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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038756
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂シート
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/32 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
C08G59/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143014
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】生田 潤
(72)【発明者】
【氏名】木村 龍一
(72)【発明者】
【氏名】肥後 友紀子
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AK06
4J036GA03
4J036HA02
4J036JA06
(57)【要約】
【課題】高温時の耐スクラッチ性に優れた光硬化性樹脂シートを提供する。
【解決手段】(A)エポキシ基を有する高分子化合物及び(B)光重合開始基を有する低分子化合物を含み、高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量Xが100g/eq<X<400g/eqである光硬化性樹脂シート。
【選択図】なし


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ基を有する高分子化合物及び(B)光重合開始基を有する低分子化合物を含み、高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量Xが100g/eq<X<400g/eqである光硬化性樹脂シート。
【請求項2】
高分子化合物(A)の重量平均分子量が、1,000~1,000,000である請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項3】
低分子化合物(B)の分子量が、1,000未満である請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項4】
高分子化合物(A)の30℃における貯蔵弾性率G’が1,000,000Pa以上である請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項5】
高分子化合物(A)が、ビニル系単量体を重合して得られる樹脂である請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項6】
高分子化合物(A)が、ポリ(メタ)アクリル樹脂である請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項7】
500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の25℃における波長400nmの光透過率が70%以上、かつ、波長589nmの光線に対する屈折率が1.40以上である請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項8】
500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物のガラス転移温度が100℃以上であるかガラス転移温度が測定できない請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項9】
500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の25℃における引っ張り弾性率E’(at25℃)、150℃における引っ張り弾性率E’(at150℃)が、下記の式を満たす請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
1 < E’(at25℃)/ E’(at150℃) < 10
【請求項10】
500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の100℃における引っ張り弾性率E’(at100℃)が200,000,000Pa以上である請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項11】
光学用途で用いられる請求項1に記載の光硬化性樹脂シート。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂シートを硬化して得られた光学材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から光硬化性を有する樹脂組成物が、ディスプレイ、光半導体の接着剤、レンズ、保護膜等の光学用途に広く用いられている。これらの大部分が常温(25℃)で液状の樹脂組成物であり、ディスペンス方式により使用されている。
【0003】
一方、特許文献1には、(A)高分子化合物及び(B)低分子化合物を含み、エポキシ基、オキセタニル基及び光重合開始基が、それぞれ独立に高分子化合物(A)又は低分子化合物(B)に存在する光硬化性樹脂シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-091682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、信頼性の観点から、高温時の耐久性が光学材料に要求されるようになってきている。しかしながら、特許文献1等に記載されているような従来の光学材料は、本発明者らの検討の結果、高温環境において、部材の強度が低く、外部からの衝撃や傷に弱く、光学機能を損なうおそれがあることが新たに判明した。
本発明は、本発明者らが見出した新たな課題を解決するものであり、高温時の耐スクラッチ性に優れた光硬化性樹脂シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)は、(A)エポキシ基を有する高分子化合物及び(B)光重合開始基を有する低分子化合物を含み、高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量Xが100g/eq<X<400g/eqである光硬化性樹脂シートに関する。
