(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038829
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240313BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01G4/30 201H
H01G4/228 W
H01G4/30 513
H01G4/30 201F
H01G4/30 201C
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143135
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】井口 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 央始
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲徳▼久
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢也
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E001AC03
5E001AF06
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC31
5E082CC07
5E082EE04
5E082EE16
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082GG08
5E082GG10
5E082GG28
5E082JJ07
5E082JJ12
5E082JJ27
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】金属端子の機械的強度の低下を抑制すると共に、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を抑制する電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品ED1は、素体1と、素体1に配置されている外部電極21,22と、を有する電子部品本体MD1と、金属端子T1,T2と、接合材2,3と、を備えている。金属端子T1,T2は、主面31,51を含む金属層37,57と、主面32,52を含む金属層38,58と、側面33,34,53,54を含む端子本体7、8と、を有している。側面上では、端子本体7,8が露出すると共に、金属層37,57と金属層38,58とが離間している。金属層37,57と金属層38,58とのそれぞれは、Niめっき層を含んでいる。端子本体7,8は、Cuを含んでいる。接合材は、はんだを含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、前記素体に配置されている外部電極と、を有する電子部品本体と、
互いに対向する第一主面及び第二主面と、前記第一主面及び前記第二主面を連結する側面と、を有する金属端子と、
前記外部電極と前記第一主面との間に配置されると共に、前記外部電極と前記金属端子とを電気的かつ物理的に接続する接合材と、を備え、
前記金属端子は、前記第一主面を含む第一金属層と、前記第二主面を含む第二金属層と、前記側面を含む端子本体と、を有し、
前記側面上では、前記端子本体が露出すると共に、前記第一金属層と前記第二金属層とが離間し、
前記第一金属層と前記第二金属層とのそれぞれは、Niめっき層を含み、
前記端子本体は、Cuを含み、
前記接合材は、はんだを含む、電子部品。
【請求項2】
前記側面には、前記端子本体が含むCuが露出している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記金属端子は、前記外部電極と対向すると共に前記接合材に接続され、かつ、互いに離間する複数の部分を有し、
前記複数の部分のそれぞれは、前記複数の部分の間の空間に臨む面を有し、
前記側面は、前記複数の部分のそれぞれが有する前記面を含む、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記端子本体の厚さは、0.05mm以上である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記Niめっきの厚さは、1~4μmである、請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第一金属層は、前記第一主面を構成するSnめっき層を含み、
前記第二金属層は、前記第二主面を構成するSnめっき層を含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項7】
前記電子部品本体は、前記素体内に配置されると共に前記外部電極に電気的かつ物理的に接続される内部導体を更に有し、
前記内部導体は、
前記外部電極に物理的に接続される第一領域と、
前記第一領域に連続し、かつ、前記第一領域の幅より大きい幅を有する第二領域と、を含み、
前記第一領域の幅方向での、前記第一領域の端縁と前記側面の端縁との最短距離は、0.5~1mmである、請求項1に記載の電子部品。
【請求項8】
前記電子部品本体は、前記素体内に配置されると共に前記外部電極に電気的かつ物理的に接続される内部導体を更に有し、
前記内部導体は、
前記外部電極に物理的に接続される第一領域と、
前記第一領域に連続し、かつ、前記第一領域の幅より大きい幅を有する第二領域と、を含み、
前記第一領域の幅方向での、前記第一領域の端縁と前記端子本体の端縁との最短距離は、0.34~0.88mmである、請求項1に記載の電子部品。
【請求項9】
前記電子部品本体は、前記素体内に配置されると共に互いに対向する複数の内部導体を更に有し、
前記金属端子は、
前記外部電極に接続されると共に前記複数の内部導体が互いに対向する方向に延在する第一部分と、
前記複数の内部導体が互いに対向する前記方向と交差する方向に延在する第二部分と、を含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項10】
前記金属端子は、
前記外部電極に接続されると共に第一方向に延在する第一部分と、
前記第一方向と交差する第二方向に延在する第二部分と、を含み、
前記側面は、
前記第一部分において前記第一方向に延在する第一面と、
前記第一面に連続すると共に前記第二部分において前記第二方向に延在する第二面と、を含む、請求項1に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている電子部品は、電子部品本体と、金属端子と、電子部品本体と金属端子とを接続する接合材と、を備える(たとえば、特許文献1参照)。電子部品本体は、素体と、素体に配置されている外部電極と、を有する。接合材は、外部電極と金属端子とを電気的かつ物理的に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、金属端子の機械的強度の低下を抑制すると共に、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係る電子部品は、素体と、素体に配置されている外部電極と、を有する電子部品本体と、互いに対向する第一主面及び第二主面と、第一主面及び第二主面を連結する側面と、を有する金属端子と、外部電極と第一主面との間に配置されると共に、外部電極と金属端子とを電気的かつ物理的に接続する接合材と、を備えている。金属端子は、第一主面を含む第一金属層と、第二主面を含む第二金属層と、側面を含む端子本体と、を有している。側面上では、端子本体が露出すると共に、第一金属層と第二金属層とが離間している。第一金属層と第二金属層とのそれぞれは、Niめっき層を含んでいる。端子本体は、Cuを含んでいる。接合材は、はんだを含んでいる。
【0006】
上記一つの態様では、金属端子は、第一主面を含む第一金属層と、第二主面を含む第二金属層とを有し、第一及び第二金属層のそれぞれがNiめっき層を含む。したがって、端子本体がCuを含み、かつ、接合材がはんだを含む構成でも、端子本体には、はんだ喰われが生じがたい。この結果、上記一つの態様は、金属端子の機械的強度の低下を抑制する。
【0007】
高周波領域では、電流が導体の表面近くを流れる表皮効果が生じる。Niは、磁性体であるので、たとえば、Niからなる導体の表皮深さは、Cuからなる導体の表皮深さより小さい。Niからなる導体は、Cuからなる導体に比して、高周波領域での表皮効果による伝送損失を増加させる。
上記一つの態様において、高周波領域では、電流が金属端子の表面近くを流れる傾向がある。金属端子の表面は、金属端子の上記側面を含む。金属端子の上記側面では、Cuを含む端子本体が露出する。すなわち、Niめっき層を含む金属層は、金属端子の上記側面を構成しない。したがって、上記一つの態様は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を抑制する。
【0008】
上記一つの態様では、側面には、端子本体が含むCuが露出していてもよい。
側面にCuが露出している構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を確実に抑制する。
【0009】
上記一つの態様では、金属端子は、外部電極と対向すると共に接合材に接続され、かつ、互いに離間する複数の部分を有していてもよい。複数の部分のそれぞれは、前記複数の部分の間の空間に臨む面を有していてもよい。側面は、複数の部分のそれぞれが有する上記面を含んでいてもよい。
