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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038792
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】重量物昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/20 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
B66F7/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143073
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】390027513
【氏名又は名称】大瀧ジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩松 聖
(57)【要約】
【課題】重量物の寸法・形状や施行条件に応じて、形状を多様に変更することができる重量物昇降装置を提供する。
【解決手段】所定の重量物を載置させる載置部2と、載置部2を鉛直方向に移動させる昇降機構3と、を備える重量物昇降装置1であって、載置部2を、矩形状の端板11を有する要素部材10を複数組み合わせて構成する。昇降機構3は、鉛直ジャッキ20と、鉛直ジャッキ20を要素部材10に連結する連結部材30と、を有し、連結部材30は、二つの多角形面31の対応する辺同士を接続する矩形状の接続板32を有する角柱状部材である。端板11及び接続板32を規格化し、形状・大きさが略同一の矩形状凹部11a、32a及びボルト挿通孔11b、32bを、端板11及び接続板32に設ける。端板11及び接続板32の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔10a・30aを、要素部材10及び角柱状部材30に設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の重量物を載置させる載置部と、前記載置部を鉛直方向に移動させる昇降機構と、を備える重量物昇降装置であって、
前記載置部は、矩形状の端板を有する要素部材を複数組み合わせて構成したものであり、
前記端板の表面は、前記要素部材の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、
前記昇降機構は、鉛直ジャッキと、前記鉛直ジャッキを前記載置部の前記要素部材に連結するための連結部材と、を有し、
前記連結部材は、相互に平行に所定間隔をおいて配置された二つの多角形面と、前記二つの多角形面の対応する辺同士を接続するように設けられた矩形状の接続板と、を有する角柱状部材であり、
前記接続板の表面は、前記角柱状部材の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、
前記端板及び前記接続板の表面の形状及び大きさは、略同一に設定されており、
前記端板及び前記接続板の表面の略中央位置には、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部が設けられており、
前記端板及び前記接続板には、前記端板と前記接続板とを連結するためのボルトを挿通させるボルト挿通孔が設けられており、
前記要素部材及び前記角柱状部材には、前記端板及び前記接続板の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔が設けられている、重量物昇降装置。
【請求項2】
前記角柱状部材の前記多角形面には、前記鉛直ジャッキを挿通させるためのジャッキ挿通孔が設けられている、請求項1に記載の重量物昇降装置。
【請求項3】
ネジロッドと、前記ネジロッドを前記鉛直ジャッキのロッドの伸縮方向と平行な方向に移動させるための電動ナットと、前記鉛直ジャッキに隣接した位置に前記ネジロッド及び前記電動ナットを取り付けるための取付部材と、を有する荷重支持機構を備え、
前記荷重支持機構は、前記鉛直ジャッキの前記ロッドが所定長伸びた状態にあるときに前記電動ナットを作動させて前記ネジロッドの下端を前記ロッドの下端と同じ高さまで移動させることにより、前記鉛直ジャッキに作用する荷重の少なくとも一部を支持するように構成されている、請求項2に記載の重量物昇降装置。
【請求項4】
前記角柱状部材は、前記接続板を3枚有する六角柱状部材を含む、請求項1に記載の重量物昇降装置。
【請求項5】
前記角柱状部材は、前記接続板を4枚有する八角柱状部材を含む、請求項1に記載の重量物昇降装置。
【請求項6】
前記ボルト挿通孔は、前記端板及び前記接続板の各々の2辺に沿って所定間隔で複数設けられている、請求項1に記載の重量物昇降装置。
【請求項7】
所定の重量物を載置させる載置部と、前記載置部を鉛直方向に移動させる昇降機構と、を備える重量物昇降装置であって、
前記載置部は、矩形状の端板を有する要素部材を複数組み合わせて構成したものであり、
前記端板の表面は、前記要素部材の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、
前記昇降機構は、鉛直ジャッキと、前記鉛直ジャッキを前記載置部の前記要素部材に連結するための連結部材と、を有し、
前記連結部材は、前記鉛直ジャッキのシリンダに取り付けられて前記シリンダを覆う第一筐体部と、前記鉛直ジャッキのロッドに取り付けられて前記ロッドを覆う第二筐体部と、を有する筐体状のジャッキカバーであり、前記第二筐体部は、前記ロッドの伸縮に伴って前記第一筐体部に対してスライド移動するように構成されており、前記第一筐体部の表面には、矩形状の接続板が取り付けられており、
