(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038933
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】発泡樹脂形成用組成物及び発泡体
(51)【国際特許分類】
C08G 18/32 20060101AFI20240313BHJP
C08G 18/09 20060101ALI20240313BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20240313BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
C08G18/32 037
C08G18/09 020
C08G18/38 076
C08G18/38 019
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143310
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉隆
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034AA04
4J034AA06
4J034BA06
4J034CA02
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4J034RA15
(57)【要約】
【課題】 例えば、低温条件下であっても発泡性に優れる新規な発泡樹脂形成用組成物を提供可能な技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、芳香族ポリアミン(A)と、下記式[B]で示される活性水素含有化合物(B)と、を含有する。
【化1】
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリアミン(A)と、
下記式[B]で示される活性水素含有化合物(B)と、
を含有する、発泡樹脂形成用組成物。
【化1】
(式[B]中、R
B2は、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基であり、R
B1は、-NR
B1aH、-SHのいずれかで示される基であり、R
B3は、-NR
B3aH、-SH、-OHのいずれかで示される基であり、R
B1a、R
B3aは、各々独立して、水素又は炭素数が8以下の炭化水素基である。)
【請求項2】
三量化触媒を含む、請求項1に記載の発泡樹脂形成用組成物。
【請求項3】
第1液として、請求項1又は2に記載された発泡樹脂形成用組成物と、
第2液として、ポリイソシアネートを含有する組成物と
を含む2液型の発泡樹脂形成用組成物。
【請求項4】
芳香族ポリアミン(A)と、
下記式[B]で示される活性水素含有化合物(B)と、
ポリイソシアネートと、
を含有する発泡樹脂形成用組成物を発泡させて得られる発泡体。
【化2】
(式[B]中、R
B2は、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基であり、R
B1は、-NR
B1aH、-SHのいずれかで示される基であり、R
B3は、-NR
B3aH、-SH、-OHのいずれかで示される基であり、R
B1a、R
B3aは、各々独立して、水素又は炭素数が8以下の炭化水素基である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂形成用組成物(例えば、ポリウレア発泡体製造用組成物)、及び発泡体(例えば、ポリウレア発泡体)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発泡体として、原料にポリアミン化合物を用いた発泡体(例えば、ポリウレア発泡体)が提案されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6876185号公報
【特許文献2】特許第6925554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、低温条件下であっても発泡性に優れる新規な発泡樹脂形成用組成物を提供可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、
芳香族ポリアミン(A)と、
下記式[B]で示される活性水素含有化合物(B)と、
を含有する、発泡樹脂形成用組成物である。
【0006】
【化1】
(式[B]中、R
B2は、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基であり、R
B1は、-NR
B1aH、-SHのいずれかで示される基であり、R
B3は、-NR
B3aH、-SH、-OHのいずれかで示される基であり、R
B1a、R
B3aは、各々独立して、水素又は炭素数が8以下の炭化水素基である。)
【0007】
発泡樹脂形成用組成物は、三量化触媒を含んでいてもよい。
【0008】
本発明の第2の態様は、
第1液として、第1の態様の発泡樹脂形成用組成物と、
第2液として、ポリイソシアネートを含有する組成物と
を含む2液型の発泡樹脂形成用組成物である。
【0009】
本発明の第3の態様は、
芳香族ポリアミン(A)と、
下記式[B]で示される活性水素含有化合物(B)と、
ポリイソシアネートと、
を含有する発泡樹脂形成用組成物を発泡させて得られる発泡体である。
【0010】
【化2】
(式[B]中、R
B2は、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基であり、R
B1は、-NR
B1aH、-SHのいずれかで示される基であり、R
B3は、-NR
B3aH、-SH、-OHのいずれかで示される基であり、R
B1a、R
B3aは、各々独立して、水素又は炭素数が8以下の炭化水素基である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば、低温条件下であっても反応性或いは発泡性に優れる新規な発泡樹脂形成用組成物を提供可能な技術が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る発泡樹脂形成用組成物及び発泡体について詳述するが、本発明はこれには限定されない。
【0013】
以下において、ある化合物が記載されている場合、その異性体も同時に記載されているものとする。
【0014】
以下において、上限値と下限値とが別々に記載されている場合、任意の上限値と任意の下限値とを組み合わせた数値範囲が実質的に開示されているものとする。
【0015】
また、発泡樹脂形成用組成物における各成分(固形分)の含有量/含有割合の説明は、特に矛盾がない範囲で、発泡体における各成分の含有量/含有割合の説明として読み替えることができる。
【0016】
