(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038790
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】段ボールシートの不良検出装置および方法並びに製函機
(51)【国際特許分類】
B31F 7/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
B31F7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143066
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 衆一
(72)【発明者】
【氏名】名達 光洋
【テーマコード(参考)】
3E078
【Fターム(参考)】
3E078AA20
3E078BB03
3E078BC01
3E078CE02
3E078CE03X
3E078DD11
(57)【要約】
【課題】段ボールシートの不良検出装置および方法並びに製函機において、段ボールシートにおける搬送状態の不良を適正に検出可能とする。
【解決手段】厚さ方向の一方面に第1罫線の凹部が形成され、厚さ方向の他方面に第1罫線の凹部より深さが小さい第2罫線の凹部が形成された段ボールシートの不良検出装置において、一方面または他方面に対向して配置され、配置位置から段ボールシートの先端までの距離と第1罫線の凹部または第2罫線の凹部までの距離とを計測して計測距離として取得する計測装置と、予め設定されたしきい値を記憶する記憶装置と、段ボールシートの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域で計測距離としきい値とを比較することにより計測距離としきい値との大小関係を特定して段ボールシートの表裏不良または前後不良を判定する判定装置と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向の一方面に第1罫線の凹部が形成され、厚さ方向の他方面に前記第1罫線の凹部より深さが小さい第2罫線の凹部が形成された段ボールシートの不良検出装置において、
前記一方面または前記他方面に対向して配置され、配置位置から前記段ボールシートの先端までの距離と前記第1罫線の凹部または前記第2罫線の凹部までの距離とを計測して計測距離として取得する計測装置と、
予め設定されたしきい値を記憶する記憶装置と、
前記段ボールシートの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域で前記計測距離と前記しきい値とを比較することにより前記計測距離と前記しきい値との大小関係を特定して前記段ボールシートの表裏不良または前後不良を判定する判定装置と、
を備える段ボールシートの不良検出装置。
【請求項2】
前記しきい値は、第1しきい値と前記第1しきい値より小さい第2しきい値とを有し、前記判定装置は、前記計測距離と前記第1しきい値および前記第2しきい値とを比較することにより前記計測距離と前記第1しきい値および前記第2しきい値との大小関係を特定して前記段ボールシートの表裏不良と前後不良を判定する、
請求項1に記載の段ボールシートの不良検出装置。
【請求項3】
前記計測装置は、前記段ボールシートの前記一方面に対向して配置され、前記判定装置は、前記計測距離が前記第1しきい値より小さく且つ前記第2しきい値より大きいと、前記段ボールシートが表裏不良であると判定する、
請求項2に記載の段ボールシートの不良検出装置。
【請求項4】
前記判定装置は、前記計測距離が前記第2しきい値より小さいと、前記段ボールシートが前後不良であると判定する、
請求項3に記載の段ボールシートの不良検出装置。
【請求項5】
前記計測装置は、前記段ボールシートの前記他方面に対向して配置され、前記判定装置は、前記計測距離が前記第1しきい値より大きいと、前記段ボールシートが表裏不良であると判定する、
請求項2に記載の段ボールシートの不良検出装置。
【請求項6】
前記判定装置は、前記計測距離が前記第2しきい値より小さいと、前記段ボールシートが前後不良であると判定する、
請求項5に記載の段ボールシートの不良検出装置。
【請求項7】
前記計測装置は、前記配置位置から前記段ボールシートの先端までの距離と前記第1罫線の凹部または前記第2罫線の凹部までの距離を計測する共通の距離計測センサである、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の段ボールシートの不良検出装置。
【請求項8】
厚さ方向の一方面に第1罫線の凹部が形成され、厚さ方向の他方面に前記第1罫線の凹部より深さが小さい第2罫線の凹部が形成された段ボールシートの不良検出方法において、
前記一方面または前記他方面に対向する所定の位置から前記段ボールシートの先端までの距離と前記第1罫線の凹部または前記第2罫線の凹部までの距離とを計測して計測距離として取得する工程と、
前記段ボールシートの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域で前記計測距離と予め設定されたしきい値とを比較する工程と、
前記計測距離と前記しきい値との大小関係を特定して前記段ボールシートの表裏不良または前後不良を判定する工程と、
を有する段ボールシートの不良検出方法。
【請求項9】
前記判定領域で前記計測距離と第1しきい値とを比較する工程と、
前記判定領域で前記計測距離と前記第1しきい値より小さい第2しきい値とを比較する工程と、
前記計測距離と前記第1しきい値および前記第2しきい値との大小関係を特定して前記段ボールシートの表裏不良と前後不良を判定する工程と、
を有する請求項8に記載の段ボールシートの不良検出方法。
【請求項10】
請求項1に記載の段ボールシートの不良検出装置を備える製函機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、段ボールシートの搬送状態における向きの不良を判定する段ボールシートの不良検出装置および方法並びに製函機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートの製造装置は、中芯を波形に加工し、裏ライナを貼合せて片面段ボールシートを形成し、片面段ボールシートに表ライナを貼り合わせて両面段ボールシートを形成する。両面段ボールシートは、所定の幅に切断されると共に、所定の長さに切断されて板状をなす段ボールシートとなる。また、段ボールシートの製造装置は、最後に、段ボールシートにフラップを形成するための罫線を形成する。
【0003】
製函機は、段ボールシートの製造装置により製造された段ボールシートを加工することで、箱体(段ボール箱)を製造する。すなわち、製函機は、段ボールシートの表面に印刷を行い、段ボールシートに折り線となる罫線を形成すると共に、フラップをなす溝や接合用の糊代片などの加工を施す。罫線や溝などが形成された段ボールシートは、糊代片に糊が塗布されてから折り畳まれ、扁平状の段ボール箱となる。
