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特開2024-38828部品供給装置、部品供給装置の制御方法、部品実装機および部品実装方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038828
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】部品供給装置、部品供給装置の制御方法、部品実装機および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143133
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 和哉
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE23
5E353HH12
5E353HH24
5E353HH26
5E353HH29
5E353HH30
5E353HH32
5E353QQ03
(57)【要約】
【課題】部品収納テープをフィードモータによって駆動することで部品収納テープに収納される部品を部品供給部に供給する際に部品収納テープの搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルによって部品供給部から部品を安定的に吸着可能とする。
【解決手段】フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が上側導入経路Puに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に上側オフセット量Fuを加えた第1搬送量(=T85+Fu)が設定される一方、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が下側導入経路Plに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に下側オフセット量Flを加えた、第1搬送量と異なる第2搬送量(=T85+Fl)が設定される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、前記部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータと、
前記フィードモータによって前記駆動方向に駆動される前記部品収納テープを前記部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体と、
前記複数の部品収納部のそれぞれに収納された前記部品を順番に前記部品供給部に供給するために前記部品収納テープを前記駆動方向に搬送量だけ駆動する部品供給動作を前記フィードモータに実行させるモータ制御部と
を備え、
前記モータ制御部は、前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量を前記搬送量に設定して前記フィードモータに前記部品供給動作を実行させる一方、前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第2搬送経路に沿って搬送される場合には、前記第1搬送量と異なる第2搬送量を前記搬送量に設定して前記フィードモータに前記部品供給動作を実行させる部品供給装置。
【請求項2】
基本搬送量、第1オフセット量および前記第1オフセット量と異なる第2オフセット量を記憶する記憶部をさらに備え、
前記モータ制御部は、前記基本搬送量に前記第1オフセット量を加算することで前記第1搬送量を算出し、前記基本搬送量に前記第2オフセット量を加算することで前記第2搬送量を算出する請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記第1オフセット量および前記第2オフセット量をそれぞれ前記第1搬送経路および前記第2搬送経路に対応付けたオフセットテーブルを記憶し、
前記モータ制御部は、前記オフセットテーブルから読み出した前記第1オフセット量を前記基本搬送量に加算することで前記第1搬送量を算出し、前記オフセットテーブルから読み出した前記第2オフセット量を前記基本搬送量に加算することで前記第2搬送量を算出する請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記フィードモータによって駆動されるフィードスプロケットと、
前記装置本体の所定の一時装着位置に前記部品収納テープを装着するテープ装着ユニットと、
前記一時装着位置に装着された前記部品収納テープに係合するローディングスプロケットと、
前記ローディングスプロケットを駆動するローディングモータと
をさらに備え、
前記フィードモータは、前記フィードスプロケットを駆動することで、前記フィードスプロケットに係合する前記部品収納テープを前記駆動方向に駆動し、
前記ローディングモータは、前記ローディングスプロケットを駆動することで、前記一時装着位置に装着された前記部品収納テープの先端部を前記フィードスプロケットまで搬送して当該先端部を前記フィードスプロケットに係合させるローディングを実行し、
前記第1搬送経路は、前記一時装着位置に装着された前記部品収納テープが搬送される搬送経路であり、
前記第2搬送経路は、前記第1搬送経路の下側に設けられ、前記テープ装着ユニットによる前記一時装着位置への装着が解除されて前記第1搬送経路から落下した前記部品収納テープが搬送される搬送経路であり、
前記モータ制御部は、前記一時装着位置に装着された前記部品収納テープに対して、前記一時装着位置への装着の解除が実行される前に、前記ローディングモータに前記ローディングを実行させる請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープの搬送経路である使用搬送経路が前記第1搬送経路および前記第2搬送経路のいずれであるかを判定する経路判定処理を実行する経路判定部をさらに備え、
前記経路判定処理において前記第1搬送経路が前記使用搬送経路であると判定した場合には、前記モータ制御部は、前記第1搬送量を前記搬送量に設定して前記フィードモータに前記部品供給動作を実行させる一方、前記経路判定処理において前記第2搬送経路が前記使用搬送経路であると判定した場合には、前記モータ制御部は、前記第2搬送量を前記搬送量に設定して前記フィードモータに前記部品供給動作を実行させる請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記第1搬送経路に対して設けられた第1テープセンサをさらに備え、
前記第1テープセンサは、前記第1搬送経路に位置する前記部品収納テープを検出すると検出信号を出力する一方、前記第1搬送経路に位置する前記部品収納テープを検出しないと非検出信号を出力し、
前記経路判定部は、前記第1テープセンサが前記検出信号を出力する状態で実行された前記ローディングの後に、前記第1テープセンサが継続して前記検出信号を出力する間は、前記第1搬送経路が前記使用搬送経路であると判定する一方、前記第1テープセンサの出力が前記検出信号から前記非検出信号に切り換わると、前記第2搬送経路が前記使用搬送経路であると判定して、前記経路判定処理を実行する請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記第2搬送経路に対して設けられた第2テープセンサをさらに備え、
前記第2テープセンサは、前記第2搬送経路に位置する前記部品収納テープを検出すると検出信号を出力する一方、前記第2搬送経路に位置する前記部品収納テープを検出しないと非検出信号を出力し、
前記モータ制御部は、前記第2テープセンサが前記検出信号を出力する場合には、前記第2搬送経路が前記使用搬送経路であると判定し、前記第2テープセンサが前記非検出信号を出力する場合には、前記第1搬送経路が前記使用搬送経路であると判定する請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項8】
請求項4に記載の部品供給装置であって、
前記モータ制御部は、前記第1搬送経路および前記第2搬送経路のうち、前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープの搬送経路である使用搬送経路に応じて設定すべき前記搬送量を、前記第1搬送量および前記第2搬送量のうちから示す搬送量情報を、前記部品供給装置を備える部品実装機の制御部から取得する情報取得処理を実行し、前記第1搬送量を前記搬送量に設定すべきと前記搬送量情報が示す場合には、前記第1搬送量を前記搬送量に設定して前記フィードモータに前記部品供給動作を実行させる一方、前記第2搬送量を前記搬送量に設定すべきと前記搬送量情報が示す場合には、前記第2搬送量を前記搬送量に設定して前記フィードモータに前記部品供給動作を実行させ、
前記制御部は、前記部品供給装置に装着される前記部品収納テープの本数と、前記部品供給装置による前記ローディングの実行履歴とに基づき、前記搬送量情報を作成する部品供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の部品供給装置と、
基板を支持する基板搬送部と、
前記部品供給装置によって供給された部品を、前記基板搬送部によって支持される前記基板に実装する実装部と
を備えた部品実装機。
【請求項10】
一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、前記部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータと、前記フィードモータによって前記駆動方向に駆動される前記部品収納テープを前記部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体とを備えた部品供給装置の制御方法であって、
前記複数の部品収納部のそれぞれに収納された前記部品を順番に前記部品供給部に供給するために前記部品収納テープを前記駆動方向に駆動する搬送量を設定する工程と、
前記フィードモータによって前記搬送量だけ前記部品収納テープを駆動する工程と
を備え、
前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量が前記搬送量に設定される一方、前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第2搬送経路に沿って搬送される場合には、前記第1搬送量と異なる第2搬送量が前記搬送量に設定される部品供給装置の制御方法。
【請求項11】
一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、前記部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータを有する部品供給装置と、
前記部品供給部に供給された前記部品をノズルによって吸着する実装部と、
前記部品供給部に供給された前記部品を吸着する際の前記ノズルの位置を制御する吸着位置制御部と
を備え、
前記部品供給装置は、前記フィードモータによって前記駆動方向に駆動される前記部品収納テープを前記部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体を有し、
前記吸着位置制御部は、前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置に前記ノズルを位置させてから前記部品供給部に供給された前記部品を前記ノズルに吸着させる一方、前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第2搬送経路に沿って搬送される場合には、前記第1吸着位置と異なる第2吸着位置に前記ノズルを位置させてから前記部品供給部に供給された前記部品を前記ノズルに吸着させる部品実装機。
【請求項12】
一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、前記部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータを有する部品供給装置によって、前記部品供給部に前記部品を供給する工程と、
