(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038961
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】太陽電池および光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0236 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H01L31/04 280
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159390
(22)【出願日】2022-10-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】202211098150.1
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】毛傑
(72)【発明者】
【氏名】ワウ ショウ
(72)【発明者】
【氏名】鄭霈霆
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151AA04
5F151AA05
5F151AA07
5F151AA11
5F151AA16
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5F151FA06
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5F251AA03
5F251AA04
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5F251AA07
5F251AA11
5F251AA16
5F251AA20
5F251DA20
5F251FA06
5F251GA04
5F251GA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光電変換効率を向上させることに有利である太陽電池および光起電力モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池は、基板と、第1および第2ピラミッド構造と、第3および第4ピラミッド構造と、第1トンネル層及び第1ドーピング導電層と、第2トンネル層及び第2ドーピング導電層と、を含み、基板の前面に金属パターン領域と非金属パターン領域があり、第1と第2ピラミッド構造が金属パターン領域中に位置し、第1ピラミッド構造のボトム寸法が第2ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、第3と第4ピラミッド構造が非金属パターン領域中に位置し、第3ピラミッド構造のボトム寸法が第4ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、第1ピラミッド構造の金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、第3ピラミッド構造の非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1ピラミッド構造および第2ピラミッド構造と、第3ピラミッド構造および第4ピラミッド構造と、第1トンネル層及び第1ドーピング導電層と、第2トンネル層及び第2ドーピング導電層と、を含み、
前記基板の前面に金属パターン領域と非金属パターン領域があり、
前記第1ピラミッド構造と前記第2ピラミッド構造が前記金属パターン領域中に位置し、前記第1ピラミッド構造のボトム寸法が前記第2ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、
前記第3ピラミッド構造と前記第4ピラミッド構造が前記非金属パターン領域中に位置し、前記第3ピラミッド構造のボトム寸法が前記第4ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、ここで、前記第1ピラミッド構造の金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、前記第3ピラミッド構造の非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合よりも大きく、
前記第1トンネル層及び前記第1ドーピング導電層は前記金属パターン領域中の基板の前面部分に位置し、かつ前記基板から離れる方向に沿って設けられ、
前記第2トンネル層及び前記第2ドーピング導電層は前記基板の裏面に位置し、かつ前記基板から離れる方向に沿って設けられる、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、前記第2ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は80%~90%であり、前記第2ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は10%~20%である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は0.7μm~3μmであり、前記第2ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は1μm未満である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1トンネル層の厚さは0.5nm~5nmであり、前記第1ドーピング導電層の厚さは20nm~300nmである、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ドーピング導電層は第1ドーピング元素を含み、前記第1ドーピング元素はアニールによって活性化された後、活性化された第1ドーピング元素を獲得し、前記第1ドーピング導電層における前記第1ドーピング元素の活性化率は40%~80%である、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記活性化された第1ドーピング元素の濃度は1×1020atom/cm3~6×1020atom/cm3である、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1ピラミッド構造のトップからボトムまでの高さは、前記第2ピラミッド構造のトップからボトムまでの高さ以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第3ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、前記第4ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第3ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は50%~70%であり、前記第4ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は30%~50%である、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第3ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は0.7μm~3μmであり、前記第4ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は1μm未満である、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記非金属パターン領域中の基板の前面部分の反射率は0.8%~2%である、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