【0004】
段ボールシートの製造装置は、裏ライナと波形の中芯と表ライナを層状に貼り合わせて段ボールシートを製造する。このとき、段ボールシートは、裏ライナが上面側に位置する状態で搬送される。一方、製函機は、表ライナが上面側に位置する状態で搬送され、扁平状の段ボール箱を製造する。段ボールシートの製造装置と製函機は、段ボールシートの搬送方向が水平方向で90度相違する。また、段ボールシートの製造装置と製函機は、段ボールシートの搬送時における表裏が逆になる。そのため、段ボールシートの製造装置により製造された段ボールシートは、段ボールシートの搬送方向が変更されると共に表裏が逆にされてから製函機に供給される。
【0005】
そのため、段ボールシートが製函機に供給されるとき、搬送方向や表裏が適正に変更されないことがある。例えば、段ボールシートにおける搬送方向の前後が逆になったり、表裏が逆になったりすることがある。段ボールシートにおける搬送方向の向きの不良を検出する技術として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された不良品発生検出方法は、段ボールシートの先端と罫線の凹部とを検出し、段ボールシートの先端を検出してから罫線の凹部を検出するまでの搬送時間を段ボールシートの先端と罫線の凹部との距離に換算し、罫線の凹部が適正な位置にあるか否かを判定している。ところが、従来の不良品発生検出方法は、段ボールシートにおける搬送方向の前後の不良を検出することができるものの、表裏の逆の不良を検出することができないという課題がある。
【0008】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、段ボールシートにおける搬送状態の不良を適正に検出可能とする段ボールシートの不良検出装置および方法並びに製函機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の段ボールシートの不良検出装置は、厚さ方向の一方面に第1罫線の凹部が形成され、厚さ方向の他方面に前記第1罫線の凹部より深さが小さい第2罫線の凹部が形成された段ボールシートの不良検出装置において、前記一方面または前記他方面に対向して配置され、配置位置から前記段ボールシートの先端までの距離と前記第1罫線の凹部または前記第2罫線の凹部までの距離とを計測して計測距離として取得する計測装置と、予め設定されたしきい値を記憶する記憶装置と、前記段ボールシートの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域で前記計測距離と前記しきい値とを比較することにより前記計測距離と前記しきい値との大小関係を特定して前記段ボールシートの表裏不良または前後不良を判定する判定装置と、を備える。
【0010】
また、本開示の段ボールシートの不良検出方法は、厚さ方向の一方面に第1罫線の凹部が形成され、厚さ方向の他方面に前記第1罫線の凹部より深さが小さい第2罫線の凹部が形成された段ボールシートの不良検出方法において、前記一方面または前記他方面に対向する所定の位置から前記段ボールシートの先端までの距離と前記第1罫線の凹部または前記第2罫線の凹部までの距離とを計測して計測距離として取得する工程と、前記段ボールシートの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域で前記計測距離と予め設定されたしきい値とを比較する工程と、前記計測距離と前記しきい値との大小関係を特定して前記段ボールシートの表裏不良または前後不良を判定する工程と、を有する。
【0011】
また、本開示の製函機は、前記段ボールシートの不良検出装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示の段ボールシートの不良検出装置および方法並びに製函機によれば、段ボールシートにおける搬送状態の不良を適正に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、コルゲートマシンを表す概略図である。
【
図2】
図2は、コルゲートマシンで製造された段ボールシートの平面図である。
【
図4】
図4は、製函機で製造されて折り畳み前の段ボールシートの平面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の段ボールシートの不良検出装置を表す概略構成図である。
【
図6】
図6は、段ボールシートの不良検出方法を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、第1しきい値および第2しきい値を説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、表裏が逆である不良段ボールシートの検出方法を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、前後が逆である不良段ボールシートの検出方法を説明するための説明図である。
【
図10】
図10は、段ボールシートの不良検出方法の判定制御を表すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態の段ボールシートの不良検出装置を表す概略構成図である。
【
図12】
図12は、段ボールシートの不良検出方法の判定制御を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0015】
[第1実施形態]
<コルゲートマシン>
図1は、コルゲートマシンを表す概略図である。
【0016】
図1に示すように、コルゲートマシン(段ボールシートの製造装置)10は、ミルロールスタンド11,12と、シングルフェーサ13と、ブリッジ14と、ミルロールスタンド15,16と、シングルフェーサ17と、ブリッジ18と、ミルロールスタンド19と、プレヒータ20と、グルーマシン21と、ダブルフェーサ22と、ロータリシャ23と、スリッタスコアラ24と、カットオフ25と、不良品排出装置26と、スタッカ27とを備える。
【0017】
ミルロールスタンド11は、中芯C1がロール状に巻かれたロール紙を保持し、ロール紙が回転することで中芯C1を連続して供給する。ミルロールスタンド12は、裏ライナB1がロール状に巻かれたロール紙を保持し、ロール紙が回転することで裏ライナB1を連続して供給する。シングルフェーサ13は、中芯C1を波状に加工し、裏ライナB1と貼り合わせて片面段ボールシートD1を形成する。ブリッジ14は、シングルフェーサ13とダブルフェーサ22との速度差を吸収するため、片面段ボールシートD1を一次的に滞留させる。
【0018】
