(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038770
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ガスタービンシステム
(51)【国際特許分類】
F02C 7/143 20060101AFI20240313BHJP
F02C 3/30 20060101ALI20240313BHJP
F02C 3/24 20060101ALI20240313BHJP
F02C 7/224 20060101ALI20240313BHJP
F02C 7/16 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
F02C7/143
F02C3/30 B
F02C3/24
F02C7/224
F02C7/16 Z
F02C3/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143037
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 原栄
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊郎
(57)【要約】
【課題】ガスタービンの出力を増加させること。
【解決手段】ガスタービンシステム10は、液体アンモニアの供給源1と、アンモニアを含む燃料を燃焼する燃焼器4と、燃焼器4に接続されるガスタービン3と、供給源1および燃焼器4に接続される第1熱交換器2であって、供給源1からの液体アンモニアの冷熱エネルギを、ガスタービン3へ流入する空気に伝え、かつ、熱交換によって加熱されたアンモニアを、燃焼器4に供給する、第1熱交換器2と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニアの供給源と、
アンモニアを含む燃料を燃焼する燃焼器と、
前記燃焼器に接続されるガスタービンと、
前記供給源および前記燃焼器に接続される第1熱交換器であって、前記供給源からの前記液体アンモニアの冷熱エネルギを、前記ガスタービンへ流入する空気に伝え、かつ、熱交換によって加熱されたアンモニアを、前記燃焼器に供給する、第1熱交換器と、
を備える、ガスタービンシステム。
【請求項2】
前記ガスタービンに接続される吸気管が、前記第1熱交換器を通り、
前記第1熱交換器は、前記供給源からの前記液体アンモニアによって、前記吸気管を流れる空気を冷却する、
請求項1に記載のガスタービンシステム。
【請求項3】
前記ガスタービンに接続される吸気管に設けられる第2熱交換器と、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを循環的に接続する循環流路であって、前記第1熱交換器は、前記供給源からの前記液体アンモニアによって、当該循環流路を流れる熱媒体を冷却し、前記第2熱交換器は、前記冷却された熱媒体によって、前記吸気管を流れる空気を冷却する、循環流路と、
を備える、請求項1に記載のガスタービンシステム。
【請求項4】
前記ガスタービンに接続される吸気管に設けられる第1噴霧器と、
前記第1熱交換器および前記第1噴霧器を接続する流路であって、前記第1熱交換器は、前記供給源からの前記液体アンモニアによって、当該流路を流れる水を冷却し、前記第1噴霧器は、前記冷却された水を、前記吸気管を流れる空気中に散布する、流路と、
備える、請求項1に記載のガスタービンシステム。
【請求項5】
前記吸気管に設けられる第2噴霧器と、
前記供給源と前記第2噴霧器とを接続するダイレクト流路であって、前記第2噴霧器は、前記供給源からの前記液体アンモニアの一部を、前記吸気管を流れる空気中に散布する、ダイレクト流路と、
を備える、請求項2から4のいずれか一項に記載のガスタービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは、圧縮機に流入する空気を冷却することによって、圧縮機に取り込まれる空気の量を増加し、出力を増加できることが知られている。このような構成として、例えば、特許文献1は、電力オフピーク時に、液体空気を製造して蓄え、電力ピーク時に、蓄えた液体空気によって圧縮機への吸気を冷却して、吸気の量を増加させるシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスタービンでは、出力を増加させることができる様々なオプションがあることが望ましい。
【0005】
