(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038865
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】検査装置、検査システム、情報管理システムおよび検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20240313BHJP
【FI】
G01N23/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143192
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】北田 絢子
(72)【発明者】
【氏名】赤木 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】大川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】高石 一平
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001FA06
2G001FA29
2G001HA14
2G001LA10
2G001PA03
2G001PA11
(57)【要約】
【課題】 検査対象に存在する特定対象物を高精度に検知できる検査装置、検査システム、情報管理システムおよび検査方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、検査装置は、画像取得部と記憶部とプロセッサとを有する。画像取得部は、検査対象に電磁波を照射して撮影した撮影画像と撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを取得する。記憶部は、撮影画像から検知される特定対象物と特定対象物の類似物とを判別するための類似物の判別情報を記憶する。プロセッサは、画像取得部により取得する撮影画像データに含まれる物性情報に基づいて検査対象の撮影画像における特定対象物を検知し、検知した特定対象物が類似物であるか否かを記憶部に記憶する類似物の判別情報に基づいて判別し、判別の結果に応じて特定対象物と特定対象物の類似物とを区別して表示装置に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に電磁波を照射して撮影した撮影画像と前記撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを取得する画像取得部と、
前記撮影画像から検知される特定対象物と特定対象物の類似物とを判別するための類似物の判別情報を記憶する記憶部と、
前記画像取得部により取得する撮影画像データに含まれる物性情報に基づいて前記検査対象の撮影画像における特定対象物を検知し、検知した特定対象物が類似物であるか否かを前記記憶部に記憶する類似物の判別情報に基づいて判別し、判別の結果に応じて特定対象物と特定対象物の類似物とを区別して表示装置に表示させるプロセッサと、
を有する検査装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記検査対象の全体を示す画像上において特定対象物と特定対象物の類似物とを区別して前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記特定対象物と前記特定対象物の類似物とを異なる色で前記表示装置に表示させる、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記検査対象に対する特定対象物の検査作業の結果に基づいて前記記憶部に記憶する類似物の判別情報を更新する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記撮影画像は、X線を照射して前記検査対象を撮影したX線画像である、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記撮影画像は、X線CT装置を用いて前記検査対象を撮影した3次元データであり、
前記プロセッサは、前記撮影画像として得られる3次元データにおいて特定対象物を検知する、
請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、3次元データにおける物体検出に用いられる深層学習によって類似物の形状を学習し、学習によって得られる情報に基づいて前記記憶部に記憶する類似物の判別情報を更新する、
請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
撮影装置と検査装置とを有する検査システムにおいて、
前記撮影装置は、
検査対象に電磁波を照射して撮像する撮影画像を撮影する撮像部と、
前記撮影画像と前記撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを生成する処理部と、
前記撮影画像データを出力する出力部と、を有し、
前記検査装置は、
前記撮影装置から出力された撮影画像データを取得する画像取得部と、
前記撮影画像から検知される特定対象物と特定対象物の類似物とを判別するための類似物の判別情報を記憶する記憶部と、
前記画像取得部により取得する撮影画像データに含まれる物性情報に基づいて前記検査対象の撮影画像における特定対象物を検知し、検知した特定対象物が類似物であるか否かを前記記憶部に記憶する類似物の判別情報に基づいて判別し、判別の結果に応じて特定対象物と特定対象物の類似物とを区別して表示装置に表示させるプロセッサと、を有する、
検査システム。
【請求項9】
