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特開2024-38892サスペンション装置、及び、ストラットマウント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038892
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】サスペンション装置、及び、ストラットマウント
(51)【国際特許分類】
   B60G 11/16 20060101AFI20240313BHJP
   B60G 3/28 20060101ALI20240313BHJP
   F16F 9/54 20060101ALI20240313BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B60G11/16
B60G3/28
F16F9/54
F16F15/08 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143231
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】大津 一高
【テーマコード(参考)】
3D301
3J048
3J069
【Fターム(参考)】
3D301AA76
3D301CA09
3D301DA08
3D301DA33
3D301DB03
3D301DB09
3D301DB13
3D301DB17
3J048AA02
3J048AD16
3J048BA19
3J048DA01
3J048EA16
3J069AA69
3J069CC35
3J069DD26
(57)【要約】
【課題】車内騒音を抑制できる、サスペンション装置、及び、ストラットマウントを、提供する。
【解決手段】サスペンション装置1は、ダンパーロッド2と、ストラットマウント3と、を備えた、サスペンション装置であって、ストラットマウントは、車体側に取り付けられるように構成された、ブラケット31と、ダンパーロッドのロッド軸線方向RAに対して垂直なシャフト軸線SAに沿って延在するようにダンパーロッドに取り付けられた、シャフト32と、シャフトの両端部において、シャフト及びブラケットどうしを連結するように、シャフト軸線と同軸に設けられた、一対のブッシュ33と、を有し、各ブッシュは、それぞれ、ブラケットに接する外筒331と、シャフトに接する内筒332と、外筒及び内筒どうしを連結する本体ゴム333と、を有し、各ブッシュの本体ゴムは、シャフトに対するロッド軸線方向の両側において、スグリ3335を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンパーロッドと、
ストラットマウントと、
を備えた、サスペンション装置であって、
前記ストラットマウントは、
車体側に取り付けられるように構成された、ブラケットと、
前記ダンパーロッドのロッド軸線方向に対して垂直なシャフト軸線に沿って延在するように前記ダンパーロッドに取り付けられた、シャフトと、
前記シャフトの両端部において、前記シャフト及び前記ブラケットどうしを連結するように、前記シャフト軸線と同軸に設けられた、一対のブッシュと、
を有し、
各前記ブッシュは、それぞれ、
前記ブラケットに接する外筒と、
前記シャフトに接する内筒と、
前記外筒及び前記内筒どうしを連結する本体ゴムと、
を有し、
各前記ブッシュの前記本体ゴムは、前記シャフトに対する前記ロッド軸線方向の両側において、スグリを有している、サスペンション装置。
【請求項2】
ロアボールジョイントをさらに備え、
前記シャフト軸線は、前記サスペンション装置のストローク中における前記ロアボールジョイントの中心点の軌跡に外接する仮想円筒の中心軸線と前記サスペンション装置のストローク中における前記ダンパーロッドの揺動中心点とを含む仮想平面に対して略垂直である、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項3】
前記ダンパーロッドは、前記サスペンション装置のストローク中において前記シャフト軸線に垂直な仮想平面に沿って揺動する、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のサスペンション装置に用いられる、前記ストラットマウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サスペンション装置、及び、ストラットマウントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体側に取り付けられるように構成されたブラケットと、本体ゴムと、を備えた、ストラットマウントがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-44362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、車内騒音に関し、向上の余地があった。