第1パッシベーション層をさらに含み、前記第1パッシベーション層の第1部分は前記第1ドーピング導電層の前記基板から離れた表面に位置し、前記第1パッシベーション層の第2部分は前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に位置する、
ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記第1パッシベーション層の第1部分は前記第1パッシベーション層の第2部分と面一ではない、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池。
【請求項15】
第1電極をさらに含み、前記第1電極は前記金属パターン領域に設けられ、前記第1ドーピング導電層と電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項16】
拡散領域をさらに含み、前記拡散領域は前記金属パターン領域中の前記基板部分に位置し、前記拡散領域のトップは前記第1トンネル層と接触し、前記拡散領域のドーピング元素濃度が前記基板のドーピング元素濃度より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記第1ドーピング導電層のドーピング元素のタイプは前記基板のドーピング元素のタイプと同じであり、前記第2ドーピング導電層のドーピング元素のタイプは前記第1ドーピング導電層のドーピング元素のタイプと異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項18】
記基板はN型基板である、
ことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記第1ドーピング導電層の材料は炭化ケイ素、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含み、
前記第2ドーピング導電層の材料は炭化ケイ素、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆うための封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、太陽電池の分野に関し、特に太陽電池および光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は優れた光電変換能力を持っており、通常、太陽電池を製造する過程において、まず、基板にテクスチャを作成し、基板前面と基板裏面にテクスチャ構造を持たせる必要がある。テクスチャ構造は、基板の入射光に対する吸収、後に基板に成長する膜層の均一性及び基板界面との接触性能に重要な影響をもたらし、太陽電池の光電変換性能にも影響を及ぼす。
【0003】
従来の太陽電池には光電変換効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例には、少なくとも太陽電池の光電変換効率を向上させることに有利である太陽電池および光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例には、太陽電池が提供され、当該太陽電池は、基板と、第1ピラミッド構造および第2ピラミッド構造と、第3ピラミッド構造および第4ピラミッド構造と、第1トンネル層及び第1ドーピング導電層と、第2トンネル層及び第2ドーピング導電層と、を含み、前記基板の前面に金属パターン領域と非金属パターン領域があり、前記第1ピラミッド構造と前記第2ピラミッド構造が前記金属パターン領域中に位置し、前記第1ピラミッド構造のボトム寸法が前記第2ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、前記第3ピラミッド構造と前記第4ピラミッド構造が前記非金属パターン領域中に位置し、前記第3ピラミッド構造のボトム寸法が前記第4ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、ここで、前記第1ピラミッド構造の金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、前記第3ピラミッド構造の非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合よりも大きく、前記第1トンネル層及び前記第1ドーピング導電層は前記金属パターン領域中の基板の前面部分に位置し、かつ前記基板から離れる方向に沿って設けられ、前記第2トンネル層及び前記第2ドーピング導電層は前記基板の裏面に位置し、かつ前記基板から離れる方向に沿って設けられる。
【0006】
また、前記第1ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、前記第2ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合より大きい。
【0007】
また、前記第1ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は80%~90%であり、前記第2ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は10%~20%である。
【0008】
また、前記第1ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は0.7μm~3μmであり、前記第2ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は1μm未満である。
【0009】
また、前記第1トンネル層の厚さは0.5nm~5nmであり、前記第1ドーピング導電層の厚さは20nm~300nmである。
【0010】
また、前記第1ドーピング導電層は第1ドーピング元素を含み、前記第1ドーピング元素はアニールによって活性化された後、活性化された第1ドーピング元素を獲得し、前記第1ドーピング導電層における前記第1ドーピング元素の活性化率は40%~80%である。
【0011】
また、前記活性化された第1ドーピング元素の濃度は1×1020atom/cm3~6×1020atom/cm3である。
【0012】
また、前記第1ピラミッド構造のトップからボトムまでの高さは、前記第2ピラミッド構造のトップからボトムまでの高さ以上である。
【0013】
また、前記第3ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、前記第4ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合より大きい。
【0014】
また、前記第3ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は50%~70%であり、前記第4ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は30%~50%である。
【0015】
また、前記第3ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は0.7μm~3μmであり、前記第4ピラミッド構造のボトムの一次元寸法は1μm未満である。
【0016】
また、前記非金属パターン領域中の基板の前面部分の反射率は0.8%~2%である。
【0017】
また、第1パッシベーション層をさらに含み、前記第1パッシベーション層の第1部分は前記第1ドーピング導電層の前記基板から離れた表面に位置し、前記第1パッシベーション層の第2部分は前記非金属パターン領域中の基板の前面部分に位置する。
【0018】
また、前記第1パッシベーション層の第1部分は前記第1パッシベーション層の第2部分と面一ではない。
【0019】
また、第1電極をさらに含み、前記第1電極は前記金属パターン領域に設けられ、前記第1ドーピング導電層と電気的に接続される。
【0020】
