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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038930
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240313BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240313BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20240313BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240313BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20240313BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20240313BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20240313BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M10/0525
H01M50/46
H01M50/449
H01G11/84
H01G11/52
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143305
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】西田 晶
(72)【発明者】
【氏名】伊勢田 泰助
【テーマコード(参考)】
5E078
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB02
5E078AB13
5E078BA09
5E078CA02
5E078CA10
5E078CA11
5H021AA06
5H021BB00
5H021BB02
5H021BB11
5H021CC04
5H021CC15
5H021EE02
5H021EE32
5H021HH10
5H028AA05
5H028BB00
5H028BB04
5H028BB08
5H028BB15
5H028CC08
5H028CC12
5H028HH00
5H028HH01
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM07
5H029BJ14
5H029CJ01
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ05
5H029CJ07
5H029CJ28
5H029DJ04
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】より信頼性の高い電池を実現する電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】ここに開示される電池の製造方法は、帯状の第1セパレータ71、正極シート22、第2セパレータ72、および負極シート24が、巻回された巻回電極体を備える電池であって、正極シート22と第1セパレータ71とが第1接着層81により接着され、正極シート22と第2セパレータ72とが第2接着層82により接着された電池の製造方法である。この製造方法は、正極シート22および第1セパレータ71の少なくとも一方の表面に第1接着層81を形成し、正極シート22および第2セパレータ72の少なくとも一方の表面に第2接着層82を形成する接着層形成工程と、帯状の第1セパレータ71、帯状の正極シート22、帯状の第2セパレータ72、および、帯状の負極シート24を巻回することにより巻回電極体20を作製する巻回電極体作製工程と、を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の第1セパレータ、帯状の正極シート、帯状の第2セパレータ、および、帯状の負極シートが、巻回された巻回電極体を備え、
前記正極シートと前記第1セパレータとが第1接着層により接着され、前記正極シートと前記第2セパレータとが第2接着層により接着された電池の製造方法であって、
前記正極シートおよび前記第1セパレータの少なくとも一方の表面に前記第1接着層を形成し、前記正極シートおよび前記第2セパレータの少なくとも一方の表面に前記第2接着層を形成する接着層形成工程と、
前記帯状の第1セパレータ、前記帯状の正極シート、前記帯状の第2セパレータ、および、前記帯状の負極シートを巻回することにより巻回電極体を作製する巻回電極体作製工程と、
を含む、電池の製造方法。
【請求項2】
前記第1セパレータは、第1面と、第2面と、を有し、
前記第2セパレータは、第3面と、第4面と、を有しており、
前記第1セパレータの前記第1面に前記第1接着層が形成され、
前記第2セパレータの前記第3面に前記第2接着層が形成されており、
前記巻回電極体作製工程は、前記第1セパレータの前記第2面と巻芯とが当接し、前記第1セパレータの前記第1面と前記第2セパレータの前記第3面とが当接するようにして、前記第1セパレータと前記第2セパレータとを前記巻芯に巻き付ける、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1セパレータの前記第1面と、前記第2セパレータの前記第3面とが、前記第1接着層および前記第2接着層の少なくとも一方によって接着されている、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1セパレータと前記第2セパレータとが前記正極シートを介さずに対向する領域において、
前記第1接着層および前記第2接着層のいずれか一方のみにより前記第1セパレータの前記第1面と前記第2セパレータの前記第3面とが接着されている、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記巻回電極体作製工程では、前記第1セパレータの前記第2面を前記巻芯に吸引することで固定する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記巻回電極体作製工程は、
前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが重ねられた状態で前記巻芯の外周面上に配置し、切断治具を前記第1セパレータおよび前記第2セパレータに対して押し付けることにより、前記第1セパレータおよび前記第2セパレータを切断する切断処理を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1セパレータにおいて前記切断処理で切断される領域の前記第1接着層の目付量が、前記第1セパレータにおいて前記正極シートと対向する領域に形成される前記第1接着層の目付量よりも小さい、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1セパレータにおいて前記切断処理で切断される領域に前記第1接着層が形成されていない、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記接着層形成工程では、
前記第1セパレータが搬送される搬送経路において、鉛直方向に対して±30°の領域を通過する際に前記第1セパレータに前記第1接着層を形成し、
前記第2セパレータが搬送される搬送経路において、鉛直方向に対して±30°の領域を通過する際に前記第2セパレータに前記第2接着層を形成する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記接着層形成工程では、
前記第1セパレータにおいて搬送装置と当接しない面に前記第1接着層を付与し、
前記正極シートにおいて搬送装置と当接しない面に第2接着層を付与する、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極活物質層を備える帯状の正極シートと、負極活物質層を備える帯状の負極シートとが、帯状のセパレータを介して長手方向に巻回されてなる巻回電極体を備えた電池が知られている。例えば特許文献1には、表面に接着層が形成されたセパレータを用意して、当該セパレータを正極シートと負極シートの間に配置して積層したものを巻回し、電極体群を形成する工程と、電極体群に加熱プレスを実施して、正極シートおよび負極シートのうち少なくとも一方とセパレータとを一体化させる工程と、を含む電池の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5328034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極体の所望する位置に接着層を配置することにより、例えば電極体の成形性を好適に向上させることができ、電池の信頼性を向上させることができる。ところで、例えばセパレータに接着層を備えた状態で一度リールなどに巻き付けて、巻回電極体を作製するために再び展開した場合には、接着層が損傷したり変形したりする虞がある。また、近年では、求められる電池容量等が様々であり、それに応じて電極体のサイズや積層回数等が適宜変更される傾向にある。このため、各電極体のサイズによって接着層を配置させるべき位置も異なる。しかしながら、各電極体に合わせて接着層の位置を変えたセパレータや正極シートを用意した場合、コストが高くなる虞がある。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、より信頼性の高い電池を実現する電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに開示される電池の製造方法は、帯状の第1セパレータ、帯状の正極シート、帯状の第2セパレータ、および、帯状の負極シートが、巻回された巻回電極体を備え、上記正極シートと上記第1セパレータとが第1接着層により接着され、上記正極シートと上記第2セパレータとが第2接着層により接着された電池の製造方法である。かかる製造方法は、上記正極シートおよび上記第1セパレータの少なくとも一方の表面に上記第1接着層を形成し、上記正極シートおよび上記第2セパレータの少なくとも一方の表面に上記第2接着層を形成する接着層形成工程と、上記帯状の第1セパレータ、上記帯状の正極シート、上記帯状の第2セパレータ、および、上記帯状の負極シートを巻回することにより巻回電極体を作製する巻回電極体作製工程と、を含む。
【0006】
かかる構成によれば、接着層形成工程の後に連続して巻回電極体作製工程が実施される。これにより、接着層を形成する位置をコントロールしやすくなり、電極体の所望する位置に好適に接着層を配置させることができる。また、接着層を形成した後、リールなどに巻き取らないため、接着層が損傷することがなく、より高品質な接着層を備える電極体を作製することができる。したがって、かかる製造方法によれば、例えば電極体の成形性を向上させることができ、より信頼性の高い電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。
