(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038746
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】紙製緩衝材の製造装置、および紙製緩衝材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B31B 70/64 20170101AFI20240313BHJP
B31D 5/00 20170101ALI20240313BHJP
B31C 5/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B31B70/64
B31D5/00
B31C5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142996
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000145987
【氏名又は名称】株式会社昭和丸筒
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】野崎 健吾
(72)【発明者】
【氏名】殿岡 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】梶塚 孝士
(72)【発明者】
【氏名】増井 久剛
(72)【発明者】
【氏名】久郷 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】岡本 保
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA08
3E075AA12
3E075BA92
3E075BA95
3E075BB12
3E075CA01
3E075DC17
3E075DC28
3E075DC35
3E075DD13
3E075DD32
3E075DD34
3E075DD45
3E075DD46
3E075FA05
3E075FA15
3E075GA03
3E075GA04
(57)【要約】
【課題】三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材を安定して製造可能とする。
【解決手段】紙筒成形部3の下流側において紙筒10の内部に圧縮空気を送り込まずに紙の剛性を利用して紙筒10の中空状態を維持し、その紙筒10に第1シールバー31と第2シールバー32で第1シール部40と第2シール部35を形成することで三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材47を得る紙製緩衝材の製造装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
途切れずに連続する帯状の連続紙(1)を繰り出す給紙部(2)と、
前記給紙部(2)の下流側に配置され、前記給紙部(2)から繰り出される前記連続紙(1)を、円筒状コア(11)の外周に沿って筒状に変形させて連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を互いに接合することで、途切れずに連続して延びる中空の紙筒(10)を成形する紙筒成形部(3)と、
前記紙筒成形部(3)の下流側に前記紙筒(10)を間にして対向配置され、前記紙筒(10)を両側から挟み付けて押し潰し、その紙筒(10)の押し潰した部分の内面同士を接合して第1シール部(40)を形成する一対の第1シールバー(31)と、
前記第1シールバー(31)の上流側かつ前記紙筒成形部(3)の下流側に前記紙筒(10)を間にして対向配置され、前記紙筒(10)の前記第1シール部(40)よりも上流側の部分を、前記一対の第1シールバー(31)による挟み付け方向と直交する方向に挟み付けて押し潰し、その紙筒(10)の押し潰した部分の内面同士を接合して第2シール部(35)を形成する一対の第2シールバー(32)と、を有し、
前記紙筒成形部(3)の下流側において前記紙筒(10)の内部に圧縮空気を送り込まずに紙の剛性を利用して前記紙筒(10)の中空状態を維持し、その紙筒(10)に前記第1シールバー(31)と前記第2シールバー(32)で前記第1シール部(40)と前記第2シール部(35)を形成することで三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材(47)を得る、紙製緩衝材の製造装置。
【請求項2】
前記第2シールバー(32)の上流側に、前記紙筒(10)の軸方向から見て、前記第1シール部(40)の延在方向と前記第2シール部(35)の延在方向とを対角線方向とするひし形状の断面形状に前記紙筒(10)を変形させるように前記紙筒(10)の内周に嵌合するひし形コア(12)を設けた、請求項1に記載の紙製緩衝材の製造装置。
【請求項3】
前記紙筒成形部(3)は、前記連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒(10)の外周から突出する合掌部(26)を形成するように構成され、
前記第2シールバー(32)の上流側に、前記紙筒(10)の外周のうち少なくとも前記合掌部(26)の根元(27)を含む部分を摺動可能に支持することで、前記合掌部(26)を前記紙筒(10)の外周に沿って倒れた状態にする合掌部倒伏ガイド(17)を設けた、請求項1または2に記載の紙製緩衝材の製造装置。
【請求項4】
前記紙筒成形部(3)は、前記連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒(10)の外周から突出する合掌部(26)を形成するように構成され、
前記第1シールバー(31)または前記第2シールバー(32)と隣接する位置に前記紙筒(10)を間にして対向配置され、そのシールバーによる前記紙筒(10)の挟み付け方向と同方向に前記紙筒(10)を挟み付けることで、前記合掌部(26)を前記紙筒(10)の外周に沿って倒しながら前記紙筒(10)を押し潰さない程度に予備変形させる一対の合掌部押さえ治具(33)を設けた、請求項1または2に記載の紙製緩衝材の製造装置。
【請求項5】