金属端子が複数の部分を有する構成は、金属端子の外表面に占める側面の割合が増大する。したがって、上記一つの態様は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加をより確実に抑制する。
【0010】
上記一つの態様では、端子本体の厚さは、0.05mm以上であってもよい。
端子本体が、上記厚さを有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0011】
上記一つの態様では、Niめっきの厚さは、1~4μmであってもよい。
Niめっきが上記の厚さを有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0012】
上記一つの態様では、第一金属層は、第一主面を構成するSnめっき層を含んでいてもよい。第二金属層は、第二主面を構成するSnめっき層を含んでいてもよい。
第一及び第二金属層が、Snめっき層を含んでいる構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0013】
上記一つの態様では、電子部品本体は、素体内に配置されると共に外部電極に電気的かつ物理的に接続される内部導体を有していてもよい。内部導体は、外部電極に物理的に接続される第一領域と、第一領域に連続し、かつ、第一領域の幅より大きい幅を有する第二領域と、を含んでいてもよい。第一領域の幅方向での、第一領域の端縁と側面の端縁との最短距離は、0.5~1mmであってもよい。
第一領域の幅方向での、第一領域の端縁と側面の端縁とが上記最短距離を有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0014】
上記一つの態様では、電子部品本体は、素体内に配置されると共に外部電極に電気的かつ物理的に接続される内部導体を有していてもよい。内部導体は、外部電極に物理的に接続される第一領域と、第一領域に連続し、かつ、第一領域の幅より大きい幅を有する第二領域と、を含んでいてもよい。第一領域の幅方向での、第一領域の端縁と端子本体の端縁との最短距離は、0.34~0.88mmであってもよい。
第一領域の幅方向での上記最短距離を有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0015】
上記一つの態様では、電子部品本体は、素体内に配置されると共に互いに対向する複数の内部導体を有していてもよい。金属端子は、外部電極に接続されると共に複数の内部導体が互いに対向する方向に延在する第一部分と、複数の内部導体が互いに対向する方向と交差する方向に延在する第二部分と、を含んでいてもよい。
金属端子が第一部分と第二部分とを有する構成では、第二部分が、電子機器に接続される実装領域として機能する。
【0016】
上記一つの態様では、金属端子は、外部電極に接続されると共に第一方向に延在する第一部分と、第一方向と交差する第二方向に延在する第二部分と、を含んでいてもよい。側面は、第一部分において第一方向に延在する第一面と、第一面に連続すると共に第二部分において第二方向に延在する第二面と、を含んでいてもよい。
側面が第一面と第二面とを含んでいる構成は、金属端子の外表面に占める側面の割合を増大する。この構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更により確実に抑制する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一つの態様は、金属端子の機械的強度の低下を抑制すると共に、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を抑制する電子部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の第一の変形例に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の第二の変形例に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の第二の変形例に係る電子部品の断面構成を示す図である。
【
図7】
図7は、各試料における等価直列抵抗(ESR)を示す図表である。
【
図8】
図8は、各試料におけるESR及び股裂き強度を示す図表である。
【
図9】
図9は、各試料におけるESRを示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態及び変形例について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る電子部品を説明する。
図1は、本実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図2及び
図3は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。
図2及び
図3では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。
図3では、説明のため、第一方向から見て、複数の内部導体を意図的に互いにずらして図示している。本実施形態では、積層セラミックコンデンサを備えた電子部品ED1について説明する。
【0021】
電子部品ED1は、電子部品本体MD1を備えている。本実施形態では、電子部品本体MD1は、積層コンデンサによって構成されており、積層コンデンサは、積層セラミックコンデンサを含んでいる。電子部品本体MD1は、素体1を有している。素体1は、たとえば、第一方向D1に複数の誘電体層が積層されて構成されている。本実施形態では、素体1は、直方体形状を呈している。素体1の外表面は、互いに対向している一対の端面1a,1bと、端面1a,1bを連結している側面1cと、を含んでいる。側面1cは、端面1a,1bと隣り合っている。側面1cは、互いに対向している一対の側面1c1,1c2と、互いに対向している一対の側面1c3,1c4と、を有している。端面1a,1b、側面1c1,1c2、及び側面1c3,1c4は、たとえば、矩形状を呈している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、又は、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状を含む。
【0022】
端面1a,1bは、第一方向D1に交差する第二方向D2で互いに対向している。端面1a,1bは、たとえば、第二方向D2に直交している。側面1c1,1c2は、端面1a,1bと隣り合うと共に、第一方向D1で互いに対向している。側面1c1,1c2は、たとえば、第一方向D1に直交している。側面1c3,1c4は、端面1a,1b及び側面1c1,1c2と隣り合うと共に、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D3で互いに対向している。側面1c3,1c4は、素体1の第三方向D3での両端を規定している。側面1c3,1c4は、たとえば、第三方向D3に直交している。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに直交している。
【0023】
端面1a,1bは、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第一方向D1に延在している。端面1a,1bは、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c1,1c2は、端面1aと端面1bとを連結するように、第二方向D2に延在している。側面1c1,1c2は、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c3,1c4は、端面1aと端面1bとを連結するように、第二方向D2に延在している。側面1c3,1c4は、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第一方向D1に延在している。端面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4とは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、端面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4との間には、稜線部が位置する。
【0024】
素体1の第一方向D1での長さは、たとえば、2.0mmである。素体1の第二方向D2での長さは、たとえば、5.7mmである。素体1の第三方向D3での長さは、たとえば、5.0mmである。素体1では、たとえば、第二方向D2が長辺方向である。
【0025】
本実施形態では、素体1は、たとえば、複数の誘電体層を含んでいる。素体1は、第一方向D1に複数の誘電体層が積層されて構成されている。各誘電体層は、素体1の一部を構成している。各誘電体層は、誘電体材料を含むセラミックの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、(Ba,Ca)TiO3系、CaZrO3系、又は(Ca,Sr)ZrO3系である。実際の素体1では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0026】
電子部品本体MD1は、複数の内部導体11,12を備えている。本実施形態では、電子部品本体MD1は、内部導体11,12を備えている。複数の内部導体11,12は、互いに対向している。複数の内部導体11,12は、たとえば、第一方向D1で互いに対向している。
