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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038732
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】レーザプロファイル計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20240313BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20240313BHJP
   B22F 10/28 20210101ALN20240313BHJP
【FI】
G01J1/02 L
B22F12/90
B22F10/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142974
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】成田 竜一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】田原 諭
【テーマコード(参考)】
2G065
4K018
【Fターム(参考)】
2G065AA11
2G065AB09
2G065AB20
2G065BA05
2G065BB10
2G065BB14
2G065BB19
2G065BB49
2G065CA04
2G065CA18
2G065DA05
4K018CA44
4K018DA18
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【課題】より小型で、より正確なレーザプロファイルの計測を行うことが可能なレーザプロファイル計測装置を提供する。
【解決手段】レーザプロファイル計測装置は、第一方向から入射されたレーザの少なくとも一部を透過させて第一方向に進行する計測対象レーザを生成するとともに、レーザの残余の成分を第一方向とは異なる第二方向に反射させることで減衰レーザを生成する反射減衰部と、第一方向における反射減衰部の一方側に設けられ、計測対象レーザを捕捉する捕捉部と、第一方向に延びるとともに、反射減衰部、及び捕捉部を外側から覆うケーシングと、第一方向から見て、ケーシングの周方向の少なくとも一部に設けられた減衰冷却体と、ケーシング、及び減衰冷却体を、レーザの入射方向に向かうように回動可能に支持する回動支持部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向から入射されたレーザの少なくとも一部を透過させて前記第一方向に進行する計測対象レーザを生成するとともに、前記レーザの残余の成分を前記第一方向とは異なる第二方向に反射させることで減衰レーザを生成する反射減衰部と、
前記第一方向における前記反射減衰部の一方側に設けられ、前記計測対象レーザを捕捉する捕捉部と、
前記第一方向に延びるとともに、前記反射減衰部、及び前記捕捉部を外側から覆うケーシングと、
前記第一方向から見て、前記ケーシングの周方向の少なくとも一部に設けられた減衰冷却体と、
前記ケーシング、及び前記減衰冷却体を、前記レーザの入射方向に向かうように回動可能に支持する回動支持部と、
を備えるレーザプロファイル計測装置。
【請求項2】
前記減衰冷却体は、前記第二方向に交差する方向に延びるとともに前記減衰レーザを多重反射させる第一減衰通路、及び該第一減衰通路に連通する第二減衰空間を有する請求項1に記載のレーザプロファイル計測装置。
【請求項3】
前記減衰冷却体は、前記第二方向から見て前記第一減衰通路の入口側端部とは異なる面を通る第一分割面と、前記第二方向から見て前記第二減衰空間を分割する第二分割面と、前記第一分割面及び前記第二分割面とを接続する接続分割面と、によって分割された分割体を有する請求項2に記載のレーザプロファイル計測装置。
【請求項4】
前記第二減衰空間は、前記第一減衰通路に交差する方向に延びている請求項2又は3に記載のレーザプロファイル計測装置。
【請求項5】
前記第二減衰空間は、前記第一方向と前記第二方向に直交する方向から見て、前記第一減衰通路の延びる方向に直交する斜辺、及び前記第二方向に延びる底辺を有する三角形状の断面形状を有する請求項2又は3に記載のレーザプロファイル計測装置。
【請求項6】
前記減衰冷却体は、前記第一減衰通路、及び前記第二減衰空間を有する冷却体本体と、
該冷却体本体の外面に設けられた複数のフィンと、
を有する請求項2に記載のレーザプロファイル計測装置。
【請求項7】
前記減衰冷却体を収容するとともに、内部に冷媒流路を形成するハウジングと、