前記紙筒成形部(3)は、前記連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒(10)の外周から突出する合掌部(26)を形成するように構成され、
前記紙筒(10)の軸方向から見て、前記第1シール部(40)の延在方向と前記第2シール部(35)の延在方向とを2等分する方向から±15°以内の方向に前記合掌部(26)の根元(27)がくるように前記第1シールバー(31)と前記第2シールバー(32)とを配置した、請求項1または2に記載の紙製緩衝材の製造装置。
【請求項6】
途切れずに連続する帯状の連続紙(1)を給紙部(2)から繰り出し、
前記給紙部(2)の下流側に設けられた紙筒成形部(3)で、前記給紙部(2)から繰り出される前記連続紙(1)を、円筒状コア(11)の外周に沿って筒状に変形させて連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を互いに接合することで、途切れずに連続して延びる中空の紙筒(10)を成形し、
前記紙筒成形部(3)の下流側に前記紙筒(10)を間にして対向配置された一対の第1シールバー(31)で、前記紙筒(10)を両側から挟み付けて押し潰し、その紙筒(10)の押し潰した部分の内面同士を接合して第1シール部(40)を形成し、
前記第1シールバー(31)の上流側かつ前記紙筒成形部(3)の下流側に前記紙筒(10)を間にして対向配置された一対の第2シールバー(32)で、前記紙筒(10)の前記第1シール部(40)よりも上流側の部分を、前記一対の第1シールバー(31)による挟み付け方向と直交する方向に挟み付けて押し潰し、その紙筒(10)の押し潰した部分の内面同士を接合して第2シール部(35)を形成し、
前記紙筒成形部(3)の下流側において前記紙筒(10)の内部に圧縮空気を送り込まずに紙の剛性を利用して前記紙筒(10)の中空状態を維持し、その紙筒(10)に前記第1シールバー(31)と前記第2シールバー(32)で前記第1シール部(40)と前記第2シール部(35)を形成することで三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材(47)を得る、紙製緩衝材の製造方法。
【請求項7】
前記第2シールバー(32)の上流側にひし形コア(12)を設け、そのひし形コア(12)を前記紙筒(10)の内周に嵌合させることで、前記紙筒(10)の軸方向から見て、前記第1シール部(40)の延在方向と前記第2シール部(35)の延在方向とを対角線方向とするひし形状の断面形状に前記紙筒(10)を変形させるようにした請求項6に記載の紙製緩衝材の製造方法。
【請求項8】
前記紙筒成形部(3)で、前記連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒(10)の外周から突出する合掌部(26)を形成し、
前記第2シールバー(32)の上流側に設けた合掌部倒伏ガイド(17)で、前記紙筒(10)の外周のうち少なくとも前記合掌部(26)の根元(27)を含む部分を摺動可能に支持することで、前記合掌部(26)を前記紙筒(10)の外周に沿って倒れた状態にするようにした請求項6または7に記載の紙製緩衝材の製造方法。
【請求項9】
前記紙筒成形部(3)で、前記連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒(10)の外周から突出する合掌部(26)を形成し、
前記第1シールバー(31)または前記第2シールバー(32)と隣接する位置に前記紙筒(10)を間にして対向配置された一対の合掌部押さえ治具(33)で、そのシールバーによる前記紙筒(10)の挟み付け方向と同方向に前記紙筒(10)を挟み付けることで、前記合掌部(26)を前記紙筒(10)の外周に沿って倒しながら前記紙筒(10)を押し潰さない程度に予備変形させるようにした請求項6または7に記載の紙製緩衝材の製造方法。
【請求項10】
前記紙筒成形部(3)で、前記連続紙(1)の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒(10)の外周から突出する合掌部(26)を形成し、
前記第1シールバー(31)と前記第2シールバー(32)は、前記紙筒(10)の軸方向から見て、前記第1シール部(40)の延在方向と前記第2シール部(35)の延在方向とを2等分する方向から±15°以内の方向に前記合掌部(26)の根元(27)がくるように前記第1シール部(40)と前記第2シール部(35)とを形成する、請求項6または7に記載の紙製緩衝材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙製緩衝材の製造装置、および紙製緩衝材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信販売などで販売される商品を配送するとき、配送中の振動や衝撃などから商品を保護するため、商品と包装箱の間に緩衝材を詰めることが多い。この緩衝材として、従来、特許文献1,2のように、プラスチックフィルムを、空気を封入した三角錐状の空袋が連続する形状に成形したものが知られている。
【0003】
一方、近年、SDGsや海洋プラスチック問題への対応として、紙で形成した緩衝材が注目されている。紙で形成した緩衝材として、例えば、特許文献3のものが知られている。特許文献3の緩衝材は、途切れずに連続する帯状のクラフト紙を給紙部から繰り出し、そのクラフト紙をクシャクシャの状態にして包装箱に詰めるというものである。しかしながら、特許文献3の緩衝材は、使用する資材(クラフト紙)の量が非常に多いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平3-43123号公報
【特許文献2】実開昭62-159366号公報
【特許文献3】特表2008-518859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者らは、特許文献1,2のように三角錐状の空袋が連続する形状の緩衝材を、プラスチックフィルムではなく、紙で形成することを検討した。具体的には、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製の緩衝材を、特許文献1と同様の方法で製造することを検討した。
