IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 河村電器産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-引込盤用キャビネット 図1
  • 特開-引込盤用キャビネット 図2
  • 特開-引込盤用キャビネット 図3
  • 特開-引込盤用キャビネット 図4
  • 特開-引込盤用キャビネット 図5
  • 特開-引込盤用キャビネット 図6
  • 特開-引込盤用キャビネット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038723
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】引込盤用キャビネット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20240313BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
E04H1/12 B
H02B1/30 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142959
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】富田 寿彦
(57)【要約】
【課題】開閉扉の構造の簡素化と部品の組付け工数の削減を図りつつ、電力量計の周囲に配置される電線の紫外線による劣化を防止し、かつ、電力量計の周囲の付属機器が外部から見えることによる見栄えの低下を抑制することができる引込盤用キャビネットを提供する。
【解決手段】引込盤用キャビネットは、キャビネット基体16と、開閉扉15aと、光透過性板部材と、遮光膜19と、を備えている。キャビネット基体16は、集合住宅の各戸の積算電力を表示する複数の電力量計13が内部に収容される。開閉扉15aは、複数の電力量計13の前面に跨る領域に開口する確認窓17を有し、キャビネット基体16の前面側に開閉可能に取り付けられる。光透過性板部材は、確認窓17に取り付けられる。遮光膜19は、光透過性板部材のうちの、開閉扉15aの正面視において、各電力量計13の周域となる領域に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の各戸の積算電力を表示する複数の電力量計が内部に収容されるキャビネット基体と、
複数の前記電力量計の前面に跨る領域に開口する確認窓を有し、前記キャビネット基体の前面側に開閉可能に取り付けられる開閉扉と、
前記確認窓に取り付けられる光透過性板部材と、
前記光透過性板部材のうちの、前記開閉扉の正面視において、各前記電力量計の周域となる領域に取り付けられる遮光膜と、
を備えていることを特徴とする引込盤用キャビネット。
【請求項2】
前記遮光膜は、前記光透過性板部材に対して一部、若しくは、全部が剥離可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の引込盤用キャビネット。
【請求項3】
前記開閉扉の前記確認窓の裏面側の周縁部には、裏面方向から前記確認窓の前記周縁部に重ねられる前記光透過性板部材の外周端面を案内する複数のスタッドボルトが突設され、
前記光透過性板部材の外周縁部には、当該外周縁部を裏面側から押さえ込む支持金具が重ねられ、
前記支持金具は、各前記スタッドボルトに締め込まれる固定ナットによって前記光透過性板部材とともに前記開閉扉に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の引込盤用キャビネット。
【請求項4】
前記支持金具の外周縁部には、前記光透過性板部材の厚みとほぼ同高さの屈曲壁が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の引込盤用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引込盤用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅においては、各戸に電力を供給するために電力網からの電力線の引き込み位置に引込盤が設置される。引込盤は、各戸に電力を供給する電力線の分岐部毎に電力量計や遮断器が設けられている。引込盤の電力量計や遮断器等の分電機器は、多くの場合、引込盤用キャビネットに収容されて敷地内に設置される。