本開示は、ガスタービンの出力を増加させることができるガスタービンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るガスタービンシステムは、液体アンモニアの供給源と、アンモニアを含む燃料を燃焼する燃焼器と、燃焼器に接続されるガスタービンと、供給源および燃焼器に接続される第1熱交換器であって、供給源からの液体アンモニアの冷熱エネルギを、ガスタービンへ流入する空気に伝え、かつ、熱交換によって加熱されたアンモニアを、燃焼器に供給する、第1熱交換器と、を備える。
【0007】
ガスタービンに接続される吸気管が、第1熱交換器を通ってもよく、第1熱交換器は、供給源からの液体アンモニアによって、吸気管を流れる空気を冷却してもよい。
【0008】
ガスタービンシステムは、ガスタービンに接続される吸気管に設けられる第2熱交換器と、第1熱交換器と第2熱交換器とを循環的に接続する循環流路であって、第1熱交換器は、供給源からの液体アンモニアによって、当該循環流路を流れる熱媒体を冷却し、第2熱交換器は、冷却された熱媒体によって、吸気管を流れる空気を冷却する、循環流路と、を備えてもよい。
【0009】
ガスタービンシステムは、ガスタービンに接続される吸気管に設けられる第1噴霧器と、第1熱交換器および第1噴霧器を接続する流路であって、第1熱交換器は、供給源からの液体アンモニアによって、当該流路を流れる水を冷却し、第1噴霧器は、冷却された水を、吸気管を流れる空気中に散布する、流路と、備えてもよい。
【0010】
ガスタービンシステムは、吸気管に設けられる第2噴霧器と、供給源と第2噴霧器とを接続するダイレクト流路であって、第2噴霧器は、供給源からの液体アンモニアの一部を、吸気管を流れる空気中に散布する、ダイレクト流路と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ガスタービンの出力を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るガスタービンシステムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係るガスタービンシステムを示す概略図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態に係るガスタービンシステムを示す概略図である。
【
図4】
図4は、第4実施形態に係るガスタービンシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、第1実施形態に係るガスタービンシステム10を示す概略図である。以下、ガスタービンシステム10は、単に「システム」とも称され得る。
図1において、実線の矢印は液体の流れを示し、破線の矢印は気体の流れを示す。システム10は、例えば、タンク(供給源)1と、気化器(第1熱交換器)2と、ガスタービン3と、燃焼器4と、発電機Gと、制御装置90と、を備える。また、ガスタービン3は、圧縮機31と、タービン32と、を含む。システム10の構成要素はこれらに限定されず、システム10は、その他の構成要素をさらに備えてもよい。
【0015】
タンク1は、アンモニアを貯蔵する。具体的には、タンク1は、液体アンモニアを貯蔵する。タンク1は、流路L1によって気化器2に接続される。タンク1内の液体アンモニアは、流路L1によって気化器2に供給される。流路L1には、液体アンモニアをタンク1から気化器2に送るためのポンプP1が設けられる。
【0016】
気化器2には、ガスタービン3の圧縮機31に接続される吸気管L2が通る。気化器2は、吸気管L2を流れる空気と、タンク1からの液体アンモニアと、の間で熱交換する。具体的には、気化器2は、吸気管L2を流れる空気によって、タンク1からの液体アンモニアを加熱する。加熱された液体アンモニアは、気体アンモニアへと気化する。気化器2は、流路L3によって燃焼器4に接続される。気化したアンモニアは、流路L3によって燃焼器4に供給される。
【0017】
別の観点では、気化器2は、タンク1からの液体アンモニアの冷熱エネルギを、吸気管L2を流れる空気に伝える。気化器2は、タンク1からの液体アンモニアによって、吸気管L2を流れる空気を冷却する。冷却された空気は、吸気管L2によって圧縮機31に供給される。
【0018】
圧縮機31は、気化器2によって冷却された空気を吸気管L2から吸引し、空気を圧縮する。圧縮機31は、流路L4によって燃焼器4に接続される。圧縮された空気は、流路L4によって燃焼器4に供給される。
【0019】
燃焼器4は、気化器2からの気体アンモニアを含む燃料と、圧縮機31からの圧縮された空気と、の混合気を燃焼する。例えば、燃焼器4は、アンモニアと、例えば微粉炭等の他の燃料と、を含む混合燃料を使用してもよい。また、例えば、燃焼器4は、アンモニアのみを燃料として使用してもよい。また、例えば、燃焼器4は、必要に応じて、アンモニア以外の他の燃料のみを燃料として使用してもよい。燃焼器4は、流路L5によってタービン32に接続される。燃焼によって生じた排ガスは、流路L5によってタービン32に供給される。
