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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038947
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】装飾板および仏壇
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20240313BHJP
   A47G 33/02 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B32B7/023
A47G33/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143334
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】591058334
【氏名又は名称】株式会社八木研
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 憲二
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100GB81
4F100HB00B
4F100JN01A
4F100JN01C
(57)【要約】
【課題】装飾の図柄そのものに立体感が感じられる装飾性の高い装飾板の提供。
【解決手段】光透過性を有する板材1に所定の図柄2の装飾が施された装飾板DPであって、装飾板DPは、板材1を備え、所定の図柄2は、組子の図柄の構成単位Pである模様が繰り返される図柄であり、板材1は、板材1における厚さ方向の面11、12で、かつ厚さ方向に互いに離間した位置にある複数の面11、12に、組子の図柄の構成単位Pの一部を構成する互いに異なる図柄21、22を有し、装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数の面11、12における図柄21、22の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるように構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する板材に所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、
前記装飾板は、1つの板材または前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された複数の板材を備え、
前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、
前記1つの板材または前記複数の板材は、すべての前記板材における厚さ方向の両方の面のうちの少なくとも一部の面で、かつ前記厚さ方向に互いに離間した位置にある複数の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有し、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数の面における前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、装飾板。
【請求項2】
前記装飾板は、前記1つの板材を備え、
前記板材は、前記板材の厚さ方向における一方の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する第1の図柄を有し、前記板材の厚さ方向における他方の面に、前記組子の図柄の構成単位の残りの部分を構成する第2の図柄を有し、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記板材の一方の面の前記第1の図柄と、前記板材の他方の面の前記第2の図柄との組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、請求項1に記載の装飾板。
【請求項3】
前記装飾板がさらに、光透過性を有する光透過板を備え、
前記光透過板は、前記板材に重ねて配置され、光を乱反射させる加工が施されている、請求項1に記載の装飾板。
【請求項4】
所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、
前記装飾板は、前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された光透過性を有する複数のシート材を備え、
前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、
前記複数のシート材は、前記装飾板の厚さ方向に互いに間隔をあけて配置され、
前記複数のシート材は、前記シート材における厚さ方向の少なくとも一方の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有し、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数のシート材の前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、装飾板。
【請求項5】
所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、
前記装飾板は、前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された複数のシート材を備え、
前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、
前記複数のシート材は、前記装飾板の厚さ方向に互いに間隔をあけて配置され、
前記複数のシート材は、前記シート材の厚さ方向に貫通して光が透過可能な貫通部と、貫通していない非貫通部とを有し、前記非貫通部により、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄が形成され、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数のシート材の前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、装飾板。
【請求項6】
請求項1、4および5のいずれか1項に記載の装飾板を備えた仏壇であって、
前記装飾板は、前記仏壇の前面開口部と、前記仏壇の背板との間に配置され、
前記背板と前記装飾板との間には照明が配置されている、仏壇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装飾板および仏壇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内のインテリアには、装飾が施された板材である装飾板が用いられることが多い。屋内に配置される仏壇においても、インテリアの構成要素として、装飾板が用いられることがある。たとえば、特許文献1には、装飾板を備えた仏壇の一例が開示されている。特許文献1に記載の仏壇は、仏壇の背板が装飾板となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-243869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装飾板は、背板の前面に仏画等の装飾が施されたものであるが、装飾の図柄そのものに立体感が感じられるようなものではない。近年、インテリアに用いられる装飾板には、装飾性の高いものとして、装飾の図柄そのものに立体感が感じられるようなものが顧客等から求められている。