ミルロールスタンド15は、中芯C2がロール状に巻かれたロール紙を保持し、ロール紙が回転することで中芯C2を連続して供給する。ミルロールスタンド16は、裏ライナB2がロール状に巻かれたロール紙を保持し、ロール紙が回転することで裏ライナB2を連続して供給する。シングルフェーサ17は、中芯C2を波状に加工し、裏ライナB2と貼り合わせて片面段ボールシートD2を形成する。ブリッジ18は、シングルフェーサ17とダブルフェーサ22との速度差を吸収するため、片面段ボールシートD2を一次的に滞留させる。
【0019】
ミルロールスタンド19は、表ライナAがロール状に巻かれたロール紙を保持し、ロール紙が回転することで表ライナAを連続して供給する。プレヒータ20は、片面段ボールシートD1と片面段ボールシートD2と表ライナAをそれぞれ予加熱する。グルーマシン21は、片面段ボールシートD1,D2における中芯C1,C2の頂部に糊付けを行う。ダブルフェーサ22は、片面段ボールシートD1と片面段ボールシートD2と表ライナAを重ねて加圧しながら加熱することで、互いに貼り合わせ連続した複両面段ボールシートEを形成する。
【0020】
ロータリシャ23は、稼動初期段階で貼合せが安定するまでの間に、複両面段ボールシートEを幅方向に全幅切断あるいは部分切断する。スリッタスコアラ24は、複両面段ボールシートEを所定の幅をなすように搬送方向に沿って裁断し、搬送方向に延在する罫線を加工する。カットオフ25は、複両面段ボールシートEを所定長さとなるように幅方向に沿って切断する。スリッタスコアラ24およびカットオフ25により板状の複両面段ボールシートFが形成される。不良品排出装置26は、不良品と判定された複両面段ボールシートFを搬送ラインから排出する。スタッカ27は、良品と判定された複両面段ボールシートFを積み上げて製品として排出する。
【0021】
なお、上述の説明にて、コルゲートマシン10は、片面段ボールシートD1と片面段ボールシートD2と表ライナAとを貼り合わせて複両面段ボールシートFを製造する場合について説明した。但し、コルゲートマシン10は、片面段ボールシートD1または片面段ボールシートD2と表ライナAとを貼り合わせて両面段ボールシーを製造することもできる。そのため、以降の説明では、裏ライナB1,B2を裏ライナBと称し、中芯C1,C2を中芯Cと称し、複両面段ボールシートFおよび板状の両面段ボールシートを段ボールシートSと称して説明する。
【0022】
図2は、コルゲートマシンで製造された段ボールシートの平面図である。
【0023】
図2に示すように、板形状をなす段ボールシートSは、波形の中芯Cの厚さ方向の両側に表ライナAと裏ライナBが貼り合わされて形成される。コルゲートマシン10は、段ボールシートSを搬送方向X方向に沿って搬送する。そして、段ボールシートSは、裏ライナBが鉛直方向の上面側で、表ライナAが鉛直方向の下面側に位置するように搬送される。そして、コルゲートマシン10は、段ボールシートSに対して罫線101と、罫線102を形成する。
【0024】
ここで、段ボールシートSは、一端(
図2の左端)から罫線101までの長さが、他端(
図2の右端)から罫線102までの長さより短い。但し、一端から罫線101までの長さと、他端から罫線102までの長さは、段ボールシートSの仕様に応じて異なるものである。例えば、段ボールシートSは、一端から罫線101までの長さが、他端から罫線102までの長さより長いものであったり、一端から罫線101までの長さと、他端から罫線102までの長さとが同じものであったりしてもよい。
【0025】
【0026】
図3に示すように、製函機30は、給紙部31と、印刷部32と、排紙部33と、ダイカット部34と、フォルダグルア部35と、カウンタエゼクタ部36とを備える。
【0027】
給紙部31は、段ボールシートSを一枚ずつ送り出して一定の速度で水平方向に沿って搬送する。印刷部32は、段ボールシートSの表面に多色刷りを行う。排紙部33は、段ボールシートSに対して、罫線加工を施す機能と、切断加工を施す機能と、溝切り加工を施す機能を有する。ダイカット部34は、段ボールシートSに対して、手穴等の打ち抜き加工を施して段ボールシートS1を形成する。フォルダグルア部35は、段ボールシートS1を折り畳み、幅方向の両端部を接合して扁平状の段ボール箱Gを形成する。カウンタエゼクタ部36は、段ボール箱Gを計数しながら積み重ねた後、所定数のバッチに仕分けした後に排出する。
【0028】
図4は、製函機で製造された段ボールシートの平面図である。
【0029】
[段ボールシート]
図4は、製函機で製造されて折り畳み前の段ボールシートの平面図である。
【0030】
図4に示すように、段ボールシートS1は、コルゲートマシン10で製造された段ボールシートS(
図4の二点鎖線)に対して、製函機30で、印刷、罫線加工、切断加工、溝切り加工、打ち抜き加工が施され、折り畳み前の状態である。
【0031】
製函機30は、段ボールシートS(S1)を搬送方向Y方向に沿って搬送する。コルゲートマシン10による段ボールシートSの搬送方向Xと、製函機30による段ボールシートSの搬送方向Yは、いずれも水平方向ではあるものの、水平方向に90度相違する。また、段ボールシートS(S1)は、表ライナAが鉛直方向の上面側で、裏ライナBが鉛直方向の下面側に位置するように搬送される。
【0032】
段ボールシートS1は、コルゲートマシン10により罫線101と罫線102が形成されている。罫線101と罫線102は、製函機30により製造された段ボール箱Gを、組み立てる際にフラップを折るためのものである。
【0033】
段ボールシートS1は、搬送方向Yに対する幅方向に所定間隔を空けて切断線111と罫線112,113,114,115が形成される。段ボールシートS1は、罫線101側に、搬送方向Yに対する幅方向に所定間隔を空けて溝121,122,123と切欠124が形成される。また、段ボールシートS1は、罫線102側に、搬送方向Yに対する幅方向に所定間隔を空けて溝131,132,133と切欠134が形成される。さらに、段ボールシートS1は、手穴141,142が形成される。
【0034】
<不良検出装置>
図5は、第1実施形態の段ボールシートの不良検出装置を表す概略構成図である。
【0035】
図5に示すように、不良検出装置50は、製函機30におけるフォルダグルア部35より段ボールシートSの搬送方向Yの上流側に配置される。不良検出装置50は、搬送中の段ボールシートSにおける表裏不良と前後不良を検出する。段ボールシートSは、搬送方向Yの下流側に罫線101が形成され、罫線101より搬送方向Yの上流側に罫線102が形成される。そして、段ボールシートSは、先端Saから罫線101までの長さがLa、先端Saから罫線102までの長さがLbである。
【0036】
