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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038853
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】電池モジュールの冷却構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6563 20140101AFI20240313BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240313BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240313BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240313BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240313BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240313BHJP
【FI】
H01M10/6563
H01M50/209
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/625
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143176
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】木村 真一
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
(57)【要約】
【課題】従来の電池モジュールの冷却構造では、風路としてのチャンバの剛性が得られ難く、シール不良により冷却不良が発生する恐れがあるという課題がある。
【解決手段】
本発明の電池モジュール11の冷却構造10では、隣り合う電池モジュール11の間にチャンバ22が配設され、チャンバ22は、シール部42を介して電池モジュール11間に挟まれた状態となると共に、電池モジュール11と連通状態となる。そして、チャンバ22の本体部41には、高さ方向に架橋する補強リブ部43が形成される。この構造により、チャンバ22の本体部41は、補強リブ部43により所望の剛性が実現され、車両13の振動等を受けても変形し難く、風路としてのシール性が向上される。また、1個のチャンバ22にて2組の電池モジュール11へと冷却用空気を供給することが可能となり、部品点数が低減され、製造コストが低減される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルから構成される電池モジュールと、
前記電池モジュールに送風される冷却用空気を流す吸気ダクトと、
前記吸気ダクトと連通し、隣り合う前記電池モジュール間に配設されるチャンバと、を備え、
前記チャンバは、
前記電池モジュールの配列方向の両端部が開口した箱状体であり、前記電池モジュールのそれぞれと連通状態となる本体部と、
前記本体部と前記電池モジュールとの連結領域に配置されるシール部と、
前記本体部の内部空間に形成され、前記本体部をその高さ方向に架橋する補強リブ部と、
を有し、
前記本体部は、前記電池モジュールの間に挟まれた状態にて支持され、
前記冷却用空気は、前記チャンバを経由して前記電池モジュールへと送風されることを特徴とする電池モジュールの冷却構造。
【請求項2】
前記補強リブ部は、前記本体部の前記内部空間に複数箇所に渡り形成され、
前記本体部の前記内部空間は、前記補強リブ部により区画されることなく連続した空間となることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュールの冷却構造。
【請求項3】
前記電池モジュール及び前記チャンバは、電池ケース内に収納され、
前記補強リブ部の下方には、チャンバ固定部が形成され、
前記チャンバ固定部は、前記電池ケースに設けられた取付け孔に対して抜き差し可能なクリップであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池モジュールの冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバッテリパックの冷却構造として、例えば、特許文献1に記載の構造が知られている。
【0003】
バッテリパックは、複数のバッテリスタックを有し、バッテリスタックは、バッテリスタック内のバッテリセルの積層方向と直交する方向に配列される。そして、バッテリパックは、ケースフレームを有し、ケースフレームは、バッテリパックの周囲を取り囲む枠体として構成される。
【0004】