検査装置と情報管理装置とを有する情報管理システムにおいて、
前記検査装置は、
前記情報管理装置と通信する第1の通信部と、
検査対象に電磁波を照射して撮影した撮影画像と前記撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを取得する画像取得部と、
前記撮影画像から検知される特定対象物と特定対象物の類似物とを判別するための類似物の判別情報を記憶する記憶部と、
前記画像取得部により取得する撮影画像データに含まれる物性情報に基づいて前記検査対象の撮影画像における特定対象物を検知し、検知した特定対象物が類似物であるか否かを前記記憶部に記憶する類似物の判別情報に基づいて判別し、判別の結果に応じて特定対象物と特定対象物の類似物とを区別して表示装置に表示させる、第1のプロセッサと、を有し、
前記情報管理装置は、
前記情報管理装置と通信する第2の通信部と、
前記第2の通信部により検査装置から前記検査対象に対する特定対象物の検査作業の結果を示す情報を取得し、前記検査作業の結果を示す情報に基づいて類似物の判別情報を学習し、学習によって得られた情報に基づいて前記検査装置の前記記憶部に記憶する類似物の判別情報を更新する第2のプロセッサと、を有する、
情報管理システム。
【請求項10】
検査対象における特定対象物を検査する検査方法であって、
検査対象に電磁波を照射して撮影した撮影画像と前記撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを取得し、
前記撮影画像から検知される特定対象物と特定対象物の類似物とを判別するための類似物の判別情報を記憶部に記憶し、
前記撮影画像データに含まれる物性情報に基づいて前記検査対象の撮影画像における特定対象物を検知し、
検知した特定対象物が類似物であるか否かを前記記憶部に記憶する類似物の判別情報に基づいて判別し、
判別の結果に応じて特定対象物と特定対象物の類似物とを区別して表示装置に表示させる、
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置、検査システム、情報管理システムおよび検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査場において、荷物などの検査対象内に予め定められた対象物(以下、特定対象物とも称する)が存在するか否かを検査する検査作業が必要となることがある。検査対象となり得る荷物が多数である場合、検査員が多数の荷物を全て開披検査することは多大な時間や手間がかかる。このため、近年では、検査対象とする荷物をX線などの電磁波を用いて撮影した撮影画像(X線画像)を解析することによって当該荷物内における特定対象物を検出する検査システムが提案されている。
【0003】
従来の検査システムとしては、例えば、X線を使用して荷物を撮影した画像を構成する各ピクセル内に含まれる物質の平均的な原子番号である実効原子番号に基づいて特定の物質からなる特定対象物を検知したり、特定対象物が含まれる検査対象物を特定したりするものがある。しかしながら、X線画像から得られる実効原子番号および密度の情報だけでは、特定対象物と当該特定対象物に類似した物性を持つものとを区別することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、検査対象に存在する特定対象物を高精度に検知できる検査装置、検査システム、情報管理システムおよび検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、検査装置は、画像取得部と記憶部とプロセッサとを有する。画像取得部は、検査対象に電磁波を照射して撮影した撮影画像と撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを取得する。記憶部は、撮影画像から検知される特定対象物と特定対象物の類似物とを判別するための類似物の判別情報を記憶する。プロセッサは、画像取得部により取得する撮影画像データに含まれる物性情報に基づいて検査対象の撮影画像における特定対象物を検知し、検知した特定対象物が類似物であるか否かを記憶部に記憶する類似物の判別情報に基づいて判別し、判別の結果に応じて特定対象物と特定対象物の類似物とを区別して表示装置に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る検査装置を含む検査システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る検査装置を含む情報管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る検査装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る検査装置を含む検査情報システムにおける上位管理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る検査装置による撮影処理の例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る検査装置による特定対象物の検知処理を含む検査処理の例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る検査装置が表示装置に表示する特定対象物の検知結果の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る検査装置によるデータベースの更新処理の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、実施形態に係る検査システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る検査システム1の概略的な構成例について説明するための図である。
