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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038883
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】吸着装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20240313BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALI20240313BHJP
【FI】
B01D53/04 110
H01M8/0662
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143220
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐輝
【テーマコード(参考)】
4D012
5H127
【Fターム(参考)】
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA07
4D012CB16
4D012CB17
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF05
4D012CF10
4D012CG01
5H127AA06
5H127AA07
5H127AC02
5H127BA01
5H127BA02
5H127BA12
5H127BA17
5H127BA59
5H127BB02
5H127EE12
(57)【要約】
【課題】ガスに含まれる吸着対象の成分が下流側の吸着器よりも下流側へ流出することを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】第1吸着器を上流側の吸着器とし、第2吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の第1吸着器と下流側の第2吸着器により吸着する第1吸着状態と、第2吸着器を上流側の吸着器とし、第3吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の第2吸着器と下流側の第3吸着器により吸着する第2吸着状態と、第3吸着器を上流側の吸着器とし、第1吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の第3吸着器と下流側の第1吸着器により吸着する第3吸着状態と、を切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスに含まれる成分を吸着可能な吸着材を備える第1吸着器と、
ガスに含まれる成分を吸着可能な吸着材を備える第2吸着器と、
ガスに含まれる成分を吸着可能な吸着材を備える第3吸着器と、
前記第1吸着器と前記第2吸着器を接続する第1接続通路と、
前記第2吸着器と前記第3吸着器を接続する第2接続通路と、
前記第3吸着器と前記第1吸着器を接続する第3接続通路と、を備え、
上流側の吸着器と下流側の吸着器によりガスに含まれる成分を吸着する吸着装置であって、
前記第1吸着器を上流側の吸着器とし、前記第2吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の前記第1吸着器と下流側の前記第2吸着器により吸着する第1吸着状態と、
前記第2吸着器を上流側の吸着器とし、前記第3吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の前記第2吸着器と下流側の前記第3吸着器により吸着する第2吸着状態と、
前記第3吸着器を上流側の吸着器とし、前記第1吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の前記第3吸着器と下流側の前記第1吸着器により吸着する第3吸着状態と、を切り替え可能な吸着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着装置であって、
前記第1接続通路と前記第2接続通路と前記第3接続通路とが合流する部分である合流部と、
前記合流部に配置された濃度センサであって、前記第1接続通路を流れるガスに含まれる成分の濃度と、前記第2接続通路を流れるガスに含まれる成分の濃度と、前記第3接続通路を流れるガスに含まれる成分の濃度と、を検出可能な前記濃度センサと、を備える吸着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の吸着装置であって、
