IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スタンレー電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用灯具 図1
  • 特開-車両用灯具 図2
  • 特開-車両用灯具 図3
  • 特開-車両用灯具 図4
  • 特開-車両用灯具 図5
  • 特開-車両用灯具 図6
  • 特開-車両用灯具 図7
  • 特開-車両用灯具 図8
  • 特開-車両用灯具 図9
  • 特開-車両用灯具 図10
  • 特開-車両用灯具 図11
  • 特開-車両用灯具 図12
  • 特開-車両用灯具 図13
  • 特開-車両用灯具 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038740
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20240313BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240313BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240313BHJP
   F21S 43/247 20180101ALI20240313BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240313BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240313BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240313BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240313BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240313BHJP
   F21W 103/15 20180101ALN20240313BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240313BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240313BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240313BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240313BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20240313BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/237
F21S43/245
F21S43/247
F21V8/00 310
F21S43/14
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:15
F21W103:35
F21W103:55
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142987
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】金徳 大地
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA09
3K244BA08
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244EA06
3K244EA08
3K244EA12
3K244EA27
3K244EB01
3K244ED13
3K244ED28
(57)【要約】
【課題】複数の分岐した導光部の間でより均一な発光を行うことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源2と、光源2から出射された光Lを導光させる導光体3とを備え、導光体3は、光源2と対向する位置から延長された第1の導光部4と、第1の導光部4の中途部から分岐して延長された複数の第2の導光部5と、第1の導光部4の光源2と対向する側に配置されて、光源2から出射された光Lを第1の導光部4の内部へと入射する入射部7とを有し、複数の第2の導光部5は、それぞれの第1の導光部4との境界における断面積が第1の導光部4の先端側に向かうに従って順次大きくなる断面形状を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源と対向する位置から延長された第1の導光部と、
前記第1の導光部の中途部から分岐して延長された複数の第2の導光部と、
前記第1の導光部の前記光源と対向する側に配置されて、前記光源から出射された光を前記第1の導光部の内部へと入射する入射部とを有し、
前記複数の第2の導光部は、それぞれの前記第1の導光部との境界における断面積が前記第1の導光部の先端側に向かうに従って順次大きくなる断面形状を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1の導光部は、1つの円の外形を基調とした断面形状を有し、