【0005】
この発明は、車内騒音を抑制できる、サスペンション装置、及び、ストラットマウントを、提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕ダンパーロッドと、
ストラットマウントと、
を備えた、サスペンション装置であって、
前記ストラットマウントは、
車体側に取り付けられるように構成された、ブラケットと、
前記ダンパーロッドのロッド軸線方向に対して垂直なシャフト軸線に沿って延在するように前記ダンパーロッドに取り付けられた、シャフトと、
前記シャフトの両端部において、前記シャフト及び前記ブラケットどうしを連結するように、前記シャフト軸線と同軸に設けられた、一対のブッシュと、
を有し、
各前記ブッシュは、それぞれ、
前記ブラケットに接する外筒と、
前記シャフトに接する内筒と、
前記外筒及び前記内筒どうしを連結する本体ゴムと、
を有し、
各前記ブッシュの前記本体ゴムは、前記シャフトに対する前記ロッド軸線方向の両側において、スグリを有している、サスペンション装置。
これにより、車内騒音を抑制できる。
【0007】
〔2〕ロアボールジョイントをさらに備え、
前記シャフト軸線は、前記サスペンション装置のストローク中における前記ロアボールジョイントの中心点の軌跡に外接する仮想円筒の中心軸線と前記サスペンション装置のストローク中における前記ダンパーロッドの揺動中心点とを含む仮想平面に対して略垂直である、〔1〕に記載のサスペンション装置。
これにより、車内騒音をさらに抑制できる。
【0008】
〔3〕前記ダンパーロッドは、前記サスペンション装置のストローク中において前記シャフト軸線に垂直な仮想平面に沿って揺動する、〔1〕又は〔2〕に記載のサスペンション装置。
これにより、車内騒音をさらに抑制できる。
【0009】
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のサスペンション装置に用いられる、前記ストラットマウント。
これにより、車内騒音を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、車内騒音を抑制できる、サスペンション装置、及び、ストラットマウントを、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るストラットマウントの本体部をロッド高さ方向上側から見た様子を示す、上面図である。
図2図1の本体部を図1のB矢印の方向に見た様子を示す、B矢視図である。
図3図1の本体部を図1のC矢印の方向に見た様子を示す、C矢視図である。
図4図1のストラットマウントを備えた本発明の一実施形態に係るサスペンション装置の一部を、図1のA-A線に沿った断面により示す、A-A断面図である。
図5図3に対応する図面であり、サスペンション装置のストローク中における動作を説明するための図面である。
図6図4のサスペンション装置の一部を概略的に示しており、当該サスペンション装置のストローク中における動作を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るサスペンション装置、及び、ストラットマウントは、マクファーソン・ストラット式サスペンション装置に適用されると好適なものである。
以下に、図面を参照しつつ、この発明に係るサスペンション装置、及び、ストラットマウントの実施形態を例示説明する。
【0013】
図1図6は、本発明の一実施形態に係るサスペンション装置1、及び、本発明の一実施形態に係るストラットマウント3を説明するための図面である。
図6は、本実施形態に係るサスペンション装置1の一部を、概略的に示している。本実施形態のサスペンション装置1は、マクファーソン・ストラット式サスペンション装置として構成されている。サスペンション装置1は、車両に備えられる。
図6に示すように、本実施形態のサスペンション装置1は、本発明の一実施形態に係るストラットマウント3と、ショックアブソーバ5と、スプリング4と、ロアアーム8と、ロアボールジョイント7と、ハブ(図示せず)と、ナックル(図示せず)と、を備えている。
ショックアブソーバ5は、ダンパーロッド2と、シリンダー6と、を有している。シリンダーは、ダンパーロッド2の下側に位置しており、ダンパーロッド2の中心軸線(以下、「ロッド軸線RA」という。)と同軸に配設されている。
ストラットマウント3は、ダンパーロッド2の上端部に取り付けられている。