前記接続板の表面は、前記ジャッキカバーの種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、
前記端板及び前記接続板の表面の形状及び大きさは、略同一に設定されており、
前記端板及び前記接続板の表面の略中央位置には、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部が設けられており、
前記端板及び前記接続板には、前記端板と前記接続板とを連結するためのボルトを挿通させるボルト挿通孔が設けられており、
前記要素部材及び前記ジャッキカバーには、前記端板及び前記接続板の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔が設けられている、重量物昇降装置。
【請求項8】
前記ジャッキカバーは、前記ロッドが所定長伸びた状態にあるときに前記第一筐体部に対する前記第二筐体部の相対移動を阻止するロック機構をさらに有する、請求項7に記載の重量物昇降装置。
【請求項9】
前記ボルト挿通孔は、前記端板及び前記接続板の各々の2辺に沿って所定間隔で複数設けられている、請求項7に記載の重量物昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、橋桁等の大型構造物(重量物)を支持して昇降させるための技術が種々提案されている。例えば、パンタグラフ機構等からなる昇降機構と、その昇降機構に取り付けられた持ち上げ片と、を有するジャッキを一対準備し、これら一対のジャッキを連結部材で連結した状態で重量物の下方に配置し、これら一対のジャッキで重量物を支持して昇降させる重量物持ち上げ装置が提案されている(特許文献1参照)。かかる装置においては、ジャッキ同士を連結する連結部材に複数組のピン挿通孔を設けておくことによりジャッキ同士の間隔を変更することができ、重量物の寸法や形状が異なっても容易に対応できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-227795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、支持対象となる重量物の寸法や形状は千差万別であり、また、同様の重量物であっても施工条件によっては既存の装置が使用できない場合があることから、特許文献1に記載された従来の装置のようにジャッキ同士の間隔を変更する程度では、実際の工事現場では対応できないことは明らかである。このため、重量物の寸法や形状が変更されたり施工条件が変更されたりする度に、装置の改造や新規製作を行って対応せざるを得ないという現状があるが、これには時間的・金銭的なコストが多く掛かるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、重量物の寸法・形状や施工条件に応じて、形状を多様に変更することができる重量物昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る第一の重量物昇降装置は、所定の重量物を載置させる載置部と、載置部を鉛直方向に移動させる昇降機構と、を備えるものであって、載置部は、矩形状の端板を有する要素部材を複数組み合わせて構成したものであり、端板の表面は、要素部材の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、昇降機構は、鉛直ジャッキと、鉛直ジャッキを載置部の要素部材に連結するための連結部材と、を有し、連結部材は、相互に平行に所定間隔をおいて配置された二つの多角形面と、二つの多角形面の対応する辺同士を接続するように設けられた矩形状の接続板と、を有する角柱状部材であり、接続板の表面は、角柱状部材の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、端板及び接続板の表面の形状及び大きさは、略同一に設定されており、端板及び接続板の表面の略中央位置には、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部が設けられており、端板及び接続板には、端板と接続板とを連結するためのボルトを挿通させるボルト挿通孔が設けられており、要素部材及び角柱状部材には、端板及び接続板の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔が設けられているものである。角柱状部材としては、接続板を3枚有する六角柱状部材、接続板を4枚有する八角柱状部材、等を採用することができる。ボルト挿通孔は、端板及び接続板の各々の2辺に沿って所定間隔で複数設けることができる。
【0007】
かかる構成を採用すると、載置部の要素部材の端板と、昇降機構の連結部材(角柱状部材)の接続板と、の各表面に設けられた矩形状凹部に位置合わせ用の矩形板を嵌め込んだ状態で両板を密着させ、両板に設けられたボルト挿通孔にボルトを挿通し、手指挿入孔から端板又は接続板の裏側に手指を挿入してボルト締めを行うことにより、載置部と昇降機構とを連結して重量物昇降装置を構成することができる。この際、要素部材の端板及び連結部材の接続板の表面の略中央位置に、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部が設けられているため、端板と接続板の上下方向及び左右方向における位置合わせが可能となる。また、要素部材の種類が異なる場合においても端板の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、連結部材(角柱状部材)の種類が異なる場合においても接続板の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、さらに、端板及び接続板の表面の形状及び大きさが略同一に設定されていることから、複数種類の要素部材と複数種類の連結部材との連結、複数種類の要素部材同士の連結、複数種類の連結部材同士の連結、を何れも実現させることができる。従って、重量物の寸法・形状や施工条件に応じて、形状を多様に変更することができる重量物昇降装置を得ることが可能となる。