また、拡散領域をさらに含み、前記拡散領域は前記金属パターン領域中の前記基板部分に位置し、前記拡散領域のトップは前記第1トンネル層と接触し、前記拡散領域のドーピング元素濃度が前記基板のドーピング元素濃度より大きい。
【0021】
また、前記第1ドーピング導電層のドーピング元素のタイプは前記基板のドーピング元素のタイプと同じであり、前記第2ドーピング導電層のドーピング元素のタイプは前記第1ドーピング導電層のドーピング元素のタイプと異なる。
【0022】
また、前記基板はN型基板である。
【0023】
また、前記第1ドーピング導電層の材料は炭化ケイ素、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含み、前記第2ドーピング導電層の材料は炭化ケイ素、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
それに応じて、本願の実施例には、光起電力モジュールがさらに提供され、当該光起電力モジュールは、上記のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層と、封止層のセルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本願の実施例に係る技術案は少なくとも以下の利点を有する。
【0026】
本願の実施例に係る太陽電池の技術案では、寸法の大きな第1ピラミッド構造が金属パターン領域に占める面積割合を第1割合とし、寸法の大きな第3ピラミッド構造が非金属パターン領域に占める面積割合を第2割合とし、第1割合が第2割合よりも大きく、つまり、寸法の大きな第3ピラミッド構造の非金属パターン領域に占める面積割合に比べて、寸法が大きな第1ピラミッド構造の金属パターン領域に占める面積割合をより大きくすることで、非金属パターン領域におけるピラミッド構造に比べて、金属パターン領域におけるピラミッド構造の寸法均一度が高くなり、粗さがより大きくなる。このように、実際に第1トンネル層と第1ドーピング導電層を成長する工程において、金属パターン領域の異なる位置での成長確率は近くなり、成長された第1トンネル層及び第1ドーピング導電層の厚さ均一性を向上させ、第1トンネル層と基板の前面境界部の界面欠陥を低減し、基板中のキャリアの第1ドーピング導電層への移動度を高めることができる。
【0027】
また、非金属パターン領域において、寸法が大きな第3ピラミッド構造の面積割合が小さく、即ち、非金属パターン領域において、単位面積当たりの第3ピラミッド構造と第4ピラミッド構造の数がより多くなり、隣接する第3ピラミッド構造間または隣接する第3ピラミッド構造と第4ピラミッド構造の間には、入射光に対して拡散反射効果を生じさせ、入射光に対する反射率を低減し、且つ非金属パターン領域が向かう基板の表面部分に第1ドーピング導電層が設けられていないため、非金属パターン領域の入射光に対する吸収を大幅に増やすことができる。発見しやすいが、本願の実施例では、金属パターン領域における寸法の大きなピラミッド構造の面積割合を非金属パターン領域における寸法の大きなピラミッド構造の面積割合よりも大きくするように設定することにより、キャリアの輸送効率を向上させるとともに、前面の入射光に対する吸収利用率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
【
図1】
図1は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の断面構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施例によって提供される太陽電池における金属パターン領域が向かう基板の前面の上面視構成SEM図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施例によって提供される太陽電池における金属パターン領域が向かう基板の前面の側面視構成SEM図である。
【
図4】
図4は、本願の一実施例によって提供される太陽電池における非金属パターン領域が向かう基板の前面の上面視構成SEM図である。
【
図5】
図5は、本願の一実施例によって提供される太陽電池における非金属パターン領域が向かう基板の前面の側面視構成SEM図である。
【
図6】
図6は、本願の一実施例によって提供される別の太陽電池の断面構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本願の一実施例によって提供される光起電力モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
背景技術から分かるように、従来の太陽電池には光電変換効率が低いという問題がある。
【0030】
分析によると、従来の太陽電池の光電変換効率が低い原因の1つとしては、現在、基板の前面では通常拡散プロセスを用いて一部の基板をエミッタに変換し、エミッタにおけるドーピング元素のタイプは基板におけるドーピング元素のタイプと異なっており、基板とPN接合を形成することである。ただし、このような構造は、基板前面の金属パターン領域のキャリア再結合が大きすぎて、太陽電池の開放電圧と変換効率に影響を及ぼす。もう1つとしては、現在、基底表面のテクスチャについて、通常、テクスチャにおける各テクスチャ構造の形態に注目され、テクスチャ構造全体の寸法分布にはあまり注目されていないことである。実際、テクスチャ構造全体の寸法分布は基板表面の膜層の成長の均一性及び膜層とテクスチャとの接合品質の良し悪しに大きな影響を与える。例えば、膜層とテクスチャとの接合品質が悪いと、膜層と基板表面との接触面が平坦にならず、基板表面の界面欠陥を増やし、キャリア移動度に影響を与え、太陽電池の光電変換性能が悪くなってしまう。
【0031】
本願の実施例に係る太陽電池では、寸法の大きな第1ピラミッド構造が金属パターン領域に占める面積割合は、寸法の大きな第3ピラミッド構造が非金属パターン領域に占める面積割合よりも大きく、これにより、非金属パターン領域におけるピラミッド構造に比べて、金属パターン領域におけるピラミッド構造の寸法均一度が高くなり、粗さがより大きくなる。このように、実際に第1トンネル層と第1ドーピング導電層を成長する工程において、金属パターン領域の異なる位置での成長確率は近くなり、成長された第1トンネル層及び第1ドーピング導電層の厚さ均一性を向上させ、第1トンネル層と基板の前面境界部の界面欠陥を低減し、基板中のキャリアの第1ドーピング導電層への移動度を高めることができる。また、非金属パターン領域において、寸法が大きな第3ピラミッド構造の面積割合が小さいため、非金属パターン領域では単位面積当たりの第3ピラミッド構造と第4ピラミッド構造の数が多く、隣接する第3ピラミッド構造間または隣接する第3ピラミッド構造と第4ピラミッド構造の間には、入射光に対して拡散反射効果を生じさせ、入射光に対する反射率を低減し、且つ非金属パターン領域が向かう基板表面に第1ドーピング導電層が設けられていないため、非金属パターン領域での入射光の吸収を大幅に増やすことができる。本願の実施例では、第1トンネル層と第1ドーピング導電層は金属パターン領域が向かう基板の前面にのみ位置するという構造に基づいて、金属パターン領域における第1ピラミッド構造と第2ピラミッド構造の寸法分布と非金属パターン領域における第3ピラミッド構造と第4ピラミッド構造の寸法分布を設計し、キャリア移動度を高めるとともに、基板の入射光に対する利用率を増やすことを実現する。
【0032】
以下、本願の各実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0033】
図1は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の断面構成を示す図である。
【0034】