【0007】
本発明(2)は、高分子化合物(A)の重量平均分子量が、1,000~1,000,000である本発明(1)に記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0008】
本発明(3)は、低分子化合物(B)の分子量が、1,000未満である本発明(1)又は(2)に記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0009】
本発明(4)は、高分子化合物(A)の30℃における貯蔵弾性率G’が1,000,000Pa以上である本発明(1)~(3)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0010】
本発明(5)は、高分子化合物(A)が、ビニル系単量体を重合して得られる樹脂である本発明(1)~(4)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0011】
本発明(6)は、高分子化合物(A)が、ポリ(メタ)アクリル樹脂である本発明(1)~(5)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0012】
本発明(7)は、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の25℃における波長400nmの光透過率が70%以上、かつ、波長589nmの光線に対する屈折率が1.40以上である本発明(1)~(6)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0013】
本発明(8)は、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物のガラス転移温度が100℃以上であるかガラス転移温度が測定できない本発明(1)~(7)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0014】
本発明(9)は、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の25℃における引っ張り弾性率E’(at25℃)、150℃における引っ張り弾性率E’(at150℃)が、下記の式を満たす本発明(1)~(8)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
1 < E’(at25℃)/ E’(at150℃) < 10
【0015】
本発明(10)は、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の100℃における引っ張り弾性率E’(at100℃)が200,000,000Pa以上である本発明(1)~(9)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0016】
本発明(11)は、光学用途で用いられる本発明(1)~(10)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートに関する。
【0017】
本発明(12)はまた、本発明(1)~(11)のいずれかに記載の光硬化性樹脂シートを硬化して得られた光学材料に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光硬化性樹脂シートは、(A)エポキシ基を有する高分子化合物及び(B)光重合開始基を有する低分子化合物を含み、高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量Xが100g/eq<X<400g/eqであるため、高温時の耐スクラッチ性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、光硬化性樹脂シートの一例を模式的に示す断面図である。
図2図2(A)、(B)は、光硬化性樹脂シート積層体の一例を模式的に示す断面図である。
図3図3(A)、(B)は、光硬化性樹脂シート積層体の一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、巻回体の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の光硬化性樹脂シートは、(A)エポキシ基を有する高分子化合物及び(B)光重合開始基を有する低分子化合物を含み、高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量Xが100g/eq<X<400g/eqである。これにより、高温時の耐スクラッチ性に優れる。
【0021】
前記光硬化性樹脂シートで前述の効果が得られる理由は、以下のように推察される。
エポキシ官能基当量の低い高分子化合物(ポリマー)、すなわち、エポキシ基量が多い高分子化合物を用いることで、硬化物の架橋密度が増大して、硬化後のガラス転移温度及び弾性率が増大し、更には、弾性率の温度依存性が低下して、高温下でも高い弾性率が維持されるため、高温時であっても、高い弾性率が得られることとなり、高温下でも耐スクラッチ性が向上する。よって、本発明の光硬化性樹脂シートから得られる光学材料は、高温時の耐スクラッチ性に優れる。
また、本発明の光硬化性樹脂シートは、硬化前であっても常温で液状とならず形状を保持するためにハンドリング性に優れると共に、光硬化性及び透明性にも優れる。更に、一括封止や微小な厚みの制御が容易となる等、成型性、作業性が向上し、製品生産性をも向上する。
【0022】
(A)エポキシ基を有する高分子化合物(高分子化合物(A)とも記載する)
高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量Xは、100g/eq<X<400g/eqであり、好ましくは125~375g/eq、より好ましくは150~350g/eqである。上限は、更に好ましくは300g/eq、特に好ましくは250g/eqである。ここで、本明細書において、「~」の表記は、「~」という記載の前の値以上、「~」という記載の後の値以下を意味する。
エポキシ官能基当量が100g/eq以下であると、エポキシ基の密度が過度に高いため、側鎖間の立体障害により反応が完全に進行しなくなることがあり、400g/eq以上であると、エポキシ基量が少ないため、高温時の耐スクラッチ性が充分に得られない。
本明細書において、高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量は、JIS K7236(2001)により測定される。
