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特開2024-38916防振負荷材ユニット及び防振負荷材装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038916
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】防振負荷材ユニット及び防振負荷材装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20240313BHJP
   B65D 19/38 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
F16F15/02 L
B65D19/38 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143287
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】520153578
【氏名又は名称】武蔵貿易通関株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592063401
【氏名又は名称】株式会社ナベヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100083253
【弁理士】
【氏名又は名称】苫米地 正敏
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 康幸
(72)【発明者】
【氏名】馬場 美充
(72)【発明者】
【氏名】小林 久良雄
【テーマコード(参考)】
3E063
3J048
【Fターム(参考)】
3E063AA07
3E063BA05
3E063CA03
3E063CA05
3E063CA11
3E063CA30
3E063FF07
3E063GG03
3E063GG10
3J048AA01
3J048BA03
3J048BC02
3J048DA01
3J048EA07
3J048EA13
(57)【要約】
【課題】高い防振性能を有するとともに、一般の腰下やパレットなどの荷載置部に取り付けるだけで防振機能を付与することができ、荷のサイズや重さの違いにも比較的広く対応できる防振負荷材ユニットを提供する。
【解決手段】荷を支持する横長の負荷材1と、この負荷材1を、その両端を介して荷載置部に固定する1対の固定金具2を備える。負荷材1は、荷が載置される上部部材3aと、両端が1対の固定金具2に連結固定される下部部材3bと、上部部材3aと下部部材3b間に介在し、下部部材3bに対して上部部材3aを支持する緩衝体4を備える。各固定金具2は、上部部材3aの端部を囲むようにして荷載置部に固定される金具本体5と、上部部材3aの端部と金具本体5内面との間に介在するように金具本体5に内張された緩衝材6を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を支持する横長の負荷材(1)と、該負荷材(1)を、その両端を介して荷載置部に固定する1対の固定金具(2)を備えた防振負荷材ユニットであって、
負荷材(1)は、荷が載置される上部部材(3a)と、両端が1対の固定金具(2)に連結固定される下部部材(3b)と、上部部材(3a)と下部部材(3b)間に介在し、下部部材(3b)に対して上部部材(3a)を支持する緩衝体(4)を備え、
各固定金具(2)は、上部部材(3a)の端部を囲むようにして荷載置部に固定される金具本体(5)と、上部部材(3a)の端部と金具本体(5)内面との間に介在するように金具本体(5)に内張された緩衝材(6)を備えることを特徴とする防振負荷材ユニット。
【請求項2】
上部部材(3a)に、上部部材(3a)に載置された荷を拘束して上部部材(3a)に係止するために用いる荷拘束用の金具(7)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項3】
上部部材(3a)が長手方向に沿ってガイドレール部(30)を有し、該ガイドレール部(30)に、金具(7)をレール長手方向移動可能に設けるとともに、金具(7)をガイドレール部(30)の任意の移動位置で固定できるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項4】
緩衝体(4)が樹脂製の緩衝材(40)からなり、
該緩衝材(40)は、上部部材(3a)と下部部材(3b)に対して少なくとも水平方向に動いて変位しないように、上部部材(3a)と下部部材(3b)に係止されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の防振負荷材ユニット。
【請求項5】
緩衝材(40)に設けられた凹部又は/及び凸部からなる部位(10)と上部部材(3a)及び下部部材(3b)にそれぞれ設けられた凸部又は/及び凹部からなる部位(11)が嵌り合うことにより、緩衝材(40)が、上部部材(3a)と下部部材(3b)に対して水平方向に動いて変位しないように、上部部材(3a)と下部部材(3b)に係止されることを特徴とする請求項4に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項6】
緩衝材(40)と上部部材(3a)及び下部部材(3b)がそれぞれ接着されることにより、緩衝材(40)が上部部材(3a)と下部部材(3b)にそれぞれ係止されることを特徴とする請求項4に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項7】
緩衝体(4)がコイルスプリング(41)とその内側に配置された減衰材(42)からなり、
コイルスプリング(41)は、両端が上部部材(3a)と下部部材(3b)にそれぞれ係止されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の防振負荷材ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の防振負荷材ユニット(A)を複数基備え、該複数基の防振負荷材ユニット(A)が荷載置部に並列状に設置されることを特徴とする防振負荷材装置。
【請求項9】
少なくとも一部の防振負荷材ユニット(A)の上部部材(3a)に、上部部材(3a)に載置された荷を拘束して上部部材(3a)に係止するために用いる荷拘束用の金具(7)を設けたことを特徴とする請求項8に記載の防振負荷材装置。
【請求項10】
上部部材(3a)が長手方向に沿ってガイドレール部(30)を有し、該ガイドレール部(30)に、金具(7)をレール長手方向移動可能に設けるとともに、金具(7)をガイドレール部(30)の任意の移動位置で固定できるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の防振負荷材装置。
【請求項11】
