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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038726
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】引込盤用キャビネット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20240313BHJP
   H02B 1/01 20060101ALI20240313BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
E04H1/12 B
H02B1/01 B
H02B1/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142963
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】富田 寿彦
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016BB05
5G016DB03
(57)【要約】
【課題】外部からの見栄えの向上と、キャビネット本体の下方の充分なスペースの確保の両立を図ることができる引込盤用キャビネットを提供する。
【解決手段】引込盤用キャビネットは、キャビネット本体10と、支持構造体と、遮蔽パネル12と、を備える。キャビネット本体10は、建造物の壁面に取り付けられ、分電機器を内部に収容する。支持構造体は、キャビネット本体10の下面に取り付けられ、キャビネット本体10を設置面上に支持する。遮蔽パネル12は、キャビネット本体10の下方の配線スペースの外側を覆う。支持構造体は、キャビネット本体10の幅方向の両側の端部から離間した位置に、相互に幅方向に離間して配置される複数の補助金具11から成る。遮蔽パネル12は、キャビネット本体10の前面、及び、両側の側面と面一に配置される前壁12f、及び、一対の側壁12sを有し、キャビネット本体10に固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の壁面に取り付けられ、分電機器を内部に収容するキャビネット本体と、
前記キャビネット本体の下面に取り付けられ、前記キャビネット本体を設置面上に支持する支持構造体と、
前記キャビネット本体の下方の配線スペースの外側を覆う遮蔽パネルと、
を備え、
前記支持構造体は、前記キャビネット本体の幅方向の両側の端部から離間した位置に、相互に前記幅方向に離間して配置される複数の補助金具から成り、
前記遮蔽パネルは、前記キャビネット本体の前面、及び、両側の側面と面一に配置される前壁、及び、一対の側壁を有するとともに、前記キャビネット本体に脱着可能に固定されていることを特徴とする引込盤用キャビネット。
【請求項2】
少なくとも一つの前記補助金具には、前記遮蔽パネルを位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の引込盤用キャビネット。
【請求項3】
前記遮蔽パネルの前記前壁の下端には、後方側に屈曲し、かつ、係止孔を有する屈曲壁が設けられ、
少なくとも一つの前記補助金具の下端には、前記係止孔に係合可能な前記位置決め部である係合爪が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の引込盤用キャビネット。
【請求項4】
前記屈曲壁の後縁部には、後方側から前記係止孔に連通するとともに、前記係合爪の挿入を許容する爪挿入開口が設けられ、
前記係止孔は、前記爪挿入開口との連通部から幅方向の一側に延びていることを特徴とする請求項3に記載の引込盤用キャビネット。
【請求項5】
少なくとも一つの前記補助金具は、引込配線が挿通させる配線ガイド孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の引込盤用キャビネット。
【請求項6】
前記遮蔽パネルの上縁部には、前記キャビネット本体の下面に沿って延びる締結フランジが設けられ、
前記締結フランジは、前記キャビネット本体の下壁に当該キャビネット本体の内部側から締結固定されていることを特徴とする請求項1に記載の引込盤用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引込盤用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅においては、各戸に電力を供給するために電力網からの電力線の引き込み位置に引込盤が設置される。引込盤は、各戸に電力を供給する電力線の分岐部毎に電力量計や遮断器が設けられている。引込盤の電力量計や遮断器等の分電機器は、多くの場合、引込盤用キャビネットに収容されて敷地内に設置される。