【0023】
高分子化合物(A)の重量平均分子量は特に限定されないが、1,000~1,000,000が好ましく、10,000~100,000がより好ましい。上記範囲内であると、より好適にシート形状を保持することができる。高分子化合物(A)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、高分子化合物の重量平均分子量は、高分子化合物をテトラヒドロフランに溶解させ、GPC装置(東ソー株式会社製、HLC-8320GPC)を用いて以下の条件で測定し、ポリスチレン換算により求められる値である。
カラム:TSKgel Super HZMH/HZ4000/HZ3000/HZ2000
カラムサイズ:6.0mmI.D.×150mm
溶離液:THF
流量:0.6mL/min
検出器:RI
カラム温度:40℃
注入量:20μL
【0024】
高分子化合物(A)の30℃における貯蔵弾性率G’は、大きいほど光硬化性樹脂シートを硬化した後のガラス転移温度及び弾性率をより増大できるため、好ましくは1,000,000Pa以上、より好ましくは1,100,000Pa以上、更に好ましくは1,200,000Pa以上、特に好ましくは1,500,000Pa以上、最も好ましくは1,750,000Pa以上、より最も好ましくは2,000,000Pa以上であり、上限は特に限定されないが、例えば、10,000,000Pa以下である。
なお、本明細書において、高分子化合物の30℃における貯蔵弾性率G’は、動的粘弾性測定装置により、以下の測定条件で30℃において測定される。
サンプルサイズ:直径8mmΦ、厚み250μm
測定モード:ずりオシレーション
周波数:1Hz
【0025】
高分子化合物(A)は特に限定されないが、光硬化性樹脂シートを硬化した後のガラス転移温度及び弾性率をより増大できるため、ビニル系単量体を重合して得られる樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、オレフィン樹脂、アクリロニトリル樹脂、これらの共重合体等が挙げられる。高分子化合物(A)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なかでも、高温時の耐スクラッチ性により優れるという理由から、ポリ(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0026】
ポリ(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル等の(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして重合したポリマーが挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
【0027】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
ポリ(メタ)アクリル樹脂は、上述の(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーを共重合することもできる。他のモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル等が挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等が挙げられる。これらの他のモノマーは単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0029】
ポリ(メタ)アクリル樹脂の重合方法は、特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
【0030】
ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ(ビニルアルコール)等が挙げられる。オレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0031】
高分子化合物(A)は、エポキシ基を有するが、脂肪族エポキシ基を有することが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレート基を有することがより好ましい。また、高分子化合物(A)は、エポキシ基以外の官能基を有してもよい。エポキシ基以外の官能基としては、例えば、カルボキシル基、アルキル基等が挙げられる。また、高分子化合物(A)は、光重合開始基を有してもよい。また、高分子化合物(A)は、オキセタニル基を有さないことが好ましい。
【0032】
高分子化合物(A)がポリ(メタ)アクリル樹脂等のラジカル重合で重合する高分子化合物である場合、エポキシ基の導入方法は、特に限定されないが、エポキシ基を有するモノマーと、上述した各種モノマーとを共重合する方法等が挙げられる。
【0033】
エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族エポキシ基を有するモノマー、脂環式エポキシ基を有するモノマー、芳香族エポキシ基を有するモノマーが挙げられる。なかでも、脂肪族エポキシ基を有するモノマーが好ましい。
【0034】
脂肪族エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ化合物の(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0035】
脂環式エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、プロパン-2,2-ジイル-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパンジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-2-エポキシエチルシクロヘキサン、これらのカプロラクトン変性物、トリメチルカプロラクトン変性物、バレロラクトン変性物等の脂環式エポキシ化合物の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0036】