板材(8)が、隣り合う防振負荷材ユニット(A)の上部部材(3a)間に架け渡され、複数の上部部材(3a)と板材(8)の上面により荷の載置面が構成されるようにしたことを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の防振負荷材装置。
【請求項12】
床材(9)が、複数の防振負荷材ユニット(A)の上部部材(3a)に跨って支持されるように、複数の上部部材(3a)の上に配置されて上部部材(3a)に固定され、床材(9)の上面により荷の載置面が構成されるようにしたことを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の防振負荷材装置。
【請求項13】
荷載置部が、腰下又はパレットにおいて荷が載置される部位、物品輸送容器又は物品輸送手段の床部のいずれかであることを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の防振負荷材装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、腰下やパレットなどの荷載置部に取り付けて荷の振動を防止するための防振手段であって、特に精密機器などの輸送に好適な防振負荷材ユニット、およびそのユニット(複数のユニット)で構成される防振負荷材装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品をはじめとする様々な物品を輸送するために腰下やパレットが用いられているが、特に、輸送する物品が医療機器や計測機器などのような精密機器の場合には、腰下やパレットに載せて輸送する際の防振性を十分に確保する必要がある。このため、腰下やパレットの荷載置部と物品(荷)との間に緩衝材(防振材)を介在させるとともに、物品にラッシングベルトを掛け渡してその端部を腰下やパレットに係止(固定)することで、物品を腰下やパレットに固定する方法が広く採られている。また、地面と接する下部部材(基台)と物品を載せる上部部材(天板)間に防振パッドやスプリングなどの緩衝材(防振材)を介在させた防振パレットも知られており(例えば、特許文献1)、このようなパレットを使用する場合も、物品に掛け渡したラッシングベルトの端部をパレットに係止(固定)することで、物品をパレットに固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3118274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、物品にラッシングベルトを掛け渡してその端部を腰下やパレットに係止(固定)することで、物品を腰下やパレットに固定するため、腰下やパレット側の振動・衝撃がラッシングベルトを介して物品に伝わり、緩衝材による防振効果が十分に得られないという問題があった。また、特許文献1のような防振パレットは、輸送する物品のサイズや重さなどに応じてその物品に適したものを用意する必要があるため、使い勝手が悪く、コスト高となる問題もあった。
【0005】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、荷の振動が適切に抑えられる高い防振性能を有するとともに、従来広く使用されている腰下やパレットの荷載置部、コンテナ類の床部などに取り付けるだけで防振機能を付与することができ、また、設置するユニットのサイズやユニット基数を選択することにより荷のサイズや重さの違いにも比較的広く対応することができる防振負荷材ユニットを提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような防振負荷材ユニット(複数のユニット)で構成される防振負荷材装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]荷を支持する横長の負荷材(1)と、該負荷材(1)を、その両端を介して荷載置部に固定する1対の固定金具(2)を備えた防振負荷材ユニットであって、
負荷材(1)は、荷が載置される上部部材(3a)と、両端が1対の固定金具(2)に連結固定される下部部材(3b)と、上部部材(3a)と下部部材(3b)間に介在し、下部部材(3b)に対して上部部材(3a)を支持する緩衝体(4)を備え、
各固定金具(2)は、上部部材(3a)の端部を囲むようにして荷載置部に固定される金具本体(5)と、上部部材(3a)の端部と金具本体(5)内面との間に介在するように金具本体(5)に内張された緩衝材(6)を備えることを特徴とする防振負荷材ユニット。
【0007】
[2]上記[1]の防振負荷材ユニットにおいて、上部部材(3a)に、上部部材(3a)に載置された荷を拘束して上部部材(3a)に係止するために用いる荷拘束用の金具(7)を設けたことを特徴とする防振負荷材ユニット。

[3]上記[2]の防振負荷材ユニットにおいて、上部部材(3a)が長手方向に沿ってガイドレール部(30)を有し、該ガイドレール部(30)に、金具(7)をレール長手方向移動可能に設けるとともに、金具(7)をガイドレール部(30)の任意の移動位置で固定できるようにしたことを特徴とする防振負荷材ユニット。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの防振負荷材ユニットにおいて、緩衝体(4)が樹脂製の緩衝材(40)からなり、
該緩衝材(40)は、上部部材(3a)と下部部材(3b)に対して少なくとも水平方向に動いて変位しないように、上部部材(3a)と下部部材(3b)に係止されることを特徴とする防振負荷材ユニット。
【0008】
[5]上記[4]の防振負荷材ユニットにおいて、緩衝材(40)に設けられた凹部又は/及び凸部からなる部位(10)と上部部材(3a)及び下部部材(3b)にそれぞれ設けられた凸部又は/及び凹部からなる部位(11)が嵌り合うことにより、緩衝材(40)が、上部部材(3a)と下部部材(3b)に対して水平方向に動いて変位しないように、上部部材(3a)と下部部材(3b)に係止されることを特徴とする防振負荷材ユニット。
[6]上記[4]の防振負荷材ユニットにおいて、緩衝材(40)と上部部材(3a)及び下部部材(3b)がそれぞれ接着されることにより、緩衝材(40)が上部部材(3a)と下部部材(3b)にそれぞれ係止されることを特徴とする防振負荷材ユニット。
[7]上記[1]~[3]のいずれかの防振負荷材ユニットにおいて、緩衝体(4)がコイルスプリング(41)とその内側に配置された減衰材(42)からなり、
コイルスプリング(41)は、両端が上部部材(3a)と下部部材(3b)にそれぞれ係止されることを特徴とする防振負荷材ユニット。
【0009】
[8]上記[1]に記載の防振負荷材ユニット(A)を複数基備え、該複数基の防振負荷材ユニット(A)が荷載置部に並列状に設置されることを特徴とする防振負荷材装置。
[9]上記[8]の防振負荷材装置において、少なくとも一部の防振負荷材ユニット(A)の上部部材(3a)に、上部部材(3a)に載置された荷を拘束して上部部材(3a)に係止するために用いる荷拘束用の金具(7)を設けたことを特徴とする防振負荷材装置。