図1に示すように、太陽電池は、基板100と、第1ピラミッド構造11および第2ピラミッド構造12と、第3ピラミッド構造13および第4ピラミッド構造14と、第1トンネル層110及び第1ドーピング導電層120と、第2トンネル層130及び第2ドーピング導電層140と、を含み、基板100の前面に金属パターン領域と非金属パターン領域があり、第1ピラミッド構造11と第2ピラミッド構造12が金属パターン領域中に位置し、第1ピラミッド構造11のボトム寸法が第2ピラミッド構造12のボトム寸法より大きく、第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14が非金属パターン領域中に位置し、第3ピラミッド構造13のボトム寸法が第4ピラミッド構造14のボトム寸法より大きく、ここで、第1ピラミッド構造11の金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合は、第3ピラミッド構造13の非金属パターン領域中の基板の前面部分に占める面積割合よりも大きく、第1トンネル層110及び第1ドーピング導電層120は金属パターン領域中の基板100の前面部分に位置し、かつ基板100から離れる方向に沿って設けられ、第2トンネル層130および第2ドーピング導電層140は基板100の裏面に位置し、かつ基板100から離れる方向に沿って設けられる。
【0035】
本願の実施例では、第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120は金属パターン領域が向かう基板100の前面にのみ位置するという構造に基づいて、金属パターン領域における第1ピラミッド構造11と第2ピラミッド構造12の寸法分布と非金属パターン領域における第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の寸法分布を設計する。この中で、金属パターン領域を設置するにあたっては、寸法が大きな第1ピラミッド構造11の面積割合を比較的大きくすることで、金属パターン領域におけるピラミッド構造の寸法均一度が高くなり、粗さがより大きくなる。このように、実際に第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120を成長する工程では、金属パターン領域の異なる位置での成長確率は近くなり、成長された第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120の厚さ均一性を向上させ、第1トンネル層110と基板100の接触界面が平坦になり、即ち第1トンネル層110と基板100の接触界面に空洞が現れる確率が低くなり、第1トンネル層110と基板100の前面境界部の界面欠陥を低減し、基板100中のキャリアの第1ドーピング導電層120への移動度を高めることができる。また、金属パターン領域が向かう基板100の前面の粗さが大きく、第1トンネル層110と基板100の前面の接触面積を増やすことができ、これによって、キャリアにより大きなトンネル経路を提供し、さらにキャリア移動度を高めることができる。
【0036】
非金属パターン領域を設置するにあたっては、寸法が大きな第3ピラミッド構造13の占める面積割合を小さくすることで、単位面積当たりの第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の数がより多くなり、入射光に対して拡散反射を生じさせる効果を強め、入射光に対する反射率を減らすことができる。また、非金属パターン領域が向かう基板100表面に第1ドーピング導電層120が設けられていないため、第1ドーピング導電層120の入射光に対する寄生吸収を避け、非金属パターン領域の入射光に対する吸収を大幅に増やすことができる。これにより、キャリア移動度を高めるとともに、基板100の入射光に対する利用率を増やすことができる。
【0037】
基板100は入射光を受光して光生成キャリアを生成するために用いられ、いくつかの実施例では、基板100はシリコン基板であってもよく、シリコン基板の材料は単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンの少なくとも1種であってもよい。いくつかの実施例では、基板100の材料は炭化珪素、有機材料または多成分化合物であってもよい。多成分化合物は、ペロブスカイト、ガリウム砒素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0038】
いくつかの実施例では、基板100内にドーピング元素を備え、ドーピング元素のタイプはN型またはP型であり、N型元素はリン(P)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)またはヒ素(As)などのV族元素であってもよく、P型元素はホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)またはインジウム(In)などのIII族元素であってもよい。例えば、基板100がP型基板の場合、その内部のドーピング元素のタイプはP型である。いくつかの実施例では、基板100がN型基板の場合、その内部のドーピング元素のタイプはN型である。
【0039】
基板100の前面と裏面はいずれも入射光を受光したり、光を反射したりするために用いられることができる。基板100の前面の第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120は基板100の前面のパッシベーションコンタクト構造を構成するために使われ、基板100の裏面の第2トンネル層130と第2ドーピング導電層140は基板100の裏面のパッシベーションコンタクト構造を構成するために使われ、基板100の前面と裏面にパッシベーションコンタクト構造を設けて、太陽電池は両面TOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)電池として形成される。これによって、基板100の前面および裏面に位置するパッシベーションコンタクト構造は、基板100の前面および裏面の両方に対してキャリア再結合を低減する役割を果たすことができ、基板100のいずれか一方の表面のみにパッシベーションコンタクト構造を形成することに比べて、太陽電池のキャリア損失を大幅に低減し、太陽電池の開放電圧および短絡電流を高めることができる。本願の実施例では、金属パターン領域が向かう基板100の前面にのみ第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120を設けることにより、第1ドーピング導電層120の入射光に対する寄生吸収を低減し、非金属パターン領域の入射光に対する吸収利用率を高めることができる。
【0040】
パッシベーションコンタクト構造を形成することにより、キャリアの基板100表面での再結合を低減し、太陽電池の開放電圧を増やし、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0041】
第1トンネル層110と第2トンネル層130は基板100表面の界面パッシベーションを実現するために使われ、化学的パッシベーション効果を発揮する。具体的には基板100表面のダングリングボンドを飽和させることにより、基板100表面の界面欠陥準位密度を低下させ、基板100表面の再結合中心を減少させる。第1トンネル層110と第2トンネル層130の存在により、多数キャリアが基板100の表面をトンネル通過して基板100の中に到着し、キャリアの選択的輸送を実現できる。具体的には、多数キャリアは第1トンネル層110と基板100の接触界面及び第2トンネル層130と基板100の接触界面を通過して基板100にトンネルする。
【0042】