図5図5は、封口板に取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、正極第2集電部および負極第2集電部が取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、巻回電極体の構成を示す模式図である。
図8図8は、巻回電極体の正極シートと、負極シートと、第1セパレータと、第2セパレータとの界面を模式的に示す拡大図である。
図9図9は、一実施形態に係る製造方法を模式的に示す図である。
図10図10は、巻回機の構成を模式的に示す図である。
図11図11は、第1位置に配置された巻芯を模式的に示す断面図である。
図12図12は、巻回機の構成を模式的に示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る電池の図2対応図である。
図14図14は、巻回機の構成の他の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ここで開示される技術の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、ここに開示される技術を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と、当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、「A以上B以下」の意と共に、「Aを超える」および「B未満」の意を包含するものとする。
【0009】
本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを包含する概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して正極と負極の間で電荷担体が移動することによって繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。
【0010】
ここに開示される電池の製造方法は、帯状の第1セパレータと、帯状の正極シートと、帯状の第2セパレータと、帯状の負極シートと、が巻回された巻回電極体を備え、正極シートと第1セパレータとが第1接着層により接着され、正極シートと第2セパレータとが第2接着層により接着された電池の製造方法である。かかる製造方法は、第1接着層および第2接着層を形成する接着層形成工程と、巻回電極体を作製する巻回電極体作製工程と、を少なくとも含んでいる。ここでは、まず、かかる製造方法によって製造される電池の構成を説明し、次いで、ここに開示される製造方法について説明する。
【0011】
<電池の構成>
以下、ここに開示される製造方法によって製造される電池の一実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。図1は、電池100の斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。図4は、図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。図5は、封口板に取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。図6は、正極第2集電部と負極第2集電部とが取り付けられた電極体を示す斜視図である。図7は、巻回電極体の構成を示す図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表す。また、図面中の符号Xは「電池の短辺方向」を示し、符号Yは「電池の長辺方向」を示し、符号Zは「電池の上下方向」を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0012】
図1および図2に示すように、電池100は、巻回電極体20と、当該巻回電極体20を収容する電池ケース10と、を備えている。図示は省略するが、電池100は、ここではさらに電解質を備えている。電池100は、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であることが好ましい。
【0013】
電池ケース10は、巻回電極体20を収容する筐体である。電池ケース10は、ここでは、図1に示すように、有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であることが好ましい。電池ケース10の材質の一例として、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等が挙げられる。
【0014】
図1および図2に示すように、電池ケース10は、外装体12と、封口板14と、を備えている。外装体12は、上面に開口12hを有する扁平な有底角型の容器である。外装体12は、平面視において略矩形状の底壁12aと、底壁12aから延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aから延び相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。また、封口板14は、外装体12の開口12hを塞ぐ部材であり、平面視において略矩形状の板状部材である。電池ケース10は、外装体12の開口12hの周縁に封口板14が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。電池ケース10は、気密に封止(密閉)されている。
【0015】
図2に示すように、封口板14には、注入孔15と、ガス排出弁17と、2つの端子引出孔18、19と、が設けられている。注入孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後、電池ケース10の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注入孔15は、電解液の注液後に封止部材16により封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成された薄肉部である。
【0016】
電池ケース10には、上記したように巻回電極体20とともに、電解質が収容され得る。電解質としては、従来公知の電池において使用されているものを特に制限なく使用できる。一例として、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液を使用できる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。非水電解液は、必要に応じて各種の添加剤を含有していてもよい。なお、電解質は固体状(固体電解質)で、電極体と一体化されていてもよい。
【0017】
封口板14の長辺方向Yの一方(図1図2の左側)の端部には、正極端子30が取り付けられている。封口板14の長辺方向Yの他方(図1図2の右側)の端部には、負極端子40が取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、端子引出孔18、19に挿通され、封口板14の外側の表面に露出している。正極端子30は、電池ケース10の外側において、板状の正極外部導電部材32と電気的に接続されている。負極端子40は、電池ケース10の外側において、板状の負極外部導電部材42と電気的に接続されている。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、バスバー等の外部接続部材を介して、他の二次電池や外部機器と接続される。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で構成されている。ただし、正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0018】
図3図5に示すように、電池100は、ここでは電池ケース10内に複数個(3個)の巻回電極体20が収容されている。巻回電極体20の詳しい構造については後述するが、それぞれの巻回電極体20には、正極タブ群25と負極タブ群27とが設けられている(図4参照)。図4に示すように、これらの電極タブ群(正極タブ群25と負極タブ群27)は、電極集電部(正極集電部50および負極集電部60)が接合された状態で折り曲げられている。
【0019】
複数の巻回電極体20のそれぞれの正極タブ群25は、正極集電部50を介して正極端子30と接続されている。正極集電部50は、電池ケース10の内部に収容されている。正極集電部50は、図2および図5に示すように、正極第1集電部材51と、正極第2集電部材52と、を備えている。正極第1集電部材51は、封口板14の内側面に沿って長辺方向Yに延びる板状の導電部材である。正極第2集電部材52は、電池100の上下方向Zに沿って延びる板状の導電部材である。そして、正極端子30の下端部30cは、封口板14の端子引出孔18を通って電池ケース10の内部に挿入され、正極第1集電部材51と接続されている(図2参照)。また、図4図6に示すように、ここでは、電池100は、複数の巻回電極体20の個数に対応した数の正極第2集電部材52を備えている。それぞれの正極第2集電部材52は、巻回電極体20の正極タブ群25に接続される。そして、図4に示すように、巻回電極体20の正極タブ群25は、正極第2集電部材52と、巻回電極体20の一方の側面20eとが対向するように折り曲げられている。これによって、正極第2集電部材52の上端部と、正極第1集電部材51とが電気的に接続される。なお、正極端子30および正極集電部50は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましい。正極端子30および正極集電部50は、例えばアルミニウムまたは、アルミニウム合金製であり得る。
【0020】
一方、複数の巻回電極体20のそれぞれの負極タブ群27は、負極集電部60を介して負極端子40と接続される。かかる負極側の接続構造は、上述した正極側の接続構造と略同一である。具体的には、負極集電部60は、図2および図5に示すように、負極第1集電部材61と、負極第2集電部材62と、を備えている。負極第1集電部材61は、封口板14の内側面に沿って長辺方向Yに延びる板状の導電部材である。負極第2集電部材62は、電池100の上下方向Zに沿って延びる板状の導電部材。そして、負極端子40の下端部40cは、端子引出孔19を通って電池ケース10の内部に挿入され、負極第1集電部材61と接続される(図2参照)。また、図4図6に示すように、ここでは、電池100は、複数の巻回電極体20の個数に対応した数の負極第2集電部材62を備えている。それぞれの負極第2集電部材62は、巻回電極体20の負極タブ群27に接続される。そして、図4および図5に示すように、巻回電極体20の負極タブ群27は、負極第2集電部材62と、巻回電極体20の他方の側面20hとが対向するように折り曲げられている。これによって、負極第2集電部材62の上端部と、負極第1集電部材61とが電気的に接続される。なお、負極端子40および負極集電部60は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましい。負極端子40および負極集電部60は、例えば銅または、銅合金製であり得る。