【0027】
内部導体11は、領域E1aと、領域E1aに連続する領域E1bとを有している。本実施形態では、領域E1bは、第一方向D1で領域E1aに連続している。領域E1aは、端面1aに露出している。領域E1aは、外部電極21に物理的に接続される。領域E1bは、端面1a,1b及び側面1cに露出していない。領域E1aと領域E1bとは、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。たとえば、領域E1aが、第一領域を構成する場合、領域E1bが、第二領域を構成する。
【0028】
領域E1aは、第三方向D3で互いに対向する一対の端縁11a,11bを有している。一対の端縁11a,11bは、第三方向D3での領域E1aの両端を規定している。端縁11aは、側面1c3に対向している。端縁11bは、側面1c4に対向している。領域E1bは、第三方向D3で互いに対向する一対の端縁11c,11dを有している。一対の端縁11c,11dは、第三方向D3での領域E1bの両端を規定している。端縁11cは、側面1c3に対向している。端縁11dは、側面1c4に対向している。
【0029】
領域E1bは、たとえば、領域E1aの幅より大きい幅を有している。本実施形態では、領域E1aの幅は、第三方向D3での、端縁11aと端縁11bとの距離である。領域E1bの幅は、第三方向D3での、端縁11cと端縁11dとの距離である。
【0030】
内部導体12は、領域E2aと、領域E2aに連続する領域E2bとを有している。本実施形態では、領域E2bは、第一方向D1で領域E2aに連続している。領域E2aは、端面1bに露出している。領域E2aは、外部電極22に物理的に接続される。領域E2bは、端面1a,1b及び側面1cに露出していない。領域E2aと領域E2bとは、第一方向D1から見て、たとえば、矩形状を呈している。たとえば、領域E2aが、第一領域を構成する場合、領域E2bが、第二領域を構成する。
【0031】
領域E2aは、第三方向D3で互いに対向する一対の端縁12a,12bを有している。一対の端縁12a,12bは、第三方向D3での領域E2aの両端を規定している。端縁12aは、側面1c3に対向している。端縁12bは、側面1c4に対向している。領域E2bは、第三方向D3で互いに対向する一対の端縁12c,12dを有している。一対の端縁12c,12dは、第三方向D3での領域E2bの両端を規定している。端縁12cは、側面1c3に対向している。端縁12dは、側面1c4に対向している。
【0032】
領域E2bは、たとえば、領域E2aの幅より大きい幅を有している。本実施形態では、領域E2aの幅は、第三方向D3での、端縁12aと端縁12bとの距離である。領域E2bの幅は、第三方向D3での、端縁12cと端縁12dとの距離である。
【0033】
内部導体11,12は、たとえば、導電性材料からなる。内部導体11,12の導電性材料は、たとえば、Ag、Pd、Au、Ni、Pt、又はCuを含んでいる。内部導体11,12の導電性材料は、たとえば、Ag-Pd合金、Ag-Cu合金、Ag-Au合金、又は、Ag-Pt合金を含んでいてもよい。内部導体11,12は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部導体11と内部導体12とは、第二方向D2において、互いに異なる位置(層)に配置されている。内部導体11と内部導体12とは、素体1内において、第二方向D2に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部導体11と内部導体12とは、たとえば、互いに極性が異なる。内部導体11,12の厚さは、たとえば、0.3~3.0μmである。
【0034】
電子部品本体MD1は、外部電極21,22を備えている。外部電極21,22は、素体1に配置されている。外部電極21,22は、素体1を挟んで、第二方向D2で互いに対向している。
【0035】
外部電極21は、端面1aに配置されている。外部電極21は、端面1aを覆うように配置されている。外部電極21は、側面1cの一部の面上にも配置されている。外部電極21は、端面1aと、側面1cとによって形成される角部と、角部を互いに結ぶ稜線部とを覆っている。外部電極21は、端面1aにおいて、端面1aに露出した内部導体11の領域E1aに物理的に接続されている。
【0036】
外部電極22は、端面1bに配置されている。外部電極22は、端面1bを覆うように配置されている。外部電極22は、側面1cの一部の面上にも配置されている。外部電極22は、端面1bと、側面1cとによって形成される角部と、角部を互いに結ぶ稜線部とを覆っている。外部電極22は、端面1bにおいて、端面1bに露出した内部導体12の領域E2aに物理的に接続されている。
【0037】
外部電極21,22は、たとえば、焼付導体層を有している。焼付導体層は、たとえば、素体1の外表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることによって形成される。導電性ペーストは、導電性金属粉末及びガラスフリットを含んでいてもよい。導電性ペーストでは、たとえば、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤が混合されている。導電性ペーストが還元雰囲気で焼き付けられる場合、導電性ペーストに含まれる金属粉末は、酸化していてもよい。外部電極21,22は、焼付導体層上に形成されるめっき層を有していてもよい。めっき層は、Niめっき層及びSnめっき層を含んでいてもよい。本実施形態では、Niめっき層が焼付導体層上に形成されており、Snめっき層がNiめっき層上に形成されている。
【0038】
電子部品ED1は、金属端子T1を備えている。金属端子T1は、主面31及び主面32と、側面33,34と、を有している。主面31は、主面32よりも電子部品本体MD1に近い。側面33,34は、主面31及び主面32を連結している。側面33,34は、第三方向D3で互いに対向している。側面33と側面34との距離は、金属端子T1の第三方向D3での長さを規定している。側面33と側面34とは、金属端子T1の第三方向D3での両端を規定している。たとえば、主面31が、第一主面を構成する場合、主面32は、第二主面を構成する。
【0039】
金属端子T1は、部分P1aと部分P1bとを含んでいる。部分P1aは、外部電極21に接続されると共に第一方向D1に延在している。部分P1bは、第二方向D2に延在している。金属端子T1は、部分P1aと部分P1bとを連結する部分P1cを含んでいる。部分P1cは、第一方向D1に延在している。部分P1cは、部分P1aと同一平面上で一体化されている。一体化された部分P1aと部分P1cとは、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。部分P1aと部分P1cとは、第一方向D1に見て、部分P1cの長さ分、離れている。部分P1a及び部分P1cと、部分P1bとは、たとえば、一体的に形成されている。本実施形態では、部分P1cと部分P1bとの境界で、金属端子T1の延在方向が交差している。部分P1cと部分P1bとは、たとえば、互いに直交している。たとえば、部分P1aが、第一部分を構成する場合、部分P1bは、第二部分を構成する。
【0040】
金属端子T1は、上面35と下面36とを有している。上面35は、部分P1aの第一方向D1での端縁に位置している。上面35は、側面33と側面34とを連結するように、第三方向D3に延在している。下面36は、部分P1bの第二方向D2での端縁に位置している。下面36は、側面33と側面34とを連結するように、第三方向D3に延在している。
【0041】
電子部品ED1は、接合材2,4を備えており、部分P1aは、外部電極21と対向していると共に、接合材2によって外部電極21と接続されている。部分P1aは、第二方向D2及び第三方向D3に延在している。部分P1bは、接合材4によって、電子機器M1に接続されている。部分P1bは、電子機器M1に接続される実装領域として機能する。
【0042】
部分P1aには、接合材2が配置されている。第二方向D2から見て、接合材2の最外周縁は、部分P1aの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第二方向D2から見て、接合材2の最外周縁は、側面33,34及び上面35の内側に位置し、側面33,34及び上面35から離間している。部分P1bには、接合材4が配置されている。第一方向D1から見て、接合材4の最外周縁は、部分P1bの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第一方向D1から見て、接合材4の最外周縁は、側面33,34及び下面36の内側に位置し、側面33,34及び下面36から離間している。
【0043】
金属端子T1は、端子本体7を有する。端子本体7は、互いに対向している対向面41及び対向面42と、側面33,34とを含んでいる。対向面41は、対向面42よりも電子部品本体MD1に近い。対向面41及び対向面42と、側面33,34とは、部分P1aから部分P1bまで延在している。側面33,34は、対向面41と対向面42とを連結している。端子本体7の側面33は、金属端子T1の側面33に一致する。端子本体7の側面34は、金属端子T1の側面34に一致する。
【0044】