制御装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記第1吸着状態のときに前記濃度センサの検出濃度が所定の第1基準濃度を超える場合に、吸着装置を前記第1吸着状態から前記第2吸着状態に切り替え、
前記第2吸着状態のときに前記濃度センサの検出濃度が所定の第2基準濃度を超える場合に、吸着装置を前記第2吸着状態から前記第3吸着状態に切り替え、
前記第3吸着状態のときに前記濃度センサの検出濃度が所定の第3基準濃度を超える場合に、吸着装置を前記第3吸着状態から前記第1吸着状態に切り替える、吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、ガスに含まれる成分を吸着する吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にアンモニア除去設備が開示されている。特許文献1のアンモニア除去設備は、水素及びアンモニアを含有する混合ガス中のアンモニアを除去する第1のアンモニア除去装置と、第1のアンモニア除去装置の後段に設置されており、第1のアンモニア除去装置で処理された第1の処理ガスを処理する第2のアンモニア除去装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/099143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアンモニア除去設備では、第1のアンモニア除去装置と第2のアンモニア除去装置とのいずれもが破過することにより、第2のアンモニア除去装置よりも下流側へアンモニアが流出してしまうことが考えられる。本明細書は、ガスに含まれる吸着対象の成分が下流側の吸着器よりも下流側へ流出することを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様では、吸着装置が、ガスに含まれる成分を吸着可能な吸着材を備える第1吸着器と、ガスに含まれる成分を吸着可能な吸着材を備える第2吸着器と、ガスに含まれる成分を吸着可能な吸着材を備える第3吸着器と、前記第1吸着器と前記第2吸着器を接続する第1接続通路と、前記第2吸着器と前記第3吸着器を接続する第2接続通路と、前記第3吸着器と前記第1吸着器を接続する第3接続通路と、を備え、上流側の吸着器と下流側の吸着器によりガスに含まれる成分を吸着する。吸着装置は、前記第1吸着器を上流側の吸着器とし、前記第2吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の前記第1吸着器と下流側の前記第2吸着器により吸着する第1吸着状態と、前記第2吸着器を上流側の吸着器とし、前記第3吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の前記第2吸着器と下流側の前記第3吸着器により吸着する第2吸着状態と、前記第3吸着器を上流側の吸着器とし、前記第1吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の前記第3吸着器と下流側の前記第1吸着器により吸着する第3吸着状態と、を切り替え可能である。
【0006】
この構成によれば、第1吸着状態では、上流側の第1吸着器が破過したとしても下流側の第2吸着器によりガスに含まれる吸着対象の成分を吸着することができる。また、第1吸着状態から第2吸着状態に切り替えることにより、第2吸着状態では、上流側の第2吸着器が破過したとしても下流側の第3吸着器によりガスに含まれる吸着対象の成分を吸着することができる。また、第2吸着状態のうちに第1吸着器を新しい吸着器に交換することができる。また、第2吸着状態から第3吸着状態に切り替えることにより、第3吸着状態では、上流側の第3吸着器が破過したとしても下流側の第1吸着器によりガスに含まれる吸着対象の成分を吸着することができる。また、第3吸着状態のうちに第2吸着器を新しい吸着器に交換することができる。また、第3吸着状態から第1吸着状態に切り替えることにより、第1吸着状態では、上流側の第1吸着器が破過したとしても下流側の第2吸着器によりガスに含まれる吸着対象の成分を吸着することができる。また、第1吸着状態のうちに第3吸着器を新しい吸着器に交換することができる。以上のように第1吸着状態と第2吸着状態と第3吸着状態とを切り替えることにより、ガスに含まれる吸着対象の成分が下流側の吸着器よりも下流側へ流出することを抑制することができる。
【0007】