バッテリパックの冷却構造は、隣接するバッテリスタック間であり、バッテリスタックの側部の間の空間部に形成される。具体的には、バッテリスタックは、ケースフレームの梁部の上面に載置される。そして、梁部と一体に形成されたヒレ状部及びフランジ部が、バッテリスタックの側部の間の空間部内に配設される。
【0005】
上記空間部は、梁部から上方へと直線状に延在するヒレ状部により、吸気通路と排気通路へと区画される。そして、隣接する片側のバッテリスタックには、吸気通路を介して冷却風が供給される。また、隣接するもう一方のバッテリスタックを通過した冷却風は、排気通路を介してバッテリパックの外部へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-244877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のバッテリパックの冷却構造では、ヒレ状部及びフランジ部が、バッテリスタックの側部の間の上記空間部内に配設される。空間部の天面側は、フランジ部により塞がれ、上記空間部の底面側は、梁部により塞がれる。そして、ヒレ状部及びフランジ部は、断面視略T字形状でありバッテリスタックの長手方向へと延在する。
【0008】
上記ヒレ状部及びフランジ部による構造は、例えば、材質が樹脂の場合等、その材質によっては、その断面形状からも剛性不足となり易く、例えば、車両の走行中の振動が加わることで、あるいは、上記振動に起因してバッテリスタックの側部から応力を受けることで、ヒレ状部やフランジ部が撓み、あるいは捻じれ易くなる。その結果、フランジ部が、組付け時の固定位置からズレることで、上記空間部でのシール不良が発生する恐れがあるという課題がある。そして、上記シール不良が発生した場合には、冷却風が空間部外へと漏れ出し、バッテリスタックの冷却不良が発生する恐れがある。
【0009】
また、ケースフレームは、梁部と対向するように固定用フレームを有する。固定用フレームが、上記空間部の上方に配置され、バッテリスタックを上記枠体の下フレームに押し付けることで、バッテリスタックがケースフレームに対して固定される。そして、固定用フレームを構成するスタックボルトは、フランジ部に対して溶接固定される。
【0010】
この構造により、バッテリパックでは、固定用フレームによる部品点数が増加すると共に、その組付け工程も増えることで、製造コストが増大し、バッテリパック全体の質量が増大するという課題がある。
【0011】
また、従来の冷却構造では、上記空間部が、ヒレ状部により吸気通路と排気通路へと区画され、隣り合うバッテリスタックが、空間として分断される構造となる。この構造により、風路断面積が狭まり、冷却風の流れによっては、バッテリスタック全体に対して冷却風を均一に供給することが難しくなる場合があり、局所的な過熱状態が発生する恐れがあるという課題がある。一方、上記課題を解決するために、吸気通路と排気通路とを一体にし、風路断面を広げることが考えられる。しかしながら、ヒレ状部は、上記スタックボルトが溶接されるフランジ部を支持する機能を有している。そのため、単純に、ヒレ状部を省略する構造では、そもそもフランジ部が支持されない構造となると共に、ケースフレーム自体の剛性や上記冷却構造10の剛性が劣化するという新たな課題が発生してしまう。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、隣り合う電池モジュール間にチャンバを配設し、冷却ダクトからの冷却用空気が上記チャンバを介してその両側の電池モジュールへと供給される電池モジュールの冷却構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造では、複数の電池セルから構成される電池モジュールと、前記電池モジュールに送風される冷却用空気を流す吸気ダクトと、前記吸気ダクトと連通し、隣り合う前記電池モジュール間に配設されるチャンバと、を備え、前記チャンバは、前記電池モジュールの配列方向の両端部が開口した箱状態であり、前記電池モジュールのそれぞれと連通状態となる本体部と、前記本体部と前記電池モジュールとの連結領域に配置されるシール部と、前記本体部の内部空間に形成され、前記本体部をその高さ方向に架橋する補強リブ部と、を有し、前記本体部は、前記電池モジュールの間に挟まれた状態にて支持され、前記冷却用空気は、前記チャンバを経由して前記電池モジュールへと送風されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造では、隣り合う電池モジュールの間にチャンバが配設され、チャンバは、シール部を介して電池モジュール間に挟まれた状態となると共に、電池モジュールと連通状態となる。そして、チャンバの本体部の内部空間には補強リブ部が形成される。この構造により、チャンバの本体部は、補強リブ部により所望の剛性が実現され、車両の振動等を受けても変形し難く、風路としてのシール性が向上される。また、1個のチャンバにて2組の電池モジュールへと冷却用空気を供給することが可能となり、部品点数が低減され、製造コストや電池パック全体の質量が低減される。また、チャンバを電池モジュールへと締結して固定する作業が不要となり、部品点数が低減すると共に、チャンバの組み付け作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造を備えた電池パックを搭載した車両を説明する斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造を備えた電池パックを説明する斜視図である。