【0003】
引込盤用キャビネットは、分電機器を内部に収容するキャビネット本体が建造物の壁面に取り付けられ、設置面から上方に引き出された電力線がキャビネット本体の内部に引き入れられる。
この種の引込用キャビネットとして、建造物の壁面に取り付けるキャビネット本体の支持安定性を高めるために、設置面に載置される支持構造体がキャビネット本体の下面に取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示される引込盤用キャビネットは、キャビネット本体の下面の幅方向の両端部に取り付けられた一対のチャンネル部材によって支持構造体が構成されている。各チャンネル部材は、コ字状断面の中央壁が鉛直方向に起立し、中央壁の上端側の屈曲壁がキャビネット本体の下面に固定され、中央壁の下端側の屈曲壁が設置面上に固定される。鉛直方向に起立する中央壁には、電力線が引き入れられる配線挿通孔が形成されている。チャンネル部材のコ字状断面の凹形状部は幅方向の外側に向かって開口し、その凹形状部内の空間に電力線の引込部が配置される。また、中央壁の配線挿通孔に挿通された電力線は、キャビネット本体の下壁を貫通し、キャビネット本体の内部に引き入れられている。一対のチャンネル部材の間の前方側の開口は遮蔽パネル(前面カバー)によって閉塞されている。遮蔽パネルは、キャビネット本体の下方において、配線や部品の組付け等の作業を終えた後に、幅方向両側のチャンネル部材にねじ止め等によって脱着可能に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-78116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される引込盤用キャビネットは、キャビネット本体の下方前方側を覆う遮蔽パネルが一対のチャンネル部材にねじ止め等によって取り付けられている。このため、外部からの見栄えを良好にするために遮蔽パネルの前面をキャビネット本体の前面と面一にしようとすると、チャンネル部材の前面位置をキャビネット本体の前面位置の近傍まで延ばす必要が生じる。しかし、チャンネル部材の前面位置をキャビネット本体の前面位置の近傍まで延ばした場合、キャビネット本体の下側前方からの作業スペースがチャンネル部材によって狭められてしまう。
【0007】
また、特許文献1に開示される引込盤用キャビネットでは、左右のチャンネル部材の側方の凹形状部と、その内側空間に配置される配線等がそのまま外部に露出している。このため、外部からの見栄えを良好にするための対策として、チャンネル部材の凹部を遮蔽パネルによって覆う対応が考えられる。この場合、外部からの見栄えをより良好にするために、遮蔽パネルの側面をキャビネット本体の側面と面一にしようとすると、チャンネル部材の側面位置をキャビネット本体の側面位置の近傍に配置する必要が生じる。しかし、チャンネル部材の側面位置をキャビネット本体の側面位置の近傍に配置すると、キャビネット本体の下側方の部品配置スペースが狭められてしまう。
このため、特許文献1に開示される引込盤キャビネットは、外部からの見栄えの向上と作業スペースや部品配置スペースの確保の両立が難しく、この点の改善が望まれている。
【0008】
そこで本発明は、外部からの見栄えの向上と、キャビネット本体の下方の充分なスペースの確保の両立を図ることができる引込盤用キャビネットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る引込盤用キャビネットは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る引込盤用キャビネットは、建造物の壁面に取り付けられ、分電機器を内部に収容するキャビネット本体と、前記キャビネット本体の下面に取り付けられ、前記キャビネット本体を設置面上に支持する支持構造体と、前記キャビネット本体の下方の配線スペースの外側を覆う遮蔽パネルと、を備え、前記支持構造体は、前記キャビネット本体の幅方向の両側の端部から離間した位置に、相互に前記幅方向に離間して配置される複数の補助金具から成り、前記遮蔽パネルは、前記キャビネット本体の前面、及び、両側の側面と面一に配置される前壁、及び、一対の側壁を有するとともに、前記キャビネット本体に脱着可能に固定されていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成により、キャビネット本体は、複数の補助金具を介して設置面上に支持され、その状態で建造物の壁面に取り付けられる。これにより、キャビネット本体は、建造物に安定した状態で固定され、かつ、建造物に対する取付作業も容易になる。また、複数の補助金具は、キャビネット本体の幅方向の両側の端部から離間した位置に、相互に幅方向に離間して配置されている。このため、遮蔽パネルを取り外した状態では、補助金具の左右の広いスペースを利用して配線等の作業を容易に行うことができるとともに、多くの部品を余裕をもって配置することができる。