【0021】
電池100では、巻回電極体20と電池ケース10との導通を防止するために、種々の絶縁部材が取り付けられている。例えば、図1および図2に示すように、正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、外部絶縁部材92によって封口板14と絶縁されている。また、図2に示すように、封口板14の端子引出孔18、19のそれぞれにはガスケット90が装着されている。これによって、端子引出孔18、19に挿通された正極端子30(又は負極端子40)が封口板14と導通することを防止できる。また、正極集電部50および負極集電部60と、封口板14の内面側との間には、内部絶縁部材94が配置されている。これにより、正極集電部50および負極集電部60が封口板14と導通することを抑制することができる。内部絶縁部材94は、巻回電極体20に向かって突出する突出部を備えていてもよい。さらに、複数の巻回電極体20は、絶縁性の樹脂シートからなる電極体ホルダ29に覆われた状態で、外装体12の内部に配置されている。これによって、巻回電極体20と外装体12が直接接触することを防止できる。なお、上述した各々の絶縁部材の材質は、所定の絶縁性を有している限りにおいて特に限定されない。そのような材質の一例として、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂等の合成樹脂材料が挙げられる。
【0022】
図3に示すように、外装体12には、ここでは3つの巻回電極体20が収容されている。ただし、1つの外装体12の内部に配置される巻回電極体の数は特に限定されず、4つ以上であってもよいし、1つであってもよい。巻回電極体20は、帯状の第1セパレータ71、帯状の正極シート22、帯状の第2セパレータ72、および、帯状の負極シート24が、巻回された巻回電極体である。ここで、正極シート22と第1セパレータ71とは、第1接着層81(図8参照)により接着される。また、正極シート22と第2セパレータ72とは、第2接着層82(図8参照)により接着される。巻回電極体20は、扁平状であることが好ましい。図3に示すように、巻回電極体20は、例えば、扁平状であって、外装体12の底壁12aおよび封口板14と対向する一対の湾曲部20rと、一対の湾曲部20rを連結し、外装体12の長側壁12bと対向する平坦部20fと、を有する。
なお、本明細書において、扁平状の巻回電極体とは、断面視において略長円形であり、いわゆるレーストラック形状である巻回電極体(図3参照)のことをいう。
【0023】
図7に示すように、巻回電極体20は、帯状の正極シート22と帯状の負極シート24とが帯状の第1セパレータ71および第2セパレータ72を介して絶縁された状態で積層され、巻回軸WLを中心として長手方向に巻回されて構成されている。巻回電極体20は、ここでは、巻回軸WL(図7参照)が外装体12の長辺方向Yと平行になる向きで、外装体12の内部に配置されている。言い換えれば、巻回電極体20は、巻回軸WLが底壁12aと平行になり、短側壁12cと直交する向きで、外装体12の内部に配置されている。巻回電極体20の端面(言い換えれば、正極シート22と負極シート24とが積層された積層面)は、短側壁12cと対向している。
【0024】
正極シート22は、図7に示すように、帯状の部材である。正極シート22は、帯状の正極集電体22cと、正極集電体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aおよび正極保護層22pと、を有する。ただし、正極保護層22pは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。正極シート22を構成する各部材には、一般的な電池(例えば、リチウムイオン二次電池)で使用され得る従来公知の材料を特に制限なく使用できる。例えば、正極集電体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなることが好ましい。正極集電体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミニウム箔である。
【0025】
正極シート22では、図7に示すように、巻回電極体20の長辺方向Yの一方の端部(図7の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、長手方向に沿って所定の間隔を空けて(間欠的に)設けられている。正極タブ22tは、正極シート22に接続されている。正極タブ22tは、ここでは正極集電体22cの一部であり、金属箔(具体的にはアルミ箔)から構成される。正極タブ22tは、正極活物質層22aが形成されておらず、正極集電体22cが露出した領域である。ただし、正極タブ22tは、一部に正極活物質層22aおよび/または正極保護層22pが設けられていてもよく、正極集電体22cと別の部材であってもよい。複数の正極タブ22tは、ここではそれぞれ台形状である。ただし、正極タブ22tの形状はこれに限定されない。また、複数の正極タブ22tのサイズも特に限定されない。正極タブ22tの形状やサイズは、例えば正極集電部50に接続される状態を考慮し、その形成位置等によって、適宜調整することができる。複数の正極タブ22tは、図4に示すように、正極シート22の長辺方向Yの一方の端部(図4の左端部)で積層され、正極タブ群25を構成している。
【0026】
正極活物質層22aは、図7に示すように、帯状の正極集電体22cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。正極活物質層22aは、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を含むことが好ましく、当該リチウム遷移金属複合酸化物においてニッケル(Ni)の含有量が高いことがより好ましい。例えば、リチウム遷移金属複合酸化物において、リチウム以外の金属元素の合計に対するニッケルの含有量が、好ましくは55モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは75モル%以上であるとよい。これにより、電池100をさらに高容量化させることができる。
【0027】
正極活物質層22aの固形分全体を100質量%としたときに、正極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダー、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材の一例として、アセチレンブラック(AB)等の炭素材料が挙げられる。バインダーの一例として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
【0028】
特に限定されないが、正極活物質層22aの単位面積当たりの重量をa(g)、正極活物質層22aを150℃から300℃まで加熱した時に発生する水分量をb(g)としたときに、重量aに対する水分量bの比(b/a)が0.2%未満であることが好ましい。
【0029】
正極保護層22pは、正極活物質層22aよりも電気伝導性が低くなるように構成された層である。正極保護層22pは、図7に示すように、長辺方向Yにおいて、正極集電体22cと正極活物質層22aとの境界部分に設けられている。正極保護層22pは、ここでは、正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(図7の左端部)に設けられている。ただし、正極保護層22pは長辺方向Yの両端部に設けられていてもよい。正極保護層22pを備えることで、第1セパレータ71および第2セパレータ72が破損した際に正極集電体22cと負極活物質層24aとが直接接触して電池100が内部短絡することを防止できる。
【0030】
正極保護層22pは、絶縁性の無機フィラー、例えば、アルミナ等のセラミック粒子を含んでいる。正極保護層22pの固形分全体を100質量%としたときに、無機フィラーは、概ね50質量%以上、典型的には70質量%以上、例えば80質量%以上を占めていてもよい。正極保護層22pは、無機フィラー以外の任意成分、例えば、導電材、バインダー、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材およびバインダーは、正極活物質層22aに含み得るとして例示したものと同じであってもよい。
【0031】
負極シート24は、図7に示すように、帯状の部材である。負極シート24は、帯状の負極集電体24cと、負極集電体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。負極シート24を構成する各部材には、一般的な電池(例えば、リチウムイオン二次電池)で使用され得る従来公知の材料を特に制限なく使用できる。例えば、負極集電体24cは、銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属から構成されることが好ましい。負極集電体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。
【0032】
負極シート24では、図7に示すように、巻回電極体20の長辺方向Yの一方の端部(図7の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、長手方向に沿って所定の間隔を空けて(間欠的に)設けられている。負極タブ24tは、負極シート24に接続されている。負極タブ24tは、ここでは負極集電体24cの一部であり、金属箔(具体的には銅箔)から構成される。負極タブ24tは、ここでは負極活物質層24aが形成されておらず、負極集電体24cが露出した領域である。ただし、負極タブ24tは、一部に負極活物質層24aが形成されていてもよく、負極集電体24cとは別の部材であってもよい。複数の負極タブ24tは、ここではそれぞれ台形状である。ただし、複数の負極タブ24tの形状やサイズは、正極タブ22tと同様に適宜調整することができる。複数の負極タブ24tは、図4に示すように、負極シート24の長辺方向Yの一方の端部(図4の右端部)で積層され、負極タブ群27を構成している。
【0033】
負極活物質層24aは、図7に示すように、帯状の負極集電体24cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含んでいる。負極活物質層24aの幅(長辺方向Yの長さ。以下同じ)は、正極活物質層22aの幅よりも大きいことが好ましい。負極活物質層24aの固形分全体を100質量%としたときに、負極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダー、分散剤、各種添加成分等を含んでいてもよい。バインダーの一例として、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類が挙げられる。分散剤の一例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロール類が挙げられる。
【0034】