[10]上記[9]の防振負荷材装置において、上部部材(3a)が長手方向に沿ってガイドレール部(30)を有し、該ガイドレール部(30)に、金具(7)をレール長手方向移動可能に設けるとともに、金具(7)をガイドレール部(30)の任意の移動位置で固定できるようにしたことを特徴とする防振負荷材装置。
【0010】
[11]上記[8]~[10]のいずれかの防振負荷材装置において、板材(8)が、隣り合う防振負荷材ユニット(A)の上部部材(3a)間に架け渡され、複数の上部部材(3a)と板材(8)の上面により荷の載置面が構成されるようにしたことを特徴とする防振負荷材装置。
[12]上記[8]~[10]のいずれかの防振負荷材装置において、床材(9)が、複数の防振負荷材ユニット(A)の上部部材(3a)に跨って支持されるように、複数の上部部材(3a)の上に配置されて上部部材(3a)に固定され、床材(9)の上面により荷の載置面が構成されるようにしたことを特徴とする防振負荷材装置。
[13]上記[8]~[12]のいずれかの防振負荷材装置において、荷載置部が、腰下又はパレットにおいて荷が載置される部位、物品輸送容器又は物品輸送手段の床部のいずれかであることを特徴とする防振負荷材装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防振負荷材ユニット及びこれにより構成される防振負荷材装置は、荷の振動が適切に抑えられる高い防振性能を有する。また、従来広く使用されている腰下やパレットの荷載置部、コンテナ類の床部などに取り付けるだけで防振機能を付与することができるとともに、取り付け自体も簡単に行うことができ、しかも、設置するユニットのサイズやユニット基数を選択することにより荷のサイズや重さの違いにも比較的広く対応することができるので、高い防振性能を有し、汎用性が高い防振手段を低コストに提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の防振負荷材ユニットの一実施形態を示す全体斜視図
図2図1の防振負荷材ユニットの一端部側を部分的に示す側面図
図3図2のa-a線に沿う断面図
図4図3のb-b線に沿う断面図
図5図2のc-c線に沿う断面図
図6図1の防振負荷材ユニットを構成する負荷材を示す斜視図
図7図1の防振負荷材ユニットを構成する一方の固定金具を示す斜視図
図8】本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示す全体斜視図
図9図8の防振負荷材ユニットを構成する荷拘束用の金具とその取付構造を部分的に示す側面図
図10図9のd-d線に沿う断面図
図11】本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示す全体斜視図
図12図11の防振負荷材ユニットを構成する荷拘束用の金具とその取付構造および使用状態を部分的に示す側面図
図13図11の防振負荷材ユニットを構成する荷拘束用の金具とその取付構造および使用状態を部分的に示す平面図(荷のアジャスターボルトを水平断面した状態で示す平面図)
図14】本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示す全体斜視図
図15図14の防振負荷材ユニットを構成する荷拘束用の金具とその取付構造を部分的に示す平面図
図16図15のe-e線に沿う断面図
図17】本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を、一方の固定金具を省略した状態で示す斜視図
図18図17のf-f線に沿う断面図
図19】本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示す全体斜視図
図20図19の防振負荷材ユニットの分解斜視図
図21図19の防振負荷材ユニットの平面図
図22図19の防振負荷材ユニットの側面図
図23図21のg-g線に沿う断面図
図24】本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の一実施形態を、荷を載置した状態で示す全体斜視図
図25】本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の他の実施形態を、荷を載置した状態で示す全体斜視図
図26】本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の他の実施形態を示す全体斜視図
図27図26の防振負荷材装置を構成する防振負荷材ユニットの1つについて、その一端部側を部分的に示す平面図
図28図27のh-h線に沿う断面図
図29図26の防振負荷材装置を構成する防振負荷材ユニットの他の1つについて、その一端部側を部分的に示す平面図
図30図29のi-i線に沿う断面図
図31図26の防振負荷材装置を構成する防振負荷材ユニットの1つについて、その一端部側を部分的に示す斜視図
図32】本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の他の実施形態を示す全体斜視図
図33図32のj-j線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図7は、本発明の防振負荷材ユニットの一実施形態を示すものであり、図1は全体斜視図、図2は防振負荷材ユニットの一端部側を部分的に示す側面図、図3図2のa-a線に沿う断面図、図4図3のb-b線に沿う断面図(金具7は図示を省略してある)、図5図2のc-c線に沿う断面図、図6は防振負荷材ユニットを構成する負荷材を示す斜視図、図7は防振負荷材ユニットを構成する一方の固定金具を示す斜視図(負荷材1を構成する下部部材3bが連結固定されていない状態で示す斜視図)である。
本発明の防振負荷材ユニットは、通常、複数基を1セットとして使用される。すなわち、複数基の防振負荷材ユニットを、例えば、腰下やパレットなどの荷載置部x(荷が載置される部位)に並列状に設置して防振負荷材装置を構成する。
この防振負荷材ユニットは、荷(以下「物品」という場合がある。)を支持する横長(梁状)の負荷材1と、この負荷材1を、その両端を介して腰下やパレットなどの荷載置部xに固定する1対の固定金具2を備えている。
【0014】
負荷材1は、その上に荷が載置される上部部材3aと、両端が1対の固定金具2に連結固定される下部部材3bと、上部部材3aと下部部材3b間に介在し、下部部材3bに対して上部部材3aを支持する緩衝体4を備えている。
上部部材3aと下部部材3bは、それぞれ所定の長さを有する細長い部材(本実施形態では金属製の部材)で構成されている。これらの部材は、負荷材としての強度を確保するため、幅方向の断面形状が溝形か若しくは溝形を含む形状となっている。
上部部材3aは、幅方向の断面形状が下向き溝形(アングル形状)の本体部31と、その上部に連成され、幅方向の断面形状が門型のレール構成部32からなり、このレール構成部32の幅方向中央位置に、上部部材長手方向に沿ったスリット状のガイド孔300が貫設されることで、ガイドレール部30が構成されている。