また、遮蔽パネルは、その前壁と一対の側壁がキャビネット本体の前面、及び、両側の側面と面一になるようにキャビネット本体に脱着可能に固定されている。このため、遮蔽パネルの外側面がキャビネット本体の外側面と面一となり、外部からの見栄えが良好になる。
また、本構成では、遮蔽パネルがキャビネット本体に固定されるため、遮蔽パネルを複数の補助金具の主要部から離間して配置することができる。このため、遮蔽パネルを取り外した状態では、キャビネット本体の下方により広い作業スペースを確保することが可能になる。また、遮蔽パネルを取り付けた状態では、キャビネット本体の下方により広い部品の配置スペースを確保することができる。
【0011】
少なくとも一つの前記補助金具には、前記遮蔽パネルを位置決めする位置決め部が設けられるようにしても良い。
【0012】
この場合、遮蔽パネルを補助金具に位置決めした状態で、遮蔽パネルをキャビネット本体に固定することができる。このため、遮蔽パネルをキャビネット本体の適正な位置に容易に固定することが可能になる。
【0013】
前記遮蔽パネルの前記前壁の下端には、後方側に屈曲し、かつ、係止孔を有する屈曲壁が設けられ、少なくとも一つの前記補助金具の下端には、前記係止孔に係合可能な前記位置決め部である係合爪が設けられるようにしても良い。
【0014】
この場合、遮蔽パネルの下端に設けられた屈曲壁の係止孔を、補助金具の係合爪に係合することにより、遮蔽パネルの下端を補助金具に位置決めすることができる。遮蔽パネルは、こうして補助金具に位置決めした状態で、キャビネット本体に固定することができる。
【0015】
前記屈曲壁の後縁部には、後方側から前記係止孔に連通するとともに、前記係合爪の挿入を許容する爪挿入開口が設けられ、前記係止孔は、前記爪挿入開口との連通部から幅方向の一側に延びる形状であっても良い。
【0016】
この場合、遮蔽パネルを補助金具に位置決めする場合には、遮蔽パネルの屈曲壁の爪挿入開口を補助金具の係合爪の前方から近付け、係合爪を爪挿入開口に挿入する。この状態から遮蔽パネルを幅方向にスライドさせることにより、補助金具の係合爪を屈曲壁の係止孔に係合させる。これにより、遮蔽パネルを補助金具に容易に位置決めすることが可能になる。
【0017】
少なくとも一つの前記補助金具は、引込配線が挿通させる配線ガイド孔が設けられるようにしても良い。
【0018】
この場合、引込配線を補助金具の配線ガイド孔に挿通させることにより、引込配線の配線が容易になるとともに、引込配線を補助金具によって保護することが可能になる。
【0019】
前記遮蔽パネルの上縁部には、前記キャビネット本体の下面に沿って延びる締結フランジが設けられ、前記締結フランジは、前記キャビネット本体の下壁に当該キャビネット本体の内部側から締結固定されるようにしても良い。
【0020】
この場合、遮蔽パネルの締結フランジがキャビネット本体の下壁にキャビネット本体の内側から締結固定されるため、締結フランジをキャビネット本体に締結する締結部材の頭部に雨水等の外部の水滴がかからなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、締結部材やその周域部の錆発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る引込盤用キャビネットは、支持構造体が、キャビネット本体の幅方向の両側の端部から離間した位置に、相互に幅方向に離間して配置される複数の補助金具から成る。そして、キャビネット本体の前面、及び、両側の側面と面一に配置される前壁、及び、一対の側壁を有する遮蔽パネルがキャビネット本体に脱着可能に固定されている。このため、遮蔽パネルの外面がキャビネット本体の外面と面一となって外部からの見栄えが向上し、キャビネット本体の下方の補助金具の周域に広いスペースを確保することが可能になる。したがって、本発明に係る引込盤用キャビネットを採用した場合には、外部からの見栄えの向上と、キャビネット本体の下方の充分なスペースの確保の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態の引込盤用キャビネットの正面図である。