第2の態様では、上記第1の態様において、吸着装置が、前記第1接続通路と前記第2接続通路と前記第3接続通路とが合流する部分である合流部と、前記合流部に配置された濃度センサであって、前記第1接続通路を流れるガスに含まれる成分の濃度と、前記第2接続通路を流れるガスに含まれる成分の濃度と、前記第3接続通路を流れるガスに含まれる成分の濃度と、を検出可能な前記濃度センサと、を備えてもよい。
【0008】
この構成によれば、複数の接続通路について1つの濃度センサにより濃度を検出することができる。
【0009】
第3の態様では、上記第2の態様において、吸着装置が、制御装置を更に備え、前記制御装置が、前記第1吸着状態のときに前記濃度センサの検出濃度が所定の第1基準濃度を超える場合に、吸着装置を前記第1吸着状態から前記第2吸着状態に切り替え、前記第2吸着状態のときに前記濃度センサの検出濃度が所定の第2基準濃度を超える場合に、吸着装置を前記第2吸着状態から前記第3吸着状態に切り替え、前記第3吸着状態のときに前記濃度センサの検出濃度が所定の第3基準濃度を超える場合に、吸着装置を前記第3吸着状態から前記第1吸着状態に切り替えてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1吸着状態と第2吸着状態と第3吸着状態とを適切なタイミングで切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の燃料電池システムを模式的に示す図。
図2】実施例の燃料電池システムの第1運転(第1吸着状態)を示す図。
図3】実施例の燃料電池システムの第2運転(第2吸着状態)を示す図。
図4】実施例の燃料電池システムの第3運転(第3吸着状態)を示す図。
図5】実施例の吸着装置の複数の弁の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の燃料電池システム1及び吸着装置2について図面を参照して説明する。図1は、実施例の燃料電池システム1を模式的に示す図である。図1に示すように、燃料電池システム1は、制御装置50と、改質器4と、吸着装置2と、燃料電池6とを備えている。
【0013】
制御装置50は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えており、記憶装置に記憶されている所定のプログラムに従って燃料電池システム1に関する様々な制御や処理を実行する。
【0014】
改質器4は、原料ガスの供給元(図示省略)から供給される原料ガス(例えば、気体アンモニア)を改質することにより改質ガスを生成する。原料ガスの改質のために用いられる触媒は、例えば、銅、ニッケル、ルテニウム等である。改質ガスには、原料ガスの改質により生成される水素が含まれる。また、改質ガスには、改質による副生成物のアンモニアや未分解のアンモニアが含まれる。
【0015】
吸着装置2は、改質器4と燃料電池6に接続されている。吸着装置2は、改質器4から供給される改質ガスに含まれるアンモニア(吸着対象の成分の一例)を吸着除去する装置である。吸着装置2によりアンモニアが吸着除去された改質ガスは燃料電池6に供給される。
【0016】
燃料電池6は、吸着装置2から供給される改質ガス(燃料ガス)と、空気の供給元(図示省略)から供給される空気とを用いて発電する。燃料電池6は、例えば、容器の内部に積み重ねられた複数の電池セル(図示省略)を備えており、各電池セルが、改質ガス(燃料ガス)に含まれる水素と、空気に含まれる酸素との化学反応により発電する。電池セルは、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC(Solid Oxide Fuel Cell))や固体高分子形燃料電池(PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell))であるが、これらに限定されない。
【0017】
吸着装置2について説明する。吸着装置2は、複数の吸着器(第1吸着器10、第2吸着器12、及び第3吸着器14)を備えている。また、吸着装置2は、共通上流通路20、第1上流通路22、第2上流通路24、第3上流通路26、中間通路60、第1下流通路32、第2下流通路34、第3下流通路36、及び共通下流通路30を備えている。更に、吸着装置2は、第1四方弁40、第2四方弁42、第1開閉弁44、第2開閉弁46、及び第3開閉弁48を備えている。
【0018】