段ボールシートSの罫線101は、コルゲートマシン10のスリッタスコアラ24にて、厚さ方向から上下一対のローラにより挟持され、押しつぶされることで凹部として形成される。一方のローラは、一重のリング形状をなし、他方のローラは、二重のリング形状をなす。段ボールシートSは、一重のリング形状をなす一方のローラと二重のリング形状をなす他方のローラにより加圧されることで、一方面に1本の第1罫線101aが形成され、他方面に2本の第2罫線101bが形成される。すなわち、段ボールシートSは、製函機30にて、一方面(下面)側に裏ライナBが配置され、他方面(上面)側に表ライナAが配置された状態で搬送される。そのため、段ボールシートSは、下面の裏ライナBに1つの第1罫線101aが形成され、上面の表ライナAに2つの第2罫線101bが形成されている。第1罫線101aと各第2罫線101bとは、搬送方向Yに若干ずれて位置する。
【0037】
なお、罫線101と罫線102は、同じ形状である。そのため、罫線102も、下面の裏ライナBに1つの第1罫線102aが形成され、上面の表ライナAに2つの第2罫線102bが形成される。
【0038】
段ボールシートSの表裏不良とは、段ボールシートSの表面と裏面とが逆になった状態で搬送される不良である。すなわち、裏ライナBが上面側に位置し、表ライナAが下面側に位置した状態で、段ボールシートSが搬送される不良である。この場合、段ボールシートSは、上面側に第1罫線101a,102aが位置し、下面側に第2罫線101b,102bが位置する。また、段ボールシートSの前後不良とは、段ボールシートSの先端Saと後端Sbとが逆になった状態で搬送される不良である。すなわち、後端Sbが下流側(先端側)に位置し、先端Saが上流側(後端側)に位置した状態で、段ボールシートSが搬送される不良である。この場合、段ボールシートSは、下流側に罫線102が位置し、上流側に罫線101が位置する。なお、段ボールシートSは、表裏不良と前後不良が同時に発生する場合もある。
【0039】
不良検出装置50は、距離計測センサ(計測装置)51と、ロータリエンコーダ52と、判定装置53と、記憶装置54と、表示装置55とを備える。
【0040】
距離計測センサ51は、搬送される段ボールシートSの一方面である裏ライナBに対して、段ボールシートSの厚さ方向に所定距離だけ離間して対向するように配置される。距離計測センサ51は、少なくとも段ボールシートSの下流側の先端までの距離と、段ボールシートSに形成された罫線101,102の凹部までの距離とを計測する。
【0041】
距離計測センサ51は、段ボールシートSの先端までの距離と罫線101,102の凹部までの距離とを計測する共通の距離計測センサである。但し、距離計測センサ51は、段ボールシートSの先端までの距離と罫線101,102の凹部までの距離とを計測する異なる距離計測センサであってもよい。ここで、罫線101,102の凹部とは、第1罫線101a,102aの凹部または第2罫線101b,102bの凹部である。距離計測センサ51は、例えば、距離計測センサ51の位置から段ボールシートSの第1罫線101a,102aの凹部までの最大距離、または、距離計測センサ51の位置から第2罫線101b,102bの凹部までの最大距離を計測距離として取得する。
【0042】
距離計測センサ51は、段ボールシートSの裏ライナB側で、裏ライナBから距離Hだけ離間して配置される。つまり、距離計測センサ51から段ボールシートSの平面までの距離が距離Hである。そのため、距離計測センサ51は、距離Hを計測したとき、段ボールシートSの先端Saまたは後端Sbを計測したこととなる。また、後述する
図7に示すように、第1罫線101a,102aの凹部深さは、深さH1であり、第2罫線101b,102bの凹部深さは、深さH2である。第1罫線101a,102aの深さH1は、第2罫線101b,102bの深さH2より大きい。すなわち、第1罫線101a,102aの深さH1と第2罫線101b,102bの深さH2との関係は、H1>H2である。そのため、距離計測センサ51は、距離Hに深さH1を加算した距離H+H1を計測したとき、第1罫線101a,102a(深さH1)を計測したこととなる。また、距離計測センサ51は、距離Hに深さH2を加算した距離H+H2を計測したとき、第2罫線101b,102b(深さH2)を計測したこととなる。
【0043】
なお、距離計測センサ51は、例えば、レーザ変位計が好ましいが、レーザ変位計に限らず、超音波センサなどであってもよい。また、計測装置としては、非接触式センサに限らず、接触式センサであってもよい。
【0044】
距離計測センサ51は、判定装置53に接続される。距離計測センサ51は、計測結果を判定装置53に出力する。
【0045】
ロータリエンコーダ52は、段ボールシートSの搬送位置を検出する位置検出器として機能する。ロータリエンコーダ52は、例えば、段ボールシートSを搬送方向Yに沿って搬送する駆動装置における回転部材の回転数(回転速度)および回転位置を検出する。ロータリエンコーダ52は、判定装置53に接続される。ロータリエンコーダ52は、検出結果を判定装置53に出力する。
【0046】
判定装置53は、段ボールシートSの搬送方向Yにおける先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域における計測距離と、予め設定されたしきい値とを比較することで、計測距離としきい値との大小関係を特定して段ボールシートSの表裏不良と前後不良を判定する。
【0047】
しきい値は、第1しきい値HAと、第2しきい値HBとを有する。第1しきい値HAおよび第2しきい値HBは、段ボールシートSの裏ライナB(一方面)に形成された第1罫線101a,102aまでの距離H+H1や段ボールシートSの表ライナA(他方面)に形成された第2罫線101b,102bまでの距離H+H2を判定する。ここで、第2しきい値HBは、第1しきい値HAより小さい。すなわち、第1罫線101a,102aの深さH1と第2罫線101b,102bの深さH2との関係がH1>H2であることから、第1しきい値HAと第2しきい値HBとの関係は、HA>HBである。
【0048】
判定装置53は、距離計測センサ51が計測した計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較することで、段ボールシートSの表裏不良と前後不良を判定する。判定方法の詳細は、後述する。
【0049】
なお、判定装置53は、制御装置であり、制御装置は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などにより、記憶部に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0050】
記憶装置54は、判定装置53に接続される。記憶装置54は、第1しきい値HAおよび第2しきい値HBが記憶される。また、記憶装置54は、判定装置53の判定結果を記憶する。表示装置55は、判定装置53に接続される。表示装置55は、判定装置53の判定結果を表示する。すなわち、表示装置55は、段ボールシートSが不良であると判定されたとき、表裏不良であるか、前後不良であるかを表示する。