【0006】
しかしながら、発明者らが、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製の緩衝材を、特許文献1と同様の方法で製造しようとしたところ、プラスチックフィルムは、空気を透過させないのに対し、紙は通気性があり、またプラスチックフィルムよりも大きい剛性をもつことから、特許文献1と同様の方法では、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製の緩衝材を製造することが困難であることが分かった。
【0007】
すなわち、特許文献1では、途切れずに連続する帯状のプラスチックフィルムをフィルム供給部から繰り出し、そのプラスチックフィルムの幅方向一端と幅方向他端を互いに接合することで、途切れずに連続して延びる中空の筒状フィルムを形成し、その筒状フィルムの内部にエアノズルから圧縮空気を送り込むことで筒状フィルムを空気で膨らませるとともに、筒状フィルムの内部から圧縮空気が逃げないようにエアノズルよりも上流側に設けた一対の弾性体ローラで筒状フィルムを扁平に潰すように挟み付け、その一対の弾性体ローラで挟み付けられた部分よりも下流側の圧縮空気で膨らんだ状態の筒状フィルムを、一対の縦シールバーと一対の横シールバーでシールすることで、三角錐状の空袋が連続する形状のプラスチックフィルム製の緩衝材を得るようにしている。ここで、一対の縦シールバーは、筒状フィルムを両側から挟み付けて押し潰し、その筒状フィルムの押し潰した部分の内面同士を接合して縦シールを形成する。また、一対の横シールバーは、縦シールよりも上流側で筒状フィルムを両側から挟み付けて押し潰し、その筒状フィルムの押し潰した部分の内面同士を接合して横シールを形成する。筒状フィルムの軸方向から見て、縦シールバーによる筒状フィルムの挟み付け方向と、横シールバーによる筒状フィルムの挟み付け方向は、互いに直交している。
【0008】
この特許文献1と同様の方法で、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製の緩衝材を製造する場合、途切れずに連続する帯状の連続紙を給紙部から繰り出し、その連続紙の幅方向一端と幅方向他端を互いに接合することで、途切れずに連続して延びる中空の紙筒を形成し、その紙筒の内部にエアノズルから圧縮空気を送り込むことで紙筒を圧縮空気で膨らませるとともに、紙筒の内部から圧縮空気が逃げないようにエアノズルよりも上流側に設けた一対の弾性体ローラで紙筒を扁平に潰すように挟み付け、その一対の弾性体ローラで挟み付けられた部分よりも下流側の圧縮空気で膨らんだ状態の紙筒を、一対の縦シールバーと一対の横シールバーでシールすることで、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製の緩衝体を得ることになる。
【0009】
しかしながら、発明者らが、この方法で三角錐状の空袋が連続する形状の紙製の緩衝材を製造しようとしたところ、紙は通気性があり、またプラスチックフィルムよりも大きい剛性をもつことから、紙筒の弾性体ローラで挟み付けられた部分よりも下流側の部分を圧縮空気で完全に膨らますことが難しく、一対の縦シールバーまたは一対の横シールバーでシールするときに、そのシール部にシワが入り、三角錐の形状が崩れてしまうことが分かった。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材を安定して製造可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の発明者は、紙はプラスチックフィルムよりも大きい剛性をもつことから、逆にその紙の剛性を利用することで、紙筒の内部に圧縮空気を送り込まなくても、紙筒の中空状態を維持することが可能であり、この状態では、紙の剛性を利用して、紙筒の断面形状を任意に調整可能であることに着眼した。
【0012】
この着眼に基づいて、この発明では、上記課題を解決するために、以下の構成の紙製緩衝材の製造装置を提供する。
[構成1]
途切れずに連続する帯状の連続紙を繰り出す給紙部と、
前記給紙部の下流側に配置され、前記給紙部から繰り出される前記連続紙を、円筒状コアの外周に沿って筒状に変形させて連続紙の幅方向一端と幅方向他端を互いに接合することで、途切れずに連続して延びる中空の紙筒を成形する紙筒成形部と、
前記紙筒成形部の下流側に前記紙筒を間にして対向配置され、前記紙筒を両側から挟み付けて押し潰し、その紙筒の押し潰した部分の内面同士を接合して第1シール部を形成する一対の第1シールバーと、
前記第1シールバーの上流側かつ前記紙筒成形部の下流側に前記紙筒を間にして対向配置され、前記紙筒の前記第1シール部よりも上流側の部分を、前記一対の第1シールバーによる挟み付け方向と直交する方向に挟み付けて押し潰し、その紙筒の押し潰した部分の内面同士を接合して第2シール部を形成する一対の第2シールバーと、を有し、
前記紙筒成形部の下流側において前記紙筒の内部に圧縮空気を送り込まずに紙の剛性を利用して前記紙筒の中空状態を維持し、その紙筒に前記第1シールバーと前記第2シールバーで前記第1シール部と前記第2シール部を形成することで三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材を得る、紙製緩衝材の製造装置。
【0013】
この構成を採用すると、紙筒の内部に圧縮空気を送り込まずに、紙の剛性で紙筒の中空状態を維持するので、紙筒の断面形状を任意に調整することができ、その紙筒に第1シールバーと第2シールバーで第1シール部と第2シール部を形成するときに、第1シール部や第2シール部にシワが入るのを防止して、紙製緩衝材を安定して製造することが可能となる。
【0014】
[構成2]
前記第2シールバーの上流側に、前記紙筒の軸方向から見て、前記第1シール部の延在方向と前記第2シール部の延在方向とを対角線方向とするひし形状の断面形状に前記紙筒を変形させるように前記紙筒の内周に嵌合するひし形コアを設けた、構成1に記載の紙製緩衝材の製造装置。
【0015】