第1セパレータ71および第2セパレータ72は、帯状の部材である。第1セパレータ71および第2セパレータ72は、電荷担体が通過し得る微細な貫通孔が複数形成された絶縁シートである。第1セパレータ71および第2セパレータ72の幅は、負極活物質層24aの幅よりも大きい。正極シート22と負極シート24との間に第1セパレータ71および第2セパレータ72を介在させることによって、正極シート22と負極シート24との接触を防止すると共に、正極シート22と負極シート24との間に電荷担体(例えばリチウムイオン)を移動させることができる。
【0035】
図8は、巻回電極体20の正極シート22と、負極シート24と、第1セパレータ71と、第2セパレータ72との界面を模式的に示す拡大図である。上記したように、ここに開示される電池100では、正極シート22と第1セパレータ71とが第1接着層81によって接着され、正極シート22と第2セパレータ72とが第2接着層82によって接着されている。第1接着層81は、第1セパレータ71の表面であって、正極シート22と対向する表面に備えられていてもよい。あるいは、第1接着層81は、正極シート22の表面であって、第1セパレータ71と対向する表面に備えられていてもよい。また、第2接着層82は、第2セパレータ72の表面であって、正極シート22と対向する表面に備えられていてもよい。あるいは、第2接着層82は、正極シート22の表面であって、第2セパレータ72と対向する表面に備えられていてもよい。なお、「正極シートの表面」とは、正極活物質層の表面であってもよいし、正極集電体の表面であってもよい。正極シートの表面に第1接着層および/または第2接着層を備える場合、好ましくは、正極シートは正極集電体の両方の面に正極活物質層を備えており、当該正極活物質層の表面に第1接着層および/または第2接着層が備えられているとよい。
【0036】
第1接着層81および第2接着層82の位置は、第1接着層81および第2接着層82によって、正極シート22と第1セパレータ71と第2セパレータ72とを接着することができる限り特に限定されない。例えば、第1接着層81は、正極シート22の表面であって第1セパレータ71と対向する表面に備えられており、第2接着層82は、正極シート22の表面であって第2セパレータ72と対向する表面に備えられていてもよい。好ましくは、第1接着層81は、第1セパレータ71の表面であって正極シート22と対向する表面に備えられており、第2接着層82は、正極シート22の表面であって第2セパレータ72と対向する表面に備えられているとよい。より好ましくは、第1接着層81は、第1セパレータ71の表面であって正極シート22と対向する表面に備えられており、第2接着層82は、第2セパレータ72の表面であって正極シート22と対向する表面に備えられているとよい。これにより、第1接着層81および第2接着層82による接着をより好適に発揮させることができる。
【0037】
第1接着層81が第1セパレータ71の表面に備えられている形態において、第1接着層81は第1セパレータ71の最表面に配置されていればよい。また、第2接着層82が第2セパレータ72の表面に備えられている形態において、第2接着層82は、第2セパレータ72の最表面に配置されていればよい。特に限定されないが、第1セパレータ71は、例えば、基材層85と、基材層85の上に備えられる耐熱層87と、耐熱層87の上に備えられる第1接着層81と、を有していることが好ましい。また、第2セパレータ72は、例えば、基材層85と、基材層85の上に備えられる耐熱層87と、耐熱層87の上に備えられる第2接着層82と、を有していることが好ましい。ただし、第1接着層81および第2接着層82は、それぞれ、基材層85の表面に直接設けられていてもよい。または、第1接着層81および第2接着層82は、その他の任意の層を介して基材層85の上に設けられていてもよい。
【0038】
基材層85としては、従来公知の電池のセパレータに用いられる微多孔膜を特に制限なく使用できる。基材層85は、例えば、多孔質のシート状部材であることが好ましい。基材層85は、単層構造であってもよく、2層以上の構造、例えば3層構造であってもよい。基材層85は、ポリオレフィン樹脂からなることが好ましい。これによって、セパレータの柔軟性を充分に確保し、巻回電極体20の作製(巻回およびプレス成形)を容易に実施できる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはこれらの混合物が好ましく、PEからなることがさらに好ましい。また、特に限定されるものではないが、基材層85の厚みは、3μm以上25μm以下であることが好ましく、3μm以上18μm以下であることがより好ましく、5μm以上14μm以下であることがさらに好ましい。
【0039】
耐熱層87は、ここでは、基材層85の上に設けられている。耐熱層87は、基材層85の表面に直接設けられていてもよいし、他の層を介して基材層85の上に設けられていてもよい。ただし、耐熱層87は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。耐熱層87の目付量は、ここではセパレータの長手方向および幅方向に均質である。特に限定されるものではないが、耐熱層87の厚みは、0.3μm以上6μm以下であることが好ましく、0.5μm以上6μm以下であることがより好ましく、1μm以上4μm以下であることがさらに好ましい。
【0040】
耐熱層87は、無機フィラーと耐熱層バインダーとを含むことが好ましい。無機フィラーとしては、従来公知この種の用途で使用されているものを特に制限なく使用できる。無機フィラーは、絶縁性のセラミック粒子を含むことが好ましい。なかでも、耐熱性、入手容易性等を考慮すると、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア等の無機酸化物や、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、ベーマイト等の粘土鉱物が好ましく、アルミナ、ベーマイトがより好ましい。また、セパレータの熱収縮を抑制する観点からは、特にアルミニウムを含む化合物が好ましい。耐熱層87の総質量に対する無機フィラーの割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上、さらには95質量%以上がより好ましい。
【0041】
耐熱層バインダーとしては、従来公知この種の用途で使用されているものを特に制限なく使用できる。具体例として、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。なかでもアクリル系樹脂が好ましい。
【0042】
第1接着層81および第2接着層82は、例えば加熱や押圧(典型的にはプレス成形)等によって、電極(正極シート22および/または負極シート24)と接着されている。第1接着層81と第2接着層82とは同様の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0043】
第1接着層81および第2接着層82は、接着層バインダーを含んでいる。接着層バインダーとしては、電極に対して一定の粘性を有する従来公知の樹脂材料を特に制限なく使用できる。具体例として、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。なかでも、高い柔軟性を有し、電極に対する接着性をより好適に発揮できることから、フッ素系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。接着層バインダーの種類は、耐熱層バインダーと同じであってもよく、異なっていてもよい。接着層の総質量に対する接着層バインダーの割合は、25質量%以上が好ましく、50質量%以上であってもよく、さらには80質量%以上がより好ましい。これにより、電極に対して所定の接着性が的確に発揮される。
【0044】
第1接着層81および第2接着層82は、接着層バインダーに加えて、他の材料(例えば、耐熱層73の成分として挙げた無機フィラー等)を含んでいてもよい。接着層が無機フィラーを含む場合、接着層の総質量に対する無機フィラーの割合は、75質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。第1接着層81および第2接着層82の厚みは、概ね0.3μm以上6μm以下であることが好ましく、0.5μm以上6μm以下であることがより好ましく、1μm以上4μm以下であることがさらに好ましい。
【0045】
図8に示すように、第1セパレータ71は、第1面71aと第2面71bとを有している。ここでは、第1セパレータ71の第1面71aと正極シート22の一方の表面とが対向し、第2面71bと負極シート24の一方の表面とが対向している。また、第2セパレータ72は、第3面72aと第4面72bとを有している。ここでは、第2セパレータ72の第3面72aと正極シート22の他方の表面とが対向し、第4面72bと負極シート24の他方の表面とが対向している。
【0046】
図8に示すように、第1セパレータ71の第1面71aは、第1接着層81を備えており、正極シート22の一方の面と接着されることが好ましい。特に限定されないが、第1面71aの接着層の目付量A(g/m)は、0.005~1.0g/mが好ましく、0.02~0.04g/mがより好ましい。ただし、第1面71aの全ての領域において、第1接着層81が備えられていなくてもよい。すなわち、第1面71aは、接着層が形成されない接着層未形成領域を有していてもよい。
【0047】
また、図8に示すように、第2セパレータ72の第3面72aは、第2接着層82を備えており、正極シート22の他方の面と接着されることが好ましい。特に限定されないが、第3面72aの接着層の目付量C(g/m)は、0.005~1.0g/mが好ましく、0.02~0.04g/mがより好ましい。ただし、第3面72aの全ての領域において、第2接着層82が備えられていなくてもよい。すなわち、第3面72aは、接着層が形成されない接着層未形成領域を有していてもよい。
【0048】
第1セパレータ71の第2面71bは、接着層を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。第1セパレータ71の第2面71bに接着層が形成されている場合には、第2面71bの接着層の目付量B(g/m)は、第1面71aの接着層の目付量A(g/m)よりも小さいことが好ましい。例えば、第1面71aの接着層の目付量Aに対する第2面71bの接着層の目付量Bの比(B/A)は、0.5以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。また、特に限定されないが、第2面71bに接着層が形成されている場合の目付量Bは、0.002~0.5g/mが好ましく、0.01~0.02g/mがより好ましい。
【0049】
第2セパレータ72の第4面72bは、接着層を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。第2セパレータ72の第4面72bに接着層が形成されている場合には、第4面72bの接着層の目付量D(g/m)は、第3面72aの接着層の目付量C(g/m)よりも小さいことが好ましい。例えば、第3面72aの接着層の目付量Cに対する第4面72bの接着層の目付量Dの比(D/C)は、0.5以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。また、特に限定されないが、第4面72bに接着層が形成されている場合の目付量Dは、0.002~0.5g/mが好ましく、0.01~0.02g/mがより好ましい。
