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特開2024-38911弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038911
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュール
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20240313BHJP
   H03H 9/72 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143280
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】古藤 祐喜
(72)【発明者】
【氏名】塩井 伸一
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA25
5J097BB02
5J097BB11
5J097FF04
5J097HA04
5J097JJ04
5J097JJ06
5J097JJ09
5J097KK09
5J097KK10
(57)【要約】
【課題】チップ基板の放熱性を向上することができる弾性波デバイスを提供する。
【解決手段】弾性波デバイスは、配線基板と、前記配線基板に形成された配線基板側配線と、前記配線基板と対向したチップ基板と、前記チップ基板に形成されたチップ基板側配線と、前記チップ基板に形成され、前記チップ基板側配線と電気的に接続された複数の共振器と、前記配線基板側配線と前記チップ基板側配線とを電気的に接続された複数のバンプと、前記チップ基板側配線において、複数の共振器を電気的に接続した領域と接合され、前記配線基板側配線と絶縁された放熱用バンプと、を備えた。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に形成された配線基板側配線と、
前記配線基板と対向したチップ基板と、
前記チップ基板に形成されたチップ基板側配線と、
前記チップ基板に形成され、前記チップ基板側配線と電気的に接続された複数の共振器と、
前記配線基板側配線と前記チップ基板側配線とに電気的に接続された複数のバンプと、
前記チップ基板側配線において、複数の共振器を電気的に接続した領域と接合され、前記配線基板側配線と絶縁された放熱用バンプと、
を備えた弾性波デバイス。
【請求項2】
前記放熱用バンプは、前記チップ基板側配線において、隣接した直列共振器を電気的に接続した領域と接合された請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記放熱用バンプは、前記チップ基板の中央部において前記チップ基板側配線と接合された請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記配線基板側配線に形成された高熱伝導性絶縁層、
を備え、
前記放熱用バンプは、前記高熱伝導性絶縁層と接触した請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記高熱伝導性絶縁層は、前記配線基板側配線としてのグランド用金属層に形成された請求項4に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記高熱伝導性絶縁層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン、ソルダーレジスト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛または酸化シリコンで形成された請求項4に記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記配線基板は、
前記配線基板側配線と電気的に接続されていない放熱用金属層、
を備え、
前記放熱用バンプは、前記放熱用金属層と接合された請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記配線基板は、
絶縁層と、
前記絶縁層を介して積層され、前記配線基板側配線と電気的に接続されていない複数の放熱用金属層と、
前記絶縁層を貫通し、前記複数の放熱用金属層と電気的に接続された放熱用ビアと、
を備え、
前記放熱用バンプは、前記配線基板において露出した放熱用金属層と接合された請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記複数の共振器は、弾性表面波共振器である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
前記複数の共振器は、音響薄膜共振器である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項11】