図3】本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造に用いられる電池モジュールを説明する斜視図である。
図4A】本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造に用いられるチャンバを説明する斜視図である。
図4B】本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造に用いられるチャンバを説明する側面図である。
図5A】本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造に用いられる電池モジュールを説明する断面図である。
図5B】本発明の一実施形態である電池モジュールの冷却構造に用いられる電池モジュールを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る電池モジュール11の冷却構造10を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、紙面前後方向は電池モジュール11の短手方向幅方向を示し、紙面左右方向は電池モジュール11の長手方向の幅方向を示し、紙面上下方向は電池モジュール11の高さ方向の幅方向を示す。
【0017】
図1は、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10を備えた電池パック12を搭載する車両13を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10を備えた電池パック12を説明する斜視図である。図3は、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10に用いられる電池モジュール11を説明する斜視図である。図4Aは、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10に用いられるチャンバ22を説明する斜視図である。図4Bは、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10に用いられるチャンバ22を説明する側面図である。図5Aは、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10を説明する断面図であり、図2に示す電池パック12のA-A線方向の断面図である。図5Bは、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10を説明する断面図であり、図2に示す電池パック12のB-B線方向の断面図である。
【0018】
図1に示す如く、自動車や電車等の車両13には、モータや様々の電装部品に電力を供給するための電池パック12(図2参照)が搭載される。車両13として自動車の場合には、近年、EV(Electrical Vehicle)、HEV(Hybrid Electrical Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electrical Vehicle)等が普及している。
【0019】
また、電池パック12は、例えば、車両13の後方のリアフロア下方の収納スペース14に配設される。尚、電池パック12は、リアフロア下方の収納スペース14に配設される場合に限定されるものではなく、車両13の運転席や助手席が配設されるフロントフロア等の下方の収納スペースに配設される場合でも良い。また、電池パック12の収納時の方向は、収納スペース14の形状に応じて任意の設計変更が可能である。
【0020】
図2に示す如く、電池パック12は、主に、2組の電池モジュール11と、電池モジュール11を収納する電池ケース21と、2組の電池モジュール11間に配設されるチャンバ22と、を備える。そして、チャンバ22は、電池ケース21の天面側から吸気ダクト23と連通する。尚、図示していないが、電池モジュール11の上面には、電池モジュール11を構成する複数の電池セルと接続するバスバ等が配設される。また、電池モジュール11は、電池ケース21内にて電子機器であるBCU(Battery Control Unit)やジャンクションボックスと電気的に接続する。ここで、本願発明の電池モジュール11の配列方向は、紙面前後方向に対応する。
【0021】
