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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038960
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ペースト絞り出し機
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/20 20160101AFI20240313BHJP
   A47J 44/02 20060101ALI20240313BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20240313BHJP
【FI】
A23P30/20
A47J44/02
A23L19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022155551
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】309001724
【氏名又は名称】株式会社和田機械
(72)【発明者】
【氏名】和田 義臣
【テーマコード(参考)】
4B016
4B048
4B053
【Fターム(参考)】
4B016LE04
4B016LG05
4B016LG06
4B016LP03
4B016LP13
4B016LT10
4B048PE05
4B048PM05
4B048PM11
4B053AA03
4B053BL01
(57)【要約】
【課題】 この発明は栗、さつまいも等のイモ類、カボチャ、豆類の餡等々のペーストを絞り出す円筒容器を簡単に着脱できるようにして効率よく、美しく絞り出すための絞り出し器を提供する。
【解決手段】 栗、さつまいも等のイモ類、カボチャ、豆類の餡等々からなるペーストを絞り出す円筒容器の中間部の外周面に、ペースト挿入孔と上端まで切り欠いた切欠き部を一体に設けることにより円筒容器の着脱を簡単に行える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下端が開口した円筒部を備え、その上端部に円筒部よりも外径を大きくした鍔が形成された円筒容器の正面側の中間部にペースト挿入孔が形成され、そのペースト挿入孔の上縁から鍔にかけて円筒部を軸心に沿って切欠いた切欠き部がペースト挿入孔よりも幅狭く形成された円筒容器と、
栗・さつまいも等のイモ類・カボチャ・豆類の餡等々のペーストを複数列のひも状に絞り出す細孔が複数設けられたノズル円盤を内蔵するキャップが円筒容器の下端部に着脱自在に装着され、
円筒容器の上方においてその円筒容器と軸心を一致させたアクチェータがフレームに設けられ、円筒容器内部にアクチェータによって上下に摺動する押し出し円盤が内装されていることを特徴とするペースト絞り出し機。
【請求項2】
ペースト挿入孔の幅は押し出し円盤が挿脱できる幅に設定され、ペースト挿入孔の上部に押し出し円盤が位置決めされている請求項1に記載のペースト絞り出し器。
【請求項3】
円筒容器をその鍔で吊り下げ保持するフレームの上部中央には、円筒容器の円筒部の外径よりも幅が広く、かつ鍔の外径よりも幅が狭くなるようにU字形状に切り欠いた切欠き部を有するハンガー板と、そのハンガー板の上面側において切欠き部の両側に逆L字形状のガイド片を向い合せて固着したハンガー部が設けられ、かつ鍔がハンガー板とガイド片で形成される空間部に挿脱可能に設けられた請求項1及び請求項2に記載のペースト絞り出し機。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、栗・さつまいも等のイモ類・カボチャ・豆類の餡等々のペーストを簡単に効 率よく美しく絞り出すためのペースト絞り出し機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
栗・さつまいも等のイモ類・カボチャ・豆類の餡等々のペーストを円筒容器に収容し、円筒容器の下端に設けられた多数の細孔から搾り出された連続したひも状ペーストで洋菓子や和菓子を覆った菓子類が知られている。