【0008】
本発明に係る第一の重量物昇降装置において、角柱状部材の多角形面に、鉛直ジャッキを挿通させるためのジャッキ挿通孔を設けることができる。かかる場合において、ネジロッドと、ネジロッドを鉛直ジャッキのロッドの伸縮方向と平行な方向に移動させるための電動ナットと、鉛直ジャッキに隣接した位置にネジロッド及び電動ナットを取り付けるための取付部材と、を有する荷重支持機構を備えることができる。ここで、鉛直ジャッキのロッドが所定長伸びた状態にあるときに電動ナットを作動させてネジロッドの下端を鉛直ジャッキのロッドの下端と同じ高さまで移動させることにより、鉛直ジャッキに作用する荷重の少なくとも一部を支持するように荷重支持機構を構成することができる。
【0009】
かかる構成を採用すると、鉛直ジャッキのロッドが所定長伸びた状態にあるときに、荷重支持機構の電動ナットを作動させてネジロッドの下端を鉛直ジャッキのロッドの下端と同じ高さまで移動させることにより、鉛直ジャッキに作用する荷重の少なくとも一部を支持することができる。従って、鉛直ジャッキのロッド伸長に要する力(例えば油圧による力)を一時的に解除することが可能となる。
【0010】
本発明に係る第二の重量物昇降装置は、所定の重量物を載置させる載置部と、載置部を鉛直方向に移動させる昇降機構と、を備えるものであって、載置部は、矩形状の端板を有する要素部材を複数組み合わせて構成したものであり、端板の表面は、要素部材の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、昇降機構は、鉛直ジャッキと、鉛直ジャッキを載置部の要素部材に連結するための連結部材と、を有し、連結部材は、鉛直ジャッキのシリンダに取り付けられてシリンダを覆う第一筐体部と、鉛直ジャッキのロッドに取り付けられてロッドを覆う第二筐体部と、を有する筐体状のジャッキカバーであり、第二筐体部は、ロッドの伸縮に伴って第一筐体部に対してスライド移動するように構成されており、第一筐体部の表面には、矩形状の接続板が取り付けられており、接続板の表面は、ジャッキカバーの種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、端板及び接続板の表面の形状及び大きさは、略同一に設定されており、端板及び接続板の表面の略中央位置には、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部が設けられており、端板及び接続板には、端板と接続板とを連結するためのボルトを挿通させるボルト挿通孔が設けられており、要素部材及びジャッキカバーには、端板及び接続板の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔が設けられているものである。ボルト挿通孔は、端板及び接続板の各々の2辺に沿って所定間隔で複数設けることができる。
【0011】
かかる構成を採用すると、載置部の要素部材の端板と、昇降機構の連結部材(ジャッキカバー)の接続板と、の各表面に設けられた矩形状凹部に位置合わせ用の矩形板を嵌め込んだ状態で両板を密着させ、両板に設けられたボルト挿通孔にボルトを挿通し、手指挿入孔から端板又は接続板の裏側に手指を挿入してボルト締めを行うことにより、載置部と昇降機構とを連結して重量物昇降装置を構成することができる。この際、要素部材の端板及び連結部材の接続板の表面の略中央位置に、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部が設けられているため、端板と接続板の上下方向及び左右方向における位置合わせが可能となる。また、要素部材の種類が異なる場合においても端板の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、連結部材(ジャッキカバー)の種類が異なる場合においても接続板の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、さらに、端板及び接続板の表面の形状及び大きさが略同一に設定されていることから、複数種類の要素部材と複数種類の連結部材との連結、複数種類の要素部材同士の連結、複数種類の連結部材同士の連結、を何れも実現させることができる。従って、重量物の寸法・形状や施工条件に応じて、形状を多様に変更することができる重量物昇降装置を得ることが可能となる。
【0012】
本発明に係る第二の重量物昇降装置において、ジャッキカバーは、ロッドが所定長伸びた状態にあるときに第一筐体部に対する第二筐体部の相対移動を阻止するロック機構をさらに有することができる。
【0013】
かかる構成を採用すると、ジャッキカバーのロック機構により、ロッドが所定長(例えば最大長)伸びた状態にあるときに第一筐体部に対する第二筐体部の相対移動を阻止することができる。すなわち、第二筐体部が第一筐体部に固定された状態となるため、第二筐体部に取り付けられたロッドと、第一筐体部に取り付けられたシリンダと、の位置関係をロッドが所定長伸びた状態のまま維持することができる。従って、ロッド伸長に要する力(例えば油圧による力)を一時的に解除することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、重量物の寸法・形状や施行条件に応じて、形状を多様に変更することができる重量物昇降装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態に係る重量物昇降装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図1に示す重量物昇降装置の載置台を構成する要素部材を示す斜視図である。
