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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038861
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】電極形成システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240313BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240313BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240313BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240313BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240313BHJP
   B05C 19/00 20060101ALI20240313BHJP
   B65G 65/40 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
H01M4/139
B05C5/02
B05C11/10
B05C11/00
B05C13/02
B05C19/00
B65G65/40 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143186
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】石田 悠
(72)【発明者】
【氏名】浅野 晴光
(72)【発明者】
【氏名】横山 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】森實 仁晃
(72)【発明者】
【氏名】江守 悠祐
(72)【発明者】
【氏名】島田 昌典
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
【テーマコード(参考)】
3F075
4F041
4F042
5H050
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB01
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB05
4F041BA12
4F041BA32
4F041BA34
4F041CA02
4F041CA16
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB03
4F042BA04
4F042BA05
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA01
4F042CB05
4F042CB11
4F042DF01
4F042DF22
4F042DH09
4F042EC04
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA07
5H050GA29
(57)【要約】
【課題】基材上に供給される粉体の周期的なムラの発生を抑制する電極形成システムを提供する。
【解決手段】電極形成システムは、基材に粉体を供給し、電極を形成する電極形成システムであって、第1の電動のアクチュエータと、第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なボールねじ機構とを有し、基材を搬送路に沿って搬送する搬送装置と、粉体を貯留する貯留容器と、第2の電動のアクチュエータによって動作し、貯留容器の下端に設けられ、基材が通過可能な搬送路上の対象領域に対して貯留容器内の粉体を掻き出すローラと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に粉体を供給し、電極を形成する電極形成システムであって、
第1の電動のアクチュエータと、前記第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なボールねじ機構とを有し、前記基材を前記搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記粉体を貯留する貯留容器と、
第2の電動のアクチュエータによって動作し、前記貯留容器の下端に設けられ、前記基材が通過可能な前記搬送路上の対象領域に対して前記貯留容器内の前記粉体を掻き出すローラと、
を備える、電極形成システム。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記基材を載置する載置台と、前記搬送路に沿って延在し、前記載置台を前記搬送路に沿って案内可能なガイド機構と、を有する、請求項1に記載の電極形成システム。
【請求項3】
基材に粉体を供給し、電極を形成する電極形成システムであって、
第1の電動のアクチュエータと、前記第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なベルト機構と、前記基材を載置する載置台と、前記搬送路に沿って延在し、前記載置台を前記搬送路に沿って案内可能なガイド機構とを有し、前記基材を前記搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記粉体を貯留する貯留容器と、
第2の電動のアクチュエータによって動作し、前記貯留容器の下端に設けられ、前記基材が通過可能な前記搬送路上の対象領域に対して前記貯留容器内の前記粉体を掻き出すローラと、
を備える、電極形成システム。
【請求項4】
前記基材と前記ローラとの距離を計測する距離センサと、
前記対象領域の直上において前記貯留容器を昇降可能に支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記距離センサによって計測された前記距離に応じて前記貯留容器を昇降させる第3の電動のアクチュエータを含む、請求項1~3の何れか一項に記載の電極形成システム。
【請求項5】
前記基材の搬送位置を計測する位置計測部をさらに備え、
前記搬送装置は、前記位置計測部によって計測された前記基材の搬送位置に応じて前記基材の搬送速度を制御する、請求項1~3の何れか一項に記載の電極形成システム。
【請求項6】
前記基材の搬送位置を計測する位置計測部をさらに備え、
前記ローラは、前記位置計測部によって計測された前記基材の搬送位置に応じて回転速度を制御する、請求項1~3の何れか一項に記載の電極形成システム。
【請求項7】
前記ローラは、前記搬送装置による前記基材の搬送速度に応じて回転速度を制御する、請求項1~3の何れか一項に記載の電極形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極組成物を基材上に供給するリチウムイオン電池用電極の製造装置が記載されている。この装置は、基材が設置されるベルトコンベアと、粉体の電極組成物を基材上に供給する供給手段と、供給手段と基材との相対位置を移動させるラック・アンド・ピニオンとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-044154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のリチウムイオン電池用電極の製造装置において、硬質のラックとピニオンとが嵌合及び離合を繰り返すため、摩耗等によって歯面間の隙間に変化が生じ、周期的な振動がピニオンに伝わるおそれがある。このため、ラック・アンド・ピニオンによって移動する基材に粉体を供給した場合、基材に供給された粉体の層において、周期的な厚薄の違い(ムラ)が生じる場合がある。