検査システム1は、検査対象とする荷物内に特定の検出対象物が存在するか否かを検査するためのシステムである。特定の検出対象物(特定対象物)は、例えば、危険な物品、危険な薬品、取り扱いが禁止されている薬物、国内などの所定領域内への持込又は持出が禁止されている物質などが想定される。また、特定の検出対象物は、特定の形状をなす固体でなくても良く、液体や粉体などの物質も含まれるものとする。
【0009】
図1に示す構成例において、検査システム1は、コンベア11、撮影装置12、検査装置13、表示装置14、および、操作装置15などを備える。検査装置13は、撮影装置12、表示装置14、および、操作装置15などに通信接続される。
【0010】
コンベア11は、検査対象とする荷物Mを搬送する装置である。コンベア11は、検査対象とする荷物Mを撮影装置12による画像の撮影位置(読取位置)に搬送させる。例えば、コンベア11は、検査員によって供給された荷物Mを搬送する。また、コンベア11には、ロボットアームなどによって供給される荷物Mを搬送するように構成されるものであっても良い。
【0011】
撮影装置12は、検査対象とする荷物Mに電磁波を照射することにより荷物Mを撮影した画像(撮影画像)と撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを取得する。撮影装置12は、荷物Mの撮影画像データを検査装置13へ供給する。撮影装置12は、検査装置13が荷物M内において特定の検出対象物を検知できる撮影画像データを取得するものであれば良い。撮影装置12は、撮影画像として2次元の画像データを取得するものであっても良いし、3次元の画像データを取得するものであっても良い。
【0012】
撮影装置12は、例えば、X線CT撮影装置である。撮影装置12の一例としてのX線CT撮影装置は、コンベア11により搬送される荷物Mの周りからX線を照射することにより撮影画像として3次元のX線画像データを取得する。また、撮影装置12としてのX線CT撮影装置は、X線を用いて荷物Mを撮影した3次元のX線画像(撮影画像)と当該X線画像を構成する構成単位(ピクセル又はボクセル)ごとの物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを取得する。撮影装置12としてのX線CT撮影装置は、荷物Mから取得した撮影画像データを検査装置13へ供給する。
【0013】
なお、撮影装置12は、X線CT撮影装置に限定されるものではないが、以下に説明する実施形態においては、撮影装置12がX線CT撮影装置であることを想定して説明するものとする。
【0014】
検査装置13は、各装置と接続するインタフェースを備えるコンピュータなどにより構成される。検査装置13は、撮影装置12から荷物Mの撮影画像データを取得する機能、撮影装置12から取得した撮影画像データに基づいて特定対象物を検知する機能、特定対象物の検知結果に種々の情報を紐づけて保存する機能、表示装置14に表示する表示内容を制御する機能、検査員による検査結果などを保存する機能などの機能を有する。
【0015】
検査装置13は、任意のタイミングで撮影装置12が電磁波を用いて荷物Mを撮影することにより取得する撮影画像データを取得する。例えば、検査装置13は、撮影装置12から供給される荷物Mの撮影画像データを記憶部などに保存しておき、検査処理を実行する際に読み出す。また、検査装置13は、撮影装置12に保存されている撮影画像データを要求することにより撮影装置12から撮影画像データを取得するようにしても良い。
【0016】
検査装置13は、任意のタイミングで撮影画像データに基づいて荷物M内に存在する特定対象物を検知する検知処理を実行する。例えば、検査装置13は、特定対象物の物性を基準に設定される設定値に基づいて荷物Mの撮影画像における各部の物性情報から特定対象物を検知する。
【0017】
撮影装置12がX線CT撮影装置である場合、検査装置13は、X線CT撮影装置による撮影画像(X線画像)における各ピクセル又はボクセルの物性(密度および実効原子番号など)によって特定対象物を検知する。なお、ピクセルは、2次元画像データを構成する画素である。ボクセルは、3次元データを構成する最小単位のデータであり、正規格子単位の値を表す。
【0018】
検査装置13は、特定対象物の検知処理の結果を任意のタイミングで読み出せるように保存する。検査装置13は、当該荷物の撮影画像データに対応づけて特定対象物の検知結果を保存する。さらに、検査装置13は、特定対象物の検知結果に紐づけて検知処理の対象である荷物の表示用データおよび属性データなどを保存する。
【0019】
表示装置14は、撮影画像と特定対象物の検知結果とを示す画面を表示する。表示装置14は、検査装置13により表示内容が制御される。表示装置14は、荷物Mの検査作業を実施する検査員に提示するための画面として荷物Mに対する特定対象物の検知結果などの情報を表示する。また、表示装置14は、検査員が検査作業を実施する荷物などを選択するための選択画面を表示する。
【0020】
操作装置15は、検査員(オペレータ)の操作入力に応じた操作信号を生成し、操作信号を検査装置13に供給する。また、操作装置15は、キーボードおよびポインティングデバイスなどの操作デバイスで構成される。また、操作装置15は、表示装置14の表示画面に設けたタッチパネルなどにより構成されるようにしても良い。
【0021】
次に、実施形態に係る検査システム1を含む情報管理システム100の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る検査システム1を含む情報管理システム100の構成例を示す図である。