図3図1に示す重量物昇降装置の昇降機構を構成する鉛直ジャッキを示す斜視図である。
図4図1に示す重量物昇降装置の昇降機構を構成する角柱状部材を示す斜視図である。
図5図1に示す重量物昇降装置の荷重支持機構を構成するネジロッド及び電動ナットを示す斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る重量物昇降装置の変形例の構成を示す斜視図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る重量物昇降装置の他の変形例の構成を示す斜視図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る重量物昇降装置の他の変形例の構成を示す斜視図である。
図9図8に示す重量物昇降構成装置の昇降機構の変形例を示す斜視図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る重量物昇降装置の全体構成を示す斜視図である。
図11図10に示す重量物昇降装置のロック機構を作動させた状態を示す斜視図である。
図12図10に示す重量物昇降装置のロック機構を解除して昇降機構の鉛直ジャッキを最大限短縮した状態を示す斜視図である。
図13図10に示す重量物昇降装置のジャッキカバーの構成を説明するためのものであって、鉛直ジャッキを最大限伸長させた状態を示す説明図である。
図14図10に示す重量物昇降装置のジャッキカバーの構成を説明するためのものであって、鉛直ジャッキを最大限短縮した状態を示す説明図である。
図15図10に示す重量物昇降装置のロック機構が解除された状態を示す拡大斜視図である。
図16図10に示す重量物昇降装置のロック機構が作動した状態を示す拡大斜視図である。
図17】本発明の第二実施形態に係る重量物昇降装置の変形例の構成を示す正面図である。
図18図17に示す重量物昇降装置の上面図(最上部の載置台を省略した図)である。
図19図17に示す重量物昇降装置の鉛直ジャッキを伸長させた状態を示す正面図である。
図20図19に示す重量物昇降装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれらに限定されるものではない。
【0017】
<第一実施形態>
まず、図1図9を用いて、本発明の第一実施形態に係る重量物昇降装置1について説明する。本実施形態に係る重量物昇降装置1は、図1に示すように、所定の重量物(例えば、橋桁等の大型構造物)を載置させる載置部2、載置部2を鉛直方向に移動させる昇降機構3、荷重支持機構4、制御用ポンプ5等を備えており、当該重量物を下方から支持して昇降させるように機能するものである。
【0018】
載置部2は、要素部材10を複数組み合わせることによって構成されており、所定の重量物をその上に載置させる機能を果たすものである。載置部2の平面形状は、所定の重量物の寸法・形状や施工条件に対応させて多様に設定することができる。例えば、図1及び図7に示すような平面視長方形状の載置部2を採用したり、図6に示すような平面視正方形状の載置部2を採用したりすることができる。
【0019】
載置部2を構成する要素部材10は、載置部2がその機能を果たすことができるような高い剛性を有する部材(例えば、金属部材)で構成されている。要素部材10の寸法や形状は、それらを組み合わせて多様な平面形状の載置部2を構成することができるように、多様に設定することができる。例えば、図2に示すような長さの異なる複数種類のH形鋼(断面H形の鋼材)を要素部材10として採用することができる。載置部2を構成した際の要素部材10の上面は、重量物を載置した際の安定性を考慮して、図1に示されるような平坦面とされるのが好ましい。なお、要素部材10はH形鋼に限られるものではなく、例えば断面矩形状(ロ字状)の中空又は中実の鋼材を要素部材10として採用してもよい。
【0020】
要素部材10の端部には、矩形状の端板11が取り付けられている。端板11は、後述する昇降機構3の角柱状部材30の接続板32(後述)に接続されるとともに、他の端板11にも接続されるように機能するものである。端板11の表面は、要素部材10の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されている。本実施形態においては、図2に示すように、要素部材10の端部側から見て矩形状を呈する端板11を採用している。要素部材10に取り付けられた端板11は、角柱状部材30や他の端板11に対して接続され易くするために、載置部2を構成した際に鉛直方向に沿って延在するように(すなわち、重量物が載置される仮想載置面に対して垂直になるように)配置されることが好ましい。
【0021】
端板11の表面の略中央位置には、図2に示すように、端板側矩形状凹部11aが設けられている。この端板側矩形状凹部11aの形状及び大きさは、後述する接続板側矩形状凹部32aの形状及び大きさと略同一になるように設定されている。また、端板側矩形状凹部11aの位置は、端板11と接続板32とを重ねた際に接続板側矩形状凹部32aの位置と一致するように設定されている。端板11と接続板32とが重ねられると、端板側矩形状凹部11aと接続板側矩形状凹部32aの間に略直方体状の空隙が形成される。この空隙には、後述する矩形板が嵌め込まれることとなる。
【0022】
端板11には、端板11と接続板32とを連結するためのボルトを挿通させるボルト挿通孔11bが設けられている。本実施形態においては、図2に示すように、載置部2を構成した際に鉛直方向に沿って延在する2辺の各々に沿って所定間隔で複数のボルト挿通孔11bを設けている。
【0023】
