(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038815
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】装着型電気筋肉刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20240313BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143117
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】新子 翔也
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB23
4C053BB36
4C053JJ11
4C053JJ22
(57)【要約】
【課題】
装着型電気筋肉刺激装置の使用者の違和感を低減する。
【解決手段】
装着型電気筋肉刺激装置1は、本体2、ベルト3、及び保持機構6を備える。本体2は、後頸部に配置され、後頸部の表面に当接される電気筋肉刺激のための電極パッド4A,4Bと、電極パッド4A,4Bの通電制御のための操作ボタン5A,5B,5Cとを備え、最外層部2a,2bが弾性を有する。ベルト3A,3Bは本体2に接続され、可撓性を有し、頸部に巻き付けられた状態で保持機構6によって保持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の一部である装着部に配置され、前記装着部の表面に当接される電気筋肉刺激のための電極パッドと、前記電極パッドの通電制御のための操作ボタンとを備え、最外層部が弾性を有する本体と、
前記本体に接続され、可撓性を有し、前記装着部に巻き付けられるベルトと、
前記ベルトを前記装着部の前記表面に巻き付けられた状態に保持する保持機構と
を備える、装着型電気筋肉刺激装置。
【請求項2】
前記ベルトは、前記本体の一側部に基端が接続された第1ベルトと、前記本体部の他側部に基端が接続された第2ベルトとを備え、
前記保持機構は、前記頸部に巻き付けられた前記第1ベルトと前記第2ベルトとの先端側を互いに重ね合わされた状態で保持する、請求項1に記載の装着型電気筋肉刺激装置。
【請求項3】
前記保持機構は、
前記第1ベルトの前記先端側に間隔を開けて配置された複数の磁石と、
前記第2ベルトの前記先端側に間隔を開けて配置された複数の第1磁性体部材と、
前記第2ベルトの最先端に配置された第2磁性体部材と
を備える、請求項2に記載の装着型電気筋肉刺激装置。
【請求項4】
可撓性を有する長尺な部品であり、装着時に装着部側に位置する第1外装部品と、
外形輪郭が前記第1外装部品と対応し、可撓性を有する長尺な部品であり、装着時に頸部とは反対側に位置する第2外装部品と
を備え、
前記第1外装部品と前記前記第2外装部品は、互いに重ね合わせられて接合されて長尺なケーシングを構成しており、
前記ケーシングの長手方向の中央部が前記最外層部を含む前記本体を構成し、前記ケーシングの前記中央部よりも両端側が前記第1ベルトと前記第2ベルトをそれぞれ構成している、請求項2又は3に記載の装着型電気筋肉刺激装置。
【請求項5】
前記第1外装部品と前記第2外装部品の前記中央部分の間に、前記電極パッドに電気的に接続された基板を含む基板ユニットが挟み込まれて保持されている、請求項4に記載の装着型電気筋肉刺激装置。
【請求項6】
前記基板ユニットは、前記第2外装部品側に配置されて、前記操作ボタンに操作により弾性的に動く可動部を備えるハウジングを備え、
前記基板に前記可動部の動きによって駆動されて前記電極パッドの通電状態を変化させるスイッチが実装されている、請求項5に記載の装着型電気筋肉刺激装置。
【請求項7】
前記第1外装部品に形成された開口に装着された、可撓性を有する蓋部材を備え、
前記電極パッドは前記蓋部材に保持されている、請求項4に記載の装着型電気筋肉刺激装置。
【請求項8】