【0003】
引込盤用キャビネットは、前面側が開口し、電力量計や遮断器等が内部に設置されるボックス状のキャビネット基体と、キャビネット基体の開口を開閉可能に閉塞する開閉扉と、を備えている。開閉扉は、キャビネット基体の開口を閉じた状態で施錠され、特定の人以外は内部にアクセスできなくなっている。
また、開閉扉のうちの、キャビネット基体内の各電力量計に対応する位置(各電力量計の前方位置)には、電力量計のメータを視認するための確認窓が形成されている。また、開閉扉の各確認窓には、ガラス板等の光透過性板部材が取り付けられている。
【0004】
しかし、この引込盤用キャビネットの場合、各電力量計に対応する個数の確認窓を開閉扉に形成し、各確認窓に光透過性板部材を個別に取り付けなければならない。このため、この引込盤用キャビネットでは、開閉扉の構造が複雑になるうえに、製造時に部品の組付け工数が増大してしまう。
【0005】
この対策として、開閉扉の複数の電力量計に跨る領域に連続した大型の開口を形成し、その開口に一枚の光透過性板部材を取り付けるようにした引込盤用キャビネットが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7100443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の引込盤用キャビネットは、連続した開口を通して、複数の電力量計を外部から視認できる構造とされているため、開閉扉の構造が簡素になり、製造時における部品の組付け工数も削減される。
しかし、上記従来の引込盤用キャビネットは、複数の電力量計の前面に跨るように連続した開口が開閉扉に形成されているため、各電力量計の周囲に配置される電線が開口を通して紫外線(太陽光)に晒され、その電線が紫外線によって劣化することが懸念される。また、上記従来の引込盤用キャビネットの場合、各電力量計の周囲に配置された電線やその他の付属機器が開口を通して外部から見え、外部からの見栄えが低下し易い。
【0008】
そこで本発明は、開閉扉の構造の簡素化と部品の組付け工数の削減を図りつつ、電力量計の周囲に配置される電線の紫外線による劣化を防止し、かつ、電力量計の周囲の付属機器が外部から見えることによる見栄えの低下を抑制することができる引込盤用キャビネットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る引込盤用キャビネットは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る引込盤用キャビネットは、集合住宅の各戸の積算電力を表示する複数の電力量計が内部に収容されるキャビネット基体と、複数の前記電力量計の前面に跨る領域に開口する確認窓を有し、前記キャビネット基体の前面側に開閉可能に取り付けられる開閉扉と、前記確認窓に取り付けられる光透過性板部材と、前記光透過性板部材のうちの、前記開閉扉の正面視において、各前記電力量計の周域となる領域に取り付けられる遮光膜と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成により、キャビネット基体の内部に収容された複数の電力量計の前面は、開閉扉の確認窓に取り付けられた光透過性板部材を通して外部から視認することができる。確認窓は、複数の電力量計の前面に跨るように連続して形成されているため、個々の電力量計に対応するように複数の光透過性板部材を個別に設置する必要がない。このため、開閉扉の構造を簡素化することができ、かつ、開閉扉に対する部品の組付け工数も削減することができる。
また、光透過性板部材のうちの、正面視において、各電力量計の周域となる領域に遮光膜が取り付けられているため、各電力量計の周域に配置される配線には外部から紫外線(太陽光)が直接当たりにくくなる。さらに、各電力量計の周域に配置される電線その他の付属機器は遮光膜によって隠され、外部から付属機器が見えにくくなる。
【0011】
前記遮光膜は、前記光透過性板部材に対して一部、若しくは、全部が剥離可能とされるようにしても良い。
【0012】
この場合、電力量計の設置個数の変更やキャビネット基体内の電力量計の配置の変更があっても、遮光膜を適宜剥離し、必要に応じて新たな遮光膜を光透過性板部材に取り付けることができる。このため、本構成を採用した場合には、キャビネット基体の内部の設計変更に柔軟に対応することができる。