この構成を採用すると、紙筒を、ひし形コアとの嵌合により、第1シール部の延在方向と第2シール部の延在方向とを対角線方向とするひし形状の断面形状に変形させるので、その紙筒を第1シールバーと第2シールバーで押し潰して第1シール部と第2シール部を形成するときに、紙筒の潰れ方が円滑となる。そのため、第1シール部や第2シール部にシワが入りにくく、紙製緩衝材を安定して製造することが可能となる。
【0016】
[構成3]
前記紙筒成形部は、前記連続紙の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒の外周から突出する合掌部を形成するように構成され、
前記第2シールバーの上流側に、前記紙筒の外周のうち少なくとも前記合掌部の根元を含む部分を摺動可能に支持することで、前記合掌部を前記紙筒の外周に沿って倒れた状態にする合掌部倒伏ガイドを設けた、構成1または2に記載の紙製緩衝材の製造装置。
【0017】
この構成を採用すると、紙筒の外周から突出する合掌部が、合掌部倒伏ガイドによって紙筒の外周に沿って倒れた状態になるので、その後、紙筒を第1シールバーと第2シールバーで押し潰して第1シール部と第2シール部を形成するときに、合掌部が縦に潰れてシール不良が生じるのを防止することができる。
【0018】
[構成4]
前記紙筒成形部は、前記連続紙の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒の外周から突出する合掌部を形成するように構成され、
前記第1シールバーまたは前記第2シールバーと隣接する位置に前記紙筒を間にして対向配置され、そのシールバーによる前記紙筒の挟み付け方向と同方向に前記紙筒を挟み付けることで、前記合掌部を前記紙筒の外周に沿って倒しながら前記紙筒を押し潰さない程度に予備変形させる一対の合掌部押さえ治具を設けた、構成1から3のいずれかに記載の紙製緩衝材の製造装置。
【0019】
この構成を採用すると、第1シールバーまたは第2シールバーと隣接する位置に設けた一対の合掌部押さえ治具が、そのシールバーによる紙筒の挟み付け方向と同方向に紙筒を挟み付けることで、紙筒の外周から突出する合掌部を紙筒の外周に沿って倒しながら、紙筒を押し潰されない程度に予備変形させるので、その後、そのシールバーで紙筒を挟み付けて押し潰すときに、紙筒の潰れ方が円滑となり、シワが入るのを効果的に防止することができる。
【0020】
[構成5]
前記紙筒成形部は、前記連続紙の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒の外周から突出する合掌部を形成するように構成され、
前記紙筒の軸方向から見て、前記第1シール部の延在方向と前記第2シール部の延在方向とを2等分する方向から±15°以内の方向に前記合掌部の根元がくるように前記第1シールバーと前記第2シールバーとを配置した、構成1から4のいずれかに記載の紙製緩衝材の製造装置。
【0021】
この構成を採用すると、第1シールバーで紙筒を挟み付けて押し潰すときも、第2シールバーで紙筒を挟み付けて押し潰すときも、紙筒を安定して押し潰すことができ、シワが入るのを効果的に防止することができる。
【0022】
またこの発明では、上記の課題を解決するため、以下の構成の紙製緩衝材の製造方法を併せて提供する。
[構成6]
途切れずに連続する帯状の連続紙を給紙部から繰り出し、
前記給紙部の下流側に設けられた紙筒成形部で、前記給紙部から繰り出される前記連続紙を、円筒状コアの外周に沿って筒状に変形させて連続紙の幅方向一端と幅方向他端を互いに接合することで、途切れずに連続して延びる中空の紙筒を成形し、
前記紙筒成形部の下流側に前記紙筒を間にして対向配置された一対の第1シールバーで、前記紙筒を両側から挟み付けて押し潰し、その紙筒の押し潰した部分の内面同士を接合して第1シール部を形成し、
前記第1シールバーの上流側かつ前記紙筒成形部の下流側に前記紙筒を間にして対向配置された一対の第2シールバーで、前記紙筒の前記第1シール部よりも上流側の部分を、前記一対の第1シールバーによる挟み付け方向と直交する方向に挟み付けて押し潰し、その紙筒の押し潰した部分の内面同士を接合して第2シール部を形成し、
前記紙筒成形部の下流側において前記紙筒の内部に圧縮空気を送り込まずに紙の剛性を利用して前記紙筒の中空状態を維持し、その紙筒に前記第1シールバーと前記第2シールバーで前記第1シール部と前記第2シール部を形成することで三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材を得る、紙製緩衝材の製造方法。
【0023】
この構成を採用すると、紙筒の内部に圧縮空気を送り込まずに、紙の剛性で紙筒の中空状態を維持するので、紙筒の断面形状を任意に調整することができ、その紙筒に第1シールバーと第2シールバーで第1シール部と第2シール部を形成するときに、第1シール部や第2シール部にシワが入るのを防止して、紙製緩衝材を安定して製造することが可能となる。
【0024】
[構成7]
前記第2シールバーの上流側にひし形コアを設け、そのひし形コアを前記紙筒の内周に嵌合させることで、前記紙筒の軸方向から見て、前記第1シール部の延在方向と前記第2シール部の延在方向とを対角線方向とするひし形状の断面形状に前記紙筒を変形させるようにした構成6に記載の紙製緩衝材の製造方法。
【0025】
この構成を採用すると、紙筒を、あらかじめひし形コアとの嵌合により、第1シール部の延在方向と第2シール部の延在方向とを対角線方向とするひし形状の断面形状に変形させるので、その紙筒を第1シールバーと第2シールバーで押し潰して第1シール部と第2シール部を形成するときに、紙筒の潰れ方が円滑となる。そのため、第1シール部や第2シール部にシワが入りにくく、紙製緩衝材を安定して製造することが可能となる。
【0026】
[構成8]
前記紙筒成形部で、前記連続紙の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒の外周から突出する合掌部を形成し、
前記第2シールバーの上流側に設けた合掌部倒伏ガイドで、前記紙筒の外周のうち少なくとも前記合掌部の根元を含む部分を摺動可能に支持することで、前記合掌部を前記紙筒の外周に沿って倒れた状態にするようにした構成6または7に記載の紙製緩衝材の製造方法。
【0027】