前記ケーシングのうち前記本体の前記最外層部を構成する部分は、装着時に装着部後方からみて下方に窪んだ円弧状の窪み部を備える、請求項4に記載の装着型電気筋肉刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型電気筋肉刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、頸部に装着し、後頸部に当てた電極パッドに通電することで頸部の筋肉に電気的刺激を与える頸部装着型電気筋肉刺激装置が開示されている。この装置は、U字状の外観を呈して全体として可撓性を有しないケーシングを備え、使用時にはケーシングを後頸部に嵌める態様で装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置が備える可撓性を有しないケーシングは後頸部への密接度が低い。また、可撓性を有しないケーシングは、装着中の使用者が頸部を動かそうとする際や、頸部の姿勢変化を伴う動作を行おうとした際に、頸部の動きや姿勢変化の妨げとなる。これらの点で、特許文献1に記載の装置の使用時、使用者は装置を装着していることを常に意識せざるを得ない。言い換えれば、特許文献1の装置は使用者にとって違和感がある。
【0005】
特許文献1の装置のケーシングは可撓性を有しないので、装着中の使用者が頸部を動かそうとする際や、頸部の姿勢変化を伴う動作を行おうとした際に、頸部に対して動いてしまい、電極パッドの位置がずれたり、電極パッドが後頸部から離れたりする可能性がある。この点で、特許文献1に記載の装置は、適切な装着状態を維持が困難である。
【0006】
装着時の違和感の低減と適切な装着状態の維持は、頸部以下の箇所、例えば上腕(二の腕)や下肢(ふくらはぎ)に装着される装着型電気筋肉刺激装置にも同様に求められるものである。
【0007】
本発明は、装着中の使用者の違和感を低減し、かつ適切な装着状態を維持できる装着型電気筋肉刺激装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、人体の一部である装着部に配置され、前記装着部の表面に当接される電気筋肉刺激のための電極パッドと、前記電極パッドの通電制御のための操作ボタンとを備え、最外層部が弾性を有する本体と、前記本体に接続され、可撓性を有し、前記装着部に巻き付けられるベルトと、前記ベルトを前記装着の前記表面に巻き付けられた状態に保持する保持機構とを備える、装着型電気筋肉刺激装置を提供する。
【0009】
装着部に配置される本体の最外層部は弾性を有し、装着部に巻き付けられた状態で保持機構によって保持されるベルトは可撓性を有する。そのため、本体とベルトの両方について頸部に対する密接度が高い。この高い密接度により、装着中の使用者が装着部に感じる違和感を低減できる。言い換えれば、使用者は装着していることをあまり意識することなく、装着型電気筋肉刺激装置を使用できる。
【0010】
本体とベルトの両方について装着に対する密接度が高く、ベルトは装着部の表面に巻き付けられた状態で保持機構によって保持される。そのため、装着中の使用者が装着部の動きや装着部の姿勢変化を伴う動作を行った場合でも、装着部の動きや姿勢変化に追従するように本体の最外層部とベルトが変形する。この変形により、装着中の使用者が装着部の動きや装着部の姿勢変化を伴う動作を行っても、電極パッドが後頸部の表面に当接した状態が維持される、つまり適切な装着状態が維持される。
【0011】
前記ベルトは、前記本体の一側部に基端が接続された第1ベルトと、前記本体部の他側部に基端が接続された第2ベルトとを備え、前記保持機構は、前記装着部に巻き付けられた前記第1ベルトと前記第2ベルトとの先端側を互いに重ね合わされた状態で保持すされてもよい。
【0012】
前記保持機構は、前記第1ベルトの前記先端側に間隔を開けて配置された複数の磁石と、前記第2ベルトの前記先端側に間隔を開けて配置された複数の第1磁性体部材と、前記第2ベルトの最先端に配置された第2磁性体部材とを備えてもよい。
【0013】
第1ベルトを装着部に巻き、その上に第2ベルトを巻き付けると、第2ベルトは、第1磁性体部材が磁石に吸着されることで最先端よりも基端側(本体側)が第1ベルトに保持される。第2ベルトは、最先端から基端側の第1磁性部材が配置された長さ領域において、第1ベルトに対して磁力によって保持される。このような長さ領域で第2ベルトが第1ベルトに対して保持されることで、装着中の使用者が装着部の動きや装着部の姿勢変化を伴う動作を行った場合でも第1ベルトに対する第2ベルトのずれが防止されるので、使用者の違和感をより確実になくし、かつ適切な装着状態を維持できる。
【0014】
また、第1ベルトを装着部に巻き、その上に第2ベルトを巻き付けると、第2ベルトは、第2磁性体部材が磁石に吸着されることで、最先端も第1ベルトに保持される。第2ベルトの最先端に配置された第2磁性部材は、装着部に巻き付けた際の第1ベルトに対する第2ベルトの重なり量の調節の際に目視での目安になる。
【0015】