実装部のノズルの位置を制御しつつ、前記部品供給部に供給された前記部品を前記ノズルによって吸着する工程と
を備え、
前記部品供給装置は、前記フィードモータによって前記駆動方向に駆動される前記部品収納テープを前記部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体を有し、
前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置に前記ノズルを位置させてから前記部品供給部に供給された前記部品を前記ノズルに吸着させる一方、前記フィードモータによって駆動される前記部品収納テープが前記第2搬送経路に沿って搬送される場合には、前記第1吸着位置と異なる第2吸着位置に前記ノズルを位置させてから前記部品供給部に供給された前記部品を前記ノズルに吸着させる部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで部品供給部に供給された部品をノズルにより吸着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装機では、部品供給部に供給された部品がノズルによって吸着されて基板に移載される。また、部品供給部への部品の供給のために、部品供給装置が用いられる。この部品供給装置は、フィードモータによって部品収納テープを駆動方向に間欠的に駆動することで、部品収納テープに収納された部品を順番に部品供給部に供給する。特に特許文献1の部品供給装置には、部品供給部に向けて部品収納テープをそれぞれ搬送可能な2個の搬送経路が設けられている。したがって、フィードモータは、2個の搬送経路のうち、一方の搬送経路に沿って搬送される部品収納テープを駆動することで部品を供給する動作と、他方の搬送経路に沿って搬送される部品収納テープを駆動することで部品供給部に部品を供給する動作とを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2017/187703
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送経路に沿って搬送される部品収納テープを駆動する際に部品収納テープに加わる力は、2個の搬送経路の間で異なりうる。したがって、フィードモータによる部品収納テープの駆動によって部品収納部に供給される部品の位置は、部品収納テープの搬送経路の違いに応じて変動する場合があった。このような部品の供給位置の変動は、ノズルによる部品の吸着ミスの要因となる。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品収納テープをフィードモータによって駆動することで部品収納テープに収納される部品を部品供給部に供給する際に部品収納テープの搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルによって部品供給部から部品を安定的に吸着可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る部品供給装置は、一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータと、フィードモータによって駆動方向に駆動される部品収納テープを部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体と、複数の部品収納部のそれぞれに収納された部品を順番に部品供給部に供給するために部品収納テープを駆動方向に搬送量だけ駆動する部品供給動作をフィードモータに実行させるモータ制御部とを備え、モータ制御部は、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量を搬送量に設定してフィードモータに部品供給動作を実行させる一方、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第2搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量と異なる第2搬送量を搬送量に設定してフィードモータに部品供給動作を実行させる。
【0007】
本発明の第一態様に係る部品実装機は、上記の部品供給装置と、基板を支持する基板搬送部と、部品供給装置によって供給された部品を、基板搬送部によって支持される基板に実装する実装部とを備える。
【0008】
本発明の第一態様に係る部品供給装置の制御方法は、一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータと、フィードモータによって駆動方向に駆動される部品収納テープを部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体とを備えた部品供給装置の制御方法であって、複数の部品収納部のそれぞれに収納された部品を順番に部品供給部に供給するために部品収納テープを駆動方向に駆動する搬送量を設定する工程と、フィードモータによって搬送量だけ部品収納テープを駆動する工程とを備え、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量が搬送量に設定される一方、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第2搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量と異なる第2搬送量が搬送量に設定される。
【0009】
このように構成された本発明(部品供給装置、部品実装機および部品供給装置の制御方法)では、一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープによって部品を供給するために、部品供給装置が用いられる。この部品供給装置は、部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータと、フィードモータによって駆動方向に駆動される部品収納テープを部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体とを備える。したがって、第1搬送経路に沿って搬送される部品収納テープを駆動する場合と、第2搬送経路に沿って搬送される部品収納テープを駆動する場合とでは、部品収納テープに加わる力が異なる。このような搬送経路に応じた力の違いに対応するために、本発明では、複数の部品収納部のそれぞれに収納された部品を順番に部品供給部に供給するために部品収納テープを駆動方向に駆動する搬送量が、搬送経路に応じて設定される。つまり、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量が搬送量に設定される一方、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第2搬送経路に沿って搬送される場合には、第1搬送量と異なる第2搬送量が搬送量に設定される。これによって、第1搬送経路と第2搬送経路との間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品を供給することができる。こうして、部品収納テープをフィードモータによって駆動することで部品収納テープに収納される部品を部品供給部に供給する際に部品収納テープの搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルによって部品供給部から部品を安定的に吸着ことが可能となる。
【0010】
また、基本搬送量、第1オフセット量および第1オフセット量と異なる第2オフセット量を記憶する記憶部をさらに備え、モータ制御部は、基本搬送量に第1オフセット量を加算することで第1搬送量を算出し、基本搬送量に第2オフセット量を加算することで第2搬送量を算出するように、部品供給装置を構成してもよい。かかる構成では、第1搬送経路と第2搬送経路との間における部品収納テープへの力の違いに応じて、第1搬送量および第2搬送量のそれぞれを適切に設定できる。これによって、第1搬送経路と第2搬送経路との間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品を供給することができる。
【0011】
また、記憶部は、第1オフセット量および第2オフセット量をそれぞれ第1搬送経路および第2搬送経路に対応付けたオフセットテーブルを記憶し、モータ制御部は、オフセットテーブルから読み出した第1オフセット量を基本搬送量に加算することで第1搬送量を算出し、オフセットテーブルから読み出した第2オフセット量を基本搬送量に加算することで第2搬送量を算出するように、部品供給装置を構成してもよい。かかる構成では、第1搬送経路と第2搬送経路との間における部品収納テープへの力の違いに応じて、第1搬送量および第2搬送量のそれぞれを適切に設定できる。これによって、第1搬送経路と第2搬送経路との間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品を供給することができる。
【0012】
また、フィードモータによって駆動されるフィードスプロケットと、装置本体の所定の一時装着位置に部品収納テープを装着するテープ装着ユニットと、一時装着位置に装着された部品収納テープに係合するローディングスプロケットと、ローディングスプロケットを駆動するローディングモータとをさらに備え、フィードモータは、フィードスプロケットを駆動することで、フィードスプロケットに係合する部品収納テープを駆動方向に駆動し、ローディングモータは、ローディングスプロケットを駆動することで、一時装着位置に装着された部品収納テープの先端部をフィードスプロケットまで搬送して当該先端部をフィードスプロケットに係合させるローディングを実行し、第1搬送経路は、一時装着位置に装着された部品収納テープが搬送される搬送経路であり、第2搬送経路は、第1搬送経路の下側に設けられ、テープ装着ユニットによる一時装着位置への装着が解除されて第1搬送経路から落下した部品収納テープが搬送される搬送経路であり、モータ制御部は、一時装着位置に装着された部品収納テープに対して、一時装着位置への装着の解除が実行される前に、ローディングモータにローディングを実行させるように、部品供給装置を構成してもよい。このような構成では、第1搬送経路に沿って搬送される部品収納テープには、テープ装着ユニットによって一時装着位置に装着するための力が作用するため、第1搬送経路に沿って搬送される部品収納テープには大きな力が加わる。したがって、第1搬送経路と第2搬送経路との間における部品収納テープへの力に大きな差が発生する。これに対して、上記の本発明を適用することで、このような大きな力の差に依らずに、安定した位置に部品を供給することができる。
【0013】
また、フィードモータによって駆動される部品収納テープの搬送経路である使用搬送経路が第1搬送経路および第2搬送経路のいずれであるかを判定する経路判定処理を実行する経路判定部をさらに備え、経路判定処理において第1搬送経路が使用搬送経路であると判定した場合には、モータ制御部は、第1搬送量を搬送量に設定してフィードモータに部品供給動作を実行させる一方、経路判定処理において第2搬送経路が使用搬送経路であると判定した場合には、モータ制御部は、第2搬送量を搬送量に設定してフィードモータに部品供給動作を実行させるように、部品供給装置を構成してもよい。このように経路判定処理の結果に応じて搬送量を設定することで、第1搬送量および第2搬送量のうち、部品収納テープが搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0014】
また、第1搬送経路に対して設けられた第1テープセンサをさらに備え、第1テープセンサは、第1搬送経路に位置する部品収納テープを検出すると検出信号を出力する一方、第1搬送経路に位置する部品収納テープを検出しないと非検出信号を出力し、経路判定部は、第1テープセンサが検出信号を出力する状態で実行されたローディングの後に、第1テープセンサが継続して検出信号を出力する間は、第1搬送経路が使用搬送経路であると判定する一方、第1テープセンサの出力が検出信号から非検出信号に切り換わると、第2搬送経路が使用搬送経路であると判定して、経路判定処理を実行するように、部品供給装置を構成してもよい。このように第1搬送経路に対して設けられた第1テープセンサの出力信号に基づき経路判定処理を実行することで、第1搬送量および第2搬送量のうち、部品収納テープが搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0015】