ここで、発泡樹脂形成用組成物は、活性水素化合物(後述する芳香族ポリアミン(A)や後述する活性水素含有化合物(B))(第1反応成分)を含み、後述するポリイソシアネート化合物(第2反応成分)を含まない第1液と、活性水素化合物(第1反応成分)を含まずポリイソシアネート化合物(第2反応成分)を含む第2液と、を含む、2液型のシステム液とすることができる。その他の添加剤は、各成分の反応性を考慮して、第1液又は第2液に振り分ければよい。
【0017】
このように、発泡樹脂形成用組成物中の各成分を複数の組成物に分割し、使用時に混合するシステム液とすることで、保存安定性を高めることができる。発泡樹脂形成用組成物を2液型のシステム液とした場合、建築現場等で第1液と第2液とを混合し、発泡/硬化させると同時に吹付を行う、吹付工法に使用することができる。吹付工法に2液型のシステム液である発泡体形成用組成物を用いることで、容易に断熱施工を行うことが可能である。
【0018】
また、本開示に係る第1液(後述する芳香族ポリアミン(A)や後述する活性水素含有化合物(B)を含む組成物)は、任意のポリイソシアネートと組み合わせて使用されることで、低温での反応性或いは発泡性の向上等の効果が期待される。
【0019】
以下においては、第1液、第2液、システム液(第1液と第2液とが分離して管理された2液型の組成物)、及び、第1液と第2液を混合して得られた組成物、を特に区別せずに説明する。
【0020】
<<<<発泡樹脂形成用組成物の組成>>>>
本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、芳香族ポリアミン(A)と、活性水素含有化合物(B)と、を含むことが好ましい。
また、別の観点では、本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、第1液として、芳香族ポリアミン(A)と、活性水素含有化合物(B)と、を含有する、発泡樹脂形成用組成物を含み、且つ、第2液として、ポリイソシアネートを含有する組成物を含む、2液型の発泡樹脂形成用組成物であることが好ましい。
発泡樹脂形成用組成物は、三量化触媒、及び/又は、樹脂化触媒を含むことが好ましい。
発泡樹脂形成用組成物は、その他の添加剤を含んでいてもよい。
以下、それぞれの成分について説明する。
【0021】
<<<芳香族ポリアミン(A)>>>
芳香族ポリアミン(A)は、構造中に芳香環を1つ以上有するポリアミンである限り特に限定されない。芳香族ポリアミン(A)としては、より具体的には、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選択されるアミノ基(以下、活性アミノ基とする場合がある。)を2つ以上有するものが挙げられる。
【0022】
芳香族ポリアミン(A)の1分子に含まれる活性アミノ基の数は、2以上であれば特に限定されず、5以下、3以下、又は、2等とすることが好ましい。芳香族ポリアミン(A)の活性アミノ基の数がこのような範囲であると、低温での反応性或いは発泡性等を向上させることができる。
【0023】
芳香族ポリアミン(A)の1分子に含まれる芳香環の数は、1以上であれば特に限定されず、5以下、3以下、2以下、又は、2等とすることが好ましい。芳香族ポリアミン(A)の芳香環の数がこのような範囲であると、低温での反応性或いは発泡性等を向上させることができる。
【0024】
芳香族ポリアミン(A)の分子量は、1500以下、1000以下、750以下、又は、500以下であることが好ましく、また、108以上、150以上、200以上、又は、250以上であることが好ましい。芳香族ポリアミン(A)の分子量がこのような範囲であると、低温での反応性或いは発泡性等を向上させることができる。
【0025】
芳香族ポリアミン(A)のアミン価は、特に限定されず、50mgKOH/g以上、200mgKOH/g以上、300mgKOH/g以上、450mgKOH/g以上、又は、500mgKOH/g以上であることが好ましく、また、1000mgKOH/g以下、900mgKOH/g以下、800mgKOH/g以下、又は、650mgKOH/g以下であることが好ましい。芳香族ポリアミン(A)のアミン価がこのような範囲であると、優れた接着性を有する発泡体の製造が容易となる。
【0026】
芳香族ポリアミン(A)のアミン価は、JIS K1557-7:2011「プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第7部:塩基性度の求め方(窒素含有量及び全アミン価表示)」に記載の全アミン価の測定方法によって測定することができる。
【0027】
前述したように、芳香族ポリアミン(A)は、少なくとも2つの活性アミノ基を有する。芳香族ポリアミン(A)は、第1の活性アミノ基と第2の活性アミノ基との間の主骨格中に芳香環を有するものであることが好ましい。
このような好ましい芳香族ポリアミン(A)としては、例えば、下記式[A]で示される化合物が挙げられる。
【0028】
【化3】
(式[A]中、R
A1、R
A3は、各々独立して、水素又は炭素数が8以下の炭化水素基であり、R
A2は、芳香環を含む2価の基である。)
【0029】
芳香族ポリアミン(A)の好ましい具体例としては、メタフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、N-(3-アミノメチルベンジル)-2-フェニルエタン-1-アミン等が挙げられる。
【0030】
芳香族ポリアミン(A)は、一種でも複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
<<<活性水素含有化合物(B)>>>
活性水素含有化合物(B)は、下記式[B]で示される化合物である。
【0032】
【0033】
式[B]中、RB2は、ヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を有していてもよい2価の炭化水素基であり、RB1は、-NRB1aH、-SHのいずれかで示される基であり、RB3は、-NRB3aH、-SH、-OHのいずれかで示される基であり、RB1a、RB3aは、各々独立して、水素又は炭素数が8以下の炭化水素基である。
【0034】
式[B]中、RB2は、炭素数が8以下、2~7、2~6、又は、2~4であることが好ましい。
【0035】
式[B]中、ヘテロ原子を有するRB2としては、エステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、アミド結合、アミノ基等を有する場合が例示される。ヘテロ原子を有するRB2としては、エーテル結合を有するものが好ましい。
【0036】
式[B]中、RB2は、ヘテロ原子として酸素原子を有する(例えば、RB2がエーテル結合を有する)か、又は、ヘテロ原子を有しないことが好ましく、RB2はヘテロ原子を有しないことがより好ましい。
【0037】
式[B]中、RB2は、直鎖状又は分岐鎖状の構造を有する或いは芳香環を含まないことが好ましい。
【0038】