【0050】
接着層は、全面形成されていてもよく、あるいは所定のパターンを有していてもよい。例えば、接着層は、平面視で、ドット状、ストライプ状、波状、帯状(筋状)、破線状、またはこれらの組み合わせ等のパターンを有していてもよい。
【0051】
<電池の製造方法>
以上、本実施形態に係る電池100の構成について説明した。次に、かかる電池100の製造方法について説明する。
図9は、ここに開示される製造方法を模式的に示す図である。図10および図12は、ここに開示される製造方法において好適に用いられ得る巻回機200を模式的に示す図である。図11は、巻芯を模式的に示す断面図である。ここではまず、巻回機200の構成について、図10を参照しつつ説明する。
【0052】
図10に示すように、巻回機200は、帯状の第1セパレータ71と、帯状の正極シート22と、帯状の第2セパレータ72と、帯状の負極シート24とを巻回するための装置である。巻回機200は、図10に示されているように、ターレット220と、複数の巻芯(第1巻芯241、第2巻芯242および第3巻芯243)と、カッター251と、押え治具252と、複数のローラ261~266と、巻止装置270と、制御装置300とを備えている。ターレット220には、さらにインデックスユニット280が備えられており、インデックスユニット280には複数のインデックスローラ281~283が備えられている。巻回機200の各構成要素は、それぞれ所要のアクチュエータを適宜に有している。制御装置300は、予め設定されたプログラムに沿って所定のタイミングで所要の動作が実行されるように、巻回機200の各構成要素を制御するように構成されている。制御装置300は、例えば、マイクロコントローラのようなコンピュータによって具現化されうる。
【0053】
正極シート22と負極シート24と第1セパレータ71と第2セパレータ72とは、それぞれリール(図示省略)などに巻かれた状態で用意されている。正極シート22と負極シート24と第1セパレータ71と第2セパレータ72とは、それぞれ、予め定められた搬送経路k1~k4に沿って搬送される。搬送経路k1は、図示されないリールからターレット220に向けて正極シート22が送り出される経路である。搬送経路k2は、図示されないリールからターレット220に向けて負極シート24が送り出される経路である。搬送経路k3は、図示されないリールからターレット220に向けて第1セパレータ71が送り出される経路である。搬送経路k4は、図示されないリールからターレット220に向けて第2セパレータ72が送り出される経路である。正極シート22の搬送経路k1は、第1位置P1に配置された巻芯241に至る手前で、第1セパレータ71の搬送経路k3および第2セパレータ72の搬送経路k4に合流しているとよい。そして、正極シート22と第1セパレータ71と第2セパレータ72とが、後述する接着層形成工程において形成された接着層(より詳細には第1接着層81および第2接着層82)によって、接着されているとよい。負極シート24の搬送経路k1は、第1位置P1に配置された巻芯241に至る手前で、第2セパレータ72の搬送経路k4に合流しているとよい。搬送経路k1~k4には、送り出される正極シート22、負極シート24、第1セパレータ71および第2セパレータ72の緩みを取り除くためのダンサロール機構や、テンションを調整するためのテンションナーなどがそれぞれ適宜に配置されるとよい。
【0054】
ターレット220は、中心C1に回転軸が設定された回転盤である。図10に示すように、ターレット220には、複数(この実施形態では、3つ)の巻芯(第1巻芯241、第2巻芯242、および第3巻芯243)が設けられている。なお、以下では、第1巻芯~第3巻芯241~243を特に区別しないときには巻芯240と称する。また、第1巻芯~第3巻芯241~243が区別される場合、第1巻芯241、第2巻芯242、第3巻芯243として適宜に区別される。複数の巻芯240は、それぞれ独立して回転可能な略円筒状の軸である。ここでは、複数の巻芯240の軸は、それぞれターレット220の中心軸と平行になるように設けられている。第1巻芯241と、第2巻芯242と、第3巻芯243とは、ターレット220の中心軸回りに、周方向に等間隔で配置されている。第1巻芯~第3巻芯241~243は、それぞれ同じ構成を有するとよい。図示は省略するが、ターレット220は、所要のアクチュエータ(例えば、サーボモータ)を備えており、適当なタイミングで適当な角度回転する。
【0055】
ターレット220の中心C1の軸回りに、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3
が予め設定されている。図10では、第1位置P1に第1巻芯241が配置されており、第2位置P2に第3巻芯243が配置されており、第3位置P3に第2巻芯242が配置されている。ただし、第1巻芯~第3巻芯241~243の位置は、図10に示された位置に固定されない。ここでは、ターレット220は、矢印で示すように反時計回りに回転する。第1巻芯~第3巻芯241~243もそれぞれ、矢印で示すように半時計回りに回転する。第1巻芯~第3巻芯241~243は、ターレット220の回転によって第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3を順に移動していく。図示は省略するが、第1巻芯~第3巻芯241~243は、所要のアクチュエータ(例えば、サーボモータ)を備えており、適当なタイミングで、適当な速度で回転する。
【0056】
図11は、第1位置P1に配置された巻芯240を模式的に示す断面図である。巻芯240は、略円筒状の部材である。なお、この実施形態では、巻芯240は、略円筒形状であるが、扁平な形状に巻回する場合には、扁平な巻芯が用いられてもよい。また、巻芯は、径方向に沿って分割された巻芯であってもよく、巻芯の径が可変であってもよい。
【0057】
図11では、巻芯240の軸方向から見た図が示されており、図11に示されるように、第1位置P1に配置された巻芯240に第1セパレータ71と第2セパレータ72が巻き付けられる際の状態が模式的に示されている。巻芯240は、側周面に巻き付けられる第1セパレータ71および第2セパレータ72を保持する機能を有する。ここでは、巻芯240は、吸引孔240aと、吸引経路240bと、溝240cとを有する。吸引孔240aは、側周面に巻き付けられる第1セパレータ71および/または第2セパレータ72を吸着させるための孔である。吸引孔240aの平面視における形状は、円形状であってもよいし、方形状であってもよい。あるいは、吸引孔240aは、スリット状であってもよい。吸引経路240bは、巻芯240の内部に形成され、吸引孔240aに通じた流路である。吸引経路240bは、吸引孔240aに負圧を形成するための流路である。吸引経路240bは、例えば、外部に設置される真空ライン(図示省略)に適宜に接続されて負圧が形成されるように構成されているとよい。この実施形態では、溝240cは、巻芯240の外周面に巻芯240の軸方向に沿って形成されている。溝240cは、後述する切断処理において、第1セパレータ71および第2セパレータ72が切断される際に、カッター251の刃251aが降ろされる受け部として機能し得る。これにより、巻芯240とカッター251の刃251aが接触することにより、巻芯240またはカッター251が損傷することを抑制する。
【0058】
カッター251は、第1セパレータ71および第2セパレータ72を切断するカッターである。カッター251は、切断治具の一例である。カッター251は、第1位置P1に配置された巻芯240に保持された第1セパレータ71および第2セパレータ72に対して、刃251aを押し当てることによって、第1セパレータ71および第2セパレータ72を切断するように構成されることが好ましい。カッター251は、巻芯240に保持されたセパレータに対して刃251aが押し当てられるよう定められた位置に、ガイドに沿って押し出されたり、当該位置から後退したりできるように構成され得る。カッター251は、図示は省略するが、アクチュエータ(例えば、シリンダ機構)によって適当なタイミングで動作するように操作される。刃251aは、例えば、波刃(のこぎり状の刃)であってもよい。
【0059】
押え治具252は、第1セパレータ71および第2セパレータ72を第1位置P1に配置された巻芯240に押し付ける治具である。かかる押え治具252によって、第1セパレータ71および第2セパレータ72は、第1位置P1に配置された巻芯240に押し当てられつつ、巻取られる。特に限定されないが、押え治具252は、巻芯240に第1セパレータ71および第2セパレータ72が巻き付けられて直ぐに(例えば、1~2周程度巻き付けられた段階で)第2セパレータ72の第4面72bを押し付けるように構成されていることが好ましい。押え治具252は、例えば、バネなどが内装された機構によって、第1位置P1に配置された巻芯240に第1セパレータ71および第2セパレータ72を適当な圧力で押し当てるように構成されているとよい。また、押え治具252は、図示は省略するが、ガイドおよびアクチュエータによって、第1位置P1に配置された巻芯240に巻き付けられた第1セパレータ71および第2セパレータ72に押し当てられる位置と、巻芯240から離れる位置とに移動する。押え治具252は、巻芯240の幅方向に1つ設けられていてもよいし、巻芯240の幅方向に間欠的に複数配置されていてもよい。
【0060】
押え治具252は、例えば図11に示すように、ローラであることが好ましい。より好ましくは、押え治具252は、複数の突起252aが外周面に形成されているローラであるとよい。このように突起252aのある押え治具252によって、2枚の第1セパレータ71および第2セパレータ72が巻芯240に押し付けられることによって、突起252aによって力が局所的に集中して第1セパレータ71および第2セパレータ72が強く押し付けられる。このため、第1セパレータ71および第2セパレータ72同士がより好適に圧着される。押えローラは、例えば、略円筒形状であり、周側面にローレット加工が施されているとよい。
【0061】
複数のローラ261~264は、正極シート22、負極シート24、第1セパレータ71および第2セパレータ72の搬送経路k1~k4にそれぞれ配置されている。複数のローラ261~264は、搬送装置の一例である。複数のローラ261~264は、各搬送経路k1~k4を定めるために所定位置に配置されている。正極シート22、負極シート24、第1セパレータ71および第2セパレータ72は、それぞれ、複数のローラ261~264によって搬送される。
【0062】
インデックスユニット280は、図10に示すように、ターレット220の中心部に設けられている。ターレット220には、上述のように、3つの巻芯241~243が周方向に均等配置されている。インデックスユニット280は、ターレット220と一緒に回転する略正三角形のベースを備えている。ベースの頂点には、それぞれインデックスローラ281~283が配置されており、インデックスローラ281~283は、3つの巻芯241~243のそれぞれの間にそれぞれ配置されている。