【0005】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、平面的な図柄を用いながらも装飾の図柄そのものに立体感が感じられる装飾性の高い装飾板およびその装飾板を備えた仏壇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る装飾板は、光透過性を有する板材に所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、前記装飾板は、1つの板材または前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された複数の板材を備え、前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、前記1つの板材または前記複数の板材は、すべての前記板材における厚さ方向の両方の面のうちの少なくとも一部の面で、かつ前記厚さ方向に互いに離間した位置にある複数の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有し、前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数の面における前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている。
【0007】
本発明に係る装飾板は、所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、前記装飾板は、前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された光透過性を有する複数のシート材を備え、前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、前記複数のシート材は、前記装飾板の厚さ方向に互いに間隔をあけて配置され、前記複数のシート材は、前記シート材における厚さ方向の少なくとも一方の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有し、前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数のシート材の前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている。
【0008】
本発明に係る装飾板は、所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、前記装飾板は、前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された複数のシート材を備え、前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、前記複数のシート材は、前記装飾板の厚さ方向に互いに間隔をあけて配置され、前記複数のシート材は、前記シート材の厚さ方向に貫通して光が透過可能な貫通部と、貫通していない非貫通部とを有し、前記非貫通部により、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄が形成され、前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数のシート材の前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている。
【0009】
本発明に係る仏壇は、前記装飾板を備えた仏壇であって、前記装飾板は、前記仏壇の前面開口部と、前記仏壇の背板との間に配置され、前記背板と前記装飾板との間には照明が配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、平面的な図柄を用いながらも装飾の図柄そのものに立体感が感じられる装飾性の高い装飾板およびその装飾板を備えた仏壇を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の装飾板の一例を示す正面図であり、合成模様の繰り返しを示す図である。
図2】本発明の一実施形態の装飾板の一例を示す正面図であり、第1の図柄の繰り返しを示す図である。
図3】本発明の一実施形態の装飾板の一例を示す背面図であり、第2の図柄の繰り返しを示す図である。
図4】本発明の一実施形態の装飾板の一例における所定の模様を示す図である。
図5】本発明の一実施形態の装飾板の一例を厚さ方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図6】本発明の一実施形態の装飾板の一例を厚さ方向に対して一方側(図5の図面左側)に傾斜した方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図7】本発明の一実施形態の装飾板の一例を厚さ方向に対して他方側(図5の図面右側)に傾斜した方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図8】本発明の一実施形態の装飾板の他の例を示す正面図であり、合成模様の繰り返しを示す図である。
図9】本発明の一実施形態の装飾板の他の例を示す正面図であり、第1の図柄の繰り返しを示す図である。
図10】本発明の一実施形態の装飾板の他の例を示す背面図であり、第2の図柄の繰り返しを示す図である。
図11】本発明の一実施形態の装飾板の他の例における所定の模様を示す図である。
図12】本発明の一実施形態の装飾板の他の例を厚さ方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図13】本発明の一実施形態の装飾板の他の例を厚さ方向に対して一方側に傾斜した方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図14】本発明の一実施形態の装飾板の他の例を厚さ方向に対して他方側(図13とは反対側)に傾斜した方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図15】本発明の一実施形態の装飾板の変形例を厚さ方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図16】本発明の一実施形態の装飾板の他の変形例を厚さ方向から視認したときに見え得る合成模様の繰り返しを示す図である。
図17】本発明の一実施形態の装飾板のさらに他の変形例を、分解した状態で示す斜視図である。
図18】本発明の一実施形態の装飾板を備える仏壇の一例を示す正面図である。
図19図18のA-A線断面図である。
図20図18のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の装飾板および仏壇を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の装飾板および仏壇は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態に係る装飾板DPは、光透過性を有する板材1に所定の図柄2の装飾が施された装飾板である。装飾板DPは、たとえば、インテリアの構成要素として用いられる板材である。本実施形態では、装飾板DPは、後述のように、屋内に配置される仏壇BA(図18参照)を装飾する部材として用いられるが、装飾板DPの用途はこれに限定されるものではなく、装飾用の部材として様々な用途に用いることができる。
【0014】
装飾板DPは、1つの板材1(図1参照)または装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された複数の板材(図示せず)を備えている。すなわち、装飾板DPは、1つの板材1によって構成されていてもよいし、複数の板材(図示せず)によって構成されていてもよい。
【0015】
本実施形態では、装飾を構成する所定の図柄2が、装飾板DPの厚さ方向における異なる位置に配置された複数の図柄によって構成される。装飾板DPの厚さ方向における異なる位置に複数の図柄を配置するために、本実施形態では、各々の図柄は、装飾板DPの厚さ方向(1つの板材1の厚さ方向)における一方の面11および他方の面12に設けられてもよいし、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された複数の板材(図示せず)に分けて設けられてもよい。装飾板DPが1つの板材1によって構成される場合、装飾を構成する所定の図柄2は、たとえば、一方の面11に設けられる第1の図柄21(図2参照)と、他方の面12に設けられる第2の図柄22(図3参照)とにより構成される。第1の図柄21と第2の図柄22とは、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。また、第1の図柄21は、一方の面11の全領域に設けられていてもよいし、一方の面11の一部の領域(たとえば、一方の面11の中央部以外の領域)に設けられていてもよい。また、第2の図柄22は、他方の面12の全領域に設けられていてもよいし、他方の面12の一部の領域(たとえば、他方の面12の中央部以外の領域)に設けられていてもよい。