スプリング4は、ダンパーロッド2及びストラットマウント3を一体に上方付勢状態で下方移動可能に支持するように構成されている。スプリング4の下端部は、ショックアブソーバ5のシリンダー6に固定された受部9によって支持されている。
ロアボールジョイント7は、ショックアブソーバ5よりも下側に位置している。ショックアブソーバ5の下端部(すなわち、シリンダー6の下端部)とロアボールジョイント7とは、ナックル(図示せず)を介して連結されている。
ナックル(図示せず)は、ハブ(図示せず)から車両左右方向内側KIに突出している。ハブ(図示せず)は、車輪(図示せず;例えば、前輪)を回転可能に支持する。
ロアアーム8は、車両左右方向Kに沿って延在する延長部81と、一対のブッシュ82と、を有している。一対のブッシュ82は、延長部81の車両左右方向内側KIの端部に設けられており、互いから車両前後方向Jに離間している。
ロアボールジョイント7は、ロアアーム8の車両左右方向外側KOの端部に取り付けられている。
【0014】
なお、本明細書において、車両左右方向内側KIとは、車両左右方向Kにおいて車両の車両左右方向Kの中心に近い側を指す。一方、車両左右方向外側KOとは、車両左右方向Kにおいて車両の車両左右方向Kの中心から遠い側を指す。
また、本明細書では、ロッド軸線RAに平行な方向を、「ロッド軸線方向RAD」という。
また、本明細書では、ロッド軸線RAに近い側を「ロッド内周側」といい、ロッド軸線RAから遠い側を「ロッド外周側」といい、ロッド軸線RAを中心とする周方向を「ロッド周方向」といい、ロッド軸線RAを中心とする径方向を「ロッド径方向」という。
【0015】
図1図6において矢印で示すように、本明細書では、便宜のため、それぞれストラットマウント3に対して固定されているとともに互いに直交する、マウント幅方向X、マウント奥行方向Y、及び、マウント高さ方向Zを、定義する。
【0016】
図4に示すように、本実施形態のストラットマウント3は、本体部3Mと、ベアリング34と、スプリングシート35と、を備えている。
本体部3Mは、ブラケット31と、シャフト32と、一対のブッシュ33と、を有している。
図1図3図5では、ストラットマウント3のうちの本体部3Mのみを示している。
【0017】
ブラケット31は、車体側に取り付けられるように構成されている。図1図4に示すように、本実施形態において、ブラケット31は、本体部311と、フランジ部312と、を有している。
本体部311は、マウント高さ方向Zに延在する筒状に構成されおり、ひいては、マウント高さ方向Zに延在する中央貫通穴313を有している。マウント高さ方向Zは、中央貫通穴313の中心軸線に平行である。
図4に示すように、ブラケット31の中央貫通穴313は、ダンパーロッド2の上端部が挿入されるように構成されている。車両が静止した状態において、ロッド軸線方向RADは、マウント高さ方向Zと一致するようにされる。
フランジ部312は、本体部311における上側の部分からロッド外周側へ張り出している。フランジ部312は、複数(図の例では、3つ)の締結穴315を有している。フランジ部312は、複数(図の例では、3つ)の締結具F1がこれらの締結穴315に通されて車体側に対して締め付けられることによって、車体側に取り付けられるように構成されている。締結具F1は、例えばボルトである。
ただし、ブラケット31は、締結具F1による締結とは異なる手段によって車体側に取り付けられるように構成されてもよい。
【0018】
図6に示すように、車両が静止した状態において、ロッド軸線RAは、車両上下方向Lに略平行であり、例えば、図6の例のように、車両上下方向Lに対して鋭角をなすように傾斜していてもよい。より具体的に、図6の例において、ロッド軸線RAは、上側へ向かうほど車両左右方向内側KIに向かうように延在している。
【0019】
なお、図3及び図5では、便宜のため、ダンパーロッド2を破線により示している。
【0020】
図4に示すサスペンション装置1は、車両が静止した状態にある。図3に破線で示すダンパーロッド2は、図4と同じ状態にある。図4に示すように、シャフト32は、マウント幅方向Xに沿って延在している。シャフト32は、ダンパーロッド2の上端部に取り付けられるように構成されている。
より具体的に、シャフト32は、そのマウント幅方向Xの中央において、マウント高さ方向Zにシャフト32を貫通する貫通穴32hを有している。一方、ダンパーロッド2は、その上端部に取付部21を有している。取付部21は、ダンパーロッド2のうち取付部21よりも下側の部分よりも小径である。取付部21のロッド外周側の面には、おねじが形成されている。ダンパーロッド2は、取付部21の下端からロッド外周側へ延在するとともに上側を向く段差面22を有している。シャフト32は、シャフト32の貫通穴32hにダンパーロッド2の取付部21が挿通され、シャフト32のマウント高さ方向下側ZLの面がダンパーロッド2の段差面22に接した状態で、ナット等の締結具F2によってマウント高さ方向上側ZUから締め付けられることによって、ダンパーロッド2に取り付けられるように構成されている。