芳香族エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、フェノール、クレゾール又はブチルフェノールにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明の光硬化性樹脂シート中の高分子化合物(A)の含有量は特に限定されないが、好ましくは85~99質量%、より好ましくは88~99質量%、更に好ましくは92~99質量%、特に好ましくは95~99質量%である。上記範囲内であると、高温時の耐スクラッチ性がより好適に得られると共に、常温でシート形状をより好適に保持できる傾向がある。
【0038】
(B)光重合開始基を有する低分子化合物(低分子化合物(B)とも記載する)
低分子化合物(B)の分子量の上限は特に限定されないが、1,000未満が好ましく、800以下がより好ましく、700以下が更に好ましい。分子量が1,000以上であると系内の拡散速度が遅くなり、光硬化性を損なうことがある。下限も特に限定されないが、100以上が好ましく、400以上がより好ましい。低分子化合物(B)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、低分子化合物の分子量は、該化合物の分子構造から算出される値である。ここで、本明細書において、前記化合物の分子構造は、NMRにより決定される。
【0039】
光重合開始基を有する低分子化合物(B)としては、光吸収によりイオン対又はラジカルを発生する性質を有する基を有する限り特に限定されないが、例えば、光カチオン重合開始基を有する光カチオン重合開始剤、光ラジカル発生基を有する光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。低分子化合物(B)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基やオキセタニル基の重合反応を開始する。光カチオン重合開始剤としては、光酸発生剤、光塩基発生剤等が好ましく、光酸発生剤がより好ましい。活性エネルギー線として可視光線を用いる場合には、特に380nm以上の光に対して高感度な光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。光カチオン重合開始剤は一般に、300nm付近又はそれより短い波長域に極大吸収を示す化合物であるため、それより長い波長域、具体的には380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤を配合することで、この付近の波長の光に感応し、光カチオン重合開始剤からのカチオン種又は酸の発生を促進させることができる。
【0041】
光酸発生剤としては、アニオン成分とカチオン成分とからなるオニウム塩が挙げられる。オニウムカチオン成分としては、例えば、芳香族ジアゾニウム、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族セレニウム、芳香族ピリジニウム、芳香族フェロセニウム、芳香族ホスホニウム等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中では、芳香族スルホニウムが好ましい。
【0042】
アニオン成分としては、例えば、PF 、PF(CFCF 、SbF 、AsF 、SbCl 、BiCl 、SnCl 、ClO 、ジチオカルバメートアニオン、SCN、トリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中では、PF 、SbF 及びAsF が好ましく、PF 及びSbF がより好ましい。
【0043】
光重合開始基を有する低分子化合物(B)は、光カチオン重合開始剤であることが好ましく、光酸発生剤であることがより好ましく、芳香族スルホニウムであることが更に好ましい。
【0044】
光重合開始基を有する低分子化合物(B)は、光重合開始基以外の官能基を有してもよい。光重合開始基以外の官能基としては、例えば、カルボキシル基、アルキル基等が挙げられる。また、低分子化合物(B)は、エポキシ基を有してもよい。また、低分子化合物(B)は、オキセタニル基を有さないことが好ましい。
【0045】
本発明の光硬化性樹脂シート中の光重合開始基を有する低分子化合物(B)の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.5~15質量%、より好ましくは1~12質量%、更に好ましくは1~8質量%、特に好ましくは1~5質量%、最も好ましくは1~3質量%である。上記範囲内であると、高温時の耐スクラッチ性がより好適に得られると共に、良好な光硬化性をより好適に付与でき、また、シート表面へのブリードもより好適に抑制でき、ハンドリング性もより良好となる傾向がある。
【0046】
本発明の光硬化性樹脂シート中の高分子化合物(A)及び低分子化合物(B)の合計含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0047】
本発明の光硬化性樹脂シートは、光重合開始基を有する低分子化合物(B)と共に、オキセタニル基を有する化合物(好ましくはオキセタニル基を有する低分子化合物)を含んでもよい。ここで、オキセタニル基を有する低分子化合物の分子量は、低分子化合物(B)の分子量と同様である。
【0048】
オキセタニル基を有する低分子化合物としては、例えば、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3-メチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エーテル、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、イソブトキシメチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-エチルヘキシル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中では、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタンが好ましい。
【0049】
本発明では、エポキシ官能基当量の低い高分子化合物(A)を使用するため、オキセタニル基を有する化合物を含有しなくても、充分に硬化反応が進行するため、光硬化性樹脂シート中のオキセタニル基を有する化合物(好ましくはオキセタニル基を有する低分子化合物)の含有量は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%未満、更に好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0.01質量%以下、より最も好ましくは0質量%(含有しない)である。