本願の実施例では、金属パターン領域における寸法が大きな第1ピラミッド構造11の面積割合を非金属パターン領域における寸法が大きな第3ピラミッド構造13の面積割合より大きくすることによって、金属パターン領域における基板100の前面のピラミッド構造の粗さが大きくて、均一性がより高くなる。これにより、実際に成長された第1トンネル層110の均一性を向上させ、第1トンネル層110と基板100の接触界面の平坦さを高めることができる。一方、第1トンネル層110と基板100の前面間の接触面積を大きくしたため、多くのキャリアは第1トンネル層110と基板100間の接触界面を通過して基板100の中にトンネルすることができる。このように、非金属パターン領域における基板100の前面の入射光に対する低反射率を維持するとともに、キャリア移動度を向上させ、太陽電池の開放電圧と短絡電流を大幅に高め、太陽電池の光電変換性能を改善できる。
【0043】
いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造11は四面体、近似四面体、五面体、または近似五面体などの構造であってもよい。いくつかの実施例では、第2ピラミッド構造12は四面体、近似四面体、五面体、または近似五面体などの構造であってもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造11の金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合は、第2ピラミッド構造12の金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合より大きい。つまり、本願の実施例では、金属パターン領域が向かう基板100の前面における第1ピラミッド構造11と第2ピラミッド構造12の寸法分布を設計することにより、金属パターン領域が向かう基板100の前面において、寸法が大きな第1ピラミッド構造11が多数を占める。第1ピラミッド構造11の寸法が大きいため、寸法の小さい第2ピラミッド構造12の占める面積割合をより大きくすることに比べて、同じ面積に必要な第1ピラミッド構造11の数が少ない。したがって、寸法の均一性を実現しやすくなる。また、第1ピラミッド構造11の数を少なくすることで、テクスチャ構造(即ちピラミッド構造)による基板100の前面へのダメージを減らすことができ、基板100の前面の界面準位欠陥を低減し、キャリア再結合中心の発生を減らすことができる。つまり、金属パターン領域が向かう基板100の前面におけるテクスチャ構造の寸法均一性が非金属パターン領域に比べて大きくなるだけでなく、金属パターン領域自体のテクスチャ構造の寸法均一性もさらに大きくなり、第1トンネル層110と基板100の接触界面の平坦さをさらに高め、第1トンネル層110と基板100の前面の接触面積をさらに増やし、基板100の界面準位欠陥を減らし、キャリア移動度を高める。
【0045】
いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造11の金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合は80%~90%であり、例えば、80%~82%、82%~83%、83%~85%、85%~87%、87%~89%または89%~90%であってもよく、第2ピラミッド構造12の金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合は10%~20%であり、例えば、10%~12%、12%~14%、14%~15%、15%~17%、17%~19%または19%~20%であってもよい。つまり、第1ピラミッド構造11の金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合は1に近いため、金属パターン領域が向かう基板100の前面におけるテクスチャ構造の非常に高い寸法均一性を実現でき、実際に第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120を成長する工程において、成長された第1トンネル層110および第1ドーピング導電層120の高い厚さ均一性を実現し、第1トンネル層110と基板100の境界部での界面欠陥を低減し、界面部でのキャリア再結合中心の発生を減らすことができる。また、この範囲内において、金属パターン領域の向かう基板100の前面の粗さを大幅に向上させ、第1トンネル層110と基板100前面との接触面積を大幅に増やし、非金属パターン領域の入射光に対する利用率を向上させるとともに、キャリア移動度を高め、太陽電池の光電変換性能を改善できる。
【0046】
図2~
図3に示すように、注意すべきことであるが、金属パターン領域が向かう基板100の前面において、第1ピラミッド構造11および第2ピラミッド構造12の数が複数個であり、異なる第1ピラミッド構造11間および異なる第2ピラミッド構造12間でわずかな寸法差があるが、各第1ピラミッド構造11の全体寸法はほぼ同じで、各第2ピラミッド構造12の全体寸法はほぼ同じである。本願の実施例における第1ピラミッド構造11、第2ピラミッド構造12、第3ピラミッド構造13及び第4ピラミッド構造14の寸法はサンプリング領域内の平均寸法である。具体的には、いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造11のボトムの一次元寸法は0.7μm~3μmであってもよく、例えば、0.7μm~0.9μm、0.9μm~1μm、1μm~1.2μm、1.2μm~1.4μm、1.4μm~1.5μm、1.5μm~1.7μm、1.7μm~1.9μm、1.9μm~2μm、2μm~2.3μm、2.3μm~2.5μm、2.5μm~2.8μmまたは2.8μm~3μmであってもよく、第2ピラミッド構造12のボトムの一次元寸法は1μm未満であってもよく、例えば、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μmまたは1μmであってもよい。この範囲内において、金属パターン領域が向かう基板100の前面の粗さを増やすだけでなく、第1ピラミッド構造11の占める面積割合を維持するまま、第1ピラミッド構造11の数を減らすことができるため、異なる第1ピラミッド構造11間のわずかな寸法差による寸法不均一性の問題を減らすことができる。また、第2ピラミッド構造12の寸法を小さク設定することで、金属パターン領域において、第2ピラミッド構造12が位置する基板100の前面の粗さは小さくなり、この部分の基板100の前面に成長された第1ドーピング導電層120の表面粗さは小さくなり、この部分の第1ドーピング導電層120の表面は入射光に対して強い反射効果を持つようになり、入射光に対する第1ドーピング導電層120の寄生吸収を低減するのに有利である。つまり、金属パターン領域が向かう基板100の前面において寸法が大きな第1ピラミッド構造11と寸法の小さい第2ピラミッド構造12に対して寸法分布を設計することにより、キャリア移動度を高めるとともに、入射光に対する第1ドーピング導電層120の寄生吸収を低減できる。
【0047】
理解できるように、第1ピラミッド構造11のボトムの一次元寸法が第2ピラミッド構造12より大きいとは、同じ方向において、第1ピラミッド構造11のボトムの一次元寸法が第2ピラミッド構造12のボトムの一次元寸法より大きいことを指す。第3ピラミッド構造13のボトムの一次元寸法が第4ピラミッド構造14より大きいとは、同じ方向において、第3ピラミッド構造13のボトムの一次元寸法が第4ピラミッド構造14のボトムの一次元寸法より大きいことを指す。
【0048】
いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造11のトップからボトムまでの高さは、第2ピラミッド構造12のトップからボトムまでの高さ以上である。具体的には、いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造11のトップからボトムまでの高さは第2ピラミッド構造12のトップからボトムまでの高さより大きく、このように、第1ピラミッド構造11が位置する基板100の前面の凹凸程度は第2ピラミッド構造12が位置する基板100の前面の凹凸程度より大きく、第1ピラミッド構造11が位置する基板100の前面の比表面積が大きくなり、第1トンネル層110と基板100の前面との接触面積をさらに増やし、キャリア移動度を高めることができる。同時に、第2ピラミッド構造12が位置する基板100の前面の凹凸程度を小さくすることによって、第2ピラミッド構造12に正対する第1ドーピング導電層120の表面の入射光に対する反射率を高め、入射光に対する第1ドーピング導電層120の寄生吸収をさらに減らすことができる。