式[B]中、RB2は、活性水素含有基(第1級アミノ基、第2級アミノ基、水酸基、メルカプト基等)を含まないことが好ましい。
【0039】
式[B]中、(RB1a、RB3a)の組み合わせとしては、(-NRB1aH、-NRB3aH)、(-NRB1aH、-SH)、(-NRB1aH、-OH)、(-SH、-SH)、(-SH、-OH)が存在する。活性水素含有化合物(B)は、これらのうち、どの構造を有していてもよい。なお、本形態においては、(-NRB1aH、-SH)の組み合わせと(-SH、-NRB3aH)の組み合わせとは等しいと見なせる。
【0040】
式[B]中、(RB1a、RB3a)の組み合わせとしては、(-NRB1aH、-NRB3aH)、(-NRB1aH、-SH)、(-NRB1aH、-OH)、又は、(-SH、-OH)であることが好ましい。
【0041】
式[B]中、(RB1a、RB3a)の組み合わせが(-NRB1aH、-NRB3aH)である場合、RB1a、RB3aは、各々独立して、水素又は炭素数4以下の炭化水素基であることが好ましく、水素又は炭素数2以下の炭化水素基であることがより好ましく、水素又は炭素数1の炭化水素基であることが更に好ましく、水素又は炭素数1の炭化水素基であり、RB1a、RB3aの少なくとも一方が水素であることが特に好ましい。
【0042】
式[B]中、(RB1a、RB3a)の組み合わせが(-NRB1aH、-SH)である場合、RB1aは、水素又は炭素数4以下の炭化水素基であることが好ましく、水素又は炭素数2以下の炭化水素基であることがより好ましく、水素又は炭素数1の炭化水素基であることが更に好ましく、水素であることが特に好ましい。
【0043】
式[B]中、(RB1a、RB3a)の組み合わせが(-NRB1aH、-OH)である場合、RB1aは、炭素数が8以下の炭化水素基であることが好ましく、炭素数が7以下の炭化水素基であることがより好ましい。
【0044】
活性水素含有化合物(B)の分子量は、60~1500、60~1000、60~750又は、60~500であることが好ましい。
【0045】
活性水素含有化合物(B)の活性水素価は、100~3000(mgKOH/g)、150~2500(mgKOH/g)、200~2000(mgKOH/g)、又は、250~1500(mgKOH/g)であることが好ましい。活性水素価は、[(56100×官能基数)/分子量]として求められる。
【0046】
このような活性水素含有化合物(B)を用いることで、低温での反応性或いは発泡性等を向上させることができる。具体的には、活性水素含有化合物(B)を用いることで、低温下でありながらも、アミン化合物の反応性を低下させず、反応全体を活性化できる。そのため、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体が提供可能である。
【0047】
発泡樹脂形成用組成物中、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、活性水素含有化合物(B)の含有量は、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、又は、5質量部以上であることが好ましく、また、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、25質量部以下、又は、20質量部以下であることが好ましい。活性水素含有化合物(B)の含有量をこのような範囲とすることで、低温での反応性或いは発泡性等を向上させることができる。また、難燃性等に優れた発泡体を製造し易い。
【0048】
ここで、芳香族ポリアミン(A)と活性水素含有化合物(B)とは異なる構造を有する化合物である。活性水素含有化合物(B)が、式[B]における(RB1a、RB3a)の組み合わせとして、(-NRB1aH、-SH)、(-NRB1aH、-OH)、(-SH、-NRB3aH)、(-SH、-SH)又は(-SH、-OH)で示される基を有する場合、芳香族ポリアミン(A)は、これら以外の構造を有する化合物である。活性水素含有化合物(B)が、式[B]における(RB1a、RB3a)の組み合わせとして、(-NRB1aH、-NRB3aH)で示される基を有する場合についても、活性水素含有化合物(B)は、芳香族ポリアミン(A)とは異なる構造を有する。具体例として、芳香族ポリアミン(A)が、ある活性アミノ基と別の活性アミノ基との間の主骨格中に芳香環を有する化合物(例えば、前述した式[A]で示された化合物)である場合、活性水素含有化合物(B)は、ある活性アミノ基と別の活性アミノ基との間の主骨格中に芳香環を有しない化合物(例えば、前述した式[B]において、RB2が芳香環を有しない化合物)であることが好ましい。
【0049】
本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、芳香族ポリアミン(A)以外のポリアミンやポリオールを含有していてもよい。発泡樹脂形成用組成物中の芳香族ポリアミン(A)以外のポリアミン及びポリオールの合計の含有量は、発泡樹脂形成用組成物中の活性水素含有化合物(B)の含有量に対し、質量比で、1/2以下、1/5以下、1/10以下、1/20以下、又は、1/50以下であることが好ましく、発泡樹脂形成用組成物が芳香族ポリアミン以外のポリアミン及びポリオールを含有しないことがより好ましい。なお、組成物がある成分を「含有しない」とした場合、組成物がある成分を不可避的成分として含有することは許容される。
【0050】
<<<ポリイソシアネート>>>
本開示に係るポリイソシアネートは、イソシアネート基を複数有する限り、特に限定されない。
ポリイソシアネートとしては、モノマー型ポリイソシアネートとポリマー型ポリイソシアネートとを挙げることができる。モノマー型ポリイソシアネートとは、モノマー構造の末端に複数のイソシアネート基が存在する化合物である。ポリマー型ポリイソシアネートとは、ポリマー構造の末端に複数のイソシアネート基が存在する化合物である。
【0051】
モノマー型ポリイソシアネートは、例えば、2官能のポリイソシアネートとして、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族系のもの;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式のもの;ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等のアルキレン系のものを挙げることができる。
【0052】
3官能以上のポリイソシアネートとして、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を挙げることができる。
また、ポリイソシアネートは、これらの変性体や誘導体であってもよい。これらの変性体や誘導体としては、例えば、ジイソシアネートのイソシアヌレート化合物、ジイソシアネートのアダクト化合物、ジイソシアネートのビュレット化合物、ジイソシアネートのアロファネート化合物、ジイソシアネートのカルボジイミド変性化合物を挙げることができる。