要素部材10には、端板11の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔10aが設けられている。本実施形態においては、図2に示すように、H形鋼である要素部材10の上側フランジ10FUと下側フランジ10FDと中央ウェブ10Wとリブ10Rと端板11とから囲まれる領域が手指挿入孔10aとして機能しており、ユーザはこの領域に手指を挿入してボルト締めを行うことができるようになっている。
【0024】
昇降機構3は、鉛直ジャッキ20と、角柱状部材30と、を有しており、載置部2を鉛直方向に移動させる(昇降させる)ように機能するものである。昇降機構3の取付位置は、所定の重量物の寸法・形状や施工条件に対応させて多様に設定することができる。例えば、図1図6に示すように載置部2の四隅に各々昇降機構3を取り付けたり、図8に示すように複数の鉛直ジャッキ20を有して環状に形成した昇降機構3を載置部2の両端に取り付けたりすることができる。
【0025】
鉛直ジャッキ20は、図3に示すようにシリンダ21及びロッド22を有しており、制御用ポンプ5からシリンダ21に供給される油圧力によるロッド22の伸縮動作により載置部2を介して重量物を昇降させるように機能する。鉛直ジャッキ20は、図1に示すように角柱状部材30のジャッキ挿通孔31a(後述)に挿通され、シリンダ21の一部が角柱状部材30の内部に収納された状態で固定されるようになっている。
【0026】
角柱状部材30は、本発明における連結部材に相当するものであり、鉛直ジャッキ20を載置部2の要素部材10に連結するように機能する。角柱状部材30は、その機能を果たすことができるような高い剛性を有する部材(例えば、金属部材)で構成されており、図4に示すように、相互に平行に所定間隔をおいて配置された二つの多角形面31と、二つの多角形面31の対応する辺同士を接続するように設けられた矩形状の接続板32と、を有している。
【0027】
角柱状部材30の寸法や形状は、それらを組み合わせて多様な平面形状の載置部2を構成することができるように、多様に設定することができる。例えば、図4(A)に示すように八角形状の多角形面31と4枚の接続板32とを有する八角柱状(立方体に近い形状)の部材30Aを採用したり、図4(B)に示すように六角形状の多角形面31と3枚の接続板32とを有する六角柱状の部材30Bを採用したり、図4(C)に示すように細長い八角形状の多角形面31と4枚の接続板32とを有する八角柱状体(細長い直方体に近い形状)の部材30Cを採用したりすることができる。
【0028】
角柱状部材30の二つの多角形面31には、鉛直ジャッキ20を挿通させるためのジャッキ挿通孔31aが設けられており、これら二つのジャッキ挿通孔31aは連通されている。これにより、図1に示すように角柱状部材30のジャッキ挿通孔31aに鉛直ジャッキ20が挿通され、鉛直ジャッキ20のシリンダ21の一部が角柱状部材30に固定されるようになっている。なお、図4(C)に示すように、比較的長尺の多角形面31を有する角柱状部材30Cを採用した場合は、この長尺の多角形面31の長さ方向に沿って複数のジャッキ挿通孔31aを設けることもできる。
【0029】
接続板32は、二つの多角形面31の対応する辺同士を接続するように設けられた矩形状の板である。本実施形態においては、図4に示すように、矩形状を呈する接続板32を採用している。接続板32の表面は、角柱状部材30の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されている。また、接続板32の表面の形状及び大きさは、要素部材10の端板11の表面の形状及び大きさと略同一に設定されている。なお、図4(C)に示すように、比較的長尺の多角形面31を有する角柱状部材30Cを採用した場合は、この長尺の多角形面31の長辺に対応させて、規格化された形状及び大きさの接続板32を複数(例えば3つ)接合して構成した1枚の大型の接続板を採用することもできる。
【0030】
接続板32の表面の略中央位置には、図4に示すように、接続板側矩形状凹部32aが設けられている。この接続板側矩形状凹部32aの形状及び大きさは、既に述べた端板側矩形状凹部11aの形状及び大きさと略同一になるように設定されている。また、接続板側矩形状凹部32aの位置は、端板11と接続板32とを重ねた際に端板側矩形状凹部11aの位置と一致するように設定されている。端板11と接続板32とが重ねられると、端板側矩形状凹部11aと接続板側矩形状凹部32aの間に略直方体状の空隙が形成され、この空隙には後述する矩形板が嵌め込まれることは既に述べたとおりである。
【0031】
接続板32には、端板11と接続板32とを連結するためのボルトを挿通させるボルト挿通孔32bが設けられている。本実施形態においては、図4に示すように、載置部2に連結された際に鉛直方向に沿って延在する2辺の各々に沿って所定間隔で複数のボルト挿通孔32bを設けている。
【0032】
角柱状部材30には、接続板32の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔30aが設けられている。本実施形態においては、図4に示すように、角柱状部材30の接続板32と接続板32の間に空隙を形成しており、この空隙が手指挿入孔30aとして機能している。ユーザはこの空隙(手指挿入孔30a)に手指を挿入してボルト締めを行うことができるようになっている。
【0033】
荷重支持機構4は、鉛直ジャッキ20のロッド22が所定長伸びた状態にあるときに鉛直ジャッキ20に作用する荷重の少なくとも一部を支持するという機能を果たすことにより、鉛直ジャッキ20のロッド22の伸長に要する油圧力を一時的に解除することを可能とするものである。荷重支持機構4は、図5に示すように、ネジロッド40と、電動ナット41と、取付部材50と、を有している。
【0034】
