特開 2024-3887 自己消火シートおよび自己消火システム壁

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024003887

(43)【公開日】2024-01-16

(54)【発明の名称】自己消火シートおよび自己消火システム壁

(51)【国際特許分類】

   A62D 1/06 20060101AFI20240109BHJP

   A62C 35/10 20060101ALI20240109BHJP

【ＦＩ】

A62D1/06

A62C35/10

【審査請求】未請求

【請求項の数】14

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022103216

(22)【出願日】2022-06-28

(71)【出願人】

【識別番号】000110893

【氏名又は名称】ニチレイマグネット株式会社

(72)【発明者】

【氏名】前橋 清

(72)【発明者】

【氏名】笠原 修

(72)【発明者】

【氏名】牧 淳一

【テーマコード（参考）】

2E189

2E191

【Ｆターム（参考）】

2E189BB01

2E191AA01

2E191AA06

2E191AB51

2E191AC08

(57)【要約】      （修正有）

【課題】壁面に取り付ける自己消火シートであって、貼り直しを何度でも可能とし、取り付けおよび取外しが誰でも容易に実施できる自己消火シートを提供すること。
【解決手段】壁面に磁気吸着力により着脱自在に取付けられる自己消火シート１であって、消火剤層１１の片面に金属箔層１２が形成されている。消火剤層１１は火災発生時にはその熱により、消火剤成分を含有するエアロゾルを噴出し、消火剤成分が有するラジカル反応により、消火することが可能であり、金属箔層１２を有することで、着磁された硬磁性壁等に自己消火シート１を容易に取り付けることが可能となり、容易に取り外すことも可能となる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

エアロゾルを発生させることにより火災を消火する自己消火シートであって、消火剤層と金属箔層とで構成することを特徴とする自己消火シート。

【請求項2】

消火剤層は金属箔層との反対面に樹脂層を備える請求項１に記載の自己消火シート。

【請求項3】

樹脂層は消火剤層との反対面、または、両面に意匠層を備える請求項２に記載の自己消火シート。

【請求項4】

金属箔層は消火剤層との反対面に微細吸盤層を備える請求項２に記載の自己消火シート。

【請求項5】

金属箔層は消火剤層との反対面に微細吸盤層を備える請求項３に記載の自己消火シート。

【請求項6】

金属箔層は軟磁性体である請求項１から請求項５のいずれか一項に記載の自己消火シート。

【請求項7】

軟磁性体がシート状のスチール、または、シート状のフェライト系ステンレス鋼である請求項６に記載の自己消火シート。

【請求項8】

請求項６に記載の自己消火シートと、壁材の表面に構成される壁面とを貼り合わせて構成される自己消火機能を有する壁であって、自己消火シートと、壁材の表面に構成される壁面との貼り直しを可能とすることを特徴とする自己消火システム壁。

【請求項9】

請求項６に記載の自己消火シートと、壁材の表面に構成される壁面とを、自己消火シートが有する微細吸盤層の吸着力で取り付ける請求項８に記載の自己消火システム壁。

【請求項10】

壁材と、壁面との少なくとも一方が磁性体である請求項８に記載の自己消火システム壁。

【請求項11】

磁性体が着磁硬磁性体である請求項１０に記載の自己消火システム壁。

【請求項12】

請求項６に記載の自己消火シートと、壁材の表面に構成される壁面とを、自己消火シートが有する金属箔層との磁着力と、自己消火シートが有する微細吸盤層の吸着力との少なくとも一方で取り付ける請求項１１に記載の自己消火システム壁。

【請求項13】

請求項６に記載の自己消火シートと、壁材の表面に構成される壁面に設けられたマグネットシートとを、自己消火シートが有する金属箔層との磁着力と、自己消火シートが有する微細吸盤層の吸着力との少なくとも一方で取り付ける請求項８に記載の自己消火システム壁。

【請求項14】

壁面が耐火パネル、または、耐火シートである請求項８から請求項１２のいずれか一項に記載の自己消火システム壁。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、自己消火シートおよび自己消火システム壁に関する。より詳しくは、壁面に着脱自在に取り付けられ、火災発生時に自動的に消火剤をエアロゾル散布することで初期消火を行う、自己消火シートおよび自己消火システム壁に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から火災発生時の初期消火の重要性は理解されていたが、近年、公共施設や列車内等で本来想定されていないような猛烈な火災が引き起こされる、という事例が増加しつつあり、社会的に問題になっている。そのような状況の下、例えば特許文献１、および、特許文献２に示すような、火災の熱により自動的にエアロゾルを発生させて消火を行う、自己消火シートが注目されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２１－１３７３４６