図2図2は、本発明の実施形態の引込盤用キャビネットの斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態の引込盤用キャビネットの分解斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態の引込盤用キャビネットの別の分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態の引込盤用キャビネットの一部の分解斜視図である。
図6図6は、図3のVI矢視に対応する斜視図である。
図7図7は、図3のVII矢視に対応する斜視図である。
図8図8は、図1のVIII矢視に対応する下面図である。
図9図9は、遮蔽パネルの組付け手順を示す図8と同様の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、図面の適所には、引込盤用キャビネット1の鉛直上方を指す矢印UPと、引込盤用キャビネット1の前方を指す矢印FRが記されている。また、本実施形態の説明において、左右については、引込盤用キャビネット1を正面から見ての左右を意味するものとする。
【0024】
図1は、引込盤用キャビネット1の正面図であり、図2は、引込盤用キャビネット1の斜視図である。
引込盤用キャビネット1は、集合住宅の建造物の壁面に取り付けられ、分電機器が内部に収容される長方体状のキャビネット本体10と、キャビネット本体10の下面に取り付けられ、下面が設置面2(例えば、床面や路面)上に当接する一対の補助金具11と、一対の補助金具11に跨って取り付けられる機器固定用パネル20と、キャビネット本体10の下方の配線スペースの外側を覆う遮蔽パネル12と、を備えている。一対の補助金具11は、キャビネット本体10を設置面2(例えば、床面や路面)上に支持する支持構造体を構成している。
【0025】
キャビネット本体10の内部には、分電機器である複数の電力量計13や図示しない遮断器やルータ、分電配線、信号配線等が収容されている。複数の電力量計13と、遮断器やルータ等は基盤14a,14b,14cに取り付けられた状態でキャビネット本体10の内部に配置されている。
【0026】
キャビネット本体10は、前面側に複数の開閉扉15a,15b,15cが開閉可能に取り付けられるキャビネット基体16を備えている。キャビネット基体16は、例えば、正面視が略正方形状で、奥行寸法が正面視の幅や高さよりも小さい形状とされている。本実施形態では、左側の開閉扉15aは、キャビネット基体16の左端をヒンジ中心として開閉可能とされている。中央の開閉扉15bと右側の開閉扉15cは、観音開き状に左右に開閉可能とされている。各開閉扉15a,15b,15cは、キャビネット基体16の前方を閉じた状態で施錠可能とされている。
【0027】
複数の電力量計13は、キャビネット基体16の内部の左側の開閉扉15aの後方位置に配置されている。各電力量計13は、前面側に集合住宅の各戸の積算電力(消費電力)を表示するメータ表示部13aが設けられている。本実施形態の場合、複数の電力量計13は、左側の開閉扉15aの後方側の基盤14a上に、複数段、複数列(例えば、上下に五段、左右に二列)に並んで配置されている。複数の電力量計13は、上下方向と左右方向に一定間隔をあけて配列されている。
【0028】
開閉扉15aには、総ての電力量計13の前面(メータ表示部13a)に跨るように連続した確認窓17が形成されている。本実施形態では、確認窓17は、総ての電力量計13のメータ表示部13aと、各メータ表示部13aの周域部と、に跨るように縦長の矩形状に形成されている。確認窓17は、縦長の矩形状の一枚のガラス板18によって閉塞されている。ガラス板18は、確認窓17の外周縁部に裏面側から取り付けられている。
【0029】
図3は、キャビネット本体10から遮蔽パネル12を取り外した状態を示す分解斜視図である。図4は、キャビネット本体10に対する一対の補助金具11の取付状態を示す分解斜視図である。また、図5は、キャビネット基体16の下壁16lと一対の補助金具11の取付状態を示す斜視図である。
補助金具11は、略コ字状の断面が鉛直方向に延びる脚部11aと、脚部11aの上端を閉塞する上部壁11bと、脚部11aの下端を閉塞する下部壁11cと、を備えている。脚部11aの略コ字状の断面の開口は、引込盤用キャビネット1の一側(右側方)に開口している。一対の補助金具11は、キャビネット本体10の幅方向の両側の端部10eから離間した位置に、相互に左右に(幅方向に)離間した状態でキャビネット基体16の下壁16lに取り付けられている。なお、各補助金具11の脚部11aは、上部壁11bが下壁16lに取り付けられた状態において、キャビネット本体10の前後の端面に対して充分に内側に離間した位置に配置される。