下部部材3bは、幅方向の断面形状が上向き溝形(アングル形状)の部材で構成されている。この下部部材3bは、その両端部がそれぞれ固定金具2(後述する金具本体5)にボルト・ナット12で連結固定されている。
【0015】
緩衝体4は、樹脂製の緩衝材40(樹脂ブロック)で構成され、負荷材長手方向で間隔をおいた複数箇所において上部部材3aと下部部材3b間に介在し、下部部材3bに対して上部部材3aを支持している。本実施形態では負荷材1の両端寄りの箇所と長手方向中間部の複数箇所(2箇所)にほぼ同じ長さの緩衝体4が配置(計4箇所に配置)されている。
なお、緩衝体4(緩衝体40)は、適切な防振作用が得られ、且つ下部部材3bに対して上部部材3a(及び上部部材3aに載置される荷)を適切に支持できるのであれば、その配置形態に制限なく、例えば、配置を2~3箇所とする、負荷材1の全長に沿って配置する、負荷材長手方向の位置に応じて異なる長さの緩衝体4を配置する、など種々の形態としてよい。なお、緩衝体4(緩衝材40)を負荷材1の全長に沿って配置すると、偏荷重の場合にも荷を安定して支持することができる利点がある。
防振材である緩衝材40の材質は特に制限はないが、特に、比較的高い防振性能を有するポリウレタンエラストマー、防振ゴムなどが好ましく、そのなかでも、固有振動数を低くすることができ、成分組成を変えることで広い荷重範囲に適切な緩衝効果が得られるエーテル系の発泡ポリウレタンエラストマーが好ましい。
また、緩衝材40の平面サイズ(面積)や厚さも特に制限はないが、一般には、平面サイズは50cm(例えば5cm×10cm)~1000cm(例えば20cm×50cm)程度、厚みは1cm~10cm程度が適当である。
【0016】
該緩衝材40は、上部部材3aと下部部材3bに対して少なくとも水平方向に動いて変位しないように、上部部材3aと下部部材3bにそれぞれ係止されることが好ましい。このため本実施形態では、図3及び図4に示すように、緩衝体4が配置される箇所において、上部部材3aの下面と下部部材3bの上面にそれぞれ凸部11(凸部からなる部位11)が設けられるとともに、緩衝材40の上面と下面にそれぞれ凹部10(凹部からなる部位10)が設けられ、この凹部10に上部部材3a側と下部部材3b側の凸部11がそれぞれ嵌ることにより、緩衝材40が、上部部材3aと下部部材3bに対して水平方向に動いて変位しないように、上部部材3aと下部部材3bにそれぞれ係止されるようにしてある。本実施形態では、緩衝材40の厚さ方向(上下方向)に貫通孔100が形成され、この貫通孔100の上端部分および下端部分がそれぞれ凹部10を構成している。
【0017】
また、振動によって凸部11が凹部10から外れないようにするため、凸部11の高さは、後述する緩衝材6(金具本体5の本体部50を構成する上面部52の内面に内張りされる緩衝材6)の厚さよりも大きくすることが好ましい。
なお、上部部材3aの下面と下部部材3bの上面にそれぞれ設けられる凸部11(凸部からなる部位11)は、上部部材3aの下面と下部部材3bの上面にそれぞれ突片を接合することで構成してもよいし、金属材である上部部材3aと下部部材3bをそれぞれ成形加工することで構成してもよい。
緩衝材40は、上部部材3aと下部部材3bに対してそれぞれ接着剤で接着することにより、上部部材3aと下部部材3bにそれぞれ係止されるようにしてもよい。ただし、本実施形態のように、凹部10と凸部11を利用して緩衝材40を上部部材3aと下部部材3bに機械的に係止することにより、荷の荷重や防振効果などに応じて緩衝材40を容易に交換できる利点があり、例えば、荷の荷重に応じて緩衝材40の長さを変えるなどの対応も簡単にできる。
【0018】
各固定金具2は、図1図4及び図7に示すように、負荷材1(上部部材3a)の端部を囲むようにして荷載置部xに固定される金具本体5と、上部部材3aの端部(上面、両側面及び端面)と金具本体5内面との間に介在するように金具本体5に内張された緩衝材6を備える。
金具本体5は、その内側に挿入される上部部材3aの端部の上面、両側面及び端面を覆うケース状の本体部50と、この本体部50の下端の両側に連成された1対のフランジ部51から構成される。すなわち、ケース状の本体部50は、上部部材3aの端部の上面、両側面及び端面とそれぞれ相対する上面部52、両側面部53及び端面部54で構成され、両側面部53の下端にフランジ部51が連成されている。各フランジ部51には、金具本体5を荷載置部xにネジ止めするためのネジ挿通孔(図示せず)が貫設されている。金具本体5は、このネジ挿通孔を介してネジ13により荷載置部xに固定される。また、金具本体5の本体部50の下部位置には、下部部材3bの端部がボルト・ナット12で連結固定されている。
【0019】
緩衝材6は、金具本体5の本体部50を構成する上面部52、両側面部53及び端面部54の各内面に内張りされ、この内張された緩衝材6と上部部材3aの端部の上面、両側面及び端面とがそれぞれ相対するように、上部部材3aの端部が固定金具2の内側に挿入される。この場合、緩衝材6と上部部材3aの端部(端部の上面、両側面及び端面)は接触していてもよいし、接触することなく隙間を形成していてもよい。また、上部部材3aに荷を載せた状態においても、緩衝材6と上部部材3aの端部(端部の上面、両側面及び端面)は接触していてもよいし、接触することなく隙間を形成していてもよい。
防振材である緩衝材6の材質は特に制限はないが、特に、比較的高い防振性能を有するポリウレタンエラストマー、防振ゴムなどが好ましく、そのなかでも、エーテル系の発泡ポリウレタンエラストマーが好ましい。また、緩衝材6の厚さも特に制限はないが、一般には1cm~10cm程度が適当である。
緩衝材6は、腰下やパレットなどの荷載置部x側に大きな振動や衝撃が生じた場合、固定金具2の金具本体5と上部部材3aの端部との間でその振動や衝撃を吸収し、上部部材3aに載置された荷(物品)に伝わらないようにする。すなわち、緩衝材6は、緩衝体4(緩衝材40)と協働することで、荷載置部x側からの振動や衝撃が上部部材3aに載置された荷に伝わらないようにするので、高い防振効果を得ることができる。
【0020】
上部部材3aは、通常、上部部材3aに載置された荷(物品)を拘束して上部部材3aに係止(固定)するために用いる荷拘束用の金具7を備える。この荷拘束用の金具7には、荷を拘束する態様に応じて種々の形式のものがあり、1つのユニットで2種類以上の金具7を備えてもよい。一方、複数基の防振負荷材ユニットを荷載置部xに並列状に設置して使用する場合(複数基の防振負荷材ユニットで防振負荷材装置を構成する場合)、一部の防振負荷材ユニットについては荷拘束用の金具7が必要ないことがあり、そのような防振負荷材ユニットには荷拘束用の金具7は設けられない。
本実施形態の上部部材3aが備える荷拘束用の金具7(以下「金具7」という。)は、上部部材3aに載置された荷に掛け渡されたラッシングベルトなどの端部を引っ掛けて係止するための1対の掛止用金具(フックなどを係止するためのリングを有する掛止用部材)である。
【0021】