【0050】
本発明の光硬化性樹脂シートは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、高分子化合物(A)及び低分子化合物(B)に加えて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、前述のオキセタニル基を有する低分子化合物以外では、光増感剤、着色料等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
光増感剤としては、例えば、アントラセン化合物、ピレン化合物、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。特に光増感効果に優れたアントラセン化合物が好ましい。光増感剤の含有量は0.1~5質量%が好ましく、0.5~3質量%がより好ましい。
【0052】
本発明の光硬化性樹脂シートは、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物のガラス転移温度が100℃以上であるかガラス転移温度が測定できないことが好ましい。前記硬化物のガラス転移温度が高いほど高温時の耐スクラッチ性により優れることから、前記硬化物のガラス転移温度は高ければ高いほどよく、より好ましくは105℃以上、更に好ましくは110℃以上、特に好ましくは115℃以上、最も好ましくは120℃以上、より最も好ましくは130℃以上、更に最も好ましくは140℃以上、特に最も好ましくは150℃以上であり、上限は特に限定されず、例えば、300℃以下である。
【0053】
本明細書において、硬化物のガラス転移温度は、硬化物について、動的粘弾性測定装置を用いて、所定の温度域のtanδを測定して得られた温度分布曲線におけるピークの温度(tanδピーク温度)であり、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
また、前記硬化物のガラス転移温度が測定できないとは、前記所定の温度域では、tanδが極大値を示しておらず、前記所定の温度域の上限温度においてtanδが最大値を示すなど、ガラス転移温度が前記所定の温度域の上限温度よりも高い温度であることが示唆されること、測定中にサンプルが破断してしまうこと、又は、完全弾性体のようにガラス転移温度をそもそも有さないことを意味する。特に、ガラス転移温度が前記所定の温度域の上限温度よりも高い温度であることが示唆されること、又は、測定中にサンプルが破断してしまうことを意味する。
前記所定の温度域の上限温度としては、好ましくは200℃である。
前記試験において、測定中にサンプルが破断してしまうことは、測定サンプルに亀裂や微小ボイドが存在していたことを意味する。
【0054】
前記硬化物のガラス転移温度が100℃以上であるかガラス転移温度が測定できないとは、前記硬化物のガラス転移温度が高いことを意味するが、このような硬化物は、本発明の光硬化性樹脂シートが、エポキシ官能基当量の低い高分子化合物(A)を含有することにより、好適に得られる。
【0055】
本発明の光硬化性樹脂シートは、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の25℃における波長400nmの光透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、99%以下が好ましい。光透過率が70%未満であると、透明性が不充分であり光学用途に使用できないことがある。光透過率は、分光光度計を用いて測定することができる。
使用する原材料の紫外領域の光吸収を抑制することにより、波長400nmの光透過率を上記数値範囲内に調整することができる。
【0056】
本発明の光硬化性樹脂シートは、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の25℃における波長589nmの光線に対する屈折率は、光硬化性樹脂シートの用途によって好ましい範囲が異なる。例えば、本発明の光硬化性樹脂シートをレンズに使用する場合には、屈折率は1.40以上が好ましく、1.47以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、1.80以下が好ましい。屈折率は、屈折率計を用いて測定することができる。
使用する原材料の屈折率及びその配合比率を調整することにより、波長589nmの光線に対する屈折率を上記数値範囲内に調整することができる。
【0057】
上記光透過率、上記屈折率を上記数値範囲内に調整する具体的な方法としては、例えば、紫外領域に光吸収の少ない材料を使用し、必要に応じて、光吸収のある材料(例えば、光重合開始基含有化合物)の配合量を少量に調整すればよい。
【0058】
本発明の光硬化性樹脂シートは、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の25℃における引っ張り弾性率E’(at25℃)、150℃における引っ張り弾性率E’(at150℃)が、下記の式を満たすことが好ましい。
1 < E’(at25℃)/ E’(at150℃) < 10
E’(at25℃)/ E’(at150℃)は、より好ましくは1.25~9.75、更に好ましくは1.5~7.0である。上限は、特に好ましくは6.0、最も好ましくは5.0である。上記範囲内であると、25~150℃において、引っ張り弾性率E’の変化量がより小さいこととなり、信頼性評価における温度サイクル試験の耐性がより向上する。
【0059】
本発明の光硬化性樹脂シートは、500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理して得られた硬化物の100℃における引っ張り弾性率E’(at100℃)が好ましくは200,000,000Pa以上である。前記硬化物のE’(at100℃)が高いほど高温時の耐スクラッチ性により優れることから、前記硬化物のE’(at100℃)は高ければ高いほどよく、より好ましくは400,000,000Pa以上、更に好ましくは600,000,000Pa以上、特に好ましくは800,000,000Pa以上、最も好ましくは1,000,000,000Pa以上、より最も好ましくは1,200,000,000Pa以上であり、上限は特に限定されず、例えば、10,000,000,000 Pa以下である。
硬化物の各温度における引っ張り弾性率E’は、実施例に記載の方法により測定される。
【0060】