また、各補助金具11は、図5に示すように、上部壁11bがキャビネット基体16の下壁16lの下面にボルト25(締結部材)によって締結固定されている。一対の補助金具11は、下部壁11cの下面が設置面2上に載置される。なお、下部壁11cは、設置面2上の図示しないアンカーボルト等に締結固定するようにしても良い。
一対の補助金具11は、例えば、図3に示すように、設置面2上に設けられた引込配線3(電力網の電力線やネットワーク用の信号線等)の引き出し部4の両側に配置される。
【0030】
遮蔽パネル12は、キャビネット本体10の前面10f(開閉扉15a,15b,15cの前面)、及び、左右両側の側面10s(キャビネット基体16の両側の外側側面)と面一に配置される前壁12f、及び、一対の側壁12sを有する。遮蔽パネル12は、後方側に開口する略コ字状の水平断面形状に形成されている。
【0031】
遮蔽パネル12の前壁12fと左右の側壁12sの各上端部には、キャビネット本体10の下面に沿って延びる締結フランジ12ff,12sfが設けられている。前壁12fの締結フランジ12ffは、前壁12fの上端部から後方側に屈曲して延びている。左右の各側壁12sの締結フランジ12sfは、各側壁12sの上端部から幅方向内側に屈曲して延びている。各締結フランジ12ff,12sfの適所には、固定用のボルト21(締結部材)が挿入される挿通孔22が形成されている。挿通孔22は、各締結フランジ12ff,12sfを板厚方向に貫通している。
【0032】
遮蔽パネル12は、上端部の締結フランジ12ff,12sfがキャビネット基体16の下壁16lの下面に下方から重ねられ、その状態で締結フランジ12ff,12sfが複数のボルト21によってキャビネット本体10(キャビネット基体16)の下壁16lに固定される。締結フランジ12ff,12sfは、キャビネット本体10(キャビネット基体16)の下壁16lに、キャビネット本体10の内部側からボルト21によって固定される。工具によって締め込まれるボルト21の頭部は、キャビネット本体10の内部側に配置される。遮蔽パネル12は、キャビネット本体10にボルト21によって脱着可能に固定される。
【0033】
図6は、図3のVI矢視に対応する斜視図であり、図7は、図3のVII矢視に対応する斜視図である。
これらの図に示すように、各補助金具11の脚部11aは、キャビネット本体10の前面10fと平行な前壁11af及び後壁11arと、前壁11afと後壁11arを連結する連結壁11acと、を備えている。連結壁11acは、キャビネット本体10の側面10sと平行に延在している。連結壁11acには、上下方向に離間して複数の配線ガイド孔40が形成されている。各配線ガイド孔40は、連結壁11acを板厚方向に貫通し、設置面2から引き出された引込配線3の挿通が可能とされている。具体的には、例えば、図3に示すように、設置面2上の引き出し部4から引き出された引込配線3を補助金具11よりも幅方向の外側に引き出す場合には、引込配線3を連結壁11acのいずれかの配線ガイド孔40に挿通して外側に引き出す。これにより、引込配線3を適正位置からの引き出すことができ、しかも、引込配線3を配線ガイド孔40によって保護することができる。
【0034】
また、脚部11aの前壁11afと後壁11arの各延出端には、前側折り返しフランジ11abfと後側折り返しフランジ11abrが夫々設けられている。前側折り返しフランジ11abfは、前壁11afの延出端から後方側に屈曲して延出している。後側折り返しフランジ11abrは、後壁11arの延出端から前方側に屈曲して延出している。前側折り返しフランジ11abfと後側折り返しフランジ11abrは、前壁11afと後壁11arの各延出端に連設されることにより、脚部11aの剛性を高める。
【0035】
また、機器固定用パネル20は、正面視が横長の矩形状のベース壁20bが左右の補強金具11の脚部11aに架設されている。ベース壁20bには、各種の機器が直接、若しくは、図示しないボックスに収納した状態で取り付けられる。
【0036】
ベース壁20bの幅方向の両側の端部には、前方側に屈曲して延びる側部フランジ20sfが延設されている。また、ベース壁20bの上下方向の端部には、同様に前方側に屈曲して延びる上部フランジ20ufと下部フランジ20lfが延設されている。左側の側部フランジ20sfは、図6に示すように、左側の補助金具11の後側折り曲げフランジ11abrに重ねられ、ボルト42(締結部材)によって後側折り曲げフランジ11abrに締結固定されている。同様に、右側の側部フランジ20sfは、図7に示すように、右側の補助金具11の連結壁11acの後縁部に重ねられ、ボルト42(締結部材)によって連結壁11acに締結固定されている。