前記複数の第2の導光部は、2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状を有し、且つ、それぞれの前記境界の断面において、前記2点で交わる2つの円の外形を基調としたまま、前記2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法が前記第1の導光部の先端側に向かうに従って順次大きくなる断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記複数の第2の導光部のうち、前記第1の導光部の最も先端側に位置する第2の導光部は、前記境界の断面において、前記2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法が前記2つの円の間を2本の外接する線で繋いだ外形の寸法と同じかそれよりも小さくなる断面形状を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体は、前記複数の第2の導光部の背面側に各々配置されて、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する反射部と、
前記複数の第2の導光部の正面側に各々配置されて、前記反射部で反射された光を前記第2の導光部の外部へと出射する出射部とを有し、
前記複数の第2の導光部は、前記反射部及び前記出射部が設けられた延長部と、前記延長部と前記境界との間に設けられた中間部とを有し、
前記延長部は、その延長方向とは直交する方向の断面において、前記2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状を有し、
前記中間部は、前記境界から前記延長部に向かって、前記延長部と同じ前記2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状となる、若しくは、前記延長部と同じ前記2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状へと徐変されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、棒状や板状の導光体とを組み合わせたものが知られている。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側から入射し、導光体の内部で反射を繰り返しながら、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光部をライン状や面状に発光させることが可能である。
【0004】
また、車両用灯具の中には、導光体に設けられた複数の分岐部から分岐して延長された複数の導光部を発光させるものがある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6368992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した複数の分岐部を介して分岐された各導光部を発光させる場合、光源から分岐部まで導光される光の光路長の違いによって、複数の導光部の間に輝度差(輝度ムラ)が生じることがあった。
【0007】
すなわち、光源からの光路長が短い(距離が近い)導光部よりも光源からの光路長が長い(距離が遠い)導光部の方が光の減衰によって相対的に光が弱くなる。また、分岐部で分岐される毎に光が分配されるため、光源からの光路長が長い(距離が遠い)分岐部ほど光の分岐を繰り返すことで光の光量が小さくなる。したがって、このような構成の場合、複数の分岐した導光部の間で均一な発光とはならず、その結果として発光時の見栄えが悪くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、複数の分岐した導光部の間でより均一な発光を行うことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源と対向する位置から延長された第1の導光部と、
前記第1の導光部の中途部から分岐して延長された複数の第2の導光部と、
前記第1の導光部の前記光源と対向する側に配置されて、前記光源から出射された光を前記第1の導光部の内部へと入射する入射部とを有し、
前記複数の第2の導光部は、それぞれの前記第1の導光部との境界における断面積が前記第1の導光部の先端側に向かうに従って順次大きくなる断面形状を有することを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記第1の導光部は、1つの円の外形を基調とした断面形状を有し、
前記複数の第2の導光部は、2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状を有し、且つ、それぞれの前記境界の断面において、前記2点で交わる2つの円の外形を基調としたまま、前記2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法が前記第1の導光部の先端側に向かうに従って順次大きくなる断面形状を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記複数の第2の導光部のうち、前記第1の導光部の最も先端側に位置する第2の導光部は、前記境界の断面において、前記2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法が前記2つの円の間を2本の外接する線で繋いだ外形の寸法と同じかそれよりも小さくなる断面形状を有することを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記導光体は、前記複数の第2の導光部の背面側に各々配置されて、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する反射部と、
前記複数の第2の導光部の正面側に各々配置されて、前記反射部で反射された光を前記第2の導光部の外部へと出射する出射部とを有し、
前記複数の第2の導光部は、前記反射部及び前記出射部が設けられた延長部と、前記延長部と前記境界との間に設けられた中間部とを有し、
前記延長部は、その延長方向とは直交する方向の断面において、前記2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状を有し、