端子本体7の側面33,34上では、端子本体7が露出している。側面33は、面33aと面33bとを含んでいる。側面34は、面34aと面34bとを含んでいる。面33aは、部分P1aにおいて第一方向D1に延在している。面33bは、面33aに連続すると共に、部分P1bにおいて第二方向D2に延在している。面34aは、部分P1aにおいて第一方向D1に延在している。面34bは、面34aに連続すると共に、部分P1bにおいて第二方向D2に延在している。
【0045】
端子本体7は、金属材料からなる。端子本体7の金属材料は、Cuを含んでいる。端子本体7の厚さは、たとえば、0.05mm以上である。たとえば、面33aが、第一面を構成する場合、面33bは、第二面を構成する。
【0046】
金属端子T1は、金属層37と金属層38とを有している。金属層37と金属層38とのそれぞれは、Niめっき層を含んでいる。金属層37は、主面31を含む。金属層37は、対向面41上に配置されている。金属層37は、部分P1aから部分P1bまで延在している。金属層38は、主面32を含む。金属層38は、対向面42上に配置されている。金属層38は、部分P1aから部分P1bまで延在している。本実施形態では、側面33,34上には、金属層37と金属層38とが配置されていない。側面33,34には、Cuが露出している。側面33,34に露出するCuは、端子本体7に含まれる。部分P1a上に位置している金属層37は、接合材2に接続されている。部分P1b上に位置している金属層38は、接合材4に接続されている。たとえば、金属層37が、第一金属層を構成する場合、金属層38は、第二金属層を構成する。
【0047】
端子本体7は、上面35と下面36とを含んでいる。本実施形態では、端子本体7の上面35は、金属端子T1の上面35に一致する。端子本体7の下面36は、金属端子T1の下面36に一致する。本実施形態では、上面35及び下面36に、たとえば、Cuが露出している。上面35及び下面36に露出するCuは、端子本体7に含まれる。上面35上及び下面36上には、金属層が形成されていてもよい。この場合、上面35上及び下面36上それぞれに形成される金属層は、たとえば、Niめっき層を含んでいる。上面35上及び下面36上のいずれか一方にのみ、金属層が形成されていてもよい。
【0048】
金属層37は、たとえば、主面31を構成するSnめっき層を含んでいる。金属層38は、たとえば、主面32を構成するSnめっき層を含んでいる。本実施形態では、金属層37は、Snを含んでいる最外層37aを有している。金属層38は、Snを含んでいる最外層38aを有している。金属層37及び金属層38は、それぞれ、複数の層からなっていてもよい。この場合、金属層37及び金属層38を構成する複数の層のうち、最外に位置する層が、Snを含んでいる。金属層37及び金属層38では、Snを含んでいる層の下に、別の層が位置していてもよい。金属層37及び金属層38と端子本体7との間に、金属層37及び金属層38とは別に導電性を有する層が配置されていてもよい。本実施形態では、めっき層の形成方法としては、めっき法が用いられる。めっき法は、たとえば、スパッタリング法、蒸着法、又は電解めっき法を含む。
【0049】
電子部品ED1は、金属端子T2を備えている。金属端子T2は、主面51及び主面52と、側面53,54と、を有している。主面51は、主面52よりも電子部品本体MD1に近い。側面53,54は、主面51及び主面52を連結している。側面53,54は、第三方向D3で互いに対向している。側面53と側面54との距離は、金属端子T2の第三方向D3での長さを規定している。側面53と側面54とは、金属端子T2の第三方向D3での両端を規定している。たとえば、主面51が、第一主面を構成する場合、主面52は、第二主面を構成する。
【0050】
金属端子T2は、部分P2aと部分P2bとを含んでいる。部分P1aは、外部電極21に接続されると共に第一方向D1に延在している。部分P1bは、第二方向D2に延在している。金属端子T2は、部分P2aと部分P2bとを連結する部分P2cを含んでいる。部分P2cは、第一方向D1に延在している。部分P2cは、部分P2aと同一平面上で一体化されている。一体化された部分P2aと部分P2cとは、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。部分P2aと部分P2cとは、第一方向D1に見て、部分P2cの長さ分、離れている。部分P2a及び部分P2cと、部分P2bとは、たとえば、一体的に形成されている。本実施形態では、部分P2cと部分P2bとの境界で、金属端子T2の延在方向が交差している。部分P2cと部分P2bとは、たとえば、互いに直交している。たとえば、部分P2aが、第一部分を構成する場合、部分P2bは、第二部分を構成する。
【0051】
金属端子T2は、上面55と下面56とを含んでいる。上面55は、部分P2aの第一方向D1での端縁に位置している。上面55は、側面53と側面54とを連結するように、第三方向D3に延在している。下面56は、部分P2bの第二方向D2での端縁に位置している。下面56は、側面53と側面54とを連結するように、第三方向D3に延在している。
【0052】
電子部品ED1は、接合材3,5を備えており、部分P2aは、外部電極21と対向していると共に、接合材3によって外部電極22と接続されている。部分P2aは、第二方向D2及び第三方向D3に延在している。部分P2bは、接合材5によって、電子機器M1に接続されている。部分P2bは、電子機器M1に接続される実装領域として機能する。部分P2bは、部分P1bと略同一平面上に位置している。
【0053】
部分P2aには、接合材3が配置されている。第二方向D2から見て、接合材3の最外周縁は、部分P2aの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第二方向D2から見て、接合材3の最外周縁は、側面53,54及び上面55の内側に位置し、側面53,54及び上面55から離間している。部分P2bには、接合材5が配置されている。第一方向D1から見て、接合材5の最外周縁は、部分P2bの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第一方向D1から見て、接合材5の最外周縁は、側面53,54及び下面56の内側に位置し、側面53,54及び下面56から離間している。
【0054】
金属端子T2は、端子本体8を有する。端子本体7は、互いに対向している対向面61及び対向面62と、側面53,54とを含んでいる。対向面61は、対向面62よりも電子部品本体MD1に近い。対向面61及び対向面62と、側面53,54とは、部分P2aから部分P2bまで延在している。側面53,54は、対向面61と対向面62とを連結している。端子本体8の側面53は、金属端子T2の側面53に一致する。端子本体8の側面54は、金属端子T2の側面54に一致する。
【0055】
端子本体8の側面53,54上では、端子本体8が露出している。側面53は、面53aと面53bとを含んでいる。側面54は、面54aと面54bとを含んでいる。面53aは、部分P2aにおいて第一方向D1に延在している。面53bは、面53aに連続すると共に、部分P2bにおいて第二方向D2に延在している。面54aは、部分P2aにおいて第一方向D1に延在している。面54bは、面54aに連続すると共に、部分P2bにおいて第二方向D2に延在している。
【0056】
端子本体8は、金属材料からなる。端子本体8の金属材料は、Cuを含んでいる。端子本体8の厚さは、たとえば、0.05mm以上である。たとえば、面53aが、第一面を構成する場合、面53bは、第二面を構成する。
【0057】
金属端子T2は、金属層57と金属層58とを有している。金属層57と金属層58とのそれぞれは、Niめっき層を含んでいる。金属層57は、主面51を含む。金属層57は、対向面61上に配置されている。金属層57は、部分P2aから部分P2bまで延在している。金属層58は、主面52を含む。金属層58は、対向面62上に配置されている。金属層58は、部分P2aから部分P2bまで延在している。本実施形態では、側面53,54上には、金属層57と金属層58とが配置されていない。側面53,54には、Cuが露出している。側面53,54に露出するCuは、端子本体8に含まれる。部分P2a上に位置している金属層57は、接合材3に接続されている。部分P2b上に位置している金属層58は、接合材5に接続されている。たとえば、金属層57が、第一金属層を構成する場合、金属層58は、第二金属層を構成する。
【0058】
端子本体8は、上面55と下面56とを含んでいる。本実施形態では、端子本体8の上面55は、金属端子T2の上面55に一致する。端子本体8の下面56は、金属端子T2の下面56に一致する。本実施形態では、上面55及び下面56に、たとえば、Cuが露出している。上面55及び下面56に露出するCuは、端子本体8に含まれる。上面55上及び下面56上には、金属層が形成されていてもよい。この場合、上面55上及び下面56上それぞれに形成される金属層は、たとえば、Niめっき層を含んでいる。上面55上及び下面56上のいずれか一方にのみ、金属層が形成されていてもよい。
【0059】
金属層57は、たとえば、主面51を構成するSnめっき層を含んでいる。金属層58は、たとえば、主面52を構成するSnめっき層を含んでいる。本実施形態では、金属層57は、Snを含んでいる最外層57aを有している。金属層58は、Snを含んでいる最外層58aを有している。金属層57及び金属層58は、それぞれ、複数の層からなっていてもよい。この場合、金属層57及び金属層58を構成する複数の層のうち、最外に位置する層が、Snを含んでいる。金属層57及び金属層58では、Snを含んでいる層の下に、別の層が位置していてもよい。金属層57及び金属層58と端子本体7との間に、金属層57及び金属層58とは別に導電性を有する層が配置されていてもよい。