【0063】
図12では、正極シート22と負極シート24が巻かれた巻芯(ここでは第1巻芯241)が第2位置P2に移動し、新たな巻芯(ここでは第2巻芯242)が第1位置P1に移動し、第1セパレータ71および第2セパレータ72が切断される状態が示されている。インデックスユニット280は、正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とを巻き取った巻芯241が、第1位置P1から第2位置P2に移動する際に、図12に示すように、インデックスローラ281~283のうち第1位置P1から第2位置P2に配置されるインデックスローラ281が第1セパレータ71と第2セパレータ72に対して内径側から押し当たる。かかるインデックスローラ281とローラ266とによって、第1位置P1と第2位置P2との間で第1セパレータ71と第2セパレータ72が緩みなく送り出される。図12に示されたタイミングでは、インデックスローラ281が、第1セパレータ71と第2セパレータ72に対して内径側から押し当たっているが、インデックスユニット280は、ターレット220の回転と共に回転する。このため、インデックスユニット280のインデックスローラ281~283は、正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とを巻き取った巻芯240が、第1位置P1から第2位置P2に移動する際に、第1セパレータ71と第2セパレータ72に対して内径側から押し当たるローラとして順に機能する。
【0064】
例えば、図12に示されているように、正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とを巻き取った巻芯241は、第1位置P1から離れた第2位置P2に移動する。そして、第1セパレータ71および第2セパレータ72が切断された後で、切断された第1セパレータ71および第2セパレータ72は、切断された端部まで巻き取られる。巻止装置270は、当該第2位置P2に配置されている。巻止装置270は、例えば、押えローラ271と、テープ貼付装置272とを備えている。押えローラ271は、第2位置P2に移動した巻芯240が、切断された正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とを切断された端部まで巻き取られる際に、巻芯241に巻き付けられた最外周の第2セパレータ72に押し当てられる。これにより、切断された正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とは、それぞれ緩まずに巻き取られる。テープ貼付装置272は、最外周の第2セパレータ72または第1セパレータ71の切断された端部を止めるためのテープを貼る装置である。かかる巻止処理は、例えば、第1位置P1に新たに配置された巻芯242に第1セパレータ71と、正極シート22と、第2セパレータ72と、負極シート24とが巻回される処理と並行して実施されてもよい。
【0065】
この実施形態では、例えば、図12に示されているように、巻回機200は、巻止処理が実施され、かつ、第1位置P1に配置された巻芯242に新たに正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とを巻き取られた後、ターレット220が回転する。巻止処理が実施された巻芯241は第3位置P3に移動し、巻芯242は第2位置P2に移動し、第1位置P1にはさらに別の巻芯が配置される。このとき、第2位置P2に配置された巻芯242に巻き取られた第1セパレータ71と第2セパレータ72は、繋がった状態で第1位置P1に配置された巻芯243の外周面に保持される。そして、第1セパレータ71および第2セパレータ72が切断された後、第2位置P2では、巻芯242の巻止処理が実施される。第1位置P1では、巻芯243に新たに正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とが巻き取られる。第3位置P3では、巻芯241から巻回体20aが取り出される。巻回体20aは、取り出された後、扁平にプレスされ、巻回電極体20として扱われうる。このように、ターレット220に備えられた巻芯241~243は、第1位置P1~第3位置P3を順次移動する。そして、正極シート22と第1セパレータ71と負極シート24と第2セパレータ72とは、巻芯241~243に順に連続して巻き取られる。
【0066】
ここに開示される電池の製造方法は、接着層形成工程と、巻回電極体作製工程とが少なくとも包含する。
接着層形成工程は、正極シート22および第1セパレータ71の少なくとも一方の表面に第1接着層81を形成し、正極シート22および第2セパレータ72の少なくとも一方の表面に第2接着層82を形成する工程である。
巻回電極体作製工程は、帯状の第1セパレータ71、帯状の正極シート22、帯状の第2セパレータ72、および、帯状の負極シート24を巻回することにより巻回電極体20を作製する工程である。
ここに開示される電池の製造方法においては、接着層形成工程が実施された直後に巻回電極体作製工程が実施されている。これにより、接着層の形成位置をコントロールすることができ、巻回電極体20においてより適切な位置に接着層を配置することができる。また、正極シート22、第1セパレータ71および第2セパレータ72のうち接着層が形成されたシートが、リール等に巻き取られることなく、連続して、巻芯に送り出されて、巻回電極体20が作製される。したがって、接着層が形成された直後に巻回電極体20が作製される。このため、正極シート22と第1セパレータ71と第2セパレータ72とが、より高い品質で接着された巻回電極体20が作製される。これにより、巻回電極体20の形状安定性が高く、信頼性の高い電池100を提供することができる。
【0067】
上記したように、ここに開示される製造方法においては、接着層形成工程の直後に巻回電極体作製工程を実施することを特徴とする。なお、ここに開示される製造方法においては、接着層形成工程を実施した直後に巻回電極体作製工程を実施することによって特徴付けられており、それ以外の製造プロセスは従来と同様であってもよい。また、任意の段階でさらに他の工程を含んでいてもよい。
【0068】
図9に示すように、ここに開示される製造方法では、例えば塗布装置150によって、第1接着層81が第1セパレータ71に形成され、第2接着層82が第2セパレータ72に形成された後、当該第1セパレータ71および第2セパレータ72をリール等に巻き取ることなく、巻回電極体20を作製するために巻回機200(より詳細には巻芯240)に巻き取る。すなわち、第1セパレータ71および第2セパレータ72が搬送経路k3および搬送経路k4に沿って搬送されながら、接着層形成工程と電極体作製工程とが連続して実施される。これにより、所望する位置に高品質な接着層を備えた巻回電極体20を作製することができる。したがって、正極シート22と第1セパレータ71と第2セパレータ72とが好適に接着され、信頼性の高い電池100を提供することができる。
【0069】
好ましくは、接着層を形成する位置と巻回電極体20を作製する位置とが、50m未満の距離であることが好ましい。例えば、図9に示すような接着層を形成する塗布装置150と巻回電極体20を作製する巻回機200とが、50m未満の位置に設置されていることが好ましく、10m未満の位置に設置されていてもよく、3m未満の位置に設置されていてもよい。また、正極シート22および/またはセパレータに接着層が形成されてから、巻回電極体20を作製するために巻回され始めるまでの時間は、例えば60分未満であることが好ましく、20分未満であってもよく、5分未満であってもよい。なお、接着層を形成する位置と、巻回電極体20を作製する位置とは、例えば所望する接着層の厚みや種類等に応じて適宜変更され得る。
【0070】
接着層形成工程では、図9に示すように、塗布装置150を用いて第1接着層81および第2接着層82を形成する。例えば、巻芯242の中心C2を通過し鉛直方向に延びる鉛直直線L1に対して、一方側に第1接着層81を形成するための第1塗布装置150aと、第2接着層82を形成するための第2塗布装置150bと、が配置される。ここに開示される製造方法においては、正極シート22の一方の表面と第1セパレータ71の一方の表面とが第1接着層81によって接着され、正極シート22の他方の表面と第2セパレータ72の一方の表面とが第2接着層82によって接着されるように、第1接着層81および第2接着層82が形成される。例えば、第1接着層81は、第1セパレータ71の表面であって正極シート22と対向する表面(ここでは第1面71a)に形成される。あるいは、第1接着層81は、正極シート22の表面であって第1セパレータ71と対向する表面に形成される。また、第2接着層82は、第2セパレータ72の表面であって正極シート22と対向する表面(ここでは第3面72a)に形成される。あるいは、第2接着層82は、正極シート22の表面であって第2セパレータ72と対向する表面に形成される。すなわち、正極シート22の両方の表面に、それぞれ第1接着層81および第2接着層82が形成されてもよい。
【0071】
形成された接着層がより好適な状態を保つ観点からは、複数のローラ261~264に接触しない面に接着層が形成されることが好ましい。したがって、例えば、第1接着層81が第1セパレータ71の第1面71aに形成され、第2接着層82が第2セパレータ72の第3面72aに形成されることが好ましい。または、第1接着層81が第1セパレータ71の第1面71aに形成され、第2接着層82が正極シート22の第2セパレータ72と対向する面に形成されることが好ましい。
【0072】
接着層の形成方法は特に限定されないが、例えば正極シート22、第1セパレータ71、および第2セパレータ72の搬送方向に沿って、塗布装置150からバインダー液を塗工することによって接着層を形成することができる。バインダー液は、例えば上記したような接着層バインダーと、溶媒とを含む。バインダー液の溶媒としては、環境負荷を軽減するとの観点において、いわゆる水系の溶媒が好適に用いられる。この場合、水または水を主体とする混合溶媒を用いることができる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。また、バインダー液の溶媒は、いわゆる水系の溶媒に限定されず、いわゆる有機溶剤系であってもよい。有機溶剤系溶媒としては、例えばN-メチルピロリドンなどが挙げられる。例えばバインダー液の好適例としては、水を溶媒とし、バインダーとしてのアクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂)を混ぜるとよい。なお、バインダー液は、ここに開示される技術の効果を妨げない限り、正極シート22やセパレータに対する濡れ性を改善する目的などで、公知の増粘剤や界面活性剤などの添加剤を1種または2種以上含むことができる。
【0073】