ただし、シャフト32は、本例とは異なる構造によって、ダンパーロッド2に取り付けられるように構成されていてもよい。
シャフト32は、ロッド軸線方向RADに対して垂直なシャフト軸線SAに沿って延在するようにダンパーロッド2に取り付けられるように構成されている。シャフト軸線SAは、シャフト32の中心軸線である。マウント幅方向Xは、シャフト軸線SAに平行である。
【0021】
なお、本明細書では、シャフト軸線SAに平行な方向を、「シャフト軸線方向SAD」という。
また、本明細書では、シャフト軸線SAに近い側を「シャフト内周側」といい、シャフト軸線SAから遠い側を「シャフト外周側」といい、シャフト軸線SAを中心とする周方向を「シャフト周方向」といい、シャフト軸線SAを中心とする径方向を「シャフト径方向」という。
【0022】
図2図4に示すように、ブラケット31の本体部311は、中央貫通穴313に対するシャフト軸線方向SADの両側において、本体部311をシャフト軸線方向SADに貫通する一対の側部貫通穴314を有している。側部貫通穴314は、ブラケット31の穴区画面316によって区画されている。一対の側部貫通穴314は、中央貫通穴313に連通しており、シャフト軸線SAと同軸である。
シャフト32のシャフト軸線方向SADの両側の端部321は、一対の側部貫通穴314の内部に位置している。シャフト32の各端部321のシャフト外周側の面の径は、各側部貫通穴314の径よりも、小さい。
【0023】
シャフト32におけるシャフト軸線方向SADの両側の端部321には、一対のブッシュ33が設けられている。一対のブッシュ33は、シャフト軸線SAと同軸に設けられている。一対のブッシュ33は、ブラケット31の一対の側部貫通穴314の内部において、シャフト32のシャフト軸線方向SADの両側の端部321のシャフト外周側に位置している。一対のブッシュ33は、シャフト32及びブラケット31どうしを連結しており、具体的には、シャフト32の両側の端部321とブラケット31の一対の穴区画面316とを互いに連結している。
【0024】
図3図4に示すように、各ブッシュ33は、それぞれ、外筒331と、内筒332と、本体ゴム333と、を有している。
外筒331は、ブラケット31に接しており、具体的には、ブラケット31の穴区画面316に接している。
内筒332は、外筒331よりもシャフト内周側に離間した位置に位置している。内筒332は、シャフト32に接しており、具体的には、シャフト32のシャフト軸線方向SADの端部321のシャフト外周側の面に接している。
本体ゴム333は、ゴムから構成されている。本体ゴム333は、シャフト径方向において外筒331と内筒332との間に位置しており、外筒331及び内筒332どうしを連結している。
【0025】
図3図4に示すように、本例において、各ブッシュ33の本体ゴム333は、それぞれ、外周側環状部3331と、内周側環状部3332と、一対の連結部3333と、一対の突出部3334と、一対のスグリ3335と、を有している。
外周側環状部3331は、シャフト周方向の全周にわたって延在するように環状に構成されている。外周側環状部3331のシャフト外周側の面は、外筒331のシャフト内周側の面に接している。
内周側環状部3332は、シャフト周方向の全周にわたって延在するように環状に構成されている。内周側環状部3332のシャフト内周側の面は、内筒332のシャフト外周側の面に接している。
一対の連結部3333は、シャフト32に対するマウント奥行方向Yの両側に位置しており、外周側環状部3331と内周側環状部3332とを連結している。
一対の突出部3334は、シャフト32に対するロッド軸線方向RADの両側に位置している。各突出部3334は、そのシャフト内周側の端部が内周側環状部3332に連結されており、外周側環状部3331へ向かって突出している。各突出部3334のシャフト外周側の端部は、外周側環状部3331よりもシャフト内周側に離間した位置に位置している。
一対のスグリ3335は、シャフト32に対するロッド軸線方向RADの両側に位置している。各スグリ3335は、シャフト軸線方向SADにおいて本体ゴム333を貫通している。各スグリ3335は、それぞれ、シャフト周方向において一対の連結部3333どうしの間に位置している。より具体的に、各スグリ3335は、外周側環状部3331と一対の連結部3333と突出部3334との間に区画されている。各スグリ3335は、それぞれ、狭幅部3335nと、一対の広幅部3335wと、を有している。狭幅部3335nは、外周側環状部3331のシャフト内周側の面と突出部3334のシャフト外周側の面との間に区画されている。一対の広幅部3335wは、狭幅部3335nに対してシャフト周方向の両側に位置している。狭幅部3335nは、一対の広幅部3335wよりも狭いシャフト径方向幅を有している。