例えば、最も知られているのは栗のペーストを利用した洋菓子のモンブランである。直径数ミリメートルの細孔から絞り出された複数列のひも状ペーストをカップケーキ型のスポンジ生地やタルト生地に覆いかぶせるようにしたものとしてよく知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来モンブラン菓子を作る際に使用される手動の絞り出し器として図10に示すものがある。図10に示す絞り出し器51は、手動操作される機構のもので、ペーストを挿入するために上端が円形に開口された円筒容器52が傾斜状態にその下端において回動可能に支承されている。円筒容器52の下端には直径数ミリの細孔53aが多数設けられたノズル円盤53が内装されている。円筒容器52の内部には円形の押し出し円盤54が軸方向移動可能に設けられている。その押し出し円盤54は、軸心を一致させたラック棒55の下端に取り付けられている。ラック棒55には多数の歯形が形成されており、そのラック棒55はフレーム56上部に設けられた本体ブロック57内において円形の歯車(図示略す)にかみ合っており、この歯車は同一軸上に設けられたハンドル58を所定角度回動させることにより回転する。ハンドル58を手前方向に引き寄せると歯車の回転に伴ってラック棒55が下降し、円筒容器52上端の開口部から挿入された栗ペーストは押し出し円盤54で押し下げられ、ノズル円盤53の細孔53aからひも状に絞り出される構成となっている。
この構成の絞り出し器51においては、絞り出しが終わって次のペーストを円筒容器52に挿入する毎に、ラック棒55に連結された押し出し円盤54を円筒容器52の上部から完全に脱出させるとともに、手前方向へ若干傾斜させてから行う動作が必要となる。円筒容器52へのペースト挿入に手間がかかり、絞り出しの作業効率が悪い。
また、常に片手でハンドル58を操作しなければならないので、栗ペーストを盛り付けるカップケーキ型のスポンジ生地やタルト生地を片手で持って回転させる等々の不安定な動きをしなければならず、見た目のきれいな螺旋状の盛り付けができない。
【0004】
上記不都合を解消する絞り出し器として、本願出願人が出願した特許第7105417号の発明がある。
この発明は、「図11及び図12に示すように上下端が開口した円筒部71を備え、上端部に円筒部71よりも外径を大きくした鍔72が形成された円筒容器73の正面側の長さ方向の中間部にペースト挿入孔74が形成され、背面側の上部にペースト挿入孔74よりも上位に位置させて開口端から鍔72と円筒部71をともに軸心に沿って縦長に切り欠く第1の切り欠き部75と、第1の切り欠き部75の下側に連続して円筒部71の中心部に達する第2の切り欠き部76が第1の切り欠き部75よりも幅広く形成された円筒容器73と、栗・さつまいも等のイモ類・カボチャ・豆類の餡等々のペーストPを複数列のひも状に絞り出す細孔77が複数設けられたノズル円盤78を内蔵するキャップ79が円筒容器71の下端部に着脱自在に装着され、円筒容器73の上方においてその円筒容器71と軸心を一致させたアクチェータ80がフレームFに設けられ、円筒容器73内部にアクチェータ80によって上下動する押し出し円盤81が内装されていることを特徴とするペーストの絞り出し機」である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7105417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記発明においては、円筒容器73の正面側に設けられたペースト挿入孔74とその反対側に設けられた第2の切り欠き部76が円筒部71の中心部まで幅広く形成された円筒容器であって、正面側に設けられたペースト挿入孔74とそのペースト挿入孔74の反対側に設けられた第2の切り欠き部76とは構成上干渉できない。それぞれが上下方向に20ミリメートル程度の間隔を保持しなければ強度を保てない。第2の切り欠き部76は前述の押し出し円盤81を円筒容器73へ挿脱するために必要であり、押し出し円盤81の直径に対応させて幅広く形成しなければならない。第2の切り欠き部76は円筒部71の中心部又は中心部を超える位置まで切欠く必要がある。