金具7は、上部部材3aに固定してもよいが、本実施形態では、上部部材3aに形成されたガイドレール部30にスライド移動可能に設けられている。すなわち、上部部材3aの長手方向に沿って形成されたガイドレール部30に、金具7をレール長手方向移動可能に設けるとともに、金具7をガイドレール部30の任意の移動位置で着脱可能に固定できるようにしている。
図5に示すように、金具7(掛止用金具)は、上部にベルト掛止用のリング70を備えるとともに、金具7をガイドレール部30に沿ってスライド移動させ且つ任意の移動位置で固定するためのスライド・固定用手段71として、金具下部にボルト710とこのボルト710に取り付けられるナット711を備えている。
この金具7は、スライド・固定用手段71であるボルト710をガイドレール部30を構成するスリット状のガイド孔300に対して上下に挿通させ、このボルト710にナット711を装着することにより、ガイドレール部30にスライド移動可能(位置調整可能)に取り付けられるとともに、ボルト710に対してナット711を締め込むことで、ガイドレール部30の任意の移動位置で着脱可能に固定できる。
【0022】
次に、他の種類の金具7を備えた防振負荷材ユニットの実施形態を示す。
図8図10は、本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示すものであり、図8は全体斜視図、図9は防振負荷材ユニットを構成する荷拘束用の金具とその取付構造を部分的に示す側面図、図10図9のd-d線に沿う断面図である。
本実施形態の上部部材3aが備える荷拘束用の金具7(以下「金具7」という。)は、上部部材3aに載置された荷(物品)を負荷材長手方向において両側から挟んで拘束する1対の金具である。
金具7は、上部部材3aの上面にスライド移動可能に当接するスライド基部72と、このスライド基部72の一端側に立設され、上部部材3aに載置された荷(物品)の側部に当接する拘束部73を備えており、本実施形態ではL型アングル材で構成されている。さらに、金具7をガイドレール部30に沿ってスライド移動させ且つ任意の移動位置で着脱可能に固定するためのスライド・固定用手段71として、ボルト712とこのボルト712に取り付けられるナット713を備えている。スライド基部72には、ボルト712を挿通させるためのボルト挿通孔720が形成されている。なお、拘束部73の荷拘束面にはクッション材730が貼設されている。
【0023】
この金具7は、スライド・固定用手段71であるボルト712を、ボルト挿通孔720とガイドレール部30を構成するスリット状のガイド孔300に対して上下に挿通させ、このボルト712にナット713を装着することにより、ガイドレール部30にスライド移動可能(位置調整可能)に取り付けられるとともに、ボルト712に対してナット713を締め込むことで、ガイドレール部30の任意の移動位置で着脱可能に固定できる。
この金具7は、ガイドレール部30に沿ってスライド移動させて、上部部材3aに載置された荷(物品)の側部に拘束部73を当接させた後、スライド・固定用手段71でその位置に着脱可能に固定することで、負荷材長手方向において荷(物品)を両側から挟んで拘束する。
【0024】
図11図13は、本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示すものであり、図11は全体斜視図、図12は防振負荷材ユニットを構成する荷拘束用の金具とその取付構造及び使用状態を部分的に示す側面図、図13は同じく荷拘束用の金具とその取付構造及び使用状態を部分的に示す平面図(荷のアジャスターボルトを水平断面した状態で示す平面図)である。
本実施形態の上部部材3aが備える荷拘束用の金具7(以下「金具7」という。)は、上部部材3aに載置された荷(物品)のアジャスターを拘束するための1対の金具であり、特に、ラッシングベルト(荷に掛け渡され、端部が図5に示すような金具7に掛止されるベルト)を使用できない荷(物品)の輸送に好適なものである。
【0025】
金具7は、上部部材3aの上面にスライド移動可能に当接するスライド基部74と、このスライド基部74から負荷材長手方向に連成された拘束部75を備えている。この拘束部75は、上部部材3aの上に載せられた物品のアジャスターを拘束するものであり、スライド基部74から斜めに立ち上がったアーム部751の先端に水平部750を有し、この水平部750の先端側に物品のアジャスターボルトを挿通させるための切り欠き溝部752が形成されている。この切り欠き溝部752は、水平部750の先端側からスライド基部方向に向かって細長状に形成されている。さらに、金具7をガイドレール部30に沿ってスライド移動させ且つ任意の移動位置で着脱可能に固定するためのスライド・固定用手段71として、ボルト712とこのボルト712に取り付けられるナット713(図示せず)を備えている。スライド基部74には、ボルト712を挿通させるためのボルト挿通孔740(図示せず)が形成されている。
この金具7も、スライド・固定用手段71であるボルト712を、ボルト挿通孔740とガイドレール部30を構成するスリット状のガイド孔300に対して上下に挿通させ、このボルト712にナット713を装着することにより、ガイドレール部30にスライド移動可能(位置調整可能)に取り付けられるとともに、ボルト712に対してナット713を締め込むことで、ガイドレール部30の任意の移動位置で着脱可能に固定できる。
【0026】
この金具7は、以下のようにして使用する。物品のアジャスターaを上部部材3aの上に載置した状態で、金具7をガイドレール部30に沿ってスライド移動させ、図12及び図13に示すように拘束部75の切り欠き溝部752内にアジャスターa(アジャスターボルトs)を位置させる。この位置で金具7をスライド・固定用手段71により上部部材3aに固定する。次いで、アジャスターaのアジャスターボルトsに装着されているナットnを回して拘束部75(水平部750)に当接するように移動させ、拘束部75(水平部750)に対してナットnを締め込む。これによりアジャスターaが水平方向・上下方向で金具7に拘束され、アジャスターaが上部部材3aに固定された状態となる。図において、pはアジャスターボルトsの下端に螺装される高さ調整用のアジャスターパッドである。また、ナットnは元々アジャスターaが備えるものであってもよいし、本発明の防振負荷材ユニットに載置するために別途取り付けたものでもよい。
例えば、物品が4~6本程度のアジャスターaを有する場合、本実施形態の防振負荷材ユニットは、1対の金具7が4~6本のアジャスターaのうちの2本を上記のように拘束するので、防振負荷材ユニットが2~3基あれば、物品の4~6本のアジャスターaが金具7により水平方向・上下方向で拘束された状態となる。このため、ラッシングベルトを用いることなく、物品を負荷材1に拘束・係止(固定)することができる。
【0027】
図14図16は、本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示すものであり、図14は全体斜視図、図15は防振負荷材ユニットを構成する荷拘束用の金具とその取付構造を部分的に示す平面図、図16図15のe-e線に沿う断面図である。