前記複数の共振器は、デュプレクサとして機能する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項12】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを備えるモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールに関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、弾性波デバイスを開示する。当該弾性波デバイスによれば、配線等の自由度が向上し得る。その結果、当該弾性波デバイスの小型化を図り得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-245739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の弾性波デバイスにおいては、封止部の内部において、チップ基板からの熱が逃げにくい。このため、チップ基板の放熱性が低い。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、チップ基板の放熱性を向上することができる弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る弾性波デバイスは、
配線基板と、
前記配線基板に形成された配線基板側配線と、
前記配線基板と対向したチップ基板と、
前記チップ基板に形成されたチップ基板側配線と、
前記チップ基板に形成され、前記チップ基板側配線と電気的に接続された複数の共振器と、
前記配線基板側配線と前記チップ基板側配線とに電気的に接続された複数のバンプと、
前記チップ基板側配線において、複数の共振器を電気的に接続した領域と接合され、前記配線基板側配線と絶縁された放熱用バンプと、
を備えた弾性波デバイスとした。
【0007】
前記放熱用バンプは、前記チップ基板側配線において、隣接した直列共振器を電気的に接続した領域と接合されたことが、本開示の一形態とされる。
【0008】
前記放熱用バンプは、前記チップ基板の中央部において前記チップ基板側配線と接合されたことが、本開示の一形態とされる。
【0009】
前記配線基板側配線に形成された高熱伝導性絶縁層、
を備え、
前記放熱用バンプは、前記高熱伝導性絶縁層と接触したことが、本発明の一形態とされる。
【0010】
前記高熱伝導性絶縁層は、前記配線基板側配線としてのグランド用金属層に形成されたことが、本発明の一形態とされる。
【0011】
前記高熱伝導性絶縁層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン、ソルダーレジスト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛または酸化シリコンで形成されたことが、本開示の一形態とされる。
【0012】
前記配線基板は、
前記配線基板側配線と電気的に接続されていない放熱用金属層、
を備え、
前記放熱用バンプは、前記放熱用金属層と接合されたことが、本開示の一形態とされる。
【0013】
前記配線基板は、
絶縁層と、
前記絶縁層を介して積層され、前記配線基板側配線と電気的に接続されていない複数の放熱用金属層と、
前記絶縁層を貫通し、前記複数の放熱用金属層と電気的に接続された放熱用ビアと、
を備え、
前記放熱用バンプは、前記配線基板において露出した放熱用金属層と接合されたことが、本開示の一形態とされる。
【0014】
前記複数の共振器は、弾性表面波共振器であることが、本開示の一形態とされる。
【0015】
前記複数の共振器は、音響薄膜共振器であることが、本開示の一形態とされる。
【0016】
前記複数の共振器は、デュプレクサとして機能することが、本開示の一形態とされる。
【0017】
前記弾性波デバイスを備えるモジュールが、本開示の一形態とされる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、チップ基板の放熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
図2】実施の形態1における弾性波デバイスのチップ基板の平面図である。
図3】実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の第1例を示す図である。
図4】実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の第2例を示す図である。
図5】実施の形態2における弾性波デバイスの縦断面図である。
図6】実施の形態3における弾性波デバイスの縦断面図である。
図7】実施の形態4における弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0021】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
【0022】
図1は、弾性波デバイス1として、デュプレクサである弾性波デバイスの例を示す。
【0023】
図1に示されるように、弾性波デバイス1は、配線基板2とチップ基板3と複数のバンプ4と封止部5とを備える。
【0024】
例えば、配線基板2は、複数の絶縁層2Aと複数の信号用金属層2Bと複数のグランド用金属層2Cと複数の信号用ビア2Dと複数のグランド用ビア2Eとを備える。
【0025】
例えば、複数の絶縁層2Aは、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)である。複数の信号用金属層2Bは、配線基板側配線の一部として、複数の絶縁層2Aと交互に積層される。複数のグランド用金属層2Cは、配線基板側配線の一部として、複数の絶縁層2Aと交互に積層される。複数の信号用ビア2Dの各々は、配線基板側配線の一部として、絶縁層2Aを貫通する。信号用ビア2Dの一側は、絶縁層2Aの一面に接した信号用金属層2Bと電気的に接続される。信号用ビア2Dの他側は、絶縁層2Aの他面に接した信号用金属層2Bと電気的に接続される。複数のグランド用ビア2Eの各々は、配線基板側配線の一部として、絶縁層2Aを貫通する。グランド用ビア2Eの一側は、絶縁層2Aの一面に接したグランド用金属層2Cと電気的に接続される。グランド用ビア2Eの他側は、絶縁層2Aの他面に接したグランド用金属層2Cと電気的に接続される。