この構成を採用すると、紙筒の外周から突出する合掌部が、あらかじめ合掌部倒伏ガイドによって紙筒の外周に沿って倒れた状態になるので、その後、紙筒を第1シールバーと第2シールバーで押し潰して第1シール部と第2シール部を形成するときに、合掌部が縦に潰れてシール不良が生じるのを防止することができる。
【0028】
[構成9]
前記紙筒成形部で、前記連続紙の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒の外周から突出する合掌部を形成し、
前記第1シールバーまたは前記第2シールバーと隣接する位置に前記紙筒を間にして対向配置された一対の合掌部押さえ治具で、そのシールバーによる前記紙筒の挟み付け方向と同方向に前記紙筒を挟み付けることで、前記合掌部を前記紙筒の外周に沿って倒しながら前記紙筒を押し潰さない程度に予備変形させるようにした構成6から8のいずれかに記載の紙製緩衝材の製造方法。
【0029】
この構成を採用すると、第1シールバーまたは第2シールバーと隣接する位置に設けた一対の合掌部押さえ治具が、そのシールバーによる紙筒の挟み付け方向と同方向に紙筒を挟み付けることで、紙筒の外周から突出する合掌部を紙筒の外周に沿って倒しながら、紙筒を押し潰されない程度に予備変形させるので、その後、そのシールバーで紙筒を挟み付けて押し潰すときに、紙筒の潰れ方が円滑となり、シワが入るのを効果的に防止することができる。
【0030】
[構成10]
前記紙筒成形部で、前記連続紙の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで前記紙筒の外周から突出する合掌部を形成し、
前記第1シールバーと前記第2シールバーは、前記紙筒の軸方向から見て、前記第1シール部の延在方向と前記第2シール部の延在方向とを2等分する方向から±15°以内の方向に前記合掌部の根元がくるように前記第1シール部と前記第2シール部とを形成する、構成6から9のいずれかに記載の紙製緩衝材の製造方法。
【0031】
この構成を採用すると、第1シールバーで紙筒を挟み付けて押し潰すときも、第2シールバーで紙筒を挟み付けて押し潰すときも、紙筒を安定して押し潰すことができ、シワが入るのを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明の紙製緩衝材の製造装置は、紙筒の内部に圧縮空気を送り込まずに、紙の剛性で紙筒の中空状態を維持するので、紙筒の断面形状を任意に調整することができ、その紙筒に第1シールバーと第2シールバーで第1シール部と第2シール部を形成するときに、第1シール部や第2シール部にシワが入るのを防止して、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材を安定して製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この発明の実施形態の紙製緩衝材の製造装置の正面図
【
図7】
図6に示す連続紙の幅方向両端部を合掌シールバーで挟み付けて接合する状態を示す円筒状コアの近傍の拡大断面図
【
図13】
図10の第2シールバーの突き合わせ部分の近傍の拡大部分断面図
【
図14】
図10に示す軸方向移動フレームを下流側に移動させた状態を示す図
【
図15】
図14に示す第2シールバーによる紙筒の挟み付けを解除し、軸方向移動フレームを上流側に移動させた状態を示す図
【
図16】
図15の第1シールバーおよび合掌部押さえ治具の近傍の平面図
【
図18】
図16の合掌部押さえ治具で紙筒を挟み付けた状態を示す平面図
【
図20】
図18に示す状態の後、第1シールバーで紙筒を挟み付けた状態を示す平面図
【
図22】三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材(
図1の紙製緩衝材の製造装置で製造したもの)を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に、この発明の実施形態の紙製緩衝材の製造装置を示す。この紙製緩衝材の製造装置は、途切れずに連続する帯状の連続紙1を繰り出す給紙部2と、給紙部2の下流側に配置された紙筒成形部3と、紙筒成形部3の下流側に配置された三角錐成形部4とを有する。
【0035】
給紙部2は、紙ロール5を回転可能に支持する支持軸6と、紙ロール5から繰り出される帯状の連続紙1を紙筒成形部3に案内するガイドローラ7,8,9とを有する。紙ロール5は、帯状の連続紙1を巻回した原反である。連続紙1は、紙の片面(
図7に示す紙筒10の内周に対応する面)にヒートシール層を設けたものが使用されている。紙は、50~280g/m
2の坪量を有するものが使用されている。紙の種類は、クラフト紙や、古紙を原料とする段ボール原紙(例えば、Kライナ、Cライナなど)を採用することができる。ヒートシール層は、ヒートシール性をもつフィルムを紙にラミネートすることで形成してもよい。
【0036】
図2に示すように、紙筒成形部3は、連続紙1の進行方向に延びる円筒状コア11と、円筒状コア11の下流側に接続して設けたひし形コア12と、連続紙1の進行方向に沿って上流側から下流側に向かって順に設けられた上流側紙筒成形ガイド13、下流側紙筒成形ガイド14、一対の合掌シールバー15、合掌部起立ガイド16、合掌部倒伏ガイド17とを有する。
【0037】
図3に示すように、円筒状コア11の外周は、円筒面とされている。円筒状コア11は、円筒状コア11の外径側に対向して配置された固定フレーム18から連続紙1の幅方向一端と幅方向他端の間を通って円筒状コア11の外周に接続するコア支持具19で支持されている。
図2に示すように、円筒状コア11は、コア支持具19から合掌部倒伏ガイド17まで至る長さを有する。
【0038】
図4に示すように、上流側紙筒成形ガイド13は、円筒状コア11の軸方向から見て、円筒状コア11の外周に対向する断面円弧状の部分円筒部20と、部分円筒部20の周方向両端から接線方向に延び出す一対の延出部21とを有する。部分円筒部20の内周と円筒状コア11の外周との間には、断面円弧状の隙間が形成され、この隙間を連続紙1が通過することで、連続紙1の断面形状が、ガイドローラ9(