また、第2搬送経路に対して設けられた第2テープセンサをさらに備え、第2テープセンサは、第2搬送経路に位置する部品収納テープを検出すると検出信号を出力する一方、第2搬送経路に位置する部品収納テープを検出しないと非検出信号を出力し、モータ制御部は、第2テープセンサが検出信号を出力する場合には、第2搬送経路が使用搬送経路であると判定し、第2テープセンサが非検出信号を出力する場合には、第1搬送経路が使用搬送経路であると判定するように、部品供給装置を構成してもよい。このように第2搬送経路に対して設けられた第2テープセンサの出力信号に基づき経路判定処理を実行することで、第1搬送量および第2搬送量のうち、部品収納テープが搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0016】
また、モータ制御部は、第1搬送経路および第2搬送経路のうち、フィードモータによって駆動される部品収納テープの搬送経路である使用搬送経路に応じて設定すべき搬送量を、第1搬送量および第2搬送量のうちから示す搬送量情報を、部品供給装置を備える部品実装機の制御部から取得する情報取得処理を実行し、第1搬送量を搬送量に設定すべきと搬送量情報が示す場合には、第1搬送量を搬送量に設定してフィードモータに部品供給動作を実行させる一方、第2搬送量を搬送量に設定すべきと搬送量情報が示す場合には、第2搬送量を搬送量に設定してフィードモータに部品供給動作を実行させ、制御部は、部品供給装置に装着される部品収納テープの本数と、部品供給装置によるローディングの実行履歴とに基づき、搬送量情報を作成するように、部品供給装置を構成してもよい。このように搬送量情報を取得した結果に応じて搬送量を設定することで、第1搬送量および第2搬送量のうち、部品収納テープが搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0017】
本発明の第二態様に係る部品実装機は、一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータを有する部品供給装置と、部品供給部に供給された部品をノズルによって吸着する実装部と、部品供給部に供給された部品を吸着する際のノズルの位置を制御する吸着位置制御部とを備え、部品供給装置は、フィードモータによって駆動方向に駆動される部品収納テープを部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体を有し、吸着位置制御部は、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置にノズルを位置させてから部品供給部に供給された部品をノズルに吸着させる一方、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第2搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置と異なる第2吸着位置にノズルを位置させてから部品供給部に供給された部品をノズルに吸着させる。
【0018】
本発明の第二態様に係る部品実装方法は、一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープを駆動方向に駆動することで、部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータを有する部品供給装置によって、部品供給部に部品を供給する工程と、実装部のノズルの位置を制御しつつ、部品供給部に供給された部品をノズルによって吸着する工程とを備え、部品供給装置は、フィードモータによって駆動方向に駆動される部品収納テープを部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体を有し、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置にノズルを位置させてから部品供給部に供給された部品をノズルに吸着させる一方、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第2搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置と異なる第2吸着位置にノズルを位置させてから部品供給部に供給された部品をノズルに吸着させる。
【0019】
このように構成された本発明(部品実装機および部品実装方法)では、一列に配列された複数の部品収納部のそれぞれに部品を収納する部品収納テープによって部品を供給するために、部品供給装置が用いられる。この部品供給装置は、部品収納テープを所定の部品供給部に向けて搬送するフィードモータと、フィードモータによって駆動方向に駆動される部品収納テープを部品供給部に向けて搬送する搬送経路として第1搬送経路および第2搬送経路を有する装置本体とを備える。したがって、第1搬送経路に沿って搬送される部品収納テープを駆動する場合と、第2搬送経路に沿って搬送される部品収納テープを駆動する場合とでは、部品収納テープに加わる力が異なり、その結果、部品の供給位置も異なる。このような部品の供給位置の違いに対応するために、本発明では、部品を吸着するノズルの位置が、搬送経路に応じて設定される。つまり、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第1搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置にノズルを位置させる一方、フィードモータによって駆動される部品収納テープが第2搬送経路に沿って搬送される場合には、第1吸着位置と異なる第2吸着位置にノズルを位置させる。こうして、部品収納テープをフィードモータによって駆動することで部品収納テープに収納される部品を部品供給部に供給する際に部品収納テープの搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルによって部品供給部から部品を安定的に吸着ことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、部品収納テープをフィードモータによって駆動することで部品収納テープに収納される部品を部品供給部に供給する際に部品収納テープの搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルによって部品供給部から部品を安定的に吸着することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す平面図。
図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
図3A】部品供給リールに保持される部品収納テープの一例を模式的に示す斜視図。
図3B】部品収納テープを保持する部品供給リールの一例を模式的に示す図。
図4】テープフィーダの構成および動作の一例を模式的に示す側面図。
図5A】下側導入経路に対して配置されたテープセンサの一例を示す図。
図5B】下側導入経路に対して配置されたテープセンサの一例を示す図。
図6】テープフィーダによる部品収納テープの搬送に対して実行される制御の第1例を示すフローチャート。
図7図6の制御で使用されるオフセットテーブルの一例を示す図。
図8】上側導入経路と下側導入経路とで同一のオフセット量を設定した場合と異なるオフセット量を設定した場合とにおける部品の供給位置の例を模式的に示す図。
図9A】テープフィーダに対応して登録される部品供給リールの変遷の一例を模式的に示す図。
図9B】テープフィーダに対応して登録される部品供給リールの変遷の一例を模式的に示す図。
図9C】テープフィーダに対応して登録される部品供給リールの変遷の一例を模式的に示す図。
図10】テープフィーダによる部品収納テープの搬送に対して実行される制御の第2例を示すフローチャート。
図11】テープフィーダの変形例の構成及び動作を示す図。
図12図11のテープフィーダが有する電気的構成を示すブロック図。
図13図11のテープフィーダで実行される制御を例示する図。
図14A】テープフィーダによる部品収納テープの搬送に対して実行される制御の第3例を示すフローチャート。
図14B図14Aのフローチャートに伴って実行されるオフセット設定処理を示すフローチャート。
図14C図14Aのフローチャートに伴って実行されるオフセット設定処理を示すフローチャート。
図15】ノズルの吸着位置を搬送経路に応じて制御しつつ実行される部品実装の一例を示すフローチャート。
図16図15のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す平面図であり、図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。図1では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。この部品実装機1は、基板Bに部品E(図3A)を実装する部品実装を実行する。
【0023】
図2に示すように、部品実装機1は、部品実装機1の各部を制御するメインコントローラ100を備える。このメインコントローラ100は、部品実装に要する演算を実行する演算処理部110と、部品実装で使用されるプログラムやデータを記憶する記憶部120とを有する。演算処理部110は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部120は、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
【0024】
また、メインコントローラ100は、駆動制御部130、段取り管理部140、UI制御部150および通信部160を有する。駆動制御部130は、部品実装機1の駆動系を制御する。段取り管理部140は、部品実装機1が備えるリーダ191によって、部品収納テープ8に付されたリールID73(図3B)を読み取った結果に基づき、部品実装機1に段取りされる部品Eを管理する。UI制御部150は、部品実装機1が備えるUI(User Interface)192を制御する。UI192は、マウスおよびキーボードといった入力機器と、ディスプレイといった出力機器とを有する。なお、UI192の入力機器および出力機器を別体で構成する必要はなく、タッチパネルディスプレイによってこれらを一体的に構成してもよい。また、通信部160は、後述するテープフィーダ3との通信を実行する。
【0025】
図1の部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置13(図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品Eを実装し、部品実装を完了した基板B(部品実装基板B)をコンベア12により作業位置13からX方向の下流側へ搬出する。
【0026】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モータMyとが設けられ、X方向に延びるX軸レール24が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。X軸レール24には、X方向に延びるX軸ボールネジ25と、X軸ボールネジ25を回転駆動するX軸モータMxとが取り付けられている。また、部品実装機1は、X軸レール24によってX方向に移動可能に支持されたヘッドユニット27を備え、ヘッドユニット27はX軸ボールネジ25のナットに固定されている。したがって、駆動制御部130は、Y軸モータMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット27をY方向に移動させ、X軸モータMxによりX軸ボールネジ25を回転させてヘッドユニット27をX方向に移動させることができる。