【0037】
図8は、図1のVIII矢視に対応する下面図である。
遮蔽パネル12の前壁12fの下端の下端には、後方側に屈曲して延びる屈曲壁12fbが延設されている。屈曲壁12fbのうちの、左右の各補助金具11の係合爪30に対応する位置には、各係合爪30が係合される係止孔45が形成されている。係止孔45は、係合爪30の厚みよりも前後幅が僅かに広く、キャビネット本体10の幅方向に沿う方向の長さが係合爪30の幅とほぼ同長さの孔である。係止孔45は、遮蔽パネル12の前壁12fと略平行に幅方向に延びている。
【0038】
また、屈曲壁12fbのうちの、各係止孔45と幅方向の一側で隣接する位置には、係合爪30の幅よりも幅の広い爪挿入開口48が形成されている。爪挿入開口48は、下面視が略矩形状の開口であり、屈曲壁12fbの後端側から係止孔45の前側の開口縁と面一となる位置まで切り欠かれている。爪挿入開口48は係止孔45に連通している。係止孔45は、爪挿入開口48との連通部から幅方向の一側に延びている。
【0039】
図9は、一対の補助金具11とキャビネット本体10に対する遮蔽パネル12の組付け手順を示す図8と同様の下面図である。
以下、図9を参照して、補助金具11とキャビネット本体10に対する遮蔽パネル12の組付け手順について説明する。なお、キャビネット本体10の下面には、一対の補助金具11が予め取り付けられている。
【0040】
最初に、建造物の壁に取り付けたキャビネット本体10の下面と設置面2の間に、遮蔽パネル12を前方側から近付ける。このとき、遮蔽パネル12の下端の屈曲壁12fbの爪挿入開口48の位置を、左右の補助金具11の下端の係合爪30の位置と合致させる。つまり、遮蔽パネル12を、左右の補助金具11に対し、幅方向の一側に予め所定距離オフセットさせた状態で前方側から近接させる。
これにより、図9中の仮想線で示すように、遮蔽パネル12の爪挿入開口48に補助金具11の係合爪30が挿入される。このとき、係合爪30が爪挿入開口48の最深部まで挿入されると、遮蔽パネル12の前壁12fは、上方のキャビネット本体10の前面10fと面一となる。
【0041】
次に、遮蔽パネル12を幅方向の他側にスライド移動させる。このとき、補助金具11の係合爪30は、屈曲壁12fbの爪挿入開口48から係止孔45内に相対的に移動する。この結果、係合爪30が対応する係止孔45に係合し、遮蔽パネル12が一対の補助金具11とキャビネット本体10に対して位置決めされる。遮蔽パネル12の前壁12fと左右の側壁12sは、キャビネット本体10の前面10fと左右の側面10sに対して面一となる。また、このとき遮蔽パネル12の上部の締結フランジ12ff,12sf(図3参照)がキャビネット本体10の下面に重ねられる。
【0042】
この後、遮蔽パネル12の締結フランジ12ff,12sfがキャビネット本体10の下壁16lに複数のボルト21によって締結固定される。このボルト21の締結は、キャビネット本体10の内部側から行われる。
【0043】
<実施形態の効果>
本実施形態の引込盤用キャビネット1は、キャビネット本体10が複数の補助金具11を介して設置面2上に支持され、その状態で建造物の壁面に取り付けられる。このため、建造物に対し、キャビネット本体10を安定した状態で容易に取り付けることができる。
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1では、複数の補助金具11がキャビネット本体10の幅方向の両側の端部から離間した位置に、相互に幅方向に離間して配置されている。このため、遮蔽パネル12を取り外した状態では、補助金具11の左右の広いスペースを利用して配線等の作業を容易に行うことができるとともに、多くの部品を余裕をもって配置することができる。
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1では、遮蔽パネル12の前壁12fと一対の側壁12sがキャビネット本体10の前面10f、及び、両側の側面10sと面一になるように遮蔽パネル12がキャビネット本体10に脱着可能に固定されている。このため、遮蔽パネル12の外側面がキャビネット本体10の外側面と面一となり、外部からの見栄えが良好になる。
さらに、本実施形態の引込盤用キャビネット1では、遮蔽パネル12がキャビネット本体10に固定されるため、遮蔽パネル12を複数の補助金具11の主要部(脚部11a)から離間して配置することができる。このため、遮蔽パネル12を取り外した状態では、キャビネット本体10の下方により広い作業スペースを確保することが可能になる。また、遮蔽パネル12を取り付けた状態では、キャビネット本体10の下方により広い部品の配置スペースを確保することができる。