前記中間部は、前記延長部と同じ前記2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状となる、若しくは、前記境界から前記延長部に向かって、前記延長部と同じ前記2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状へと徐変されていることを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、複数の分岐した導光部の間でより均一な発光を行うことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。
図2図1中に示す線分A-Aによる導光体の断面図である。
図3図1中に示す線分B1-B1による導光体の断面図である。
図4図1中に示す線分B2-B2による導光体の断面図である。
図5図1中に示す線分C1-C1による導光体の断面図である。
図6図1中に示す線分C2-C2による導光体の断面図である。
図7図1中に示す線分D1-D1による導光体の断面図である。
図8図1中に示す線分D2-D2による導光体の断面図である。
図9図1中に示す線分E1-E1による導光体の断面図である。
図10図1中に示す線分E2-E2による導光体の断面図である。
図11図1中に示す線分F1-F1による導光体の断面図である。
図12図1中に示す線分F2-F2による導光体の断面図である。
図13図1中に示す線分G-Gによる導光体の断面図である。
図14】境界側の外形を延長部側の外形よりも大きくした場合の中間部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0013】
本発明の一実施形態として、例えば図1図13に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、車両用灯具1の構成を示す正面図である。図2は、図1中に示す線分A-Aによる導光体3の断面図である。図3は、図1中に示す線分B1-B1による導光体3の断面図である。図4は、図1中に示す線分B2-B2による導光体の断面図である。図5は、図1中に示す線分C1-C1による導光体3の断面図である。図6は、図1中に示す線分C2-C2による導光体の断面図である。図7は、図1中に示す線分D1-D1による導光体3の断面図である。図8は、図1中に示す線分D2-D2による導光体の断面図である。図9は、図1中に示す線分E1-E1による導光体3の断面図である。図10は、図1中に示す線分E2-E2による導光体の断面図である。図11は、図1中に示す線分F1-F1による導光体3の断面図である。図12は、図1中に示す線分F2-F2による導光体の断面図である。図13は、図1中に示す線分G-Gによる導光体3の断面図である。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0015】
本実施形態の車両用灯具1は、図1に示すように、光源2と、光源2から出射された光を導光させる導光体3とを備え、これらが灯体(図示せず。)の内側に配置された構造を有している。
【0016】
なお、灯体は、前面が開口したハウジングと、このハウジングの開口を覆う透明なアウターレンズ(カバーレンズ)とにより構成される。また、灯体の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0017】
光源2は、少なくとも1つ又は複数のLEDからなり、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)の面上に実装されて、前方(本実施形態では上方)に向けて光Lを放射状に出射する。
【0018】
導光体3は、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの光透過性部材からなり、光源2の前方(上方)に配置されている。
【0019】
導光体3は、光源2と対向する基端(下端)側から先端(上端)側に向かって延長された第1の導光部4と、第1の導光部4の中途部から分岐して延長された複数(本実施形態では4つ)の第2の導光部5と、第1の導光部4の先端(上端)から延長された第3の導光部6とを有している。
【0020】
本実施形態における導光体3は、第1の導光部4が車両の上下方向に延長されると共に、複数の第2の導光部5と第3の導光部6が車両の上下方向に並んだ状態で、これら複数の第2の導光部5と第3の導光部6が第1の導光部4の側方から分岐して互いに同一方向(本実施形態では車両の幅方向)に延長された形状を有している。
【0021】
第1の導光部4は、図2に示すように、その延長方向とは直交する方向の断面(以下、「鉛直断面」という。)において、1つの円の外形を基調とした断面形状を有している。
【0022】
複数の第2の導光部5及び第3の導光部6は、図1に示すように、反射部8及び出射部9が設けられた延長部5a,6aと、第1の導光部4と境界と延長部5a,6aとの間に設けられた中間部5b,6bとを有している。
【0023】
延長部5a,6aは、中間部5b,6bとの各境界から車両の幅方向に延長して設けられている。中間部5b,6bは、第1の導光部4との各境界と延長部5a,6aとの間で湾曲して設けられている。
【0024】
複数の第2の導光部5の延長部5a及び第3の導光部6の延長部6aは、図3図5図7図9図11に示すように、その鉛直断面において、2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状を有している。また、複数の第2の導光部5の延長部5a及び第3の導光部6の延長部6aは、上下方向に並ぶ2つの円が正面側及び背面側の2点で交わる向きに配置されている。
【0025】
導光体3は、図1及び図13に示すように、第1の導光部4の基端(下端)側に位置する入射部7と、複数の第2の導光部5及び第3の導光部6の背面側に各々位置する反射部8と、複数の第2の導光部5及び第3の導光部6の正面側に各々位置する出射部9とを有している。
【0026】