【0016】
すなわち、1つの板材1(図1参照)または装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された複数の板材(図示せず)は、すべての板材における厚さ方向の両方の面のうちの少なくとも一部の面で、かつ、装飾板DPの厚さ方向に互いに離間した位置にある複数の面に、後述の組子の図柄の構成単位(たとえば、図4の構成単位Pを参照)の一部を構成する異なる図柄、または、組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有している。
【0017】
本明細書において、「すべての板材」とは、装飾板DPが1つの板材1を備えている場合には、1つの板材1を意味し、装飾板DPが複数の板材を備えている場合には、複数の板材のすべてを意味する。また、「すべての板材における厚さ方向の両方の面のうちの少なくとも一部の面」とは、装飾板DPが1つの板材1を備えている場合には、1つの板材1における厚さ方向の一方の面11(図2参照)および他方の面12(図3参照)を意味し、装飾板DPが複数の板材を備えている場合には、複数の板材の各々における厚さ方向の一方の面および他方の面のうちの一部の面または全部の面を意味する。また、「装飾板DPの厚さ方向に互いに離間した位置にある複数の面」とは、装飾板DPが1つの板材1を備えている場合には、1つの板材1における厚さ方向の一方の面11(図2参照)および他方の面12(図3参照)を意味し、装飾板DPが複数の板材を備えている場合には、板材における厚さ方向の一方の面および他方の面、および/または、一の板材の面(厚さ方向の一方の面および他方の面)と他の板材の面(厚さ方向の一方の面および他方の面)を意味する。一の板材の面と、他の板材の面とは、装飾板DPの厚さ方向に接触していてもよいし、装飾板DPの厚さ方向に離間していてもよい。また、「複数の面に、組子の図柄の構成単位の一部を構成する異なる図柄を有する」とは、複数の面に、組子の図柄の構成単位の一部を構成する図柄(以下、「構成図柄」とも称する)が設けられ、かつ、設けられる構成図柄が面毎に異なることを意味する。また、「複数の面に、組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有する」とは、複数の面に、組子の図柄の構成単位に対応する図柄が設けられ、かつ、複数の面に設けられる図柄が同じであることを意味する。また、「組子の図柄の構成単位に対応する図柄」とは、組子の図柄の構成単位と同一の図柄を意味する。
【0018】
装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、上記複数の面における図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位(たとえば、図4の構成単位Pを参照)が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている。すなわち、装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、装飾板DPの厚さ方向における異なる位置に配置された複数の図柄の組み合わせによって、合成模様が表示されるように構成されている。この構成によれば、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様が変化する(たとえば、図5図7の合成模様SP参照)。具体的には、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向(視線の方向)の傾斜角度が大きくなる程、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度がゼロ(装飾板DPの厚さ方向と視認方向とが平行)である場合と比べて、観察者から見た上記複数の図柄の組み合わせが大きく変化する。たとえば、装飾板DPを正面側から視認する際に、観察者の視点(眼の位置)に対する装飾板DPの視認対象位置(視線と装飾板DPとが交わる位置)が、装飾板DPの左右方向および/または上下方向に大きくずれていく程、観察者から見た上記複数の図柄の組み合わせが大きく変化する。観察者(人間)は、2つの眼(双眼)によって、装飾板DPを装飾板DPの厚さ方向に対して、ほぼ同時または瞬時(わずかの時間)に左右方向および/または上下方向に傾斜した方向から視認する。このとき、2つの眼からの視差(両眼視差)によって、観察者には、装飾版DPの厚さ方向における異なる位置に配置された複数の図柄(たとえば図5図7における図柄21および図柄22)の間に奥行が感じられる(両眼立体視)。したがって、装飾板DPを正面側から視認する際に、観察者の視点に対する装飾板DPの視認対象位置が、装飾板DPの左右方向および/または上下方向に大きく外れていく程、模様の立体感が増大して演出される。これにより、平面的な図柄を用いながらも、装飾の図柄そのものに立体感が感じられる装飾性の高い装飾板DPを得ることができる。
【0019】
以下、装飾板DPが1つの板材1を備えている場合について、より詳細に説明する。なお、以下に説明する事項は、装飾板DPが、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された複数の板材を備えている場合にも適用可能である。
【0020】
板材1は、光透過性を有する板材であれば、特に限定されるものではないが、本実施形態ではガラス板である。板材1の光透過性は、以下のような光透過性であればよい。すなわち、板材1の光透過性は、後述するように、装飾板DPが板材1の厚さ方向に視認されたときに、板材1の一方の面11(図2参照)の第1の図柄21と、板材1の他方の面12(図3参照)の第2の図柄22との組み合わせによって組子の図柄の構成単位P(図4参照)が繰り返された合成模様SP(図1および図5参照)が表示されるような光透過性である。光透過性は、板材1の透明度および/または板材1の表面粗さ等によって調節することができる。
【0021】
板材1の厚さは、以下のような厚さであれば、特に限定されない。すなわち、板材1の厚さは、後述するように、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、板材1の一方の面11(図2参照)の第1の図柄21と、板材1の他方の面12(図3参照)の第2の図柄22との組み合わせによって組子の図柄の構成単位P(図4参照)が繰り返された合成模様SP(図1および図5参照)が表示されるような厚さであり、たとえば、1.0mm~10.0mm程度である。なお、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離に応じて、板材1の厚さは、より大きな厚さとされてもよい。たとえば、装飾版DPが寺院の内陣等に設置される場合には、装飾版DPが仏壇内に設置される場合と比べて、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離が大きくされることが好ましいと考えられる。このため、たとえば、装飾版DPの縦方向の長さ(高さ)が5,000mm、横方向の長さ(横幅)が10,000mm~20,000mmである場合には、板材1の厚さは、たとえば、10mm~300mm程度とされ得る。また、板材1の厚さは、後述するように、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化し、かつ、その変化を観察者が容易に認識できるような厚さであることが好ましい。
【0022】