【0005】
本開示は、基材上に供給される粉体の周期的なムラの発生を抑制する電極形成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電極形成システムは、基材に粉体を供給し、電極を形成する。電極形成システムは、搬送装置、貯留容器、及び、ローラを備える。搬送装置は、第1の電動のアクチュエータと、第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なボールねじ機構とを有し、基材を搬送路に沿って搬送する。貯留容器は、粉体を貯留する。ローラは、第2の電動のアクチュエータによって動作し、貯留容器の下端に設けられ、基材が通過可能な搬送路上の対象領域に対して貯留容器内の粉体を掻き出す。
【0007】
この電極形成システムでは、電極が形成される基材は、搬送装置によって搬送路に沿って搬送される。第2の電動のアクチュエータによって動作するローラによって貯留容器内から掻き出された粉体は、搬送路上の対象領域を通過する基材に供給される。ここで、搬送装置は、第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なボールねじ機構を有する。すなわち、搬送装置は、歯面間の隙間に変化が生じるおそれのあるラック・アンド・ピニオンを用いることなく、基材を搬送できる。このため、搬送装置による周期的な振動の発生が抑制され、搬送路に沿った方向の移動が断続的な移動となることを抑制できる。よって、この電極形成システムは、基材上に供給される粉体の周期的なムラの発生を抑制できる。また、搬送装置及びローラがそれぞれ電動のアクチュエータで動作することによって、搬送装置及びローラがそれぞれ油圧又は空圧のアクチュエータによって動作する場合に比べて、搬送装置及びローラの動作がそれぞれ精密に制御される。よって、この電極形成システムでは、搬送装置によって基材が円滑に搬送路に沿って搬送されると共に、基材に供給される粉体の量の変動を抑制できる。
【0008】
一実施形態に係る電極形成システムでは、搬送装置は、基材を載置する載置台と、搬送路に沿って延在し、載置台を搬送路に沿って案内可能なガイド機構と、を有してもよい。この場合、ガイド機構が延在する方向以外の方向への載置台の移動が抑制されるため、載置台に載置された基材は、安定して搬送路に沿って搬送される。よって、この電極形成システムは、基材上に供給される粉体のムラの発生を抑制できる。
【0009】
一実施形態に係る電極形成システムは、基材とローラとの距離を測定する距離センサと、対象領域の直上において貯留容器を昇降可能に支持する支持部と、を備え、支持部は、距離センサによって計測された距離に応じて貯留容器を昇降させる第3の電動のアクチュエータを含んでもよい。この電極形成システムは、距離センサと第3の電動のアクチュエータとによって、基材とローラとの距離を適切に調整することができるため、基材上の粉体の層の厚さを均一にできる。よって、この電極形成システムは、基材上に供給される粉体のムラの発生をより抑制できる。また、支持部が第3の電動のアクチュエータによって昇降することによって、支持部が油圧又は空圧のアクチュエータによって昇降する場合に比べて、支持部の昇降が精密に制御される。よって、この電極形成システムでは、基材に対する貯留容器の位置決めを高精度に行うことができ、基材に供給される粉体の量の変動を抑制できる。
【0010】
一実施形態に係る電極形成システムは、基材の搬送位置を計測する位置計測部をさらに備え、搬送装置は、位置計測部によって計測された基材の搬送位置に応じて基材の搬送速度を制御してもよい。この電極形成システムでは、基材の搬送速度が制御されるため、基材の場所に応じて供給される粉体の量を調整できる。よって、この電極形成システムは、基材上の粉体の粗密を制御できる。
【0011】
一実施形態に係る電極形成システムは、基材の搬送位置を計測する位置計測部をさらに備え、ローラは、位置計測部によって計測された基材の搬送位置に応じて回転速度を制御してもよい。ローラの回転速度を制御することで、貯留装置から基材に供給される粉体の量を調整できる。この電極形成システムでは、基材の位置に応じて貯留容器から供給する粉体の量を調整できる。よって、この電極形成システムは、基材上の粉体の粗密を制御できる。
【0012】
一実施形態に係る電極形成システムでは、ローラは、搬送装置による基材の搬送速度に応じて回転速度を制御してもよい。ローラの回転速度を制御することで、貯留装置から基材に供給される粉体の量を調整できる。この電極形成システムは、搬送速度に応じて供給される粉体の量を調整することで、基材上の粉体の粗密をより精密に制御できる。
【0013】
別の実施形態に係る電極形成システムによれば、基材に粉体を供給し、電極を形成する。電極形成システムは、搬送装置、貯留容器、及び、ローラを備える。搬送装置は、第1の電動のアクチュエータと、第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なベルト機構と、基材を載置する載置台と、搬送路に沿って延在し、載置台を搬送路に沿って案内可能なガイド機構とを有し、基材を搬送路に沿って搬送する。貯留容器は、粉体を貯留する。ローラは、第2の電動のアクチュエータによって動作し、貯留容器の下端に設けられ、基材が通過可能な搬送路上の対象領域に対して貯留容器内の粉体を掻き出す。
【0014】
この電極形成システムでは、搬送装置は、第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なベルト機構と、載置台と、ガイド機構とを有する。この電極形成システムは、上述のボールねじ機構を有する搬送装置を備える電極形成システムと同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る電極形成システムによれば、基材上に供給される粉体の周期的なムラの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る電極形成システムの一例を示す概略側面図である。
図2図2は、図1のII-II線で示される実施形態に係る電極形成システムの一例を示す概略平面図である。
図3図3は、実施形態に係る電極形成システムによる電極形成方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る電極形成システムにおけるローラの回転速度の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「前」「後」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0018】
[電極形成システムの概要]
図1は、実施形態に係る電極形成システムの一例を示す概略側面図である。図2は、図1のII-II線で示される実施形態に係る電極形成システムの一例を示す概略平面図である。図中のX軸及びY軸が水平方向の座標軸であり、Z軸が鉛直方向の座標軸である。X軸に沿った方向、Y軸に沿った方向及びZ軸に沿った方向は、3次元空間の直交座標系において互いに直交する。以下ではZ軸に沿った方向を上下方向ともいう。
【0019】