ペースト挿入孔74と第2の切り欠き部76の間を一定の距離に保持するために円筒容器73の全長が長くなり、円筒容器73の材料費や製作費が高くつくとともに、エアシリンダやラック棒等のアクチェータもストロークの長いものが必要となる欠点があった。
【0007】
本願の発明は、円筒容器の長さを短くすることにより材料費や製作費を抑え、またストロークの短いアクチェータを採用できるようにする。
【課題を解決するための手段】
この発明は、絞り出し器の円筒容器においてペースト挿入孔をアクチェータで上下動する押し出し円盤を挿脱する切り欠き部としても利用できるようにし、先願の発明で必要であったペースト挿入孔の反対側の切り欠き部をなくすことにより円筒容器の全長を短くした絞り機を提供することにある。
【0008】
本発明は、栗・さつまいも等のイモ類・カボチャ・豆類の餡等々からなるペーストを絞り出すペーストの絞り出し機において、ペーストを収容する円筒容器の外周面にペースト挿入孔と、円筒容器をフレームに対して着脱するために必要な細幅の切り欠き部を連続して設けることにより円筒容器の着脱を簡単にし、円筒容器の全長も短縮化できるようにしたもので、以下の構成となっている。
1. ペーストを挿入する円筒容器は、上下端が開口した円筒部の上端に円筒容器よりも外径寸法を大きくしたリング状の鍔が形成されている。
2.円筒部の正面側の長さ方向の中間の外周面にペースト挿入のためのペースト挿入孔が形成されている
3.円筒容器の下端部には、リング状のキャップが着脱自在に装着されている。このキャップの内部には、ペーストを複数列のひも状に絞り出すためのノズル円盤が内装されている。
4.円筒容器のペースト挿入孔の上縁から鍔の上端に達する切り欠き部が所定幅で形成されている。この切り欠き部は後述のアクチェータ(エアシリンダやラック棒等)のロッド及び連結部材が自由に通過できる幅に設定される。
5.円筒容器にはペースト挿入孔から挿入された団塊状・円柱状・四角柱状等々所定の形状に形成されたペーストを押し下げるための円形の押し出し円盤が上下方向に摺動自在に内装され、その押し出し円盤は円筒容器の軸方向に作動するアクチェータに直接または連結部材を介して連結されている。押し出し円盤の原点位置はペースト挿入孔内の上部に設定される。押し出し円盤の外形寸法は円筒容器の内径寸法よりも小さく設定される。
6.ペースト挿入孔の幅は、上記押し出し円盤が水平方向に挿脱可能となる幅に設定され、円筒部の中心まで、或いは中心よりも若干深い位置まで切り込まれている。
7.円筒容器を着脱自在に垂直に保持するフレームには、円筒部の外径寸法よりも幅がやや広くU字形状に切欠かかれた切り欠き部が形成されたハンガー板が設けられている。
このハンガー板の上面には鍔の両側にほぼ平行にその鍔に近接し、かつ鍔の高さよりも若干高くした逆L字状のガイド片が設けられている。
8.円筒容器は、その鍔が前記ハンガー板と逆L字形状のガイド片で構成される空間部へハンガー板のU字形状の切り欠き部を介して手前から奥方向へ挿脱自在であり、円筒容器はフレームに対して簡単に着脱できる。円筒容器はその鍔が逆L字形状のガイド片に挟まれて上下に大きく動くことなく規制され、アクチェータの作動で大きく上下動することはない。
9.前記ハンガー板の上方に、その切り欠き部の軸心と一致させた軸方向移動用のアクチェータがフレームに垂直に取り付けられている。このアクチェータは、エアシリンダ、電動アクチェータや歯車にかみ合ったラック棒等々が採用される。
10.アクチェータがエアシリンダの場合、電磁弁を介して圧力空気源に接続され、操作回路の切り替えによりピストンロッドが伸縮して押し出し円盤を上下に摺動させる。
11.アクチェータが電動アクチェータの場合、モータが回転してロッドが伸縮して押し出し円盤を上下に摺動させる。
12.アクチェータがラック棒の場合、ラック棒を上下させるハンドルを押し下げ方向に操作すると押し出し円盤が下降し、ハンドルを上昇方向へ操作すると押し出し円盤が上昇する。