図1参照)の位置から下流側に向かって次第に円筒状コア11の外周に沿う円弧状に成形されるようになっている。一対の延出部21は、連続紙1の幅方向一端と幅方向他端に対応する位置でそれぞれ折り返した断面U字状に形成され、その断面U字状の内面で連続紙1の幅方向両端を保持することで、連続紙1の幅方向移動を規制し、幅方向の位置決めを行っている。部分円筒部20は、固定フレーム18に固定されている。
【0039】
図5に示すように、下流側紙筒成形ガイド14は、円筒状コア11の軸方向から見て、円周の一箇所を切り離した形状をもつ円筒部22と、その円筒部22の円周を切り離した箇所から径方向外側に直角に起立するように延び出す合掌成形部23とを有する。円筒部22の内周と円筒状コア11の外周との間には、円筒状の隙間が形成され、この隙間を連続紙1が通過することで連続紙1の断面形状が円形状に成形されるようになっている。合掌成形部23は、円筒状の隙間から径方向外側に直角に延びるスリット24を有し、そのスリット24に連続紙1の幅方向一端と幅方向他端を導入することで、円筒状コア11の周方向に対向して重なり合った状態に連続紙1の幅方向一端と幅方向他端を成形する。また、スリット24の径方向外端は断面U字状に閉じた形状とされ、その断面U字状の内面で連続紙1の幅方向両端を保持することで、連続紙1の幅方向移動を規制している。円筒部22は、固定フレーム18に固定されている。
【0040】
図6に示すように、一対の合掌シールバー15は、重なり合った状態の連続紙1の幅方向両端を間にして対向配置されている。一対の合掌シールバー15には、合掌アクチュエータ25が取り付けられ、この合掌アクチュエータ25を作動させることで、連続紙1の幅方向両端を合掌シールバー15で挟み付ける位置(
図7の位置)と、その挟み付けを解除する位置(
図6の位置)との間で合掌シールバー15を進退させることができるようになっている。合掌アクチュエータ25は、例えば、空気圧シリンダである。一対の合掌シールバー15には、それぞれ、連続紙1の幅方向両端との接触部分を加熱するヒータ(図示せず)が取り付けられている。一対の合掌シールバー15は、
図7に示すように、周方向に対向して重なり合った状態の連続紙1の幅方向両端を挟み付けて加熱することで、連続紙1の幅方向両端をヒートシールする。
【0041】
ここで、
図4、
図5に示す上流側紙筒成形ガイド13および下流側紙筒成形ガイド14は、紙ロール5(
図1参照)から繰り出される連続紙1を、円筒状コア11の外周に沿って筒状に変形させるとともに、その筒状に変形した連続紙1の幅方向一端と幅方向他端を、円筒状コア11の周方向に対向して重なり合った状態にする。そして、
図6に示す一対の合掌シールバー15が、連続紙1の幅方向一端と幅方向他端を互いにヒートシールすることで、途切れずに連続して延びる中空の紙筒10を成形する。このとき、連続紙1の幅方向一端と幅方向他端が合掌貼りされることで、
図7に示すように、紙筒10の外周から突出する合掌部26が形成される。合掌貼りは、連続紙1の幅方向一端と幅方向他端の同じ側の面同士(紙筒10の内周に対応する側の面同士)を貼り合わせる接合形態である。この実施形態では、上流側紙筒成形ガイド13、下流側紙筒成形ガイド14、一対の合掌シールバー15は、
図8に示すように、紙筒10の軸方向から見て、鉛直方向(
図15に示す第1シール部40の延在方向)と水平方向(
図15に示す第2シール部35の延在方向)とを2等分する方向(45°の方向)から±15°以内の方向に合掌部26の根元27を形成するように配置されている。すなわち、水平方向から合掌部26の根元27までの紙筒10の中心角θが、30°~60°の範囲となるように、一対の合掌シールバー15(
図6参照)が配置されている。
【0042】
図2に示す合掌部起立ガイド16は、
図5に示す下流側紙筒成形ガイド14と同じ形状を有する。合掌部起立ガイド16は、円筒状コア11の軸方向から見て、合掌部26を紙筒10の径方向外側に直角に起立した状態に保持する。
【0043】
図8に示すように、合掌部倒伏ガイド17は、円筒状コア11の軸方向から見て、円筒状コア11の外周を全周にわたって取り囲む円筒状に形成されている。合掌部倒伏ガイド17の内周と円筒状コア11の外周との間には、紙筒10が通過する円筒状の隙間が形成されている。この合掌部倒伏ガイド17は、その内周面で紙筒10の外周のうち少なくとも合掌部26の根元27を含む部分を摺動可能に支持することで、合掌部26がその根元27で折れ、紙筒10の外周に沿って倒れた状態になるように合掌部26を案内する。合掌部倒伏ガイド17は、固定フレーム18に固定されている。
【0044】
図9に示すように、ひし形コア12は、紙筒10の軸方向から見て、後述の第1シール部の延在方向(図では鉛直方向)と後述の第2シール部の延在方向(図では水平方向)とを対角線方向とするひし形状の断面形状に紙筒10を変形させるように紙筒10の内周に嵌合している。ひし形コア12は、ひし形コア12の外周に紙筒10の内周が嵌合したときに、紙筒10の断面形状がひし形状に変形するように、2本の対角線のうち少なくとも一方(図では両方)の長さが、円筒状コア11の外径よりも大きい断面形状を有する。ひし形コア12の断面形状は、例えば、頂点に丸みをつけたひし形(図では正方形)である。図では、中実の断面形状をもつひし形コア12を示したが、ひし形コア12は、ひし形の頂点に対応する部分のみを残し、ひし形の辺に対応する部分を凹ませた中空の断面形状をもつものを採用することも可能である。ひし形コア12の外周に紙筒10の内周が嵌合した状態で、紙筒10の外周から突出する合掌部26の根元27は、ひし形の頂点ではなく、ひし形の頂点と頂点の間の辺の中央に位置している。ひし形コア12は、円筒状コア11と同軸に円筒状コア11の下流側端部に固定されている。
【0045】
図10~
図12に示すように、三角錐成形部4は、紙筒10を間にして水平に対向配置された一対の第1シールバー31と、第1シールバー31の上流側に紙筒10を間にして鉛直に対向配置された一対の第2シールバー32と、第1シールバー31の下流側に隣接する位置に紙筒10を間にして水平に対向配置された一対の合掌部押さえ治具33とを有する。
【0046】
図10に示すように、一対の第2シールバー32には、それぞれ第2アクチュエータ34が取り付けられ、この第2アクチュエータ34を作動させることで、紙筒10を鉛直方向の両側から挟み付けて押し潰す位置(