【0053】
モノマー型ポリイソシアネートは、芳香族イソシアネートであることが好ましく、MDI又はMDIの変性体或いは誘導体であることがより好ましく、モノメリックMDI及び/又はクルードMDIであることが更に好ましい。例えば吹付工法で発泡樹脂形成用組成物を用いる場合、芳香族イソシアネートは反応性に優れるため、作業環境の安全性を担保し易い。更に、ポリイソシアネートがモノメリックMDI及び/又はクルードMDIを含むことで、得られる発泡体の難燃性をより向上させることができる。
【0054】
ポリマー型ポリイソシアネートとしては、活性水素含有基を2以上有する化合物と過剰量のポリイソシアネートとを反応させることにより、プレポリマー化したものが挙げられる。
【0055】
ポリマー型ポリイソシアネートを構成するポリイソシアネートとしては、例えば、モノマー型ポリイソシアネートの前述例を挙げることができる。
【0056】
ポリマー型ポリイソシアネートを構成する活性水素含有基を2以上有する化合物としては、例えば、ポリオール及び/又はポリアミンが挙げられる。
【0057】
ポリアミンとしては、例えば、芳香族ポリアミン(A)や芳香族ポリアミン(A)以外のポリアミン(脂肪族ポリアミンや脂環式ポリアミン等)を挙げることができる。
【0058】
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールを挙げることができる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものを挙げることができる。ここで、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等を挙げることができる。また、多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等を挙げることができる。これらの多価アルコール及び/又は多価カルボン酸としては、それぞれ一種を用いても複数種を用いてもよい。更に、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールであってもよい。他方、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものを挙げることができる。これらの多価アルコール及び/又はオキサイドとしては、それぞれ一種を用いても複数種を用いてもよい。
【0059】
ポリイソシアネートは、一種又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
ポリイソシアネートのNCO%は、特に限定されず、例えば、5~40%であり、好ましくは10~35%であり、より好ましくは15~35%である。該範囲内であると、より高い初期接着強度を有する発泡体を提供可能である。ポリイソシアネートのNCO%(イソシアネート含有量)は、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定する。
【0061】
発泡樹脂形成用組成物中のポリイソシアネートの含有量は、発泡樹脂形成用組成物におけるイソシアネートインデックスが、150~800、200~600、又は、200~500となる量であることが好ましい。イソシアネートインデックスとは、発泡樹脂形成用組成物中のすべての活性水素のモル数と、ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数の比に100を乗じた値(NCOのモル数/活性水素のモル数×100)を示す。
【0062】
別の観点では、発泡樹脂形成用組成物中、ポリイソシアネートの含有量は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、100~1000質量部、又は、100~500質量部である。
【0063】
<<<三量化触媒>>>
本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、三量化触媒を含むことが好ましい。本開示に係る発泡樹脂形成用組成物が三量化触媒を含むことで、発泡体の難燃性等を向上させることができる。
【0064】
三量化触媒としては、特に限定されず、カルボン酸金属塩;酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン等の3級アミン類;エチレンイミンの誘導体;アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類;4級アンモニウム塩;ジアザビシクロウンデセン(DBU)等;が挙げられる。
【0065】
三量化触媒は、カルボン酸金属塩であることが好ましい。カルボン酸金属塩としては、アニオン成分及びカチオン成分としてそれぞれカルボン酸イオン及び金属イオンを含む塩である限り、特に限定されない。
【0066】
カルボン酸金属塩を構成するカルボン酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、オクチル酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、クロロ酢酸、グリコール酸、乳酸等の炭素数1~18の脂肪族モノカルボン酸;シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、イソプロピル安息香酸、ブチル安息香酸、イソブチル安息香酸、tert-ブチル安息香酸、サリチル酸、アニス酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、イソプロポキシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、ニトロ安息香酸、フルオロ安息香酸、レゾルシン酸、ナフタレンカルボン酸、ビフェニルカルボン酸等の炭素数7~14の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の炭素数7~14の芳香族多価カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、メチルマロン酸、エチルチリマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、メチルエチルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、メチルエチルコハク酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の炭素数1~18の脂肪族多価カルボン酸;シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の炭素数6~18の脂環式多価カルボン酸、が挙げられる。中でも、より高い初期接着強度を実現できる等の理由から、炭素数6~16のカルボン酸が好ましく、炭素数6~16の脂肪族モノカルボン酸がより好適である。