本発明の光硬化性樹脂シートが、エポキシ官能基当量の低い高分子化合物(A)を含有することにより、前記硬化物のE’(at25℃)/ E’(at150℃)、E’(at100℃)を上記数値範囲内に好適に調整することができる。
【0061】
本発明の光硬化性樹脂シートは、上述した高分子化合物(A)及び低分子化合物(B)と、必要に応じて溶剤とを含む光硬化性樹脂組成物を基材上にキャストし、必要に応じて溶剤を乾燥させることにより製造することができる。また、上述した高分子化合物(A)及び低分子化合物(B)を含む光硬化性樹脂組成物をロールでフィルム状に加工したり、Tダイからフィルム状に押し出すこともできる。その後、基材を使用した場合には、基材をはく離しても、はく離しなくてもよい。また、基材上に製造した光硬化性樹脂シートに、更に別の基材を重ねることで、基材間に挟まれた状態の光硬化性樹脂シートとすることもできる。この場合、光硬化性樹脂シートを巻回体に巻き取ることで、ロール状とすることもできる。また、所定のサイズに裁断したシートを重ねて枚葉シートとすることもできる。
【0062】
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶剤、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、パーフルオロオクタン、パーフルオロトリ-N-ブチルアミン等のフッ素化イナートリキッド類等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中では、溶質との相溶性の観点から、メチルエチルケトンが好ましい。
【0063】
光硬化性樹脂組成物が溶剤を含む場合、溶剤の含有量は特に限定されないが、上述した高分子化合物(A)及び低分子化合物(B)の総質量100質量部に対して、20~50質量部であることが好ましい。
【0064】
基材は例えばプラスチック基材であり、プラスチックフィルムを好適に用いることができる。プラスチック基材の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルスルフィド、アラミド、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。これらの材質は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、基材は単層構造でも、多層構造でもよい。更に、基材は光透過性を有することが好ましい。
【0065】
プラスチック基材以外の基材としては、例えば、多孔質材料製基材、ゴムシート、発泡シート、金属箔、これらのラミネート体が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0066】
多孔質材料製基材をなす多孔質材料としては、例えば、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙などの紙類;織布や不織布等の布類;が挙げられる。
【0067】
布類をなす繊維材料としては、天然繊維、半合成繊維、合成繊維が挙げられ、具体的には、例えば、綿繊維、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維が挙げられる。
【0068】
ゴムシートを構成するゴムとしては、例えば、天然ゴムやブチルゴムが挙げられる。
【0069】
発泡シートを構成する発泡体としては、例えば、ポリウレタンの発泡体、ポリクロロプレンゴムの発泡体が挙げられる。
【0070】
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔や銅箔が挙げられる。
【0071】
基材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤,有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料,染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。基材の表面には、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理や背面処理等の化学的処理が挙げられる。
【0072】
基材の厚みは、例えば、1~200μmである。
【0073】
本発明の光硬化性樹脂シートは、紫外線(例えば波長365nm近辺)照射等の光照射により硬化させることができる。光照射の光源としては、LED、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射量は特に限定されないが、100~10,000mJ/cmが好ましい。また、必要に応じて加熱硬化工程を行ってもよい。加熱条件としては、例えば、120~180℃で5~60分間の条件が挙げられる。
【0074】
本発明の光硬化性樹脂シートの厚み(基材を除いた厚み)は、10~1,000μmが好ましく、50~500μmがより好ましい。光硬化性樹脂シートの厚みが10μm未満であると、ハンドリング性を損なうことがあり、1,000μmを超えると、光硬化性を損なうことがある。
【0075】
本発明の光硬化性樹脂シートの形状は特に限定されず、例えば、正方形及び長方形を含む多角形、円形、楕円形、並びに帯状である。多角形、円形及び楕円形の光硬化性樹脂シートは枚葉としての流通が、帯状の光硬化性樹脂シートは、巻芯に巻回した巻回体(ロール)としての流通が、それぞれ可能である。帯状である光硬化性樹脂シートの幅及び帯状である光硬化性樹脂シートを巻回した巻回体の幅は、自由に設定できる。
【0076】
図1に示す光硬化性樹脂シート1は、単層である。本発明では、光硬化性樹脂シート1の主面2A及び/又は主面2B上には、他の層が配置されていてもよい。すなわち、本発明の光硬化性樹脂シートは、光硬化性樹脂シート積層体であってもよい。
【0077】
光硬化性樹脂シート積層体の一例は、例えば、本発明の光硬化性樹脂シート(単に樹脂シートとも記載する)の少なくとも一方の面側にはく離ライナーを備える。すなわち、光硬化性樹脂シート積層体は、本発明の光硬化性樹脂シートの一方の面側にはく離ライナーを備えるものであってもよいし、本発明の光硬化性樹脂シートの両方の面側にはく離ライナーを備えるものであってもよい。光硬化性樹脂シート積層体においては、代表的には、樹脂シートとはく離ライナーが直接に積層されてなる。
【0078】