【0051】
<段ボールシートの不良検出方法>
図6は、段ボールシートの不良検出方法を説明するための説明図、
図7は、第1しきい値および第2しきい値を説明するための説明図である。
【0052】
第1実施形態の段ボールシートの不良検出方法は、
図6に示すように、段ボールシートSの先端までの距離と第1罫線101a,12aの凹部または第2罫線101b,102bまでの距離とを計測して計測距離として取得する工程と、段ボールシートSの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域A1,A2で計測距離と予め設定された第1しきい値HAとを比較する工程と、判定領域A1,A2で計測距離と第1しきい値HAより小さい第2しきい値HBとを比較する工程と、計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとの大小関係を特定して段ボールシートSの表裏不良と前後不良を判定する工程とを有する。
【0053】
具体的に説明すると、距離計測センサ51は、段ボールシートSまでの距離を計測しており、少なくとも、搬送される段ボールシートSの先端から長さLaの前後の判定領域A1で段ボールシートSの計測距離を取得し、判定装置53に出力する。すなわち、距離計測センサ51は、製函機30の搬送ラインにおける段ボールシートSの有無に拘わらず、計測距離を取得している。
【0054】
このとき、
図6に示すように、段ボールシートSが適正な向きで搬送方向Yに沿って搬送された場合、先端Saが下流側に位置して後端Sbが上流側に位置すると共に、裏ライナBが下面側に位置して表ライナAが上面側に位置する。距離計測センサ51の計測位置に段ボールシートSの先端Saが到達する長さL0までは、距離計測センサ51と段ボールシートSとの距離は、例えば、計測範囲外の値を示している。そして、段ボールシートSの先端Saが距離計測センサ51の計測位置に到達すると、距離計測センサ51は、長さL0の位置で先端Saにおける距離H(計測距離)を計測し、先端Saから長さL1の位置で、第1罫線101aの距離H+H1(計測距離)を計測し、先端Saから長さL2の位置で、第1罫線102aの距離H+H1(計測距離)を計測し、長さL3の位置で後端Sbにおける距離H(計測距離)を計測する。そして、距離計測センサ51は、計測することで取得した計測距離を判定装置53に出力する。判定装置53は、距離計測センサ51から計測距離が入力され、ロータリエンコーダ52から段ボールシートSの搬送位置が入力される。すなわち、判定装置53は、判定領域A1に対応した長さL1の位置での計測距離、つまり、第1罫線101aの距離H+H1と、判定領域A2に対応した長さL2の位置での計測距離、つまり、第1罫線102aの距離H+H1を取得する。
【0055】
この場合、判定領域A1は、段ボールシートSの先端Saから長さLaに対して、搬送方向Yの上流側と下流側に所定の余裕値を加味した領域の長さである。また、判定領域A2は、段ボールシートSの先端Saから長さLbに対して、搬送方向Yの上流側と下流側に所定の余裕値を加味した領域の長さである。なお、段ボールシートSの仕様に伴う設計値により、先端Saから第1罫線101aまでの長さLa、および、先端Saから第1罫線102aまでの長さLbは、予め把握することができる。よって、判定領域A1,A2は、距離計測センサ51による計測前までに予め設定することができる。
【0056】
判定装置53は、距離計測センサ51から入力した判定領域A1,A2での計測距離(ここでは、距離H+H1)が第1しきい値HAより小さく、且つ、第2しきい値HBより大きいと、段ボールシートSが表裏不良であると判定する。また、判定装置53は、距離計測センサ51から入力した判定領域A1,A2での計測距離(ここでは、距離H+H1)が第2しきい値HBより小さいと、段ボールシートSが前後不良であると判定する。
【0057】
図7に示すように、第1しきい値HAは、距離計測センサ51から段ボールシートSの平面、つまり、第1罫線101a,102aのない裏ライナBまでの距離Hに、第1罫線101a,102aにおける設計値の深さH1の60%から70%の値Haが加算された値に設定される。また、第2しきい値HBは、距離計測センサ51から段ボールシートSの平面、つまり、第1罫線101a,102aのない裏ライナBまでの距離Hに、第1罫線101a,102aにおける設計値の深さH1の20%から30%の値Hbが加算された値に設定される。なお、この場合、設計値の深さは、段ボールシートSの仕様により予め把握することができる。よって、第1しきい値HAおよび第2しきい値HBは、判定装置53による判定前までに予め設定することができる。
【0058】
すなわち、段ボールシートSが適正な向きで搬送方向Yに沿って搬送された場合、判定装置53は、判定領域A1,A2での計測距離H+H1が第1しきい値HAより大きいことから、段ボールシートSが表裏不良ではなく、また、前後不良でもなく、良品であると判定する。
【0059】
図8は、表裏が逆である不良段ボールシートの検出方法を説明するための説明図である。
【0060】
図8に示すように、段ボールシートSの表裏が逆向きで搬送方向Yに沿って搬送された場合、先端Saが下流側に位置して後端Sbが上流側に位置するが、裏ライナBが上面側に位置して表ライナAが下面側に位置してしまう。すると、距離計測センサ51は、長さL0の位置で先端Saにおける距離H(計測距離)を計測し、先端Saから長さL11,L12の位置で、第2罫線101bの距離H+H2(計測距離)を計測し、先端Saから長さL13,L14の位置で、第2罫線102bの距離H+H2(計測距離)を計測し、長さL15の位置で後端Sbにおける距離H(計測距離)を計測する。そして、距離計測センサ51は、計測することで取得した判定領域A1に対応した長さL11,L12の位置での計測距離、つまり、第2罫線101bの距離H+H2を判定装置53に出力すると共に、判定領域A2に対応した長さL13,L14の位置での計測距離、つまり、第2罫線102bの距離H+H2を判定装置53に出力する。
【0061】
判定装置53は、距離計測センサ51から入力した判定領域A1,A2での計測距離(ここでは、距離H+H2)が第1しきい値HAより小さく、且つ、第2しきい値HBより大きいと、段ボールシートSが表裏不良であると判定する。また、判定装置53は、距離計測センサ51から入力した判定領域A1,A2での計測距離(ここでは、距離H+H2)が第2しきい値HBより小さいと、段ボールシートSが前後不良であると判定する。
【0062】
すなわち、段ボールシートSが表裏逆向きで搬送方向Yに沿って搬送された場合、判定装置53は、判定領域A1,A2での計測距離H+H2が第1しきい値HAより小さく、且つ、第2しきい値HBより大きいことから、段ボールシートSが表裏不良であると判定する。