第1吸着器10は、容器10aと、容器10a内に収容されている吸着材10bとを備えている。容器10aは、第1上流通路22が接続されている第1ポート10cと、中間通路60が接続されている第2ポート10dと、第1下流通路32が接続されている第3ポート10eとを備えている。容器10a内に収容されている吸着材10bは、容器10a内に供給される改質ガスに含まれるアンモニアを吸着する能力を有している。吸着材10bは、例えば、ゼオライトや活性炭等である。第1吸着器10は、使用後に新しい第1吸着器10に交換可能である。
【0019】
第2吸着器12は、第1吸着器10と同様に、容器12aと、容器12a内に収容されている吸着材12bとを備えている。容器12aは、第2上流通路24が接続されている第1ポート12cと、中間通路60が接続されている第2ポート12dと、第2下流通路34が接続されている第3ポート12eとを備えている。容器12a内に収容されている吸着材12bは、容器12a内に供給される改質ガスに含まれるアンモニアを吸着する能力を有している。吸着材12bは、例えば、ゼオライトや活性炭等である。第2吸着器12は、使用後に新しい第2吸着器12に交換可能である。
【0020】
第3吸着器14は、接続される通路以外は第1吸着器10又は第2吸着器12と同様の構成である。そのため、第3吸着器14については、第1吸着器10及び第2吸着器12と同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0021】
次に、吸着装置2の通路について説明する。共通上流通路20は、その上流端が改質器4に接続され、下流端が第1四方弁40に接続されている。共通上流通路20は、改質器4で生成される改質ガスを改質器4から第1四方弁40に供給する。
【0022】
第1四方弁40は、第1状態(図2参照)と第2状態(図3参照)と第3状態(図4参照)とに切り替え可能に構成されている。第1四方弁40は、第1状態(図2参照)では、共通上流通路20と第1上流通路22を連通させる。第1四方弁40が第1状態であるとき、共通上流通路20を流れる改質ガスが第1四方弁40を通じて第1上流通路22に供給される。第1四方弁40は、第2状態(図3参照)では、共通上流通路20と第2上流通路24を連通させる。第1四方弁40が第2状態であるとき、共通上流通路20を流れる改質ガスが第1四方弁40を通じて第2上流通路24に供給される。第1四方弁40は、第3状態(図4参照)では、共通上流通路20と第3上流通路26を連通させる。第1四方弁40が第3状態であるとき、共通上流通路20を流れる改質ガスが第1四方弁40を通じて第3上流通路26に供給される。
【0023】
第1上流通路22は、その上流端が第1四方弁40に接続され、下流端が第1吸着器10の第1ポート10cに接続されている。第1上流通路22は、第1四方弁40が第1状態(図2参照)のときに改質ガスを第1吸着器10に供給する。
【0024】
第2上流通路24は、その上流端が第1四方弁40に接続され、下流端が第2吸着器12の第1ポート12cに接続されている。第2上流通路24は、第1四方弁40が第2状態(図3参照)のときに改質ガスを第2吸着器12に供給する。
【0025】
第3上流通路26は、その上流端が第1四方弁40に接続され、下流端が第3吸着器14の第1ポート14cに接続されている。第3上流通路26は、第1四方弁40が第3状態(図4参照)のときに改質ガスを第3吸着器14に供給する。
【0026】
第1吸着器10と第2吸着器12と第3吸着器14の間には中間通路60が配置されている。中間通路60は、第1吸着器10と第2吸着器12と第3吸着器14に接続されている。中間通路60は、第1部分62、第2部分64、及び第3部分66を備えている。第1部分62が第1吸着器10に接続され、第2部分64が第2吸着器12に接続され、第3部分66が第3吸着器14に接続されている。また、中間通路60は、第1部分62と第2部分64と第3部分66が合流する合流部68を備えている。
【0027】
第1部分62は、一端が第1吸着器10の第2ポート10dに接続されており、第1吸着器10から中間通路60の合流部68まで延びている。第2部分64は、一端が第2吸着器12の第2ポート12dに接続されており、第2吸着器12から中間通路60の合流部68まで延びている。第3部分66は、一端が第3吸着器14の第2ポート14dに接続されており、第3吸着器14から中間通路60の合流部68まで延びている。
【0028】
中間通路60の第1部分62と第2部分64により第1接続通路70が構成されている。第1接続通路70は、第1吸着器10と第2吸着器12を接続する通路である。中間通路60の第2部分64と第3部分66により第2接続通路72が構成されている。第2接続通路72は、第2吸着器12と第3吸着器14を接続する通路である。中間通路60の第3部分66と第1部分62により第3接続通路74が構成されている。第3接続通路74は、第3吸着器14と第1吸着器10を接続する通路である。