本実施形態の上部部材3aが備える荷拘束用の金具7(以下「金具7」という。)は、上部部材3aに載置された荷(物品)を負荷材長手方向と直交する方向において両側から挟んで拘束する1対の金具である。
金具7は、上部部材3aの上面にスライド移動可能に当接するスライド基部76と、このスライド基部76の一端側に立設され、上部部材3aに載置された荷(物品)の側部に当接する拘束部77を有しており、本実施形態ではL型アングル材で構成されている。さらに、金具7をガイドレール部30に沿ってスライド移動させ且つ任意の移動位置で着脱可能に固定するためのスライド・固定用手段71として、ボルト712とこのボルト712に取り付けられるナット713を備えている。スライド基部76には、ボルト712を挿通させるための2つのボルト挿通孔760が、スライド基部長手方向に沿って長穴状に形成されている。なお、拘束部77の荷拘束面には、クッション材770が貼設されている。
【0028】
金具7は、スライド基部長手方向が負荷材長手方向と直交するように配置され、スライド・固定用手段71であるボルト712を、ボルト挿通孔760とガイドレール部30を構成するスリット状のガイド孔300に対して上下に挿通させ、このボルト712にナット713を装着することにより、ガイドレール部30にスライド移動可能(位置調整可能)に且つ負荷材長手方向と直交する方向での位置調整(長穴状のボルト挿通孔760をボルト712に対してスライドさせることによる位置調整)可能に取り付けられるとともに、ボルト712に対してナット713を締め込むことで、ガイドレール部30の任意の移動位置で且つ負荷材長手方向と直交する方向において調整された位置で着脱可能に固定できる。
この金具7は、ガイドレール部30に沿ってスライド移動させるとともに、長穴状のボルト挿通孔760を利用して負荷材長手方向と直交する方向で位置調整することにより、上部部材3aに載置された荷(物品)の側部に拘束部77を当接させた後、スライド・固定用手段71によりその位置に着脱可能に固定することで、負荷材長手方向と直交する方向において荷(物品)を両側から挟んで拘束する。
【0029】
図17及び図18は、本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示すものであり、図17は一方の固定金具を省略した状態で示す斜視図、図18図17のf-f線に沿う断面図である。
この実施形態は、負荷材1を構成する上部部材3aと下部部材3bを木材で構成したものであり、このため、上部部材3aにはガイドレール部30は設けず、1対の金具7(掛止用金具)を上部部材3aに固定的に設けている。
その他の構成は、図1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態のように負荷材1を構成する上部部材3aと下部部材3bを木材で構成することにより、安価な防振負荷材ユニットとすることができ、荷の輸送コストも低減できる利点がある。
【0030】
図19図23は、本発明の防振負荷材ユニットの他の実施形態を示すものであり、図19は全体斜視図、図20は分解斜視図、図21は平面図、図22は側面図、図23図21のg-g線に沿う断面図である。
この実施形態は、緩衝体4をコイルスプリング41とその内側に配置された減衰材42(粘弾性体)で構成したものであり、このような形態でコイルスプリングと減衰材を組み合わせた緩衝体は、いわゆる防振マウントとしても広く使用されている。この緩衝体4は、荷重を支えるコイルスプリング41と振動を吸収する減衰材42が協働することにより、所望の防振作用を得ることができる。
上部部材3aの下面と下部部材3bの上面の複数箇所には、それぞれコイルスプリング41の端部を係止するための短柱状の突起34a,34bが設けられ(上部部材3aと下部部材3bの各本体に一体形成されている)、この突起34a,34bがコイルスプリング41の端部に嵌ることにより、コイルスプリング41の両端が上部部材3aと下部部材3bにそれぞれ係止されている。
【0031】
減衰材42(粘弾性体)は柱状の樹脂材であり、コイルスプリング41の内側の突起34a,34b間に配置されている。この減衰材42としては、例えば、ゴム、ポリウレタン、シリコンなどのような公知の減衰材料を用いることができる。
なお、本実施形態は金具7(例えば、金具7~7)やこれを取り付けるためのガイドレール部30を備えていないが、さきに述べた各実施形態と同様に、これらを備えることができる。また、図19図23では、固定金具2を荷載置部xに固定するためのネジ13の図示は省略してある。
また、緩衝体4の防振機能の面からは、上部部材3aに荷が載置されない状態では、減衰材42の上端は上部部材3a(突起34a)には接触せず(図23参照)、一方、上部部材3aに荷が載置された状態では、コイルスプリング41が圧縮されることで、減衰材41の上端が上部部材3a(突起34a)に接触するように構成するのが好ましい。
その他の構成は、図1の実施形態などと同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
以上述べたような本発明の防振負荷材ユニットを使用する場合、複数基の防振負荷材ユニットAを荷載置部xに並列状に設置して防振負荷材装置を構成し、この装置を構成する複数本の負荷材1で荷(物品)を支持する。
この場合、荷載置部xとしては、腰下又はパレットなどにおいて荷が載置される部位、物品輸送容器や物品輸送手段の床部などが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、物品輸送容器とは、主にコンテナ類であるが、これに限定されない。コンテナ類としては、例えば、ドライコンテナ、航空用コンテナ、鉄道コンテナ、フラットラックコンテナなどが挙げられる。また、物品輸送手段とは、トラック荷台、トレーラー荷台、船舶貨物室、貨車貨物室、航空機貨物室、牽引移動式パレットなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の防振負荷材ユニットは、負荷材1を構成する上部部材3aと下部部材3bのうち、下部部材3bの両端が固定金具2に連結固定されるとともに、上部部材3aが緩衝体4を介して下部部材3bに支持され、且つ、固定金具2(金具本体5)と上部部材3aの端部(上面、両側面及び端面)との間に緩衝材6が介在するので、上部部材3aの上に荷(物品)が載置された状態で、荷載置部x側の振動や衝撃が緩衝体4と緩衝材6に吸収され(すなわち、緩衝体4と緩衝材6の協働作業により振動・衝撃が吸収される)、振動が上部部材3a及びその上に載置された荷に伝わることが適切に抑えられる。したがって、上部部材3aに載置された荷を金具7(例えば、金具7~7の1種以上)を利用して上部部材3a自体に係止(固定)することにより、荷載置部x側の振動が荷に伝わる経路がなくなるため、高い防振効果が得られる。
【0034】