前記冷媒流路に冷媒ガスを供給するガス供給部と、
をさらに備える請求項1に記載のレーザプロファイル計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザプロファイル計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SLM(Selective Laser Melting)と呼ばれる三次元積層造形方法が知られている。この方法では、チャンバ内に敷き詰められた金属粉末に対してレーザによって熱を加えてこれを溶融・硬化させる工程を層ごとに複数回繰り返すことで目的の造形物が得られる。
【0003】
ここで、良好な造形物を得るためには、レーザのプロファイルを精密に把握・調整しておくことが必要である。レーザのプロファイルとは、レーザのビーム径や空間的な強度分布を指す。SLM造形装置では、実際の加工に用いられるレーザ自体のプロファイルを直接的に計測することが肝要である。このため、チャンバ内に計測装置を配置する必要がある。この種の計測装置として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。下記特許文献1に係る計測装置は、レーザを減衰させる装置と、減衰したレーザのプロファイルを計測する計測部と、を主に備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6384589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SLM造形装置では、チャンバ内に方形の加工領域が設定されている。加工領域の中央部でレーザプロファイルを計測することは無論のこと、周縁部でも同様にレーザプロファイルを計測する必要がある。しかしながら、上記特許文献1に係る計測装置は、寸法体格が大きいのみならず、予め決められた一方向のレーザを計測することしかできない。このため、レーザが中央部とは異なる方向・角度から照射される周縁部では正確なレーザプロファイルの計測が行えないという課題があった。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、より小型で、より正確なレーザプロファイルの計測を行うことが可能なレーザプロファイル計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るレーザプロファイル計測装置は、第一方向から入射されたレーザの少なくとも一部を透過させて前記第一方向に進行する計測対象レーザを生成するとともに、前記レーザの残余の成分を前記第一方向とは異なる第二方向に反射させることで減衰レーザを生成する反射減衰部と、前記第一方向における前記反射減衰部の一方側に設けられ、前記計測対象レーザを捕捉する捕捉部と、前記第一方向に延びるとともに、前記反射減衰部、及び前記捕捉部を外側から覆うケーシングと、前記第一方向から見て、前記ケーシングの周方向の少なくとも一部に設けられた減衰冷却体と、前記ケーシング、及び前記減衰冷却体を、前記レーザの入射方向に向かうように回動可能に支持する回動支持部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より小型で、より正確なレーザプロファイルの計測を行うことが可能なレーザプロファイル計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第一実施形態に係るレーザ加工装置の構成の一例を示す模式図である。
図2】本開示の第一実施形態に係るレーザプロファイル計測装置の移動機構の構成を示す平面図である。
図3】本開示の第一実施形態に係るレーザプロファイル計測装置の回動支持部の構成を示す説明図である。
図4】本開示の第一実施形態に係るレーザプロファイル計測装置の構成を示す断面図である。
図5】本開示の第一実施形態に係る減衰冷却体の構成を示す平面図である。
図6】本開示の第一実施形態に係る減衰冷却体の構成を示す断面図である。
図7】本開示の第一実施形態に係る減衰冷却体の分割面を第二方向から見た図である。
図8】本開示の第一実施形態に係る減衰冷却体の分割面を第三方向から見た図である。
図9】本開示の第一実施形態に係る減衰冷却体の変形例を示す断面図である。
図10】本開示の第二実施形態に係る減衰冷却体、及びハウジングの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係るレーザ加工装置1、及びレーザプロファイル計測装置2について、図1から図8を参照して説明する。
【0011】
(レーザ加工装置の構成)