このような実施形態としての本発明の光硬化性樹脂シート積層体は、例えば、〔樹脂シート〕/〔はく離ライナー〕の構成の積層体、〔はく離ライナー〕/〔樹脂シート〕/〔はく離ライナー〕の構成の積層体が挙げられる。図2(A)に示す光硬化性樹脂シート積層体10は、光硬化性樹脂シート1の上にはく離ライナー3が積層されている。図2(B)に示す光硬化性樹脂シート積層体10は、はく離ライナー3の上に光硬化性樹脂シート1が積層され、光硬化性樹脂シート1の上にはく離ライナー3が積層されている。
【0079】
はく離ライナーとしては、一般に、粘着シートに適用され得るはく離ライナーであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なはく離ライナーを採用し得る。このようなはく離ライナーとしては、例えば、はく離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材が挙げられる。
【0080】
はく離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等のはく離処理剤によって表面処理されたプラスチックフィルムや紙が挙げられる。
【0081】
プラスチックフィルムとしては、基材に関して上述したものと同様のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0082】
フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0083】
無極性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0084】
はく離ライナーの表面は、離型処理、防汚処理、帯電防止処理などの各種処理が施されていてもよい。離型処理には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤、シリカ粉を用いることができる。防汚処理には、シリカ粉を用いることができる。帯電防止処理には、塗布型帯電防止処理、練り込み型帯電防止処理、蒸着型帯電防止処理を採用することができる。
【0085】
はく離ライナーの厚みは、好ましくは5μm~200μmであり、より好ましくは5μm~100μmである。はく離ライナーの厚みは、本発明の光硬化性樹脂シートの厚みに含まれないものとする。
【0086】
光硬化性樹脂シート積層体の別の一例は、例えば、本発明の光硬化性樹脂シート(単に樹脂シートとも記載する)の少なくとも一方の面側に基材層を備える。すなわち、光硬化性樹脂シート積層体は、本発明の光硬化性樹脂シートの一方の面側に基材層を備えるものであってもよいし、本発明の光硬化性樹脂シートの両方の面側に基材層を備えるものであってもよい。光硬化性樹脂シート積層体においては、代表的には、樹脂シートと基材層が直接に積層されてなる。
【0087】
このような実施形態としての本発明の光硬化性樹脂シート積層体は、例えば、〔樹脂シート〕/〔基材層〕の構成の積層体、〔基材層〕/〔樹脂シート〕/〔基材層〕の構成の積層体が挙げられる。図3(A)に示す光硬化性樹脂シート積層体10は、光硬化性樹脂シート1の上に基材層4が積層されている。図3(B)に示す光硬化性樹脂シート積層体10は、基材層4の上に光硬化性樹脂シート1が積層され、光硬化性樹脂シート1の上に基材層4が積層されている。
【0088】
基材層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材からなる基材層を採用し得る。このような基材としては、例えば、前述した基材が挙げられる。
【0089】
光硬化性樹脂シート積層体の別の一例は、例えば、本発明の光硬化性樹脂シート(単に樹脂シートとも記載する)の一方の面側に基材層を備え、もう一方の面側にはく離ライナーを備える。このような実施形態としての本発明の光硬化性樹脂シート積層体は、例えば、〔基材層〕/〔樹脂シート〕/〔はく離ライナー〕の構成の積層体が挙げられる。
【0090】
光硬化性樹脂シート積層体の別の一例は、例えば、本発明の光硬化性樹脂シート(単に樹脂シートとも記載する)の一方の面側に基材層を備え、基材層の樹脂シートと反対側の面側に、粘着剤層を備える。このような実施形態としての本発明の光硬化性樹脂シート積層体は、例えば、〔樹脂シート〕/〔基材層〕/〔粘着剤層〕の構成の積層体が挙げられる。
【0091】
粘着剤層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤層を採用し得る。このような粘着剤層としては、例えば、アクリル系粘着剤層、ウレタン系粘着剤層、オレフィン系粘着剤層、ゴム系粘着剤層、シリコーン系粘着剤層などが挙げられる。
【0092】
光硬化性樹脂シート積層体について、いくつかの例を挙げて説明したが、光硬化性樹脂シート積層体は、本発明の光硬化性樹脂シートを含む積層体であれば特に限定されない。
【0093】
本発明の光硬化性樹脂シートや光硬化性樹脂シート積層体は、光硬化性樹脂シートや光硬化性樹脂シート積層体を巻回体に巻き取ることで、ロール状とすることもできる。
図4では、光硬化性樹脂シート1は、巻回体(ロール)11に巻回されている。
【0094】
また、本発明の光学材料は、本発明の光硬化性樹脂シートを硬化して得られることを特徴とする。本発明の光硬化性樹脂シートとして、光硬化性樹脂シート積層体を用いてもよい。
光学材料は特に限定されないが、例えば、ディスプレイや光半導体の接着剤、レンズ、保護膜等の光学電子部品が挙げられる。
【0095】
本発明の光硬化性樹脂シートは、硬化前は熱可塑性を有し、硬化後は高温時の耐スクラッチ性に優れるため、インプリント成型用途(好ましくはナノインプリント成型用途)に好適に使用できる。よって、本発明の光学材料は、本発明の光硬化性樹脂シートをインプリント成型された材料であることが好ましく、本発明の光硬化性樹脂シートをナノインプリント成型された材料であることがより好ましい。本発明の光硬化性樹脂シートをナノインプリント成型された材料としては、例えば、マイクロレンズ、光学回折素子、表面レリーフ回折格子等が挙げられる。なかでも、マイクロレンズが好ましい。
【0096】
インプリント成型では、所定の凹凸構造(パターン)が形成されたモールドを、本発明の光硬化性樹脂シートに押し付けた状態で、熱や紫外線などの光等により本発明の光硬化性樹脂シートを硬化し、モールドの凹凸構造を本発明の光硬化性樹脂シートに転写することで、凹凸構造を有する光硬化性樹脂シートを製造する。また、光硬化性樹脂シートを硬化した後、必要に応じて、光硬化性樹脂シートに対して加熱処理を実施してもよい。成型の際の紫外線照射量、加熱条件は、特に限定されず、前述と同様である。
【0097】