荷重支持機構4のネジロッド40の長さは、鉛直ジャッキ20のロッド22の長さに対応させて適宜設定することができる。電動ナット41は、図示されていない制御部によって制御されることにより、ネジロッド40を鉛直ジャッキ20のロッド22の伸縮方向と平行な方向に移動させるように動作する。取付部材50は、鉛直ジャッキ20に隣接した位置にネジロッド40及び電動ナット41を取り付けるための部材である。
【0035】
本実施形態においては、図1に示すように、昇降機構3を構成する角柱状部材30(立方体に近い八角柱状の部材30A)と同様の構成を有する取付部材50を採用している。取付部材50は、角柱状部材30Aと同様に、二つの多角形面51と、矩形状の接続板52と、を有しており、二つの多角形面51には、ネジロッド40が移動可能に挿通されるロッド挿通孔51aが設けられている。取付部材50は、図1に示すように、昇降機構3の角柱状部材30の接続板32に接続板52を介して接続される。この際、取付部材50の上下には一対の電動ナット41が取り付けられ、電動ナット41の動作によりネジロッド40が上下方向(鉛直ジャッキ20のロッド22の伸縮方向と平行な方向)に移動することとなる。
【0036】
このように構成された荷重支持機構4は、鉛直ジャッキ20のロッド22が所定長伸びた状態にあるときに電動ナット41を作動させてネジロッド40の下端を鉛直ジャッキ20のロッド22の下端と同じ高さまで移動させることにより、鉛直ジャッキ20に作用する荷重の少なくとも一部を支持することができる。これにより、鉛直ジャッキ20のロッド22の伸長に要する油圧力を一時的に解除することができる。
【0037】
制御用ポンプ5は、各昇降機構3の鉛直ジャッキ20に、図示されていない配管を介して油圧力を提供するポンプである。本実施形態においては、図1に示すように、載置台2を構成する要素部材10にポンプステー60を取り付けておき、このポンプステー60に制御用ポンプ5を載置している。
【0038】
以上説明した実施形態に係る重量物昇降装置1においては、載置部2の要素部材10の端板11と、昇降機構3の角柱状部材(連結部材)30の接続板32と、の各表面に設けられた矩形状凹部11a、32aに位置合わせ用の矩形板を嵌め込んだ状態で両板11・32を密着させ、両板11・32に設けられたボルト挿通孔11b・32bにボルトを挿通し、手指挿入孔10a・30aから端板11又は接続板32の裏側に手指を挿入してボルト締めを行うことにより、載置部2と昇降機構3とを連結して装置を構成することができる。この際、要素部材10の端板11及び角柱状部材30の接続板32の表面の略中央位置に、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部10a・32aが設けられているため、端板11と接続板32の上下方向及び左右方向における位置合わせが可能となる。また、要素部材10の種類が異なる場合においても端板11の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、角柱状部材30の種類が異なる場合においても接続板11の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、さらに、端板11及び接続板32の表面の形状及び大きさが略同一に設定されていることから、複数種類の要素部材10と複数種類の角柱状部材30との連結、複数種類の要素部材10同士の連結、複数種類の角柱状部材30同士の連結、を何れも実現させることができる。従って、本実施形態に係る重量物昇降装置1は、重量物の寸法・形状や施行条件に応じて、形状を多様に変更することができる。
【0039】
例えば、図1に示すように、2種類の長さの要素部材10を組み合わせて平面視長方形状を呈する載置部2を形成し、その四隅に昇降機構3の角柱状部材30(立方体に近い八角柱状の部材30A)を連結して載置部2及び昇降機構3からなる細長い長方形状のユニットを構成し、その長方形状のユニットの長さ方向両端部に荷重支持機構4の取付部材50を取り付けて、全体的に細長い長方形状の重量物昇降装置1を構成することができる。
【0040】
また、図6に示すように、1種類の長さの要素部材10を組み合わせて平面視正方形状を呈する載置部2を形成し、その四隅に昇降機構3の角柱状部材30(立方体に近い八角柱状の部材30A)を連結して載置部2及び昇降機構3からなる正方形状のユニットを構成し、その正方形状のユニットの四隅の角柱状部材30に、別の昇降機構3の角柱状部材30(立方体に近い八角柱状の部材30A)を取り付けて、全体的に正方形状の重量物昇降装置1を構成することができる。このように昇降機構3を二段階に設けることにより、所定の重量物の昇降範囲を拡大することができる。すなわち、まず、外側の昇降機構3を用いて載置部2を昇降させることができ、次いで、内側の昇降機構3を用いて、内側の昇降機構3の鉛直ジャッキ20のロッド22の上端に取り付けられた図示されていない別の載置部2を昇降させることができるため、最上部に取り付けられた図示されていない別の載置部2に所定の重量物を載置させることにより、より高い位置まで重量物を持ち上げることが可能となる。
【0041】
さらに、図7に示すように、図1の重量物昇降装置1と同様に2種類の長さの要素部材10を組み合わせて平面視長方形状を呈する載置部2を形成し、その四隅に昇降機構3の角柱状部材30(立方体に近い八角柱状の部材30A)を連結して載置部2及び昇降機構3からなる細長い長方形状のユニットを構成し、その長方形状のユニットの四隅の角柱状部材30に、別の昇降機構3の角柱状部材30(立方体に近い八角柱状の部材30A)を取り付け、別の昇降機構3の角柱状部材30に荷重支持機構4の取付部材50を取り付けて、全体的に細長い長方形状の重量物昇降装置1を構成することができる。この場合も、図6に示す重量物昇降装置1と同様に昇降機構3を二段階に設けているため、所定の重量物の昇降範囲を拡大することができる。