【特許文献2】特開２０２１－１３７４４５

【発明の開示】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上述した自己消火シートは主要な成分である消火剤の経年劣化に対応するため、定期的に交換する必要があるが、壁面等に粘着剤で貼着されているため、交換時は壁面が汚損しないよう慎重に剥がす必要があり、剥がした後は壁面に残った粘着剤を拭き取った後、新しい自己消火シートを貼り付ける必要があるため、作業性に問題がある。また、貼り付ける際は粘着剤での貼着のため、貼り直しができず、設置場所の選定や設置作業に慎重を要し、作業負担が大きい。このため、場合によっては専門の職人が必要となり、費用面でも問題がある。

【0005】

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、磁気の磁着力と吸盤の吸着力との少なくとも一方を利用することで貼り直しを可能とし、誰でも容易に取り付け作業が実施できる自己消火シート、および、自己消火システム壁を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段をとる。なお、本欄（「課題を解決するための手段」の欄）において各構成手段に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すための参考用のものであり、本発明の構成手段をこれに限定するものではない。

【0007】

本発明の一の態様は、エアロゾルを発生させることにより火災を消火する自己消火シートであって、消火剤層（１１）と金属箔層（１２）とで構成する。

【0008】

本発明の他の態様では、自己消火シートにおいて、消火剤層（１１）は金属箔層（１２）との反対面に樹脂層（１３）を備える。

【0009】

本発明の他の態様では、自己消火シートにおいて、樹脂層（１３）は消火剤層（１１）との反対面に意匠層（１４）を備える。

【0010】

本発明の他の態様では、自己消火シートにおいて、金属箔層（１２）は消火剤層（１１）との反対面に微細吸盤層（１５）を備える。

【0011】

本発明の他の態様では、自己消火シートにおいて、金属箔層（１２）は軟磁性体である。

【0012】

本発明の他の態様では、自己消火シートにおいて、軟磁性体がシート状のスチール、または、シート状のフェライト系ステンレス鋼である。

【0013】

本発明の他の態様では、自己消火システム壁において、自己消火シート（２０）と、壁材（４０）の表面に構成される壁面（３０）との貼り直しを可能とする。

【0014】

本発明の他の態様では、自己消火システム壁において、自己消火シート（２０）と、壁材（４０）の表面に構成される壁面（３０）とを、自己消火シート（２０）が有する微細吸盤層の吸着力で取り付ける。

【0015】

本発明の他の態様では、自己消火システム壁において、壁材（４０）と、壁面（３０）との少なくとも一方が磁性体である。

【0016】

本発明の他の態様では、自己消火システム壁において、磁性体が着磁硬磁性体である。

【0017】

本発明の他の態様では、自己消火システム壁において、自己消火シート（２０）と、壁材（４０）の表面に構成される壁面（３０）とを、自己消火シート（２０）が有する金属箔層との磁着力と、自己消火シートが有する微細吸盤層の吸着力との少なくとも一方で取り付ける。

【0018】

本発明の他の態様では、自己消火システム壁において、壁面が耐火パネル、または、耐火シートである。

【0019】

本発明の態様についての主要な作用効果を以下に記す。
自己消火シートにおいて、消火剤層（１１）の片面に金属箔層（１２）が形成されている。消火剤層（１１）は火災発生時にはその熱により、消火剤成分を含有するエアロゾルを噴出し、消火剤成分が有するラジカル反応により、消火することが可能である。
金属箔層（１２）を有することで、壁面（３０）および壁材（４０）から構成される磁性を有する壁に磁着力で自己消火シートを容易に取り付けることが可能であり、容易に取り外すことも可能となり、反復利用が可能になる。また、火災時には耐火材として作用することで自身よりも壁面側への延焼を防ぎつつ、エアロゾル散布に効果的な指向性を持たせることが可能となる。
消火剤層（１１）の他方の面には樹脂層（１３）が形成され、消火剤層（１１）を保護することで、消火剤の劣化速度を抑制すると同時に自己消火シートの耐久性を向上させている。
樹脂層（１３）の他方の面には意匠層（１４）が形成され、デザイン性を持たせると同時に次回の交換時期や取り扱い上の注意事項等の印字が可能となっている。
金属箔層（１２）の他方の面には微細吸盤層（１５）が形成されており、磁性を有する壁面へは磁力に加えて吸盤吸着力が加わることで、より強固に自己消火シートを取り付けることが可能となり、また、磁性を有さない壁面へも容易に反復的な取り付けが可能となる。
壁面（３０）、および、壁材（４０）に耐火性を持たせることで、消火機能と耐火機能を併せ持つことが可能となり、火災発生時の被害を最小限にとどめることが可能となる。