図2に示すように、情報管理システム100は、各検査場に設けられる検査システム1の検査装置13に通信接続される上位管理装置101を有する。上位管理装置101は、各検査システム1における検査に関する情報を管理する情報管理装置として機能する。上位管理装置101は、例えば、サーバ装置などのコンピュータで構成される。上位管理装置101は、各検査システム1が実施する検査に関する情報を保存する記憶装置を備える。また、上位管理装置101は、検査に関する情報を保存するサーバ装置に接続するインタフェースを備えるものであっても良い。
【0022】
上位管理装置101は、複数の検査システム1を含む情報管理システムにおける情報を管理する情報管理装置である。例えば、上位管理装置101は、各検査システム1における検査装置13から情報を取得する。上位管理装置101は、各検査システム1の検査装置13から取得する情報を保存したり、集計したりする。
【0023】
また、上位管理装置101は、各検査システム1における検査装置13へ情報を供給する。例えば、上位管理装置101は、各検査システム1の検査装置13に対して検査処理に用いる設定値などを配信する。また、上位管理装置101は、各検査装置13が検査処理を実行するためのプログラムの更新データなどを配信するようにしても良い。
【0024】
また、上位管理装置101は、検査装置13が電磁波を照射して撮影した画像における物性などから特定対象物として検知するものを特定対象物の類似物(以下、単に類似物とも称する)と判別するための情報を記憶する管理するようにしても良い。例えば、上位管理装置101は、後述する検査装置13が有するデータベースに記憶する類似物の特徴情報を記憶する機能、類似物の特徴情報を登録する機能、類似物の特徴情報を生成する機能などを有するものであっても良い。
【0025】
次に、実施形態に係る検査システム1の撮影装置12および検査装置13における制御系の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る検査システム1の撮影装置12および検査装置13における制御系の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、撮影装置12は、撮像部21、処理部22、および、出力部23を有する。
撮像部21は、被撮影物にX線などの電磁波を照射して画像を撮影する。例えば、撮影装置12がX線CT撮影装置である場合、撮像部21は、コンベア11により搬送される検査対象とする荷物Mの周りからX線を照射することにより3次元のX線画像データを取得する。
【0026】
処理部22は、プロセッサおよび各種のメモリなどを備え、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより種々の処理を実行する。処理部22は、例えば、撮像部21が電磁波を照射して撮影した画像を処理することにより撮影画像と撮影画像の各部の物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを生成する。また、処理部22は、撮影装置12における各部を制御する制御部として機能するものであっても良い。
【0027】
出力部23は、データを出力する通信インタフェースである。出力部23は、検査装置13が備える画像インタフェース39に対応するインタフェースである。出力部23は、検査装置13へ撮影画像データを出力する。また、出力部23としての通信インタフェースは、検査装置13から制御指示などのデータを取得するインタフェースを含むものであっても良い。
【0028】
また、
図3に示す構成例において、検査装置13は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、記憶部34、通信部35、表示インタフェース(I/F)36、操作インタフェース(I/F)37、および、画像インタフェース(I/F)39を有する。
【0029】
プロセッサ31は、演算処理を実行する。プロセッサ31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ31は、RAM33を用いてROM32又は記憶部34に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実行する処理部として機能する。
【0030】
ROM32は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM32は、プログラムのデータおよび制御データなどを記憶する。RAM33は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM33は、データを一時的に記憶する。
【0031】
記憶部34は、書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶部34は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などにより構成される。記憶部34は、プログラムのデータ、制御データとしての設定値、検査処理の結果などの情報を記憶する。
【0032】
また、記憶部34は、物性などにより特定対象物として検知されたものを特定対象物の類似物(以下、単に類似物とも称する)と判別するための情報を記憶するデータベース34aを有する。データベース34aは、特定対象物として検知される特定対象物の類似物を判別するための情報(類似物の判別情報)を記憶するものであれば良い。
【0033】