【0013】
前記開閉扉の前記確認窓の裏面側の周縁部には、裏面方向から前記確認窓の前記周縁部に重ねられる前記光透過性板部材の外周端面を案内する複数のスタッドボルトが突設され、前記光透過性板部材の外周縁部には、当該外周縁部を裏面側から押さえ込む支持金具が重ねられ、前記支持金具は、各前記スタッドボルトに締め込まれる固定ナットによって前記光透過性板部材とともに前記開閉扉に固定されるようにしても良い。
【0014】
本形態の引込盤用キャビネットは、開閉扉の確認窓に光透過性板部材を取り付ける場合には、最初に、開閉扉の裏面側から複数のスタッドボルトの内側に光透過性板部材を挿入配置する。このとき、光透過性板部材の外周端面がスタッドボルトに案内されることにより、光透過性板部材は、確認窓の裏面側の外周縁部の適正位置に重ねられるようになる。この後、光透過性板部材の外周縁部に裏面側から支持金具を重ね、各スタッドボルトに固定ナットを締め込むことにより、支持金具を光透過性板部材とともに開閉扉に固定する。
この結果、光透過性板部材は、確認窓の裏面側の適正位置に精度良く、容易に取り付けられることになる。また、光透過性板部材がこうして確認窓の裏面側に取り付けられると、光透過性板部材の外周縁部が支持金具によって高い剛性をもって補強されることになる。光透過性板部材は、複数の電力量計の前面に跨る開口面積の大きい確認窓の周縁部に取り付けられるため、全体の剛性や強度が低下し易い。しかし、本構成では、光透過性板部材の裏面側の外周縁部を剛性の高い支持金具によって効率良く補強できるため、光透過性板部材の全体の剛性や強度を充分に高く維持することができる。
【0015】
前記支持金具の外周縁部には、前記光透過性板部材の厚みとほぼ同高さの屈曲壁が設けられるようにしても良い。
【0016】
この場合、スタッドボルトに対する固定ナットの締め込みにより、支持金具が光透過性板部材とともに開閉扉に固定されると、支持金具の屈曲壁が光透過性板部材の外側で開閉扉の裏面に当接することになる。この結果、固定ナットの締め込みによって支持金具が過大な力で光透過性板部材に押し付けられるのを抑制することが可能になるとともに、光透過性板部材の周縁部に異物が進入するのを屈曲壁によって阻止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る引込盤用キャビネットは、開閉扉の複数の電力量計の前面に跨る領域に確認窓が設けられ、その確認窓に光透過性板部材が取り付けられているため、開閉扉の構造を簡素化し、部品の組付け工数も削減することができる。また、本発明に係る引込盤用キャビネットは、光透過性板部材のうちの、開閉扉の正面視において、各電力量計の周域となる領域に遮光膜が取り付けられている。このため、電力量計の周囲に配置される電線の紫外線による劣化を防止し、かつ、電力量計の周囲の付属機器が外部から見えることによる見栄えの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態の引込盤用キャビネットの正面図である。
図2図2は、本発明の実施形態の引込盤用キャビネットの分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態の左側の開閉扉部分の正面図である。
図4図4は、本発明の実施形態の左側の開閉扉の裏面図である。
図5図5は、本発明の実施形態の支持金具を取り付ける前の左側の開閉扉の裏面図である。
図6図6は、本発明の実施形態の支持金具を取り付ける前の左側の開閉扉の斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態の支持金具を取り付けた後の左側の開閉扉の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、図面の適所には、引込盤用キャビネット1の鉛直上方を指す矢印UPと、引込盤用キャビネット1の前方を指す矢印FRが記されている。また、本実施形態の説明において、左右については、引込盤用キャビネット1を正面から見ての左右を意味するものとする。
【0020】
図1は、引込盤用キャビネット1の正面図であり、図2は、引込盤用キャビネット1の斜視図である。
引込盤用キャビネット1は、集合住宅の建造物の壁面に取り付けられ、分電機器が内部に収容される長方体状のキャビネット本体10と、キャビネット本体10の下面に取り付けられ、キャビネット本体10を設置面2(例えば、床面や路面)上に支持する一対の補助金具11と、キャビネット本体10の下方の配線スペースの外側を覆う遮蔽パネル12と、を備えている。