【0026】
一対のブッシュ33は、例えば圧入等により、ブラケット31とシャフト32との間に配設される。
【0027】
図4に示すように、ベアリング34は、シャフト32及び一対のブッシュ33よりもロッド外周側に位置しており、ブラケット31のフランジ部312にマウント高さ方向下側ZLから接している。
スプリングシート35は、ベアリング34にマウント高さ方向下側ZLから接している。スプリングシート35には、スプリング4の上端部が、マウント高さ方向下側ZLから接している。
ベアリング34は、ストラットマウント3の本体部3Mを、スプリングシート35(ひいてはスプリング4)に対して相対的に、ロッド軸線RAの周りで回転可能に支持している。これにより、例えば、車両が転陀する際等におけるスプリング4の回転を吸収することができる。
【0028】
本実施形態のストラットマウント3を組み立てる際には、例えば、まず、シャフト32をブラケット31の内部に位置させた状態で、一対のブッシュ33を圧入等によりマウント幅方向X両外側から一対の側部貫通穴314内へ挿入し、それにより、一対のブッシュ33を介してブラケット31及びシャフト32どうしを連結し、その後、ベアリング34及びスプリングシート35をマウント高さ方向下側ZLからブラケット31のフランジ部312へ向けて組み付ける。
【0029】
本実施形態においては、上述のように、シャフト32が、ロッド軸線方向RADに対して垂直なシャフト軸線SAに沿って延在するようにダンパーロッド2に取り付けられ、一対のブッシュ33が、シャフト32の両端部321において、シャフト32及びブラケット31どうしを連結するように、シャフト軸線SAと同軸に設けられ、各ブッシュ33の本体ゴム333が、シャフト32に対するロッド軸線方向RADの両側において、スグリ3335を有している。
本体ゴム333においてロッド軸線方向RADの両側に配置されたスグリ3335があることにより、仮にロッド軸線方向RADの両側にスグリ3335が配置されていない場合に比べて、上下方向における本体ゴム333の剛性を低くすることができ、それにより、ロードノイズ等の上下方向の微小変位の発生時においては、微小振動が伝わりにくくなるので、車内騒音を低減することができる。
また、より大きな上下方向変位の発生時においては、シャフト32に対するロッド軸線方向RADのいずれか一方側において、突出部3334が(外周側環状部3331を介して)外筒331に当たる(ひいては、スグリ3335の狭幅部3335nが無くなる)ことにより、突出部3334の剛性が全体のバネ剛性に付加され、それにより全体のバネ剛性を大きく増大でき、ショックアブソーバ5による減衰力を効果的に活用できるようになる。
また、ダンパーロッド2は、(シャフト32を介して)本体ゴム333によって、シャフト周方向において柔らく支持されているので、図5図6に示すように、シャフト32と一体となって、ブラケット31に対して相対的に、シャフト軸線SAを中心に、シャフト周方向に容易に揺動(こじり変位)できるようにされている。このシャフト周方向の揺動に伴い、本体ゴム333はシャフト周方向にねじれるが、スグリ3335の幅はほとんど又は全く変化しないため、スグリ3335の狭幅部3335nが無くなってバネ剛性が上がるのを抑制できる。したがって、例えばサスペンション装置1のストローク時等において、ダンパーロッド2がシャフト周方向に揺動(こじり変位)する際に、バネ剛性が高くなるのを抑制でき、ひいては、車両姿勢によらず、ロードノイズが車体に伝わるのを効果的に抑制でき、車内騒音を低減することができる。
以上のようにして、微小変位方向と揺動(こじり変位)方向とを独立して振動吸収機能を発揮させることができる。
【0030】
なお、図5図6において、符号RA’は、ダンパーロッド2の揺動中における、それぞれの図に示すタイミングとは異なるタイミングでのロッド軸線RAを示している。
サスペンション装置1のストローク時においては、図6において示すように、ロアアーム8の延長部81が、前後一対のブッシュ82の中心軸線82cの周りで、矢印Dで示すように回動する。それに伴い、ショックアブソーバ5(ひいてはダンパーロッド2)は、揺動中心点Pの周りで、矢印Eで示すように揺動する。揺動中心点Pは、図4に示すように、シャフト軸線SAとロッド軸線RAとの交点に位置すると、好適である。
【0031】