所定の図柄2は、組子の図柄の構成単位である模様P(図4参照)が繰り返される図柄である。以下、組子の図柄の構成単位を「構成単位P」とも称する。本明細書における「組子」は、日本の伝統木工技術「組子(組子細工)」において用いられる幾何学模様、または、そのような幾何学模様に類する幾何学模様を意味する。組子には、様々なものが存在するが、その中でも吉祥組子と称される組子は、縁起の良い模様の組子として、日本では古来より使用されてきた文様である。吉祥組子としては、たとえば、麻の葉、青海波、胡麻、桜、蜀江、紗綾形くずし、井筒割菱、帝つなぎ、三重菱、千本格子、桝格子、七宝、角麻、竜肝、籠目、三つ組手、分銅輪つなぎ、および積石亀甲と称されるものがある。以下では、所定の図柄2を備える装飾板DPの例として、「麻の葉」の組子の図柄を備えた装飾板DP(図1図7参照)、および、「青海波」の組子の図柄を備えた装飾板DP(図8図14参照)について説明する。なお、図4図7では、第1の図柄21を実線で表し、第2の図柄22を破線で表している。また、図4では、第1の図柄21および第2の図柄22を構成する各線分を1本の線で表し、図5図7では、第1の図柄21および第2の図柄22を構成する各線分を2本の線で表している(図4と比べて線分の幅を大きく表している)。図11図14についても同様である。
【0023】
「麻の葉」の組子(図1参照)は、古来から神聖なものとして神事に用いられてきた「麻の葉」を様式化した(あしらった)組子である。「麻の葉」の組子には、赤子の健やかな成長、魔除け、厄除け等の意味が込められている。所定の図柄1が、「麻の葉」の組子の図柄の構成単位P(模様P、図4参照)が繰り返された図柄である場合、構成単位Pは、同じ大きさで同じ形状の6つの菱形P1が互いに隣接するように放射状に配置され、各菱形P1において菱形P1の長手方向に沿って頂点同士を結ぶ中心線P2が設けられた形状である。各菱形P1は、隣り合う2つの構成単位P間で共有されている(図5参照)。したがって、構成単位Pの6つの菱形P1は、それぞれ、当該構成単位Pの周囲の6つの構成単位Pによって共有されている(図5参照)。これにより、各構成単位Pは、6つの菱形P1の外側の頂点同士を結ぶ六角形P3(図4および図5参照)で囲まれているように視認される。なお、六角形P3は、観察者の視認方向が装飾板DPの厚さ方向(板材1の厚さ方向)と平行である場合には、正六角形に視認される。
【0024】
「青海波」の組子(図8参照)は、円弧状の模様を組み合わせることで波を様式化した文様である。波が無限の広がりを表すことから、「青海波」の組子には、家の繁栄への思いが込められている。所定の図柄1が、「青海波」の組子の図柄の構成単位P(模様P、図11参照)が繰り返された図柄である場合、構成単位Pは、曲率半径の異なる複数の円弧P4が同心円状に配置され、当該複数の円弧の各中心角が略同じで、かつ、当該複数の円弧の各中心が同一の仮想直線L1上に位置するように構成されている。1つの構成単位Pを構成する円弧P4の数は特に限定されないが、図11に示される例では4つである。図12に示されるように、各構成単位Pは、6つの構成単位P(図12に示される構成単位P5~P10)によって囲まれている。具体的には、各構成単位Pは、曲率半径の小さな円弧P4の中心から曲率半径が大きな円弧P4の中心へ向かう上記の仮想直線L1が同じ向きに向くように同じ向きに配置されている。また、所定の図柄2は、複数の構成単位Pが、上記の仮想直線L1と平行な方向D2に沿って並ぶように配置され、かつ、複数の構成単位Pが、方向D2と直交する方向D3に沿って並ぶように配置されるように構成されている。また、所定の図柄2は、方向D3において隣接する構成単位P(たとえば、構成単位P5、P6、P7)が、方向D2において互い違いに位置して、互いに当接するように構成されている。
【0025】
図2および図3に示される例では、板材1は、板材1の厚さ方向D1における一方の面11(図2参照)に、組子の図柄の構成単位Pの一部を構成する第1の図柄21を有し、板材1の厚さ方向D1における他方の面12(図3参照)に、組子の図柄の構成単位Pの残りの部分を構成する第2の図柄22を有する。板材1の一方の面11に第1の図柄21がどのようにして設けられるのか、および、板材1の他方の面12に第2の図柄22がどのようにして設けられるのかは、特に限定されないが、たとえば、第1の図柄21および第2の図柄22は、板材1へのスクリーン印刷等の印刷により設けられる。なお、第1の図柄21および第2の図柄22は、印刷以外の方法で設けられてもよい。第1の図柄21および第2の図柄22の色は、特に限定されないが、たとえば、白色、白色に近い色、金色、銀色、赤色、または緑色等である。また、第1の図柄21および第2の図柄22(すなわち、印刷のインク等によって構成される文様の部分)は、光が一定程度透過するような態様で設けられてもよいし、光がほとんど透過しない、またはまったく透過しないような態様で設けられてもよい。すなわち、印刷のインクは、たとえば、光を一定程度透過するインクであってもよいし、光をほとんど透過しない、またはまったく透過しないインクであってもよい。
【0026】
組子の図柄の構成単位Pがどのような2つの図柄に分離されるか、すなわち、第1の図柄21と第2の図柄22とがどのような図柄にされるかと、第1の図柄21および第2の図柄22がそれぞれ一方の面11および他方の面12のどのような位置に配置されるかは、以下の条件が満たされるように決定されればよい。すなわち、第1の図柄21(図2参照)および第2の図柄22(図3参照)は、後述するように、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、板材1の一方の面11の第1の図柄21と、板材1の他方の面12の第2の図柄22との組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるような図柄および配置であれば、特に限定されない。また、組子の図柄の構成単位Pがどのような2つの図柄に分離されるかと、第1の図柄21および第2の図柄22がそれぞれ一方の面11および他方の面12のどのような位置に配置されるかは、以下の条件が満たされることが好ましい。すなわち、第1の図柄21および第2の図柄22は、後述するように、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化し、かつ、観察者に容易に視認され得るような図柄および配置であることが好ましい。図8図14に示される「青海波」の組子においても同様である。
【0027】
具体的には、図4および図5に示される例では、正六角形P3と、正六角形P3の中心から正六角形P3の各頂点へ延びる6つの中心線P2との組み合わせの図柄(実線で示す)が、第1の図柄21(図2参照)として、板材1の一方の面11に設けられている。また、図4および図5に示される例では、互いに隣接するように放射状に配置された6つの菱形P1の組み合わせ(破線で示す)が、第2の図柄22(図3参照)として、板材1の他方の面12に設けられている。
【0028】
図11および図12に示される例では、各構成単位Pの最大の曲率半径の円弧P4(実線で示す)を有する扇形状部分が、構成単位Pを構成する第1の図柄21(図9参照)として、板材1の一方の面11に設けられている。また、図11および図12に示される例では、各構成単位Pの最大の曲率半径の円弧P4以外の複数の円弧P4の組み合わせ(破線で示す)が、構成単位Pを構成する第2の図柄22(図10参照)として、板材1の他方の面12に設けられている。
【0029】
装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向D1に視認されたときに、板材1の一方の面11(図2参照)の第1の図柄21と、板材1の他方の面12(図3参照)の第2の図柄22との組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SP(図1参照)が表示されるように構成されている。すなわち、装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、第1の図柄21と、第2の図柄22(板材1を透過して視認される図柄)との組み合わせによって合成模様SPが表示されるように構成されている。この構成によれば、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化する(図5図7参照)。
【0030】