【0060】
本実施形態では、接合材2,3は、はんだを含む。接合材2は、外部電極21と主面31との間に配置されると共に、外部電極21と金属端子T1とを電気的かつ物理的に接続する。接合材3は、外部電極22と主面51との間に配置されると共に、外部電極22と金属端子T2とを電気的かつ物理的に接続する。電子部品ED1は、電子部品ED1を電子機器M1に接続する別の接合材4,5を備えていてもよい。接合材4,5は、たとえば、はんだを含む。本実施形態では、電子機器M1は、たとえば、回路基板又は別の電子部品である。
【0061】
接合材2,3のはんだの形成は、たとえば、リフローはんだ付けによって行われる。本実施形態では、はんだペーストが、たとえば、ディスペンサーにより、互いに接続される面上の所定の位置に付与される。接合材2,3のはんだは、たとえば、Sn-Sb系はんだ又はPb-Sn系はんだを含んでいる。接合材4,5のはんだの形成は、たとえば、リフローはんだ付けによって行われる。本実施形態では、はんだペーストが、たとえば、印刷法により、互いに接続される面上の所定の位置に付与される。接合材4,5のはんだは、たとえば、Sn-Ag-Cu系はんだ又はSn―Cu系はんだを含んでいる。はんだペーストは、たとえば、フラックスを含んでいる。フラックスには、たとえば、ロジンが使用される。はんだペーストには、溶剤が含まれてもよい。
【0062】
図3を参照して、内部導体11と金属端子T1との位置関係を説明する。第一方向D1から見て、金属端子T1の第三方向D3での両端は、側面33,34の端縁33c,34cによって規定される。端縁33cは、側面33のうち、第三方向D3での、金属端子T1の最も外側に位置する。端縁34cは、側面34のうち、第三方向D3での、金属端子T1の最も外側に位置する。
【0063】
本実施形態では、端縁11aが、端縁11bよりも端縁33cの近くに位置しており、端縁11aと端縁33cとは、第三方向D3での、端縁11a,11bと端縁33cとの最短距離L1aを成している。端縁11bは、端縁11aよりも端縁34cの近くに位置しており、端縁11bと端縁34cとは、第三方向D3での、端縁11a,11bと端縁34cとの最短距離L1bを成している。最短距離L1aと最短距離L1bとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L1a,L1bは、たとえば、0.5~1mmである。
最短距離L1a,L1bを求めるためには、たとえば、領域E1a,E1bを含む位置での、電子部品ED1の断面写真を取得する。断面写真は、電子部品ED1を側面1c1,1c2に直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理する。この画像処理により、端縁11a,11bと、端縁33c,34cとの境界を判別し、最短距離L1a,L1bを算出する。
【0064】
続いて、内部導体12と金属端子T2との位置関係を説明する。第一方向D1から見て、金属端子T1の第三方向D3での両端は、側面53,54の端縁53c,54cによって規定される。端縁53cは、側面53のうち、第三方向D3での、金属端子T2の最も外側に位置する。端縁54cは、側面54のうち、第三方向D3での、金属端子T2の最も外側に位置する。
【0065】
本実施形態では、端縁12aが、端縁12bよりも端縁53cの近くに位置しており、端縁12aと端縁53cとは、第三方向D3での、端縁12a,12bと端縁53cとの最短距離L1cを成している。端縁12bは、端縁12aよりも端縁54cの近くに位置しており、端縁12bと端縁54cとは、第三方向D3での、端縁12a,12bと端縁54cとの最短距離L1dを成している。最短距離L1cと最短距離L1dとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L1c,L1dは、たとえば、0.5~1mmである。
最短距離L1c,L1dを求めるためには、たとえば、領域E2a,E2bを含む位置での、電子部品ED1の断面写真を取得する。断面写真は、電子部品ED1を側面1c1,1c2に直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理する。この画像処理により、端縁12a,12bと、端縁53c,54cとの境界を判別し、最短距離L1c,L1dを算出する。
本実施形態では、最短距離L1aと最短距離L1cとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L1aと最短距離L1dとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L1bと最短距離L1cとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L1bと最短距離L1dとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L1a,L1b,L1c,L1dは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0066】
図4を参照して、本実施形態の第一の変形例に係る電子部品ED1の構成を説明する。
図4は、本実施形態の第一の変形例に係る電子部品ED1の斜視図である。本変形例では、二つの電子部品本体MD1が、第一方向D1に並んでいる。本変形例に係る金属端子T1,T2では、二つの電子部品本体MD1を接続するために、部分P1aの第一方向D1での長さが、実施形態に係る部分P1aの第一方向D1での長さに比べて大きい。金属端子T1は、二つの接合材2によって、二つの電子部品本体MD1に接続されている。金属端子T2は、二つの接合材3によって、二つの電子部品本体MD1に接続されている。
【0067】
本変形例に係る金属端子T1,T2は、部分P1aの第一方向D1での長さが異なることを除いて、それぞれ、実施形態に係る金属端子T1,T2と同一の構成を有している。本変形例に係る金属端子T1と金属端子T2とは、たとえば、互いに同一の構成を有している。本変形例に係る金属端子T1,T2の材料は、たとえば、実施形態に係る金属端子T1,T2の材料と同じである。
【0068】
金属端子T1は、主面31及び主面32と、側面33,34と、を有している。側面33,34は、部分P1aから部分P1bまで延在している。側面33,34と、上面35及び下面36とには、たとえば、Cuが露出している。上面35上及び下面36上には、金属層が形成されていてもよい。金属端子T2は、主面51及び主面52と、側面53,54と、を有している。側面53,54は、部分P2aから部分P2bまで延在している。側面53,54と、上面55及び下面56とには、たとえば、Cuが露出している。上面55上及び下面56上には、金属層が形成されていてもよい。
【0069】
図5及び
図6を参照して、本実施形態の第二の変形例に係る電子部品ED1の構成を説明する。
図5は、本実施形態の第二の変形例に係る電子部品の斜視図である。
図6は、本実施形態の第二の変形例に係る電子部品の断面構成を示す図である。
図6では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。
図6では、説明のため、第一方向から見て、複数の内部導体を意図的に互いにずらして図示している。
【0070】
本変形例では、金属端子T1の形状が、実施形態の金属端子T1の形状と異なっている。金属端子T1には、窪み39が形成されている。本変形例に係る金属端子T1は、窪み39が形成されていることを除いて、実施形態に係る金属端子T1と同一の構成を有している。本変形例に係る金属端子T1と金属端子T2とは、たとえば、互いに同一の構成を有している。本変形例に係る金属端子T1,T2の材料は、たとえば、実施形態に係る金属端子T1,T2の材料と同じである。
【0071】
金属端子T1は、複数の部分P3a,P3bを有している。部分P3a,P3bは、部分P1aに形成されている。各部分P3a,P3bは、窪み39によって、第三方向D3で互いに離間している。部分P3a、窪み39、及び部分P3bが、この順に第三方向D3で並んでいる。部分P3a及び部分P3bは、窪み39を挟んで、第三方向D3で互いに対向している。
【0072】
金属端子T1は、主面31及び主面32と、側面33,34と、を有している。側面33,34は、主面31及び主面32を連結している。側面33,34は、第三方向D3で互いに対向している。金属端子T1は、一対の上面35p,35qと、下面36と、を有している。本変形例では、金属端子T1は、窪み39を画定する側面33p及び側面34pと、面35rとを有している。側面33,34は、複数の部分P3a,P3bのそれぞれが有する面33p,34p,35rを含んでいる。面33p,34p,35rは、窪み39を画定する。面35rは、複数の部分P3a,P3bの間の空間に臨んでいる。
【0073】
一対の上面35p,35qは、部分P1aの第一方向D1での端縁に位置している。上面35pは、側面33と側面33pとを互いに連結するように、第三方向D3に延在している。上面35qは、側面34と側面34pとを互いに連結するように、第三方向D3に延在している。側面33p及び側面34pは、第三方向D3で窪み39を挟んで互いに対向している。側面33pは、上面35pと底面35rとを互いに連結するように、第一方向D1に延在している。側面34pは、上面35qと底面35rとを互いに連結するように、第一方向D1に延在している。底面35rは、側面33pと側面34pとを互いに連結するように、第三方向D3に延在している。底面35rは、窪み39の最深部を画成している。下面36は、部分P1bの第二方向D2での端縁に位置している。下面36は、側面33と側面34とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面33、上面35p及び側面33pは、部分P3aの外周を規定している。側面34、上面35q及び側面34pは、部分P3bの外周を規定している。