【0026】
チップ基板3は、配線基板2と対向する。例えば、チップ基板3は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶で形成された基板である。例えば、チップ基板3は、圧電セラミックスで形成された基板である。例えば、チップ基板3は、圧電基板と支持基板とがファンデルワールス力により接合された基板である。例えば、支持基板は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスで形成された基板である。
【0027】
チップ基板3は、弾性波素子(図1においては図示されず)が形成される基板である。例えば、チップ基板3の主面(図1においては下面)において、受信フィルタと送信フィルタとが形成される。
【0028】
受信フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、受信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタである。
【0029】
送信フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、送信フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタである。
【0030】
複数のバンプ4は、配線基板2の主面(図1においては上面)に形成された信号用金属層2Bまたはグランド用金属層2Cと電気的に接続される。例えば、バンプ4は、金バンプである。例えば、バンプ4の高さは、20μmから50μmである。複数のバンプ4は、チップ基板3の主面(図1においては下面)に形成されたチップ基板側配線(図1においては図示されず)と電気的に接続される。
【0031】
封止部5は、チップ基板3を覆うように形成される。封止部5は、配線基板2とともに、チップ基板3を封止する。例えば、封止部5は、合成樹脂等の絶縁体で形成される。例えば、封止部5は、金属で形成される。例えば、封止部5は、絶縁層と金属層とで形成される。
【0032】
封止部5が合成樹脂で形成される場合、当該合成樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド等である。好ましくは、封止部5は、低温硬化プロセスを用いてエポキシ樹脂で形成される。
【0033】
本実施の形態においては、高熱伝導性絶縁層6と放熱用バンプ7が付加される。
【0034】
高熱伝導性絶縁層6は、配線基板2の中央部において、グランド用金属層2Cの上面の一部に形成される。例えば、高熱伝導性絶縁層6は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン、ソルダーレジスト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛または酸化シリコンで形成される。
【0035】
放熱用バンプ7は、チップ基板側配線の中央部と電気的に接続される。放熱用バンプ7は、高熱伝導性絶縁層6と接触する。放熱用バンプ7は、配線基板側配線と絶縁される。具体的には、放熱用バンプ7は、複数の信号用金属層2Bと複数のグランド用金属層2Cと複数の信号用ビア2Dと複数のグランド用ビア2Eとから絶縁される。
【0036】
次に、図2を用いて、チップ基板3の構成を説明する。
図2は実施の形態1における弾性波デバイスのチップ基板の平面図である。
【0037】
図2に示されるように、複数の弾性波素子8と配線パターン9とは、チップ基板3の主面に形成される。
【0038】
複数の弾性波素子8は、複数の直列共振器S1、S2、S3、S4、S5と複数の並列共振器P1、P2、P3、P4とを含む。
【0039】
複数の直列共振器S1、S2、S3、S4、S5と複数の並列共振器P1、P2、P3、P4とは、送信フィルタとして機能し得るように形成される。その他の直列共振器とその他の並列共振器とは、受信フィルタとして機能し得るように形成される。
【0040】
例えば、配線パターン9は、チップ基板側配線として、銀、アルミニウム、銅、チタン、パラジウム等の金属または合金で形成される。例えば、配線パターン9は、複数の金属層を積層して形成される。例えば、配線パターン9の厚みは、150nmから400nmである。
【0041】
配線パターン9は、弾性波素子8と電気的に接続される。配線パターン9は、アンテナ用バンプパッドANTと送信用バンプパッドTxと受信用バンプパッドRxと4つのグランドバンプパッドGNDとを含む。これらのバンプパッドは、バンプ4と電気的に接続される。
【0042】
図2において、放熱用バンプ7は、配線パターン9において、隣接した共振器を電気的に接続した領域と直接的に接合される。具体的には、放熱用バンプ7は、配線パターン9において、隣接した直列共振器S3、S4を電気的に接続した領域と直接的に接合される。
【0043】
次に、図3を用いて、弾性波素子8の第1例を説明する。
図3は実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の第1例を示す図である。
【0044】