本実施形態に係るレーザ加工装置1は、SLM(Selective Laser Melting)と呼ばれる三次元積層造形方法を用いた造形装置である。この方法では、チャンバ10内に敷き詰められた金属粉末に対してレーザによって熱を加えてこれを溶融・硬化させる工程を複数の層ごとに繰り返すことで目的の造形物が得られる。
【0012】
図1に示すように、レーザ加工装置1は、チャンバ10と、レーザ照射部11と、を備えている。チャンバ10は、内部の底面に方形の加工領域12を有する箱状をなしている。レーザ照射部11は、上方に設けられた照射点13から加工領域12に向かってレーザLを照射・走査する。不図示の粉末供給装置から金属粉末を供給した状態で、レーザLを予め定められた経路に沿って照射・走査することにより、金属粉末が溶融・硬化して造形物の1つの層が形成される。この動作を複数層にわたって繰り返すことによって造形物が形成される。
【0013】
(レーザプロファイル計測装置の構成)
上記のレーザ加工装置1によって良好な造形物を得るためには、レーザLのプロファイルを精密に把握・調整しておくことが必要である。レーザLのプロファイルとは、レーザLのビーム径や空間的な強度分布を指す。本実施形態に係るレーザプロファイル計測装置2は、このようなレーザLのプロファイルを、加工領域12の中央部14、及び周縁部15でそれぞれ計測するために用いられる。なお、ここで言う周縁部15とは、方形の加工領域12の角部や、辺部に沿った部分を指す。
【0014】
図2に示すように、このレーザプロファイル計測装置2は、加工領域12の平面内でX軸方向とY軸方向に自在にその位置を変えることが可能とされている。具体的には、加工領域12には、X軸レール91と、Y軸レール92と、θ軸回動部93と、が設けられている。X軸レール91は、レーザプロファイル計測装置2をX軸に沿って移動させる。Y軸レール92は、X軸に直交する方向に延びており、当該X軸レール91上でX軸方向に移動可能である。また、レーザプロファイル計測装置2は、このY軸レール92上でY軸方向に移動可能である。θ軸回動部93は、レーザプロファイル計測装置2を、鉛直方向に延びる回動軸X回りに回動可能に支持している。これらX軸レール91、Y軸レール92、θ軸回動部93による動作は、不図示のアクチュエータ、及びエンコーダを用いて自律的に制御されることが望ましい。
【0015】
さらに、図3に示すように、レーザプロファイル計測装置2は、回動支持部24によって下方から支持されている。回動支持部24は、レーザプロファイル計測装置2をレーザLの入射方向に向かうように回動可能な状態で支持する。特に、レーザプロファイル計測装置2のうち、レーザLを捕捉する捕捉部21(後述)がレーザLの入射方向に向かうようにレーザプロファイル計測装置2の姿勢を変える。
【0016】
回動支持部24は、レーザプロファイル計測装置2が設置されるステージ61と、ステージ61を下方から支持する支持台62と、を有する。ステージ61の下面は円弧面状に突出している。支持台62の上面はステージ61の下面に対応する円弧面状に凹没している。この円弧面に沿ってステージ61を回動させることで、当該ステージ61は、水平方向に延びる回動軸X回りに回動する。回動支持部24として具体的にはゴニオステージが好適に用いられる。この回動支持部24の回転中心は、レーザLの照射点13に一致するように設定されている。
【0017】
以上のような、X軸レール91、Y軸レール92、θ軸回動部93、及び回動支持部24によってレーザプロファイル計測装置2の位置と姿勢を三次元的に変化させることが可能とされている。なお、X軸とY軸に直交するZ軸方向の移動は、レーザ加工装置1自体の加工領域12を上下動させる機能によって補完されている。つまり、このレーザプロファイル計測装置2は5軸10方向にわたってその位置と姿勢を変化させることができる。
【0018】
図4に示すように、レーザプロファイル計測装置2は、反射減衰部20と、捕捉部21と、ケーシング22と、減衰冷却体23と、上述の回動支持部24と、を有する。
【0019】
反射減衰部20は、入射されたレーザLの少なくとも一部を入射方向とは異なる方向に反射させるとともに、反射しなかった残余の成分を減衰させることで、計測対象レーザL3を生成する。ここで、レーザLの入射する方向を第一方向D1と呼ぶ。
【0020】
反射減衰部20は、反射減衰素子31と、近接場結合素子32と、を有する。反射減衰素子31は、板状に形成された光学素子であり、第一方向D1に対して約45°傾いた状態でレーザLの経路上に配置されている。反射減衰素子31は、入射したレーザLの少なくとも一部を、第一方向D1に対して90°交差する方向(以下、第二方向D2と呼ぶことがある。)に反射させることで、第一反射光L1(減衰レーザ)を生成する。レーザLの全成分のうち、第一反射光L1を除く残余の成分は第一方向D1に進行する。