【発明の効果】

【0020】

本発明によると、自己消火シートに金属箔層、微細吸盤層を付加することで、壁面への貼り直しが可能となり、誰でも容易に取り付け作業を実施でき、耐久性に優れ、かつ、防災性を向上させた自己消火シートおよび自己消火システム壁が提供される。

【図面の簡単な説明】

【0021】

【図1】第１実施形態の自己消火シートの断面図である。

【図2】第２実施形態の自己消火シートの断面図である。

【図3】第３実施形態の自己消火シートの断面図である。

【図4】第４実施形態の自己消火シートの断面図である。

【図5】第５実施形態の自己消火システム壁の模式図である。

【図6】第６実施形態の自己消火システム壁の模式図である。

【図7】第５実施形態の自己消火システム壁の概略図である。

【発明を実施するための形態】

【0022】

以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。

【0023】

〔第１実施形態〕
図１は第１実施形態の自己消火シート１の断面図である。自己消火シート１は消火剤層１１と金属箔層１２とを備えている。

【0024】

金属箔層１２は、厚さ５０μ～５００μの箔またはシート状のスチール、または、シート状のステンレス鋼が好ましい。防食性を考慮すると、ステンレス鋼の方が好ましい。更には、磁石、即ち、着磁した硬磁性体との磁着を可能とするために、ステンレス鋼はフェライト系ステンレス鋼であることが好ましい。

【0025】

金属箔層１２は耐火性を有するため、火災発生時に自身よりも壁面側への延焼を防止する効果も期待できる。同時に、自身が堅牢な壁となることで、エアロゾルの噴出を壁面と反対側、即ち火災源側に効率よく指向する効果も期待できる。

【0026】

金属箔層１２は本出願人製のアイアンシート（登録商標）であってもよい。アイアンシートは、軟磁性材料の微粉末と、粘結材となる少量の有機高分子エラストマーとの混合体を、圧延または押出しなどの成形方式によりシート状に成形したものである。金属箔層１２にアイアンシートを用いた場合は、マグネットの壁面に磁着させることになる。

【0027】

消火剤層はヤマトプロテック株式会社製のエアロゾル消火剤と粘結材等を混合しシート状に形成したものである。消火剤は酸化剤とカリウム塩が主な成分となる。火災発生時はその熱により酸化剤が燃焼することでカリウム塩と反応し、エアロゾルが噴出する。エアロゾルのカリウムラジカル反応により、火災の燃焼連鎖を抑制し、消火に至らしめる。
上記した金属箔層１２と消火剤層１１とは接着層を介して形成されている。

【0028】

自己消火シート１の取り付け場所としては、室内全面に取り付けてもよいし、発火する可能性の高い場所や、発火した場合に甚大な被害が予想される場所に選択的に取付けてもよい。発火する可能性の高い場所としては、例えば、厨房、工場、危険物保管所、配電盤、２次電池設置場所等が考えられる。甚大な被害が予想される場所としては、例えば、病院や学校等の公共施設、企業所、列車や航空機等の公共交通機関が考えられる。自己消火シート１は繰り返して取り付けることが可能なシートのため、これらの場所に選択的、かつ、効率的に誰でも取付けることが可能である。また、一時的なイベント等の場合でも、繰り返し取り付け可能な特性を利用することで、レンタルでの利用といった、これまでにないサービスを提供することが可能となる。
なお、金属箔層１２と消火剤層１１との形成は、金属箔層１２に消火剤を塗布して形成されてもよい。

【0029】

〔第２実施形態〕
図２は第２実施形態の自己消火シート２の断面図である。自己消火シート２は樹脂層１３と消火剤層１１と金属箔層１２とを備えている。消火剤層１１と樹脂層１３とは接着層を介して形成されてもよいし、樹脂層１３に消火剤を塗布して形成されてもよいし、その逆でもよい。その他の構成は第１実施形態と同様である。