【0074】
本変形例に係る電子部品ED1は、接合材2を備えており、接合材2は、二つのはんだを含んでいる。部分P3aは、外部電極21と対向すると共に、接合材2に接続される。部分P3aは、一の接合材2によって、外部電極21に接続されている。部分P3aには、接合材2が配置されている。第二方向D2から見て、接合材2の最外周縁は、部分P3aの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第二方向D2から見て、接合材2の最外周縁は、側面33、上面35p及び側面33pの内側に位置し、側面33、上面35p及び側面33pから離間している。
【0075】
部分P3bは、外部電極21と対向すると共に、接合材2に接続される。部分P3bは、別の接合材2によって、外部電極21の別位置に接続されている。部分P3bには、接合材2が配置されている。第二方向D2から見て、接合材2の最外周縁は、部分P3bの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第二方向D2から見て、接合材2の最外周縁は、側面33、上面35p及び側面33pの内側に位置し、側面33、上面35p及び側面33pから離間している。
本変形例に係る電子部品ED1は、接合材4を備えており、部分P1bは、接合材4によって、電子機器M1に接続されている。
【0076】
金属端子T2は、複数の部分P4a,P4bを有している。部分P4a,P4bは、部分P1aに形成されている。各部分P4a,P4bは、窪み59によって、第三方向D3で互いに離間している。部分P4a、窪み59、及び部分P4bが、この順に第三方向D3で並んでいる。部分P4a及び部分P4bは、窪み59を挟んで、第三方向D3で互いに対向している。
【0077】
金属端子T2は、主面51及び主面52と、側面53,54と、を有している。側面53,54は、主面51及び主面52を連結している。側面53,54は、第三方向D3で互いに対向している。金属端子T1は、一対の上面55p,55qと、下面56と、を有している。本変形例では、金属端子T2は、窪み59を画定する側面53p及び側面54pと、面55rとを有している。側面53,54は、複数の部分P4a,P4bのそれぞれが有する面53p,54p,55rを含んでいる。面53p,54p,55rは、窪み59を画定する。面55rは、複数の部分P4a,P4bの間の空間に臨んでいる。
【0078】
一対の上面55p,55qは、部分P2aの第一方向D1での端縁に位置している。上面55pは、側面53と側面53pとを互いに連結するように、第三方向D3に延在している。上面55qは、側面54と側面54pとを互いに連結するように、第三方向D3に延在している。側面53p及び側面54pは、第三方向D3で窪み59dを挟んで互いに対向している。側面53pは、上面55pと底面55rとを互いに連結するように、第一方向D1に延在している。側面54pは、上面55qと底面55rとを互いに連結するように、第一方向D1に延在している。底面55rは、側面53pと側面54pとを互いに連結するように、第三方向D3に延在している。底面55rは、窪み59dの最深部を画成している。下面56は、部分P2bの第二方向D2での端縁に位置している。下面56は、側面53と側面54とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面53、上面55p及び側面53pは、部分P4aの外周を規定している。側面54、上面55q及び側面54pは、部分P4aの外周を規定している。
【0079】
本変形例に係る電子部品ED1は、接合材3を備えており、接合材3は、二つのはんだを含んでいる。部分P4aは、外部電極22と対向すると共に、接合材3に接続される。部分P4aは、一の接合材3によって、外部電極21に接続されている。部分P4aには、接合材3が配置されている。第二方向D2から見て、接合材2の最外周縁は、部分P4aの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第二方向D2から見て、接合材3の最外周縁は、側面53、上面55p及び側面53pの内側に位置し、側面53、上面55p及び側面53pから離間している。
【0080】
部分P4bは、外部電極22と対向すると共に、接合材3に接続される。部分P4bは、別の接合材3によって、外部電極22の別位置に接続されている。部分P4bには、接合材3が配置されている。第二方向D2から見て、接合材3の最外周縁は、部分P4bの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。したがって、第二方向D2から見て、接合材3の最外周縁は、側面53、上面55p及び側面53pの内側に位置し、側面53、上面55p及び側面53pから離間している。
本変形例に係る電子部品ED1は、接合材5を備えており、部分P2bは、接合材5によって、電子機器M1に接続されている。
【0081】
図6を参照して、内部導体11と金属端子T1との位置関係を説明する。第一方向D1から見て、金属端子T1の第三方向D3での両端は、側面33,34の端縁33c,34cによって規定される。端縁33cは、側面33のうち、第三方向D3での、金属端子T1の最も外側に位置する。端縁34cは、側面34のうち、第三方向D3での、金属端子T1の最も外側に位置する。本変形例では、端縁33qは、側面33pのうち、第三方向D3での、金属端子T1の最も外側に位置する。端縁34qは、側面34pのうち、第三方向D3での、金属端子T1の最も外側に位置する。
【0082】
本変形例では、端縁11aが、端縁11bよりも端縁33cの近くに位置しており、端縁11aと端縁33cとは、第三方向D3での、端縁11a,11bと端縁33cとの最短距離L1aを成している。端縁11bは、端縁11aよりも端縁34cの近くに位置しており、端縁11bと端縁34cとは、第三方向D3での、端縁11a,11bと端縁34cとの最短距離L1bを成している。端縁11aは、端縁11bよりも端縁33qの近くに位置しており、端縁11aと端縁33qとは、第三方向D3での、端縁11a,11bと端縁33qとの最短距離L3aを成している。端縁11bは、端縁11aよりも端縁34qの近くに位置しており、端縁11aと端縁34qとは、第三方向D3での、端縁11a,11bと端縁34qとの最短距離L3bを成している。
【0083】
最短距離L1a,L1b,L3a,L3bを求めるためには、たとえば、領域E1a,E1bを含む位置での、電子部品ED1の断面写真を取得する。断面写真は、電子部品ED1を側面1c1,1c2に直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理する。この画像処理により、端縁11a,11bと、端縁33c,33q,34c,34qとの境界を判別し、最短距離L1a,L1b,L3a,L3bを算出する。
最短距離L1aと最短距離L1bとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L3aと最短距離L3bとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。本変形例では、最短距離L1aは最短距離L3aより大きく、最短距離L1bは最短距離L3bより大きい。最短距離L1a,L1bは、たとえば、0.5~1mmである。最短距離L3a,L3bは、たとえば、0.34~0.88mmである。
【0084】
続いて、内部導体12と金属端子T2との位置関係を説明する。第一方向D1から見て、金属端子T2の第三方向D3での両端は、側面53,54の端縁53c,54cによって規定される。端縁53cは、側面53のうち、第三方向D3での、金属端子T2の最も外側に位置する。端縁54cは、側面54のうち、第三方向D3での、金属端子T2の最も外側に位置する。本変形例では、端縁53qは、側面53pのうち、第三方向D3での、金属端子T2の最も外側に位置する。端縁54qは、側面54pのうち、第三方向D3での、金属端子T2の最も外側に位置する。
【0085】
本変形例では、端縁12aが、端縁12bよりも端縁53cの近くに位置しており、端縁12aと端縁53cとは、第三方向D3での、端縁12a,12bと端縁53cとの最短距離L1cを成している。端縁12bは、端縁12aよりも端縁54cの近くに位置しており、端縁12bと端縁54cとは、第三方向D3での、端縁12a,12bと端縁54cとの最短距離L1dを成している。端縁12aは、端縁12bよりも端縁53qの近くに位置しており、端縁12aと端縁53qとは、第三方向D3での、端縁12a,12bと端縁53qとの最短距離L3cを成している。端縁12bは、端縁12aよりも端縁54qの近くに位置しており、端縁12aと端縁54qとは、第三方向D3での、端縁12a,12bと端縁54qとの最短距離L3dを成している。
【0086】
最短距離L1c,L1d,L3c,L3dを求めるためには、たとえば、領域E2a,E2bを含む位置での、電子部品ED1の断面写真を取得する。断面写真は、電子部品ED1を側面1c1,1c2に直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理する。この画像処理により、端縁12a,12bと、端縁53c,53q,54c,54qとの境界を判別し、最短距離L1c,L1d,L3c,L3dを算出する。