【0021】
第一方向D1における反射減衰素子31の一方側(下方)には、近接場結合素子32が設けられている。近接場結合素子32は、例えば国際公開第2017/209277号明細書に示されているように、公知の光学素子である。近接場結合素子32は、2つのプリズムを、隙間をあけて対向配置させることで構成されている。対向面同士の間における近接場光の発生と結合によって、プリズムから出射される光と反射される光出力の比率を変化させることが可能とされている。
【0022】
本実施形態では、この近接場結合素子32に対して上述のレーザLが入射することで、その一部の成分が反射されて第一方向D1とは異なる方向に進行する(第二反射光L2)。レーザLのうち、第二反射光L2を除く残余の成分は近接場結合素子32を透過して第一方向D1に進行する。このように反射減衰素子31、及び近接場結合素子32を通過して第一方向D1に進行する光を計測対象レーザL3と呼ぶ。計測対象レーザL3は、反射減衰素子31に入射する前のレーザLに比べて出力が低下している一方で、ビーム径や空間的な強度分布は反射減衰素子31に入射する前のレーザLと同様である。
【0023】
反射減衰部20の下方(第一方向D1における一方側)には、捕捉部21が設けられている。捕捉部21は、例えばCCDカメラである。捕捉部21は、計測対象レーザL3を捕捉して、外部の演算装置等に画像データとして送信する。当該演算装置での演算を経て、計測対象レーザL3のレーザプロファイルが得られる。
【0024】
上記した反射減衰部20、及び捕捉部21は、ケーシング22によって外側から覆われている。ケーシング22は、第一方向D1から見て、矩形や多角形、又は円形状をなす筒体である。ケーシング22の上方は、レーザLを入射させるために開口している。ケーシング22の周方向の一部には、上記の第一反射光L1を透過させるための開口部25が形成されている。つまり、開口部25は、第一方向D1において、反射減衰部20と重なる位置に形成されている。また、開口部25は、第一方向D1に対する周方向において、第一反射光L1の照射方向と一致する位置に形成されている。開口部25は、ケーシング22を第一方向D1に対する径方向に貫通している。
【0025】
減衰冷却体23は、上記の第一反射光L1を減衰させつつ、その熱エネルギーを外部に放散させるために設けられている。図5に示すように、減衰冷却体23は、第一方向D1から見てケーシング22の外周面における第一方向D1の周方向の一部のみに集約して設けられている。つまり、減衰冷却体23は、ケーシング22が矩形状、多角形状をなしている場合には、ある特定の一の面のみに取り付けられている。図5の例では図示簡略化のため、ケーシング22が矩形断面を有している例について示している。なお、減衰冷却体23は、ケーシング22における第一方向D1の周方向の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0026】
減衰冷却体23は、冷却体本体40と、複数のフィン41と、を有している。フィン41は、冷却体本体40の外面で互いに第一方向D1に延びるとともに第二方向D2に間隔をあけて複数配列されている。図6に示すように、冷却体本体40の内部には、第一反射光L1を減衰させるための第一減衰通路51、及び第二減衰空間52が形成されている。第一減衰通路51の入口側端部53は、上述のケーシング22の開口部25に連通している。望ましくは、第一減衰通路51は、第一反射光L1の進行方向である第二方向D2に対して45°~70°の範囲で交差する方向に延びている。なお、第一減衰通路51の延びる方向は設計や仕様に応じて適宜変更することが可能である。詳しくは図示しないが、第一減衰通路51の入口側端部53を含む一部の区間では、内壁が鏡面仕上げとされている。残余の区間では、内壁に黒色塗料が塗布されている。
【0027】
第二減衰空間52は、第一減衰通路51と連通しつつ、交差する方向に延びている。より好ましくは、第二減衰空間52は、第一減衰通路51と直交する方向に延びている。第一方向D1と第二方向D2に直交する第三方向D3から見て、第二減衰空間52は台形状の断面形状を有している。これは、機械加工上の理由によるものである。したがって、加工方法が許容する限りにおいては、第二減衰空間52は長方形状の断面形状を有していてもよい。これら第一減衰通路51、及び第二減衰空間52に入射した第一反射光L1は、内壁面の間で多重反射を繰り返しながら減衰する。また、第一反射光L1の熱エネルギーは冷却体本体40に吸収される。吸収された熱は、上記のフィン41や冷却体本体40の外面を通じて外部に放散される。