装着時、第2ベルトは上述した第1磁性部材が配置された長さ領域だけでなく、第2磁性部材が配置された最先端まで第1ベルトに対して保持される。言い換えれば、装着時に第2ベルトの最先端であっても第1ベルトに対して浮き上がっていない。これによっても、装着中の使用者が装着部の動きや装着部の姿勢変化を伴う動作を行った場合でも第1ベルトに対する第2ベルトのずれが防止される。また、装着時に第1ベルトと第2ベルトが、あたかも1本のベルトのような一体的な状態になり、装着時の美観が向上する。
【0016】
可撓性を有する長尺な部品であり、装着時に装着部側に位置する第1外装部品と、外形輪郭が前記第1外装部品と対応し、可撓性を有する長尺な部品であり、装着時に頸部とは反対側に位置する第2外装部品とを備え、前記第1外装部品と前記前記第2外装部品は、互いに重ね合わせられて接合されて長尺なケーシングを構成しており、前記ケーシングの長手方向の中央部が前記最外層部を含む前記本体を構成し、前記ケーシングの前記中央部よりも両端側が前記第1ベルトと前記第2ベルトをそれぞれ構成してもよい。
【0017】
可撓性を有する第1及び第2外装部品を重ね合わせて接合して構成したケーシングは、中央部が本体の最外層部を構成し、両端側が第1及び第2ベルトを構成している。つまり、弾性を有する本体の最外層部と、可撓性を有する第1及び第2ベルトとが、継ぎ目のない一体構造である。かかる一体構造により、装着部に対する本体と第1及び第2ベルトの密接性がさらに向上し、装着中の使用者の違和感をより一層低減できる。
【0018】
また、第1及び第2外装部品を重ね合わせて接合することでケーシングが構成されているので、製造ないし組み立てが容易である。
【0019】
さらに、本体と第1及び第2ベルトの継ぎ目のない一体構造より、一体感のある美観に優れた外観が得られる。
【0020】
さらにまた、本体と第1及び第2ベルトを継ぎ目のない一体構造とすることで部品点数を削減し、軽量化を図ることができる。
【0021】
前記第1外装部品と前記第2外装部品の前記中央部分の間に、前記電極パッドに電気的に接続された基板を含む基板ユニットが挟み込まれて保持されてもよい。
【0022】
前記基板ユニットは、前記第2外装部品側に配置されて、前記操作ボタンに操作により弾性的に動く可動部を備えるハウジングを備え、前記基板に前記可動部の動きによって駆動されて前記電極パッドの通電状態を変化させるスイッチが実装されていてもよい。
【0023】
前記第1外装部品に形成された開口に装着された、可撓性を有する蓋部材を備え、前記電極パッドは前記蓋部材に保持されていてもよい
【0024】
前記ケーシングのうち前記本体の前記最外層部を構成する部分は、装着時に装着部後方からみて下方に窪んだ円弧状の窪み部を備えてもよい。
【0025】
窪み部を設けたことで、後頸部に対する本体の接触面積を低減すると共に、装着部の後傾を本体が妨げないため、装着中の使用者が装着部に感じる違和感をさらに低減できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる装着型電気筋肉刺激装置によれば、装着中の使用者の違和感を低減できると共に、適切な装着状態を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態にかかる装着型電気筋肉刺激装置の外側から見た斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る装着型電気筋肉刺激装置の内側から見た斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る装着型電気筋肉刺激装置の分解斜視図。
【
図4】本発明の実施形態に係る装着型電気筋肉刺激装置の正面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る装着型電気筋肉刺激装置の底面図。
【
図7】本発明の実施形態に係る装着型電気筋肉刺激装置の使用状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0029】
図1、
図2、及び
図7を参照すると、実施形態にかかる装着型電気筋肉刺激装置(以下、単に「装置」という)1は、使用時に装着部である頸部100の後頸部101に配置され、一対の電極パッド4A,4Bとそれらの通電制御のための操作ボタン5A,5B,5Cが設けられた本体2を備える。
【0030】
また、装置1は、本体2と一体構造であって装着時に頸部100に巻き付けられる2本のベルト(第1及び第2ベルト)3A,3Bを備える。ベルト(第1ベルト)3Aは本体2の一側部(