サスペンション装置1は、図5図6に示すように、ダンパーロッド2が、サスペンション装置1のストローク中において、シャフト軸線SAに垂直な仮想平面VPに沿って(すなわち、仮想平面VPに略平行に)揺動するようにされていると、好適である。ここで、当該仮想平面VPは、マウント高さ方向Z及びマウント奥行方向Yを含む仮想平面である。
これにより、サスペンション装置1のストローク中における揺動(こじり変位)が、主にシャフト周方向に生じるようになるので、上述した本体ゴム333による効果を効果的に発揮させて、サスペンション装置1のストローク中における揺動(こじり変位)を効果的に吸収することができ、車内騒音をさらに抑制できる。
【0032】
サスペンション装置1は、図6に示すように、シャフト軸線SAが、サスペンション装置1のストローク中におけるロアボールジョイント7の中心点7cの軌跡7ctに外接する仮想円筒VCの中心軸線VCOとサスペンション装置1のストローク中におけるダンパーロッド2の揺動中心点Pとを含む仮想平面VPに対して略垂直(より好ましくは、垂直)であると、好適である。
これにより、サスペンション装置1のストローク中における揺動(こじり変位)が、主にシャフト周方向に生じるようになるので、上述した本体ゴム333による効果を効果的に発揮させて、サスペンション装置1のストローク中における揺動(こじり変位)を効果的に吸収することができ、車内騒音をさらに抑制できる。
ここで、仮想円筒VCは、言い換えれば、サスペンション装置1のストローク中におけるロアボールジョイント7の中心点7cの軌跡7ctを最小限に含む仮想円筒である。サスペンション装置1のストローク中におけるロアボールジョイント7の中心点7cの軌跡7ctは、略円弧状をなす。
【0033】
ストラットマウント3は、シャフト32が、ロッド軸線方向RADに対して垂直なシャフト軸線SAに沿って延在するようにダンパーロッド2に取り付けられ、一対のブッシュ33が、シャフト32の両端部321において、シャフト32及びブラケット31どうしを連結するように、シャフト軸線SAと同軸に設けられ、各ブッシュ33の本体ゴム333が、シャフト32に対するロッド軸線方向RADの両側において、スグリ3335を有している限りにおいて、上述の実施形態とは異なる任意の構成を有していてよい。
【0034】
例えば、本体ゴム333において、突出部3334は、内周側環状部3332ではなく外周側環状部3331に連結され、それにより、スグリ3335の狭幅部3335nは、内周側環状部3332と突出部3334との間に区画されていてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態におけるストラットマウント3のブラケット31は、上述のようにストラットマウント3の組み立てがしやすいように構成されているが、ブラケット31の構成は、上述の実施形態とは異なるものでもよい。
ベアリング34やスプリングシート35についても、上述の実施形態とは異なるものでもよい。
【0036】
また、サスペンション装置1のうちストラットマウント3以外の部分の構成については、上述の実施形態とは異なるものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るサスペンション装置、及び、ストラットマウントは、マクファーソン・ストラット式サスペンション装置に適用されると好適なものである。
【符号の説明】
【0038】
1:サスペンション装置、
2:ダンパーロッド、 21:取付部、 22:段差面、
3:ストラットマウント、
3M:本体部、
31:ブラケット、 311:本体部、 312:フランジ部、 313:中央貫通穴、 314:側部貫通穴、 315:締結穴、 316:穴区画面、
32:シャフト、 32h:貫通穴、 321:端部、
33:ブッシュ、
331:外筒、
332:内筒、
333:本体ゴム、 3331:外周側環状部、 3332:内周側環状部、 3333:連結部、 3334:突出部、 3335:スグリ、 3335n:狭幅部、 3335w:広幅部、
34:ベアリング、
35:スプリングシート、
4:スプリング、
5:ショックアブソーバ、
6:シリンダー、
7:ロアボールジョイント、 7c:中心点、 7ct:軌跡、
8:ロアアーム、 81:延長部、 82:ブッシュ、 82c:中心軸線、
9:受部、
RA、RA:ロッド軸線、 RAD:ロッド軸線方向、 SA:シャフト軸線、 SAD:シャフト軸線方向、
VC:仮想円筒、 VCO:中心軸線、P:揺動中心点、 VP:仮想平面、
F1、F2:締結具、
X:マウント幅方向、 Y:マウント奥行方向、 Z:マウント高さ方向、 ZU:マウント高さ方向上側、 ZL:マウント高さ方向下側、
J:車両前後方向、 K:車両左右方向、 KO:車両左右方向外側、 KI:車両左右方向内側、 L:車両上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6