【0028】
次いで、冷却体本体40の詳細な構成について、図7図8を参照して説明する。冷却体本体40は、一対の分割体80によって構成されている。これら分割体80は、第一分割面81、第二分割面82、及び接続分割面83によって区画されている。図7に示すように、第一分割面81は、第二方向D2から見て第一減衰通路51の入口側端部53とは異なる面を通っている。つまり、この入口側端部53を含む領域では、第一減衰通路51は内壁面が連続した管状の通路として形成されている。
【0029】
一方で、第二分割面82は、第二方向D2から見て第二減衰空間52を2つに分割している。つまり、第二方向D2から見て、第一分割面81と第二分割面82は、第三方向D3における位置が異なっている。接続分割面83は、これら第一分割面81と第二分割面82とを第三方向D3に接続している。このため、図8に示すように、一方の分割体80では、入口側端部53側を除く第一減衰通路51と、第二減衰空間52をなす凹部とが露出している。上述した黒色塗料は、この露出している部分に塗布される。
【0030】
(作用効果)
レーザプロファイル計測装置2を使用するに当たっては、まずレーザ加工装置1の加工領域12内にレーザプロファイル計測装置2を配置する。この時、上述したX軸レール91、Y軸レール92、θ軸回動部93を予め設置した上で、レーザプロファイル計測装置2をY軸レール92上に設置する。その後、レーザプロファイル計測装置2の位置や姿勢を自動的に種々に変化させながら、加工領域12の各所でレーザプロファイルの計測が行われる。
【0031】
ところで、SLM造形装置では、加工領域12の中央部14でレーザプロファイルを計測することは無論のこと、周縁部15でも同様にレーザプロファイルを計測する必要がある。しかしながら、従来の計測装置は、寸法体格が大きいのみならず、予め決められた一方向のレーザを計測することしかできない。このため、レーザが中央部14とは異なる方向・角度から照射される周縁部15では正確なレーザプロファイルの計測が行えないという課題があった。そこで、本実施形態では上述の各構成を採っている。
【0032】
上記構成によれば、減衰冷却部がケーシング22の周方向の一部のみに設けられている。加工領域12における周縁部15では、当該減衰冷却部が加工領域12の内壁とは反対側に位置するように姿勢を変化させることで、内壁と減衰冷却体23が干渉することがなくなる。これにより、内壁の近傍までレーザプロファイル計測装置2(ケーシング22自体)を近接させることができる。その結果、周縁部15を含めて、より広い範囲でレーザプロファイルを正確に計測することが可能となる。したがって、最終的に製品の加工精度を向上させることが可能となる。
【0033】
さらに、上記構成によれば、第一減衰通路51、及び第二減衰空間52内でレーザが多重反射することで減衰する。特に、第一減衰通路51が第二方向D2に交差する方向に延びていることから、当該第一減衰通路51にレーザが入射することで、当該レーザ(第一反射光L1)は、第一減衰通路51の内壁に対して反射可能な範囲で入射することとなる。これにより、第一反射光L1の経路を変えるための他の装置を用いることなく、容易に多重反射経路を形成させることができる。その結果、装置の製造コストや運用コストを削減することができる。また、装置の部品点数の削減や寸法体格の小型化も実現することができる。
【0034】
また、上記構成によれば、減衰冷却体23を製造するに当たって、第二分割面82で分割された分割体80のそれぞれに凹部を形成した後、当該分割体80同士を組み合わせることで容易に第二減衰空間52を形成することができる。他方で、第一分割面81は第一減衰通路51とは異なる面を通っている。これにより、第一減衰通路51の入口側端部53を含む区間は継ぎ目のない連続した管状となる。つまり、第一減衰通路51の内壁面には不連続な分割線が発生しない。このため、反射直後の高強度のレーザが入射する入口側端部53におけるレーザの拡散や予期せぬ経路での反射を防ぐことができる。その結果、レーザプロファイル計測装置2をより安定的に運用することが可能となる。
【0035】
さらに、上記構成によれば、第一減衰通路51を通ったレーザは、当該第一減衰通路51に交差する第二減衰空間52に入射する際にさらに大きく減衰される。これにより、レーザを減衰させるための経路長を短くすることができる。その結果、減衰冷却体23の寸法体格をさらに小さく抑えることができる。他方で、第一減衰通路51のみ備える場合には、直線状の経路で減衰させなければならず、経路長が長くなり、装置が大型化する可能性がある。上記構成によれば、このような可能性を回避することができる。