【0021】
キャビネット本体10の内部には、分電機器である複数の電力量計13や図示しない遮断器やルータ、分電配線、信号配線等が収容されている。複数の電力量計13と、遮断器やルータ等は基盤14a,14b,14cに取り付けられた状態でキャビネット本体10の内部に配置されている。
【0022】
キャビネット本体10は、前面側に複数の開閉扉15a,15b,15cが開閉可能に取り付けられるキャビネット基体16を備えている。キャビネット基体16は、例えば、正面視が略正方形状で、奥行寸法が正面視の幅や高さよりも小さい形状とされている。本実施形態では、左側の開閉扉15aは、キャビネット基体16の左端をヒンジ中心として開閉可能とされている。中央の開閉扉15bと右側の開閉扉15cは、観音開き状に左右に開閉可能とされている。各開閉扉15a,15b,15cは、キャビネット基体16の前方を閉じた状態で施錠可能とされている。
【0023】
複数の電力量計13は、キャビネット基体16の内部の左側の開閉扉15aの後方位置に配置されている。各電力量計13は、前面側に集合住宅の各戸の積算電力(消費電力)を表示するメータ表示部13aが設けられている。本実施形態の場合、複数の電力量計13は、左側の開閉扉15aの後方側の基盤14a上に、複数段、複数列(例えば、上下に五段、左右に二列)に並んで配置されている。複数の電力量計13は、上下方向と左右方向に一定間隔をあけて配列されている。
【0024】
図3は、キャビネット本体10の左側の開閉扉15a部分の正面図である。図4は、左側の開閉扉15aを裏面側から見た図である。
開閉扉15aには、総ての電力量計13の前面(メータ表示部13a)に跨るように連続した確認窓17が形成されている。本実施形態では、確認窓17は、総ての電力量計13のメータ表示部13aと、各メータ表示部13aの周域部と、に跨るように縦長の矩形状に形成されている。確認窓17は、縦長の矩形状の一枚のガラス板18によって閉塞されている。ガラス板18は、確認窓17の外周縁部に裏面側から取り付けられている。
なお、本実施形態では、ガラス板18が光透過性板部材を構成している。本実施形態では、光透過性板部材としてガラス板18を採用しているが、光透過性板部材はガラス板18に限定されない。光透過性板部材は、例えば、透明な樹脂材料等からなる板状の部材であっても良い。
【0025】
ガラス板18には、開閉扉15aの正面視において、各電力量計13のメータ表示部13aの周域となる領域に遮光膜19が取り付けられている。なお、図2では、図示の都合上、遮光膜19は省略されている。遮光膜19は、例えば、全体が遮光性の着色面から成るシート材や、遮光性のドット模様を持つシート材、遮光性のデザイン柄や絵柄を持つシート材によって形成することができる。この場合、シート材は、例えば、ガラス板18の裏面側から接着剤や粘着剤によって貼り付けることができる。シート材は、その一部、若しくは、全部が必要に応じて剥離可能な材質や形状とされている。シート材は、例えば、所望の位置での剥離を容易にするために破断容易部(例えば、微細な貫通孔を線状に配置したもの)を設けるようにしても良い。
また、遮光膜19は、例えば、黒色セラミック等から成り、ガラス板18の表面に直接印刷される印刷層であっても良い。この場合も、印刷層から成る遮光膜19は、必要に応じて一部、若しくは、全部が剥離可能であることが望ましい。
【0026】
ガラス板18は、その外周縁部が開閉扉15aの確認窓17の裏面側の外周縁部に重ねられ、その状態で外周縁部が複数の支持金具20A,20Bによって押さえ込まれて開閉扉15aに固定されている。ガラス板18の上辺と下辺は、支持金具20Aによって押さえ込まれ、ガラス板18の左右の側辺は、支持金具20Bによって押さえ込まれる。支持金具20A,20Bは、正面視が長尺な矩形状に形成されている。ガラス板18の上辺と下辺を押さえ込む支持金具20Aは、ガラス板18の左右の側辺を押さえ込む支持金具20Bよりも長尺方向の長さが短くなっている。
【0027】
図5は、支持金具20A,20Bを取り付ける前の開閉扉15の裏面図である。図6は、支持金具20A,20Bを取り付ける前の開閉扉15の上隅部を裏面側から見た斜視図である。また、図7は、支持金具20A,20Bを取り付けた後の開閉扉15の上隅部を裏面側から見た斜視図である。