【0063】
図9は、前後が逆である不良段ボールシートの検出方法を説明するための説明図である。
【0064】
図9に示すように、段ボールシートSの前後が逆向きで搬送方向Yに沿って搬送された場合、先端Saが上流側に位置して後端Sbが下流側に位置し、裏ライナBが下面側に位置して表ライナAが上面側に位置する。すると、距離計測センサ51は、長さL0の位置で後端Sbにおける距離H(計測距離)を計測し、後端Sbから長さL21の位置で、第1罫線102aの距離H+H1(計測距離)を計測し、後端Sbから長さL22の位置で、第1罫線101aの距離H+H1(計測距離)を計測し、長さL23の位置で先端Saにおける距離H(計測距離)を計測する。そして、距離計測センサ51は、計測することで取得した判定領域A1に対応した位置での計測距離、つまり、段ボールシートSの距離Hを判定装置53に出力すると共に、判定領域A2に対応した位置での計測距離、つまり、段ボールシートSの距離Hを判定装置53に出力する。
【0065】
判定装置53は、距離計測センサ51から入力した判定領域A1,A2での計測距離(ここでは、距離H)が第1しきい値HAより小さく、且つ、第2しきい値HBより大きいと、段ボールシートSが表裏不良であると判定する。また、判定装置53は、距離計測センサ51から入力した判定領域A1,A2での計測距離(ここでは、距離H)が第2しきい値HBより小さいと、段ボールシートSが前後不良であると判定する。
【0066】
すなわち、段ボールシートSの前後が逆向きで搬送方向Yに沿って搬送された場合、判定装置53は、判定領域A1,A2での計測距離Hが第2しきい値HBより小さいことから、段ボールシートSが前後不良であると判定する。
【0067】
図10は、段ボールシートの不良検出方法の判定制御を表すフローチャートである。
【0068】
図5および
図10に示すように、ステップS11にて、判定装置53は、距離計測センサ51から入力された情報に基づいて、段ボールシートSの先端が検出されたか否かを判定する。ここで、段ボールシートSの先端は、下流側の先端であり、先端Saまたは後端Sbである。判定装置53は、段ボールシートSの先端が検出されていないと判定(No)されると、ステップS11の処理を継続する。一方、判定装置53は、段ボールシートSの先端が検出されたと判定(Yes)されると、ステップS12に移行する。
【0069】
ステップS12にて、判定装置53は、距離計測センサ51が計測した判定領域A1,A2における段ボールシートSの計測距離を取得する。ステップS13にて、判定装置53は、計測距離が第1しきい値HAより大きいか否かを判定する。判定装置53は、計測距離が第1しきい値HAより大きいと判定(Yes)すると、ステップS14にて、段ボールシートSが良品であると判定する。
【0070】
一方、判定装置53は、計測距離が第1しきい値HAより大きくないと判定(No)すると、ステップS15に移行する。ステップS15にて、判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより大きいか否かを判定する。判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより大きいと判定(Yes)すると、ステップS16にて、段ボールシートSが不良品であり、表裏不良であると判定する。
【0071】
一方、判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより大きくないと判定(No)すると、ステップS17にて、段ボールシートSが不良品であり、前後不良であると判定する。
【0072】
なお、上述した判定方法の説明では、2つの判定領域A1,A2を設け、それぞれの判定領域A1,A2で計測した計測距離と、第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較して不良を判定したが、2つの判定領域A1,A2のうちの少なくとも1つの2つの判定領域A1(A2)で、計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較して不良を判定すればよい。
【0073】
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態の段ボールシートの不良検出装置を表す概略構成図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0074】
不良検出装置50Aは、距離計測センサ(計測装置)51と、ロータリエンコーダ52と、判定装置53Aと、記憶装置54と、表示装置55とを備える。距離計測センサ51、ロータリエンコーダ52、記憶装置54、表示装置55は、第1実施形態と同様である。
【0075】
距離計測センサ51は、搬送される段ボールシートSの他方面である表ライナAに対して、段ボールシートSの厚さ方向に所定距離だけ離間して対向するように配置される。距離計測センサ51は、少なくとも段ボールシートSの上流側の先端までの距離と、段ボールシートSに形成された罫線101,102の凹部までの距離を計測する。距離計測センサ51は、機能が第1実施形態と同様であり、配置位置が第1実施形態と相違する。
【0076】
判定装置53Aは、段ボールシートSの搬送方向Yにおける先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域における罫線101,102の凹部までの距離と、予め設定されたしきい値とを比較することで段ボールシートSの不良を判定する。
【0077】
段ボールシートSが適正な向きで搬送方向Yに沿って搬送された場合、先端Saが下流側に位置して後端Sbが上流側に位置すると共に、裏ライナBが下面側に位置して表ライナAが上面側に位置する。すると、距離計測センサ51は、先端Saにおける距離H(計測距離)を計測し、判定領域A1で、第2罫線101bの距離H+H2(計測距離)を計測し、判定領域A2で、第2罫線102bの距離H+H2(計測距離)を計測し、後端Sbにおける距離H(計測距離)を計測する。そして、距離計測センサ51は、計測することで取得した計測距離を判定装置53に出力する。判定装置53は、距離計測センサ51から計測距離が入力され、ロータリエンコーダ52から段ボールシートSの搬送位置が入力される。すなわち、判定装置53は、判定領域A1に対応した位置での計測距離、つまり、第2罫線101bの距離H+H2と、判定領域A2に対応した位置での計測距離、つまり、第2罫線102bの距離H+H2を取得する。
【0078】
この場合、判定領域A1,A2は、第1実施形態と同様に、長さLa,Lbに対して、搬送方向Yの上流側と下流側に所定の余裕値を加味した領域の長さである。但し、判定領域A1,A2は、段ボールシートSの先端Saから第2罫線101b,102bまでの長さに対して、搬送方向Yの上流側と下流側に所定の余裕値を加味した領域の長さとしてもよい。