例えば、類似物の判別情報は、特定対象物として検知される類似品を特定するための情報(類似物の特徴情報)であっても良い。より具体的には、類似物の判別情報としての類似物の特徴情報としては、類似物をその形状で認識するための類似物の形状を示す情報であって良い。また、類似物の判別情報は、特定対象物として検知される類似物の周辺にある物体を示す情報(類似物の周辺情報)を含むものであっても良い。例えば、特定の物体(物体Aとする)に近接して配置される類似物を判別する場合、類似物の判別情報としては、類似物の周辺にある物体である物体Aを認識するための情報(例えば、形状などの物体Aの特徴情報)と物体Aに対する相対距離の閾値とを含む類似物の周辺情報であっても良い。
【0034】
通信部35は、上位管理装置101と通信するための通信インタフェースである。プロセッサ31は、通信部35を介して上位管理装置101と通信する。プロセッサ31は、通信部35を介して処理結果などのデータを上位管理装置101へ送信したり、上位管理装置101からのデータを受信したりする。
【0035】
表示インタフェース36は、出力デバイスとしての表示装置14と接続するためのインタフェースである。表示インタフェース36は、表示装置14が備えるインタフェースに対応するものであれば良い。プロセッサ31は、表示インタフェース36を介して、表示装置14に表示する表示内容を制御する。
【0036】
操作インタフェース37は、操作装置15と接続するためのインタフェースである。操作インタフェース37は、操作装置15が備えるインタフェースに対応するものであれば良い。プロセッサ31は、操作インタフェース37を介して、操作装置15により入力された情報を取得する。
【0037】
画像インタフェース39は、撮影装置12と接続するためのインタフェースである。画像インタフェース39は、撮影装置12から撮影画像を取得するための画像取得部(画像取得インタフェース)である。画像インタフェース39は、X線CT装置などの撮影装置12が備えるインタフェースに対応するものであれば良い。プロセッサ31は、画像インタフェース39を介して、撮影装置12としてのX線CT装置が撮影した撮影画像(X線画像)を取得する。また、プロセッサ31は、画像インタフェース39を介して撮影装置12による荷物Mに対する撮影動作を制御するようにしても良い。
【0038】
次に、実施形態に係る検査システム1を含む情報管理システム100における上位管理装置101の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る検査システム1を含む情報管理システム100における上位管理装置101の構成例を示すブロック図である。
上位管理装置101は、検査システム1全体の情報を管理する情報管理装置である。上位管理装置101は、各検査場に設けられる検査システム1の検査装置13に通信接続されるコンピュータである。上位管理装置101は、例えば、サーバ装置によって構成される。
【0039】
図4に示す構成例において、上位管理装置101は、プロセッサ41、ROM42、RAM43、記憶部44、および、通信部45を有する。
プロセッサ41は、演算処理を実行する。プロセッサ41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、RAM43を用いてROM42又は記憶部44に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実行する処理部として機能する。
【0040】
ROM42は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM42は、プログラムのデータおよび制御データなどを記憶する。RAM43は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM43は、データを一時的に記憶する。
【0041】
記憶部44は、書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶部44は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などにより構成される。記憶部34は、プログラムのデータ、制御データとしての設定値、各検査装置13から収集するデータなどの情報を記憶する。また、記憶部44は、上述した各検査装置13のデータベース34aに記憶する類似物の識別情報を記憶するようにしても良い。さらに、記憶部44は、各検査装置13のデータベース34aに記憶する類似物の識別情報の更新情報などを記憶するようにしても良い。
【0042】
通信部45は、各検査システム1における検査装置13と通信するための通信インタフェースである。プロセッサ41は、通信部45を介して検査装置13と通信する。プロセッサ41は、通信部45を介して検査装置13から処理結果などのデータを受信したり、検査装置13へデータを送信したりする。
【0043】
次に、実施形態に係る検査システム1における撮影装置12を用いた荷物Mの撮影処理について説明する。
図5は、実施形態に係る検査システム1における撮影装置12を用いて荷物Mの撮影処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図1に示すように構成される検査システム1では、検査対象である荷物Mがコンベア11に順次投入される。コンベア11は、投入された荷物Mを撮影装置12による画像の撮影位置に搬送する。
【0044】
撮影装置12は、コンベア11により撮影位置に搬送される荷物Mを検査対象として検知し(ステップS101)、撮像部21により撮影位置に搬送される荷物Mに対して電磁波(X線)を照射することにより荷物Mの内部の状態を示す画像を撮影する(ステップS102)。