【0027】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは2つの部品段取り部28がX方向に並んでおり、各部品段取り部28に対してはフィーダ取付台車281が着脱可能に取り付けられている。このフィーダ取付台車281には、X方向に並ぶ複数のテープフィーダ3が着脱可能に装着されている。テープフィーダ3は、作業位置13側の先端部に設けられた部品供給部Lfを有し、部品供給部Lfに部品Eを供給する。また、フィーダ取付台車281には、X方向に並ぶ複数のリールホルダ282が着脱可能に装着されており、1個のテープフィーダ3と1個のリールホルダ282とが互いに対応付けられてY方向に並ぶ。各リールホルダ282には、部品供給リール7が着脱可能に装着されており、この部品供給リール7には、後述する部品収納テープ8(図3A)が巻き付けられている。そして、テープフィーダ3は、対応するリールホルダ282に装着された部品供給リール7から引き出した部品収納テープ8を間欠的に搬送することで、部品収納テープ8内の部品Eを部品供給部Lfに供給する。
【0028】
ヘッドユニット27は、X方向に配列された複数(図1の例では4本)の実装ヘッド271と、実装ヘッド271をZ方向に昇降させるZ軸モータMz(図2)とを有する。実装ヘッド271はZ方向に延設された長尺形状を有し、当該実装ヘッド271の下端に対して着脱可能に装着されたノズルNによって部品Eを吸着・保持することができる。そして、実装ヘッド271は、このノズルNによって部品供給部Lfから取り出した部品Eを基板Bに移載することで、基板Bに部品Eを実装する。
【0029】
具体的には、駆動制御部130は、X軸モータMxおよびY軸モータMyによってヘッドユニット27を駆動することで、実装ヘッド271のノズルNを部品供給部Lfに上方から対向させる。続いて、駆動制御部130は、Z軸モータMzによって実装ヘッド271を下降させて、当該実装ヘッド271のノズルNを部品供給部Lf内の部品Eに当接させる。実装ヘッド271は、部品Eに接触したノズルNに負圧を発生させて、部品EをノズルNに吸着する。駆動制御部130がZ軸モータMzによって実装ヘッド271を上昇させると、ノズルNに吸着された部品Eが部品供給部Lfから取り出される。さらに、駆動制御部130は、X軸モータMxおよびY軸モータMyによってヘッドユニット27を駆動することで、実装ヘッド271のノズルNに吸着された部品Eを、作業位置13の基板Bの実装位置に上方から対向させる。続いて、駆動制御部130は、Z軸モータMzによって実装ヘッド271を下降させて、当該実装ヘッド271のノズルNに吸着された部品Eを基板Bの実装位置に当接させる。そして、実装ヘッド271は、基板Bの実装位置に当接した部品Eを吸着するノズルNの負圧を解除する。こうして、部品Eが部品供給部Lfから基板Bに移載される。
【0030】
図3Aは部品供給リールに保持される部品収納テープの一例を模式的に示す斜視図である。図3Aでは、部品収納テープ8の長手方向Dlと、部品収納テープ8の幅方向Dwとが示されている。なお、長手方向Dlと幅方向Dwとは互いに直交する。部品収納テープ8は、長手方向Dlに延設されたキャリアテープ81を有し、キャリアテープ81は、周縁部82、ポケット形成部83および周縁部84を有する。周縁部82、ポケット形成部83および周縁部84はそれぞれ長手方向Dlに延設され、幅方向Dwにおいて、周縁部82はポケット形成部83に対して隣接し、周縁部84は、ポケット形成部83に対して周縁部82の逆側から隣接する。つまり、幅方向Dwにおいて、ポケット形成部83は周縁部82と周縁部84との間に設けられている。
【0031】
キャリアテープ81のポケット形成部83は、長手方向Dlに所定のポケットピッチT85で配列された複数のポケット85を有する。キャリアテープ81は、テープ表面811と、テープ表面811と逆側のテープ裏面812とを有し、各ポケット85は、テープ表面811において開口する一方、テープ裏面812において閉じる。各ポケット85には、例えば集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品E(電子部品)が収納されている。
【0032】
キャリアテープ81の周縁部84には、長手方向Dlに等ピッチで配列された複数の係合孔86が配列されている。各係合孔86は、キャリアテープ81のテープ表面811とテープ裏面812との間で貫通する。また、部品収納テープ8は、長手方向Dlに延設されたカバーテープ87を有し、カバーテープ87は、ポケット形成部83に重複するようにキャリアテープ81のテープ表面811に貼り付けられて、各ポケット85の開口を塞ぐ。
【0033】
図3Bは部品収納テープを保持する部品供給リールの一例を模式的に示す図である。図3Bに示すように、部品供給リール7は、円盤形状の軸心71と、軸心71を両側から挟む2枚の側板72とを有し、軸心71に巻き付けられた部品収納テープ8を側板72により両側から支える。部品収納テープ8は、テープ裏面812が内側(換言すれば、軸心71側)を向くとともに、テープ表面811が外側(換言すれば、軸心71の逆側)を向くように巻き付付けられている。
【0034】
部品供給リール7の側板72には、部品供給リール7に巻き付けられた部品収納テープ8に収納される部品Eを識別するリールID73(例えば、バーコード)が付されている。部品供給リール7から引き出した部品収納テープ8をテープフィーダ3に取り付けるオペレータは、当該部品供給リール7のリールID73と、テープフィーダ3に付されたフィーダIDのそれぞれをリーダ191に読み取らせる。これに対して、段取り管理部140は、リーダ191から受信したリールID73とフィーダIDとの対応関係を登録し、各テープフィーダ3に取り付けられた部品収納テープ8に収納される部品Eを、この対応関係に基づき管理する。
【0035】
後述するように、1個のテープフィーダ3に対しては2本の部品収納テープ8を取り付けることができる。これに対応して、各リールホルダ282はY方向に並ぶ2個の部品供給リール7を保持する(図1)。そして、テープフィーダ3は、対応して設けられたリールホルダ282内の部品供給リール7から引き出した部品収納テープ8をヘッドユニット27側に間欠的に搬送することで、部品収納テープ8のポケット85に収納された部品Eを部品供給部Lfに供給する(部品供給動作)。
【0036】
図4はテープフィーダの構成および動作の一例を模式的に示す側面図である。同図および以下の図面では、テープフィーダ3が部品収納テープ8を搬送するフィード方向Df(Y方向に平行)を適宜示すとともに、フィード方向Dfの矢印側をフィード方向Dfの「前側」と、フィード方向Dfの矢印の反対側をフィード方向Dfの「後ろ側」と取り扱う。また、テープフィーダ3に取付可能な2本の部品収納テープ8を区別するために、同図および以下の図では、部品収納テープ8に対して異なる符号8A、8Bを適宜用いる。なお、同図において、テープフィーダ3の構成(例えば、部品収納テープ8の搬送経路)は模式的に記載されている。
【0037】
テープフィーダ3は、フィーダ本体31と、フィード方向Dfにおいてフィーダ本体31の前端部分に設けられたフィードモータMfと、フィーダ本体31の後端部分に設けられたローディングモータMlとを備える。フィーダ本体31は、X方向に薄くてフィード方向Dfに長尺な偏平形状のケース32を有する。ケース32のフィード方向Dfの後端では、Z方向に延設されたテープ挿入口33(破線で示す)が開口し、ケース32のフィード方向Dfの前端の上面に上述の部品供給部Lfが設けられている。フィーダ本体31内ではテープ挿入口33から部品供給部Lfへ至るテープ挿入路34が設けられている。このフィーダ本体31は、テープ挿入口33からテープ挿入路34に挿入された部品収納テープ8を、フィードモータMfおよびローディングモータMlの駆動力によってフィード方向Dfに搬送することで、部品供給部Lfに部品Eを供給する。
【0038】
また、テープフィーダ3は、テープ挿入口33に隣接して配置されたローディングスプロケット35と、ローディングモータMlの駆動力をローディングスプロケット35に伝達するギヤ36とをフィーダ本体31のケース32内に有し、ローディングスプロケット35はローディングモータMlが発生する駆動力によって回転する。さらに、テープフィーダ3は、フィーダ本体31のケース32に対して着脱可能に取り付けられるテープセットユニット41を有する。ケース32に装着されたテープセットユニット41は、ローディングスプロケット35に下側から対向し、当該テープセットユニット41とローディングスプロケット35とによって部品収納テープ8を挟むことで、部品収納テープ8の係合孔86をローディングスプロケット35に係合させる。つまり、ケース32に装着されたテープセットユニット41とローディングスプロケット35との間にテープセット位置Lsが設けられ、テープセットユニット41によってテープセット位置Lsに部品収納テープ8を取り付けることで、当該部品収納テープ8をローディングスプロケット35に係合させることができる。したがって、ローディングスプロケット35が回転すると、テープセット位置Lsに取り付けられた部品収納テープ8がフィード方向Dfに搬送される。なお、テープ表面811が上側を向きつつテープ裏面812が下側を向くように、部品収納テープ8がテープセット位置Lsに取り付けられる。これによって、部品収納テープ8のポケット85の開口が上側を向いた状態で、部品収納テープ8はフィード方向Dfに搬送される。
【0039】
さらに、テープフィーダ3は、その前端部分に配置されたフィードスプロケット37と、フィードモータMfの駆動力をフィードスプロケット37に伝達するギヤ38とをフィーダ本体31のケース32内に有し、フィードスプロケット37はフィードモータMfが発生する駆動力によって回転する。フィードスプロケット37の上端位置に相当する係合位置Leは、テープセット位置Lsと部品供給部Lfとの間に位置し、テープ挿入路34には、テープセット位置Lsから係合位置Leに至るローディング経路341が設けられている。ローディングスプロケット35によってフィード方向Dfに搬送される部品収納テープ8は、ローディング経路341に沿ってテープセット位置Lsから係合位置Leへ移動する。そして、係合位置Leに到達した部品収納テープ8の係合孔86がフィードスプロケット37に係合する。これによって、フィードスプロケット37が間欠的に回転すると、部品収納テープ8がフィード方向Dfに間欠的に搬送されて、部品供給部Lfに部品Eが供給される。
【0040】
また、フィーダ本体31は、部品供給部Lfのフィード方向Dfの上流側で部品収納テープ8に接触するカッターを有する。このカッターは、フィード方向Dfに間欠搬送される部品収納テープ8のカバーテープ87を中央で切り裂いて両側に捲くることで、部品供給部Lfに供給された部品Eを露出させる。このように部品を露出するための構成は、例えば特開2015-053320号公報に記載のそれと同様である。ただし、部品Eを露出させる構成はこの例に限られず、カバーテープ87をキャリアテープ81から剥ぎ取ることで部品Eを露出させてもよい。
【0041】
なお、ローディング経路341は、テープセット位置Lsと係合位置Leとの間の合流地点Jと、テープセット位置Lsから合流地点Jまでの上側導入経路Puと、合流地点Jから係合位置Leまでの供給経路Psとを有する。さらに、テープ挿入路34は、上側導入経路Puの下側に設けられた下側導入経路Plを有する。この下側導入経路Plは、テープ挿入口33から合流地点Jまで延設されて、合流地点Jにおいてローディング経路341の供給経路Psに合流する。テープセットユニット41がケース32から取り外されると、テープセット位置Lsに保持されていた部品収納テープ8は、上側導入経路Puから下側導入経路Plへ落下する。この部品収納テープ8は、フィードスプロケット37によってフィード方向Dfに駆動されることで、合流地点Jにおいて下側導入経路Plから供給経路Psに合流した後に、係合位置Leに到達する。
【0042】
ステップS11は、実装ヘッド271による部品実装にテープフィーダ3が使用されている状態に対応する。つまり、フィーダ本体31には、下側導入経路Plおよび供給経路Psに沿って部品収納テープ8A(先行テープ)が挿入されており、フィードモータMfは、フィードスプロケット37に係合する部品収納テープ8Aをフィード方向Dfへ間欠搬送することで、基板Bに実装される部品Eを部品供給部Lfに供給する。つまり、フィードモータMfは、下側導入経路Plに沿って設けられた部品収納テープ8Aをフィード方向Dfに所定の搬送量ずつ間欠的に駆動することで、部品収納テープ8Aに収納される複数の部品Eを順番に部品供給部Lfに供給する。