インプリント成型と、ナノインプリント成型では、モールドに形成される凹凸構造の大きさが異なる点を除いて、基本的に同様の成型である。ナノインプリント成型では、凹凸構造として、より微細な、例えば、ナノサイズの凹凸構造(ナノ凹凸構造)が用いられる。なお、モールドの凹凸構造の作製方法は、公知の方法を採用できる。
【実施例0098】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「質量部」又は「質量%」を意味する。
【0099】
実施例及び比較例で使用した材料を以下に示す。
【0100】
・高分子化合物(A)
エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂1(大成ファインケミカル株式会社製1HM2097、重量平均分子量60,000、エポキシ官能基当量187g/eq、30℃における貯蔵弾性率G’2,100,000Pa、脂肪族エポキシ基(グリシジル(メタ)アクリレート基)を有する(メタ)アクリル樹脂)
エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂2(大成ファインケミカル株式会社製1HM2095、重量平均分子量60,000、エポキシ官能基当量306g/eq、30℃における貯蔵弾性率G’1,300,000Pa、脂肪族エポキシ基(グリシジル(メタ)アクリレート基)を有する(メタ)アクリル樹脂)
エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂3(大成ファインケミカル株式会社製1HM2067、重量平均分子量60,000、エポキシ官能基当量433g/eq、30℃における貯蔵弾性率G’820,000Pa、脂肪族エポキシ基(グリシジル(メタ)アクリレート基)を有する(メタ)アクリル樹脂)
【0101】
・低分子化合物(B)
光重合開始基含有化合物(トリアリールスルホニウム塩、サンアプロ株式会社製CPI101A、分子量558、アニオン:SbF
・低分子化合物(B)以外の低分子化合物
オキセタニル基含有化合物(3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、東亜合成株式会社製OXT221、分子量214)
【0102】
実施例1~4及び比較例1、2
表1に示す割合(固形分比)で各成分をメチルエチルケトンに溶解させ、光硬化性樹脂組成物を得た。基材としてPETフィルムを用い、基材上に光硬化性樹脂組成物をキャストし、乾燥させることにより、厚みが100μm程度の光硬化性樹脂シートを得た。得られた光硬化性樹脂シートを用いて、下記の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0103】
<ガラス転移温度>
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂シートに500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理(ポストキュア)した。得られた硬化物のガラス転移温度は、TAインスツルメンツ社製動的粘弾性測定装置RSA-3を用いて、以下の測定条件のもと、25~200℃の温度域のtanδを測定し、得られた温度分布曲線におけるピークの温度(tanδピーク温度)をガラス転移温度として測定した。
サンプルサイズ:1×5cm、厚み50~150μm
測定モード:引張モード
周波数:1Hz
昇温速度:10℃/分
【0104】
<引っ張り弾性率E’>
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂シートに500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理(ポストキュア)した。得られた硬化物の引っ張り弾性率E’は、TAインスツルメンツ社製動的粘弾性測定装置RSA-3を用いて、以下の測定条件のもと、25℃、100℃、150℃で測定した。
サンプルサイズ:1×5cm、厚み50~150μm
測定モード:引張モード
周波数:1Hz
【0105】
<光透過率>
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂シートに500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理(ポストキュア)した。得られた硬化物の25℃における光透過率(波長400nm)を、分光光度計(日本分光株式会社製)により測定した。
【0106】
<屈折率>
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂シートに500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理(ポストキュア)した。得られた硬化物について、屈折率計(株式会社アタゴ製)により、25℃環境下でのナトリウムD線(波長589nmの光線)に対する屈折率を測定した。
【0107】
<高温時の耐スクラッチ性(100℃での鉛筆引っかき試験)>
実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂シートに500mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた後に、150℃で15分間加熱処理(ポストキュア)した。得られた硬化物について、100℃のホットプレート上に置き、JIS K5600-5-4の方法に従い、硬度HBの鉛筆で10回引っかいたときの、シート表面の傷もしくは割れの頻度で高温時のスクラッチ性を評価した。評価基準は以下の通りである。
〇 : 0~5回
× : 6~10回
【0108】
【表1】

【0109】
表1より、(A)エポキシ基を有する高分子化合物及び(B)光重合開始基を有する低分子化合物を含み、高分子化合物(A)のエポキシ官能基当量Xが100g/eq<X<400g/eqである実施例は、高温時の耐スクラッチ性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は光硬化性樹脂シートに関し、ディスプレイや光半導体の接着剤、レンズ、保護膜等といった光学電子部品用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 光硬化性樹脂シート
2A 主面
2B 主面
3 はく離ライナー
4 基材層
10 光硬化性樹脂シート積層体
11 巻回体(ロール)
図1
図2
図3
図4