したがって、本実施形態の引込盤用キャビネット1を採用した場合には、外部からの見栄えの向上と、キャビネット本体10の下方の充分なスペースの確保の両立を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、遮蔽パネル12を位置決めするための位置決め部(係合爪30)が補助金具11に設けられているため、遮蔽パネル12を補助金具11に位置決めした状態で遮蔽パネル12をキャビネット本体10に固定することができる。したがって、本実施形態の引込盤用キャビネット1を採用した場合には、遮蔽パネル12をキャビネット本体10の適正な位置に容易に固定することができる。
【0045】
特に、本実施形態の引込盤用キャビネット1では、遮蔽パネル12の前壁12fの下端に、後方側に屈曲し、かつ、係止孔45を有する屈曲壁12fbが設けられ、補助金具11の下端に、係止孔45に係合可能な係合爪30が設けられている。このため、遮蔽パネル12の下端に設けられた屈曲壁12fbの係止孔45を、補助金具11の係合爪30に係合することにより、遮蔽パネル12の下端を補助金具11に位置決めすることができる。したがって、本構成を採用した場合には、簡単な構成でありながら、遮蔽パネル12をキャビネット本体10の適正な位置に容易に固定することができる。
【0046】
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、遮蔽パネル12の屈曲壁12fbの後縁部に爪挿入開口48が設けられ、屈曲壁12fbの係止孔45が爪挿入開口48との連通部から幅方向の一側に延びている。このため、遮蔽パネル12の爪挿入開口48に補助金具11の係合爪30を挿入し、その状態で遮蔽パネル12を幅方向にスライドさせることにより、補助金具11の係合爪30を屈曲壁12fbの係止孔45に容易に係合させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、遮蔽パネル12を補助金具11により容易に位置決めすることができる。
【0047】
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1では、引込配線3が挿通させる配線ガイド孔40が補助金具11に設けられている。このため、引込配線3を補助金具11の配線ガイド孔40に挿通させることにより、引込配線3の配線が容易になるとともに、引込配線3を補助金具11によって保護することができる。
【0048】
また、本実施形態の引込盤用キャビネット1は、遮蔽パネル12の上縁部に締結フランジ12ff,12sfが設けられ、締結フランジ12ff,12sfが、キャビネット本体10の内部側からキャビネット本体10の下壁16lに締結固定されている。このため、締結フランジ12ff,12sfをキャビネット本体10に締結するボルト21(締結部材)の頭部に雨水等の外部の水滴がかからなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、ボルト21(締結部材)やその周域部の錆発生を抑制することができる。
【0049】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、支持構造体である補助金具11がキャビネット本体10の下面に一対設けられているが、補助金具11の設置個数は一対に限定されない。補助金具11は、キャビネット本体10の下方の幅方向の両側の端部から離間した位置に配置され、かつ、補助金具11同士が幅方向に離間して設置される形態であれば、三つ以上であっても良い。
また、上記の実施形態では、一対の補助金具11に夫々位置決め部(係合爪30)が設けられているが、位置決め部(例えば、係合爪30)は少なくとも一つの補助金具11に設ければ良い。ただし、上記の実施形態のように、一対の補助金具11に夫々位置決め部(係合爪30)を設けるようにした場合には、遮蔽パネル12を安定姿勢でキャビネット本体10の下方に位置決めすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…引込盤用キャビネット
2…設置面
10…キャビネット本体
10f…前面
10s…側面
11…補助金具
12…遮蔽パネル
12f…前壁
12s…側壁
12fb…屈曲壁
12ff,12sf…締結フランジ
30…係合爪(位置決め部)
40…配線ガイド孔40
45…係止孔
48…爪挿入開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9