【0043】
また、ステップS11では、部品収納テープ8Aの次に部品実装に使用される部品収納テープ8B(後続テープ)の先端部が、ローディングスプロケット35とテープセットユニット41との間のテープセット位置Lsに取り付けられている。こうして、次に使用される部品収納テープ8Bがフィーダ本体31の後端部分のテープセット位置Lsで待機する。
【0044】
ステップS12に示すように、部品収納テープ8A内の部品Eが使い切られて、テープフィーダ3が部品収納テープ8Aをその前端からフィード方向Dfに排出すると、ステップS13に示すローディングが実行される。具体的には、ローディングスプロケット35が回転を開始して部品収納テープ8Bを係合位置Leへ向けてフィード方向Dfに送り出し、部品収納テープ8Bの先端をフィードスプロケット37に係合させる。このローディングが完了した状態(ステップS13)では、フィーダ本体31には、上側導入経路Puおよび供給経路Psに沿って部品収納テープ8B(後続テープ)が挿入されており、フィードモータMfは、フィードスプロケット37に係合する部品収納テープ8Bをフィード方向Dfへ間欠搬送することで、基板Bに実装される部品Eを部品供給部Lfに供給する。つまり、フィードモータMfは、上側導入経路Puに沿って設けられた部品収納テープ8Bをフィード方向Dfに所定の搬送量ずつ間欠的に駆動することで、部品収納テープ8Bに収納される複数の部品Eを順番に部品供給部Lfに供給する。
【0045】
また、ステップS14において、オペレータがテープセットユニット41をケース32から取り外す作業を実行すると、部品収納テープ8Bがローディングスプロケット35から外れて下側導入経路Plに落下する。これによって、フィードスプロケット37は、下側導入経路Plに沿って設けられた部品収納テープ8Bをフィード方向Dfへ間欠搬送して、部品収納テープ8B内の部品Eを部品供給部Lfに供給することができる。ちなみに、オペレータはステップS14の後、テープセットユニット41を再びケース32に取り付けることで、部品収納テープ8Bの次に部品実装に使用される部品収納テープ8をローディングスプロケット35とテープセットユニット41との間のテープセット位置Lsに取り付けて待機させることができる。
【0046】
ちなみに、下側導入経路Plに対してはテープセンサSaが配置されている。図5Aおよび図5Bは下側導入経路に対して配置されたテープセンサの一例を示す図である。テープセンサSaは、センサドグ431およびフォトセンサ432を有する。センサドグ431は、X方向に平行な回動軸を中心に回動可能にケース32内に支持されており、フォトセンサ432は、X方向に間隔を空けて対向する発光素子と受光素子とを有する。発光素子は、受光素子に向けて光を射出し、受光素子は、検出した光の量に応じた信号を出力する。部品収納テープ8が下側導入経路Plに存在しない場合(図5A)には、センサドグ431は、バネ等の弾性部材による付勢力によって、下側導入経路Plに突出して、フォトセンサ432の発光素子と受光素子との間から退避する。その結果、発光素子から射出された光が受光素子に到達する。一方、部品収納テープ8が下側導入経路Plに存在する場合(図5B)には、センサドグ431は、部品収納テープ8によって押圧されて、フォトセンサ432の発光素子と受光素子との間に位置する。その結果、発光素子から射出された光は、センサドグ431によって遮られて、受光素子に到達しない。このように、テープセンサSaは、下側導入経路Plにおける部品収納テープ8の有無に応じた信号を受光素子から出力する。換言すれば、テープセンサSaは、下側導入経路Plの部品収納テープ8を検出した場合にON信号を出力し、下側導入経路Plの部品収納テープ8を検出しない場合にOFF信号を出力する。
【0047】
さらに、テープフィーダ3は、図2に示すように、テープフィーダ3の動作を制御するフィーダコントローラ300を有する。このフィーダコントローラ300は、演算処理部310、通信部320、モータ制御部330、経路判定部340および記憶部350を有する。演算処理部310は、テープフィーダ3の動作の制御に要する演算を実行する。通信部320は、メインコントローラ100の通信部160との通信を行う。モータ制御部330は、フィードモータMfおよびローディングモータMlを制御することで、例えば図4を用いて説明した動作をフィードモータMfおよびローディングモータMlに実行させる。経路判定部340は、部品供給部Lfへの部品Eの供給に使用中の部品収納テープ8が搬送される経路(使用搬送経路)を判定する。具体的には、経路判定部340は、フィードモータMfによって間欠的にフィード方向Dfに駆動される部品収納テープ8が搬送される経路(使用搬送経路)が上側導入経路Puおよび下側導入経路Plのいずれであるかを、テープセンサSaの検出結果に基づき判定する。つまり、テープセンサSaが下側導入経路Plの部品収納テープ8を検出してON信号を出力する場合には、経路判定部340は、下側導入経路Plが使用搬送経路であると判定する。一方、テープセンサSaが下側導入経路Plの部品収納テープ8を検出せずにOFF信号を出力する場合には、経路判定部340は、上側導入経路Puが使用搬送経路であると判定する。また、記憶部350は、SSD等の記憶装置であり、テープフィーダ3による部品Eの供給に使用されるデータを記憶する。
【0048】
図6はテープフィーダによる部品収納テープの搬送に対して実行される制御の第1例を示すフローチャートであり、図7図6の制御で使用されるオフセットテーブルOTの一例を示す図である。図7のオフセットテーブルOTは、部品供給部Lfに部品Eを供給するために、フィードモータMfが部品収納テープ8をフィード方向に搬送する搬送量のオフセット量を示し、記憶部350に予め記憶されている。このようなオフセット量を用いる理由は次の通りである。
【0049】
上述の通り、部品供給部Lfへの部品Eの供給は、フィードモータMfが部品収納テープ8をフィード方向Dfに間欠的に駆動することで実行される。かかる部品供給は、理想的には、部品Eを収納するポケット85が配列されるポケットピッチT85(例えば、4mm)だけ部品収納テープ8をフィード方向Dfに駆動することで実行できる。ただし、種々の原因(例えば、部品収納テープ8に加わる摩擦力等)によって、フィードモータMfが部品収納テープ8をポケットピッチT85だけ駆動したとしても、ポケット85に収納される部品Eの移動距離はポケットピッチT85に満たない場合がある。
【0050】
例えば、上側導入経路Puに沿って搬送される部品収納テープ8をフィードモータMfによって駆動する場合には、テープセットユニット41とローディングスプロケット35との間に部品収納テープ8を挟持するための力が部品収納テープ8に作用する。したがって、部品収納テープ8は、この挟持のための力とフィードモータMfの駆動力とによってフィード方向Dfに弾性的に延びつつ、フィード方向Dfに搬送される。そして、フィードモータMfによる間欠駆動が終了して、フィードモータMfの駆動力が消失すると、部品収納テープ8は弾性的に縮む。その結果、部品供給部Lfに供給された部品Eがフィード方向Dfの上流側に変位する(すなわち、戻る)。
【0051】
このような変位を補正するために、部品供給部Lfへ部品Eを供給するためのフィードモータMfによる部品収納テープ8の搬送量は、ポケットピッチT85にオフセット量を加算した量に設定される。特に、上側導入経路Puと下側導入経路Plとでは、上記の部品Eの変位量に差があることを考慮して、上側導入経路Puと下側導入経路Plとで異なるオフセット量が対応付けられている。つまり、図7のオフセットテーブルOTに示すように、下側導入経路Plに対しては、下側オフセット量Fl(Fl1~Fl5)が対応付けられ、上側導入経路Puに対しては、上側オフセット量Fu(Fu1~Fu5)が対応付けられている。
【0052】
また、上側オフセット量Fuは下側オフセット量Flより大きい。例えば、下側オフセット量Flに対して上側オフセット量Fuは、0.05mm~0.1mm程度大きな値である。これは、テープセットユニット41とローディングスプロケット35との間に部品収納テープ8を挟持するための力が、上側導入経路Puの部品収納テープ8には作用する一方、下側導入経路Plの部品収納テープ8には作用しないことに起因する。なお、図7のオフセットテーブルOTのフィーダ種別は、テープフィーダ3が供給する部品のサイズ(SS、S、M、L、LL)に応じたテープフィーダ3の種別を示す。
【0053】
上記を踏まえて、図6のフローチャートについて説明を続ける。ステップS101では、演算処理部310は、部品Eの部品供給部Lfへの供給を指示する供給指令を通信部320がメインコントローラ100の通信部160から受信したかを判定する。供給指令を受信したと判定すると(ステップS101で「YES」)、経路判定部340は、上側導入経路Puおよび下側導入経路Plのいずれが使用搬送経路であるかを判定する(ステップS102、経路判定処理)。具体的には、経路判定部340は、上述のテープセンサSaの出力(ON信号/OFF信号)に基づき、使用搬送経路を判定する。
【0054】
下側導入経路Plが使用搬送経路である場合(ステップS102で「経路Pl」の場合)には、モータ制御部330は、搬送量の算出に使用するオフセット量に、下側オフセット量Flを設定する(ステップS103)。具体的には、モータ制御部330は、当該モータ制御部330が属するテープフィーダ3のフィーダ種別に対応する下側オフセット量FlをオフセットテーブルOTから読み出して、搬送量の算出に用いるオフセット量に設定する。一方、上側導入経路Puが使用搬送経路である場合(ステップS102で「経路Pu」の場合)には、モータ制御部330は、搬送量の算出に使用するオフセット量に、上側オフセット量Fuを設定する(ステップS104)。具体的には、モータ制御部330は、当該モータ制御部330が属するテープフィーダ3のフィーダ種別に対応する上側オフセット量FuをオフセットテーブルOTから読み出して、搬送量の算出に用いるオフセット量に設定する。
【0055】
ステップS105では、モータ制御部330は、ステップS102の結果に基づきステップS103あるいはステップS104で設定されたオフセット量に基づき、搬送量を設定する。具体的には、モータ制御部330は、下側オフセット量Flおよび上側オフセット量Fuのうち、設定されたオフセット量を、ポケットピッチT85に加算した量を、搬送量として設定する。
【0056】
そして、モータ制御部330は、ステップS105で設定した搬送量だけ部品収納テープ8を搬送させるための駆動信号(パルス信号)を、フィードモータMfに送信する。これによって、フィードモータMfは、当該搬送量に相当する角度だけ回転して、部品収納テープ8をフィード方向Dfに搬送量だけ搬送する(ステップS106)。こうして、部品収納テープ8の搬送が完了すると、通信部320は、搬送完了を示す信号をメインコントローラ100の通信部160に送信する。
【0057】