【0020】
タービン32は、燃焼器4からの排ガスによって回転される。タービン32は、シャフト33によって圧縮機31に連結される。圧縮機31は、タービン32と一体となって回転する。圧縮機31が回転すると、上記のように、気化器2によって冷却された空気が、吸気管L2から圧縮機31に吸引され圧縮される。
【0021】
本実施形態では、発電機Gが、タービン32に連結される。発電機Gは、タービン32と一体となって回転し発電する。代替的にまたは追加的に、他の実施形態では、発電機G以外の負荷が、タービン32に連結されてもよい。
【0022】
制御装置90は、システム10の全体または一部を制御する。制御装置90は、例えば、プロセッサ90a、記憶装置90bおよびコネクタ90c等の構成要素を含み、これらの構成要素はバスを介して互いに接続される。例えば、プロセッサ90aは、CPU(Central Processing Unit)を含む。例えば、記憶装置90bは、ハードディスク、プログラム等が格納されるROM、および、ワークエリアとしてのRAMを含む。制御装置90は、コネクタ90cを介して、システム10の構成要素と有線でまたは無線で通信可能に接続される。例えば、制御装置90は、表示装置および入力装置等の他の構成要素を更に含んでもよい。例えば、制御装置90は、ポンプP1と通信可能に接続されてもよく、ポンプP1の動作を制御してもよい。例えば、本開示で説明される制御装置90の動作は、記憶装置90bに記憶されるプログラムをプロセッサ90aに実行することによって、実現されてもよい。
【0023】
続いて、システム10の動作について説明する。
【0024】
タンク1内の液体アンモニアは、流路L1によって気化器2に供給される。気化器2は、吸気管L2を流れる空気によって、液体アンモニアを加熱する。加熱された液体アンモニアは、気体アンモニアへと気化する。気化したアンモニアは、流路L3によって燃焼器4に供給される。
【0025】
また、気化器2は、タンク1からの液体アンモニアによって、吸気管L2を流れる空気を冷却する。冷却された空気は、圧縮機31に吸引される。
【0026】
燃焼器4は、気化器2からの気体アンモニアを含む燃料と、圧縮機31からの加圧された空気と、を含む混合気を燃焼する。燃焼で生成された排ガスは、流路L5によってタービン32に供給される。タービン32は、燃焼器4からの排ガスによって回転させられる。
【0027】
タービン32の回転力は、シャフト33によって圧縮機31に伝達され、圧縮機31を回転させる。圧縮機31が回転すると、気化器2において冷却された空気が、吸気管L2から圧縮機31へと吸引され、加圧される。上記のように、加圧された空気は、流路L4によって燃焼器4に供給され、燃焼に使用される。
【0028】
発電機Gは、タービン32と共に回転し発電する。
【0029】
以上のようなシステム10は、液体アンモニアのタンク1と、アンモニアを含む燃料を燃焼する燃焼器4と、燃焼器4に接続されるガスタービン3と、タンク1および燃焼器4に接続される気化器2と、を備える。気化器2は、タンク1からの液体アンモニアの冷熱エネルギを、ガスタービン3へ流入する空気に伝える。また、気化器2は、熱交換によって加熱されたアンモニアを、燃焼器4に供給する。このような構成によれば、燃焼器4で燃料として使用される液体アンモニアの冷熱エネルギが、ガスタービン3へ流入する空気を冷却する。これによって、冷却された空気の密度が増加し、ガスタービン3へ流入する空気の量が増加する。したがって、ガスタービン3の出力を増加させることができる。
【0030】
また、システム10では、ガスタービン3に接続される吸気管L2が、気化器2を通り、気化器2は、タンク1からの液体アンモニアによって、吸気管L2を流れる空気を冷却する。このような構成によれば、液体アンモニアと空気との間で直接的に熱交換される。したがって、冷熱エネルギのロスを低減することができる。
【0031】
続いて、他の実施形態について説明する。
【0032】
図2は、第2実施形態に係るガスタービンシステム10Aを示す概略図である。システム10Aは、タンク1からの液体アンモニアと、吸気管L2の空気との間に、熱媒体が介され、液体アンモニアが空気を間接的に冷却する点で、第1実施形態のシステム10と異なる。具体的には、気化器2と吸気管L2との間に、循環流路L6および熱交換器(第2熱交換器)5が設けられる。その他の点については、システム10Aは、システム10と同じであってもよい。
【0033】
熱交換器5は、吸気管L2に設けられる。循環流路L6は、気化器2と熱交換器5とを循環的に接続する。循環流路L6には、熱媒体が流れる。循環流路L6には、熱媒体を循環させるためのポンプP2が設けられる。ポンプP2は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続される。制御装置90は、ポンプP2の動作を制御する。