図1に示される電極形成システム1は、基材10に粉体15を供給して電極を形成するシステムである。基材10は、電池を構成する部材であって、例えば集電体である。一例として、基材10は、X軸に沿った方向及びY軸に沿った方向に延在する長方形状の天面を有し、基材10のX軸に沿った方向の長さは約500mmであり、基材10のY軸に沿った方向の長さは約1200mmである。粉体15は、電極材料であって、例えば電極活物質である。電極活物質は、一例として、リチウムイオンを含む金属酸化物である。電極形成システム1は、基材10上に粉体15の塗膜(層)を形成することで、電極を形成する。塗膜の厚さは、例えば0.1mm以上2.0mm以下である。
【0020】
電極形成システム1は、搬送装置20を備える。搬送装置20は、基材10を搬送路3に沿って搬送する。搬送路3は、基材10が搬送される経路である。図1に示される搬送路3は、Y軸に沿って延在する。搬送装置20は、基材10を載置する載置台21と、搬送路3に沿って延在し、載置台21を搬送路3に沿って案内可能なガイド機構22とを有する。
【0021】
載置台21は、基材10を載置し、搬送路3に沿って移動可能である。載置台21は、X軸及びY軸に沿って延在する板状の部材である。載置台21は、例えば、その上面に基材10と、基材10を上方から覆うマスク部材11とを載置可能である。基材10は、載置台21上に設けられた不図示のフィルム上に載置されてもよい。
【0022】
マスク部材11は、基材10に対して粉体15を供給しない領域を覆う板状の部材である。一例として、マスク部材11のX軸に沿った方向の外縁の長さは約500mmであり、マスク部材11のY軸に沿った方向の外縁の長さは約1200mmである。マスク部材11は、例えば、粉体15を供給可能な2つの供給領域10aがY軸に沿った方向に隣り合って並ぶように、基材10の外縁部分と基材10の中央部分とを覆う枠状を呈する。これにより、電極形成システム1によって1つの基材10に2つの電極が形成される。なお、基材10に設けられる供給領域10aの数は、2つに限定されない。基材10には、供給領域10aの面積を変更することなく、2つの供給領域10aを1つの供給領域10aとしてもよいし、3つ以上の供給領域10aとしてもよい。つまり、供給領域10aの数は任意に設定される。さらに、電極形成システム1によって1つの基材10に形成される電極の数は限定されず、供給領域10aの数に応じて1つの基材10に対して1又は複数の電極が形成される。基材10、マスク部材11及び載置台21は、1つの基材10に対して設けられる供給領域10aの数、大きさ及び形状に応じて、大きさ及び形状が適宜調整される。
【0023】
2つの供給領域10aは、Y軸に沿った方向において当該中央部分を挟んで互いに隣接する。各供給領域10aのX軸に沿った方向の長さは約400mm、各供給領域10aのY軸に沿った方向の長さは約500mmである。供給領域10aのサイズは、基材10上に形成する電極のサイズに応じて設定される。一例として、基材10の中央部分は、2つの供給領域10aに挟まれ、X軸に沿った方向に500mm延在し、Y軸に沿った方向に約50mmの幅を有する部分である。一例として、基材10の外縁部分は、基材10においてX軸に沿った方向に500mm延在する各端辺(外縁)を基準としてY軸に沿った方向に約75mmの幅を有する部分である。一例として、基材10の外縁部分は、基材10においてY軸に沿った方向に1200mm延在する各端辺(外縁)を基準としてX軸に沿った方向に約50mmの幅を有する部分である。マスク部材11は、電極形成システム1によって基材10に粉体15が供給される前に基材10上に設置される。例えば、平面視において載置台21内に収まるように基材10が設置され、載置台21内に収まるようにマスク部材11が設置される。
【0024】
ガイド機構22は、Y軸に沿って載置台21を案内する。ガイド機構22は、例えばリニアガイドである。ガイド機構22は、一対のガイドレール23,23と、一対のガイド保持部24,24とを有する。一対のガイドレール23,23は、Y軸に沿って延在する。一対のガイドレール23,23は、例えば、載置台21のX軸に沿った方向における両端部の直下に位置するよう、X軸に沿った方向において所定の幅だけ離間して設けられる。一対のガイド保持部24,24は、載置台21に固定される。例えば、一対のガイド保持部24,24は、載置台21のX軸に沿った方向における両端部の下面に固定される。
【0025】
搬送装置20は、駆動機構30、及び、ボールねじ機構31を有する。駆動機構30は、ボールねじ機構31を駆動させる。駆動機構30は、例えば第1の電動のアクチュエータである。電動のアクチュエータとは、一例として電動モータである。
【0026】
ボールねじ機構31は、駆動機構30の回転を搬送路3に沿った方向の運動に連続的に変換できる。ボールねじ機構31は、移動軸32と移動部材33とを有する。移動軸32は、例えば長尺なねじ軸であって、Y軸に沿って延在する。移動軸32は、不図示の軸受によって中心軸回りに回転可能に支持される。移動軸32の周面は、連続してねじ切りが形成されている。移動軸32は、駆動機構30に接続され、駆動機構30の駆動によって回動する。
【0027】
移動部材33は、載置台21に固定されており、移動軸32に対して回動可能に設けられる。移動部材33は、例えば、載置台21の下面に固定される。移動部材33は、駆動機構30による動力によって移動軸32が回転することによってY軸に沿って移動する。移動部材33は、例えば、雌ねじ又はナットブラケットである。移動軸32のねじ切りが連続して形成されているため、移動部材33は、移動軸32の前端部と後端部との間において螺合し続ける。
【0028】
移動軸32が正回転(例えば右回転)したときに、その回転に伴って、移動部材33が載置台21とともにY軸正方向(前方)に沿って移動する。移動軸32が反転(例えば左回転)したときには、その回転に伴って、移動部材33が載置台21とともにY軸負方向(後方)に沿って移動する。駆動機構30の回転は、移動軸32の回転によって移動部材33のY軸に沿った運動に連続的に変換される。移動部材33がY軸に沿って移動することにより、移動部材33に固定された載置台21、及び載置台21に載置されている基材10は、Y軸に沿って移動できる。本実施形態の載置台21及び基材10は、粉体15の供給時に前方に向かって搬送される。
【0029】
電極形成システム1は、貯留容器40及びローラ50を備える。電極形成システム1は、粉体15を貯留容器40からローラ50によって掻き出し、載置台21上の基材10に対して粉体15を供給する。貯留容器40は、粉体15を貯留する。貯留容器40は、例えば、ホッパである。貯留容器40は、搬送路3の所定の位置の上方に設けられる。貯留容器40は、具体的な一例として、基材10が通過可能な搬送路3上の対象領域12の直上に設けられる。
【0030】
対象領域12は、搬送路3上の一部の領域である。対象領域12は、貯留容器40などの構成の設置する位置として任意に設定できる。対象領域12は、貯留容器40及びローラ50によって粉体15が供給される領域である。対象領域12は、例えば、搬送装置20によって搬送路3に沿って搬送される基材10の供給領域10aが通過する領域である。対象領域12は、X軸に沿った方向において、一対のガイドレール23,23の間の領域である。
【0031】
貯留容器40は、上下方向に貫通した筒状の部材である。上面視において、貯留容器40内の空間が上方に向かって広がるように、貯留容器40の前端部が傾斜している。貯留容器40の下部の外形は、直方体状を呈する。貯留容器40の形状は限定されない。貯留容器40には、上端部の流入口40aと、下端部の供給口40bとが形成される。粉体15は、流入口40a及び供給口40bを通過する。例えば、粉体15は、不図示の供給源から流入口40aを介して貯留容器40内に供給される。粉体15は、貯留容器40の供給口40bを介して下方の対象領域12に供給される。