【0067】
また、カルボン酸金属塩を構成する金属としては、特に限定されず、好適には、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム;アルカリ土類金属、例えば、マグネシウム、カルシウム、を挙げることができる。これらの内、カリウムが最も好適である。好適金属を採用した場合、より高い接着強度を有するポリウレア発泡体を提供可能である。
【0068】
発泡樹脂形成用組成物中、三量化触媒(例えば、カルボン酸金属塩)の含有量は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、0.1~30質量部であり、好ましくは1~20質量部であり、より好ましくは5~20質量部であり、更に好ましくは10~20質量部である。該範囲内の場合、初期接着強度に特に優れた発泡体が提供される。加えて、低温下であっても、イソシアヌレート構造の形成において高い反応性を有する。
【0069】
<<<樹脂化触媒>>>
本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、樹脂化触媒を含むことが好ましい。
【0070】
樹脂化触媒としては、ルイス塩基化合物、又は、有機金属化合物(例えば、有機スズ化合物、有機鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機亜鉛化合物)であることが好ましい。
【0071】
<<ルイス塩基化合物>>
本開示に係るルイス塩基化合物は、共有結合に使われず且つ供与できる電子対を、少なくとも一つ有する化合物であれば特に限定されない。
【0072】
好適なルイス塩基化合物は、活性アミノ基を1つ有する又は活性アミノ基を有しないアミン化合物、例えば、環状アミン化合物、含芳香族又は脂環式アミンである(例えば、イミダゾール類や第3級アミン)。
【0073】
好適なルイス塩基化合物の具体例としては、イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチル-4-イソプロピルイミダゾール、TEDA等の環状アミン化合物;トリエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン等の含芳香族、脂環式アミンを挙げることができる。
【0074】
このルイス酸塩基化合物は、ポリウレア発泡体における樹脂化触媒(ウレア化触媒)として機能し得る。尚、樹脂化触媒及び泡化触媒の両方の作用を有する化合物は、樹脂化触媒とする。
【0075】
ここで、前述のカルボン酸金属塩とルイス塩基化合物とを組み合わせることで、低温での反応性或いは発泡性等を向上させることができる。具体的には、低温下でありながらも、アミン化合物の反応性を低下させず、反応全体を活性化できる。加えて、前述のカルボン酸金属塩とルイス塩基化合物とを組み合わせることで、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体が提供可能である。
【0076】
<構造例>
表1は、好適なアミン化合物の構造例を示したものである。尚、下記表中、R11、R12は、各々独立して、水素、又は、炭素数1~18(好ましくは炭素数1~4)の炭化水素基(例えば、メチル基やイソプロピル基)である。
【0077】
【0078】
<<有機金属化合物>>
本開示に係る有機金属化合物は、例えば、有機スズ化合物、有機鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機亜鉛化合物等(例えば、非イオン性の化合物)である。
【0079】
ここで、前述のカルボン酸金属塩と有機金属化合物とを組み合わせることで、低温での樹脂化反応の活性を向上できる。具体的には、低温下でもアミン化合物の反応性を低下させ難く、反応全体を活性化できる。加えて、前述のカルボン酸金属塩と有機金属化合物とを組み合わせることで、より高い初期接着強度を有するポリウレア発泡体が提供可能である。
【0080】
<構造例>
表2は、好適な有機金属化合物の構造例を示したものである。
例えば、好適な有機スズ化合物は、下記式において、(1)R1~R4のうち、1つが水素であり、残り3つは相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基やブチル基)又は含硫黄炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基で置換されたメルカプト基、例えば、-S-C8H17、-S-C12H25)である化合物、(2)R1~R4の4つが相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基やブチル基)又は含硫黄炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基で置換されたメルカプト基、例えば、-S-C8H17、-S-C12H25)である化合物、が挙げられる。
また、好適な有機鉛化合物は、下記式において、R1~R4が、相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)である化合物である。
また、好適な有機ビスマス化合物は、下記式において、R1~R3は、相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)である化合物である。
また、好適な有機亜鉛化合物は、下記式において、R1~R2は、相互に独立して炭化水素基(例えば、炭素数1~18の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)である化合物である。
【0081】
【0082】
発泡樹脂形成用組成物中、樹脂化触媒の含有量(例えば、ルイス塩基化合物及び有機金属化合物(例えば、有機スズ化合物、有機鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機亜鉛化合物)の合計の含有量)は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、1~50質量部であり、好ましくは5~40質量部であり、より好ましくは10~40質量部である。該範囲内の場合、初期接着強度に特に優れた発泡体を提供できる。加えて、低温下であっても、ポリウレアの樹脂化において、特に高い反応性を有する。
【0083】
<<<その他の添加成分>>>
本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、その他の添加成分を含有してもよい。その他の添加成分としては、例えば、発泡剤、整泡剤、難燃剤、泡化触媒、バランス触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、分散剤等、添加剤として公知のものを挙げることができる。難燃性の発泡体(例えば、ポリウレア発泡体)を製造する際には、難燃剤を用いることが好ましい。