【0079】
判定装置53は、距離計測センサ51から入力した判定領域A1,A2での計測距離(ここでは、距離H+H2)が第1しきい値HAより大きいと、段ボールシートSが表裏不良であると判定する、また、判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより小さいと、段ボールシートSが前後不良であると判定する。
【0080】
図12は、段ボールシートの不良検出方法の判定制御を表すフローチャートである。
【0081】
図11および
図12に示すように、ステップS21にて、判定装置53は、距離計測センサ51から入力された情報に基づいて、段ボールシートSの先端が検出されたか否かを判定する。判定装置53は、段ボールシートSの先端が検出されていないと判定(No)されると、ステップS21の処理を継続する。一方、判定装置53は、段ボールシートSの先端が検出されたと判定(Yes)されると、ステップS22に移行する。
【0082】
ステップS22にて、判定装置53は、距離計測センサ51が計測した判定領域A1,A2における段ボールシートSの計測距離を取得する。ステップS23にて、判定装置53は、計測した計測距離が第1しきい値HAより大きいか否かを判定する。判定装置53は、計測距離が第1しきい値HAより大きいと判定(Yes)すると、ステップS24にて、段ボールシートSが不良品であり、表裏不良であると判定する。
【0083】
一方、判定装置53は、計測距離が第1しきい値HAより大きくないと判定(No)すると、ステップS25に移行する。ステップS25にて、判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより大きいか否かを判定する。判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより大きいと判定(Yes)すると、ステップS26にて、段ボールシートSが良品であると判定する。
【0084】
一方、判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより大きくないと判定(No)すると、ステップS27にて、段ボールシートSが不良品であり、前後不良であると判定する。
【0085】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る段ボールシートの不良検出装置は、段ボールシートSの一方面または他方面に対向して配置され、配置位置から段ボールシートSの先端までの距離と第1罫線101a,102aの凹部または第2罫線101b,102bまでの距離とを計測して計測距離として取得する距離計測センサ(計測装置)51と、予め設定されたしきい値HA,HBを記憶する記憶装置54と、段ボールシートSの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域A1,A2で計測距離としきい値HA,HBとを比較することにより計測距離としきい値HA,HBとの大小関係を特定して段ボールシートSの表裏不良または前後不良を判定する判定装置53とを備える。
【0086】
第1の態様に係る段ボールシートの不良検出装置によれば、段ボールシートSの一方面に形成された第1罫線101a,102aの凹部の深さH1と他方面に形成された第2罫線101b,102bの凹部の深さH2とは、深さが相違することから、計測した計測距離としきい値HA,HBとを比較することで、表裏不良または前後不良を判定することができる。その結果、段ボールシートSにおける搬送状態の不良を適正に検出することができる。
【0087】
製函機30は、段ボール箱Gが製造されると、所定数のバッチに仕分けした後に束となって排出する。そして、排出された束から不良の段ボール箱Gを作業者が抜き取る。このとき、不良検出装置50が段ボールシートSにおける表裏不良と前後不良を異なる不良として検出できると、作業者が段ボール箱Gの束から不良の段ボール箱G(段ボールシートS)を抜き取る作業が容易となる。すなわち、段ボール箱Gの束に対して、前後不良は、良品と搬送方向Yにおける罫線101,102の位置が相違することであるから、作業者は、前後不良の段ボール箱Gを見つけやすい。一方、段ボール箱Gの束に対して、表裏不良は、良品と搬送方向Yにおける罫線101,102の位置が同じであることから、作業者は、表裏不良の段ボール箱Gを見つけにくい。ところが、段ボール箱Gの束に対して、前後不良や表裏不良の混在がわかっていれば、作業者は、前後不良や表裏不良の段ボール箱Gを見つけやすくなる。その結果、作業者が段ボール箱Gの束から不良の段ボール箱Gを抜き取る作業が容易となり、作業時間を短縮することができるとともに、不良の段ボール箱Gの抜き取り漏れを減少することができる。
【0088】
第2の態様に係る段ボールシートの不良検出装置は、第1の態様に係る段ボールシートの不良検出装置であって、さらに、第1しきい値HAと、第1しきい値HAより小さい第2しきい値HBとを設け、判定装置53は、計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較することにより計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとの大小関係を特定して段ボールシートSの表裏不良と前後不良を判定する。これにより、計測した計測距離と異なるしきい値HA,HBとを比較することで、表裏不良と前後不良を別々に判定することができる。
【0089】
第3の態様に係る段ボールシートの不良検出装置は、第2の態様に係る段ボールシートの不良検出装置であって、さらに、距離計測センサ51は、段ボールシートSの一方面に対向して配置され、判定装置53は、計測距離が第1しきい値HAより小さく且つ第2しきい値HBより大きいと、段ボールシートが表裏不良であると判定する。これにより、距離計測センサ51が段ボールシートSの第1罫線101a,102aが形成された一方面に配置された場合、判定装置53は、計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較することで、容易に段ボールシートSの良品と表裏不良を判定することができる。
【0090】
第4の態様に係る段ボールシートの不良検出装置は、第3の態様に係る段ボールシートの不良検出装置であって、さらに、判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより小さいと、段ボールシートSが前後不良であると判定する。これにより、容易に段ボールシートSの前後不良を判定することができる。
【0091】