【0029】
中間通路60の第1部分62には、第1部分62を開閉する第1開閉弁44が設けられている。第1開閉弁44が開状態であるときに第1部分62を改質ガスが流れる。中間通路60の第2部分64には、第2部分64を開閉する第2開閉弁46が設けられている。第2開閉弁46が開状態であるときに第2部分64を改質ガスが流れる。中間通路60の第3部分66には、第3部分66を開閉する第3開閉弁48が設けられている。第3開閉弁48が開状態であるときに第3部分66を改質ガスが流れる。
【0030】
合流部68は、第1接続通路70と第2接続通路72と第3接続通路74とが重なる部分である。合流部68には濃度センサ52が設けられている。濃度センサ52は、合流部68を流れる改質ガスに含まれるアンモニアの濃度を検出する。
【0031】
第1下流通路32は、その上流端が第1吸着器10の第3ポート10eに接続され、下流端が第2四方弁42に接続されている。第1下流通路32は、第1吸着器10でアンモニアが吸着除去された後の改質ガスを第2四方弁42に供給する。
【0032】
第2下流通路34は、その上流端が第2吸着器12の第3ポート12eに接続され、下流端が第2四方弁42に接続されている。第2下流通路34は、第2吸着器12でアンモニアが吸着除去された後の改質ガスを第2四方弁42に供給する。
【0033】
第3下流通路36は、その上流端が第3吸着器14の第3ポート14eに接続され、下流端が第2四方弁42に接続されている。第3下流通路36は、第3吸着器14でアンモニアが吸着除去された後の改質ガスを第2四方弁42に供給する。
【0034】
第2四方弁42は、第1状態(図2参照)と第2状態(図3参照)と第3状態(図4参照)とに切り替え可能に構成されている。第2四方弁42は、第1状態(図2参照)では、第2下流通路34と共通下流通路30を連通させる。第2四方弁42が第1状態(図2参照)であるとき、第2下流通路34を流れる改質ガスが第2四方弁42を通じて共通下流通路30に供給される。第2四方弁42は、第2状態(図3参照)では、第3下流通路36と共通下流通路30を連通させる。第2四方弁42が第2状態(図3参照)であるとき、第3下流通路36を流れる改質ガスが第2四方弁42を通じて共通下流通路30に供給される。第2四方弁42は、第3状態(図4参照)では、第1下流通路32と共通下流通路30を連通させる。第2四方弁42が第3状態(図4参照)であるとき、第1下流通路32を流れる改質ガスが第2四方弁42を通じて共通下流通路30に供給される。
【0035】
共通下流通路30は、その上流端が第2四方弁42に接続され、下流端が燃料電池6に接続されている。共通下流通路30は、吸着装置2の吸着器(10、12、14)によりアンモニアが吸着除去された後の改質ガス(燃料ガス)を燃料電池6に供給する。
【0036】
(燃料電池システム1の動作)
次に、燃料電池システム1の動作について説明する。燃料電池システム1では、制御装置50が吸着装置2の複数の弁(40、42、44、46、48)を制御することにより、以下に説明する第1運転と第2運転と第3運転を順に実行する。
【0037】
(第1運転;図2図5
まず、第1運転について説明する。燃料電池システム1では、制御装置50が所定の場合に吸着装置2の複数の弁(40、42、44、46、48)の状態を切り替えることにより、燃料電池システム1の運転を第1運転に移行させる。第1運転は、改質器4で生成される改質ガスに含まれるアンモニアをまず先に第1吸着器10で吸着し、続いて第2吸着器12で吸着する運転である。第1運転(第1吸着状態)では、改質ガスの流れ方向において、第1吸着器10が上流側に位置し、第2吸着器12が下流側に位置する。なお、第1運転では、第3吸着器14が使用されない。
【0038】
第1運転(第1吸着状態)では、図2及び図5に示すように、第1四方弁40と第2四方弁42が第1状態であり、第1開閉弁44と第2開閉弁46が開状態であり、第3開閉弁48が閉状態である。
【0039】
第1運転では、第1四方弁40が第1状態なので、改質器4で生成される改質ガスが、共通上流通路20と第1上流通路22を流れて第1吸着器10に供給される。改質ガスが第1吸着器10を通過するときに、改質ガスに含まれるアンモニアが第1吸着器10の吸着材10bに吸着される。
【0040】