【0049】
具体的には、いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造11のトップからボトムまでの高さは0.5μm~3.2μmであってもよく、例えば、0.5μm~0.7μm、0.7μm~0.8μm、0.8μm~1μm、1μm~1.2μm、1.5μm~1.7μm、1.7μm~1.9μm、1.9μm~2μm、2μm~2.2μm、2.2μm~2.4μm、2.4μm~2.6μm、2.6μm~2.9μmまたは2.9μm~3.2μmであってもよく、第2ピラミッド構造12のトップからボトムまでの高さは1.2μm以下であってもよく、例えば、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、1.1μmまたは1.2μmであってもよい。
【0050】
第1ドーピング導電層120及び第2ドーピング導電層140はフィールドパッシベーション作用を発揮するために使われ、少数キャリアを界面から脱出させ、少数キャリアの濃度を低減し、基板100の界面部でのキャリア再結合速度を下げ、太陽電池の開放電圧、短絡電流及びバッキングファクターを大きくし、太陽電池の光電変換性能を改善することができる。
【0051】
理解できるように、第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120を形成する実際の過程において、第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120の厚さが小さいほど、第1トンネル層110の上面の形態と第1ドーピング導電層120の上面の形態は基板100の前面の第1ピラミッド構造11と第2ピラミッド構造12の形態に近くなる。逆に、第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120の厚さが大きいほど、第1トンネル層110の上面の形態と第1ドーピング導電層120の上面の形態は基板100の前面の第1ピラミッド構造11と第2ピラミッド構造12の形態と大きく異なり、且つ第1トンネル層110の上面と第1ドーピング導電層120の上面の粗さ程度は小さくなる。これに基づいて、いくつかの実施例では、第1トンネル層110の厚さは0.5nm~5nmに設定され、例えば、0.5nm~1nm、1nm~1.5nm、1.5nm~2nm、2nm~2.5nm、2.5nm~3nm、3nm~3.5nm、3.5nm~4nm、4nm~4.5nmまたは4.5nm~5nmであってもよく、第1ドーピング導電層120の厚さは20nm~300nmに設定され、例えば、20nm~50nm、50nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nmまたは250nm~300nmであってもよい。この範囲内において、第1トンネル層110及び第1ドーピング導電層120の厚さを大きくすることによって、第1ドーピング導電層120の上面の粗さを下げ、第1ドーピング導電層120の入射光に対する反射程度を上げることができる。これによって、第1ドーピング導電層120の入射光に対する寄生吸収を低減するとともに、第1ドーピング導電層120の上面から反射した入射光は周辺環境によって非金属パターン領域が向かう基板100の前面に回折され、再吸収・利用され、入射光の再利用率を高めることができる。また、この範囲内において、第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120の厚さも大きすぎず、第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120の厚さが大きすぎることに起因して基板100の前面への応力が大きすぎて基板100の前面に対して機械的損傷してしまうことを防ぎ、基板100の前面の界面準位欠陥を減らすことができる。
【0052】
また、第1トンネル層110の厚さを上記の範囲内に設定することによって、第1トンネル層110の厚さが第1ピラミッド構造11及び第2ピラミッド構造12の寸法にマッチングするようになるため、実際に第1トンネル層110を成長する工程において、成長された第1トンネル層110がこの厚さ範囲に達すると、第1トンネル層110と基板100の前面との接触界面が平坦になり、基板100界面の欠陥を減らし、キャリア移動度を高めることができる。
【0053】
理解できるように、実際に第1ドーピング導電層120をドープする時、拡散工程によってドーピング元素を第1ドーピング導電層120の中に拡散させ、第1ドーピング導電層120の厚さが大きいほど、ドーピング元素の拡散経路が長くなり、第1ドーピング導電層120の厚さが小さいほど、ドーピング元素の拡散経路が短くなる。ドーピング元素の拡散経路が短すぎると、ドーピング元素が基板100の界面に堆積してしまうおそれがあり、基板100の界面に堆積したこれらのドーピング元素は実際のアニール過程で活性化されにくくなり、「デッド層」が発生し、「デッド層」の存在により基板100中のキャリアの第1ドーピング導電層120への輸送量と速度に影響し、太陽電池の光電変換性能に影響を及ぼす。
【0054】
上記の分析から、第1ドーピング導電層120中の第1ドーピング元素の活性化率は第1ドーピング導電層120の厚さにかかわっていることがわかる。これに基づいて、いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層120の厚さが20nm~300nmである場合、第1ドーピング導電層120は第1ドーピング元素を含み、第1ドーピング元素はアニールによって活性化された後、活性化された第1ドーピング元素を獲得し、第1ドーピング導電層120における第1ドーピング元素の活性化率は40%~80%であり、例えば、40%~50%、50%~55%、55%~65%、65%~70%または70%~80%であってもよい。この範囲内において、第1ドーピング元素の活性化率は第1ドーピング導電層120の厚さにマッチングするようになり、余分な第1ドーピング元素が基板100の界面部に堆積して「デッド層」を形成することを防ぐことができる。
【0055】
いくつかの実施例では、活性化された第1ドーピング元素の濃度は1×1020atom/cm3~6×1020atom/cm3であり、例えば、1×1020atom/cm3~2×1020atom/cm3、2×1020atom/cm3~3×1020atom/cm3、3×1020atom/cm3~4×1020atom/cm3、4×1020atom/cm3~5×1020atom/cm3または5×1020atom/cm3~6×1020atom/cm3であってもよい。この範囲内において、第1ドーピング元素の濃度が大き過ぎないようにすることによって、実際に第1ドーピング導電層120に注入される第1ドーピング元素の濃度合計が高すぎないようにする。これによって、第1ドーピング元素が基板100の界面に多く堆積する問題をさらに防ぐことができる。一方、この範囲内において、第1ドーピング元素の濃度も小さすぎず、第1ドーピング導電層120の低いシート抵抗を維持し、第1ドーピング導電層120と金属電極との間のオーミック接触を改善し、金属接触再結合損失を低減し、金属電極のキャリアに対する収集能力を高めるのに有利である。
【0056】