【0084】
<<発泡剤>>
本開示に係る発泡剤は、特に限定されない。発泡剤としては、例えば、水、炭化水素(好適には炭素数4~6)、ハイドロフルオロオレフィン、炭酸ガスを挙げることができる。具体的には、シクロペンタン、HFO(1336mzz)、HFO(1233zd)を挙げることができる。これらは、単独で又は複数を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
発泡樹脂形成用組成物中、発泡剤の含有量は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、1~80質量部であり、好適には50~80質量部である。
【0086】
<<整泡剤>>
本開示に係る整泡剤は、特に限定されない。整泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、非イオン系界面活性剤等を挙げることができる。これらは、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
【0087】
発泡樹脂形成用組成物中、整泡剤の含有量は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、0.1~20質量部である。
【0088】
<<難燃剤>>
本開示に係る難燃剤は、特に限定されない。難燃剤としては、例えば、赤燐;リン酸エステル;リン酸塩含有難燃剤;臭素含有難燃剤;ホウ素含有難燃剤;アンチモン含有難燃剤;金属水酸化物;及び、複素環又は芳香環を含む環式構造とエチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基とを有する化合物;等を挙げることができる。別の表現によれば、難燃剤は、赤燐、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、複素環又は芳香環を含む環式構造とエチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基とを有する化合物からなる群より選択される1つ以上の成分を含むことが好ましい(2つ以上の成分を含むことがより好ましい)。また、難燃剤は、これらの難燃剤以外のその他の難燃剤を含んでいてもよい。これらは単独で又は複数を組み合わせて用いてもよい。
【0089】
また、難燃剤は、赤燐を含むことが好ましく、赤燐と赤燐以外の難燃剤とを含むことがより好ましい。
【0090】
リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(t-ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(i-プロピル化フェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル;1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合リン酸エステル;トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類;2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2-クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート等の含ハロゲン縮合リン酸エステル類;等が挙げられる。
【0091】
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、モノリン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩;第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩;等を挙げることができる。ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0092】
臭素含有難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル;オクタブロモジフェニルエーテル;デカブロモジフェニルエーテル;テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA-エポキシオリゴマー、TBBA-ポリカーボネートオリゴマー、TBBA-ビス(ジブロモプロピルエーテル)、TBBA-ビス(アリールエーテル)等のTBBA化合物;ビスフェニルペンタメタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジブロモフェノール、2,4-ジブロモフェノール等の多ベンゼン環化合物;臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン等の臭素化スチレン化合物;エチレンビステトラブロモフタルイミド等のフタル酸化合物;ヘキサブロモシクロドデカン等の環状脂肪族化合物;ポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート)等のポリアクリル酸臭素化芳香族エステル化合物;等が挙げられる。
【0093】
ホウ素含有難燃剤としては、例えば、ホウ砂;三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素;ホウ酸、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸化合物;等が挙げられる。
【0094】
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン;アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等のアンチモン酸塩;ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等のピロアンチモン酸塩;等が挙げられる。
【0095】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0096】
複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物としては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタイルイソシアヌレート(TMAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(TEAIC)、テトラアリルグリコルウリレート(TA-G)、アルキルジアリルイソシアヌレート(LCAIC)、フェニレンビスマレイミド(PBMI)、ビスアリルナジイミド(BANI)、ジアリルフタレート(DAP)、ジアリフイソフタレート(iso-DAP)、メタクリロイル基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマー(DA-PPE)等が挙げられる。