また、本発明の防振負荷材ユニットとこれにより構成される防振負荷材装置は、従来広く使用されている腰下、パレットの荷載置部やコンテナ類の床部(荷載置部)などに取り付けるだけで防振機能を付与できる大きな利点がある。また、その取付作業は、各ユニットの固定金具2を荷載置部に固定するだけでよいので、非常に簡単であり、また、設置するユニットのサイズやユニット基数を選択することにより、荷のサイズや重さの違いに比較的広く対応することができる利点もある。以上のことから、高い防振性能を有し、汎用性が高い防振手段を低コストに提供することができ、特に梱包業者にとって非常に有用な発明であるといえる。
【0035】
図24は、本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の一実施形態を、荷(物品)を載置した状態で示す斜視図である。
この実施形態は、腰下Bの荷載置部xに5基の防振負荷材ユニットA(以下単に「ユニットA」という。)を並列状に設置して防振負荷材装置を構成したものであり、5基のユニットAの負荷材1(上部部材3a)の上に物品gが載置される。各ユニットAの負荷材1(上部部材3a)は、さきに説明した金具7~7のうちの1種又は2種を備え、載置された物品g(荷)を上部部材3aに拘束・係止(固定)するために使用する。
両端のユニットAとユニットAは、各1対の金具7と金具7を備えており、1対の金具7で物品gの2本のアジャスターaを拘束するとともに、1対の金具7で物品gを負荷材長手方向と直交する方向において両側から挟んで拘束する。
【0036】
また、両端から2番目のユニットAとユニットAは、各1対の金具7と金具7を備えており、1対の金具7で物品gを負荷材長手方向において両側から挟んで拘束するとともに、物品gに掛け渡されたラッシングベルトeの両端部(例えば、ラッシングベルトの端部のフック)を1対の金具7に引っ掛けて係止することで、物品gを拘束・係止(固定)する。
中央のユニットAは、金具7を備えており、1対の金具7で物品gの2本のアジャスターaを拘束する。
なお、本実施形態(後述する図25の実施形態も同様。)では、ユニットA~A5のうちユニットA,A,A5の負荷材1(上部部材3a)に物品gのアジャスターaが載せられ、ユニットA,Aの負荷材1(上部部材3a)に物品gの本体部(アジャスターaが無い本体部分)が載せられるので、ユニットA2,A4の下部にはかさ上げ用の補助負荷材100が設けられ、ユニットA2,A4の高さをかさ上げしている。
【0037】
図25は、本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の他の実施形態を、荷(物品)を載置した状態で示す斜視図である。
この実施形態は、ラッシングベルトeを使用できない物品gを対象とする場合のものであり、いずれのユニットAの負荷材1(上部部材3a)も金具7は備えていない。図24の実施形態との違いは、両端から2番目のユニットAとユニットAは各1対の金具7のみを備えており、この1対の金具7で物品gを負荷材長手方向において両側から挟んで拘束する。
その他の構成は、図24の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図24及び図25の実施形態はあくまで例示であり、本発明の防振負荷材装置におけるユニットAの形態や、各ユニットAが備える金具7の種類は任意である。また、さきに述べたように、一部のユニットAについては金具7が必要ないことがあり、そのようなユニットAには金具7は設けられない。
なお、図24及び図25は、本発明の防振負荷材装置を木製の腰下に適用したものであるが、本発明装置は、金属製の腰下やパレットにも問題なく適用できる。
【0038】
図26図31は、本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の他の実施形態を示すものであり、図26は全体斜視図、図27は、防振負荷材装置を構成する防振負荷材ユニットの1つについて、その一端部側を部分的に示す平面図、図28図27のh-h線に沿う断面図、図29は、防振負荷材装置を構成する防振負荷材ユニットの他の1つについて、その一端部側を部分的に示す平面図、図30図29のi-i線に沿う断面図、図31は、防振負荷材装置を構成する防振負荷材ユニットの1つについて、その一端部側を部分的に示す斜視図である。
この実施形態は、隣り合うユニットAの上部部材3a間に板材8が架け渡され、複数の上部部材3aと板材8の上面により荷載置面が構成されるようにしたものであり、異なる種類の荷(物品)を混載するような場合に適している。
この実施形態では、使用するユニットAの基数及び板材8の幅などを選択することにより、所望の広さの荷載置面を形成することができる。
【0039】
図27及び図28に示すように、隣り合う各ユニットAの上部部材3aは、その両側に板材差し込み部33を有している。この両板材差し込み部33は、レール構成部32の両側部に連成された上下の板部330,331で構成されている。そして、板材8の両側端部が、隣り合うユニットAの上部部材3aの板材差し込み部33に差し込まれることで、板材8が隣り合うユニットAの上部部材3a間に架け渡される。
板材8は、板材差し込み部33に差し込む部分を段付きで薄くし、板材8を板材差し込み部33に差し込んだ状態で、板材8の上下面と板材差し込み部33の上下面が面一となるようにしている。板材8は、通常、ベニヤ板などの木材で構成されるが、これに限らず樹脂板などで構成してもよい。また、板材差し込み部33とこれに差し込まれる板材8の側端部は、必要に応じて接着剤などで固着される。
【0040】
また、図29及び図30に示すように、並列した複数基のユニットAのうち両端のユニットAの上部部材3aは、その片側にのみ板材差し込み部33を有しており、この板材差し込み部33に、上記と同様に板材8の側端部が差し込まれる。
なお、図示しないが、各ユニットの上部部材3aには、必要に応じて、さきに説明したような金具7(例えば、金具7~7の1種以上)が設けられる。各金具7は、上部部材3aのガイドレール部30にスライド移動可能に設けてもよいし、ガイドレール部30がない場合には、上部部材3aに固定的に設けてもよい。
【0041】
各ユニットAの固定金具2は、図1などの実施形態と同様に、荷載置部xにネジ13で固定するようにしてもよいが、荷載置部xがコンテナなどの床部であるような場合にはネジ止めは難しいことが多いので、その場合には、本実施形態のように、コンテナなどの床部に設けられている係止用金具を利用し、ベルトなどの紐状の係止手段で繋ぎ止めるのが簡便で好ましい。このため本実施形態では、図31に示すように、固定金具2の金具本体5を構成するフランジ部51に係止用金具510を設け、この係止用金具510と床部(荷載置部x)に設けられている係止用金具fをベルトkで連結し、このベルトkで固定金具2を床部に繋ぎ止めることで固定している。
【0042】
図32及び図33は、本発明の防振負荷材ユニットを用いた防振負荷材装置の他の実施形態を示すものであり、図32は全体斜視図、図33図32のj-j線に沿う断面図である。