【0045】
撮影装置12の処理部22は、撮像部21により撮像した撮影画像の各部における物性を示す物性情報を取得し、撮影画像と撮影画像の各部における物性を示す物性情報とを含む撮影画像データを生成する(ステップS103)。例えば、物性情報は、撮影画像を構成する構成単位である各ピクセル又はボクセルにおける実効原子番号および密度を示す情報である。
【0046】
撮影装置12の処理部22は、生成した撮影画像データを出力部23により検査装置13へ供給する(ステップS104)。ここで、撮影装置12の処理部22は、撮影画像データを内部の記憶装置などのメモリに保持しておき、検査装置13から要求に応じて撮影画像データを検査装置13へ供給するようにして良い。
【0047】
次に、実施形態に係る検査システム1の検査装置13による荷物M内の特定対象物を検知する検知処理について説明する。
図6は、実施形態に係る検査システム1の撮影装置12による特定対象物の検知処理の例を説明するためのフローチャートである。
検査装置13は、画像インタフェース39により撮影装置12から撮影画像データを取得する(ステップS201)。検査装置13のプロセッサ31は、ある荷物Mの撮影画像データを取得すると、取得した撮影画像データに基づいて当該荷物M内における特定対象物を検知する検知処理を実行する(ステップS202)。
【0048】
撮影画像データは、撮影画像と撮影画像の各箇所における物性を示す物性情報とを含む。物性情報は、撮影画像が2次元画像データであれば、撮影画像を構成する各ピクセルにおける物性(密度および実効原子番号)を示す情報であり、撮影画像が3次元画像データであれば、撮影画像を構成する各ボクセルにおける物性(密度および実効原子番号)を示す情報であるものとする。
【0049】
プロセッサ31は、荷物Mの撮影画像の各ピクセル又はボクセルにおける物性(密度および実行原子番号)と特定対象物の物性(密度および原子番号)とを比較する。プロセッサ31は、荷物Mの撮影画像において、特定対象物の物性との差異が所定の閾値以下(類似又は一致)となる物性のピクセル又はボクセルを検出する。ここで、プロセッサ31は、特定対象物の物性との差異が所定の閾値以下となる物性のピクセル又はボクセルが、特定対象物の物性と類似又は一致する物性の物質であると検知する。これにより、プロセッサ31は、荷物Mの撮影画像において、特定対象物の物性と類似又は一致する物性のピクセル又はボクセルの集合からなる画像領域を特定対象物の候補として検知する。
【0050】
プロセッサ31は、荷物Mの撮影画像における特定対象物(特定対象物の候補)の検知が完了すると、撮影画像から検知した特定対象物の検知結果を記憶部34又はRAM33に保存する(ステップS203)。例えば、プロセッサ31は、検査対象とする荷物Mごとに、撮影画像データと特定対象物の候補の検知結果と対応づけた情報を記憶部34又はRAM33に保存する。
【0051】
プロセッサ31は、荷物Mに対する特定対象物の検知結果を保存すると、データベース34aに記憶している情報(類似物の判別情報)に基づいて検知結果として得られた特定対象物(特定対象物の候補)が特定対象物の類似物であるか否かをチェックする(ステップS204)。上述したように、データベース34aは、撮影装置12が撮影した撮影画像における物性を示す情報によって特定対象物として検知されたものを物性が特定対象物と類似する類似物であるか否かを判別するための類似物の判別情報を記憶する。類似物の判別情報は、類似物の形状などを示す類似物の特定情報であっても良いし、類似物の周辺に存在するものなどを示す類似物の周辺情報であっても良い。
【0052】
例えば、データベース34aに記憶されている類似物の判別情報が類似物の形状を示す類似物の特徴情報である場合、プロセッサ31は、特定対象物として検知された特定対象物の候補の形状が類似物の特徴情報が示す形状を有するか否かにより類似物であるか否かを判断する。また、データベース34aに記憶されている類似物の判別情報が類似物の周辺情報である場合、プロセッサ31は、特定対象物として検知された特定対象物の候補の所定範囲内に類似物の周辺情報が示す物体が存在するか否かにより特定対象物の候補が類似物であるか否かを判断する。
【0053】
プロセッサ31は、検知結果として得られた特定対象物(特定対象物の候補)が類似物でないと判断した場合(ステップS205、NO)、荷物M内から検知した特定対象物の候補が特定対象物であることを表示装置14により表示する(ステップS206)。例えば、プロセッサ31は、表示装置14の表示画面に撮影装置12が荷物Mを撮影した撮影画像を表示し、荷物Mの撮影画像において当該特定対象物の領域を強調して示す画像を表示する。また、プロセッサ31は、表示装置14の荷物Mの外観を示す画像において当該特定対象物が存在する領域を示す画像を表示するようにしても良い。
【0054】
また、プロセッサ31は、検知結果として得られた特定対象物(特定対象物の候補)が類似物であると判断した場合(ステップS205、YES)、当該特定対象物の候補が特定対象物に類似する類似物であるものとして表示装置に表示する(ステップS207)。プロセッサ31は、表示装置14の表示画面に撮影装置12が荷物Mを撮影した撮影画像を表示し、荷物Mの撮影画像において類似物と判断した部分を示す画像を表示する。また、プロセッサ31は、表示装置14の荷物Mの外観を示す画像において類似物と判断された領域を示す画像を表示するようにしても良い。
【0055】
また、1つの荷物Mに対して検知結果として得られた特定対象物(特定対象物の候補)が複数存在する場合、プロセッサ31は、全ての特定対象物の候補に対してそれぞれステップS204~S207の処理を実行する。これにより、プロセッサ31は、特定対象物として検知した領域が複数あっても、特定対象物と類似物とを識別可能な状態で表示することができる。