バインダー液は、正極シート22、第1セパレータ71および第2セパレータ72の長手方向に沿って、所望する領域に所定のパターンで塗布される。バインダー液の塗布方法としては特に制限されず、各種の塗工機や印刷機等を用いることができる。例えば、具体的には、インクジェット印刷、グラビアロールコーター等の各種の凹版印刷機、スプレーコーター、スリットコーター、コンマコーター、キャップコーター(Capillary Coater:CAPコーター)等のダイコーター、リップコーター等の各種の塗布装置を使用することができる。
【0074】
特に限定されないが、後述する巻回電極体作製工程において、巻芯240に当接する領域には、接着層の目付量が小さくなるようにバインダー液を塗布することが好ましい。例えば、第1セパレータ71の第2面71bの巻芯240と当接する領域の目付量は、第1面71aにおける同じ領域の目付量よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、図11に示すように、第1セパレータ71の第2面71bにおいて巻芯240と当接する領域には、接着層が形成されていないとよい。また、図示は省略するが、第2セパレータ72においても、第4面72bの巻芯240と当接する領域の目付量は、第3面72aにおける同じ領域の目付量よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、第2セパレータ72の第4面72bにおいて巻芯240と当接する領域には、接着層が形成されていないことが好ましい。これにより、巻芯240から巻回電極体20を好適に取り外すことができる。
【0075】
また、巻回電極体20を作製した際に、最外周になる面は、接着層の目付量が小さくなるようにバインダー液を塗布することが好ましい。具体的には、第2セパレータ72の第4面72bにおいて、最外周に相当する領域における接着層の目付量は、第3面72aの同じ領域の目付量よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、第2セパレータ72の第4面72bにおいて、最外周に相当する領域には、接着層が形成されていないとよい。また、第1セパレータ71の第2面71bにおいて、最外周に相当する領域における接着層の目付量は、第1面71aの同じ領域の目付量よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、第2セパレータ72の第2面71bにおいて、最外周に相当する領域には、接着層が形成されていないとよい。これにより、巻回電極体20を電極体ホルダ29にスムーズに収容できる等、巻回電極体20の取扱い性が向上する。
【0076】
特に限定されるものではないが、搬送経路k3において鉛直直線L1に対して±30°の領域を通過する際に第1セパレータ71に第1接着層81を形成することが好ましく、搬送経路k4において鉛直直線L1に対して±30°の領域を通過する際に第2セパレータ72に第2接着層82を形成することが好ましい。言い換えれば、搬送経路k3において鉛直直線L1に対して±30°となる領域に第1塗布装置150aが配置されているとよく、搬送経路k4において鉛直直線L1に対して±30°となる領域に第2塗布装置150bが配置されているとよい。これにより、例えばセパレータの幅方向における塗りムラ等が改善され、より均一な接着層を形成することができる。好ましくは搬送経路において鉛直直線L1に対して±15°の領域を通過する際に接着層を形成するとよく、より好ましくは、搬送経路において鉛直直線L1に対して略鉛直の領域を通過する際に接着層が形成されるとよい。
【0077】
また、特に限定されないが、接着層形成工程では、複数のローラ261~264と当接しない面に接着層が形成されることが好ましい。例えば、第1セパレータ71においてローラ263と当接しない面に第1接着層81が形成されることが好ましい。また、正極シート22においてローラ261と当接しない面に第1接着層81および/または第2接着層82が形成されることが好ましい。さらに、第2セパレータ72において、ローラ264と当接しない面に第2接着層82が形成されることが好ましい。これにより、形成された接着層が好適に維持されたまま、巻回電極体作製工程を実施することができる。
【0078】
巻回電極体作製工程では、帯状の第1セパレータ71、帯状の正極シート22、帯状の第2セパレータ72、および帯状の負極シート24を巻回して巻回電極体20を作製する。当該巻回電極体作製工程は、例えば上記した巻回機200を用いて好ましく実施することができる。かかる巻回機200を用いて巻回する場合には、図9に示すように、第1セパレータ71、正極シート22、第2セパレータ72、および負極シート24は、鉛直直線L1に対して一方側から巻芯240に供給される。各部材の配置は、特に限定されないが、図9に示すように、下方から第1セパレータ71、正極シート22、第2セパレータ72、負極シート24の順に配置され、巻回機200(より詳細には巻芯240)に供給されるとよい。
【0079】
正極シート22が巻芯240に供給される角度は、負極シート24が巻芯240に供給される角度よりも小さい方が好ましい。ここで、「正極シートが巻芯に供給される角度」とは、巻芯242の中心C2を通過し水平方向に延びる水平直線L2に対する角度のことである。また、「負極シートが巻芯に供給される角度」とは、水平直線L2に対する角度のことである。図9に示すように、正極シート22が巻芯240に供給される角度は水平直線L2に対して略水平(すなわち、0°)であることが好ましく、負極シート24が供給される角度はそれよりも大きくてもよい。一般的に正極シート22は、負極シート24よりも柔軟性が低い。このため、巻芯240に供給される角度(水平方向に対する角度)を小さくすることで、正極シート22がより高品質な状態で巻回することができる。
【0080】
図10に示すように、予め定められた搬送経路k1~k4に沿って搬送された第1セパレータ71、正極シート22、第2セパレータ72、および負極シート24は、第1位置P1に配置された巻芯240に巻き付けられる。このとき、図11に示すように、巻芯240に第1セパレータ71の第2面71bが当接し、第1セパレータ71の第1面71aと第2セパレータ72の第3面72aとが当接するようにして、第1セパレータ71および第2セパレータ72が巻芯241に巻き付けられることが好ましい。特に限定されないが、第1セパレータ71の第1面71aと第2セパレータ72の第3面72aとは、第1接着層81および第2接着層82の少なくとも一方によって接着されることが好ましい。これにより、正極シート22と第1セパレータ71と第2セパレータ72とが好適に接着された状態で、巻芯240に巻き付けることができる。
【0081】
また、図11に示すように、巻回電極体20の巻き始めの領域においては、正極シート22を介在させずに第1セパレータ71と第2セパレータ72とが巻芯240に巻き取られてもよい。このとき、第1セパレータ71の第1面71aと第2セパレータ72の第3面73aとは、第1接着層81および第2接着層82のうちいずれか一方のみによって接着されることが好ましい。図示は省略するが、第1セパレータ71の第1面71aに第1接着層81が形成され、正極シート22の第2セパレータ72と対向する面に第2接着層82が形成されているときは、正極シート22を介さずに対向する領域において、第1セパレータ71の第1面71aと第2セパレータ72の第3面72aとが、第1接着層81によって接着されることが好ましい。また、図示は省略するが、正極シート22の第1セパレータ71と対向する面に第1接着層81が形成され、第2セパレータ72の第3面72aに第2接着層82が形成されているときには、正極シート22を介さずに対向する領域において、第1セパレータ71の第1面71aと第2セパレータ72の第3面72aとが、第2接着層82によって接着されることが好ましい。これにより、巻回時の巻き始めが好適に接着され、巻ズレ等を抑制することができる。また、電池容量を低下させることなく、電極体の厚みを小さくすることができる。
【0082】
ここに開示される製造方法においては、巻芯240として、図11に示すように、複数の吸引孔240aを有する巻芯が採用され得る。特に限定されないが、巻回電極体作製工程では、第1セパレータ71の第2面71bを巻芯240に吸引することによって固定することが好ましい。より好ましくは、図11に示すように、第1セパレータ71と第2セパレータ72とが重ねられた状態で吸引され、固定されることが好ましい。このとき、第1セパレータ71の第1面71aおよび/または第2セパレータ72の第3面72aに接着層が形成されている場合には、第1セパレータ71と第2セパレータ72とが好適に接着された状態で巻芯240に固定され得る。上述したように、第1セパレータ71および第2セパレータ72は、多孔質性である。このため、巻芯240の吸引孔240aによる吸引が好適に発揮されて、巻芯240の外周面上に第1セパレータ71および/または第2セパレータ72を固定することができる。
【0083】
巻回電極体作製工程では、第1セパレータ71および第2セパレータ72が重ねられた状態で切断される切断処理を含むことが好ましい。かかる切断処理では、重ねられて巻芯240上に保持された第1セパレータ71および第2セパレータ72に対して切断治具(ここではカッター251)を押し付けて、第1セパレータ71および第2セパレータ72を切断する。このとき、図12に示すように、第1位置P1から離れた先の巻芯(ここでは巻芯241)に巻き付けられた第1セパレータ71および第2セパレータ72が、第1位置P1に配置された別の巻芯(ここでは巻芯242)の外周面に重ねられて保持された状態で、当該別の巻芯上、または別の巻芯の近傍において切断されることが好ましい。すなわち、第1セパレータ71および第2セパレータ72の切断部が、先の巻回体(ここでは、巻芯241に巻き付いている巻回体20a)の巻き終わり端部となると同時に、次の巻回体の巻き始め端部となる。これにより、第1セパレータ71および第2セパレータ72が切断された後に、連続して次の巻回体を作製することができ、生産性が向上する。
【0084】
特に限定されないが、第1セパレータ71において切断処理で切断される領域の第1接着層81の目付量が、正極シート22と対向する領域の第1接着層81の目付量よりも小さいことが好ましい。例えば、正極シート22と対向する領域の第1接着層81の目付量E(g/m)に対する切断処理で切断される領域の第1接着層81の目付量F(g/m)の比(F/E)が、0.5以下であることが好ましく、0.25以下であってもよい。さらに好ましくは、第1セパレータ71において、上記切断処理で切断される領域には、第1接着層81が形成されていないとよい。これにより、第1セパレータ71を安定的に切断することができる。
【0085】
また、特に限定されないが、第2セパレータ72において切断処理で切断される領域の第2接着層82の目付量が、正極シート22と対向する領域の第2接着層82の目付量よりも小さいことが好ましい。例えば、正極シート22と対向する領域の第2接着層82の目付量G(g/m)に対する切断処理で切断される領域の第2接着層82の目付量H(g/m)の比(H/G)が、0.5以下であることが好ましく、0.25以下であってもよい。さらに好ましくは、第2セパレータ72において、上記切断処理で切断される領域には、第2接着層82が形成されていないとよい。これにより、第1セパレータ71および第2セパレータ72が重ねられた状態で巻芯240に吸引された場合でも、第1セパレータ71および第2セパレータ72を安定的に切断することができる。