13.上記円筒容器をフレームに装着するには、円筒容器を垂直に保持してペースト挿入孔を背面側(フレーム側)に向け、鍔を逆L字形状に形成されたガイド片の空間部に水平に押し入れる。
14.ペースト挿入孔を背面側に向けて押し込むと、押し出し円盤がペースト挿入孔の中へ入り込むとともに、アクチェータのロッド及び連結部材がペースト挿入孔の上部の切欠き部から円筒容器内に入り込み、押し出し円盤の侵入が完了したところで円筒容器を180度半回転させれば、ペースト挿入孔及び切り欠き部が正面側を向くためペーストの挿入が可能となり、ペースト絞り出しの準備が整う。
15.円筒容器に形成されたペースト挿入孔から所定の形状に形成されたペーストを挿入し、アクチェータを作動させる。
16.アクチェータがエアシリンダの場合、電磁弁が作動してエアシリンダの上端部から圧力空気がシリンダ内に供給されることによりピストンロッドが突出し、ピストンロッド及び連結部材を介して押し出し円盤が下降し、ペーストがノズル円盤から所定の太さのひも状ペーストとして絞り出される。
アクチェータが電動アクチェータの場合、モータが作動してペーストがノズル円盤から所定の太さのペーストとして絞り出される。
アクチェータがラック棒の場合、ハンドルを押し下げ方向へ操作するとペーストがノズル円盤から所定の太さのペーストとして絞り出される。
17.押し出し円盤が最下端まで下降して絞り出しが終了すると、押し出し円盤は瞬時又は数秒の短時間で上昇に転じてペースト挿入孔内の上方の原点位置に復帰し、次の絞り出しに備える。
押し出し円盤はペースト挿入孔内の上位に位置し、続いてのペーストの挿入が妨げられることはない。従って、押し出し円盤を円筒容器から脱出させることなく連続して絞り出し作業を継続することができる。
18.1回又は数回の絞り出しが終了して掃除等々のために円筒容器をフレームから取り外すには、円筒容器内の押し出し円盤が原点位置にあるときに、円筒容器を180度半回転させる。円筒容器が半回転するとペースト挿入孔とその上部の切り欠き部が押し出し円盤とシリンダのロッド及び連結部材の脱出位置に対応し、円筒容器を手前に水平に引き寄せれば円筒容器をフレームから簡単に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成とすることにより、以下の効果が得られる。
押し出し円盤の原点位置がペースト挿入孔内で上位に設定されているから、押し出し円盤を円筒容器から脱出させることなくペーストの挿入が即可能となり、従来のように押し出し円盤を円筒容器から毎回脱出させてペーストを挿入する手間及び時間がかからず、連続した作業が可能となり、作業性の向上につながる。
押し出し円盤及びアクチェータのロッドやラック棒(連結部材を含む)が円筒容器内に位置していても、円筒容器をそのまま半回転させて手前へ引き寄せるだけで取り外しが可能となり、円筒容器の掃除やノズル円盤の交換が容易となる。
また押し出し円盤が最初からペースト挿入孔内に位置し、しかもペーストの挿入を妨げることのない位置に設定されているので、連続した迅速な絞り出し作業が可能となる。
円筒容器のペースト挿入孔とその上位の切り欠き部が同一面側に連続して形成されることにより、ペースト挿入孔とその反対側の上位に形成された切欠き部との間に必要であったスペースを不要とするため円筒容器の短縮化が可能となり、アクチェータの作動ストロークも短くできるので、絞り工程及び上昇させるための戻り工程時間を短くでき、スピードアップにつながる。
また円筒容器の短縮化により、装置の製造コストも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】は本発明の実施例の側面図である。
図2】は本発明の実施例の正面図である。
図3】は本発明の実施例の円筒容器とキャップ及び押し出し円盤の斜視図である。
図4】は本発明の実施例の円筒容器と押し出し円盤の平面図である。
図5】は本発明の実施例のハンガー部の斜視図である。
図6】は本発明の実施例の作動要領を示す側面図である。
図7】は本発明の実施例の作動要領を示す側面図である。
図8】は本発明の円筒容器とキャップの他の実施例の斜視図である。
図9】は本発明の他の実施例のキャップの正面図である。