入射部7は、図1に示すように、第1の導光部4の基端(下端)側に位置して、光源2と対向する平坦(平面)な入射面7aを有している。入射部7は、光源2から出射された光Lを入射面7aから第1の導光部4(導光体3)の内部へと入射する。入射部7から入射した光Lは、第1の導光部4の内部を第1の導光部の先端(上端)側に向けて導光されることになる。
【0027】
なお、入射部7については、上述した平坦(平面)な入射面7aを有する構成に限らず、光源2から放射状に出射された光Lを平行化又は集光しながら、第1の導光部4の内部へと入射するレンズ形状を有する構成であってもよい。
【0028】
反射部8は、図13に示すように、延長部5a,6aの背面側に位置して、この延長部5a,6aの延長方向(車両の幅方向)に並ぶ複数の反射カット8aを有している。本実施形態では、各第2の導光部5及び第3の導光部6を構成する2つの円の背面側の中央部に、それぞれ反射カット8aが設けられている。
【0029】
複数の反射カット8aは、延長部5a,6aの背面側に入射した光Lを延長部5a,6aの正面側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。
【0030】
本実施形態における複数の反射カット8aは、例えば、延長部5a,6aを上下方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が延長部5a,6aの延在方向(車両の幅方向)に並ぶことによって構成されている。
【0031】
また、複数の反射カット8aは、後述する出射部9から出射される光Lを延長部5a,6aの延在方向(車両の幅方向)に亘って均一化するため、延長部5a,6aの基端側から先端側に向かって、溝部の深さが漸次深くなるように設けられている。
【0032】
出射部9は、延長部5a,6aの正面側に位置して、この延長部5a,6aの延長方向(車両の幅方向)に連続した出射面9aを有している。本実施形態では、各第2の導光部5及び第3の導光部6を構成する2つの円の正面側に、それぞれ出射面9aが設けられている。
【0033】
出射部9は、複数の反射カット8a(反射部8)により反射された光Lを延長部5a,6aの正面側から外部へと出射する。これにより、複数の第2の導光部5及び第3の導光部6の各延長部5a,6aを車両用灯具1の発光部としてライン状に発光させることが可能である。
【0034】
ところで、本実施形態の車両用灯具1において、複数の第2の導光部5は、図4図6図8図10に示すように、それぞれの第1の導光部4との境界における断面積が第1の導光部4の先端側に向かうに従って順次大きくなる断面形状を有している。
【0035】
なお、図4図6図8図10では、各第2の導光部5の第1の導光部4との境界における断面形状を実線で示すと共に、各第2の導光部5の延長部5aにおける断面形状を破線で示している。
【0036】
すなわち、上下方向に並ぶ4つの第2の導光部5のうち、光源2からの光路長が長くなる上側の第2の導光部5ほど、第1の導光部4との境界における断面積が大きくなっている。逆に、光源2からの光路長が短くなる下側の第2の導光部5ほど、第1の導光部4との境界における断面積が小さくなっている。
【0037】
具体的に、本実施形態における複数の第2の導光部5は、それぞれの境界の断面において、2点で交わる2つの円の外形を基調としたまま、2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法Sが第1の導光部4の先端側に向かうに従って順次大きくなる断面形状を有している。
【0038】
すなわち、上下方向に並ぶ4つの第2の導光部5のうち、光源2から最も近い第1の導光部4の最も基端側(下側から1番目)に位置する第2の導光部5の境界における断面は、図4に示すように、2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状として、2つの円の2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法Sが最も小さくなっている。これにより、下側から1番目に位置する第2の導光部5の境界における断面積は、4つの第2の導光部5の中で最も小さくなっている。また、下側から1番目に位置する第2の導光部5の中間部5bは、境界と延長部5aとの間で、延長部5aと同じ2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状となっている。
【0039】
逆に、光源2から最も遠い第1の導光部4の最も先端側(下側から4番目)に位置する第2の導光部5の境界における断面は、図10に示すように、2つの円の間を2本の外接する線で繋いだ外形を基調とした断面形状として、2つの円の2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法Sが最も大きくなっている。これにより、下側から4番目に位置する第2の導光部5の境界における断面積は、4つの第2の導光部5の中で最も大きくなっている。また、下側から4番目に位置する第2の導光部5の中間部5bは、境界から延長部5aに向かって、延長部5aと同じ2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状へと徐変されている。
【0040】
また、下側から2番目に位置する第2の導光部5の境界における断面は、図6に示すように、2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状であるものの、下側から1番目よりも2つの円の2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法Sが大きくなっている。これにより、下側から2番目に位置する第2の導光部5の境界における断面積は、下側から1番目に位置する第2の導光部5よりも大きくなっている。また、下側から2番目に位置する第2の導光部5の中間部5bは、境界から延長部5aに向かって、延長部5aと同じ2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状へと徐変されている。