【0032】
貯留容器40の供給口40bには、開閉ゲート41が設けられる。開閉ゲート41は、供給口40bを開閉することで、貯留容器40から基材10に供給される粉体15の量を制御する。開閉ゲート41は、例えば、X軸に沿った方向及びY軸に沿った方向に延在する板状の部材である。開閉ゲート41は、例えばY軸に沿って移動可能に設けられる。開閉ゲート41の位置は、ゲート駆動部42によって制御される。ゲート駆動部42は、例えば電動のアクチュエータである。ゲート駆動部42の駆動によって、開閉ゲート41は、開状態の位置又は閉状態の位置に移動する。
【0033】
ローラ50は、貯留容器40の下端に設けられ、対象領域12に対して貯留容器40内の粉体15を掻き出す。ローラ50は、ローラ本体部51と、回転軸52と、ローラ駆動部53とを有する。ローラ本体部51は、例えば、貯留容器40の前側の下端部に設けられ、貯留容器40内の粉体15を掻き出す。ローラ本体部51は、X軸に沿って延在する円柱状の部材である。
【0034】
ローラ本体部51の後方側は、貯留容器40の内部に位置し、粉体15と接触可能である。ローラ本体部51の前方側は、貯留容器40の外部に位置する。回転軸52は、X軸に沿って延在し、ローラ本体部51の中心に設けられる。回転軸52は、例えば、貯留容器40の下部の前面に沿って設けられる。ローラ駆動部53は、ローラ本体部51の回動を制御する。ローラ駆動部53は、例えば、第2の電動のアクチュエータである。ローラ駆動部53の駆動によって、ローラ本体部51は、回転軸52を中心に、図1の矢印R1の方向に回動する。
【0035】
開閉ゲート41は、貯留容器40の供給口40bを閉状態とする場合、ゲート駆動部42によって貯留容器40の後端部から前方に移動してローラ本体部51に当接する。このとき、開閉ゲート41は、貯留容器40の供給口40bを下方から覆うため、粉体15は、貯留容器40の供給口40bから供給されない。開閉ゲート41は、貯留容器40の供給口40bを開状態とする場合、ゲート駆動部42によってローラ本体部51から離間し、貯留容器40の後端部に向かって移動する。供給口40bが開状態のとき、ローラ本体部51が回転軸52を中心に回動して貯留容器40内の粉体15を掻き出すことで、粉体15を対象領域12に向けて円滑に供給できる。
【0036】
貯留容器40には、距離センサ60が設けられる。距離センサ60は、基材10とローラ50との距離を計測する。距離センサ60は、例えば貯留容器40の側面に設けられ、貯留容器40と共に昇降可能である。距離センサ60は、載置台21に載置された基材10とローラ本体部51との上下方向の距離を計測する。距離センサ60は、例えば、マスク部材11とローラ本体部51との距離、載置台21とローラ本体部51との距離等を計測してもよい。以下、基材10、マスク部材11及び載置台21を、測定対象と記載する場合がある。
【0037】
貯留容器40は、支持部70に支持される。支持部70は、対象領域12の直上において貯留容器40を昇降可能に支持する。支持部70は、容器支持部71と、昇降用アクチュエータ74とを備える。容器支持部71は、対象領域12の直上において貯留容器40を昇降可能に支持する。容器支持部71は、例えば、門型フレームであり、X軸に沿った方向において搬送路3を挟んで対向するように位置し、上下方向に延在する一対の柱部材72と、当該一対の柱部材の上部を連結してX軸に沿った方向に延在する梁部材73とを備える。図1では、X軸負方向に位置する柱部材72を省略している。一対の柱部材72は、例えば、一対のリニアガイドである。貯留容器40は、一対の柱部材72に案内されて昇降する。容器支持部71は、ゲート駆動部42、ローラ駆動部53、及び昇降用アクチュエータ74を支持してもよい。
【0038】
昇降用アクチュエータ74は、貯留容器40を昇降させる。昇降用アクチュエータ74は、例えば、第3の電動のアクチュエータである。昇降用アクチュエータ74が駆動することで、貯留容器40は容器支持部71に沿って上下方向に移動する。
【0039】
基材10の搬送位置は、位置計測部80によって計測される。位置計測部80は、例えば、基材10、マスク部材11及び載置台21等を含む測定対象の搬送位置を計測する。測定対象の搬送位置とは、例えば、Y軸に沿った方向において、対象領域12からの測定対象の各端部の相対位置を含む。位置計測部80は、例えば、対象領域12、又は、対象領域12より搬送路3の上流側(前方側)において、搬送路3の上方に設けられる。位置計測部80は、例えば、発光部及び画像センサを有する。位置計測部80は、発光部によってレーザ平行光を搬送路3に向かって照射し、当該レーザ平行光の反射又は陰影を画像センサで認識する。画像センサによって認識された反射光の強度、陰影の強度等によって、搬送路3上の測定対象の位置を計測する。
【0040】
制御部90は、電極形成システム1の全体を制御する。制御部90は、一例としてPLC(ProgrammableLogic Controller)として構成される。制御部90は、CPU(Central ProcessingUnit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、ハードディスクなどの補助記憶装置などを含む通常のコンピュータシステムとして構成されてもよい。
【0041】
制御部90は、例えば、作業者が操作可能な操作盤が設けられる。制御部90は、搬送装置20、貯留容器40、ローラ50、距離センサ60、支持部70及び位置計測部80と通信可能に接続される。制御部90は、搬送装置20、ローラ50、距離センサ60、支持部70及び位置計測部80へ制御信号を出力し、各構成の動作を制御する。制御部90は、予め用意されたプログラムを読み込み、搬送装置20、ローラ50、距離センサ60、支持部70及び位置計測部80を動作させる。制御部90は、操作盤(不図示)によって受け付けられた作業者のコマンド操作に応じて、制御部90は、搬送装置20、ローラ50、距離センサ60、支持部70及び位置計測部80を動作させてもよい。制御部90は、不図示の粉体15の供給源と通信可能に接続し、貯留容器40内の粉体15の量に応じて粉体15を供給するように制御信号を出力してもよい。
【0042】
制御部90は、距離センサ60によって計測された距離に応じて昇降用アクチュエータ74を動作させることができる。制御部90は、例えば、マスク部材11の形状、貯留容器40からの粉体15の供給量などに基づいて、基材10と貯留容器40とが予め定められた距離となるように、貯留容器40の上下方向の位置を調整する。貯留容器40からの粉体15の供給量は、例えば、貯留容器40内の粉体15の貯留量、開閉ゲート41の開き度合い、及び、ローラ50の回転速度等に応じて決定される。制御部90は、昇降用アクチュエータ74を駆動させて貯留容器40を昇降させ、距離センサ60によって計測された距離が予め定められた距離になった場合、昇降用アクチュエータ74の駆動を停止させる。この場合、貯留容器40は、基材10に対して予め定められた距離だけ離間した状態で容器支持部71に支持される。
【0043】
制御部90は、搬送装置20を動作させ、位置計測部80によって計測された基材10の搬送位置に応じて基材10の搬送速度を制御できる。制御部90は、例えば、基材10の供給領域10aが対象領域12内に位置するとき、基材10の供給領域10aが対象領域12外に位置するときより、基材10の搬送速度を低下させる。制御部90は、基材10とマスク部材11との境界部分に粉体15が供給されにくい場合は、基材10の搬送速度を低下させてもよい。