詳しく説明すると、板材1の厚さ方向において、第1の図柄21の位置と第2の図柄22の位置は、板材1の厚さに相当する距離だけ離れている。このため、第1の図柄21および第2の図柄22に対する視認方向(目線の角度)を変化させる(たとえば、観察者の視認方向を、板材1の厚さ方向と、当該厚さ方向に対して45°をなす方向との間で変化させる)ことにより、観察者から視認される第1の図柄21の形状、および、第2の図柄22の形状が変化する。具体的には、たとえば、観察者の2つの眼から視認される第1の図柄21および第2の図柄22の、視認方向に沿った長さが短くなったり、長くなったりする。さらに、観察者が第1の図柄21および第2の図柄22を同時に見たときの、第1の図柄21に対する視認方向と、第2の図柄22に対する視認方向とは異なり、両眼視差が発生する。このため、観察者から2つの眼で視認される第1の図柄21の、視認方向に沿った長さの変化の度合いと、観察者から視認される第2の図柄22の、視認方向に沿った長さの変化の度合いとは異なり、両眼視差による両眼立体視が演出される。このような両眼立体視は、第1の図柄21と第2の図柄22とが互いに異なる場合、および、第1の図柄21と第2の図柄22とが同じ場合の双方において演出される。
【0031】
また、第1の図柄21および第2の図柄22に対する観察者の視認方向を変化させることにより、観察者の2つの眼から見て、第1の図柄21と第2の図柄22との位置関係が変化する。具体的には、たとえば、観察者の2つの眼から見て、第1の図柄21と第2の図柄22との距離が小さくなったり、大きくなったりする。さらに、第1の図柄21の形状および第2の図柄22の形状の相互の関係により、観察者から見て、第1の図柄21と第2の図柄22との互いの距離が小さくなるように位置関係が変化する部分と、互いの距離が大きくなるように位置関係が変化する部分とが同時に生じ得る。これにより、両眼視差による両眼立体視が強く演出される。このような両眼立体視は、第1の図柄21と第2の図柄22とが互いに異なる場合、および、第1の図柄21と第2の図柄22とが同じ場合の双方において演出される。
【0032】
したがって、装飾板DPの厚さ方向(板材1の厚さ方向)に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが両眼立体視において変化する。これにより、平面的な図柄を用いながらも、装飾の図柄そのものに立体感が感じられる装飾性の高い装飾板DPを得ることができる。
【0033】
具体的には、たとえば、図5図7に示される例では、観察者の2つ眼による視認方向が板材1の厚さ方向と平行である場合には、図5に示されるように、一方の面11における六角形P3は、観察者から見て正六角形であり、正六角形を構成する6つの三角形はすべて正三角形である。一方、観察者の2つの眼による視認方向が装飾板DPの厚さ方向(板材1の厚さ方向)に対して傾斜した方向である場合には、図6および図7に示されるように、観察者から見て、六角形P3は、視認方向に沿った長さが短くなった非正六角形となる。また、非正六角形を構成する6つの三角形は、観察者から見て、すべて非正三角形(二等辺三角形)となる。
【0034】
また、観察者の2つ眼による視認方向が板材1の厚さ方向と平行である場合には、図5に示されるように、他方の面12における、6つの菱形P1の組み合わせは、観察者から見て6つの菱形P1の組み合わせである。一方、観察者の視認方向が板材1の厚さ方向に対して傾斜した方向である場合には、図6および図7に示されるように、観察者から見て、6つの菱形P1の組み合わせは、視認方向に沿った長さが短くなり、一部の菱形P1は平行四辺形(非菱形)に変化する。
【0035】
また、観察者の2つの眼による視認方向が板材1の厚さ方向と平行である場合には、図5に示されるように、一方の面11における六角形P3の頂点の位置と、他方の面12における6つの菱形P1の組み合わせの外側の頂点の位置とは、観察者から見て一致している。一方、観察者の2つの眼による視認方向が板材1の厚さ方向に対して傾斜した方向である場合には、図6および図7に示されるように、観察者から見て、一方の面11における六角形P3の頂点の位置と、他方の面12における6つの菱形P1(または平行四辺形)の組み合わせの外側の頂点の位置とは、観察者からの視認方向を板材1の表面に投影した方向にずれている。具体的には、図6に示される例では、6つの菱形P1(または平行四辺形)の組み合わせの外側の頂点の位置が、六角形P3の頂点の位置に対して、図6の左側にずれている。また、図7に示される例では、6つの菱形P1(または平行四辺形)の組み合わせの外側の頂点の位置が、六角形P3の頂点の位置に対して、図7の右側にずれている。
【0036】
図12図14に示される例では、観察者の2つの眼による視認方向が板材1の厚さ方向と平行である場合には、図12に示されるように、観察者から見て、各円弧P4は歪みの無い円の一部としての円弧である。一方、観察者の2つの眼による視認方向が板材1の厚さ方向に対して傾斜した方向である場合には、図13および図14に示されるように、観察者から見て、各円弧P4は、視認方向に沿った長さが短くなった歪んだ円弧となる。
【0037】
また、観察者の2つの眼による視認方向が板材1の厚さ方向と平行である場合には、図12に示されるように、一方の面11における各構成単位Pの1つの円弧P4(実線で示す)の中心位置と、他方の面12における3つの円弧P4の組み合わせの中心位置とは、観察者から見て一致している。一方、観察者の2つの眼による視認方向が板材1の厚さ方向に対して傾斜した方向である場合には、図13および図14に示されるように、観察者から見て、一方の面11における円弧P4の中心位置に対して、他方の面12における3つの円弧P4の組み合わせの中心位置が、観察者からの視認方向を板材1の表面に投影した方向にずれている。具体的には、図13に示される例では、3つの円弧P4(破線で示す)の組み合わせの中心位置が、外側の円弧P4(実線で示す)の中心位置に対して、図13の左側にずれている。また、図14に示される例では、3つの円弧P4(破線で示す)の組み合わせの中心位置が、外側の円弧P4(実線で示す)の中心位置に対して、図14の右側にずれている。
【0038】
このように、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの2つの眼による視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化することで、平面的な図柄を用いながらも、装飾の図柄そのものに立体感が感じられる装飾性の高い装飾板DPを得ることができる。また、板材1の厚さ方向における一方の面11および他方の面12に、それぞれ、第1の図柄21および第2の図柄22が設けられることで、第1の図柄21および第2の図柄22の位置関係が所望の位置関係からずれるのを抑制することができる。詳しく説明すると、第1の図柄21および第2の図柄22は、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された2つの板材に分けて設けられることも考えられるが、この場合には、2つの板材の互いの位置合わせに高い精度が求められ、板材同士の位置合わせが所望の位置関係からずれた場合には、所望の合成模様が得られない可能性がある。これに対し、板材1の厚さ方向における一方の面11および他方の面12に、それぞれ、第1の図柄21および第2の図柄22が設けられることで、2つの板材同士の位置ずれの問題は生じず、所望の合成模様SPを容易に得ることができる。
【0039】
なお、図1図14では、装飾板DPが1つの板材1を備えている場合について説明したが、上述のように、装飾板DPは、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された複数の板材(図示せず)を備える構成であってもよい。
【0040】
具体的には、たとえば、装飾板DPが、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された2つの板材を備えている場合には、2つの板材は、2つの板材の各々の厚さ方向における両方の面(合計4つの面)のうちのn個(nは2、3および4のいずれであってもよい)の面で、かつ上記厚さ方向に互いに離間した位置にある面に、互いに異なるn個の図柄、または、組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有する。この場合、装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、n個の面におけるn個の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位(たとえば図4および図5に示されるような構成単位P)が繰り返された合成模様(たとえば図1に示されるような合成模様SP)が表示されるように構成される。