【0030】

樹脂層１３は消火剤層１１の劣化を防止し、自己消火シート２の耐久性を向上させる効果が期待できる。樹脂層１３は空気中の水蒸気を極力通過させないものが好ましい。また、適度な熱溶融性を持つものが好ましい。火災発生時はその熱により樹脂層１３が溶融し、消火剤層１１が露出することで、第１実施形態と同様にして消火する。
上述の例では、樹脂層を消火剤層の片面に設けているが消火剤層の両面に樹脂層を設けて、でラミネートしてもよい。こうすることで、消火剤層１１の劣化をより効果的に防止できる。

【0031】

自己消火シート２の取り付け場所としては、第１実施形態と同様である。

【0032】

〔第３実施形態〕
図３は第３実施形態の自己消火シート３の断面図である。自己消火シート３は意匠層１４と樹脂層１３と消火剤層１１と金属箔層１２とを備えている。意匠層１４と樹脂層１３とは接着層を介して形成されてもよいし、樹脂層１３に意匠層構成材を塗布して形成されてもよい。その他の構成は第１実施形態、および、第２実施形態と同様である。

【0033】

意匠層１４は、フィルム状の装飾材であり、絵柄や模様が印刷されたインキ受容層であってもよい。インキ受容層はポリ塩化ビニール系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂、または薄いコート紙などを使用することができる。このインキ受理層に用途に応じた印刷によりインクを定着させる。印刷方式には、オフセット印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを挙げることができる。

【0034】

意匠層１４によって意匠を施すことにより、周囲との調和を図ることや、自己消火シート３の存在箇所を明示的に示すことができる、という効果が期待できる。また、注意事項や使用期限を印字することで取り扱い性や管理性が向上する効果も期待できる。

【0035】

自己消火シート３の取り付け場所としては、第１実施形態と同様である。

【0036】

〔第４実施形態〕
図４は第４実施形態の自己消火シート４の断面図である。自己消火シート４は意匠層１４と樹脂層１３と消火剤層１１と金属箔層１２と微細吸盤層１５とを備えている。微細吸盤層１５と金属箔層１２とは接着層を介して形成されてもよいし、金属箔層１２に微細吸盤層構成材を塗布して形成されてもよい。その他の構成は第１実施形態、第２実施形態、および、第３実施形態と同様である。

【0037】

微細吸盤層１５は、アクリル樹脂やウレタン樹脂からなり、表面に多数の直径５μ～３００μの微細孔を安定的に並べることで吸盤機能を生み出すものである。押圧することで各気泡が脱気し、真空に近い状態となり被着体と密着する。また、剥がしても繰り返し使用することができる。

【0038】

微細吸盤層１５は、金属箔層１２が磁着できないガラスやプラスチック等の非磁性体に対して吸着することが可能で、取り付け対象を大幅に広げる効果が期待できる。また、金属箔層１２が磁着できる磁性体に対しては、金属箔層１２の磁着を吸着により補助することが可能となり、より強固に取り付けることができる、という効果が期待できる。また、金属箔層１２を薄くすることが可能となり、取扱い性が向上する効果も期待できる。また、剪断力が向上し、取り付け後のズレを防止する効果も期待できる。
なお、上述の説明では微細吸盤層を例にしているが、これ以外でも繰り返し使用できる、例えば、弱粘着性の接着層等であってもよい。

【0039】

図４では第３実施形態に微細吸盤層１５を付加しているが、第２実施形態に微細吸盤層１５を付加してもよい。

【0040】

自己消火シート４の取り付け場所としては、第１実施形態と同様である。

【0041】

〔第５実施形態〕
図５は第５実施形態の自己消火システム壁５の模式図である。自己消火システム壁５は自己消火シート２０と、壁材４０と、壁面３０とを備えている。自己消火シート２０は第２実施形態、第３実施形態、第４実施形態のいずれかが用いられる。

【0042】

壁面３０はシート状、または、パネル状であり、壁材４０の表面に構成される。壁面３０は釘、ビス、接着剤、ステープル、磁着などで壁材４０に留付け固定した構成とされる。壁面３０は表面に意匠を施し、室内壁として機能する。

【0043】

壁面３０は耐火性に優れることが好ましく、ＩＳＯ５６６０－１に準拠し、建築基準法第２条第９号及び建築基準法施工令第１０８条の２に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において〔１〕加熱開始後２０分間の総発熱量が８ＭＪ／ｍ^２以下であり、〔２〕加熱開始後２０分間、最大発熱速度が１０秒以上継続して２００ＫＷ／ｍ^２を超えず、〔３〕加熱開始後２０分間、防火上有害な亀裂及び穴がない条件を満たす不燃性を有することが好ましい。