図3に示す如く、電池モジュール11は、電気的に接続された複数の電池セル31を備える。複数の電池セル31は、電池モジュール11の枠体部32の内部にセパレータ(図示せず)を介して位置固定される。そして、電池セル31は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の2次電池である。個々の電池セル31は、例えば、角型平板形状であり、電池モジュール11の長手方向(紙面左右方向)に積層して配置される。また、電池セル31としては、上記ニッケル水素電池やリチウムイオン電池に限定されるものではなく、その他、全固体電池等でも良い。尚、本願発明の電池セル31の積層方向は、紙面左右方向に対応する。
【0022】
図示したように、枠体部32の長手方向の側面33には、冷却用空気を電池モジュール11の内部へと流し込むための吸気口35が形成される。一方、枠体部32の長手方向の側面34には、冷却用空気を電池モジュール11の外部へと排出するための排気口36が形成される。
【0023】
また、一点鎖線30は、側面33のチャンバ22のシール部42(図4A参照)との当接領域を示すが、吸気口35は、側面33の上記当接領域よりも内側に形成される。詳細は後述するが、チャンバ22の本体部41(図4A参照)は、シール部42を介して側面33と当接することで、チャンバ22の内部空間45(図4A参照)が形成される。尚、排気口36の形成領域は、側面34に対して特に規制されないが、電池モジュール11内部の冷却用空気の排気性が考慮され、吸気口35と略同一形状に形成される。
【0024】
図4Aに示す如く、チャンバ22は、主に、本体部41と、本体部41の開口部41A,41Bに沿って形成されるシール部42と、本体部41に形成される補強リブ部43と、本体部41を電池ケース21(図2参照)等に固定するチャンバ固定部44(図4B参照)と、を備える。
【0025】
本体部41は、例えば、熱可塑性樹脂等の樹脂材料から形成される絶縁性の箱状体である。本体部41は、2組の電池モジュール11の側面33の間に配設され、本体部41の短手方向(紙面前後方向)の端部には、それぞれ開口部41A,41Bが形成される。そして、本体部41の天面41Dには、吸気ダクト23と連通するための吸気開口部41Cが形成される。
【0026】
シール部42は、例えば、可撓性を有するゴム材料から形成され、本体部41の開口部41A,41Bに沿って1周に渡り配設される。そして、本体部41が、2組の電池モジュール11間に挟まれた状態にて設置されることで、シール部42が、枠体部32の側面33に対して密着状態となる。この構造により、本体部41の開口部41A,41Bは、それぞれ側面33により塞がれた状態となり、チャンバ22の内部空間45が形成される。
【0027】
図示したように、本体部41には、本体部41の天面41Dと底面41Eとを架橋するように、補強リブ部43が形成される。補強リブ部43が、本体部41の長手方向(紙面左右方向)の両端部近傍及び中央部の3箇所に形成される。そして、補強リブ部43は、本体部41の短手方向(紙面前後方向)を塞ぐことなく、本体部41の内部空間45内に形成される。
【0028】
この構造により、本体部41の内部空間45は、補強リブ部43により塞がれることなく、その長手方向に渡り連通状態となる。そして、吸気開口部41Cから内部空間45へと流入した冷却用空気は、内部空間45の全体へと送風される。詳細は後述するが、冷却用空気が、流路断面積も確保され、内部空間45の全体へと送風されることで、電池モジュール11に対しても全体に渡り冷却用空気が供給され、複数の電池セル31が、偏りなく冷却される構造が実現される。
【0029】
図4Bに示す如く、補強リブ部43は、例えば、樹脂成形により本体部41と一体構造として形成される。補強リブ部43は、本体部41の底面41Eの下方側まで延在して形成される。そして、補強リブ部43の先端部には、それぞれチャンバ固定部44としてのクリップ46が配設される。クリップ46は、補強リブ部43に対して一端側が固定されると共に、その先端側が電池ケース21(図2参照)の底面側に設けられた取付け孔54(図5A参照)に対して差し込まれる。
【0030】
この構造により、本体部41は、クリップ46を取付け孔54に対して差し込むことで、電池ケース21に固定される。つまり、本体部41が、ボルト等を用いて電池ケース21に対して締結して固定する作業が不要となり、作業者負担が低減される。また、本体部41の組み付け作業時に、クリップ46が補強リブ部43の下方に位置することで、差し込み力がクリップ46へと確実に伝達され、作業性が向上される。
【0031】
図示したように、本体部41には、電池モジュール11の側面33に沿って大きな開口部41A,41Bが形成されると共に、本体部41は、電池モジュール11の長手方向へと延在した形状となる。そして、上述したように、本体部41は、2組の電池モジュール11の間に挟持され、シール部42が、側面33と密着した構造となる。
【0032】