【0097】
その他の難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン等の塩素化合物;ヒンダードアミン、メラミンシアヌレート等の窒素化合物;セルロース;等が挙げられる。
【0098】
発泡樹脂形成用組成物中、難燃剤の含有量は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、5~200質量部が好ましく、25~150質量部がより好ましい。
【0099】
発泡樹脂形成用組成物が難燃剤として赤燐を含む場合、発泡樹脂形成用組成物中、赤燐の含有量は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、50質量部以下が好ましく、1~50質量部がより好ましく、5~40質量部が更に好ましい。
【0100】
発泡樹脂形成用組成物が難燃剤として赤燐以外の難燃剤を含む場合、発泡樹脂形成用組成物中、赤燐以外の難燃剤の含有量は、芳香族ポリアミン(A)の含有量と活性水素含有化合物(B)の含有量との合計量を100質量部とした場合、例えば、5~150質量部が好ましく、20~100質量部がより好ましい。
【0101】
発泡樹脂形成用組成物中の難燃剤の含有量がこのような範囲であると、製造される発泡体の難燃性と低温での反応性或いは発泡性等とがバランスよく高められた発泡樹脂形成用組成物を得やすい。
【0102】
<<<<発泡樹脂形成用組成物の物性/性質>>>>
<<<クリームタイム>>>
本開示に係る発泡樹脂形成用組成物の5℃におけるクリームタイムは、例えば、1~120秒であり、好ましくは2~70秒である。発泡樹脂形成用組成物の5℃におけるクリームタイムが該範囲にある場合には、液の流れ性や躯体への濡れ性・接着性を十分に得る点でより優れた効果を奏する。ここで、クリームタイムとは、芳香族ポリアミン(A)及び活性水素含有化合物(B)(第1反応成分)を含みポリイソシアネート化合物(第2反応成分)を含まない第1液と、芳香族ポリアミン(A)及び活性水素含有化合物(B)(第1反応成分)を含まずポリイソシアネート化合物(第2反応成分)を含む第2液とを混合した時点から、これらの混合物が発泡を開始しクリーム状の液体となり膨張を開始する直前までの時間を指す。肉眼で、混合物の溶液の色が変色を始めた時間として測定する。なお、5℃とは、第1液と第2液とを、それぞれ5℃に保ち混合したことを示す。
なお、発泡樹脂形成用組成物がその他の成分を含む場合、予め第1液に混合するものとする。
【0103】
<<<ライズタイム>>>
本形態に係る発泡樹脂形成用組成物の5℃におけるライズタイムは、例えば、1~100秒であり、好ましくは1~50秒である。ここで、5℃におけるライズタイムとは、第1液と第2液とを5℃で混合攪拌し、発泡を開始させてから、発泡体の発泡高さの変化が完全に停止するまでの時間を表す。
なお、発泡樹脂形成用組成物がその他の成分を含む場合、予め第1液に混合するものとする。
【0104】
<<<<発泡体の製造方法>>>>
本開示に係る発泡樹脂形成用組成物は、公知の方法により製造することができる。
例えば、先ず、二剤型(2液型)の場合、芳香族ポリアミン(A)と、活性水素含有化合物(B)と、触媒と、発泡剤と、整泡剤と、難燃剤と、必要に応じその他添加成分とを含有する第1液と、ポリイソシアネートである第2液と、を調製する。
第1液は、例えば、容器内で、ポリイソシアネート以外の原料を混合機で混合して調製する。攪拌条件は、例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機を用いた、2000rpmで5分間の攪拌である。
続いて、第1液と第2液とを、それぞれ所定の温度(例えば、10±1℃)に冷却する。その後、第1液と第2液とを混合し、発泡及び硬化させることで、ポリウレア発泡体を得ることができる。撹拌条件は、例えば、前記攪拌機を用いた、2000rpmで5秒間の攪拌である。
【0105】
尚、本開示に係る発泡樹脂形成用組成物を吹付工法に用いる場合には、予めポリイソシアネート以外の原料を混合した第1液と、ポリイソシアネートを含有する第2液とを、スプレーガンにポンプ等を用いてそれぞれ供給する。この際スプレーガンのノズルを開放する。そして、スプレーガン内のチャンバーにおいて第1液とポリイソシアネートとを混合し、躯体へ吹付を行うことで、発泡体(例えば、ポリウレア発泡体)、を得ることができる。
【0106】
<<<<発泡体>>>>
本開示に係る発泡体が含有する成分等は、前述のとおりである。
【0107】
<<<発泡体の物性/性質>>>
<<密度>>
発泡体の密度は、特に限定されず、例えば、10~200kg/m3であり、好ましくは10~100kg/m3であり、より好ましくは25~75kg/m3である。発泡体の密度がかかる範囲にある場合には、熱伝導率に優れ、難燃性に優れた発泡体となり易い。発泡体の密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に従って測定される。
【0108】
<<<用途>>>
本開示に係る発泡体の用途は、例えば、建築用途{壁、天井、屋根、床、パイプカバー(住宅配管用発泡断熱材)等};建具(窓、障子、扉戸、ふすま、欄間等);石油及びガス運搬用船舶・貯蔵用タンク;車輛(エンジン、バッテリー、天井、フロア、ドアパネル等);航空機;輸送機;薬剤運搬用保冷バッグ;冷凍・冷蔵室;プラント施設;冷蔵庫等の電化製品;土留壁の、保温材、断熱材、冷熱抵抗緩和材;地盤沈下防止工事や道路建設時の地下充填補強材;トンネルや橋梁、浮桟橋等土木用途注入補修材;不要地下室等の構造部充填材;エネルギー吸収材;防水材;止水材;浮力材;等である。また、木造や鉄筋コンクリート造の建築等では、断熱施工が容易であるため、吹付工法用の発泡体として用いることができる。
【実施例0109】
以下、実施例及び参考例により、ウレタンフォームを具体的に説明するが、本発明は以下には限定されない。
【0110】
<<芳香族ポリアミン>>
(A-1)
エタキュア420(アルベマール社製)
4,4’-メチレンビス[N-(1-メチルプロピル)アニリン]
アミン価:529mgKOH/g
【0111】
<<芳香族ポリオール(芳香族ポリアミンの代替成分)>>
(A-2)
ファントールSV-208(日立化成社製)
芳香族系ポリエステルポリオール
【0112】
<<活性水素含有化合物>>
(B-1)
アミノアルコールMMA(日本乳化剤社製)
N-メチルアミノエタノール
(B-2)
アミノアルコールMEM(日本乳化剤社製)
N-エチルアミノエタノール
(B-3)
アミノアルコールMBM(日本乳化剤社製)
N-ブチルアミノエタノール
(B-4)
N-ベンジルアミノエタノール(Alkyl Amines Chemicals社製)
(B-5)
A2010(広栄化学社製)
4-アミノブタノール
(B-6)
B3070(広栄化学社製)