図5図6に示すように、開閉扉15aの確認窓17(図1参照)の裏面側の周縁部には、複数のスタッドボルト21が突設されている。本実施形態の例では、スタッドボルト21は、確認窓17の上辺と下辺に夫々沿って等間隔に3つ突設されている。また、スタッドボルト21は、確認窓17の左右の側辺に夫々沿って等間隔に7つ突設されている。開閉扉15aの裏面に突設された複数のスタッドボルト21は、これらの軸部の内側領域にガラス板18の挿入が可能とされている。確認窓17の上辺側のスタッドボルト21の軸部の内側を結ぶ直線と、下辺側のスタッドボルト21の軸部の内側を結ぶ直線と、確認窓17の左右の各側辺側のスタッドボルト21の軸部の内側を結ぶ直線は、上下方向に長い矩形状の仮想枠を形成する。このスタッドボルト21による矩形状の仮想枠は、ガラス板18の外周形状よりも僅かに大きい形状とされている。
【0028】
ガラス板18は、開閉扉15aの裏面側に取り付けられるときに、図6に示すように、外周端面18eが複数のスタッドボルト21の軸部によって案内される。具体的には、ガラス板18は、開閉扉15aの確認窓17の外周縁部に裏面側から重ねられる際に、外周端面18eが複数のスタッドボルト21の軸部の外周面に摺接することにより、安定姿勢で確認窓17の外周縁部の裏面の規定の位置に誘導される。
【0029】
こうして、開閉扉15aの裏面側の確認窓17の外周縁部に重ねられたガラス板18の外周縁部には、図7に示すように、支持金具20A,20Bが裏面側から重ねられる。
支持金具20A,20Bは、図7に示すように、ガラス板18の裏面側の外周縁部に重ねられる基板部20Aa,20Baと、基板部20Aa,20Baの短尺方向の側辺に設けられた屈曲壁20Ab,20Bbと、を備えている。屈曲壁20Ab,20Bbは、基板部20Aa,20Baがガラス板18の裏面側に重ねられたときに、ガラス板18の外周端面18eに対し、当接、若しくは、近接した状態で対向する。屈曲壁20Ab,20Bbの基板部20Aa,20Baからの突出高さは、ガラス板18の厚みとほぼ同高さに設定されている。
なお、開閉扉15aの確認窓17の外周縁部とガラス板18の外周縁部の間には、弾性を有する図示しないシール部材が介装されている。
【0030】
また、各支持金具20A,20Bの基板部20Aa,20Baには、開閉扉15aに突設されたスタッドボルト21の軸部が挿通可能な挿通孔22が形成されている。各挿通孔22は、スタッドボルト21の軸部に対応する位置に形成されており、支持金具20A,20Bの基板部20Aa,20Baがガラス板18の裏面側の外周縁部に重ねられるときに、各挿通孔22に、対応するスタッドボルト21の軸部が挿通される。
【0031】
上述のように各支持金具20A,20Bの基板部20Aa,20Baがガラス板18の裏面側の外周縁部に重ねられた後には、図7中に仮想線で示すように、各スタッドボルト21の軸部の先端に固定ナット23が締め込まれる。こうして、各固定ナット23が締め込まれると、ガラス板18の外周縁部が支持金具20A,20Bとともに開閉扉15aに固定される。
【0032】
<実施形態の効果>
本実施形態の引込盤用キャビネット1は、開閉扉15aの複数の電力量計13の前面(メータ表示部13a)に跨る領域に連続した確認窓17が形成され、その確認窓17にガラス板18(光透過性板部材)が取り付けられている。このため、電力量計13毎に開閉扉15aに個別に確認窓を設ける場合に比較して開閉扉15aの構造を簡素化することができるうえ、部品(ガラス板)の組付け工数を削減することができる。
さらに、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、ガラス板18(光透過性板部材)のうちの、開閉扉15aの正面視において、各電力量計13の周域となる領域に遮光膜19が取り付けられている。このため、各電力量計13の周囲に配置される電線に紫外線(太陽光)が直接当たるのを遮光膜19によって遮ることができるうえ、各電力量計13の周囲の電線やその他の付属機器を遮光膜19によって覆い隠すことができる。