金属パターン領域における寸法の大きな第1ピラミッド構造11の占める面積割合に比べて、非金属パターン領域において、寸法が大きな第3ピラミッド構造13の占める面積割合が比較的小さく、このように、単位面積当たりの第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の数が多くなり、入射光が隣接する第3ピラミッド構造13間、隣接する第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の間または隣接する第4ピラミッド構造14間に照射すると、第3ピラミッド構造13の側面または第4ピラミッド構造14の側面で何度も反射され、最終的に基板100内に照射し、入射光に対する拡散反射効果を強め、入射光に対する反射率を減らすことができる。また、非金属パターン領域が向かう基板100の表面には第1ドーピング導電層120が設置されていないため、非金属パターン領域の入射光に対する吸収を大幅に増やすことができる。これにより、キャリア移動度を高めると同時に、基板100の入射光に対する利用率を増やすことができる。
【0057】
いくつかの実施例では、第3ピラミッド構造13は四面体、近似四面体、五面体、または近似五面体などの構造であってもよい。いくつかの実施例では、第4ピラミッド構造14は四面体、近似四面体、五面体、または近似五面体などの構造であってもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、第3ピラミッド構造13の非金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合は、第4ピラミッド構造14の非金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合より大きい。つまり、本願の実施例では、非金属パターン領域が向かう基板100の前面における第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の寸法分布を設計することによって、非金属パターン領域が向かう基板100の前面において、寸法が大きな第3ピラミッド構造13が多数を占めるようにする。これによって、寸法の小さい第4ピラミッド構造14は多数を占めることに比べて、非金属パターン領域が向かう基板100の前面において、単位面積当たりの第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の数がより少なくなり、第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14が基板100の前面に与える損傷を低減し、非金属パターン領域が向かう基板100の前面の界面準位欠陥を減らすことができる。発見しやすいが、非金属パターン領域に第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120が設置されていないため、非金属パターン領域が向かう基板100の前面のパッシベーション効果が弱い。このゆえに、非金属パターン領域が向かう基板100の前面の界面準位欠陥を低減し、非金属パターン領域が向かう基板100の前面のキャリア再結合を低減することは非金属パターン領域の基板100の前面のパッシベーション性能を確保する上で重要な役割を果たし、入射光の反射を低減しながら、非金属パターン領域の基板100の前面のキャリア再結合がひどくならないように確保し、太陽電池全体の光電変換性能の向上に役立つ。
【0059】
いくつかの実施例では、第3ピラミッド構造13の非金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合は50%~70%であり、例えば、50%~55%、55%~60%、60%~65%または65%~70%であってもよく、第4ピラミッド構造14の非金属パターン領域中の基板100の前面部分に占める面積割合は30%~50%であり、例えば、30%~35%、35%~40%、40%~45%または45%~50%であってもよい。この範囲内において、第3ピラミッド構造13の面積割合を第4ピラミッド構造14に比べて大きくするだけでなく、単位面積あたりの第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の数は多すぎて、非金属パターン領域の基板100の前面に大きな損傷を与えて非金属パターン領域における基板100の前面の欠陥が多すぎるという問題を防ぎ、非金属パターン領域における基板100の前面のキャリア再結合を少なく保つことができる。また、第3ピラミッド構造13の面積割合が第4ピラミッド構造14に比べて大きすぎないようにすることによって、非金属パターン領域が向かう基板100の前面において、単位面積当たりの第3ピラミッド構造13の数と第4ピラミッド構造14の数が多くなることを確保し、入射光に対する拡散反射効果を高め、非金属パターン領域の入射光に対する反射率を低減するのに有利である。
【0060】
注意すべきことであるが、
図4および
図5を参照して、非金属パターン領域が向かう基板100の前面において、第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の数は複数個であり、異なる第3ピラミッド構造13間および異なる第4ピラミッド構造14間にはわずかな寸法差があるが、各第3ピラミッド構造13の全体寸法がほぼ同じで、各第4ピラミッド構造14の全体寸法がほぼ同じである。具体的には、いくつかの実施例では、第3ピラミッド構造13のボトムの一次元寸法は0.7μm~3μmであり、例えば、0.7μm~0.9μm、0.9μm~1μm、1μm~1.2μm、1.2μm~1.4μm、1.4μm~1.5μm、1.5μm~1.7μm、1.7μm~1.9μm、1.9μm~2μm、2μm~2.3μm、2.3μm~2.5μm、2.5μm~2.8μmまたは2.8μm~3μmであってもよく、第4ピラミッド構造14のボトムの一次元寸法は1μm未満であり、例えば、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μmまたは1μmであってもよい。
【0061】
発見しやすいが、第1ピラミッド構造11の寸法は第3ピラミッド構造13の寸法に近く、第2ピラミッド構造12の寸法は第4ピラミッド構造14の寸法に近い。つまり、本願の実施例では、金属パターン領域における第1ピラミッド構造11、第2ピラミッド構造12及び非金属パターン領域における第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の寸法分布を設計するだけで、金属パターン領域における寸法が大きな第1ピラミッド構造11の割合が大きくなり、非金属パターン領域における寸法が大きな第3ピラミッド構造13の割合が小さくなるようにし、両面TOPCON電池のキャリア移動度を向上させるとともに、入射光に対する吸収利用率を高めることができる。
【0062】
本願の実施例において、第1ピラミッド構造11と第3ピラミッド構造13及び第2ピラミッド構造12と第4ピラミッド構造14の具体的な寸法関係を限定しなく、第1ピラミッド構造11のボトムの一次元寸法及び第3ピラミッド構造13のボトムの一次元寸法を0.7μm~3μmの範囲内に設定し、かつ第2ピラミッド構造12のボトムの一次元寸法及び第4ピラミッド構造14のボトムの一次元寸法を1μm未満に設定し、このように、第1ピラミッド構造11、第2ピラミッド構造12、第3ピラミッド構造13及び第4ピラミッド構造14による基板100の前面への損傷を低減し、基板100の前面全体の欠陥準位密度を低減することができ、基板100の界面の低キャリア再結合率を保つことに有利であるからである。
【0063】