【0044】

壁材４０は合板、コンクリート、軽金属、または石膏ボードなどで形成される。なかでも、石膏ボードは、壁面の基体となる板材であり、例えば縦横１８００ｍｍ×９００ｍｍ、厚さ１２．５ｍｍ～１５ｍｍのサイズとされる。厚さをこの範囲とした石膏ボード１０は、防耐火性に優れ、ボード単体で不燃性を有するので、壁材４０としては好適である。なお、石膏ボードに代えて、ダイライト（大建工業株式会社の登録商標）やケイカル板（ケイ酸カルシウム板）などを使用してもよい。

【0045】

壁面３０と、壁材４０との少なくとも一方は着磁された硬磁性を有していてもよい。この場合は、自己消火シート２０が有する金属箔層と磁着力で壁面３０に取り付けることが可能になり、貼り直しが容易な自己消火システム壁として機能する。また、自己消火シート２０が有する微細吸盤層の吸着力により、より強固に取り付けることも可能になる。

【0046】

また、壁面３０が着磁された硬磁性を有し、壁材４０が軟磁性を有していてもよい。この場合は、自己消火シート２０が有する金属箔層と壁面３０とを磁着することで、貼り直しが容易な自己消火システム壁として機能する。また、自己消火シート２０が有する微細吸盤層の吸着力により、より強固に取り付けることも可能になる。

【0047】

上述の例によれば、壁面３０と壁材４０とを磁着することも可能になり、壁面３０と壁材４０との間でも貼り直しが容易に可能となる。これを利用して、例えば、壁面３０を季節に応じて異なる意匠に変更したり、イベントに応じて異なる意匠に変更することも可能になる。

【0048】

壁面３０と、壁材４０とが両方、着磁された硬磁性を有していなくてもよい。この場合は、自己消火シート２０が有する微細吸盤層の吸着力で壁面３０に取り付けることが可能になり、貼り直しが容易な自己消火システム壁として機能する。

【0049】

図７は第５実施形態の自己消火システム壁５の概略図である。壁材４０と壁面３０とで壁が構成されているキッチンのコンロ上方に自己消火シート２０を２枚取り付け、自己消火システム壁６を構成している。この例のように、発火リスクの大きいキッチン、その中でも、発火リスクの高いコンロ付近を選択し、そこに必要な枚数を取り付けることが可能である。また、必要に応じて場所や枚数を調整する、という自由度の高い運用が可能になる。
上述の例ではキッチンに設置しているが、それに限るものではない。他の例としては、工場、危険物保管所、配電盤、２次電池設置場所、病院や学校等の公共施設、企業所、列車や航空機等の公共交通機関、が挙げられる。

【0050】

〔第６実施形態〕
図６は第６実施形態の自己消火システム壁６の模式図である。自己消火システム壁６は壁面３０と自己消火シート２０との間にマグネットシート５０を介在させている。この場合は自己消火シート２０の金属箔層とマグネットシート５０との磁着により、自己消火シート２０は貼り直し可能に取り付けることが可能となる。マグネットシート５０は接着層を介すか、磁着により壁面３０に留付け固定した構成とされる。こうすることで、自己消火シート２０を交換する際、マグネットシート５０を取り付け位置のガイドとすることができ、交換作業を効率よく容易に行うことが可能になる。

【0051】

以上、本発明の実施形態について説明を行ったが、上に開示した実施形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。

【0052】

例えば、上述の実施の態様では、壁として自己消火システム壁を説明しているが、室内を垂直方向に仕切る壁に限るものではなく、室内を水平方向に仕切る壁として、天井であっても、床であってもよい。

【産業上の利用可能性】

【0053】

壁面に磁気吸着力および吸盤吸着力により着脱自在に取付けられる自己消火シート、および、自己消火システム壁として、幅広く活用できる。

【符号の説明】

【0054】

１ 自己消火シート
２ 自己消火シート
３ 自己消火シート
４ 自己消火シート
５ 自己消火システム壁
６ 自己消火システム壁
１１ 消火剤層
１２ 金属箔層
１３ 樹脂層
１４ 意匠層
１５ 微細吸盤層
２０ 自己消火シート
３０ 壁面
４０ 壁材
５０ マグネットシート

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】