また、第1運転では、第1開閉弁44と第2開閉弁46が開状態なので、第1吸着器10から排出される改質ガスが、第1接続通路70(即ち、中間通路60の第1部分62と第2部分64)を流れて第2吸着器12に供給される。改質ガスが第2吸着器12を通過するときに、改質ガスに含まれるアンモニアが第2吸着器12の吸着材12bに吸着される。なお、第1運転では、第3開閉弁48が閉状態なので第3吸着器14に改質ガスが供給されない。
【0041】
第2吸着器12から排出される改質ガスは、第2四方弁42が第1状態なので、第2下流通路34と共通下流通路30を流れて燃料電池6に供給される。燃料電池6は、共通下流通路30から供給される改質ガスを用いて発電する。
【0042】
燃料電池システム1では、中間通路60の合流部68を流れる改質ガスに含まれるアンモニアの濃度が濃度センサ52によって検出される。制御装置50は、第1運転の実行中の濃度センサ52の検出濃度(即ち、第1吸着器10から排出される改質ガスに含まれるアンモニアの濃度)が所定の第1基準濃度を超える場合に、燃料電池システム1の運転を第1運転から第2運転に切り替える。制御装置50は、吸着装置2の複数の弁(40、42、44、46、48)の状態を切り替えることにより、燃料電池システム1の運転を第2運転に移行させる。所定の第1基準濃度は、例えば、第1吸着器10が破過したことを示す濃度に設定される。
【0043】
上述した第1運転(第1吸着状態)では、第3吸着器14がアンモニアの吸着のために使用されないので、第1運転の実行中にユーザが第3吸着器14を交換することができる。例えば、後述する第3運転で使用した第3吸着器14を吸着装置2から取り外し、未使用の新しい第3吸着器14を吸着装置2に取り付けることができる。第3吸着器14が交換された場合は、その後の運転では交換後の新しい第3吸着器14が使用される。変形例では、第3吸着器14を吸着装置2から取り外さずに、容器14a内の吸着材14bを交換してもよい。
【0044】
また、制御装置50は、第1運転の実行中に第3吸着器14が交換された場合のみ、燃料電池システム1の運転を第2運転に移行させてもよい。例えば、制御装置50は、着脱センサ(図示省略)によって第3吸着器14が着脱されたことが検出された場合のみ、燃料電池システム1の運転を第2運転に移行させてもよい。
【0045】
(第2運転;図3図5
次に、第2運転について説明する。燃料電池システム1では、制御装置50が所定の場合に吸着装置2の複数の弁(40、42、44、46、48)の状態を切り替えることにより、燃料電池システム1の運転を第1運転から第2運転に移行させる。第2運転は、改質器4で生成される改質ガスに含まれるアンモニアをまず先に第2吸着器12で吸着し、続いて第3吸着器14で吸着する運転である。第2運転(第2吸着状態)では、改質ガスの流れ方向において、第2吸着器12が上流側に位置し、第3吸着器14が下流側に位置する。なお、第2運転では、第1吸着器10が使用されない。
【0046】
第2運転(第2吸着状態)では、図3及び図5に示すように、第1四方弁40と第2四方弁42が第2状態であり、第2開閉弁46と第3開閉弁48が開状態であり、第1開閉弁44が閉状態である。
【0047】
第2運転では、第1四方弁40が第2状態なので、改質器4で生成される改質ガスが、共通上流通路20と第2上流通路24を流れて第2吸着器12に供給される。改質ガスが第2吸着器12を通過するときに、改質ガスに含まれるアンモニアが第2吸着器12の吸着材12bに吸着される。
【0048】
また、第2運転では、第2開閉弁46と第3開閉弁48が開状態なので、第2吸着器12から排出される改質ガスが、第2接続通路72(即ち、中間通路60の第2部分64と第3部分66)を流れて第3吸着器14に供給される。改質ガスが第3吸着器14を通過するときに、改質ガスに含まれるアンモニアが第3吸着器14の吸着材14bに吸着される。なお、第2運転では、第1開閉弁44が閉状態なので第1吸着器10に改質ガスが供給されない。
【0049】
第3吸着器14から排出される改質ガスは、第2四方弁42が第2状態なので、第3下流通路36と共通下流通路30を流れて燃料電池6に供給される。燃料電池6は、共通下流通路30から供給される改質ガスを用いて発電する。
【0050】
燃料電池システム1では、中間通路60の合流部68を流れる改質ガスに含まれるアンモニアの濃度が濃度センサ52によって検出される。制御装置50は、第2運転の実行中の濃度センサ52の検出濃度(即ち、第2吸着器12から排出される改質ガスに含まれるアンモニアの濃度)が所定の第2基準濃度を超える場合に、燃料電池システム1の運転を第2運転から第3運転に切り替える。制御装置50は、吸着装置2の複数の弁(40、42、44、46、48)の状態を切り替えることにより、燃料電池システム1の運転を第3運転に移行させる。所定の第2基準濃度は、例えば、第2吸着器12が破過したことを示す濃度に設定される。第2基準濃度は、上述した第1基準濃度と同じ濃度であっても、異なる濃度であってもよい。