【0041】
また、たとえば、装飾板DPが、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された3つの板材を備えている場合には、3つの板材は、3つの板材の各々の厚さ方向における両方の面(合計6つの面)のうちのn個(nは2、3、4、5および6のいずれであってもよい)の面で、かつ上記厚さ方向に互いに離間した位置にある面に、互いに異なるn個の図柄、または、組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有する。
【0042】
装飾板DPが、複数の板材を備えている場合、複数の板材は、装飾板DPの厚さ方向において互いに当接した状態で重なっていてもよいし、装飾板DPの厚さ方向に互いに所定の間隔をあけて並ぶように重なっていてもよい。複数の板材が、互いに所定の間隔をあけて並ぶように重なっている場合には、複数の板材の互いに対向する面の各々に図柄(互いに異なる図柄、または、同じ図柄)を設けることができる。
【0043】
各板材の光透過性および厚さ、ならびに装飾板DPの厚さ方向における板材同士の間隔(間隔がゼロの場合も含む)は、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、n個の面におけるn個の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるような光透過性、厚さおよび間隔であれば、特に限定されない。また、複数の板材に設けられる図柄は、板材の面の全領域に設けられていてもよいし、面の一部の領域(たとえば、面の中央部以外の領域)に設けられていてもよい。
【0044】
装飾板DPが、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された複数の板材を備えている場合、複数の板材は、板材同士の間隔をゼロまたは所定の間隔に保持する保持部材(図示せず)によって保持され得る。そのような保持部材としては、たとえば、複数の板材の周縁部をまとめて保持する枠状の部材を採用することができる。
【0045】
なお、図1図14に示される例では、装飾板DPが、図柄を有する板材1を備えている場合について説明したが、装飾板DPは、板材1に代えて、図柄を有するシート材4(図15参照)を備える構成であってもよい。なお、図15は、板材が用いられる例を示す図5と同様に、装飾板DPの一部を拡大して示している。
【0046】
図15に示されるように、装飾板DPは、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された光透過性を有する複数のシート材4を備えている。シート材4の材質および厚さは、後述のように、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるのであれば、特に限定されない。シート材4の材質は、たとえば、光透過性を有する合成樹脂製のシート材である。シート材4の厚さは、たとえば、0.1mm~1.0mm程度である。本明細書における「シート材」には、膜状の部材(フィルム材)も含まれる。なお、シート材4の厚さは、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化し、かつ、その変化を観察者が容易に認識できるような厚さであることが好ましい。また、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離に応じて、シート材4の厚さは、適宜、変更され得る。
【0047】
装飾板DPが備えるシート材4の数は、後述のように、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるのであれば、特に限定されないが、図15に示される例では2つ(シート材41、42)である。図15に示される例では、シート材41は実線で示されており、シート材42は破線で示されている。複数のシート材4は、装飾板DPの厚さ方向に互いに間隔をあけて配置されている。シート材4同士の間隔は、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるのであれば、特に限定されないが、たとえば、1.0mm~10.0mm程度である。なお、シート材4同士の間隔は、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化し、かつ、その変化を観察者が容易に認識できるような間隔であることが好ましい。また、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離に応じて、シート材4同士の間隔は、適宜、変更され得る。たとえば、装飾版DPが寺院の内陣等に設置される場合には、装飾版DPが仏壇内に設置される場合と比べて、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離が大きくされることが好ましいと考えられる。このため、たとえば、装飾版DPの縦方向の長さ(高さ)が5,000mm、横方向の長さ(横幅)が10,000mm~20,000mmである場合には、シート材4同士の間隔は、たとえば、10mm~300mm程度とされ得る。
【0048】
本実施形態では、複数のシート材4は、複数のシート材4を展張させた状態で、かつシート材4同士の間隔を保持する保持部材(図示せず)によって保持され得る。そのような保持部材としては、たとえば、複数のシート材4の周縁部をまとめて保持する枠状の部材を採用することができる。
【0049】
複数のシート材4は、シート材4における厚さ方向の少なくとも一方の面に、組子の図柄の構成単位Pの一部を構成する互いに異なる図柄、または、組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有している。図15に示される例では、シート材41は第1の図柄21を有し、シート材42は、第1の図柄21とは異なる第2の図柄22を有している。図15に示される例では、第1の図柄21は、シート材41における厚さ方向の一方の面に設けられ、第2の図柄22は、シート材42における厚さ方向の一方の面に設けられている。
【0050】
図15に示される例では、図5に示される例と同様の図柄がシート材4に設けられている。具体的には、正六角形P3と、正六角形P3の中心から正六角形P3の各頂点へ延びる6つの中心線P2との組み合わせの図柄(実線で示す)が、第1の図柄21として、シート材41の一方の面に設けられている。また、互いに隣接するように放射状に配置された6つの菱形P1の組み合わせ(破線で示す)が、第2の図柄22として、シート材42の一方の面に設けられている。
【0051】
シート材4の図柄がどのようにして設けられるのかは、特に限定されないが、たとえば、シート材4の図柄は、シート材4へのスクリーン印刷等の印刷により設けられる。なお、シート材4の図柄は、印刷以外の方法で設けられてもよい。また、複数のシート材4に設けられる図柄は、シート材4の面の全領域に設けられていてもよいし、面の一部の領域(たとえば、面の中央部以外の領域)に設けられていてもよい。
【0052】
装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるように構成されている。たとえば、図15に示される装飾板DPは、装飾板DPの厚さ方向における異なる位置に配置された複数の図柄21、22の組み合わせによって所定の図柄2が構成されている点で、図5に示される装飾板DPと共通している。図15に示される装飾板DPにおいても、図5に示される装飾板DPと同様の効果を奏することができる。
【0053】
なお、図15に示される例では、シート材4に設けられる図柄は印刷等によってシート材4の表面に設けられているが、シート材4に図柄を設ける方法はこれに限定されない。シート材4に設けられる図柄は、図16に示されるように、シート材4に、シート材4の厚さ方向に貫通する貫通部45を形成することによって設けられてもよい。なお、図16は、図15と同様に、装飾板DPの一部を拡大して示している。