図6に示すテープ搬送制御の第1例では、一列に配列された複数のポケット85(部品収納部)のそれぞれに部品Eを収納する部品収納テープ8によって部品Eを供給するために、テープフィーダ3(部品供給装置)が用いられる。このテープフィーダ3は、部品収納テープ8を所定の部品供給部Lfに向けて搬送するフィードモータMfと、フィードモータMfによってフィード方向Df(駆動方向)に駆動される部品収納テープ8を部品供給部Lfに向けて搬送する搬送経路として上側導入経路Pu(第1搬送経路)および下側導入経路Pl(第2搬送経路)を有するフィーダ本体31(装置本体)とを備える。したがって、上側導入経路Puに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動する場合と、下側導入経路Plに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動する場合とでは、部品収納テープ8に加わる力が異なる。このような搬送経路に応じた力の違いに対応するために、本実施例では、複数のポケット85のそれぞれに収納された部品Eを順番に部品供給部Lfに供給するために部品収納テープ8をフィード方向Dfに駆動する搬送量が、搬送経路に応じて設定される。つまり、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が上側導入経路Puに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に上側オフセット量Fuを加えた第1搬送量(=T85+Fu)が設定される一方、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が下側導入経路Plに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に下側オフセット量Flを加えた、第1搬送量と異なる第2搬送量(=T85+Fl)が設定される。これによって、上側導入経路Puと下側導入経路Plとの間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品Eを供給することができる。こうして、部品収納テープ8をフィードモータMfによって駆動することで部品収納テープ8に収納される部品Eを部品供給部Lfに供給する際に部品収納テープ8の搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルNによって部品供給部Lfから部品Eを安定的に吸着ことが可能となる。
【0058】
ここで、部品Eの供給位置の安定について、図8を用いて説明を加える。なお、図8は、上側導入経路と下側導入経路とで同一のオフセット量を設定した場合と異なるオフセット量を設定した場合とにおける部品の供給位置の例を模式的に示す図である。上側導入経路Puと下側導入経路Plとで同一のオフセット量が設定され、換言すれば同一の搬送量が設定された場合には、部品Eが供給される位置にずれ量Δが発生する。これに対して、上記の実施例のように、上側導入経路Puと下側導入経路Plとで異なるオフセット量が設定され、換言すれば異なる搬送量が設定された場合には、部品Eが供給される位置にずれ量Δが発生しない。こうして、部品供給部Lfに供給される部品Eの位置を安定させることが可能となる。
【0059】
また、ポケットピッチT85(基本搬送量)、上側オフセット量Fu(第1オフセット量)および上側オフセット量Fuと異なる下側オフセット量Fl(第2オフセット量)を記憶する記憶部350がテープフィーダ3に具備されている。そして、モータ制御部330は、ポケットピッチT85に上側オフセット量Fuを加算することで第1搬送量(=T85+Fu)を算出する一方、ポケットピッチT85に下側オフセット量Flを加算することで第2搬送量(=T85+Fl)を算出する。かかる構成では、上側オフセット量Fuと下側オフセット量Flとの間における部品収納テープ8への力の違いに応じて、第1搬送量(=T85+Fu)および第2搬送量(=T85+Fl)のそれぞれを適切に設定できる。これによって、上側導入経路Puと下側導入経路Plとの間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品Eを供給することができる。
【0060】
また、記憶部350は、上側オフセット量Fuおよび下側オフセット量Flをそれぞれ上側導入経路Puおよび下側導入経路Plに対応付けたオフセットテーブルOTを記憶する。そして、モータ制御部330は、オフセットテーブルOTから読み出した上側オフセット量FuをポケットピッチT85に加算することで第1搬送量(=T85+Fu)を算出する一方、オフセットテーブルOTから読み出した下側オフセット量FlをポケットピッチT85に加算することで第2搬送量(T85+Fl)を算出する。かかる構成では、上側導入経路Puと下側導入経路Plとの間における部品収納テープ8への力の違いに応じて、第1搬送量(=T85+Fu)および第2搬送量(T85+Fl)のそれぞれを適切に設定できる。これによって、上側導入経路Puと下側導入経路Plとの間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品Eを供給することができる。
【0061】
また、フィードモータMfによって駆動されるフィードスプロケット37と、フィーダ本体31(装置本体)の所定のテープセット位置Ls(一時装着位置)に部品収納テープ8を装着するテープセットユニット41と、テープセット位置Lsに装着された部品収納テープ8に係合するローディングスプロケット35と、ローディングスプロケット35を駆動するローディングモータMlとが、テープフィーダ3に具備されている。フィードモータMfは、フィードスプロケット37を駆動することで、フィードスプロケット37に係合する部品収納テープ8をフィード方向Dfに駆動する。ローディングモータMlは、ローディングスプロケット35を駆動することで、テープセット位置Lsに装着された部品収納テープ8の先端部をフィードスプロケット37まで搬送して当該先端部をフィードスプロケット37に係合させるローディングを実行する。また、上側オフセット量Fuは、テープセット位置Lsに装着された部品収納テープ8が搬送される搬送経路であり、下側オフセット量Flは、上側オフセット量Fuの下側に設けられ、テープセットユニット41によるテープセット位置Lsへの装着が解除されて上側オフセット量Fuから落下した部品収納テープ8が搬送される搬送経路である。そして、モータ制御部330は、テープセット位置Lsに装着された部品収納テープ8に対して、テープセット位置Lsへの装着の解除が実行される前に、ローディングモータMlにローディングを実行させる。このような構成では、上側オフセット量Fuに沿って搬送される部品収納テープ8には、テープセットユニット41によってテープセット位置Lsに装着するための力が作用するため、上側オフセット量Fuに沿って搬送される部品収納テープ8には大きな力が加わる。したがって、上側オフセット量Fuと下側オフセット量Flとの間における部品収納テープ8への力に大きな差が発生する。これに対して、上記の制御を適用することで、このような大きな力の差に依らずに、安定した位置に部品Eを供給することができる。
【0062】
また、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8の搬送経路である使用搬送経路が上側オフセット量Fuおよび下側オフセット量Flのいずれであるかを判定する経路判定処理(ステップS102)を実行する経路判定部340が、テープフィーダ3に具備されている。そして、経路判定処理(ステップS102)において上側オフセット量Fuが使用搬送経路であると判定した場合には、モータ制御部330は、第1搬送量(=T85+Fu)を搬送量に設定してフィードモータに部品供給動作を実行させる(ステップS104、S105、S106)。一方、経路判定処理(ステップS102)において下側オフセット量Flが使用搬送経路であると判定した場合には、モータ制御部330は、第2搬送量(=T85+Fl)を搬送量に設定してフィードモータMfに部品供給動作を実行させる(ステップS103、S105、S106)。このように経路判定処理(ステップS102)の結果に応じて搬送量を設定することで、第1搬送量(=T85+Fu)および第2搬送量(=T85+Fl)のうち、部品収納テープ8が搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0063】
また、下側導入経路Plに対して設けられたテープセンサSa(第2テープセンサ)が、テープフィーダ3に具備されている。テープセンサSaは、下側導入経路Plに位置する部品収納テープ8を検出するとON信号(検出信号)を出力する一方、下側導入経路Plに位置する部品収納テープ8を検出しないとOFF信号(非検出信号)を出力する。また、モータ制御部330は、テープセンサSaがON信号を出力する場合には、下側導入経路Plが使用搬送経路であると判定し、テープセンサSaがOFF信号を出力する場合には、上側オフセット量Fuが使用搬送経路であると判定する(ステップS102)。このように下側オフセット量Flに対して設けられたテープセンサSaの出力信号に基づき経路判定処理(ステップS102)を実行することで、第1搬送量(=T85+Fu)および第2搬送量(=T85+Fl)のうち、部品収納テープ8が搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0064】
ところで、上記の実施例では、使用搬送経路を判定するために、テープセンサSaが使用される。しかしながら、このようなテープセンサSaを使用せずに、使用搬送経路を判定することも可能である。具体的には、対象となるテープフィーダ3に装着される部品収納テープ8の本数、換言すれば、テープフィーダ3に対応するリールホルダ282として段取り管理部140により登録された部品供給リール7の個数に基づき、使用搬送経路を判定することができる。
【0065】
図9A図9Bおよび図9Cはテープフィーダに対応して登録される部品供給リールの変遷の一例を模式的に示す図である。上述の通り、部品供給リール7から引き出された部品収納テープ8がテープフィーダ3に装着される際には、部品供給リール7のリールID73がリーダ191によって取得されて、当該テープフィーダ3に対応するリールID73として段取り管理部140に登録される。
【0066】
図9A図9Cにおいて、フィーダセット位置は、テープフィーダ3がセットされた位置を示す。フィーダIDは、テープフィーダ3を識別するためにテープフィーダ3に設けられた識別子である。図9A図9Cの例では、フィーダセット位置F33にセットされた、フィーダIDがFD125のテープフィーダ3に対応して登録された部品供給リール7の変遷が示されている。第1リールIDおよび第2リールIDのそれぞれは、テープフィーダ3に対して登録された部品供給リール7のリールID73である。なお、第1および第2は登録順序を示し、第1リールIDは第2リールIDより先に登録されている。
【0067】
図9Aの状態では、リールIDがRD5の部品供給リール7と、リールIDがRD2の部品供給リール7とが、テープフィーダ3に対して登録されている。また、リールIDがRD5の部品供給リール7は、リールIDがRD2の部品供給リール7より先に、テープフィーダ3に装着されている。したがって、リールIDがRD5である部品供給リール7から引き出された部品収納テープ8が下側導入経路Plに沿って搬送されつつフィードモータMfによって部品供給部Lfに向けて搬送される。一方、リールIDがRD2である部品供給リール7から引き出された部品収納テープ8の先端部はテープセット位置Lsで待機する。
【0068】
図9Aの状態から、リールIDがRD5である部品供給リール7から引き出された部品収納テープ8の部品Eが使い切られると、リールIDがRD5である部品供給リール7が登録から抹消される(図9B)。さらに、リールIDがRD2である部品供給リール7から引き出された部品収納テープ8に対してローディングが実行されて、当該RD2が第1リールIDに繰り上がる。
【0069】
図9Bの状態から、リールIDがRD8である部品供給リール7から引き出された部品収納テープ8の先端部がテープセット位置Lsに装着されるのに伴って、当該RD8がリーダ191によって取得されると、当該RD8が新たに登録される(図9C)。
【0070】
このような図9A図9Cに示す動作を踏まえて、図10のフローチャートについて説明する。ここで、図10はテープフィーダによる部品収納テープの搬送に対して実行される制御の第2例を示すフローチャートである。なお、図10のフローチャートでは、テープセンサSaに基づく部品収納テープ8の経路判定を行わないため、テープセンサSaおよび経路判定部340は具備されない。
【0071】
ステップS201では、メインコントローラ100の演算処理部110は、図10の制御の対象となるテープフィーダ3のタイプが、2本の部品収納テープ8を同時に装着可能であって部品収納テープ8の自動装填(ローディング)を実行する自動装填タイプ(図4)であるかを確認する。つまり、部品実装機1で使用されるテープフィーダのタイプとしては、1本の部品収納テープ8のみが装着される、自動装填タイプとは異なるタイプが存在する。そして、対象となるテープフィーダ3のタイプが自動装填タイプである場合(ステップS201で「YES」の場合)に、ステップS202~S207が実行される。