3-メチルアミノプロピルアミン
(B-7)
1,6-ジアミノヘキサン(東京化成工業社製)
(B-8)
B1010(広栄化学社製)
ビス(3-アミノプロピル)エーテル
(B-9)
B1050(広栄化学社製)
α,ω-ビス(3-メチルアミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテル
(B-10)
アミノエチルメルカプタン(東京化成工業社製)
(B-11)
2-メルカプトエタノール(東洋紡社製)
(B-12)
エチレングリコール(和光純薬社製)
【0113】
(B-1)~(B-12)に係る化合物の具体的な構造等を表3に示す。
【0114】
【0115】
<<ポリイソシアネート>>
(C-1)
MR-200(東ソー社製)
クルードMDI
NCO%:30.9%
(C-2)
ルプラネートMI(BASFイノアックポリウレタン社製)
モノメリックMDI
【0116】
<<触媒>>
(D-1)
KL-No. 110(花王社製)
1-メチルイミダゾール
樹脂化触媒
(D-2)
DABCO T-120(エボニック社製)
ジブチルビス(ドデシルチオ)スタンナン
樹脂化触媒
(D-3)
K-Zero G(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
オクチル酸カリウム
三量化触媒
【0117】
<<その他の添加成分>>
<発泡剤>
(E-1)
HFO(ハイドロフルオロオレフィン)
<整泡剤>
(F-1)
シリコーン系整泡剤
ポリアルキレンエーテルシリコーンコポリマー
<難燃剤>
(G-1)
TCPP(トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート)
(G-2)
TAIC(トリアリルイソシアヌレート)
(G-3)
赤燐
【0118】
<<<発泡体の作製>>>
表4及び表5に示す配合に従い、500mLディスポカップに、第1反応成分(芳香族ポリアミン、ポリオール化合物、活性水素化合物)、各種触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤を測り取った。これらを混合し、ハンドミキサーを使用して、室温下で回転数1000rpm、5分間攪拌混合を行い、第1液を作製した。
そして、第1液、及び、第2反応成分であるポリイソシアネートからなる第2液を、5℃に設定した冷却庫に保管して、それぞれの温度を5±2℃とした。
次に、第1液と第2液とを混合し、ハンドミキサーを使用して、回転数3000rpmで3秒間攪拌し、発泡用木箱(170mm×170mm×170mm)に注入して発泡硬化させ、発泡体を得た。
【0119】
<<<評価>>>
以下の評価を各実施例及び参考例について、発泡時の発泡性と、発泡体の特性と、について評価を実施した。尚、クリームタイム及びライズタイムの評価法については上述したので、他の評価項目における評価法を説明する。
【0120】
<<密度>>
上記の製造方法で作製した発泡体の表層部を除去し、100mm×100mm×100mmの大きさでコア部を取り出した。
コア部の体積を求めるため、縦、横、厚みをノギスで測定した。
コア部の重量を電子天秤を使用して、小数点以下第2位まで測定した。
得られた体積、重量から密度を算出した。
【0121】
<<難燃性>>
上記の製造方法で作製した発泡体から、表層部から2cmを切り落として100mm×100mm×100mmの大きさでコア部を取り出した。
フォームを23℃、RH50%の環境下で体積変化が無くなるまで静置した。
ISO5660-1の試験方法に準拠して、輻射熱量50kW、試験時間20分間で、フォームの総発熱量を測定した。
A:総発熱量10MJ/m2未満
B:総発熱量10MJ/m2以上11.9MJ/m2未満
C:総発熱量12MJ/m2以上
【0122】
<<吹付後の表面タックフリータイム、発泡体中の残存イソシアネート含有量>>
スプレー機(Graco、H-RV)に、スプレーガン(Graco、ガスマーガン)を備え付け、原料温度40℃、ホースヒーターを40℃に設定した条件で、環境温度及び表面温度を5℃に設定したアルミ板(1m×1m×厚さ10mm)に粒状で薄く吹付し、発泡体を形成した。
アルミ板上に形成した発泡体の表面のタックが完全に消失するまでの時間を測定し、これを表面タックフリータイムとした。
発泡体の一部(10cm角程度)を切り取り、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて、ダイヤモンドプリズムを使用したATR法で測定を行い、積算回数を50回、N=3で測定し、平均値とした。
得られた赤外吸収スペクトルに基づき、下記式1及び検出された各ピークの面積から、発泡体中の残存イソシアネート含有量を算出した。
【0123】
(式1)
残存イソシアネート含有量(%)=P5/(P1+P2+P3+P4)×100
【0124】
P1:イソシアヌレート構造に由来するピーク面積(波数1410cm-1近傍のヌレート環に由来するピークに係る面積であり、波数が1380~1430cm-1の範囲の面積)
P2:ウレア構造のC=Oに由来するピーク面積(波数が1595cm-1近傍のウレア結合のC=Oに由来するピークに係る面積であり、波数が1550~1640cm-1の範囲の面積)
P3:イソシアヌレート構造のC=Oに由来するピーク面積(波数1710cm-1近傍のC=O結合のピークの面積、波数が1680~1730cm-1の範囲)
P4:ウレア構造に含まれるN-Hに由来するピーク面積(波数1510cm-1近傍のN-Hに由来するピークの面積に係る面積であり、波数が1470~1550cm-1の範囲のピーク面積の面積)
P5:イソシアネート基に由来するピーク面積(波数2270cm-1近傍のイソシアネート基に由来するピークに係る面積であり、波数が2160~2380cm-1の範囲の面積)
【0125】
表面タックフリータイムは、400秒未満が好ましく、300秒未満がより好ましく、250秒未満が更に好ましい。
【0126】
残存イソシアネート含有量は、3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。
【0127】
<<低温接着強度>>
各実施例、参考例における第1液及び第2液について、簡易ハンドスプレーを用いた下記の手順で、低温接着強度の評価を行った。
スタティックミキサー付き2液混合用カートリッジに、ポリアミン混合物とポリイソシアネート化合物を、充填した。
冷凍庫内で、表面温度が5℃となるように合板を冷却し、スプレーガンで吹付した。合板上で吹付け後に発泡硬化した発泡体が幅10mm×長さ60mmの範囲で残るように切り出し、測定サンプルとした。この測定サンプルをフォースゲージ(アマノ社製、500N)の治具に取り付け、合板に対する発泡体の接着強度を測定した。
【0128】
低温接着強度は、0.020N/mm2以上が好ましく、0.025N/mm2以上がより好ましく、0.030N/mm2以上が更に好ましい。
【0129】
【0130】