【0044】
制御部90は、ゲート駆動部42を動作させ、位置計測部80によって計測された基材10の搬送位置に応じて開閉ゲート41の移動を制御できる。制御部90は、例えば、基材10の供給領域10aが対象領域12内に位置するとき、基材10の供給領域10aが対象領域12外に位置するときより、開閉ゲート41の開き度合いを大きくする。制御部90は、基材10の供給領域10aが対象領域12内に位置する直前に、開閉ゲート41が開状態となるように開閉ゲート41の移動を制御してもよい。
【0045】
制御部90は、ローラ駆動部53を動作させ、位置計測部80によって計測された基材10の搬送位置に応じてローラ50の回転速度を制御できる。例えば、制御部90は、基材10の供給領域10aが対象領域12内に位置するときにローラ50(ローラ本体部51)が所定の回転速度になるように、ローラ駆動部53を駆動させる。制御部90は、基材10の供給領域10aが対象領域12外に位置するときにローラ50の回転速度が0となるように、ローラ駆動部53の駆動を停止させる。制御部90は、基材10とマスク部材11との境界部分に粉体15が供給されにくい場合は、例えばローラ50の回転速度が速くなるようにローラ駆動部53を制御してもよい。制御部90は、基材10の搬送速度に応じてローラ50の回転速度を制御してもよい。制御部90は、開閉ゲート41の開き度合いに応じてローラ50の回転速度を制御してもよい。
【0046】
[電極形成方法]
図3は、実施形態に係る電極形成システムによる電極形成方法の一例を示すフローチャートである。図3に示される本実施形態の電極形成システム1を用いた電極形成方法は、載置台21に基材10が載置された状態で、作業者の指示に基づいて制御部90によって開始される。最初に、搬送処理(S11)として、搬送装置20は、基材10を載置した載置台21を搬送路3に沿って搬送する。駆動機構30が駆動し、ボールねじ機構31の移動軸32が一方向に回動することで、移動部材33が前方(Y軸正方向)に向かって移動する。移動部材33は、載置台21の下面に固定されているため、載置台21を前方に向かって搬送する。載置台21は、ガイド機構22によって前方に案内される。駆動機構30は、例えば、基材10が対象領域12に進入するまでの搬送速度を、基材10が対象領域12に進入した後の搬送速度より速くなるように調整する。
【0047】
続いて、制御部90は、位置判定処理(S13)として、位置計測部80によって取得された測定対象の搬送位置に基づいて基材10が所定の位置を通過したか否かを判定する。
所定の位置とは、対象領域12の近傍の位置であって、所定の時間後に粉体15が供給領域10aに供給されることになる位置を指す。例えば、位置計測部80が対象領域12の後端と載置台21の前端の位置が一致したことを計測したとき、制御部90は、基材10が所定の位置を通過したと判定する。制御部90において基材10が所定の位置を通過したと判定された場合(S13:YES)、搬送装置20は基材10の搬送速度を低下させ、制御部90は次の処理に移行する。制御部90において基材10が所定の位置を通過したと判定された場合(S13:YES)、例えば、制御部90は、ゲート駆動部42に開閉ゲート41を移動させ、貯留容器40の供給口40bを所定の幅だけ開く。制御部90において基材10が所定の位置を通過したと判定されなかった場合(S13:NO)、制御部90は所定の時間後に位置判定処理(S13)を再度実行する。
【0048】
続いて、昇降用アクチュエータ74は、昇降処理(S15)として、貯留容器40が所定の位置に位置するように昇降させる。例えば、制御部90は、昇降用アクチュエータ74に、距離センサ60によって計測された基材10とローラ50との距離に応じて貯留容器40を昇降させる。昇降用アクチュエータ74は、例えば、対象領域12内の測定対象に対して一定の距離になるように、貯留容器40を昇降する。例えば、対象領域12内をマスク部材11が通過する場合、制御部90は、昇降用アクチュエータ74に、貯留容器40を上昇させて停止させる。例えば、対象領域12内を基材10の供給領域10aが通過する場合、制御部90は、昇降用アクチュエータ74に貯留容器40を下降させて停止させる。この昇降処理(S15)は、以下の他の処理が実行されている間に実行されていてもよい。
【0049】
続いて、貯留容器40及びローラ50は、供給処理(S17)として、貯留容器40から粉体15を基材10に対して供給する。供給処理(S17)は、例えば、位置判定処理(S13)から所定の時間後に実行される。所定の時間とは、位置判定処理(S13)で計測された基材10の搬送位置から対象領域12までの距離を搬送装置20による基材10の搬送速度で除した値である。供給処理(S17)は、例えば、位置計測部80によって、基材10の供給領域10aが対象領域12内に進入したと判定された場合に実行されてもよい。制御部90は、例えば、対象領域12内の基材10の供給領域10aの場所に応じて所定の量の粉体15が供給されるように、搬送装置20、ゲート駆動部42及びローラ駆動部53を制御する。対象領域12内の基材10の供給領域10aの場所に応じて所定の量の粉体15が供給されることで、基材10において所望の電極が形成される。
【0050】
搬送装置20の駆動機構30は、例えば、対象領域12内の基材10の供給領域10aの場所に応じて基材10の搬送速度が所定の速度となるように駆動する。制御部90は、対象領域12内の基材10の供給領域10aの場所に応じて、開閉ゲート41を所定の幅だけ開くように、ゲート駆動部42を動作させる。制御部90は、ローラ駆動部53に、対象領域12内の基材10の供給領域10aの場所に応じて、ローラ50を所定の回転速度で回転させる。このとき、ローラ駆動部53は、搬送装置20による基材10の搬送速度に応じてローラ50の回転速度を制御する。開閉ゲート41の開き度合い、搬送装置20による基材10の搬送速度、及び、ローラ50の回転速度の少なくとも1つは、位置計測部80によって計測された基材10の搬送位置に応じて制御される。これにより、粉体15が供給された基材10において、電極が形成される。また、供給処理(S17)の処理中において、制御部90は、位置計測部80による測定対象の搬送位置に応じて、搬送装置20による基材10の搬送速度、及び、ローラ50の回転速度を制御してもよい。
【0051】
続いて、貯留容器40及びローラ50は、供給停止処理(S19)として、貯留容器40から基材10に対する粉体15の供給を停止する。制御部90は、例えば、位置計測部80の計測結果に基づいて、基材10の供給領域10aが対象領域12外に搬出されたか否かを判定する。そして、基材10の供給領域10aが対象領域12外に搬出されたと判定された場合、供給停止処理(S19)が実行される。ゲート駆動部42は、例えば、貯留容器40から粉体15が供給されないように、開閉ゲート41を閉状態の位置に移動させる。ローラ50は、例えば、貯留容器40から粉体15が供給されないように、ローラ駆動部53は、ローラ50の回転を停止させる。
【0052】
続いて、搬送装置20は、搬出処理(S21)として、載置台21を対象領域12外へ搬出する。搬出処理(S21)が完了した場合に電極形成システム1を用いた電極形成方法が完了する。
【0053】
[ローラの回転速度の制御例]