【0041】
また、下側から3番目に位置する第2の導光部5の境界における断面は、図8に示すように、2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状であるものの、下側から2番目に位置する第2の導光部5よりも2つの円の2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法Sが大きくなっている。これにより、下側から3番目に位置する第2の導光部5の境界における断面積は、下側から2番目に位置する第2の導光部5よりも大きくなっている。また、下側から3番目に位置する第2の導光部5の中間部5bは、境界から延長部5aに向かって、延長部5aと同じ2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状へと徐変されている。
【0042】
なお、第1の導光部4の最も先端側に位置する第2の導光部5の境界における断面は、2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法Sが2つの円の間を2本の外接する線で繋いだ外形の寸法と同じとなる断面形状に限らず、それよりも小さくなる断面形状であってもよい。
【0043】
本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の導光部4から分岐した複数の第2の導光部5の間で、光源2からの光路長が長くなるほど、第1の導光部4との境界における断面積が大きくなっている。
【0044】
これにより、光源2からの光路長が短い下側の第2の導光部5よりも、光源2からの光路長が長い上側の第2の導光部5の方が相対的に光Lが弱くなる、また、光Lの分岐を繰り返すことで光Lの光量が小さくなるのに対して、第1の導光部4との境界における断面積を大きくすることで、逆に第1の導光部4との境界から第2の導光部5に向かう光Lの取込量を大きくすることが可能となっている。
【0045】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、第1の導光部4から分岐した複数の第2の導光部5の間でより均一な明るさ(輝度)で延長部5aを発光させることができ、これらの発光時の見栄えを良くすることが可能である。
【0046】
なお、本実施形態の車両用灯具1では、第1の導光部4から分岐することなく、光源2からの光Lが第1の導光部4の先端側から第3の導光部6に向かうものの、上述した複数の第2の導光部5と共に、より均一な明るさ(輝度)で延長部6aを発光させるように、第3の導光部6に対する光量調整が行われている。
【0047】
また、第3の導光部6の中間部6bは、第1の導光部4の先端から延長部6aに向かって、図11に示す1つの円の外形を基調とした断面形状から図12に示す2点で交わる2つの円の外形を基調とした断面形状へと徐変されている。
【0048】
なお、各第2の導光部5の第1の導光部4との境界における断面形状(図4図6図8図10中の実線で示す形状)と、各第2の導光部5の延長部5a,6aにおける断面形状(図4図6図8図10中の破線で示す形状)とは、上述した2つの円の外形(外径)が一致していることが好ましい。
【0049】
一方、第1の導光部4との境界から第2の導光部5に向かう光Lの取り込み量を大きくするため、境界側の外形を延長部5a,6a側の外形よりも大きくした場合、図14に示すように、中間部5b,6bの境界側から延長部5a,6a側に向かって、上述した2つの円の外形(外径)が漸次小さくなる。
【0050】
この場合、図14中の実線で示すように、中間部5b,6bの内部を導光する光Lが中間部5b,6bの内部で反射されずに外部に漏れ出す光Lが多くなり、光源2から出射された光Lの利用効率が悪くなる。
【0051】
これに対して、中間部5b,6bの境界側から延長部5a,6a側に向かって、上述した2つの円の外形(外径)が一致している場合には、図14中の破線で示すように、中間部5b,6bの内部を導光する光Lが中間部5b,6bの内部で反射されるため、外部に漏れ出す光Lを少なくすることが可能である。
【0052】
したがって、各第2の導光部5の第1の導光部4との境界における断面積は、2つの円の外形(外径)ではなく、上述した2つの円の2点間を結ぶ延長線上における外形の寸法Sにより調整することが好ましい。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記車両用灯具1では、実際の車両のデザイン等に合わせて、上記導光体3の形状などを適宜変更することが可能である。例えば、上記複数の第2の導光部5及び第3の導光部6は、上述した第1の導光部4から分岐して互いに同一方向に向けて延長された形状に限らず、互いに異なる方向に向けて延長された形状であってもよい。
【0054】
なお、本発明が適用される車両用灯具については、特に限定されるものではなく、例えば、尾灯(テールランプ)や車幅灯(ポジションランプ)、昼間点灯用ランプ(DRL)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)、サイドマーカーランプなど、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0055】
また、上記光源2については、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、光源2が発する光の色については、赤色光や白色光、橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…車両用灯具 2…光源 3…導光体 4…第1の導光部 5…第2の導光部 5a…延長部 5b…中間部 6…第3の導光部 6a…延長部 6b…中間部 7…入射部 8…反射部 9…出射部 L…光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14