【0051】
上述した第2運転(第2吸着状態)では、第1吸着器10がアンモニアの吸着のために使用されないので、第2運転の実行中にユーザが第1吸着器10を交換することができる。例えば、上述した第1運転で使用した第1吸着器10を吸着装置2から取り外し、未使用の新しい第1吸着器10を吸着装置2に取り付けることができる。第1吸着器10が交換された場合は、その後の運転では交換後の新しい第1吸着器10が使用される。変形例では、第1吸着器10を吸着装置2から取り外さずに、容器10a内の吸着材10bを交換してもよい。
【0052】
また、制御装置50は、第2運転の実行中に第1吸着器10が交換された場合のみ、燃料電池システム1の運転を第3運転に移行させてもよい。例えば、制御装置50は、着脱センサ(図示省略)によって第1吸着器10が着脱されたことが検出された場合のみ、燃料電池システム1の運転を第3運転に移行させてもよい。
【0053】
(第3運転;図4図5
次に、第3運転について説明する。燃料電池システム1では、制御装置50が所定の場合に吸着装置2の複数の弁(40、42、44、46、48)の状態を切り替えることにより、燃料電池システム1の運転を第2運転から第3運転に移行させる。第3運転は、改質器4で生成される改質ガスに含まれるアンモニアをまず先に第3吸着器14で吸着し、続いて第1吸着器10で吸着する運転である。第3運転では、改質ガスの流れ方向において、第3吸着器14が上流側に位置し、第2吸着器12が下流側に位置する。なお、第3運転では、第2吸着器12が使用されない。
【0054】
第3運転(第3吸着状態)では、図4及び図5に示すように、第1四方弁40と第2四方弁42が第3状態であり、第3開閉弁48と第1開閉弁44が開状態であり、第2開閉弁46が閉状態である。
【0055】
第3運転では、第1四方弁40が第3状態なので、改質器4で生成される改質ガスが、共通上流通路20と第3上流通路26を流れて第3吸着器14に供給される。改質ガスが第3吸着器14を通過するときに、改質ガスに含まれるアンモニアが第3吸着器14の吸着材14bに吸着される。
【0056】
また、第3運転では、第3開閉弁48と第1開閉弁44が開状態なので、第3吸着器14から排出される改質ガスが、第3接続通路74(即ち、中間通路60の第3部分66と第1部分62)を流れて第1吸着器10に供給される。改質ガスが第1吸着器10を通過するときに、改質ガスに含まれるアンモニアが第1吸着器10の吸着材10bに吸着される。なお、第3運転では、第2開閉弁46が閉状態なので第2吸着器12に改質ガスが供給されない。
【0057】
第1吸着器10から排出される改質ガスは、第2四方弁42が第3状態なので、第1下流通路32と共通下流通路30を流れて燃料電池6に供給される。燃料電池6は、共通下流通路30から供給される改質ガスを用いて発電する。
【0058】
燃料電池システム1では、中間通路60の合流部68を流れる改質ガスに含まれるアンモニアの濃度が濃度センサ52によって検出される。制御装置50は、第3運転の実行中の濃度センサ52の検出濃度(即ち、第3吸着器14から排出される改質ガスに含まれるアンモニアの濃度)が所定の第3基準濃度を超える場合に、燃料電池システム1の運転を第3運転から第1運転に切り替える。制御装置50は、吸着装置2の複数の弁(40、42、44、46、48)の状態を切り替えることにより、燃料電池システム1の運転を第1運転に移行させる。所定の第3基準濃度は、例えば、第3吸着器14が破過したことを示す濃度に設定される。第3基準濃度は、上述した第1基準濃度又は第2基準濃度と同じ濃度であっても、異なる濃度であってもよい。
【0059】
上述した第3運転(第3吸着状態)では、第2吸着器12がアンモニアの吸着のために使用されないので、第3運転の実行中にユーザが第2吸着器12を交換することができる。例えば、上述した第2運転で使用した第2吸着器12を吸着装置2から取り外し、未使用の新しい第2吸着器12を吸着装置2に取り付けることができる。第2吸着器12が交換された場合は、その後の運転では交換後の新しい第2吸着器12が使用される。変形例では、第2吸着器12を吸着装置2から取り外さずに、容器12a内の吸着材12bを交換してもよい。
【0060】