図3において、弾性波素子8は、表面波共振器である。図3に示されるように、IDT(Interdigital Transducer)8Aと一対の反射器8Bとは、チップ基板3の第一主面に形成される。IDT8Aと一対の反射器8Bとは、弾性表面波を励振し得るように設けられる。
【0045】
例えば、IDT8Aと一対の反射器8Bとは、アルミニウムと銅の合金で形成される。例えば、IDT8Aと一対の反射器8Bとは、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金で形成される。例えば、IDT8Aと一対の反射器8Bとは、複数の金属層が積層した積層金属膜で形成される。例えば、IDT8Aと一対の反射器8Bとの厚みは、150nmから400nmである。
【0046】
IDT8Aは、一対の櫛形電極8Cを備える。一対の櫛形電極8Cは、互いに対向する。櫛形電極8Cは、複数の電極指8Dとバスバー8Eとを備える。複数の電極指8Dは、長手方向を合わせて配置される。バスバー8Eは、複数の電極指8Dを接続する。
【0047】
一対の反射器8Bの一方は、IDT8Aの一側に隣接する。一対の反射器8Bの他方は、IDT8Aの他側に隣接する。
【0048】
次に、図4を用いて、弾性波素子8の第2例を説明する。
図4は実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の第2例を示す図である。
【0049】
図4において、弾性波素子8は、音響薄膜共振器である。例えば、チップ基板3は、シリコン等の半導体基板、または、サファイア、アルミナ、スピネルもしくはガラス等の絶縁基板である。
【0050】
圧電膜8Fは、チップ基板3の主面に設けられる。例えば、圧電膜8Fは、窒化アルミニウムで形成される。
【0051】
下部電極8Gと上部電極8Hとは、圧電膜8Fを挟むように設けられる。例えば、下部電極8Gと上部電極8Hとは、ルテニウム等の金属で形成される。
【0052】
空隙8Jは、下部電極8Gとチップ基板3との間に形成される。
【0053】
音響薄膜共振器において、下部電極8Gと上部電極8Hとは、圧電膜8Fの内部に厚み縦振動モードの弾性波を励振する。
【0054】
以上で説明された実施の形態1によれば、放熱用バンプ7は、配線パターン9において、複数の共振器を電気的に接続した領域と接合される。放熱用バンプ7は、配線基板側配線と絶縁される。このため、弾性波デバイス1としての機能を維持しつつ、チップ基板3の放熱性を高めることができる。その結果、チップ基板3に形成された共振器のマイグレーションを抑制することで、チップ基板3の耐電力性を高めることができる。
【0055】
また、放熱用バンプ7は、配線パターン9において、隣接した直列共振器S3、S4を電気的に接続した領域と直接的に接合される。このため、チップ基板3において熱が逃げにくい領域の放熱性を高めることができる。特に、隣接した直列共振器のみを電気的に接続した領域は、温度が高くなる。このため、放熱用バンプ7が当該領域と直接的に接合される場合、チップ基板3の放熱性をより高めることができる。
【0056】
また、放熱用バンプ7は、チップ基板3の中央部において配線パターン9と接続される。このため、チップ基板3において熱が逃げにくい領域の放熱性を高めることができる。
【0057】
また、高熱伝導性絶縁層6は、グランド用金属層2Cの上面の一部に形成される。放熱用バンプ7は、高熱伝導性絶縁層6と接触する。このため、配線パターン9において、隣接した直列共振器S3、S4を電気的に接続した領域とグランド用金属層2Cとの絶縁性を確保しつつ、チップ基板3の放熱性をより確実に高めることができる。
【0058】
また、高熱伝導性絶縁層6は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン、ソルダーレジスト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛または酸化シリコンで形成される。このため、チップ基板3の放熱性をより確実に高めることができる。特に、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムにおいては、熱伝導率が高い。具体的には、窒化ホウ素の熱伝導率は、60W/m・K程度である。窒化アルミニウムの熱伝導率は、150W/m・K程度である。酸化アルミニウムの熱伝導率は、29W/m・K程度である。このため、窒化ホウ素と窒化アルミニウムと酸化アルミニウムとのうちのいずれかが高熱伝導性絶縁層6として用いられれば、チップ基板3の放熱性をより確実に高めることができる。
【0059】
また、弾性波素子8の第1例において、共振器は、弾性表面波共振器である。このため、弾性表面波共振器が実装されたチップ基板3の放熱性を高めることができる。
【0060】
また、弾性波素子8の第2例において、共振器は、音響薄膜共振器である。このため、音響薄膜共振器が実装されたチップ基板3の放熱性を高めることができる。
【0061】
なお、グランド用金属層2Cと高熱伝導性絶縁層6と放熱用バンプ7とにおいて、寄生容量が発生する。例えば、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウムで形成された高熱伝導性絶縁層6の誘電率を9、高熱伝導性絶縁層6の厚みを10μm、放熱用バンプ7が潰れた際の直径を120μmとした際、寄生容量は、約0.09pFである。このように、寄生容量は、小さな値となる。このため、当該寄生容量は、弾性波デバイス1の回路特性に対してほとんど影響を与えない。
【0062】
実施の形態2.