【0036】
また、上記構成によれば、冷却体本体40にフィン41が設けられていることから、当該フィン41の表面積の分だけ、外部との接触面積を増やすことが可能となる。これにより、冷却体本体40の熱を外部に放散させやすくすることができる。したがって、レーザプロファイル計測装置2を長時間にわたってさらに安定的に運用し続けることが可能となる。
【0037】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0038】
例えば、変形例として図9に示すように、第二減衰空間152の断面形状を変更することが可能である。同図の例では、第二減衰空間152は、第三方向D3から見て直角三角形状をなしている。第一減衰通路51の端部は、第二減衰空間152の斜辺上に位置している。また、底辺は第二方向D2に延びている。この構成によれば、第一減衰通路51を通ったレーザは、直角三角形状をなす第二減衰空間152内で多重反射を繰り返し、最終的にさらに大きく減衰された状態となる。これにより、計測対象レーザL3を正確かつ安定的に取り出すことができる。その結果、レーザプロファイルの計測を安定的に行うことができる。
【0039】
<第二実施形態>
続いて、本開示の第二実施形態について、図10を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図10に示すように、本実施形態に係るレーザプロファイル計測装置2は、減衰冷却体23を外側から覆うハウジング70と、このハウジング70内に冷媒ガスを供給するガス供給部71と、をさらに備えている。
【0040】
ハウジング70は、減衰冷却体23を内部に収容するとともに、その上方には開口が形成されている。ハウジング70によって外側から覆われることで、フィン41同士の間には第一方向D1に延びる複数の冷媒流路72が形成される。また、減衰冷却体23の下面とハウジング70の底面との間には空間73が形成されている。この空間73の上面には焼結金属の板材74が取り付けられている。ガス供給部71は、この空間73を通じて冷媒流路72に冷媒ガスを供給する。冷媒ガスとしては、レーザ加工装置1の加工領域12内に雰囲気ガスとして供給されるアルゴンが好適に用いられる。つまり、ガス供給部71はこのアルゴンの供給源に接続されている。
【0041】
上記構成によれば、冷媒通路を流れる冷媒ガスによって減衰冷却体23をより効率的かつ安定的に冷却することができる。また、冷媒ガスとして、レーザ加工に用いられるアルゴンをそのまま転用するため、他のガス供給源を設ける必要がない。これにより、運用コストの大幅な削減も実現することができる。
【0042】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0043】
<付記>
各実施形態に記載のレーザプロファイル計測装置2は、例えば以下のように把握される。
【0044】
(1)第1の態様に係るレーザプロファイル計測装置2は、第一方向D1から入射されたレーザの少なくとも一部を透過させて前記第一方向D1に進行する計測対象レーザを生成するとともに、前記レーザの残余の成分を前記第一方向D1とは異なる第二方向D2に反射させることで減衰レーザを生成する反射減衰部20と、前記第一方向D1における前記反射減衰部20の一方側に設けられ、前記計測対象レーザを捕捉する捕捉部21と、前記第一方向D1に延びるとともに、前記反射減衰部20、及び前記捕捉部21を外側から覆うケーシング22と、前記第一方向D1から見て、前記ケーシング22の周方向の少なくとも一部に設けられた減衰冷却体23と、前記ケーシング22、及び前記減衰冷却体23を、前記レーザの入射方向に向かうように回動可能に支持する回動支持部24と、を備える。
【0045】
上記構成によれば、減衰冷却部がケーシング22の周方向の少なくとも一部に設けられている。これにより、SLM造形装置の加工領域12における周縁部15では、当該減衰冷却部を加工領域12の内壁とは反対側に位置するように姿勢を変化させることで、内壁の近傍までレーザプロファイル計測装置2を近接させることができる。これにより、より広い範囲でレーザプロファイルを正確に計測することが可能となる。
【0046】
(2)第2の態様に係るレーザプロファイル計測装置2は、(1)のレーザプロファイル計測装置2であって、前記減衰冷却体23は、前記第二方向D2に交差する方向に延びるとともに前記減衰レーザを多重反射させる第一減衰通路51、及び該第一減衰通路51に連通する第二減衰空間52を有する。
【0047】