第5の態様に係る段ボールシートの不良検出装置は、第2の態様に係る段ボールシートの不良検出装置であって、さらに、距離計測センサ51は、段ボールシートSの他方面に対向して配置され、計測距離が第1しきい値HAより大きいと、段ボールシートが表裏不良であると判定する。これにより、距離計測センサ51が段ボールシートSの第2罫線101b,102bが形成された他方面に配置された場合、判定装置53は、計測距離と第1しきい値HAとを比較することで、容易に段ボールシートSの良品と表裏不良を判定することができる。
【0092】
第6の態様に係る段ボールシートの不良検出装置は、第5の態様に係る段ボールシートの不良検出装置であって、さらに、判定装置53は、計測距離が第2しきい値HBより小さいと、段ボールシートSが前後不良であると判定する。これにより、容易に段ボールシートSの良品と前後不良を判定することができる。
【0093】
第7の態様に係る段ボールシートの不良検出装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか一つに係る段ボールシートの不良検出装置であって、さらに、計測装置は、配置位置から段ボールシートSの先端までの距離と第1罫線101a,102aの凹部または第2罫線101b,102bの凹部までの距離を計測する共通の距離計測センサ51である。これにより、装置の簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0094】
第8の態様に係る段ボールシートの不良検出方法は、段ボールシートSの一方面または他方面に対向する所定の位置から段ボールシートSの先端までの距離と第1罫線101a,12aの凹部または第2罫線101b,102bまでの距離とを計測して計測距離として取得する工程と、段ボールシートSの先端から後端に向けた予め設定された所定の判定領域A1,A2で計測距離と予め設定されたしきい値HA,HBとを比較する工程と、計測距離としきい値HA,HBとの大小関係を特定して段ボールシートSの表裏不良または前後不良を判定する工程とを有する。これにより、計測距離としきい値HA,HBとを比較することで、表裏不良または前後不良を判定することができる。その結果、段ボールシートSにおける搬送状態の不良を適正に検出することができる。
【0095】
第9の態様に係る段ボールシートの不良検出方法は、第8の態様に係る段ボールシートの不良検出方法であって、さらに、判定領域A1,A2で計測距離と第1しきい値HAとを比較する工程と、判定領域A1,A2で計測距離と第1しきい値HAより小さい第2しきい値HBとを比較する工程と、計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとの大小関係を特定して段ボールシートSの表裏不良と前後不良を判定する工程とを有する。これにより、計測距離と異なるしきい値HA,HBとを比較することで、表裏不良と前後不良を別々に判定することができる。その結果、段ボールシートSにおける搬送状態の不良を適正に検出することができる。
【0096】
第10の態様に係る製函機は、不良検出装置50を備える。これにより、計測距離としきい値HA,HBとを比較することで、表裏不良または前後不良を判定することができる。その結果、段ボールシートSにおける搬送状態の不良を適正に検出することができる。そして、製函機30から排出された段ボール箱Gの束に対して、不良の段ボール箱Gを抜き取る作業が容易となり、作業時間を短縮することができるとともに、不良の段ボール箱Gの抜き取り漏れを減少することができる。
【0097】
なお、上述した実施形態の説明では、しきい値HA,HBを、距離計測センサ51から段ボールシートSの平面までの距離Hに、罫線101a,101b,102a,102bの凹部の深さにおける設計値を加味した値Ha,Hbを加算して設定し、距離計測センサ51が取得した段ボールシートSまでの計測距離としきい値HA,HBとを比較して不良を判定したが、この判定方法に限定されるものではない。例えば、しきい値HA,HBを、罫線101a,101b,102a,102bの凹部の深さにおける設計値を加味した値Ha,Hbとし、距離計測センサ51が取得した段ボールシートSまでの計測距離から距離Hを減算した値と、しきい値としての値Ha,Hbとを比較して不良を判定してもよい。
【0098】
また、上述した実施形態の説明では、段ボールシートSは、搬送方向Yの下流側に罫線101が形成され、罫線101より搬送方向Yの上流側に罫線102が形成され、2つの判定領域A1,A2を設け、それぞれの判定領域A1,A2で計測した計測距離と、第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較して不良を判定したが、この構成に限定されない。段ボールシートSは、仕様により罫線が1本、3本、4本などの場合もある。この場合、それぞれの罫線に対応する判定領域を設け、それぞれの判定領域で計測した計測距離と、第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較して不良を判定してもよい。また、それぞれの判定領域のうちの少なくとも1つの判定領域で、計測距離と第1しきい値HAおよび第2しきい値HBとを比較して不良を判定してもよい。
【0099】
また、上述した実施形態の説明にて、製函機30は、給紙部31と、印刷部32と、排紙部33と、ダイカット部34と、フォルダグルア部35と、カウンタエゼクタ部36とを備えるものとしたが、この構成に限定されるものではない。製函機30は、例えば、給紙部31と、印刷部32と、排紙部33を備える構成であってもよい。また、製函機30は、例えば、給紙部31と、印刷部32と、排紙部33と、ダイカット部34とを備える構成であってもよい。また、製函機30は、例えば、給紙部31と、印刷部32と、ダイカット部34とを備える構成であってもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 コルゲートマシン
11,12,15,16,19 ミルロールスタンド
13,17 シングルフェーサ
14,18 ブリッジ
20 プレヒータ
21 グルーマシン
22 ダブルフェーサ
23 ロータリシャ
24 スリッタスコアラ
25 カットオフ
26 不良品排出装置
27 スタッカ
30 製函機
31 給紙部
32 印刷部
33 排紙部
34 ダイカット部
35 フォルダグルア部
36 カウンタエゼクタ部
50,50A 不良検出装置
51 距離計測センサ(計測装置)
52 ロータリエンコーダ
53,53A 判定装置
54 記憶装置
55 表示装置
101 罫線
101a 第1罫線
101b 第2罫線
102 罫線
102a 第1罫線
102b 第2罫線
111 切断線
112,113,114,115 罫線
121,122,123 溝
124 切欠
131,132,133 溝
134 切欠
A 表ライナ
B,B1,B2 裏ライナ
C,C1,C2 中芯
D1,D2 片面段ボールシート
E,F 複両面段ボールシート
G 段ボール箱
S,S1 段ボールシート