【0072】
ステップS202では、演算処理部110は、段取り管理部140が対象のテープフィーダ3に対応して登録した部品供給リール7の個数が0個であるか否かを判定する。登録された部品供給リール7の個数が0個である場合(ステップS202で「YES」の場合)には、ステップS201に戻る。一方、登録された部品供給リール7の個数が0個でない場合(ステップS202で「NO」の場合)には、演算処理部110は、段取り管理部140が対象のテープフィーダ3に対応して登録した部品供給リール7の個数が2個であるか否かを判定する。
【0073】
登録された部品供給リール7の個数が2個である場合(ステップS203で「YES」の場合)には、図9Aあるいは図9Cに示した状態にある。つまり、リールID73が第1リールIDである部品収納テープ8から引き出されて、下側導入経路Plに沿って搬送される部品収納テープ8の部品Eが、フィードモータMfによって部品供給部Lfに供給される。したがって、演算処理部110は、搬送量の算出に使用するオフセット量に下側オフセット量Flを設定する(ステップS204)。具体的には、演算処理部110は、下側オフセット量Flの設定を要求するオフセット設定指令を、通信部160を介してテープフィーダ3の通信部320に送信し、モータ制御部330は、通信部320により受信されたオフセット設定指令に従って、下側オフセット量Flを設定する。これによって、下側オフセット量Flに基づき算出された搬送量で、部品収納テープ8はフィードモータMfによって搬送される。
【0074】
登録された部品供給リール7の個数が2個でない場合(ステップS203で「NO」の場合)には、先に登録された部品供給リール7の部品収納テープ8に収納された部品Eが使い切られて、後に登録された部品供給リール7から引き出された部品収納テープ8の先端部がテープセット位置Lsで待機する(図9B)。そこで、演算処理部110は、テープセット位置Lsで待機する部品収納テープ8のローディングの完了を待つ(ステップS205)。
【0075】
ローディングが完了すると、UI制御部150は、プリセットが可能である旨をUI192のディスプレイに表示する(ステップS206)。ここで、プリセットとは、テープセットユニット41をテープセット位置Lsから取り外して、先行の部品収納テープ8を上側導入経路Puから下側導入経路Plに落下させるとともに、テープセット位置Lsに後続の部品収納テープ8を装着する作業を示す。
【0076】
また、ローディングの完了時点では、図9Bに示した状態にある。つまり、リールID73が第1リールIDである部品収納テープ8から引き出されて、上側導入経路Puに沿って搬送される部品収納テープ8の部品Eが、フィードモータMfによって部品供給部Lfに供給される。したがって、演算処理部110は、搬送量の算出に使用するオフセット量に上側オフセット量Fuを設定する(ステップS207)。具体的には、演算処理部110は、上側オフセット量Fuの設定を要求するオフセット設定指令を、通信部160を介してテープフィーダ3の通信部320に送信し、モータ制御部330は、通信部320により受信されたオフセット設定指令に従って、上側オフセット量Fuを設定する。これによって、上側オフセット量Fuに基づき算出された搬送量で、部品収納テープ8はフィードモータMfによって搬送される。
【0077】
図10に示すテープ搬送制御の第2例においても、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が上側導入経路Puに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に上側オフセット量Fuを加えた第1搬送量(=T85+Fu)が設定される一方、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が下側導入経路Plに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に下側オフセット量Flを加えた、第1搬送量と異なる第2搬送量(=T85+Fl)が設定される。これによって、上側導入経路Puと下側導入経路Plとの間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品Eを供給することができる。こうして、部品収納テープ8をフィードモータMfによって駆動することで部品収納テープ8に収納される部品Eを部品供給部Lfに供給する際に部品収納テープ8の搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルNによって部品供給部Lfから部品Eを安定的に吸着ことが可能となる。
【0078】
また、モータ制御部330は、上側導入経路Puおよび下側導入経路Plのうち、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8の搬送経路である使用搬送経路に応じて設定すべき搬送量を、第1搬送量(=T85+Fu)および第2搬送量(=T85+Fl)のうちから示すオフセット設定指令(搬送量情報)を、メインコントローラ100(制御部)から取得する(情報取得処理)。そして、オフセット設定指令が第1搬送量(=T85+Fu)を設定すべきと示す場合(ステップS207)には、モータ制御部330は、第1搬送量(=T85+Fu)を搬送量に設定して、当該搬送量で部品収納テープ8をフィード方向Dfに搬送することで部品供給部Lfに部品Eを供給する部品供給動作をフィードモータMfに実行させる。一方、オフセット設定指令が第2搬送量(=T85+Fl)を設定すべきと示す場合(ステップS204)には、モータ制御部330は、第2搬送量(=T85+Fl)を搬送量に設定して、当該搬送量で部品収納テープ8をフィード方向Dfに搬送することで部品供給部Lfに部品Eを供給する部品供給動作をフィードモータMfに実行させる。これに対して、メインコントローラ100は、テープフィーダ3に装着される部品収納テープ8の本数(ステップS202、S203)と、テープフィーダ3によるローディングの実行履歴(ステップS205)とに基づき、オフセット設定指令を作成する(ステップS204、S207)。このようにオフセット設定指令を取得した結果に応じて搬送量を設定することで、第1搬送量(=T85+Fu)および第2搬送量(=T85+Fl)のうち、部品収納テープ8が搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0079】
図11はテープフィーダの変形例の構成及び動作を示す図であり、図12図11のテープフィーダが有する電気的構成を示すブロック図であり、図13図11のテープフィーダで実行される制御を例示する図である。図11図13に示すテープフィーダ3と、図2および図4に示すテープフィーダ3との違いは、部品収納テープ8を検出するセンサの個数および位置である。つまり、図11図13に示すテープフィーダ3では、テープセンサSaは設けられず、テープセンサSb1、Sb2、Sb3が設けられている。
【0080】
テープセンサSb1は、供給経路Psに対して設けられて、供給経路Psにおける部品収納テープ8の有無を検出する。このテープセンサSb1は、供給経路Psに位置する部品収納テープ8を検出するとON信号を経路判定部340に出力し、供給経路Psに位置する部品収納テープ8を検出しないとOFF信号を経路判定部340に出力する。
【0081】
テープセンサSb2は、合流地点Jに対して設けられて、合流地点Jにおける部品収納テープ8の有無を検出する。このテープセンサSb2は、合流地点Jに位置する部品収納テープ8を検出するとON信号を経路判定部340に出力し、合流地点Jに位置する部品収納テープ8を検出しないとOFF信号を経路判定部340に出力する。
【0082】
テープセンサSb3は、上側導入経路Puに対して設けられて、上側導入経路Puにおける部品収納テープ8の有無を検出する。このテープセンサSb3は、上側導入経路Puに位置する部品収納テープ8を検出するとON信号を経路判定部340に出力し、上側導入経路Puに位置する部品収納テープ8を検出しないとOFF信号を経路判定部340に出力する。
【0083】
このような3個のテープセンサSb1~Sb3による部品収納テープ8の検出状態(センサ検出状態)としては、図13に示す検出状態1~検出状態6が存在する。そして、経路判定部340は、検出状態1~検出状態6のそれぞれについて、次のような判定を行うことができる。
【0084】
テープセンサSb1がOFF信号を出力し、テープセンサSb2がOFF信号を出力し、テープセンサSb3がOFF信号を出力する検出状態1では、テープフィーダ3に装着されている部品収納テープ8が存在しないと判定できる。
【0085】
テープセンサSb1がOFF信号を出力し、テープセンサSb2がOFF信号を出力し、テープセンサSb3がON信号を出力する検出状態2では、テープセンサSb3が部品収納テープ8を検出しているため、テープセット位置Lsに部品収納テープ8が装着されていると判定できる。さらに、テープセンサSb1、Sb2がOFF信号を出力することから、テープセット位置Lsに装着された部品収納テープ8にはローディングが実行されていないと判定できる。すなわち、部品収納テープ8の先端部がテープセット位置Lsで待機していると判定できる。かかる検出状態2においては、ローディングを実行できる。
【0086】
テープセンサSb1がOFF信号を出力し、テープセンサSb2がON信号を出力し、テープセンサSb3がON信号を出力する検出状態3では、テープセット位置Lsに装着された部品収納テープ8に対するローディングが実行中であると判定できる。
【0087】
テープセンサSb1がON信号を出力し、テープセンサSb2がON信号を出力し、テープセンサSb3がON信号を出力する検出状態4では、テープセット位置Lsに装着された部品収納テープ8に対するローディングが完了したと判定できる。かかる検出状態4においては、部品供給部Lfに部品Eを供給して、ノズルNによって当該部品Eを吸着することができる。
【0088】
テープセンサSb1がON信号を出力し、テープセンサSb2がON信号を出力し、テープセンサSb3がOFF信号を出力する検出状態5では、部品収納テープ8の終端がテープセット位置Lsより合流地点J側に移動したと判定できる。かかる検出状態5においては、部品供給部Lfに部品Eを供給して、ノズルNによって当該部品Eを吸着することができる。あるいは、フィードモータMfによって部品収納テープ8をテープフィーダ3の前端から排出するアンローディングを実行できる。
【0089】
テープセンサSb1がON信号を出力し、テープセンサSb2がOFF信号を出力する検出状態6では、部品収納テープ8の終端が合流地点Jより部品供給部Lf側に移動したと判定できる。
【0090】
そして、モータ制御部330は、経路判定部340による上記判定の結果に応じてフィードモータMfおよびローディングモータMlを制御することで、ローディング、部品供給あるいはアンローディングを実行する。
【0091】
上記の構成を備えるテープフィーダ3では、図14A図14Cのフローチャートによって、部品収納テープ8の搬送を制御することができる。図14Aはテープフィーダによる部品収納テープの搬送に対して実行される制御の第3例を示すフローチャートであり、図14Bおよび図14C図14Aのフローチャートに伴って実行されるオフセット設定処理を示すフローチャートである。
【0092】
図14Bのオフセット設定処理1によれば、演算処理部310は、モータ制御部330がローディングモータMlによってローディングを実行したか否かを判定する(ステップS311)。なお、図14Bのオフセット設定処理1は、テープセンサSb3が上側オフセット量Fuの部品収納テープ8を検出して、ON信号を出力している状態で実行される。そして、ローディングが実行されたと判定すると(ステップS311で「YES」)、演算処理部310は、搬送量の算出に使用するオフセット量に上側オフセット量Fuを設定する(ステップS312)。
【0093】