したがって、本実施形態の引込盤用キャビネット1を採用した場合には、開閉扉15aの構造の簡素化と部品の組付け工数の削減を図りつつ、電力量計13の周囲に配置される電線の紫外線による劣化を防止し、かつ、電力量計13の周囲の付属機器が外部から見えることによる見栄えの低下を抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、ガラス板18(光透過性板部材)に対して遮光膜19の一部、若しくは、全部が剥離可能とされている。このため、電力量計13の設置個数の変更やキャビネット基体16内の電力量計13の配置の変更があっても、遮光膜19を適宜剥離し、必要に応じて新たな遮光膜19をガラス板18に取り付けることができる。
したがって、本構成を採用した場合には、キャビネット基体16の内部の設計変更に柔軟に対応することができる。
【0034】
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、開閉扉15aの確認窓17の裏面側の周縁部に複数のスタッドボルト21が突設され、ガラス板18がスタッドボルト21の軸に案内された状態で支持金具20A,20Bがガラス板18の外周縁部に重ねられている。そして、この状態で各スタッドボルト21に固定ナット23が締め込まれることにより、支持金具20A,20Bがガラス板18とともに開閉扉15aに固定されている。このため、ガラス板18を開閉扉15aに取り付ける際には、複数のスタッドボルト21による案内機能により、ガラス板18を確認窓17の裏面側の適正位置に精度良く、容易に取り付けることができる。
【0035】
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、複数の電力量計13の前面に跨るように、開閉扉15aに開口面積の大きい連続した確認窓17が形成され、その確認窓17に大型の一枚のガラス板18が取り付けられている。このため、確認窓17の外周縁部に固定されるガラス板18は,全体の剛性や強度が低下し易い。しかし、本実施形態では、ガラス板18の外周縁部に裏面側から支持金具20A,20Bが重ねられ、固定ナット23による締め込みによって支持金具20A,20Bがガラス板18の外周縁部を挟み込んだ状態で開閉扉15aに固定されている。このため、本構成を採用した場合には、支持金具20A,20Bによってガラス板18の外周縁部を充分に補強し、ガラス板18の全体の剛性と強度を高めることができる。
【0036】
さらに、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、支持金具20A,20Bの外周縁部に、ガラス板18の厚みとほぼ同高さの屈曲壁20Ab,20Bbが延設されている。このため、スタッドボルト21に対する固定ナット23の締め込みにより、支持金具20A,20Bがガラス板18とともに開閉扉15aに固定されると、支持金具20A,20Bの屈曲壁20Ab,20Bbがガラス板18の外側で開閉扉15aの裏面に当接する。
したがって、本構成を採用した場合には、固定ナット23の締め込みによって支持金具20A,20Bがガラス板18に過大な力で押し付けられるのを抑制できるとともに、ガラス板18の外周縁部に異物が進入するのを屈曲壁20Ab,20Bbによって阻止することができる。
【0037】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、複数段、複数列に配置された複数の電力量計13の前面に跨るように開閉扉15aに確認窓17が形成されているが、確認窓は、横一列に配置された複数の電力量計の前面に跨るように開閉扉に形成するようにしても良い。また、確認窓は、上下に一列に配置された複数の電力量計の前面に跨るように開閉扉に形成するようにしても良い。さらに、一つの開閉扉に形成する確認窓は二つ以上であっても良い。いずれの場合も、確認窓に取り付けられる少なくとも一つの光透過性板部材に、開閉扉の正面視において、各電力量計の周域となる領域に遮光膜が取り付けられていれば良い。
また、確認窓の形成される開閉扉は一つに限定されない。複数の電力量計が複数の開閉扉に臨むように配置されている場合には、確認窓は複数の開閉扉に形成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1…引込盤用キャビネット
13…電力量計
15a…開閉扉
16…キャビネット基体
17…確認窓
18…ガラス板(光透過性板部材)
19…遮光膜
18e…外周端面
20A,20B…支持金具
20Ab,20Bb…屈曲壁
21…スタッドボルト
23…固定ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7