図10】は従来例の斜視図である。
図11】は他の従来例の側面図である。
図12】は他の従来例の円筒容器と押し出し円盤及びキャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施例を図1ないし図9に基づいて説明する。
【実施例0012】
栗・さつまいも等のイモ類・カボチャ・豆類の餡等々のペーストPは図1及び図2に示すように、円柱又は四角柱状に形成されている。このペーストPをひも状のペーストに加工するための円筒容器1は、図3に示すように金属又は硬質の合成樹脂からなり、円筒部2の上端及び下端が開口しており、上端部にはリング状に鍔3が形成されている。この鍔3は円筒部2と一体の削り出しによる場合と、リングを円筒部2の上端に嵌装し溶接する場合がある。
【0013】
図1ないし図4において、上端が開口した円筒部2の外周面の正面側にペースト挿入孔4が形成されている。このペースト挿入孔4は図4に示すように中心線からXミリだけ深く切り込まれている。Xは0.5ミリメートルから2ミリメートル程度である。この円筒容器1に内装される押し出し円盤5は円筒容器1の内径φD1よりも僅かに小径のφD2に形成されているのでX寸法が0であっても挿脱できるが、より作業性良く簡単に挿脱できるようにXは0.5ミリメートルから2ミリメートル程度に設定される。従って、押し出し円盤5はペースト挿入孔4を通して水平方向に挿脱可能となっている。円筒部2の内壁が押し出し円盤5を挿脱する際の妨げにはならない。
円筒部2に形成されたペースト挿入孔4の上縁から鍔3にかけて所定幅の切り欠き部6が形成されている。この切り欠き部6の幅は、押し出し円盤5を上下動させるアクチェータ7のロッド7a及び連結部材8が通過できる十分な距離である。
【0014】
円筒部2に形成されたペースト挿入孔4は、所定の大きさに成形されたスティック状のペーストPを円筒容器1へ挿入するためのものでる。このペースト挿入孔4はスティック状ペーストPの形状に対応した大きさに形成される。
【0015】
円筒部2の下端部にはねじ部9が形成され、リング状のキャップ10が着脱自在に装着されている。この実施例では円筒部2の下端外面におねじが形成され、キャップ10の内面にめねじが形成されて螺着されている。ペーストPを絞り出すための多数の細孔11を有するノズル円盤12がキャップ10に内装されている。ノズル円盤12の細孔11の穴径は、例えば1ミリメートルから5ミリミリメートル程度である。絞り出されるひも状ペーストの直径は用途に応じて決定されるので上記穴径に限定されない。
【0016】
円筒容器1を装着するフレームFは所定の高さに枠組みされており、そのフレームFの上部中央に円筒容器2の鍔3を引掛けるためのハンガー部13が設けられている。ハンガー部13は板状で一端がU字形状に切欠かれた切り欠き部14aを有するハンガー板14の上面側にその切り欠き部14aの両側に逆L字形状のガイド片15が固着されている。
切り欠き部14aの幅Aが円筒部2の外径寸法よりも若干幅広で、かつ円筒部2上端の鍔3の外径寸法よりも狭くなるように形成されている。また、ガイド片15の内幅Bは鍔3の外形寸法よりも若干幅広に形成されている。これにより、鍔3はガイド片15下側の空間部15aに挿脱自在であり、円筒部2は切り欠き部14aへ挿脱自在である。
【0017】
ハンガー部13の上側にはアクチェータとしてのエアシリンダ取り付け板16がフレームFに設けられている。このエアシリンダ取り付け板16にはアクチェータとしてエアシリンダ7が垂直に取り付けられており、エアシリンダ7のロッド7aの先端に連結部材8を介して前記押し出し円盤5が取り付けられている。この連結部材8はアクチェータのロッドのストロークに応じて設けられるもので、必要としない場合があり、その時はアクチェータのロッドと押し出し円盤5は直結される。円筒容器1とアクチェータは軸心が一致しており、押し出し円盤5は円筒容器1内でスムーズに上下に摺動可能である。
【0018】
