼器で発生した燃焼ガスが流入する高圧タービンと、
前記発電機に連結され、前記高圧タービンを通過した燃焼ガスが流入する低圧タービンと、
を含み、
前記第2蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記高圧タービンの入口部に供給するように構成され、
前記第3蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記低圧タービンの入口部に供給するように構成された、請求項1乃至4の何れか1項に記載のコジェネレーション設備。
【請求項6】
前記圧縮機と前記タービンとは1つの連結軸で連結されて一体的に回転するように構成された、請求項1乃至4の何れか1項に記載のコジェネレーション設備。
【請求項7】
前記第3蒸気配管は、前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の中間段の位置に接続し、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記中間段に供給するように構成され、
前記コジェネレーション設備は、
前記タービンにおける前記第2蒸気配管が接続する位置よりも下流側の下流段の位置に接続し、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記下流段に供給するように構成された下流段側蒸気配管を更に備える、請求項に記載のコジェネレーション設備。
【請求項8】
コジェネレーション設備の制御方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を備え、
前記制御方法は、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合に、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量の合計が前記閾値以下となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するステップと、
を備える、コジェネレーション設備の制御方法。
【請求項9】
コジェネレーション設備の改造方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備え
前記コジェネレーション設備は、前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記改造方法は、前記制御装置を改造するステップを備え、
前記制御装置を改造するステップは、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように、前記制御装置の制御プログラムを修正するステップを備える、
コジェネレーション設備の改造方法。
【請求項10】
コジェネレーション設備の改造方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備え
前記コジェネレーション設備は、前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記改造方法は、前記制御装置を改造するステップを備え、
前記制御装置を改造するステップは、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように、前記制御装置の制御プログラムを修正するステップを備える、
コジェネレーション設備の改造方法。
【請求項11】
コジェネレーション設備の改造方法であって、
前記コジェネレーション設備は、
圧縮機、燃焼器及びタービンを含むガスタービンと、
前記ガスタービンに連結された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
を備え、
前記改造方法は、
前記コジェネレーション設備に対して、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記圧縮機の出口部から前記燃焼器までの区間内の位置に供給するように構成された第1蒸気配管と、
前記第1蒸気配管に設けられた第1流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記ガスタービンにおける前記タービンの入口部に供給するように構成された第2蒸気配管と、
前記第2蒸気配管に設けられた第2流量調節弁と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の位置に供給するように構成された第3蒸気配管と、
前記第3蒸気配管に設けられた第3流量調節弁と、
を追設するステップを備え
前記コジェネレーション設備は、前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように構成された制御装置を更に備え、
前記改造方法は、前記制御装置を改造するステップを備え、
前記制御装置を改造するステップは、
前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が閾値以下である場合に、前記第3蒸気配管の蒸気の流量が0または前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計よりも小さい蒸気の流量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御し、前記排熱回収ボイラから前記ガスタービンに供給される蒸気の総流量が前記閾値よりも大きい場合には、前記第1蒸気配管の蒸気の流量と前記第2蒸気配管の蒸気の流量との合計が前記閾値以下の量となるように前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁及び前記第3流量調節弁を制御するように、前記制御装置の制御プログラムを修正するステップを備える、
コジェネレーション設備の改造方法。
【請求項12】
前記タービンは、
前記圧縮機に連結され、前記燃焼器で発生した燃焼ガスが流入する高圧タービンと、
前記発電機に連結され、前記高圧タービンを通過した燃焼ガスが流入する低圧タービンと、
を含み、
前記第2蒸気配管は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記高圧タービンの入口部に供給するように構成され、
前記コジェネレーション設備に対して前記第3蒸気配管を追設するステップでは、前記第3蒸気配管を前記低圧タービンの入口部に接続する、請求項乃至11の何れか1項に記載のコジェネレーション設備の改造方法。
【請求項13】
前記圧縮機と前記タービンとは1つの連結軸で連結されて一体的に回転するように構成される、請求項乃至11の何れか1項に記載のコジェネレーション設備の改造方法。
【請求項14】
前記コジェネレーション設備に対して前記第3蒸気配管を追設するステップでは、前記第3蒸気配管を前記タービンにおける前記入口部よりも下流側の中間段の位置に接続し、
前記改造方法は、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を供給するための蒸気配管を、前記タービンにおける前記第3蒸気配管が接続する位置よりも下流側の位置に接続するステップを更に備える、請求項13に記載のコジェネレーション設備の改造方法。