【0034】
循環流路L6を流れる熱媒体は、例えば、ブラインであってもよい。例えば、ブラインは、塩化ナトリウムまたは塩化カルシウム等を含む水溶液であってもよい。熱媒体はこれに限定されず、その他の流体が使用されてもよい。例えば、熱媒体は、液体アンモニアの沸点よりも低い凝固点を有する流体であってもよい。
【0035】
このようなシステム10Aでは、気化器2は、タンク1からの液体アンモニアによって、循環流路L6を流れる熱媒体を冷却する。冷却された熱媒体は、循環流路L6によって熱交換器5に送られる。熱交換器5は、冷却された熱媒体によって、吸気管L2を流れる空気を冷却する。したがって、ガスタービン3の圧縮機31には、冷却された空気が供給される。
【0036】
例えば、制御装置90は、流路L3を流れる気化されたアンモニアの流量、流路L1を流れる液体アンモニアの流量、吸気管L2を流れる空気の流量、および、吸気管L2を流れる空気の温度の少なくとも1つに基づいて、ポンプP2の出力を調整して、熱交換器5を流れる熱媒体の流量を制御してもよい。例えば、制御装置90は、上記の少なくとも1つが増加すると、熱交換器5を流れる熱媒体の流量を増加させてもよい。
【0037】
以上のようなシステム10Aは、第1実施形態に係るシステム10と同様に、燃焼器4で燃料として使用される液体アンモニアの冷熱エネルギが、ガスタービン3へ流入する空気を冷却する。これによって、冷却された空気の密度が増加し、ガスタービン3へ流入する空気の量が増加する。したがって、ガスタービン3の出力を増加させることができる。
【0038】
また、システム10Aは、ガスタービン3に接続される吸気管L2に設けられる熱交換器5と、気化器2と熱交換器5とを循環的に接続する循環流路L6と、を備える。気化器2は、タンク1からの液体アンモニアによって、循環流路L6を流れる熱媒体を冷却する。熱交換器5は、冷却された熱媒体によって、吸気管L2を流れる空気を冷却する。このような構成によれば、循環流路L6を流れる熱媒体の流量を調整することによって、吸気管L2を流れる空気の温度を細かく制御することができる。したがって、システム10Aの運転状況に応じて、ガスタービン3へ流入する空気の温度を細かく調整することができる。
【0039】
続いて、さらに他の実施形態について説明する。
【0040】
図3は、第3実施形態に係るガスタービンシステム10Bを示す概略図である。システム10Bは、タンク1からの液体アンモニアによって冷却された水を、吸気管L2の空気中に散布する点で、第1実施形態のシステム10と異なる。具体的には、気化器2と吸気管L2との間に、流路L7および噴霧器(第1噴霧器)6が設けられる。その他の点については、システム10Bは、システム10と同じであってもよい。
【0041】
噴霧器6は、吸気管L2に設けられる。流路L7は、気化器2および噴霧器6を接続する。流路L7には、水が流れる。流路L7には、気化器2から噴霧器6に水を送るためのポンプP3が設けられる。ポンプP3は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続される。制御装置90は、ポンプP3の動作を制御する。
【0042】
システム10Bでは、気化器2は、タンク1からの液体アンモニアによって、流路L7を流れる水を冷却する。冷却された水は、流路L7によって噴霧器6に送られる。噴霧器6は、冷却された水を、吸気管L2を流れる空気中に散布する。空気は、散布された水によって冷却される。したがって、ガスタービン3の圧縮機31には、冷却された空気が供給される。
【0043】
例えば、制御装置90は、流路L3を流れる気化されたアンモニアの流量、流路L1を流れる液体アンモニアの流量、吸気管L2を流れる空気の流量、および、吸気管L2を流れる空気の温度の少なくとも1つに基づいて、ポンプP3の出力を調整して、噴霧器6から吸気管L2の空気中に散布される水の流量を制御してもよい。例えば、制御装置90は、上記の少なくとも1つが増加すると、散布される水の流量を増加させてもよい。
【0044】
以上のようなシステム10Bは、第1実施形態に係るシステム10と同様に、燃焼器4で燃料として使用される液体アンモニアの冷熱エネルギが、ガスタービン3へ流入する空気を冷却する。これによって、冷却された空気の密度が増加し、ガスタービン3へ流入する空気の量が増加する。したがって、ガスタービン3の出力を増加させることができる。
【0045】