この実施形態は、床材9(フロア材)が、複数のユニットAの上部部材3aに跨って支持されるように、複数の上部部材3aの上に配置されて上部部材3aに固定され、床材9の上面により荷の載置面が構成されるようにしたものであり、この実施形態も異なる種類の荷(物品)を混載するような場合に適している。また、物品によっては負荷材に直に載せない方がよいものもあるので、そのような物品の輸送にも適している。
【0043】
図33に示すように、本実施形態では、床材9に複数のボルト挿通孔90が貫設され、固定用手段であるボルト14(図32では簡略化して表してある)を、ボルト挿通孔90とガイドレール部30を構成するスリット状のガイド孔300に対して上下に挿通させ、このボルト14にナット14を装着してナット15を締め込むことで、各ユニットAの上部部材3aに床材9に固定している。
なお、本実施形態では、各ユニットAの固定金具2はネジ13で荷載置部x(床部)に固定されているが、図31と同様の方式で荷載置部xに固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 負荷材
2 固定金具
3a 上部部材
3b 下部部材
4 緩衝体
5 金具本体
6 緩衝材
7,7,7,7,7 金具
8 板材
9 床材
10,11 部位
12 ボルト・ナット
13 ネジ
14 ボルト
15 ナット
30 ガイドレール部
31 本体部
32 レール構成部
33 板材差し込み部
34a,34b 突起
40 緩衝材
41 コイルスプリング
42 減衰材
50 本体部
51 フランジ部
52 上面部
53 側面部
54 端面部
70 リング
71 スライド・固定用手段
72 スライド基部
73 拘束部
74 スライド基部
75 拘束部
76 スライド基部
77 拘束部
90 ボルト挿通孔
100 貫通孔
300 ガイド孔
330,331 板部
510 係止用金具
710 ボルト
711 ナット
712 ボルト
713 ナット
720 ボルト挿通孔
730 クッション材
740 ボルト挿通孔
750 水平部
751 アーム部
752 切り欠き溝部
760 ボルト挿通孔
770 クッション材
A,A,A,A,A,A 防振負荷材ユニット
x 荷載置部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を支持する横長の負荷材(1)と、該負荷材(1)を、その両端を介して荷載置部に固定する1対の固定金具(2)を備えた防振負荷材ユニットであって、
前記負荷材(1)は、荷が載置される上部部材(3a)と、両端が前記1対の固定金具(2)に連結固定される下部部材(3b)と、上部部材(3a)と下部部材(3b)間に介在し、下部部材(3b)に対して上部部材(3a)を支持する緩衝体(4)を備え、
前記各固定金具(2)は、前記上部部材(3a)の端部を囲むようにして前記荷載置部に固定される金具本体(5)と、上部部材(3a)の端部と金具本体(5)内面との間に介在するように金具本体(5)に内張された緩衝材(6)を備えることを特徴とする防振負荷材ユニット。
【請求項2】
前記上部部材(3a)に、上部部材(3a)に載置された荷を拘束して上部部材(3a)に係止するために用いる荷拘束用の金具(7)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項3】
前記上部部材(3a)が長手方向に沿ってガイドレール部(30)を有し、該ガイドレール部(30)に、前記金具(7)をレール長手方向移動可能に設けるとともに、金具(7)をガイドレール部(30)の任意の移動位置で固定できるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項4】
前記緩衝体(4)が樹脂製の緩衝材(40)からなり、
該緩衝材(40)は、前記上部部材(3a)と前記下部部材(3b)に対して少なくとも水平方向に動いて変位しないように、上部部材(3a)と下部部材(3b)に係止されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の防振負荷材ユニット。
【請求項5】
前記緩衝材(40)に設けられた凹部又は/及び凸部からなる部位(10)と前記上部部材(3a)及び前記下部部材(3b)にそれぞれ設けられた凸部又は/及び凹部からなる部位(11)が嵌り合うことにより、緩衝材(40)が、上部部材(3a)と下部部材(3b)に対して水平方向に動いて変位しないように、上部部材(3a)と下部部材(3b)に係止されることを特徴とする請求項4に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項6】
前記緩衝材(40)と前記上部部材(3a)及び前記下部部材(3b)がそれぞれ接着されることにより、緩衝材(40)が上部部材(3a)と下部部材(3b)にそれぞれ係止されることを特徴とする請求項4に記載の防振負荷材ユニット。
【請求項7】
前記緩衝体(4)がコイルスプリング(41)とその内側に配置された減衰材(42)からなり、
コイルスプリング(41)は、両端が前記上部部材(3a)と前記下部部材(3b)にそれぞれ係止されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の防振負荷材ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の防振負荷材ユニット(A)を複数基備え、該複数基の防振負荷材ユニット(A)が前記荷載置部に並列状に設置されることを特徴とする防振負荷材装置。
【請求項9】
少なくとも一部の前記防振負荷材ユニット(A)の前記上部部材(3a)に、上部部材(3a)に載置された荷を拘束して上部部材(3a)に係止するために用いる荷拘束用の金具(7)を設けたことを特徴とする請求項8に記載の防振負荷材装置。
【請求項10】
前記上部部材(3a)が長手方向に沿ってガイドレール部(30)を有し、該ガイドレール部(30)に、前記金具(7)をレール長手方向移動可能に設けるとともに、金具(7)をガイドレール部(30)の任意の移動位置で固定できるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の防振負荷材装置。
【請求項11】
板材(8)が、隣り合う前記防振負荷材ユニット(A)の前記上部部材(3a)間に架け渡され、複数の上部部材(3a)と板材(8)の上面により荷の載置面が構成されるようにしたことを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の防振負荷材装置。
【請求項12】
床材(9)が、前記複数の防振負荷材ユニット(A)の前記上部部材(3a)に跨って支持されるように、複数の上部部材(3a)の上に配置されて上部部材(3a)に固定され、床材(9)の上面により荷の載置面が構成されるようにしたことを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の防振負荷材装置。
【請求項13】
前記荷載置部が、腰下又はパレットにおいて荷が載置される部位、物品輸送容器又は物品輸送手段の床部のいずれかであることを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の防振負荷材装置。