図5は実施の形態2における弾性波デバイスの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0063】
図5に示されるように、放熱用金属層10は、配線基板2の主面に形成される。放熱用金属層10は、配線基板側配線と電気的に接続されない。具体的には、放熱用金属層10は、複数の信号用金属層2Bと複数のグランド用金属層2Cと複数の信号用ビア2Dと複数のグランド用ビア2Eとから絶縁される。
【0064】
放熱用バンプ7は、放熱用金属層10と直接的に接合される。
【0065】
以上で説明された実施の形態2によれば、放熱用バンプ7は、放熱用金属層10と直接的に接合される。このため、チップ基板3の放熱性を高めることができる。
【0066】
実施の形態3.
図6は実施の形態3における弾性波デバイスの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0067】
図6に示されるように、複数の放熱用金属層10は、絶縁層2Aを介して積層される。放熱用ビア11は、絶縁層2Aを貫通する。放熱用ビア11の一側は、絶縁層2Aの一面と接した放熱用金属層10と電気的に接続される。放熱用ビア11の他側は、絶縁層2Aの他面と接した放熱用金属層10と電気的に接続される。
【0068】
放熱用バンプ7は、配線基板2において露出した放熱用金属層10と接合される。具体的には、図6において、放熱用バンプ7は、上段の放熱用金属層10と接合される。
【0069】
以上で説明された実施の形態3によれば、複数の放熱用金属層10は、絶縁層2Aを介して積層される。放熱用ビア11は、複数の放熱用金属層10と電気的に接続される。このため、放熱用バンプ7からの熱は、上段の放熱用金属層10、放熱用ビア11、下段の放熱用金属層10を伝って逃げる。その結果、実施の形態2よりもチップ基板3の放熱性を高めることができる。
【0070】
実施の形態4.
図7は実施の形態4における弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0071】
図7において、モジュール100は、配線基板101と集積回路部品102と弾性波デバイス1とインダクタ103と封止部104とを備える。
【0072】
配線基板101は、実施の形態1の配線基板2と同等である。
【0073】
図示されないが、集積回路部品102は、配線基板101の内部に実装される。集積回路部品102は、スイッチング回路とローノイズアンプとを含む。
【0074】
弾性波デバイス1は、配線基板101の主面に実装される。
【0075】
インダクタ103は、配線基板101の主面に実装される。インダクタ103は、インピーダンスマッチングのために実装される。例えば、インダクタ103は、Integrated Passive Device(IPD)である。
【0076】
封止部104は、弾性波デバイス1を含む複数の電子部品を封止する。
【0077】
以上で説明された実施の形態4によれば、モジュール100は、弾性波デバイス1を備える。このため、放熱性が高い弾性波デバイス1を備えたモジュール100を実現することができる。
【0078】
少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面が説明されたが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0079】
理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。
【0080】
特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。
【0081】
本開示で使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。
【0082】
「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。
【0083】
前後左右、頂底上下、横縦、表裏への言及は、いずれも、記載の便宜を意図する。当該言及は、本開示の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は、例示にすぎない。
【符号の説明】
【0084】
1 弾性波デバイス、 2 配線基板、 2A 絶縁層、 2B 信号用金属層、 2C グランド用金属層、 2D 信号用ビア、 2E グランド用ビア、3 チップ基板、 4 バンプ、 5 封止部、 6 高熱伝導性絶縁層、 7 放熱用バンプ、 8 弾性波素子、 8A IDT、 8B 反射器、 8C 櫛形電極、 8D 電極指、 8E バスバー、 8F 圧電膜、 8G 下部電極、 8H 上部電極、 8J 空隙、 9 配線パターン、 10 放熱用金属層、 11 放熱用ビア、 100 モジュール、 101 配線基板、 102 集積回路部品、 103 インダクタ、 104 封止部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7