ここで、上述の電極形成方法におけるローラ50の回転速度の制御についての具体例を説明する。以下の各構成の寸法、速度、制御のタイミング等は一例である。図4は、実施形態に係る電極形成システムにおけるローラ50の回転速度の一例を示すグラフである。図4に示されるグラフは、供給処理(S17)前後の基材10の位置とローラ50の回転速度との関係を示す。横軸は、基材10の位置(mm)であり、縦軸は、ローラ50におけるローラ本体部51の回転速度(rpm)である。基材10の位置とは、貯留容器40直下の対象領域12を通過する載置台21に載置された基材10のY軸に沿った方向における位置である。基材10のY軸に沿った方向の長さが1200mmであり、基材10上にマスク部材11が設置されている。マスク部材11は、基材10のY軸に沿った方向の前端から75mmの領域(前端から0mm以上75mm未満の領域)と、基材10のY軸に沿った方向の中央部分の領域(前端から575mm以上625mm未満の領域)と、基材10のY軸に沿った方向の後端から75mmの領域(前端から1125mm以上1200mm以下の領域)とを覆っている。すなわち、基材10は、供給領域10aとして、基材の前端から75mm以上575mm未満の第1供給領域と、基材の前端から625mm以上1125mm未満の第2供給領域とを有する。この例では、載置台21の前端の位置と基材10(マスク部材11)の前端の位置とが一致しているものとする。また、この例において、貯留容器40に対して供給源からの粉体の供給はない。制御部90は、上述した基材10、マスク部材11、粉体15、載置台21、形成する電極等に関する情報を予め取得する。
【0054】
基材10は、搬送処理(S11)において搬送装置20により搬送される。位置判定処理(S13)において基材10が所定の位置を通過したと判定された場合、対象領域12の後端(Y軸負方向の端部)の位置とマスク部材11の前端(Y軸正方向の端部)の位置とが一致している。当該判定後、昇降処理(S15)が実行されると共に、供給処理(S17)が実行される。ローラ50は、マスク部材11が対象領域12を通過する間は、低速で回転する。粉体15をマスク部材11に供給する必要はないが、基材10の第1供給領域が対象領域12の後端に進入した場合に所定の量の粉体15が供給されるように、制御部90は、ローラ50を予め回転させておく。制御部90は、例えば、基材10の前端から0mm以上70mm未満の領域が対象領域を通過する場合、ローラ50を24rpmで回転させる。
【0055】
基材10の前端から75mm以上575mm未満の第1供給領域には、所定の量の粉体15を基材10に供給する必要があるため、基材10の前端から75mmの位置が対象領域12の後端を通過する前に所定の量の粉体15を供給できる状態にする必要がある。このため、制御部90は、ローラ50の回転速度を高速に変更する。制御部90は、例えば、基材10の前端から70mmの位置が対象領域12の後端を通過したときに、ローラ50の回転速度を24rpmから50rpmに変更する。
【0056】
基材10の前端から575mm以上625mm未満の領域は、マスク部材11が基材10を覆っている領域であるが、第1供給領域の後端部(基材の前端から575mm周辺の領域)で所定の量の粉体15が供給されないことを抑制する必要がある。また、第1供給領域の後端部は、マスク部材11との境界が近いため、当該境界部分に粉体15の盛り上がりが形成されるのを防ぐ必要がある。このため、制御部90は、例えば基材10の前端から575mmまでの領域が対象領域12の前端を通過するまではローラ50の回転速度を50rpmで維持する。そして、制御部90は、基材10の前端から575mm以上620mm未満の領域が対象領域12を通過する間は、ローラ50を低速で回転させて、所定の量の粉体15をマスク部材11に向けて供給する。粉体15をマスク部材11に供給する必要はないが、基材10の第2供給領域が対象領域12の後端に進入した場合に所定の量の粉体15が供給されるように、制御部90は、ローラ50を回転させ続けておく。制御部90は、例えば、基材10の前端から575mm以上620mm未満の領域が対象領域を通過する場合、ローラ50の回転速度を10rpmに変更する。
【0057】
基材10の前端から625mm以上1125mm未満の第2供給領域には、所定の量の粉体15を基材10に供給する必要があるため、基材10の前端から625mmの位置が対象領域12の後端を通過する前に所定の量の粉体15を供給できる状態にする必要がある。このため、制御部90は、ローラ50の回転速度を高速に変更する。また、第1供給領域に粉体15を供給する場合に比べて、第2供給領域に粉体15を供給する場合には、貯留容器40内の粉体の貯留量が少ないため、貯留容器40から適切な量の粉体15が供給されるようにローラ50が粉体15を適切に掻き出す必要がある。制御部90は、例えば、第1供給領域が対象領域12を通過する場合に比べて、第2供給領域が対象領域12を通過する場合にローラ50の回転速度を高速にする。制御部90は、例えば、基材の前端から620mmの位置が対象領域12の後端を通過したときに、ローラ50の回転速度を10rpmから56rpmに変更する。
【0058】
基材10の前端から1125mm以上1200mm以下の領域は、マスク部材11が基材10を覆っている領域であるが、第2供給領域の後端部(基材の前端から1125mm周辺の領域)で所定の量の粉体15が供給されないことを抑制する必要がある。このため、制御部90は、第2供給領域の後端部が対象領域12を通過した場合でも、例えば基材10の前端から1130mmまでの領域が対象領域12の前端を通過するまではローラ50の回転速度を56rpmの高速を維持する。なお、第2供給領域とマスク部材11との境界部分においても粉体の盛り上がりが形成されるのを防ぐ必要はあるが、貯留容器40内の粉体15の量が少なくなっているため、高速を維持し続けても、粉体15の盛り上がりは形成されない。制御部90は、基材10の前端から1130mm以上1200mm以下の領域が対象領域12を通過する間は、供給停止処理(S19)として、基材10の供給領域10aが対象領域12外に搬出されたと判定し、ローラ50の回転を停止させる。このように、制御部90は、基材10の搬送位置に基づいてローラ50の回転速度を制御することで、基材10の各位置に対して適切な量の粉体15を供給させることができる。
【0059】
[実施形態のまとめ]
本実施形態の電極形成システム1は、基材10に粉体15を供給し、電極を形成する。電極形成システム1は、搬送装置20、貯留容器40、及び、ローラ50を備える。搬送装置20は、駆動機構30(第1の電動のアクチュエータの一例)と、駆動機構の回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なボールねじ機構31を有し、基材10を搬送路3に沿って搬送する。貯留容器40は、粉体15を貯留する。ローラ50は、ローラ駆動部53(第2の電動のアクチュエータの一例)によって動作し、貯留容器40の下端に設けられ、基材10が通過可能な搬送路3上の対象領域12に対して貯留容器40内の粉体を掻き出す。
【0060】
この電極形成システム1では、電極が形成される基材10は、搬送装置20によって搬送路3に沿って搬送される。ローラ50によって貯留容器40内から掻き出された粉体15は、搬送路3上の対象領域12を通過する基材10に供給される。ここで、搬送装置20は、駆動機構30の回転を搬送路3に沿った方向の運動に連続的に変換可能なボールねじ機構31を有する。すなわち、搬送装置20は、歯面間の隙間に変化が生じるおそれのあるラック・アンド・ピニオンを用いることなく、基材10を搬送できる。このため、搬送装置20による周期的な振動の発生が抑制され、搬送路3に沿った方向の移動が断続的な移動となることを抑制できる。よって、この電極形成システム1は、基材10上に供給される粉体15の周期的なムラの発生を抑制できる。また、周期的なムラの発生が抑制されることにより、基材の場所に応じて所望の量の粉体が供給されないことが回避され、電極の造型不良の発生が抑制される。さらに、基材10の搬送装置として単にベルトコンベアのみが用いられる場合、ベルトを支持している回転体間の距離、並びに、ベルト上に載置される基材の重量及び位置によってベルトの撓み量が変動する。本実施形態の搬送装置20は、貯留容器40及びローラ50と基材10との距離又は傾斜が変動する可能性のあるベルトコンベアを用いることなく、基材10を搬送できる。