図1において左側部)に基端が接続され、ベルト3Bは本体2の他側部(
図1において右側部)に基端が接続されている。
【0031】
さらに、
図3を併せて参照すると、装置1は、ベルト3A,3Bを頸部100の表面に巻き付けられた状態で保持する保持機構6を備える。後述するように、本実施形態における保持機構6は、磁力式であるが、ベルト3A,3Bを頸部100の表面に巻き付けられた状態で適切に保持できる限り、他の保持方式を採用し得る。
【0032】
本体2は、装着時に頸部100側(内側)の最外層2aと、装着時に頸部100とは反対側(外側)の最外層2bのいずれもが弾性を有し、2本のベルト3A,3Bは可撓性を有する。つまり、後頸部101に配置される本体2の内側の最外層部2aが弾性を有し、頸部100に巻き付けられた状態で保持機構6によって保持されるベルト3A,3Bも可撓性を有する。そのため、本体2とベルト3A,3Bの両方について頸部100に対する密接度が高い。この高い密接度により、装置1を装着中の使用者が頸部100に感じる違和感を低減できる。言い換えれば、使用者は装着していることをあまり意識することなく、装置1を使用できる。
【0033】
また、本体2とベルト3A,3Bの両方について頸部100に対する密接度が高く、ベルト3A,3Bは頸部100の表面に巻き付けられた状態で保持機構6によって保持されるので、装着中の使用者が頸部100の動きや頸部の姿勢変化を伴う動作を行った場合でも、頸部100の動きや姿勢変化に追従するように本体2の内側の最外層部2aとベルト3A,3Bが変形する。そのため、装着中の使用者が頸部100の動きや頸部100の姿勢変化を伴う動作を行っても、電極パッド4A,4Bが後頸部101の表面に当接した状態が維持される、つまり適切な装着状態が維持される。
【0034】
図1から
図5を参照すると、装置1は、可撓性を有する長尺な部品であり、装着時に内側に位置する第1外装部品11と、外形輪郭が第1外装部品11と対応し、同様に可撓性を有する長尺な部品であって、装着時に外側に位置する第2外装部品12とを備える。本実施形態では、第1外装部品11と第2外装部品12はいずれもシリコーンゴム製である。第1外装部品11と前記第2外装部品12は、互いに重ね合わせられて接合されて長尺なケーシング13を構成している。
【0035】
図5に最も明りょうに示されているように、第1外装部品11の中央部分11aと、第2外装部品12の中央部分12aはいずれも、装着時には外側となる向きに突出している。また、第1外装部品11の中央部分11aの両側から長尺部分11b,11cが延びており、第2外装部品12の中央部分12aの両側からも長尺部分12b,12cが延びている。ケーシング13の中央部分、より具体的には第1外装部品11の中央部分11aと第2外装部品12の中央部分12aが、装置1の本体2の最外層部2a,2bを構成している。ケーシング13の中央部分の両側から延びる部分がベルト3A,3Bを構成する。より具体的には、互いに重ね合わせられて接合された第1外装部品11の長尺部分11bと第2外装部品12の長尺部分12bとがベルト3Aを構成し、同じく互いに重ね合わせられて接合された第1外装部品11の長尺部分11cと第2外装部品12の長尺部分12cとがベルト3Bを構成している。
【0036】
上述のように可撓性を有する第1及び第2外装部品11,12を重ね合わせて接合して構成したケーシング13は、中央部分が本体2の最外層部2a,2bを構成し、両端側がベルト3A,3Bを構成している。つまり、弾性を有する本体2の最外層部2a,2bと、可撓性を有するベルト3A,3Bとが、継ぎ目のない一体構造である。かかる一体構造により、頸部100に対する本体2とベルト3A,3Bの密接性がさらに向上し、装着中の使用者の違和感をより一層低減できる。
【0037】
また、第1及び第2外装部品11,12を重ね合わせて接合することでケーシング13が構成されているので、製造ないし組み立てが容易である。
【0038】
さらに、本体2とベルト3A,3Bの継ぎ目のない一体構造より、一体感のある美観に優れた外観が得られる。
【0039】
さらにまた、本体2とベルト3A,3Bの継ぎ目のない一体構造とすることで部品点数を削減し、軽量化を図ることができる。
【0040】
図3及び