最短距離L1cと最短距離L1dとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L3cと最短距離L3dとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。本変形例では、最短距離L1cは、最短距離L3cより大きく、最短距離L1dは、最短距離L3dより大きい。最短距離L1c,L1dは、たとえば、0.5~1mmである。最短距離L3c,L3dは、たとえば、0.34~0.88mmである。
最短距離L1a,L1b,L1c,L1dは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L3aと最短距離L3cとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L3aと最短距離L3dとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L3bと最短距離L3cとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L3bと最短距離L3dとは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。最短距離L3a,L3b,L3c,L3dは、互いに同等であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0087】
次に、端子本体7,8の厚さについて詳細に説明する。
本発明者らは、端子本体7,8の厚さの範囲を明らかにするために、以下のような試験を行った。すなわち、本発明者らは、端子本体7,8の厚さが互いに異なる試料S1~S4を用意し、各試料S1~S4における等価直列抵抗(ESR)を確認した。その結果を
図7に示す。
図7は、各試料におけるESRを示す図表である。
【0088】
ESRは、以下のようにして求められる。
以下の手順に従って、各試料S1~S4の、自己共振周波数におけるESR(Ω)が測定される。測定には、インピーダンスアナライザが用いられる。インピーダンスアナライザには、たとえば、アジレント・テクノロジー社製4294Aが用いられる。試料S1~S4が、測定用の基板に実装される。インピーダンスアナライザが、各試料S1~S4に電気的に接続され、各試料S1~S4のESR(Ω)が測定される。各試料S1~S4には、周波数領域10kHz以上の高周波信号が印加される。実際の使用を考慮した場合、ESRは0.01Ω以下である必要がある。ESRが0.01Ω以下である場合、金属端子T1,T2の、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加が抑制される。
試料S1では、ESRが0.01Ωより大きかった。試料S2~S4では、ESRが0.01Ω以下であった。
【0089】
次に、金属層37,57と金属層38,58に含まれるNiめっきの厚さについて詳細に説明する。
本発明者らは、Niめっきの厚さの範囲を明らかにするために、以下のような試験を行った。すなわち、本発明者らは、Niめっきの厚さが互いに異なる試料S5~S9を用意し、各試料S5~S9におけるESR及び股裂き強度を確認した。
めっき法によってNiめっきを形成し、めっきを形成する時間を変えることによって、Niめっきの厚さを変更した。各試料S5~S9において、同一の厚さのNiめっきが形成された試料を二つずつ用意し、一の試料に対してESRを確認し、残りの試料に対して股裂き強度を確認した。
その結果を
図8に示す。
図8は、各試料におけるESR及び股裂き強度を示す図表である。
【0090】
ESRは、試料S5~S9について、上記端子本体7,8の厚さに対する試験と同一の試験によって求められる。実際の使用を考慮した場合、上述したように、ESRは0.01Ω以下である必要がある。
股裂き強度は、以下のようにして求められる。
以下の手順に従って、各試料S5~S9の股裂き強度(N)が測定される。この測定には、引張試験機が用いられる。金属端子T1を固定した状態で、金属端子T2が、金属端子T1から離間する方向に引っ張られる。試料S5~S9毎に、金属端子T2の破損が生じたときの、引張強度(N)が測定される。この引張強度(N)が、股裂き強度(N)とされる。金属端子T2の破損は、たとえば、金属端子T2の、電子部品本体MD1からの剥離を含む。
実際の使用を考慮した場合、股裂き強度は20N以上である必要がある。股裂き強度が20N以上である場合、金属端子T1,T2は高い機械的強度を示す。
試料S5では、ESRが0.01Ω以下であり、股裂き強度が20N未満であった。試料S6~S8では、ESRが0.01Ω以下であり、股裂き強度が20N以上であった。試料S9では、ESRが0.01Ωより大きく、股裂き強度が20N以上であった。
【0091】
次に、最短距離L1a,L1b,L1c,L1dについて詳細に説明する。
本発明者らは、最短距離L1a,L1b,L1c,L1dの範囲を明らかにするために、以下のような試験を行った。すなわち、本発明者らは、最短距離L1aが互いに異なる試料S10~S12を用意し、各試料S10~S12におけるESRを確認した。
その結果を
図9に示す。
図9は、各試料におけるESRを示す図表である。最短距離L1a,L1b,L1c,L1dが互いに異なる試料は、たとえば、部分P1a,P2aの第三方向D3での長さを変えることによって準備される。
【0092】
ESRは、試料S10~S12ごとに、検体が選ばれ、各検体について、上記端子本体7,8の厚さに対する試験と同一の試験によって求められる。実際の使用を考慮した場合、ESRは0.01Ω以下である必要がある。
試料S10~S11では、ESRが0.01Ω以下であった。試料S12では、ESRが0.01Ωより大きかった。
【0093】
次に、最短距離L3a,L3b,L3c,L3dについて詳細に説明する。
本発明者らは、最短距離L3a,L3b,L3c,L3dの範囲を明らかにするために、以下のような試験を行った。すなわち、本発明者らは、最短距離L3aが互いに異なる試料S13~S15を用意し、各試料S13~S15におけるESRを確認した。
その結果を
図10に示す。
図10は、各試料におけるESRを示す図表である最短距離L3a,L3b,L3c,L3dが互いに異なる試料は、たとえば、部分P3a,P3b,P4a,P4b及び領域E1a,E2aの少なくともいずれか一つの第三方向D3での長さを変えることによって準備される。
【0094】
ESRは、試料S13~S15ごとに、検体が選ばれ、各検体について、上記端子本体7,8の厚さに対する試験と同一の試験によって求められる。実際の使用を考慮した場合、ESRは0.01Ω以下である必要がある。
試料S13~S14では、ESRが0.01Ω以下であった。試料S15では、ESRが0.01Ωより大きかった。
【0095】
以上説明したように、電子部品ED1は、素体1と、素体1に配置されている外部電極21,22と、を有する最短距離L1a,L1b,L1c,L1dが互いに異なる試料と、互いに対向する主面31,51及び主面32,52と、主面31,51及び主面32,52を連結する側面33,34,53,54と、を有する金属端子T1,T2と、外部電極21,22と主面31,51との間に配置されると共に、外部電極21,22と金属端子T1,T2とを電気的かつ物理的に接続する接合材2,3と、を備えている。金属端子T1,T2は、主面31,51を含む金属層37,57と、主面32,52を含む金属層38,58と、側面33,34,53,54を含む端子本体7、8と、を有している。側面上では、端子本体7,8が露出すると共に、金属層37,57と金属層38,58とが離間している。金属層37,57と金属層38,58とのそれぞれは、Niめっき層を含んでいる。端子本体7,8は、Cuを含んでいる。接合材は、はんだを含んでいる。
【0096】
電子部品ED1では、金属端子T1,T2は、主面31,51を含む金属層37,57と、主面32,52を含む金属層38,58とを有し、金属層37,38,57,58のそれぞれがNiめっき層を含む。したがって、端子本体7,8がCuを含み、かつ、接合材2,3がはんだを含む構成でも、端子本体7,8には、はんだ喰われが生じがたい。この結果、電子部品ED1は、金属端子T1,T2の機械的強度の低下を抑制する。
高周波領域では、電流が導体の表面近くを流れる表皮効果が生じる。Niは、磁性体であるので、たとえば、Niからなる導体の表皮深さは、Cuからなる導体の表皮深さより小さい。Niからなる導体は、Cuからなる導体に比して、高周波領域での表皮効果による伝送損失を増加させる。
電子部品ED1において、高周波領域では、電流が金属端子の表面近くを流れる傾向がある。金属端子T1,T2の表面は、金属端子T1,T2の側面33,34,53,54を含む。金属端子T1,T2の側面33,34,53,54では、Cuを含む端子本体7,8が露出する。すなわち、Niめっき層を含む金属層37,38,57,58は、金属端子T1,T2の側面33,34,53,54を構成しない。したがって、電子部品ED1は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を抑制する。
【0097】
電子部品ED1では、側面33,34,53,54には、端子本体7,8が含むCuが露出している。