円筒容器1をフレームFのハンガー部13に取り付けるには、図6及び図7に示すように、円筒容器1のペースト挿入孔4をフレームF側に向け、フレームF側へ移動させながら鍔3をハンガー板14とガイド片15の間に形成された空間部15aに押し入れる。このとき押し出し円盤5はペースト挿入孔4を通して円筒容器1内に入り込み、エアシリンダ7のロッド7aと連結部材8はペースト挿入孔4上部の切り欠き部6を通して円筒容器1内に入り込む。続いて円筒容器1を180度半回転させ、ペースト挿入孔4を正面側に向ける。
【0019】
エアシリンダ7上端のスピードコントローラ18から圧力空気を供給すると、ピストンロッド7aが下降を始め、押し出し円盤5が円筒容器1内においてペーストPを押し下げて最下端に達すると、エアシリンダ7の下端部の外側に装着されたセンサ17がエアシリンダ7内部の磁石に反応して通電し、電磁弁(図示略す)を作動させて圧力空気のシリンダポートを切り替えるように作動する。ポートの切り替えが行われると、押し出し円盤5はピストンロッド7aとともに上昇してペースト挿入孔4の上部位置に設定された原点に復帰し、1サイクルの絞り出しが終了する。スピードコントローラでピストンロッドの伸縮速度を調整する。
【0020】
なお上記実施例では押し出し円盤5を上下に摺動させるアクチェータとしてエアシリンダを採用したが、手動式絞り器の場合にはラック棒であってもよい。
【0021】
上記装置において、スティック状ペーストPを使って複数列のひも状ペーストを洋菓子または和菓子等の上に螺旋状に回しかけるには、ペーストPを円筒容器1のペースト挿入孔4から挿入し、制御盤(図示略す)の運転スイッチを押すと電磁弁が作動するため圧力空気がエアシリンダ7の上端のポートから供給され、ピストンロッド7aが押し出し円盤5を最下端まで押し下げる。円筒容器1内においてペーストPは押し出し円盤5に押し潰されてノズル円盤12の細孔11からひも状に絞り出される。
上記実施例ではスティック状のペーストPを使用したが、団塊状のペーストであってもよいし、所定量ずつスプーンですくって挿入してもよい。
【0022】
上記実施例においては、ノズル円盤12を内蔵するキャップ10を円筒容器1の下端に螺着したが、これに限定されるものではなく、図8に示すようにしてもよい。この実施例は、円筒容器部21の円筒部22下部に円形または方形等のピン23を数か所反対向きに突出させ、キャップ24側にピン23の形状に対応した切り欠き部24aをL字状に形成したものである。キャップ24の切り欠き部24aと円筒容器21のピン23を対応させ、ピン23が切り欠き部24aに入り込むようにした後キャップ21を押し上げ、さらに所定角度回転させる。切り欠き部24aの終端部の上辺に逆凹状の窪み24bを設けておけば、押し出しの際にキャップ24が押し下げられ、ピン23がその窪み24bに入り込み、キャップ24の回転防止が可能である。キャップ24にはペーストを絞り出す際の下向の力が常に作用するからピン23と窪み24bの係合が外れることはない。
キャップ24を外すには、キャップ24を持ち上げてピン23と切り欠き部24aを対応させ、前記と反対方向に回転させればよい。
この実施例では、螺着式キャップに比べキャップ24を簡単に着脱できるから、ひも状ペースト径の変更のためのノズル円盤12の交換に素早く対応できる。
【0023】
上記実施例の装置においては、ペーストPを円筒容器1の外周面に設けられたペースト挿入孔4から挿入して制御盤の運転スイッチを押すだけでひも状ペーストが自動で絞り出されるので、洋菓子又は和菓子その他を載せた皿やカップを両手で支えて回転操作できる。従来装置のように、片手で押し下げハンドルを操作しながら、同時に他の片手で洋菓子又は和菓子を載せた皿やカップを回転操作する場合に比べてきれいな螺旋状に盛り付けができる。
【符号の説明】
【0024】
1・・・円筒容器
2・・・円筒部
3・・・鍔
4・・・ペースト挿入孔
5・・・押し出し円盤
6・・・切り欠き部
7・・・エアシリンダ
8・・・切り欠き部
10・・キャップ
11・・細孔
12・・ノズル円盤
13・・ハンガー部
14・・ハンガー板
15・・ガイド片
F・・・フレーム
P・・・ペースト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12