図5を参照すると、本体2の装着時に内側となる部分、より具体的には第1外装部品11の中央部分11aには細長い楕円状の貫通孔11dが設けられている。第1外装部品11の中央部分11aには、この貫通孔11dを塞ぐように蓋部材14が装着されており、この蓋部材14に電極パッド4A,4Bが取り付けられている。本実施形態では、蓋部材14は可撓性を有する材料の一例であるシリコーンゴム製である。また、本実施形態では、電極パッド4A,4Bは導電性を有する可撓性ウレタン製であって、表面にポリウレタンカーボンフィルムが貼り付けられている。なお、電極パッド4A,4Bは、薄い金属板、メッキした樹脂部材、導体が印刷されたシート状部材、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)自体の印刷体、ITOを印刷したシート状材等、導電性及び可撓性を有していれば特に限定されない。
【0041】
前述の操作ボタン5A~5Cは、本体2の装着時に外側となる部分、より具体的には第1外装部品11の中央部分11aに設けられている。
【0042】
図3を参照すると、本体2の内部(最外層部2a,2bよりも内側)には基板ユニット15が収容されている。より具体的には、基板ユニット15はケーシング13を構成する第1外層部材11の中央部分11a(一部は蓋部材14)と、第2外層部材12の中央部分12aとの間に、挟み込まれて保持されている。
【0043】
基板ユニット15は、外側、つまり第2外装部材12側から順に、第1ハウジング16、基板17、及び第2ハウジング18を備えている。本実施形態では、第1ハウジング16と第2ハウジング18は、ABS樹脂のような非可撓性の樹脂製である。第1ハウジング16と第2ハウジング18の間に基板17が保持されている。
【0044】
第1ハウジング16には、操作ボタン5A,5B,5Cのそれぞれと対応する位置に、板ばねのような態様で弾性的に動く可動部16a,16b,16cが設けられている。
【0045】
基板17には、リチウムイオン電池19と、リチウムイオン電池19から前述の図示しない導電線を介した電極パッド4A,4Bへの通電を制御するための制御回路を構成する電子素子(図示せず)が実装されている。また、基板17には、第1ハウジング16の可動部16a,16b,16cのそれぞれと対応する位置に、可動部16a,16b,16cの動きによって駆動されて制御回路による電極パッド4A,4Bの通電状態を変化させるスイッチ20A,20B,20Cが実装されている。
【0046】
図3を参照すると、保持機構6は、ベルト3Aの先端側に長手方向に間隔をあけて内蔵されている複数の磁石21と、ベルト3Bの先端側に長手方向に間隔をあけて内蔵されている複数の第1磁性体部材22と、ベルト3Bの最先端に配置された単一の第2磁性体部材23とを備える。複数の磁石21は、ケーシング13を構成する第1外装部品11の長尺部分11bと、第2外層部品12の長尺部分12bとの間に挟み込まれて保持されている。同様に、複数の第1磁性体部材22は、ケーシング13を構成する第1外層部品11の長尺部分11cと、第2外層部品12の長尺部分12cとの間に挟み込まれて保持されている。第2磁性体部材23は、基端のみがケーシング13を構成する第1外層部品11の長尺部分11cと、第2外層部品12の長尺部分12cとの間に挟み込まれて保持されている。
【0047】
図3を参照すると、装置1の使用時には、本体2を後頸部101に配置して電極パッド4A,4Bを当接させ、ベルト3Aを頸部100に巻き、その上にベルト3Bを巻き付ける。ベルト3Bは、第1磁性体部材22が磁石21に吸着されることで最先端よりも基端側(本体2側)がベルト3Aに保持される。つまり、ベルト3Bは、最先端から基端側の第1磁性体部材22が配置された長さ領域において、ベルト3Aに対して磁力によって保持される。このような長さ領域でベルト3Bがベルト3Aに対して保持されることで、装着中の使用者が頸部100の動きや頸部の姿勢変化を伴う動作を行った場合でもベルト3Aに対するベルトのずれが防止されるので、使用者の違和感をより確実になくし、かつ適切な装着状態を維持できる。
【0048】
また、ベルト3Aを頸部100に巻き、その上にベルト3Bを巻き付けると、ベルト3Bは、第2磁性体部材23が磁石21に吸着されることで、最先端もベルト3Aに保持される。ベルト3Bの最先端に配置された第2磁性体部材23は、頸部100に巻き付けた際のベルト3Aに対するベルト3Bの重なり量の調節の際に目視での目安になる。
【0049】
装着時、ベルト3Bは上述した第1磁性体部材22が配置された長さ領域だけでなく、第2磁性体部材23が配置された最先端までベルト3Aに対して保持される。言い換えれば、装着時にベルト3Bの最先端であってもベルト3A対して浮き上がっていない。これによっても、装着中の使用者が頸部100の動きや頸部の姿勢変化を伴う動作を行った場合でもベルト3Aに対するベルト3Bのずれが防止される。また、装着時に2本のベルト3A,3Bが、あたかも1本のベルトのような一体的な状態になり、装着時の美観が向上する。