【0061】
また、搬送装置20は、電動のアクチュエータである駆動機構30によって動作し、ローラ50は、電動のアクチュエータであるローラ駆動部53によって動作する。この場合、搬送装置20及びローラ50がそれぞれ油圧又は空圧のアクチュエータによって動作する場合に比べて、搬送装置20及びローラ50の動作がそれぞれ精密に制御される。また、この場合、基材10に供給された粉体15の層の厚さを均一にすることができる。ここでの均一とは、層の厚さが0.1mm以上2.0mm以下に対して、層の最大高さと層の最小高さとの差が50μm以下又は30μm以下に収まっていることを指す。よって、この電極形成システム1では、搬送装置20によって基材10が円滑に搬送路3に沿って搬送されると共に、基材10に供給される粉体15の量の変動を抑制できる。また、ゲート駆動部42は、電動のアクチュエータである。電極形成システム1は、開閉ゲート41、ゲート駆動部42及びローラ50の動作によって、貯留容器40からの粉体15の供給の開始及び供給の停止等の間欠運転を適切に実行でき、粉体15の細かな供給量の調整が可能となる。
【0062】
また、搬送装置20は、基材10を載置する載置台21と、搬送路3に沿って延在し、載置台21を搬送路3に沿って案内可能なガイド機構22と、を有する。この場合、ガイド機構22が延在する方向(Y軸に沿った方向)以外の方向(例えばX軸に沿った方向及びZ軸に沿った方向)への載置台21の移動が抑制されるため、載置台21に載置された基材10は、安定して搬送路3に沿って搬送される。よって、この電極形成システム1は、基材10上に供給される粉体15のムラの発生を抑制できる。
【0063】
また、電極形成システム1は、基材10とローラ50との距離を測定する距離センサ60と、対象領域12の直上において貯留容器40を昇降可能に支持する支持部70と、を備え、支持部70は、距離センサ60によって計測された距離に応じて貯留容器40を昇降させる昇降用アクチュエータ74(第3の電動のアクチュエータの一例)を含む。この電極形成システム1は、距離センサ60と昇降用アクチュエータ74とによって、基材10とローラ50との距離を適切に調整することができるため、基材10上の粉体15の層の厚さを均一にできる。例えば、基材10の上端とローラ本体部51の下端との間の長さが、粉体15による層の厚さになるため、ローラ本体部51が基材10に対して一定の距離を保つことで、粉体15の層の厚さを均一にすることができる。よって、この電極形成システム1は、基材10上に供給される粉体15のムラの発生をより抑制できる。
【0064】
また、昇降用アクチュエータ74は、電動のアクチュエータである。この場合、昇降用アクチュエータ74が油圧又は空圧のアクチュエータである場合に比べて、昇降用アクチュエータ74の動作が精密に制御される。よって、この電極形成システム1では、基材10に対する貯留容器40の位置決めを高精度に行うことができ、基材10に供給される粉体15の量の変動を抑制できる。
【0065】
また、電極形成システム1は、基材10の搬送位置を計測する位置計測部80をさらに備え、搬送装置20は、位置計測部80によって計測された基材10の搬送位置に応じて基材10の搬送速度を制御する。この電極形成システム1では、基材10の搬送速度が制御されるため、基材10の場所に応じて供給される粉体15の量を調整できる。例えば、基材10の搬送速度が速くなると、単位面積あたりの粉体15の量が減るため、基材10上に形成された粉体15の層が疎となる。一方で、例えば、基材10の搬送速度が遅くなると、単位面積あたりの粉体15の量が増えるため、基材10上に形成された粉体15の層が密となる。よって、この電極形成システム1は、基材10上の粉体15の粗密を制御できる。
【0066】
また、ローラ50は、位置計測部80によって計測された基材10の搬送位置に応じて回転速度を制御してもよい。ローラ50のローラ本体部51の回転速度を制御することで、貯留容器40から基材10に供給される粉体15の量を調整できる。この電極形成システム1では、基材10の位置に応じて貯留容器40から供給する粉体15の量を調整できる。例えば、ローラ50の回転速度が遅くなると、貯留容器40から供給される粉体15の量が減るため、基材10上に形成された粉体15の層が疎となる。一方で、例えば、ローラ50の回転速度が速くなると、貯留容器40からの粉体15の量が増えるため、基材10上に形成された粉体15の層が密となる。よって、この電極形成システム1は、基材10上の粉体15の粗密を制御できる。
【0067】
また、ローラ50は、搬送装置20による基材10の搬送速度に応じて回転速度を制御する。ローラ50の回転速度を制御することで、貯留容器40から基材10に供給される粉体15の量を調整できる。この電極形成システム1は、搬送速度に応じて供給される粉体15の量を調整することで、基材10上の粉体15の粗密をより精密に制御できる。
【0068】
[変形例]
なお、上述した実施形態は本開示に係る電極形成システムの一例を示すものである。本開示に係る電極形成システムは、実施形態に係る電極形成システム1に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る電極形成システム1を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0069】
例えば、搬送装置20及びローラ50の少なくとも一方は、電動のアクチュエータによって動作しなくてもよい。この場合、搬送装置20及びローラ50の少なくとも一方は、油圧又は空圧のアクチュエータによって動作してもよい。例えば、搬送装置20は、載置台21とガイド機構22との少なくとも一方を有さなくてもよい。この場合、搬送装置20は、駆動機構30及びボールねじ機構31によって基材10を搬送してもよい。
【0070】
例えば、電極形成システム1は、距離センサ60及び支持部70の少なくとも一方を備えなくてもよい。この場合、電極形成システム1は、貯留容器40を基材10に粉体15を供給する高さにおいて昇降不能に固定して設けられてもよい。昇降用アクチュエータ74は、電動のアクチュエータでなくてもよい。この場合、昇降用アクチュエータ74は、油圧又は空圧のアクチュエータであってもよい。
【0071】
例えば、位置計測部80は、発光部及び画像センサを有さなくてもよい。この場合、駆動機構30は、サーボモータで構成され得る。駆動機構30は、サーボモータのエンコーダを位置計測部80とし、エンコーダの出力によって測定対象の位置の制御をしてもよい。例えば、電極形成システム1は、位置計測部80を備えなくてもよい。この場合、電極形成システム1は、所定の間隔で搬送される基材10に対して、予め定められたプログラムに従って搬送装置20、ゲート駆動部42及びローラ50等の各構成を動作させてもよい。例えば、ローラ50は、搬送装置20による基材10の搬送速度に応じて回転速度を制御しなくてもよい。この場合、ローラ50は、搬送装置20による基材10の搬送速度とは独立して回転速度を制御してもよい。