そこで、本実施形態の本体部41では、複数の補強リブ部43が、本体部41の長手方向に配置されると共に、本体部41の天面41Dと底面41Eとを架橋する。この構造により、チャンバ22として所望の剛性が実現される。そして、電池モジュール11やチャンバ22に車両13の振動等が加わった際にも、チャンバ22が歪む等の変形が発生し難くなり、シール部42におけるシール性が悪化することが防止される。
【0033】
また、本体部41が、電池モジュール11の側面33等に対してボルト等を用いて締結して固定されることがなく、部品点数が削減されることで、製造コストが低減されると共に、電池パック12全体の質量が低減される。
【0034】
図5Aに示す如く、本実施形態の電池モジュール11の冷却構造10では、送風機(図示せず)を介して、吸気ダクト23内を流れる冷却用空気が、吸気開口部41Cからチャンバ22の本体部41内へと送風される。そして、チャンバ22の内部空間45は、シール部42を介して電池モジュール11の側面33と当接して形成される。この構造により、本体部41は、風路として十分な広さの流路断面積が確保されると共に、両側の電池モジュール11に対して連通状態となる。そして、矢印51にて示すように、本体部41に送風された冷却用空気は、大きな流路抵抗を受け難く、本体部41の内部空間45内の全体へと送風される。
【0035】
一方、電池モジュール11の側面33には、シール部42との当接領域よりも内側に吸気口35が形成される。そして、チャンバ22の内部空間45と電池モジュール11の内部空間とは、開口部41A,41B(図4A参照)及び吸気口35を介して連通状態となる。
【0036】
更には、チャンバ22は、その長手方向(紙面左右方向)において、電池モジュール11の両端部よりも外側へと飛び出すことなく、電池モジュール11の配置領域の内側に配設される。この構造により、電池パック12の体格が拡大することが防止され、電池モジュール11の製造コストが増大することが防止され、電池パック12全体の質量が増大することが防止される。
【0037】
図5Bに示す如く、複数の電池セル31は、セパレータを介して電池モジュール11の長手方向に一定間隔の隙間を有した状態にて積層される。そして、矢印52にて示すように、チャンバ22から電池モジュール11の内部空間へと送風された冷却用空気は、各電池セル31間を流れた後、電池モジュール11の側面34の排気口36から電池ケース21内へと排出される。
【0038】
この構造により、冷却用空気が、チャンバ22と電池モジュール11との間から電池ケース21内へと流れ出すことが防止される。そして、電池モジュール11の長手方向の端部近傍に配設される電池セル31に対しても冷却用空気が、出来る限り均一に供給されることで、電池セル31が局所的に過熱状態となり、電池モジュール11が故障することが防止される。
【0039】
また、チャンバ22は、2組の電池モジュール11の間に配設され、チャンバ22内の冷却用空気は、2組の電池モジュール11に対して供給される。この構造により、電池パック12全体の大きさが縮小され、収納スペースを確保し易くなると共に、電池パック12全体の質量が低減される。
【0040】
最後に、図示したように、チャンバ22は、電池ケース21の底面に配置された固定用ブラケット53の取付け孔54に対して、クリップ46により固定される。一方、電池モジュール11は、電池ケース21の底面に配置された固定用ブラケット55に対して長手方向の両端部側にて、例えば、ボルト等により締結して固定される。この構造により、シール部42が、電池モジュール11の側面33間にて押圧された状態となり、シール性が維持され易い構造となる。また、本体部41も、上述した補強リブ部43と併せて、電池モジュール11間にて押圧状態にて支持されることで、車両13の振動等により変形し難くなる。
【0041】
尚、本実施形態では、チャンバ22と吸気ダクト23とが別体として形成され、組み付けられることで、両部材が連通状態となる場合について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、チャンバ22が、吸気ダクト23の一部として一体に形成される場合でも良い。チャンバ22の流路断面は、吸気ダクト23の流路断面も大きい形状となることで、チャンバ22内を流れる冷却用空気が整流されると共に、電池モジュール11の全体に対して出来る限り均一に冷却用空気が供給される。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 冷却構造
11 電池モジュール
12 電池パック
13 車両
14 収納スペース
21 電池ケース
22 チャンバ
23 吸気ダクト
31 電池セル
32 枠体部
33,34 側面
35 吸気口
36 排気口
41 本体部
41A,41B 開口部
41C 吸気開口部
41D 天面
41E 底面
42 シール部
43 補強リブ部
44 チャンバ固定部
45 内部空間
46 クリップ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B