【0050】
磁石21と磁力によって互いに吸引できる限り、第1磁性体部材22と第2磁性体部材23のいずれか一方又は両方を磁石としてもよい。
【0051】
図3及び
図7を参照すると、装置1を頸部100に装着した使用者が操作ボタン5A~5Cを押すと、対応する可動部16a,~16cの弾性的な動きによって対応するスイッチ20A~20Cが操作されて制御回路に信号が入力される。操作ボタン5Bの操作によって、装置1の動作モードが循環的に切り替わる。例えば、「電源オフ」、「たたき(短い通電時間の繰り返し)」、「もみ(長い通電時間の繰り返し)」、「自動(たたきともみの一定時間での交互繰り返し)」の順で装置1の動作モードが循環的に切り換えられる。通電時には、低周波電流(例えば30Hz)が電極パッド4A,4B間の頸部100の筋肉に流れる。操作ボタン5Aの操作で電流量が増加し、操作ボタン5Cの操作で電流量が減少する。
【0052】
図1、
図2、及び
図6を参照すると、ケーシング13のうち本体2の装着時(
図7参照)に内側となる最外層部2aを構成する部分、つまり第1外装部品11の中央部分11aの上部には、頸部100の後方からみて下方に窪んだ円弧状の窪み部25が設けられている。窪み部25は下向きの傾斜面31を有し、この傾斜面31の傾斜θは例えば20°以上35°以下に設定できる。窪み部25を設けたことで、後頸部101に対する本体2の接触面積が低減されると共に、後頸部101の後傾を本体2が妨げないため、装着中の使用者が頸部100に感じる違和感をさらに低減できる。
【0053】
図4を参照すると、窪み部25は、装着時に後頸部101側から見たときの(
図7)曲率半径R1が、700mm以上1000mm以下に設定されている(
図4において符号O1は曲率中心を示す)。曲率半径R1が700mm未満になると、ベルト3A,3Bを手に持って後頸部101に装着する際に、電極4A,4Bを所望の位置へ位置決めしにくくなる。曲率半径R1が1000mmを超えると、装着時に頸部100を動かした際に後頸部101が本体2に接触しやすく装着性ないし着け心地が悪化する。
【0054】
図5を参照すると、ケーシング13のうち本体2の装着時(
図7参照)に内側となる最外層部2aを構成する部分、つまり第1外装部品11の中央部分11aは、平面視(
図5においては底面視)の曲率半径R2が550mm以上850mm以下に設定されている(
図5において符号O2は曲率中心を示す)。曲率半径R2が550mm未満であると本体2と後頸部101との隙間ができやすくなって、電極4A,4Bとの接触性が低下する。曲率半径R2が850mmを超えると、本体2が後頸部101に沿いにくくなって電極4A,4Bとの接触性が低下する。
【0055】
引き続き
図5を参照すると、ベルト部3A,3Bの厚さ寸法t1は1mm以上4mm以下に設定している。厚さ寸法t1が1mm未満であると製造が困難になる。厚さ寸法t1が4mmを超えると重量が増加すると共に使い勝手が悪くなる。
【0056】
装着型電気筋肉刺激装置1の全体重量は50g以上75g以下に設定されている。全体重量が50g未満では製造が困難になると共に耐久性が低下する。全体重量が75gを超えると重くなって使用時に装着感が悪化する。
【0057】
頸部に対応する装着型電気筋肉刺激装置(頸部装着型電気筋肉刺激装置)を例に本発明を説明したが、本発明は、頸部以外の人体の一部、例えば上腕(二の腕)や下肢(ふくらはぎ)に装着される装着電気筋肉刺激装置にも適用できる。言い換えると装着部とは、人体の一部であって、頸部、腕部、脚部等ベルト部3A,3Bで巻着可能な人体部位である。
【符号の説明】
【0058】
1 装着型電気筋肉刺激装置
2 本体
2a,2b 最外層部
3A ベルト(第1ベルト)
3B ベルト(第2ベルト)
4A,4B 電極パッド
5A,5B,5C 操作ボタン
6 保持機構
11 第1外装部品
11a 中央部分
11b,11c 長尺部分
11d 貫通孔
12 第2外装部品
12a 中央部分
12b,12c 長尺部分
13 ケーシング
14 蓋部材
15 基板ユニット
16 第1ハウジング
16a,16b,16c 可動部
17 基板
18 第2ハウジング
19 リチウムイオン電池
20A,20B,20C スイッチ
21 磁石
22 第1磁性体部材
23 第2磁性体部材
25 窪み部
100 頸部
101 後頸部