また、制御装置50は、第3運転の実行中に第2吸着器12が交換された場合のみ、燃料電池システム1の運転を第1運転に移行させてもよい。例えば、制御装置50は、着脱センサ(図示省略)によって第2吸着器12が着脱されたことが検出された場合のみ、燃料電池システム1の運転を第1運転に移行させてもよい。
【0061】
(効果)
以上、実施例の燃料電池システム1及び吸着装置2について説明した。以上の説明から明らかなように、吸着装置2は、第1吸着器を上流側の吸着器とし、第2吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の第1吸着器と下流側の第2吸着器により吸着する第1吸着状態(図2参照)と、第2吸着器を上流側の吸着器とし、第3吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の第2吸着器と下流側の第3吸着器により吸着する第2吸着状態(図3参照)と、第3吸着器を上流側の吸着器とし、第1吸着器を下流側の吸着器として、ガスに含まれる成分を上流側の第3吸着器と下流側の第1吸着器により吸着する第3吸着状態(図4参照)と、を順に切り替え可能である。
【0062】
この構成によれば、第1吸着状態では、上流側の第1吸着器10が破過したとしても下流側の第2吸着器12によりガスに含まれるアンモニアを吸着することができる。また、第1吸着状態から第2吸着状態に切り替えることにより、第2吸着状態では、上流側の第2吸着器12が破過したとしても下流側の第3吸着器14によりガスに含まれるアンモニアを吸着することができる。また、第2吸着状態のうちに第1吸着器10を新しい吸着器に交換することができる。また、第2吸着状態から第3吸着状態に切り替えることにより、第3吸着状態では、上流側の第3吸着器14が破過したとしても下流側の第1吸着器10によりガスに含まれるアンモニアを吸着することができる。また、第3吸着状態のうちに第2吸着器12を新しい吸着器に交換することができる。また、第3吸着状態から第1吸着状態に切り替えることにより、第1吸着状態では、上流側の第1吸着器10が破過したとしても下流側の第2吸着器12によりガスに含まれるアンモニアを吸着することができる。また、第1吸着状態のうちに第3吸着器14を新しい吸着器に交換することができる。以上のように第1吸着状態と第2吸着状態と第3吸着状態とを切り替えることにより、ガスに含まれるアンモニアが下流側の吸着器よりも下流側へ流出することを抑制することができる。
【0063】
また、吸着装置2は、第1接続通路70と第2接続通路72と第3接続通路74とが合流する部分である合流部68と、合流部68に配置された濃度センサ52とを備えている。濃度センサ52は、第1接続通路70を流れるガスに含まれるアンモニアの濃度と、第2接続通路72を流れるガスに含まれるアンモニアの濃度と、第3接続通路74を流れるガスに含まれるアンモニアの濃度とを検出可能である。この構成によれば、複数の接続通路70、72、74について1つの濃度センサ52により濃度を検出することができる。
【0064】
また、制御装置50は、第1吸着状態のときに濃度センサ52の検出濃度が第1基準濃度を超える場合に、吸着装置2を第1吸着状態から第2吸着状態に切り替え、第2吸着状態のときに濃度センサ52の検出濃度が第2基準濃度を超える場合に、吸着装置2を第2吸着状態から第3吸着状態に切り替え、第3吸着状態のときに濃度センサ52の検出濃度が所定の第3基準濃度を超える場合に、吸着装置2を第3吸着状態から第1吸着状態に切り替える。この構成によれば、第1吸着状態と第2吸着状態と第3吸着状態とを適切なタイミング(例えば、上流側の吸着器が破過したタイミング)で切り替えることができる。
【0065】
(変形例)
上記の実施例では3個の吸着器(第1吸着器10、第2吸着器12、第3吸着器14)を用いたが、変形例では、4個以上の吸着器を用いてもよい。
【0066】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0067】
1:燃料電池システム、2:吸着装置、4:改質器、6:燃料電池、10:第1吸着器、12:第2吸着器、14:第3吸着器、20:共通上流通路、22:第1上流通路、24:第2上流通路、26:第3上流通路、30:共通下流通路、32:第1下流通路、34:第2下流通路、36:第3下流通路、40:第1四方弁、42:第2四方弁、44:第1開閉弁、46:第2開閉弁、48:第3開閉弁、50:制御装置、52:濃度センサ、60:中間通路、68:合流部、70:第1接続通路、72:第2接続通路、74:第3接続通路
図1
図2
図3
図4
図5