図10の位置)と、その挟み付けを解除する位置(
図15の位置)との間で第2シールバー32を進退させることができるようになっている。第2アクチュエータ34は、例えば、空気圧シリンダである。一対の第2シールバー32には、それぞれ、紙筒10との接触部分を加熱するヒータ(図示せず)が取り付けられている。
図12に示すように、一対の第2シールバー32の紙筒10との接触面は、紙筒10の軸方向から見て、水平方向にまっすぐ延びる直線状となるように形成されている。
【0047】
図13に示すように、一対の第2シールバー32は、紙筒10を両側から挟み付けて加熱することで、その紙筒10の押し潰した部分の内面同士をヒートシールし、第2シール部35を形成する。第2シール部35は、紙筒10の軸方向と直交する方向に直線状に延びる紙筒10の内面同士の接合部分である。また、一対の第2シールバー32の紙筒10との接触面には、第2シール部35の延在方向に沿ってミシン目36(
図22参照)を形成するミシン目形成用凸部37およびミシン目形成用凹部38が設けられている。
【0048】
図11に示すように、一対の第1シールバー31には、それぞれ第1アクチュエータ39が取り付けられ、この第1アクチュエータ39を作動させることで、紙筒10を水平方向の両側から挟み付けて押し潰す位置(
図20の位置)と、その挟み付けを解除する位置(
図16の位置)との間で第1シールバー31を進退させることができるようになっている。第1アクチュエータ39は、例えば、空気圧シリンダである。一対の第1シールバー31には、それぞれ、紙筒10との接触部分を加熱するヒータ(図示せず)が取り付けられている。
図21に示すように、一対の第1シールバー31の紙筒10との接触面は、紙筒10の軸方向から見て、鉛直方向にまっすぐ延びる直線状となるように形成されている。この一対の第1シールバー31も、第2シールバー32と同様、紙筒10を両側から挟み付けて加熱することで、その紙筒10の押し潰した部分の内面同士をヒートシールし、第1シール部40を形成する。第1シール部40は、紙筒10の軸方向と直交する方向に直線状に延びる紙筒10の内面同士の接合部分である。また、一対の第1シールバー31の紙筒10との接触面には、第1シール部40の延在方向に沿ってミシン目41(
図22参照)を形成するミシン目形成用凸部およびミシン目形成用凹部が設けられている。
【0049】
図11に示すように、一対の合掌部押さえ治具33には、それぞれ治具アクチュエータ42が取り付けられ、この治具アクチュエータ42を作動させることで、第1シールバー31による紙筒10の挟み付け方向と同方向(図では水平方向)に紙筒10を挟み付ける位置(
図18、
図19の位置)と、その挟み付けを解除する位置(
図16、
図17の位置)との間で合掌部押さえ治具33を進退させることができるようになっている。治具アクチュエータ42は、例えば、空気圧シリンダである。
【0050】
図17、
図19に示すように、合掌部押さえ治具33の紙筒10との接触面43は、一対の合掌部押さえ治具33で紙筒10を挟み付けたときに、合掌部26を紙筒10の外周に沿って倒しながら紙筒10を押し潰さない程度に変形させるような凹形状とされている。そのような接触面43として、紙筒10の軸方向から見て、円筒状コア11(
図8参照)の外径の半分以下の深さをもつ凹形状のものを採用することができる。図では、合掌部押さえ治具33の紙筒10との接触面43は、紙筒10の軸方向から見て、紙筒10の外周を六角形状に変形させる形状(六角形を二つ割りした形状)としている。
【0051】
図10に示すように、第1シールバー31、第2シールバー32、合掌部押さえ治具33とこれらの駆動機構は、リニアガイド44で紙筒10の軸方向に移動可能に支持された軸方向移動フレーム45に取り付けられている。軸方向移動フレーム45には、軸方向移動フレーム45を紙筒10の軸方向に往復動させるフレーム駆動装置46が設けられている。フレーム駆動装置46の往動(または復動)の移動ストークは、円筒状コア11の外径の3倍以上5倍以下の範囲で設定することができる。
【0052】
この紙製緩衝材の製造装置を使用すると、例えば、以下のようにして三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材47(
図22参照)を製造することができる。
【0053】
図1に示すように、給紙部2から連続紙1を繰り出し、その連続紙1を、上流側紙筒成形ガイド13および下流側紙筒成形ガイド14で筒状に変形させ、その連続紙1の幅方向一端と幅方向他端を一対の合掌シールバー15でヒートシールすることで中空の紙筒10を成形する。その後、紙筒10の外周から突出する合掌部26を、合掌部倒伏ガイド17で紙筒10の外周に沿って倒れた状態にするとともに、ひし形コア12で、紙筒10の断面形状を、鉛直方向と水平方向を対角線方向とするひし形状に変形させる。その後、紙筒成形部3の下流側に配置された三角錐成形部4で、以下のようにして第1シール部40と第2シール部35を形成する。
【0054】
図10、
図14に示すように、第2シールバー32で紙筒10を挟み込んだ状態のままフレーム駆動装置46を作動させ、下流側(図では右側)に軸方向移動フレーム45を移動させる。この軸方向移動フレーム45の移動により紙筒10が軸方向に送り出され、
図1に示す給紙部2からの連続紙1の繰り出し、紙筒成形部3における連続紙1および紙筒10の下流側への移動が行われる。その後、
図14、
図15に示すように、第2シールバー32による紙筒10の挟み込みを解除し、フレーム駆動装置46を逆向きに作動させ、上流側(図では左側)に軸方向移動フレーム45を移動させる。
【0055】
次に、
図16~
図19に示すように、治具アクチュエータ42を作動させ、一対の合掌部押さえ治具33で紙筒10を挟み付けることで、合掌部26を紙筒10の外周に沿って倒しながら紙筒10を押し潰さない程度に予備変形させる。その後、
図20、
図21に示すように、第1アクチュエータ39を作動させ、一対の第1シールバー31で紙筒10を水平方向の両側から挟み付けて押し潰し、その紙筒10の押し潰した部分の内面同士を接合して第1シール部40を形成する。ここで、合掌部押さえ治具33が合掌部26を紙筒10の外周に沿って倒した状態に保持しているので、第1シールバー31で紙筒10を挟み付けて押し潰すときに、紙筒10の外周から合掌部26が立ち上がることでシワが入るのを防止することが可能となっている。