なお、第1セパレータ71および第2セパレータ72における切断処理で切断される領域の目付量は、上述した接着層形成工程において、当該切断される領域に塗布するバインダー液の量を減らす、または、バインダー液を塗布しないことにより、制御することができる。
【0086】
上記した巻回機200を用いて作製された巻回体20aを巻芯240から抜き取り、当該巻回体20aを扁平にプレスすることによって、巻回電極体20を作製することができる。そして、用意した巻回電極体20を電池ケース10に挿入し、封口することにより、電池100を作製することができる。
【0087】
例えば、図6に示すように、巻回電極体20の正極タブ群25に正極第2集電部材52を接合し、負極タブ群27に負極第2集電部材62を接合する。そして、図5に示すように、複数個(ここでは3個)の巻回電極体20を、平坦部20f同士が対向するように配列する。複数個の巻回電極体20の上方に封口板14を配置し、正極第2集電部材52と巻回電極体20の一方の側面20eとが対向するように、各々の巻回電極体20の正極タブ群25を折り曲げる。これによって、正極第1集電部材51と正極第2集電部材52とが接続される。同様に、負極第2集電部材62と巻回電極体20の他方の側面20hとが対向するように、各々の巻回電極体20の負極タブ群27を折り曲げる。これによって、負極第1集電部材61と負極第2集電部材62とが接続される。この結果、正極集電部50と負極集電部60を介して封口板14に巻回電極体20が取り付けられる。次いで、封口板14に取り付けられた巻回電極体20を、電極体ホルダ29(図3参照)で覆った後に外装体12の内部に収容する。この結果、巻回電極体20の平坦部20fが外装体12の長側壁12b(すなわち、電池ケース10の扁平面)と対向する。また、上側の湾曲部20rが封口板14と対向し、下側の湾曲部20rが外装体12の底壁12aと対向する。そして、外装体12の上面の開口12hを封口板14で塞いだ後に、外装体12と封口板14とを接合(溶接)することによって電池ケース10を構築する。その後、封口板14の注入孔15から電池ケース10の内部に電解質を注入し、注入孔15を封止部材16で塞ぐ。以上によって、電池100を製造することができる。
【0088】
上記した実施形態においては、巻回電極体20は、巻回軸WLが外装体12の長辺方向Yと平行になる向きで、外装体12の内部に配置されていた。しかしながら、巻回電極体は巻回軸WLが外装体12の上下方向Zと平行になる向きで外装体12の内部に配置されていてもよい。図13は、第2実施形態に係る電池400の図2対応図である。図13に示すように、電池400は、巻回電極体20にかえて巻回電極体420を備えている。電池400では、巻回電極体420の配置が第1実施形態とは異なっている。ゆえに、電池400は、正極タブ群25および負極タブ群27にかえて、正極タブ群425および負極タブ群427を備えている。電池400は、正極集電部50および負極集電部60にかえて、正極集電部450および負極集電部460を備えている。電池400は、内部絶縁部材94にかえて内部絶縁部材494を備えている。電池400は、これらのこと以外、上記した第1実施形態の電池100と同様であってよい。ここに開示される製造方法によれば、第2実施形態に係る電池400も、第1実施形態に係る電池100と略同様の方法によって好適に製造することができる。
【0089】
巻回電極体420は、ここでは巻回軸WLが上下方向Zと略一致するように電池ケース10の内部に収容されている。言い換えれば、巻回電極体420は、巻回軸WLが、長側壁および短側壁12cと略平行になり、かつ底壁12aおよび封口板14と略直交する向きで、電池ケース10の内部に配置されている。一対の湾曲部は、外装体12の短側壁12cと対向している。一対の平坦部は、外装体12の長側壁と対向している。巻回電極体420の端面(すなわち、正極シート22と負極シート24とが積層された積層面)は、一対の底壁12aおよび封口板14と対向している。なお、巻回電極体420を構成する各部の材質、構成等は、第1実施形態の巻回電極体20と同様であってよい
【0090】
正極タブ群425および負極タブ群427は、巻回電極体420の上下方向Zの一方の端部(図13の上端部)に設けられている。正極タブ群425には正極集電部450が付設されている。正極タブ群425は、正極集電部450を介して正極端子30と電気的に接続されている。負極タブ群427には負極集電部460が付設されている。負極タブ群427は、負極集電部460を介して負極端子40と電気的に接続されている。
【0091】
<電池の用途>
上述した電池は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。電池は、組電池の構築においても好適に用いることができる。
【0092】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0093】
例えば、接着層形成工程の後であって巻回電極体作製工程の前に、乾燥工程を含んでいてもよい。当該乾燥工程では、正極シート22、第1セパレータ71および第2セパレータ72に塗布されたバインダー液の溶媒を除去する。乾燥の方法は特に限定されず例えば、通風乾燥、加熱乾燥、真空乾燥等の方法を用いることができる。なお、乾燥工程は、必須の工程ではなく、適宜省略することができる。
【0094】
また、例えば、上記においては図10に示すような巻回機200を用いて巻回電極体20を作製した。しかしながら、巻回機は、これに限定されない。図14は、他の巻回機一例を示す図である。図14に示すように、略円筒形状の巻芯に、第1スリットS1と第2スリットS2と、を有する巻回機500によっても巻回電極体20を作製することができる。第1スリットS1および第2スリットS2は、巻芯540の巻回軸周りに180°離れた位置に配置されている。巻回電極体20の作製では、巻芯540の第1スリットS1と第2スリットS2のうちの一方に第1セパレータ71の先端を挟み、他方に第2セパレータ72の先端を挟み込む。そして、巻芯540を少し巻き、巻芯540に巻かれた第2セパレータ72と、巻芯540に巻き込まれる第1セパレータ71との間に正極シート22の先端を差し込む。さらに、巻芯540に巻かれた第1セパレータ71と巻芯540に巻き込まれる第2セパレータ72との間に負極シート24の先端を差し込む。その後、さらに巻芯540を回転させることにより、第1セパレータ71、正極シート22、第2セパレータ72、および負極シート24を巻き取ることができる。そして、巻芯540に巻き取られた円筒形状の巻回体を巻芯から抜き取り、扁平にプレスすることにより、巻回電極体20を作製することができる。
【0095】
以上のとおり、ここに開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:帯状の第1セパレータ、帯状の正極シート、帯状の第2セパレータ、および、帯状の負極が、巻回された巻回電極体を備え、上記正極シートと上記第1セパレータとが第1接着層により接着され、上記正極シートと上記第2セパレータとが第2接着層により接着された電池の製造方法であって、上記正極シートおよび上記第1セパレータの少なくとも一方の表面に上記第1接着層を形成し、上記正極シートおよび上記第2セパレータの少なくとも一方の表面に上記第2接着層を形成する接着層形成工程と、上記帯状の第1セパレータ、上記帯状の正極シート、上記帯状の第2セパレータ、および、上記帯状の負極を巻回することにより巻回電極体を作製する巻回電極体作製工程と、を含む、電池の製造方法。
項2:上記第1セパレータは、第1面と、第2面と、を有し、上記第2セパレータは、第3面と、第4面と、を有しており、上記第1セパレータの上記第1面に上記第1接着層が形成され、上記第2セパレータの上記第3面に上記第2接着層が形成されており、上記巻回電極体作製工程は、上記第1セパレータの上記第2面と巻芯とが当接し、上記第1セパレータの上記第1面と上記第2セパレータの上記第3面とが当接するようにして、上記第1セパレータと上記第2セパレータとを上記巻芯に巻き付ける、項1に記載の製造方法。
項3:上記第1セパレータの上記第1面と、上記第2セパレータの上記第3面とが、上記第1接着層および上記第2接着層の少なくとも一方によって接着されている、項2に記載の製造方法。
項4:上記第1セパレータと上記第2セパレータとが上記正極シートを介さずに対向する領域において、上記第1接着層および上記第2接着層のいずれか一方のみにより上記第1セパレータの上記第1面と上記第2セパレータの上記第3面とが接着されている、項2に記載の製造方法。
項5:上記巻回電極体作製工程では、上記第1セパレータの上記第2面を上記巻芯に吸引することで固定する、項2~4のいずれか一つに記載の製造方法。
項6:上記巻回電極体作製工程は、上記第1セパレータおよび上記第2セパレータが重ねられた状態で上記巻芯の外周面上に配置し、切断治具を上記第1セパレータおよび上記第2セパレータに対して押し付けることにより、上記第1セパレータおよび上記第2セパレータを切断する切断処理を含む、項2~5のいずれか一つに記載の製造方法。
項7:上記第1セパレータにおいて上記切断処理で切断される領域の上記第1接着層の目付量が、上記第1セパレータにおいて上記正極シートと対向する領域に形成される上記第1接着層の目付量よりも小さい、項6に記載の製造方法。
項8:上記第1セパレータにおいて上記切断処理で切断される領域に上記第1接着層が形成されていない、項6または7に記載の製造方法。
項9:上記接着層形成工程では、上記第1セパレータが搬送される搬送経路において、鉛直方向に対して±30°の領域を通過する際に上記第1セパレータに上記第1接着層を形成し、上記第2セパレータが搬送される搬送経路において、鉛直方向に対して±30°の領域を通過する際に上記第2セパレータに上記第2接着層を形成する、項1~8のいずれか一つに記載の製造方法。
項10:上記接着層形成工程では、上記第1セパレータにおいて搬送装置と当接しない面に上記第1接着層を付与し、上記正極シートにおいて搬送装置と当接しない面に第2接着層を付与する、項1~9のいずれか一つに記載の製造方法。
【符号の説明】
【0096】
10 電池ケース
12 外装体
14 封口板
20 巻回電極体
20a 巻回体
22 正極シート
24 負極シート
30 正極端子
40 負極端子
50 正極集電部
60 負極集電部
71 第1セパレータ
71a 第1面
71b 第2面
72 第2セパレータ
72a 第3面
72b 第4面
81 第1接着層
82 第2接着層
100 電池
150 塗布装置
200 巻回機
220 ターレット
240 巻芯
240a 吸引孔
240b 吸引経路
240c 溝
251 カッター
252 押え治具
270 巻止装置
280 インデックスユニット
300 制御装置
400 電池
420 巻回電極体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14