【0056】
図7は、検査装置13による検査対象(荷物M)に対する特定対象物の検知結果の表示例を示す図である。
図7に示すように、検査装置13は、検査対象としての荷物Mに対する特定対象物と特定対象物の類似物との検知結果を表示装置14の表示画面に表示する。検査装置13のプロセッサ31は、検査対象とする荷物M全体を示す画像として、撮影装置12が荷物Mに電磁波を照射することにより撮影した撮影画像を表示装置14により表示する。
【0057】
プロセッサ31は、荷物M全体を示す画像において、特定対象物として検知した画像領域を強調表示する。さらに、プロセッサ31は、荷物M全体を示す画像において、特定対象物として検知された後に類似物と判定された画像領域を特定対象物とは異なる表示形式で強調表示する。
【0058】
例えば、プロセッサ31は、荷物M全体を示す画像において、特定対象物として検知した画像領域を第1の色で表示し、特定対象物の類似物と判定した画像領域を第1の色とは異なる第2の色で表示装置14により表示する。これにより、表示装置14には、荷物M全体の画像において特定対象物として検知された画像領域を特定対象物と特定対象物の類似物とに区別して表示することができる。
【0059】
検査装置13のプロセッサ31は、荷物Mの特定対象物の検査結果を表示装置14に表示した状態において検査員が実行する荷物Mに対する検査作業の結果(検査結果)の入力を受け付ける(ステップS208)。例えば、プロセッサ31は、操作装置15によって検査員が入力する検査結果を示す情報を受け付け、操作装置15によって入力された検査結果を記憶部34などに記録する。
【0060】
検査作業は、荷物Mの中に特定対象物があるか否かを検査員の手作業によって確認する作業である。検査作業として、検査員の判断によって荷物Mを開梱して特定対象物の確認作業を実施すること有り得る。検査員は、表示装置14に表示された特定対象物の検知結果を見ながら当該荷物Mに対する検査作業を実施し、操作装置15を用いて検査作業の結果を入力する。
【0061】
また、検査員は、表示装置14に表示された特定対象物の検知結果を確認することにより検査作業の有無を判断するようにしても良い。つまり、検査システム1は、検査装置13が表示装置14に表示する検知結果を参照して検査員が荷物Mに対する検査作業の要否を指示するような運用としても良い。この場合、検査装置13のプロセッサ31は、
図7に示すように、特定対象物の検知結果とともに、検査員が要検査を指示するボタン(要検査ボタン)と検査完了を指示するためのボタン(検査完了ボタン)とを表示装置14により表示する。
【0062】
検査員は、表示装置14に表示された荷物Mに対する特定対象物の結果を確認することにより、当該荷物Mの検査作業が必要と判断すれば要検査ボタンを指示し、当該荷物Mの検査作業が不要と判断すれば検査完了ボタンを指示するようにしても良い。要検査ボタンを指示した場合、検査員は、当該荷物Mに対する検査作業を実施し、操作装置15を用いて検査作業の結果を入力するようにすれば良い。
【0063】
なお、上記ステップS204~S208の処理は、検査員が検査対象とする荷物Mを選択したのに応じて実行するようにしても良い。すなわち、検査装置13のプロセッサ31は、撮影装置12が順次撮影する撮影画像に対して上記ステップS201~S203の処理を実行し、検査員により検査対象の荷物Mが選択された場合に選択された荷物Mの検知結果および撮影画像に対して上記ステップS201~S203の処理を実行するようにしても良い。
【0064】
以上のように、実施形態に係る検査装置は、撮影画像から特定対象物を検知し、検知結果として得られた特定対象物が類似物であるか否かをデータベースに記憶した情報に基づいて判別する。検査装置は、検査対象に電磁波を照射して撮影した撮影画像において、特定対象物として検知されたものを類似物と判断されなかったものと類似物と判別されたものとに区別して表示装置に表示する。
【0065】
これにより、実施形態に係る検査装置によれば、検査員が検査対象となる荷物から特定対象物として検知された部分と特定対象物の類似物と判定された部分とを一目で確認することができ、検査作業を効率良く実施したり、省力化したりすることができる。
【0066】
次に、荷物Mの撮影画像において検知した特定対象物が類似物であるか否かを判別するための情報(類似物の判別情報)を取得するための学習処理について説明する。
上述したように、データベース34aには、撮影画像において検知した特定対象物が特定対象物の類似物であるか否かを判別するための類似物の判別情報を記憶する。データベース34aに記憶する情報は、新たな類似物が定義(設定)されたり、特定の類似物を精度良く判別するための情報が得られたりするごとに更新される。
【0067】
データベース34aが記憶する類似物の判別情報は、管理者が入力する情報によって更新しても良いし、検査装置13による特定対象物の検知結果又は検査員による検査作業の結果などの情報を基に学習することにより更新するようにしても良い。例えば、特定対象物の類似物を判別するための情報の学習には、3次元での物体検出に適用可能なU-NETという深層学習のネットワークを使った形状の学習を適用することができる。
【0068】
図8は、検査装置13が特定対象物の類似物を判別するために用いるデータベース34aの更新処理の例を説明するためのフローチャートである。
ここでは、検査装置13が検査員による特定対象物および特定対象物の類似物を確認する作業を含む検査作業の結果(検査結果)を示す情報に基づいてデータベース34aに格納する情報を更新する処理について説明するものとする。