【0054】
図16に示されるように、装飾板DPは、装飾板DPの厚さ方向に重なるように配置された複数のシート材4を備えている。シート材4の材質および厚さは、後述のように、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるのであれば、特に限定されない。シート材4の材質は、たとえば、光透過性の少ない、または、光透過性を有さない材質である。具体的には、シート材4は、不透明または半透明の材質であり、たとえば、紙製、合成樹脂製、または金属製のシート材である。シート材4の厚さは、たとえば、0.1mm~1.0mm程度である。なお、シート材4の厚さは、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化し、かつ、その変化を観察者が容易に認識できるような厚さであることが好ましい。また、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離に応じて、シート材4の厚さは、適宜、変更され得る。
【0055】
装飾板DPが備えるシート材4の数は、後述のように、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるのであれば、特に限定されないが、図16に示される例では2つ(シート材43、44)である。図16に示される例では、シート材43は、観察者から見てシート材44よりも手前側に位置している。複数のシート材4は、装飾板DPの厚さ方向に互いに間隔をあけて配置されている。シート材4同士の間隔は、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるのであれば、特に限定されないが、たとえば、1.0mm~10.0mm程度である。なお、シート材4同士の間隔は、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化し、かつ、その変化を観察者が容易に認識できるような間隔であることが好ましい。また、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離に応じて、シート材4同士の間隔は、適宜、変更され得る。たとえば、装飾版DPが寺院の内陣等に設置される場合には、装飾版DPが仏壇内に設置される場合と比べて、装飾版DPの大きさや、装飾版DPと観察者との距離が大きくされることが好ましいと考えられる。このため、たとえば、装飾版DPの縦方向の長さ(高さ)が5,000mm、横方向の長さ(横幅)が10,000mm~20,000mmである場合には、シート材4同士の間隔は、たとえば、10mm~300mm程度とされ得る。
【0056】
本実施形態では、複数のシート材4は、複数のシート材4を展張させた状態で、かつシート材4同士の間隔を保持する保持部材(図示せず)によって保持され得る。そのような保持部材としては、たとえば、複数のシート材4の周縁部をまとめて保持する枠状の部材を採用することができる。
【0057】
複数のシート材4は、シート材4の厚さ方向に貫通して光が透過可能な貫通部45と、貫通していない非貫通部46とを有し、非貫通部46により、組子の図柄の構成単位Pの一部を構成する互いに異なる図柄、または、組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄が形成されている。すなわち、図16に示される例では、シート材4における貫通部(貫通孔)45以外の部分である非貫通部46によって図柄が構成されている。複数のシート材4に設けられる図柄は、面の全領域に設けられていてもよいし、面の一部の領域(たとえば、面の中央部以外の領域)に設けられていてもよい。観察者は、観察者から見て手前側に位置するシート材4の貫通部45を通じて、当該手前側のシート材4に対して観察者とは反対側に位置するシート材4の図柄(非貫通部46)を視認することができる。すなわち、観察者は、シート材4の貫通部45を通じて、複数のシート材4の図柄の組み合わせを視認することができる。
【0058】
図16に示される例では、図5に示される例と同様の図柄がシート材4に設けられている。具体的には、正六角形P3と、正六角形P3の中心から正六角形P3の各頂点へ延びる6つの中心線P2との組み合わせの図柄が、第1の図柄21として、シート材43に設けられている。また、互いに隣接するように放射状に配置された6つの菱形P1の組み合わせが、第2の図柄22として、シート材44に設けられている。
【0059】
装飾板DPは、装飾板DPが厚さ方向に視認されたときに、複数のシート材4の図柄の組み合わせによって組子の図柄の構成単位Pが繰り返された合成模様SPが表示されるように構成されている。たとえば、図16に示される装飾板DPは、装飾板DPの厚さ方向における異なる位置に配置された複数の図柄21、22の組み合わせによって所定の図柄2が構成されている点で、図5および図15に示される装飾板DPと共通している。図16に示される装飾板DPにおいても、図5に示される装飾板DPと同様の効果を奏することができる。
【0060】
なお、図5図15および図16に示される装飾板DPは、さらに、光透過性を有する光透過板3(図17参照)を備えていてもよい。光透過板3は、装飾板DPの厚さ方向に板材1またはシート材4に重ねて配置され、光を乱反射させる加工が施されている。光透過板3は、光を乱反射させる加工が施されていれば、特に限定されないが、本実施形態では、ガラス板の厚さ方向における一方の面または両方の面に光を乱反射させる加工が施されたガラス板である。光透過板3は、たとえば、透明のガラス板の表面をサンドブラスト加工し、好ましくは、さらにフッ酸処理することにより作製される。本実施形態では、光透過板3は、板材1またはシート材4(以下、板材1およびシート材4を総称して、板材1等とも称する)に対する相対的な位置が固定されるように配置されている。光透過板3は、板材1等と当接するように設けられてもよいし、装飾版DPの厚さ方向において、板材1等と間隔をあけた状態で設けられてもよい。板材1等に対して光透過板3を固定する方法は特に限定されないが、たとえば、光透過板3は、板材1等に対する相対的な位置を固定する固定部材(図示せず)によって、板材1等に固定される。光透過板3が、板材1等に固定されることにより、装飾板DPが作製される。なお、板材1等に対する光透過板3の固定は、たとえば、上述の固定部材に代えて、透明度の高い接着剤を用いて行われてもよい。光透過板3を板材1等に対して接着剤を用いて固定する場合には、光透過板3において光を乱反射させる加工が施されていない面(一方の面に乱反射の加工が施され、他方の面に乱反射の加工が施されていない場合における他方の面)を板材1等と対向させた状態で、光透過板3と板材1等とが接着される。このような接着を行うことにより、光透過板3において光を乱反射させる加工が施された面における光の乱反射機能が維持される。光を乱反射する加工が光透過板3の両方の面に施されている場合には、光透過板3のいずれか一方の面を板材1等と対向させた状態で、光透過板3と板材1等とが接着される。光を乱反射させる加工が施された光透過板3を備えた装飾板DPは、観察者によって光透過板3側から視認される。
【0061】
光を乱反射させる加工が施された光透過板3を備えた装飾板DPは、以下のような効果を奏することができる。すなわち、光透過板3を備えた装飾板DPが、観察者によって光透過板3側から視認されることにより、板材1等が有する図柄(たとえば、第1の図柄21および第2の図柄22)がぼやけて視認されるため、板材1等が有する図柄を視認したときに感じられる奥行感が増幅される。これにより、装飾の図柄そのものの立体感が増幅される。
【0062】
次に、本実施形態に係る装飾板DPを、屋内に配置される仏壇BA(図18図20参照)に適用した場合について説明する。
【0063】
図18図20に示されるように、本実施形態に係る仏壇BAは、本実施形態に係る装飾板DPを備えた仏壇である。装飾板DPは、仏壇BAの前面開口部B1と、仏壇BAの背板B71との間に配置されている。背板B71と装飾板DFとの間には照明B73が配置されている。
【0064】