【0072】
例えば、搬送装置20は、駆動機構30の回転を搬送路3に沿った方向の運動に連続的に変換可能なベルト機構を有していてもよい。電極形成システム1の搬送装置20は、ボールねじ機構31及び上述したベルト機構の少なくとも一方を有する。すなわち、搬送装置20は、ボールねじ機構31の代わりに、ベルト機構を有していてもよい。搬送装置20がベルト機構を有する場合、搬送装置20は、基材10を載置する載置台21と、搬送路3に沿って延在し、載置台21を搬送路3に沿って案内可能なガイド機構とをさらに有する。搬送装置20は、載置台21を有さなくてもよい。搬送装置20は、例えば、駆動機構30に回転可能に固定される第1回転体と、当該回転体に連続的に接触して回転するベルト部材と、第1回転体と離間した搬送路3の所定の位置に設けられ、ベルト部材を回転可能に支持する第2回転体を有する。第1回転体は、例えば円柱状を呈し、駆動機構30の駆動に合わせて回動する。第2回転体は、例えば円柱状を呈し、回転可能である。ベルト部材は、例えば、環状の帯であり、弾性体である。ベルト部材の内周面は、第1回転体の周面及び第2回転体の周面に接触し、第1回転体と第2回転体との間で搬送路3に沿って延在する。ベルト部材は、例えば、摩擦によって第1回転体の回転の力を受けて送り出される。当該摩擦によってベルト部材が移動することで、第2回転体も回転する。載置台21は、例えばベルト部材に固定される。駆動機構30の駆動に合わせて、ベルト部材が移動することで載置台21がY軸に沿った方向に移動する。第1回転体は、例えば、歯車であってもよい。この場合、ベルト部材は第1回転体に噛み合うような凹凸を有していてもよい。
【0073】
搬送装置20がベルト機構を有する電極形成システムでは、電極が形成される基材10は、搬送装置20によって搬送路3に沿って搬送される。ローラ50によって貯留容器40内から掻き出された粉体15は、搬送路3上の対象領域12を通過する基材10に供給される。搬送装置20は、歯面間の隙間に変化が生じるおそれのあるラック・アンド・ピニオンを用いることなく、ベルト機構によって基材10を搬送できる。このため、搬送装置20による周期的なY軸に沿った方向への振動の発生が抑制され、搬送路3に沿った方向の移動が断続的な移動となることを抑制できる。よって、この電極形成システム1は、基材10上に供給される粉体15のY軸に沿った方向における周期的なムラの発生を抑制できる。また、周期的なムラの発生が抑制されることにより、基材の場所に応じて所望の量の粉体が供給されないことが回避され、電極の造型不良の発生が抑制される。また、搬送装置20がガイド機構22を有していることによって、ガイド機構22が延在する方向(Y軸に沿った方向)以外の方向(例えばX軸に沿った方向及びZ軸に沿った方向)への載置台21の移動が抑制されるため、載置台21に載置された基材10は、安定して搬送路3に沿って搬送される。よって、この電極形成システムは、基材10上に供給される粉体15のムラの発生を抑制できる。上述したような、基材10の搬送装置として単にベルトコンベアのみが用いられる場合と異なり、ベルトの撓み量によるX軸に沿った方向及びZ軸に沿った方向のずれがガイド機構22によって抑制される。ベルト機構及びガイド機構を有する搬送装置20は、貯留容器40及びローラ50と基材10との距離又は傾斜の変動を抑制して、基材10を搬送できる。
【0074】
例えば、上述した実施形態における電極形成方法の工程の幾つかは、順序独立としてもよい。即ち、説明した順序とは異なる順序で、又は同時に実行できる。例えば、供給処理(S17)の前において、位置計測部80によって基材10の供給領域10aが対象領域12内に進入したと判定された場合に適切な量の粉体15が供給領域10aに供給されるように、供給処理(S17)の前(基材10の供給領域10aが対象領域12内に進入する前)に各構成が予め動作しておいてもよい。例えば、搬送装置20は、基材10の搬送速度を調整してもよく、ゲート駆動部42は、予め開閉ゲート41を開いておいてもよく、ローラ駆動部53は、ローラ本体部51を回転させてもよい。なお、基材10の供給領域10aが対象領域12内に進入する前に粉体15が供給された場合であっても、粉体15は、マスク部材11に供給されるので、供給領域10a以外の基材10の領域に塗膜が形成されることはない。
【0075】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の条項1~7に記載する。
【0076】
[条項1]
基材に粉体を供給し、電極を形成する電極形成システムであって、
第1の電動のアクチュエータと、前記第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なボールねじ機構とを有し、前記基材を前記搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記粉体を貯留する貯留容器と、
第2の電動のアクチュエータによって動作し、前記貯留容器の下端に設けられ、前記基材が通過可能な前記搬送路上の対象領域に対して前記貯留容器内の前記粉体を掻き出すローラと、
を備える、電極形成システム。
[条項2]
前記搬送装置は、前記基材を載置する載置台と、前記搬送路に沿って延在し、前記載置台を前記搬送路に沿って案内可能なガイド機構と、を有する、条項1に記載の電極形成システム。
[条項3]
基材に粉体を供給し、電極を形成する電極形成システムであって、
第1の電動のアクチュエータと、前記第1の電動のアクチュエータによる回転を搬送路に沿った方向の運動に連続的に変換可能なベルト機構と、前記基材を載置する載置台と、前記搬送路に沿って延在し、前記載置台を前記搬送路に沿って案内可能なガイド機構とを有し、前記基材を前記搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記粉体を貯留する貯留容器と、
第2の電動のアクチュエータによって動作し、前記貯留容器の下端に設けられ、前記基材が通過可能な前記搬送路上の対象領域に対して前記貯留容器内の前記粉体を掻き出すローラと、
を備える、電極形成システム。
[条項4]
前記基材と前記ローラとの距離を計測する距離センサと、
前記対象領域の直上において前記貯留容器を昇降可能に支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記距離センサによって計測された前記距離に応じて前記貯留容器を昇降させる第3の電動のアクチュエータを含む、条項1~3の何れか一項に記載の電極形成システム。
[条項5]
前記基材の搬送位置を計測する位置計測部をさらに備え、
前記搬送装置は、前記位置計測部によって計測された前記基材の搬送位置に応じて前記基材の搬送速度を制御する、条項1~4の何れか一項に記載の電極形成システム。
[条項6]
前記基材の搬送位置を計測する位置計測部をさらに備え、
前記ローラは、前記位置計測部によって計測された前記基材の搬送位置に応じて回転速度を制御する、条項1~5の何れか一項に記載の電極形成システム。
[条項7]
前記ローラは、前記搬送装置による前記基材の搬送速度に応じて回転速度を制御する、条項1~6の何れか一項に記載の電極形成システム。
【符号の説明】
【0077】
1…電極形成システム、3…搬送路、10…基材、12…対象領域、15…粉体、20…搬送装置、21…載置台、22…ガイド機構、30…駆動機構、31…ボールねじ機構、40…貯留容器、41…開閉ゲート、42…ゲート駆動部、50…ローラ、60…距離センサ、70…支持部、74…昇降用アクチュエータ、80…位置計測部、90…制御部。
図1
図2
図3
図4