【0056】
その後、
図10に示すように、第2アクチュエータ34を作動させ、一対の第2シールバー32で、紙筒10の第1シール部40よりも上流側の部分を、鉛直方向の両側から挟み付けて押し潰し、その紙筒10の押し潰した部分の内面同士を接合して第2シール部35を形成する。ここで、第2シールバー32で紙筒10を挟み付けて押し潰すとき、ひし形コア12によって紙筒10の断面形状がひし形に変形しているので、紙筒10の潰れ方が円滑となり、第2シール部35にシワが入るのを防止することが可能となっている。その後、再び、
図10、
図14に示すように、第2シールバー32で紙筒10を挟み込んだ状態のままフレーム駆動装置46を作動させ、軸方向移動フレーム45を下流側(図では右側)に移動させる。
【0057】
以上の動作を繰り返すことで、この紙製緩衝材の製造装置は、
図22に示すように、三角錐状の空袋が連続する形状の紙製緩衝材47を製造することが可能である。
【0058】
この紙製緩衝材の製造装置は、三角錐成形部4において、紙筒10の内部に圧縮空気を送り込まずに、紙の剛性で紙筒10の中空状態を維持するので、紙筒10の断面形状を任意に調整することができる。そのため、紙筒10に第1シールバー31と第2シールバー32で第1シール部40と第2シール部35を形成するときに、第1シール部40や第2シール部35にシワが入るのを防止して、紙製緩衝材47を安定して製造することが可能である。
【0059】
また、この紙製緩衝材の製造装置は、
図9に示すように、紙筒10を、ひし形コア12との嵌合により、第1シール部40の延在方向と第2シール部35の延在方向とを対角線方向とするひし形状の断面形状に変形させるので、その紙筒10を第1シールバー31と第2シールバー32で押し潰して第1シール部40と第2シール部35を形成するときに、紙筒10の潰れ方が円滑である。そのため、第1シール部40や第2シール部35にシワが入りにくく、紙製緩衝材47を安定して製造することが可能である。
【0060】
また、この紙製緩衝材の製造装置は、
図8に示すように、紙筒10の外周から突出する合掌部26が、合掌部倒伏ガイド17によって紙筒10の外周に沿って倒れた状態になるので、その後、紙筒10を第1シールバー31と第2シールバー32で押し潰して第1シール部40と第2シール部35を形成するときに、合掌部26が縦に潰れてシール不良が生じるのを防止することができる。
【0061】
また、この紙製緩衝材の製造装置は、
図16~
図19に示すように、第1シールバー31と隣接する位置に設けた一対の合掌部押さえ治具33が、第1シールバー31による紙筒10の挟み付け方向と同方向に紙筒10を挟み付けることで、紙筒10の外周から突出する合掌部26を紙筒10の外周に沿って倒しながら、紙筒10を押し潰されない程度に予備変形させるので、その後、第1シールバー31で紙筒10を挟み付けて押し潰すときに、紙筒10の潰れ方が円滑であり、また合掌部26が紙筒10の外周から立ち上がってシワが入るのを防止することができる。
【0062】
また、この紙製緩衝材の製造装置は、第1シールバー31と第2シールバー32が、
図8に示すように、紙筒10の軸方向から見て、第1シール部40の延在方向(ここでは鉛直方向)と第2シール部35の延在方向(ここでは水平方向)とを2等分する方向から±15°以内の方向(ここでは45°の方向)に合掌部26の根元27がくるように第1シール部40と第2シール部35とを形成するので、第1シールバー31で紙筒10を挟み付けて押し潰すときも、第2シールバー32で紙筒10を挟み付けて押し潰すときも、紙筒10を安定して押し潰すことができ、また合掌部26が紙筒10の外周から立ち上がってシワが入るのを防止することができる。
【0063】
上記実施形態では、紙筒10の軸方向から見て、合掌部26の根元27の位置が45°の方向、第1シール部40の延在方向が鉛直方向、第2シール部35の延在方向が水平方向となるように、紙筒成形部3、第1シールバー31、第2シールバー32を配置した構成を例に挙げて説明したが、例えば、紙筒10の軸方向から見て、合掌部26の根元27の位置が鉛直真上の方向(90°の方向)、第1シール部40の延在方向が45°の方向、第2シール部35の延在方向が-45°の方向となるように、紙筒成形部3、第1シールバー31、第2シールバー32を配置するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、一対の合掌部押さえ治具33を、第1シールバー31と隣接する位置に、第1シールバー31による紙筒10の挟み付け方向と同方向に紙筒10を挟み付ける一対の合掌部押さえ治具33を設けたが、第2シールバー32と隣接する位置に、第2シールバー32による紙筒10の挟み付け方向と同方向に紙筒10を挟み付ける一対の合掌部押さえ治具33を設けるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、合掌シールバー15、第1シールバー31、第2シールバー32における紙の接合をヒートシールで行なうものを例に挙げて説明したが、例えば、特許第5080691号、特許第5361858号、特許第6903855号のように、一対の歯型で挟み付けて圧力を付与することで紙同士を接合する方式など、別の方式で紙を接合するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、連続紙1の幅方向一端と幅方向他端を合掌貼りすることで紙筒10を形成するものを例に挙げて説明したが、この発明は、連続紙1の幅方向一端と幅方向他端を封筒貼りやスパイラル貼りすることで紙筒10を形成するように構成したものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 連続紙
2 給紙部
3 紙筒成形部
10 紙筒
11 円筒状コア
12 ひし形コア
17 合掌部倒伏ガイド
26 合掌部
27 合掌部の根元
31 第1シールバー
32 第2シールバー
33 合掌部押さえ治具
35 第2シール部
40 第1シール部
47 紙製緩衝材