上記構成によれば、第一減衰通路51、及び第二減衰空間52内でレーザが多重反射することで減衰する。特に、第一減衰通路51が第二方向D2に交差する方向に延びていることから、当該第一減衰通路51にレーザが入射することで、容易に多重反射経路を形成させることができる。
【0048】
(3)第3の態様に係るレーザプロファイル計測装置2は、(2)のレーザプロファイル計測装置2であって、前記減衰冷却体23は、前記第二方向D2から見て前記第一減衰通路51の入口側端部53とは異なる面を通る第一分割面81と、前記第二方向D2から見て前記第二減衰空間52を分割する第二分割面82と、前記第一分割面81及び前記第二分割面82とを接続する接続分割面83と、によって分割された分割体80を有する。
【0049】
上記構成によれば、減衰冷却体23を製造するに当たって、第二分割面82で分割された分割体80のそれぞれに凹部を形成した後、当該分割体80同士を組み合わせることで容易に第二減衰空間52を形成することができる。他方で、第一分割面81は第一減衰通路51とは異なる面を通っている。これにより、第一減衰通路51の内壁面には不連続な分割線が発生しない。このため、反射直後の高強度のレーザが入射する第一減衰通路51におけるレーザの拡散や予期せぬ経路での反射を防ぐことができる。
【0050】
(4)第4の態様に係るレーザプロファイル計測装置2は、(2)又は(3)のレーザプロファイル計測装置2であって、前記第二減衰空間52は、前記第一減衰通路51に交差する方向に延びている。
【0051】
上記構成によれば、第一減衰通路51を通ったレーザは、当該第一減衰通路51に交差する第二減衰空間52に入射する際にさらに大きく減衰される。これにより、経路長を短くすることができるため、減衰冷却体23の寸法体格を小さく抑えることができる。
【0052】
(5)第5の態様に係るレーザプロファイル計測装置2は、(2)又は(3)のレーザプロファイル計測装置2であって、前記第二減衰空間52は、前記第一方向D1と前記第二方向D2に直交する方向から見て、前記第一減衰通路51の延びる方向に直交する斜辺、及び前記第二方向D2に延びる底辺を有する三角形状の断面形状を有する。
【0053】
上記構成によれば、第一減衰通路51を通ったレーザは、三角形状をなす第二減衰空間52内で多重反射を繰り返し、最終的に大きく減衰された状態となる。これにより、計測対象レーザを正確かつ安定的に取り出すことができる。その結果、レーザプロファイルの計測を安定的に行うことができる。
【0054】
(6)第6の態様に係るレーザプロファイル計測装置2は、(2)から(5)のいずれか一態様に係るレーザプロファイル計測装置2であって、前記減衰冷却体23は、前記第一減衰通路51、及び前記第二減衰空間52を有する冷却体本体40と、該冷却体本体40の外面に設けられた複数のフィン41と、を有する。
【0055】
上記構成によれば、冷却体本体40にフィン41が設けられていることから、外部との接触面積を増やすことが可能となる。これにより、冷却体本体40の熱を外部に放散させやすくすることができる。
【0056】
(7)第7の態様に係るレーザプロファイル計測装置2は、(1)から(6)のいずれか一態様に係るレーザプロファイル計測装置2であって、前記減衰冷却体23を収容するとともに、内部に冷媒流路72を形成するハウジング70と、前記冷媒流路72に冷媒ガスを供給するガス供給部71と、をさらに備える。
【0057】
上記構成によれば、冷媒通路72を流れる冷媒ガスによって減衰冷却体23をより効率的かつ安定的に冷却することができる。また、冷却機構をチャンバ10の内部で完結することができ、チャンバ10外部へのホース等の配線が不要となるため、装置全体の構成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…レーザ加工装置
2…レーザプロファイル計測装置
10…チャンバ
11…レーザ照射部
12…加工領域
13…照射点
14…中央部
15…周縁部
20…反射減衰部
21…捕捉部
22…ケーシング
23…減衰冷却体
24…回動支持部
25…開口部
31…反射減衰素子
32…近接場結合素子
40…冷却体本体
41…フィン
51…第一減衰通路
52…第二減衰空間
53…入口側端部
61…ステージ
62…支持台
70…ハウジング
71…ガス供給部
72…冷媒流路
73…空間
74…板材
80…分割体
81…第一分割面
82…第二分割面
83…接続分割面
91…X軸レール
92…Y軸レール
93…θ軸回動部
152…第二減衰空間
D1…第一方向
D2…第二方向
D3…第三方向
L…レーザ
L1…第一反射光
L2…第二反射光
L3…計測対象レーザ
X…回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10