【0069】
検査装置13のプロセッサ31は、検査員による検査対象(荷物)に対する検査結果を示す情報を取得する(ステップS301)。例えば、検査結果を示す情報が記憶部34に保存されているものとする。プロセッサ31は、データベース34aの更新を行う場合、記憶部34に保存されている検査結果を示す情報を取得する。
【0070】
ここで、検査結果を示す情報には、検査作業を実施した検査員が検査結果として入力する情報が含まれるものとする。検査員が入力する情報としては、特定対象物であることが確認されたものを示す情報、および、特定対象物の類似物(特定対象物として検知されたが特定対象物ではなかったもの)であることが確認されたものを示す情報が含まれる。また、検査結果を示す情報には、特定対象物および類似物の確認結果だけでなく、検査対象の撮影画像データ、および、特定対象物の検知結果などを含むものとしても良い。
【0071】
プロセッサ31は、検査結果を示す情報を取得すると、検査結果を示す情報に基づいて特定対象物の類似物を判別するための類似物の判別情報を学習する学習処理を実行する(ステップS302)。プロセッサ31は、検査結果を示す情報を用いて類似物の判別情報を得るための学習処理を実行する。
【0072】
例えば、類似物の判別情報を得るための学習処理には、3次元データにおける物体検出に適用可能な深層学習(ディープランニング)を用いることができる。具体例として、学習処理には、3次元における物体検出が可能なU-NETという深層学習のネットワークを使った形状の学習を適用することができる。ただし、学習処理は、撮影画像から特定対象物として検知されたものが類似物であるかを判別ための類似物の判別情報を得る処理であれば良い。
【0073】
プロセッサ31は、学習処理が終了すると、学習処理によって得られた情報によってデータベース34aに格納されている情報を更新する(ステップS303)。
例えば、プロセッサ31は、検査結果に新たな類似物(新たに設定すべき類似物)が含まれていた場合、特定対象物の候補から新たな類似物を判別可能な情報を学習処理によって取得し、取得した情報を登録することによりデータベース34aを更新する。このように更新されるデータベース34aを用いて類似物の判別処理を実行することにより、検査装置13は、新たに類似物として検出されたものを示す検査結果を得るごとに特定対象物と物性が類似する類似物を判別できるようになる。
【0074】
また、類似物でないと判別されたものが検査員による検査作業によって実際には類似物であることが確認された場合、又は、類似物と判別されたものが検査員による検査作業によって実際には特定対象物であることが確認された場合、プロセッサ31は、学習処理によって類似物の判別情報を更新することにより類似物の判別精度を向上させる。このように更新されるデータベース34aを用いて類似物の判別処理を実行することにより、検査装置13は、検査結果を得るごとに特定対象物と物性が類似する類似物を高精度に判別することができるようになる。
【0075】
次に、検査装置13が特定対象物の類似物を判別するための類似物の判別情報を格納するデータベース34aを更新する更新処理の変形例について説明する。
図8に示す処理例では、検査装置13が検査員による検査作業の結果(検査結果)に基づいてデータベース34aを更新する更新処理の例について説明したが、検査結果に基づく学習処理は、上位管理装置101が実施するようにしても良い。
【0076】
例えば、上位管理装置101は、各検査場に設けた検査システム1における検査装置13から検査結果を収集する。上位管理装置101は、各検査装置13から収集した検査結果に基づいて類似物を判別するための情報の学習処理を実行する。上位管理装置101は、各検査装置13から収集した検査結果に基づく類似物の判別情報の学習結果を用いて、各検査装置13のデータベース34aに記憶している情報を更新する。例えば、上位管理装置101は、類似物の判別情報の学習結果を各検査装置13にダウンロードすることによりデータベース34aを更新させる。
【0077】
上述した変形例によれば、上位管理装置は、各地の検査場の検査装置から検査結果を示す情報を収集することができ、それらの情報に基づいて特定対象物と特定対象物の類似物とを判別するための情報を更新するための学習処理を実行することができる。すなわち、上位管理装置は、各地の検査装置から取集した検査結果に基づいて類似物を判別するための情報を学習することができ、情報管理システム全体として類似物の判別精度が高い情報を各検査装置に提供できる。この結果、各検査場における検査装置は、他の検査場での検査結果なども反映された高精度な類似物の判別が実施できる。
【0078】
なお、上述した実施形態に係る検査システム1は、撮影装置12と検査装置13とが別々の装置として構成される場合の動作例について説明したが、上述した検査装置13による処理は撮影装置12が実行するようにしても良い。例えば、上述した検査システム1において、上述した撮影装置12と検査装置13とは一体的に形成された装置で実現するようにしても良い。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1…検査システム、M…荷物(検査対象)、11…コンベア、12…撮影装置(X線CT装置)、13…検査装置、14…表示装置、15…操作装置、31…プロセッサ(第1のプロセッサ)、32…ROM、33…RAM、34…記憶部、35…通信部(第1の通信部)、36…表示インタフェース、37…操作インタフェース、39…画像インタフェース(画像取得部)、41…プロセッサ(第2のプロセッサ)、42…ROM、43…RAM、44…記憶部、45…通信部(第2の通信部)、101…上位管理装置(情報管理装置)。