また、システム10Bは、ガスタービン3に接続される吸気管L2に設けられる噴霧器6と、気化器2および噴霧器6を接続する流路L7と、を備える。気化器2は、タンク1からの液体アンモニアによって、流路L7を流れる水を冷却する。噴霧器6は、冷却された水を、吸気管L2を流れる空気中に散布する。このような構成によれば、噴霧器6から散布される水の流量を調整することによって、吸気管L2を流れる空気の温度を細かく制御することができる。したがって、システム10Bの運転状況に応じて、ガスタービン3へ流入する空気の温度を細かく調整することができる。
【0046】
続いて、さらに他の実施形態について説明する。
【0047】
図4は、第4実施形態に係るガスタービンシステム10Cを示す概略図である。システム10Cは、タンク1からの液体アンモニアの一部を、吸気管L2を流れる空気中に散布する点で、第1実施形態のシステム10と異なる。具体的には、吸気管L2に噴霧器(第2噴霧器)7が設けられる。その他の点については、システム10Cは、システム10と同じであってもよい。
【0048】
噴霧器7は、吸気管L2に設けられる。例えば、噴霧器7は、気化器2の下流に設けられてもよい。他の実施形態では、噴霧器7は、気化器2の上流に設けられてもよい。例えば、流路L1は、ポンプP1の下流の位置において、流路L11と、流路(ダイレクト流路)L12と、に分岐される。流路L11は、気化器2に接続される。流路L12は、噴霧器7に接続される。例えば、分岐点には、三方弁等のバルブVが設けられる。バルブVは、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続される。制御装置90は、バルブVの動作を制御する。
【0049】
システム10Cでは、バルブVを制御することによって、タンク1からの液体アンモニアの一部を、流路L12によって噴霧器7に送ることができる。噴霧器7は、液体アンモニアを、吸気管L2を流れる空気中に散布する。空気は、散布された液体アンモニアによって冷却される。したがって、ガスタービン3の圧縮機31には、冷却された空気と液体アンモニアとの混合気が供給される。混合気は、圧縮機31によって加圧され燃焼器4に送られる。加圧された混合気は、燃焼器4において燃焼に使用される。
【0050】
例えば、制御装置90は、流路L3を流れる気化されたアンモニアの流量、流路L1を流れる液体アンモニアの流量、吸気管L2を流れる空気の流量、および、吸気管L2を流れる空気の温度の少なくとも1つに基づいて、ポンプP1の出力およびバルブVの開度を調整して、気化器2へ送られる液体アンモニアの流量、および、噴霧器7へ送られる液体アンモニアの流量(すなわち、噴霧器7から吸気管L2の空気中に散布される液体アンモニアの流量)を制御してもよい。例えば、制御装置90は、上記の少なくとも1つが増加すると、散布される液体アンモニアの流量を増加させてもよい。
【0051】
以上のようなシステム10Cは、第1実施形態に係るシステム10と同様に、燃焼器4で燃料として使用される液体アンモニアの冷熱エネルギが、ガスタービン3へ流入する空気を冷却する。これによって、冷却された空気の密度が増加し、ガスタービン3へ流入する空気の量が増加する。したがって、ガスタービン3の出力を増加させることができる。
【0052】
また、システム10Cは、吸気管L2に設けられる噴霧器7と、タンク1と噴霧器7とを接続する流路L12と、を備える。噴霧器7は、タンク1からの液体アンモニアの一部を、吸気管L2を流れる空気中に散布する。このような構成によれば、噴霧器7から散布される液体アンモニアの流量を調整することによって、吸気管L2を流れる空気の温度を細かく制御することができる。したがって、システム10Cの運転状況に応じて、ガスタービン3へ流入する空気の温度を細かく調整することができる。また、液体アンモニアの一部が直接的に空気中に散布されるので、空気をより冷却することができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
例えば、第4実施形態に係るシステム10Cは、吸気管L2を流れる空気に液体アンモニアを直接的に散布する噴霧器7を備える。しかしながら、噴霧器7は、システム10,10A,10Bにも設けられてもよい。
【0055】
本開示は、CO2放出の削減につながるアンモニアの使用を促進することができるので、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギへのアクセスを確保する」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 タンク(アンモニアの供給源)
2 気化器(第1熱交換器)
3 ガスタービン
4 燃焼器
5 熱交換器(第2熱交換器)
6 噴霧器(第1噴霧器)
7 噴霧器(第2噴霧器)
10 ガスタービンシステム
10A ガスタービンシステム
10B ガスタービンシステム
10C ガスタービンシステム
L2 吸気管
L7 流路
L12 流路(ダイレクト流路)