具体的には、仏壇BAは、四角箱状に形成されている。仏壇BAは、上面部B4、底面部B5、左右の側面部B6、背面部B7、および前面扉部B8を備えている。上面部B4、底面部B5、左右の側面部B6、および背面部B7により、前面が開口した四角箱状体が形成されている。左右の側面部B6には、前面扉部B8が回動可能に設けられている。前面扉部B8を回動させることにより、前面開口部B1を開閉することができる。
【0065】
本実施形態では、上面部B4は、外板B41と、外板B41の内側に設けられた内板B42とを備えている。上面部B4は、内板B42に装着された照明B43を有している。照明B43は、仏壇BAの内側を照らし、装飾板DFを前方から照らすことができる。
【0066】
本実施形態では、背面部B7は、背板B71と、背板B71に対して所定の間隔をあけて背板B71の前方に配置された装飾板DPと、背板B71と装飾板DPとの間に配置された照明B73と、装飾板DPを支持する支持部B74とを備えている。背面部B7の前方には、位牌等が配置される。
【0067】
本実施形態の仏壇BAでは、装飾板DPとして、図17を用いて説明した装飾板DPが用いられている。すなわち、仏壇BAで用いられている装飾板DPは、板材1等と、光透過板3とを備えている。装飾板DPは、光透過板3が前側に位置するように配置されている。なお、本実施形態の仏壇BAでは、光透過板3を備えていない装飾板DPが用いられてもよい。
【0068】
照明B73は、装飾板DPを後方から照らすように配置されている。本実施形態では、照明B73は、上述のように、装飾板DPと背板B71との間に配置されており、具体的には、図19に示されるように、装飾板DPと背板B71との間の上部または上方と、装飾板DPと背板B71との間の下部または下方とにそれぞれ配置されている。なお、照明B73の数および配置位置は、装飾板DPの全体を照らすことができれば特に限定されず、たとえば、装飾板DPと背板B71との間の上部または上方のみに設けられていてもよい。また、照明B73は、装飾板DPの全体を照らすことができれば特に限定されないが、図20に示される例では、装飾板DPの横幅方向に沿って延びる線状の照明である。なお、照明は上述の照明B73および照明B43に加えて、他の照明が設けられてもよい。たとえば、装飾板DPと背板B71との間の左右両側部または左右両側方にそれぞれ配置されていてもよい。
【0069】
本実施形態に係る仏壇BAは、内部に上述の装飾板DPを備えているため、観察者が2つの眼で装飾板DPを視認するときに、平面的な図柄を用いながらも装飾板DPの図柄そのものを立体的に感じることができる。すなわち、装飾板DPの厚さ方向に対する、装飾板DPの視認方向の傾斜角度が変化するにつれて、表示される合成模様SPが変化する。観察者(人間)は、2つの眼(双眼)によって、装飾板DPの厚さ方向に対して、ほぼ同時または瞬時(わずかの時間)に左右方向および/または上下方向に傾斜した方向から視認するので、装飾板DPを正面側から視認する際に、観察者の視点に対する装飾板DPの視認対象位置が、装飾板DPの左右方向および/または上下方向に大きく外れていく程、模様の立体感が増大して演出される。したがって、平面的な図柄を用いながらも、装飾の図柄そのものに立体感が感じられる装飾性の高い仏壇BAを得ることができる。また、装飾板BAが照明B43および照明B73によって照明されることにより、装飾の図柄をより容易かつ明確に視認することができるため、より装飾性の高い仏壇BAを得ることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
【0071】
(1)光透過性を有する板材に所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、
前記装飾板は、1つの板材または前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された複数の板材を備え、
前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、
前記1つの板材または前記複数の板材は、すべての前記板材における厚さ方向の両方の面のうちの少なくとも一部の面で、かつ前記厚さ方向に互いに離間した位置にある複数の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有し、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数の面における前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、装飾板。
【0072】
(2)前記装飾板は、前記1つの板材を備え、
前記板材は、前記板材の厚さ方向における一方の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する第1の図柄を有し、前記板材の厚さ方向における他方の面に、前記組子の図柄の構成単位の残りの部分を構成する第2の図柄を有し、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記板材の一方の面の前記第1の図柄と、前記板材の他方の面の前記第2の図柄との組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、(1)に記載の装飾板。
【0073】
(3)前記装飾板がさらに、光透過性を有する光透過板を備え、
前記光透過板は、前記板材に重ねて配置され、光を乱反射させる加工が施されている、(1)または(2)に記載の装飾板。
【0074】
(4)所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、
前記装飾板は、前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された光透過性を有する複数のシート材を備え、
前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、
前記複数のシート材は、前記装飾板の厚さ方向に互いに間隔をあけて配置され、
前記複数のシート材は、前記シート材における厚さ方向の少なくとも一方の面に、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄を有し、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数のシート材の前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、装飾板。
【0075】
(5)所定の図柄の装飾が施された装飾板であって、
前記装飾板は、前記装飾板の厚さ方向に重なるように配置された複数のシート材を備え、
前記所定の図柄は、組子の図柄の構成単位である模様が繰り返される図柄であり、
前記複数のシート材は、前記装飾板の厚さ方向に互いに間隔をあけて配置され、
前記複数のシート材は、前記シート材の厚さ方向に貫通して光が透過可能な貫通部と、貫通していない非貫通部とを有し、前記非貫通部により、前記組子の図柄の構成単位の一部を構成する互いに異なる図柄、または、前記組子の図柄の構成単位に対応する同じ図柄が形成され、
前記装飾板は、前記装飾板が厚さ方向に視認されたときに、前記複数のシート材の前記図柄の組み合わせによって前記組子の図柄の構成単位が繰り返された合成模様が表示されるように構成されている、装飾板。
【0076】
(6)(1)~(5)のいずれか1つに記載の装飾板を備えた仏壇であって、
前記装飾板は、前記仏壇の前面開口部と、前記仏壇の背板との間に配置され、
前記背板と前記装飾板との間には照明が配置されている、仏壇。
【符号の説明】
【0077】
1 板材
11 一方の面
12 他方の面
2 所定の図柄
21 第1の図柄
22 第2の図柄
3 光透過板
4、41~44 シート材
45 貫通部
46 非貫通部
B1 前面開口部
B4 上面部
B41 外板
B42 内板
B43 照明
B5 底面部
B6 側面部
B7 背面部
B71 背板
B73 照明
B74 支持部
B8 前面扉部
BA 仏壇
D2 仮想直線と平行な方向
D3 方向D2と直交する方向
DP 装飾板
L1 仮想直線
P、P5~P10 模様(組子の図柄の構成単位)
P1 菱形
P2 中心線
P3 正六角形
P4 円弧
SP 合成模様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20