【0042】
さらにまた、図8に示すように、複数種類の角柱状部材30(すなわち、図4(A)に示すような立方体に近い八角柱状の部材30A、図4(B)に示すような六角柱状の部材30B、及び、図4(C)に示すような細長い直方体に近い八角形状の部材30C)を組み合わせて環状の昇降機構3を二組形成し、これら二組の昇降機構3を、相互に平行に配置した同じ長さの2本の要素部材10の長さ方向両端に連結して、載置部2及び昇降機構3からなるユニットを構成することもできる。なお、図8では、一種類の角柱状部材30(八角柱状の部材30A)にのみ鉛直ジャッキ20を取り付けた例を示したが、複数種類の角柱状部材30の各々に鉛直ジャッキ20を取り付けることもできる。また、図8では3種類の角柱状部材30を組み合わせて環状の昇降機構3を構成した例を示したが、図9に示すように、2種類の角柱状部材30(八角柱状の部材30A及び六角柱状の部材30B)を組み合わせて環状の昇降機構3を構成してもよい。
【0043】
また、以上説明した実施形態に係る重量物昇降装置1においては、鉛直ジャッキ20のロッド22が所定長伸びた状態にあるときに、荷重支持機構4の電動ナット41を作動させてネジロッド40の下端を鉛直ジャッキ20のロッド22の下端と同じ高さまで移動させることにより、鉛直ジャッキ20に作用する荷重の少なくとも一部を支持することができる。従って、鉛直ジャッキ20のロッド20伸長に要する力(油圧による力)を一時的に解除することが可能となる。
【0044】
<第二実施形態>
次に、図10図20を用いて、本発明の第二実施形態に係る重量物昇降装置1Aについて説明する。本実施形態に係る重量物昇降装置1Aは、第一実施形態に係る重量物昇降装置1の連結部材の構成を変更したものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0045】
本実施形態に係る重量物昇降装置1Aは、図10図12に示すように、所定の重量物(例えば、橋桁等の大型構造物)を載置させる載置部2、載置部2を鉛直方向に移動させる昇降機構3A、等を備えており、当該重量物を下方から支持して昇降させるように機能するものである。本実施形態における載置部2及びその構成要素は、第一実施形態における載置部2及びその構成要素(要素部材10(手指挿入孔10aを含む)及び端板11(端板側矩形状凹部11aやボルト挿通孔11bを含む))と実質的に共通であるので、詳細な説明を省略することとする。
【0046】
本実施形態における昇降機構3Aは、図10図12に示すように、鉛直ジャッキ20と、ジャッキカバー(連結部材)70と、を有している。鉛直ジャッキ20(並びにそれを構成するシリンダ21及びロッド22)は、第一実施形態における鉛直ジャッキ20(並びにそれを構成するシリンダ21及びロッド22)と実質的に共通であるので、詳細な説明を省略することとする。
【0047】
ジャッキカバー70は、本発明における連結部材に相当するものであり、鉛直ジャッキ20を載置部2の要素部材10に連結するように機能する。ジャッキカバー70は、図10図14に示すように、鉛直ジャッキ20のシリンダ21を覆う第一筐体部71と、鉛直ジャッキ20のロッド22を覆う第二筐体部72と、を有する筐体状の部材であって、金属等の剛性を有する材料で構成されている。
【0048】
ジャッキカバー70の第一筐体部71及び第二筐体部72は、何れも、図13に示すように断面略正方形状の中空管状体として構成されている。図13及び図14に示すように、第一筐体部71の上端部の内面は、鉛直ジャッキ20のシリンダ21の上端部に取り付けられており、第二筐体部72の下端部の内面は、鉛直ジャッキ20のロッド22の下端部に取り付けられており、第二筐体部72は、鉛直ジャッキ20のロッド22の伸縮に伴って第一筐体部71に対してスライド移動するように構成されている。
【0049】
また、ジャッキカバー70の第一筐体部71の表面には、矩形状の接続板73が取り付けられている。接続板73は、第一実施形態における接続板32と実質的に共通であり、矩形状を呈するものである。接続板73の表面は、ジャッキカバー70の種類が異なる場合においても共通の形状及び大きさを有するように規格化されている。また、接続板73の表面の形状及び大きさは、要素部材10の端板11の表面の形状及び大きさと略同一に設定されている。
【0050】
接続板73の表面の略中央位置には、図15及び図16に示すように、接続板側矩形状凹部73aが設けられている。この接続板側矩形状凹部73aの形状及び大きさは、既に述べた端板側矩形状凹部11aの形状及び大きさと略同一になるように設定されている。また、接続板側矩形状凹部73aの位置は、端板11と接続板73とを重ねた際に端板側矩形状凹部11aの位置と一致するように設定されている。端板11と接続板73とが重ねられると、端板側矩形状凹部11aと接続板側矩形状凹部73aの間に略直方体状の空隙が形成され、この空隙には後述する矩形板が嵌め込まれることは第一実施形態と同様である。
【0051】
接続板73には、端板11と接続板73とを連結するためのボルトを挿通させるボルト挿通孔73bが設けられている。本実施形態においては、図15及び図16に示すように、載置部2に連結された際に鉛直方向に沿って延在する2辺の各々に沿って所定間隔で複数のボルト挿通孔73bを設けている。
【0052】
ジャッキカバー70には、接続板73の裏側に手指を挿入してボルト締めを可能とするための手指挿入孔70aが設けられている。本実施形態においては、図15及び図16に示すように、ジャッキカバー70の第一筐体部71と接続板73の間に空隙を形成しており、この空隙が手指挿入孔70aとして機能している。ユーザはこの空隙(手指挿入孔70a)に手指を挿入してボルト締めを行うことができるようになっている。