図14Cのオフセット設定処理2によれば、演算処理部310は、テープセンサSb3の出力がON信号からOFF信号に切り換わったか否かを判定する(ステップS321)。なお、図14Cのオフセット設定処理2は、ローディングの実行後において、テープセンサSb3が上側オフセット量Fuの部品収納テープ8を検出して、ON信号を継続して出力している状態で実行される。そして、テープセンサSb3の出力がON信号からOFF信号に切り換わったと判定すると(ステップS321で「YES」)、演算処理部310は、搬送量の算出に使用するオフセット量に上側下側オフセット量Flを設定する(ステップS322)。
【0094】
図14AのステップS301では、演算処理部310は、部品Eの部品供給部Lfへの供給を指示する供給指令を通信部320がメインコントローラ100の通信部160から受信したかを判定する。供給指令の受信が確認されると(ステップS301で「YES」)、モータ制御部330は、上側オフセット量Fuおよび下側オフセット量Flのうち、供給指令の受信時点で設定されている一方に基づき、搬送量を設定する(ステップS302)。
【0095】
つまり、図14Bのオフセット設定処理1のステップS312によって、上側オフセット量Fuが設定されている場合には、モータ制御部330は、上側オフセット量FuをポケットピッチT85に加算した量を、搬送量として設定する。一方、図14Cのオフセット設定処理2のステップS322によって、下側オフセット量Flが設定されている場合には、モータ制御部330は、下側オフセット量FlをポケットピッチT85に加算した量を、搬送量として設定する。
【0096】
ステップS03では、ステップS302で設定された搬送量だけフィードモータMfに部品収納テープ8をフィード方向Dfに駆動させる。これによって、部品Eが部品供給部Lfに供給される。
【0097】
図14A図14Cに示すテープ搬送制御の第3例においても、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が上側導入経路Puに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に上側オフセット量Fuを加えた第1搬送量(=T85+Fu)が設定される一方、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が下側導入経路Plに沿って搬送される場合には、ポケットピッチT85に下側オフセット量Flを加えた、第1搬送量と異なる第2搬送量(=T85+Fl)が設定される。これによって、上側導入経路Puと下側導入経路Plとの間における搬送経路の違いに依らず、安定した位置に部品Eを供給することができる。こうして、部品収納テープ8をフィードモータMfによって駆動することで部品収納テープ8に収納される部品Eを部品供給部Lfに供給する際に部品収納テープ8の搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルNによって部品供給部Lfから部品Eを安定的に吸着ことが可能となる。
【0098】
また、上側オフセット量Fuに対して設けられたテープセンサSb3(第1テープセンサ)がテープフィーダ3に具備されている。このテープセンサSb3は、上側オフセット量Fuに位置する部品収納テープ8を検出するとON信号(検出信号)を出力する一方、上側オフセット量Fuに位置する部品収納テープ8を検出しないとOFF信号(非検出信号)を出力する。経路判定部340は、テープセンサSb3がON信号を出力する状態で実行されたローディングの後に、テープセンサSb3が継続して検出信号を出力する間は、上側オフセット量Fuが使用搬送経路であると判定する一方(図14B)、テープセンサSb3の出力がON信号からOFF信号に切り換わると、下側オフセット量Flが使用搬送経路であると判定する(図14C)。このように上側オフセット量Fuに対して設けられたテープセンサSb3の出力信号に基づき経路判定処理を実行することで、第1搬送量(=T85+Fu)および第2搬送量(=T85+Fl)のうち、部品収納テープ8が搬送される経路に応じた一方を的確に設定することができる。
【0099】
ところで、上記の制御例では、部品供給部Lfに部品Eを供給するための部品収納テープ8の搬送量を、部品収納テープ8が搬送される上側導入経路Puおよび下側導入経路Plの違いに応じて変更している。しかしながら、部品収納テープ8の搬送量を変更せずに、部品供給部Lfに供給された部品Eを吸着するノズルNの位置を変更してもよい。
【0100】
図15はノズルの吸着位置を搬送経路に応じて制御しつつ実行される部品実装の一例を示すフローチャートであり、図16図15のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図である。ステップS401では、テープフィーダ3は、部品収納テープ8をフィード方向Dfに搬送量だけ搬送することで、部品供給部Lfに部品Eを供給する。この際の搬送量は、部品収納テープ8の搬送経路によらず一定量である。その結果、図16に示すように、上側導入経路Puに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動して部品Eを供給した場合と、下側導入経路Plに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動して部品Eを供給した場合とでは、部品Eの位置がフィード方向Dfにずれる。
【0101】
そこで、駆動制御部130は、上側導入経路Puに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動して部品Eを供給した場合と、下側導入経路Plに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動して部品Eを供給した場合とで、部品供給部Lfに供給された部品Eを吸着するノズルNの位置、すなわち吸着位置Lsu、Lslを変更する。つまり、上側導入経路Puに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動して部品Eを供給した場合には、吸着位置LsuにノズルNを位置させて、当該ノズルNに部品Eを吸着させる。一方、下側導入経路Plに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動して部品Eを供給した場合には、吸着位置LslにノズルNを位置させて、当該ノズルNに部品Eを吸着させる。なお、吸着位置Lsuと吸着位置Lslとは、フィード方向Dfに距離Δだけ互いにずれた異なる位置であり、吸着位置Lsuは、吸着位置Lslよりフィード方向Dfの上流側である。こうして設定された吸着位置Lsu、Lslに位置決めされたノズルNによって部品Eが吸着されて(ステップS403)、基板Bに移載される(ステップS404)。
【0102】
このように、図15に例示する制御では、一列に配列された複数のポケット85(部品収納部)のそれぞれに部品Eを収納する部品収納テープ8によって部品Eを供給するために、テープフィーダ3が用いられる。このテープフィーダ3は、部品収納テープ8を所定の部品供給部Lfに向けて搬送するフィードモータMfと、フィードモータMfによってフィード方向Dfに駆動される部品収納テープ8を部品供給部Lfに向けて搬送する搬送経路として上側導入経路Pu(第1搬送経路)および下側導入経路Pl(第2搬送経路)を有するフィーダ本体31(装置本体)とを備える。したがって、上側導入経路Puに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動する場合と、下側導入経路Plに沿って搬送される部品収納テープ8を駆動する場合とでは、部品収納テープ8に加わる力が異なり、その結果、部品Eの供給位置も異なる。このような部品Eの供給位置の違いに対応するために、上記の制御では、部品Eを吸着するノズルNの位置が、上側導入経路Puおよび下側導入経路Plに応じて設定される(ステップS403)。つまり、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が上側オフセット量Fuに沿って搬送される場合には、吸着位置Lsu(第1吸着位置)にノズルNを位置させる一方、フィードモータMfによって駆動される部品収納テープ8が下側導入経路Plに沿って搬送される場合には、吸着位置Lsuと異なる吸着位置LslにノズルNを位置させる。これによって、部品収納テープ8をフィードモータMfによって駆動することで部品収納テープ8に収納される部品Eを部品供給部Lfに供給する際に部品収納テープ8の搬送に使用される搬送経路に依らずに、ノズルNによって部品供給部Lfから部品Eを安定的に吸着ことが可能となる。
【0103】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、駆動制御部130が本発明の「吸着位置制御部」の一例に相当し、コンベア12が本発明の「基板搬送部」の一例に相当し、ヘッドユニット27が本発明の「実装部」の一例に相当し、テープフィーダ3が本発明の「部品供給装置」の一例に相当し、ローディングスプロケット35が本発明の「ローディングスプロケット」の一例に相当し、フィードスプロケット37が本発明の「フィードスプロケット」の一例に相当し、モータ制御部330が本発明の「モータ制御部」の一例に相当し、経路判定部340が本発明の「経路判定部」の一例に相当し、記憶部350が本発明の「記憶部」の一例に相当し、テープセットユニット41が本発明の「テープ装着ユニット」の一例に相当し、部品収納テープ8が本発明の「部品収納テープ」の一例に相当し、ポケット85が本発明の「部品収納部」の一例に相当し、フィード方向Dfが本発明の「駆動方向」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、上側オフセット量Fuが本発明の「第1オフセット量」の一例に相当し、下側オフセット量Flが本発明の「第2オフセット量」の一例に相当し、部品供給部Lfが本発明の「部品供給部」の一例に相当し、フィードモータMfが本発明の「フィードモータ」の一例に相当し、ローディングモータMlが本発明の「ローディングモータ」の一例に相当し、ノズルNが本発明の「ノズル」の一例に相当し、オフセットテーブルOTが本発明の「オフセットテーブル」の一例に相当し、上側導入経路Puが本発明の「第1搬送経路」の一例に相当し、下側導入経路Plが本発明の「第2搬送経路」の一例に相当し、ポケットピッチT85が本発明の「基本搬送量」の一例に相当し、テープセンサSaが本発明の「第2テープセンサ」の一例に相当し、テープセンサSb3が本発明の「第1テープセンサ」の一例に相当し、オフセット設定指令が本発明の「搬送量情報」の一例に相当する。
【0104】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、ポケットピッチT85、上側オフセット量Fuおよび下側オフセット量Flの具体的な数値は上記の例に限られない。
【0105】
また、ポケットピッチT85に上側オフセット量Fuあるいは下側オフセット量Flを加算するといった計算は必ずしも必要ではない。つまり、上側導入経路Puおよび下側導入経路Plそれぞれに対応する搬送量を予め求めて、記憶部350に保存しておいてもよい。この場合には、オフセットを加算するといった計算を実行せずに、記憶部に保存された搬送量がそのまま設定される。
【符号の説明】
【0106】
1…部品実装機
130…駆動制御部(吸着位置制御部)
12…コンベア(基板搬送部)
27…ヘッドユニット(実装部)
3…テープフィーダ(部品供給装置)
35…ローディングスプロケット
37…フィードスプロケット
330…モータ制御部
340…経路判定部
350…記憶部
41…テープセットユニット(テープ装着ユニット)
8…部品収納テープ
85…ポケット(部品収納部)
Df…フィード方向(駆動方向)
E…部品
Fu…上側オフセット量(第1オフセット量)
Fl…下側オフセット量(第2オフセット量)
Lf…部品供給部
Mf…フィードモータ
Ml…ローディングモータ
N…ノズル
OT…オフセットテーブル
Pu…上側導入経路(第1搬送経路)
Pl…下側導入経路(第2搬送経路)
T85…ポケットピッチ(基本搬送量)
Sa…テープセンサ(第2テープセンサ)
Sb3…テープセンサ(第1テープセンサ)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16