側面33,34,53,54にCuが露出している構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を確実に抑制する。
【0098】
電子部品ED1では、金属端子T1,T2は、外部電極21,22と対向すると共に接合材2,3に接続され、かつ、互いに離間する複数の部分P3a,P3b,P4a,P4bを有している。複数の部分P3a,P3b,P4a,P4bのそれぞれは、複数の部分P3a,P3b,P4a,P4bの間の空間に臨む面35r,55rを有している。側面は、複数の部分P3a,P3b,P4a,P4bのそれぞれが有する上記面を含んでいる。
金属端子T1,T2が複数の部分P3a,P3b,P4a,P4bを有する構成は、金属端子T1,T2の外表面に占める側面33,34,53,54の割合が増大する。したがって、電子部品ED1は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加をより確実に抑制する。
【0099】
電子部品ED1では、端子本体7,8の厚さは、0.05mm以上である。
端子本体7,8が上記厚さを有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0100】
電子部品ED1では、Niめっきの厚さは、1~4μmである。
Niめっきが上記の厚さを有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0101】
電子部品ED1では、金属層37,57は、主面31,51を構成するSnめっき層を含んでいる。金属層38,58は、主面32,52を構成するSnめっき層を含んでいる。
この構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0102】
電子部品ED1では、電子部品本体MD1は、素体1内に配置されると共に外部電極21,22に電気的かつ物理的に接続される内部導体11,12を有している。内部導体11,12は、外部電極21,22に物理的に接続される領域E1a,E2aと、領域E1a,E2aに連続し、かつ、領域E1a,E2aの幅より大きい幅を有する領域E1b,E2bと、を含んでいる。領域E1a,E2aの幅方向での、領域E1a,E2aの端縁と側面33,34,53,54の端縁との最短距離は、0.5~1mmである。
領域E1a,E2aの幅方向での、領域E1a,E2aの端縁と側面33,34,53,54の端縁とが上記最短距離を有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0103】
電子部品ED1では、電子部品本体MD1は、素体1内に配置されると共に外部電極21,22に電気的かつ物理的に接続される内部導体11,12を有している。内部導体11,12は、外部電極21,22に物理的に接続される領域E1a,E2aと、領域E1a,E2aに連続し、かつ、領域E1a,E2aの幅より大きい幅を有する領域E1b,E2bと、を含んでいる。領域E1a,E1bの幅方向での、領域E1a,E2aの端縁と端子本体7,8の端縁との最短距離は、0.34~0.88mmである。
領域E1a,E2aの幅方向での上記最短距離を有する構成は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更によリ確実に抑制する。
【0104】
電子部品ED1では、電子部品本体MD1は、素体1内に配置されると共に互いに対向する複数の内部導体11,12を有している。金属端子T1,T2は、外部電極21,22に接続されると共に複数の内部導体11,12が互いに対向する方向に延在する部分P1a,P2aと、複数の内部導体11,12が互いに対向する方向と交差する方向に延在する部分P1b,P2bと、を含んでいる。
電子部品ED1では、部分P1b,P2bが、電子機器M1に接続される実装領域として機能する。
【0105】
電子部品ED1では、金属端子T1,T2は、外部電極21,22に接続されると共に第一方向D1に延在する部分P1a,P2aと、第一方向D1と交差する第二方向D2に延在する部分P1b,P2bと、を含んでいる。側面33,34,53,54は、部分P1a,P2aにおいて第一方向D1に延在する面33a,34a,53a,54aと、面33a,34a,53a,54aに連続すると共に部分P1b,P2bにおいて第二方向D2に延在する面33b,34b,53b,54bと、を含んでいる。
電子部品ED1は、金属端子T1,T2の外表面に占める側面33,34,53,54の割合を増大する。電子部品ED1は、高周波領域での表皮効果による伝送損失の増加を更により確実に抑制する。
【0106】
以上、本発明の実施形態、変形例、及び実施例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態、変形例、及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0107】
図5及び
図6に示された電子部品ED1において、最短距離L1aは、最短距離L3a以下であってもよい。最短距離L1bは、最短距離L3b以下であってもよい。
本実施形態、変形例、及び実施例では、電子部品ED1は、積層セラミックコンデンサであるとして説明したが、本発明を適用可能な電子部品は、積層セラミックコンデンサに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、及び積層固体電池を含む。
【0108】
上述した実施形態の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
素体と、前記素体に配置されている外部電極と、を有する電子部品本体と、
互いに対向する第一主面及び第二主面と、前記第一主面及び前記第二主面を連結する側面と、を有する金属端子と、
前記外部電極と前記第一主面との間に配置されると共に、前記外部電極と前記金属端子とを電気的かつ物理的に接続する接合材と、を備え、
前記金属端子は、前記第一主面を含む第一金属層と、前記第二主面を含む第二金属層と、前記側面を含む端子本体と、を有し、
前記側面上では、前記端子本体が露出すると共に、前記第一金属層と前記第二金属層とが離間し、
前記第一金属層と前記第二金属層とのそれぞれは、Niめっき層を含み、
前記端子本体は、Cuを含み、
前記接合材は、はんだを含む、電子部品。
(付記2)
前記側面には、前記端子本体が含むCuが露出している、付記1に記載の電子部品。
(付記3)
前記側面は、前記金属端子の内側に後退する窪みを有している、付記1又は2に記載の電子部品。
(付記4)
前記端子本体の厚さは、0.05mm以上である、付記1~3のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記5)
前記Niめっきの厚さは、1~4μmである、付記1~4のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記6)
前記第一金属層は、前記第一主面を構成するSnめっき層を含み、
前記第二金属層は、前記第二主面を構成するSnめっき層を含む、付記1~5のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記7)
前記電子部品本体は、前記素体内に配置されると共に前記外部電極に電気的かつ物理的に接続される内部導体を更に有し、
前記内部導体は、
前記外部電極に物理的に接続される第一領域と、
前記第一領域に連続し、かつ、前記第一領域の幅より大きい幅を有する第二領域と、を含み、
前記第一領域の幅方向での、前記第一領域の端縁と前記側面の端縁との最短距離は、0.5~1mmである、付記1~6のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記8)
前記電子部品本体は、前記素体内に配置されると共に前記外部電極に電気的かつ物理的に接続される内部導体を更に有し、
前記内部導体は、
前記外部電極に物理的に接続される第一領域と、
前記第一領域に連続し、かつ、前記第一領域の幅より大きい幅を有する第二領域と、を含み、
前記第一領域の幅方向での、前記第一領域の端縁と前記端子本体の端縁との最短距離は、0.34~0.88mmである、付記1~6のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記9)
前記電子部品本体は、前記素体内に配置されると共に互いに対向する複数の内部導体を更に有し、
前記金属端子は、
前記外部電極に接続されると共に前記複数の内部導体が互いに対向する方向に延在する第一部分と、
前記複数の内部導体が互いに対向する前記方向と交差する方向に延在する第二部分と、を含む、付記1~8のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記10)
前記金属端子は、
前記外部電極に接続されると共に第一方向に延在する第一部分と、
前記第一方向と交差する第二方向に延在する第二部分と、を含み、
前記側面は、
前記第一部分において前記第一方向に延在する第一面と、
前記第一面に連続すると共に前記第二部分において前記第二方向に延在する第二面と、を含む、付記1~9のいずれか一つに記載の電子部品。
【符号の説明】
【0109】
1…素体、2,3…接合材、7,8…端子本体、11,12…内部導体、21,22…外部電極、31,32…主面、33,34…側面、33a,33b,34a,34b…面、37,38…金属層、51,52…主面、53,54…側面、D1…第一方向、D2…第二方向、E1a,E1b,E2a,E2b…領域、ED1…電子部品、MD1…電子部品本体、P1a,P1b,P2a,P2b…部分、T1,T2…金属端子。