【0053】
さらに、ジャッキカバー70は、鉛直ジャッキ20のロッド22が所定長伸びた状態にあるときに第一筐体部71に対する第二筐体部72の相対移動を阻止するロック機構80を有している。ロック機構80は、図13図15及び図16等に示すように、第一筐体部71に設けられた係止部81と、第二筐体部72の表面に長手方向に沿って所定間隔で設けられた凸部82と、を有している。係止部81は、図15及び図16に示すように、第一筐体部71の下端側にヒンジ部83を介して回動可能に取り付けられ、駆動部84によって駆動されることにより第二筐体部72側に回動し、図13に示すように、第二筐体部72の何れか一つの凸部82の下方に嵌まり込むようになっている。このようにロック機構80の係止部81が凸部82の下方に嵌まり込むことにより、第一筐体部71に対する第二筐体部72の相対移動が阻止されることとなる。駆動部84は、図示されていない制御部から送出される制御信号によって駆動制御することができる。
【0054】
以上説明した実施形態に係る重量物昇降装置1Aにおいては、載置部2の要素部材10の端板11と、昇降機構3Aのジャッキカバー(連結部材)70の接続板73と、の各表面に設けられた矩形状凹部11a・73aに位置合わせ用の矩形板を嵌め込んだ状態で両板11・73を密着させ、両板11・73に設けられたボルト挿通孔11b・73bにボルトを挿通し、手指挿入孔10a・70aから端板11又は接続板73の裏側に手指を挿入してボルト締めを行うことにより、載置部2と昇降機構3Aとを連結して装置を構成することができる。この際、要素部材10の端板11及びジャッキカバー70の接続板73の表面の略中央位置に、形状及び大きさが略同一に設定された矩形状凹部11a・73aが設けられているため、端板11と接続板73の上下方向及び左右方向における位置合わせが可能となる。また、要素部材10の種類が異なる場合においても端板11の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、ジャッキカバー70の種類が異なる場合においても接続板73の表面が共通の形状及び大きさを有するように規格化されており、さらに、端板11及び接続板73の表面の形状及び大きさが略同一に設定されていることから、複数種類の要素部材10と複数種類のジャッキカバー70との連結、複数種類の要素部材10同士の連結、複数種類のジャッキカバー70同士の連結、を何れも実現させることができる。従って、本実施形態に係る重量物昇降装置1Aは、重量物の寸法・形状や施行条件に応じて、形状を多様に変更することができる。
【0055】
例えば、図10図12に示すように、1種類の長さの要素部材10を4本組み合わせて井桁状の載置部2を形成し、その四隅に昇降機構3Aのジャッキカバー70を連結して重量物昇降装置1Aを構成することができる。
【0056】
また、図17図20に示すように、2種類の長さの要素部材10を組み合わせて平面視長方形状を呈する載置部2を形成し、その四隅に昇降機構3Aのジャッキカバー70を連結して載置部2及び昇降機構3Aからなるユニットを構成し、そのユニットの四隅のジャッキカバー70に、別の昇降機構3Aのジャッキカバー70を取り付けて重量物昇降装置1Aを構成することができる。このように昇降機構3Aを二段階に設けることにより、所定の重量物の昇降範囲を拡大することができる。すなわち、図19及び図20に示すように、まず、外側の昇降機構3Aを用いて載置部2を昇降させることができ、次いで、内側の昇降機構3Aを用いて、内側の昇降機構3Aの鉛直ジャッキ20のロッド22の上端に取り付けられた別の載置部2Aを昇降させることができるため、最上部にある載置部2Aに所定の重量物を載置させることにより、より高い位置まで重量物を持ち上げることが可能となる。
【0057】
なお、最上部にある載置部2Aに所定の重量物を載置する一方、図17図19に示すように、下方の載置部2に第一実施形態と同様の制御用ポンプ5を載置することもできる。
【0058】
また、以上説明した実施形態に係る重量物昇降装置1Aにおいては、ジャッキカバー70のロック機構80により、鉛直ジャッキ20のロッド22が所定長(例えば最大長)伸びた状態にあるときに第一筐体部71に対する第二筐体部72の相対移動を阻止することができる。すなわち、第二筐体部72が第一筐体部71に固定された状態となるため、第二筐体部72に取り付けられた鉛直ジャッキ20のロッド22と、第一筐体部71に取り付けられた鉛直ジャッキ20のシリンダ21と、の位置関係をロッド22が所定長伸びた状態のまま維持することができる。従って、鉛直ジャッキ20のロッド22伸長に要する力(例えば油圧による力)を一時的に解除することが可能となる。
【0059】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0060】
1・1A…重量物昇降装置
2・2A…載置部
3・3A…昇降機構
4…荷重支持機構
10…要素部材
10a…手指挿入孔
11…端板
11a…端板側矩形状凹部
11b…ボルト挿通孔
20…鉛直ジャッキ
21…シリンダ
22…ロッド
30…角柱状部材(連結部材)
30A・30C…八角柱状部材
30B…六角柱状部材
31…多角形面
31a…ジャッキ挿通孔
32…接続板
32a…接続板側矩形状凹部
32b…ボルト挿通孔
40…ネジロッド
41…電動ナット
50…取付部材
70…ジャッキカバー(連結部材)
70a…手指挿入孔
71…第一筐体部
72…第二筐体部
73…接続板
73a…接続板側矩形状凹部
73b…ボルト挿通孔
80…ロック機構
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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