いくつかの実施例では、第3ピラミッド構造13のトップからボトムまでの高さ寸法は0.5μm~3.2μmであってもよく、例えば、0.5μm~0.7μm、0.7μm~0.8μm、0.8μm~1μm、1μm~1.2μm、1.5μm~1.7μm、1.7μm~1.9μm、1.9μm~2μm、2μm~2.2μm、2.2μm~2.4μm、2.4μm~2.6μm、2.6μm~2.9μmまたは2.9μm~3.2μmであってもよく、第4ピラミッド構造14のトップからボトムまでの高さ寸法は1.2μm以下であってもよく、例えば、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、1.1μmまたは1.2μmであってもよい。
【0064】
いくつかの実施例では、非金属パターン領域が向かう基板100の前面の反射率は0.8%~2%であり、例えば、0.8%~0.9%、0.9%~1%、1%~1.2%、1.2%~1.4%、1.4%~1.6%、1.6%~1.8%または1.8%~2%であってもよい。この範囲内において、非金属パターン領域が向かう基板100の前面の反射率を低くし、非金属パターン領域における基板100の前面の入射光に対する利用率を強め、キャリアの数量を増やし、短絡電流および開放電圧を高め、太陽電池の光電変換性能を向上させるのに有利である。
【0065】
いくつかの実施例では、さらに、第1パッシベーション層150を含み、第1パッシベーション層150の第1部分は第1ドーピング導電層120の基板100から離れた表面に位置し、第1パッシベーション層150の第2部分は非金属パターン領域が向かう基板100の前面に位置する。第1パッシベーション層150は基板100の前面に対して良好なパッシベーション効果を発揮することができ、例えば基板100の前面のダングリングボンドに対して良好な化学的パッシベーションを行い、基板100の前面の欠陥準位密度を低減し、基板100の前面のキャリア再結合を良好に抑制することができる。第1部分の第1パッシベーション層150は直接基板100の前面と接触し、第1部分の第1パッシベーション層150と基板100の間に第1トンネル層110および第1ドーピング導電層120がなく、このように、入射光に対する第1ドーピング導電層120の寄生吸収を減らすことができる。
【0066】
いくつかの実施例では、第1パッシベーション層150の第1部分は第1パッシベーション層150の第2部分と面一ではない。具体的には、第1パッシベーション層150の第1部分の上面は第1パッシベーション層150の第2部分の上面より低くてもよい。これによって、基板100の前面に位置する第1部分の厚さが厚すぎないようにし、第1部分の厚さが大きいことによって基板100の前面に応力損傷が生じ、基板100の前面に界面準位欠陥が多く発生してキャリア再結合中心が多く生じるという問題を防ぐことができる。また、金属パターン領域における寸法の大きな第1ピラミッド構造11の面積割合に比べて、非金属パターン領域が向かう基板100の前面における寸法が大きな第3ピラミッド構造13の面積割合が比較的小さく、非金属パターン領域が向かう基板100の前面の凹凸程度が大きすぎないようにしている。これにより、実際に第1パッシベーション層150を成長する工程において、第1パッシベーション層150の表面の凹凸程度が大きすぎず、第1パッシベーション層150の平坦さを向上させ、第1パッシベーション層150のパッシベーション性能を高めることができる。
【0067】
いくつかの実施例では、第1パッシベーション層150は単層構造であってもよい。いくつかの実施例では、第1パッシベーション層150は多層構造であってもよい。いくつかの実施例では、第1パッシベーション層150の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、または酸窒化シリコンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0068】
いくつかの実施例では、基板100の裏面にプラットフォーム突起構造15があり、プラットフォーム突起構造15のボトム一次元寸法は第1ピラミッド構造11のボトム一次元寸法と第3ピラミッド構造13のボトム一次元寸法より大きく、プラットフォーム突起構造15のトップからボトムまでの高さ寸法は第1ピラミッド構造11の高さ寸法と第3ピラミッド構造13の高さ寸法より小さい。具体的には、プラットフォーム突起構造15はピラミッド構造の基礎部分(即ち、ピラミッド先端を含まないピラミッドの底部)である。
【0069】
つまり、基板100の前面に位置するピラミッド構造の凹凸程度は、基板100の裏面に位置するプラットフォーム突起構造15の凹凸程度より大きい。これによって、基板100の前面の粗さは基板100の裏面の粗さより大きくなる。いくつかの実施例では、基板100の前面が受光する入射光は多く、基板100の前面の入射光に対する吸収能力を強めるために、基板100の前面がピラミッド構造を有し、ピラミッド構造が大きい比表面積を持つように設定することによって、基板100の前面の入射光の拡散反射効果を高め、基板100の前面の入射光に対する利用率を高めることができる。一方、基板100の裏面では受光する入射光が少ないため、基板100の裏面にラットフォーム突起構造15を有するように設定し、基板100の裏面の粗さが基板100の前面の粗さより小さくなるようにしてもよい。つまり、基板100の前面に比べて基板100の裏面の形態は平坦であり、このように、基板100の裏面に形成される第2トンネル層130、第2ドーピング導電層140及び第2パッシベーション層160は平坦な形態を有し、かつ基板100の裏面に均一に形成でき、第2トンネル層130、第2ドーピング導電層140及び第2パッシベーション層160の基板100裏面に対するパッシベーション効果を高め、裏面の欠陥準位密度をさらに低減するのに有利である。これにより、入射光に対する利用率を高めるとともに、基板100に対するパッシベーション効果を高め、太陽電池の光電変換性能を全体的に改善することができる。
【0070】
いくつかの実施例では、さらに第2パッシベーション層160を含み、第2パッシベーション層160は第2ドーピング導電層140の基板100から離れた表面を覆う。第2パッシベーション層160は基板100の裏面に対して良好なパッシベーション効果を発揮し、基板100裏面の欠陥準位密度を低減し、基板100の裏面のキャリア再結合を良好に抑制するために使われる。いくつかの実施例では、第2パッシベーション層160は単層構造であってもよい。いくつかの実施例では、第2パッシベーション層160は多層構造であってもよい。いくつかの実施例では、第2パッシベーション層160の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、または酸窒化シリコンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0071】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層120のドーピング元素のタイプは基板100のドーピング元素のタイプと同じであり、第2ドーピング導電層140のドーピング元素のタイプは第1ドーピング導電層120のドーピング元素のタイプと異なる。つまり、第2ドーピング導電層140と基板100はPN接合を形成する。前面の第1ドーピング導電層120と基板100はPN接合を形成せず、形成されたPN接合が前面のプリセット領域のひどいキャリア再結合を引き起こす問題を避けることができる。そして、裏面の第2トンネル層130と第2ドーピング導電層140は基板100の裏面全体に形成されているため、第2ドーピング導電層140と基板100が形成するPN接合の面積が大きくなり、発生する光生成キャリアの数が多くなり、第2ドーピング導電層140中および基板100中のキャリア濃度を増やすことできる。
【0072】
具体的には、いくつかの実施例では、基板100はN型基板である。これに基づいて、第1ドーピング導電層120をN型ドーピング導電層に、第2ドーピング導電層140をP型ドーピング導電層に設定してもよい。P型の第2ドーピング導電層140はN型の基板100とPN接合を形成し、バック接合を形成する(即ち、基板100の裏面のPN接合)。
【0073】
基板100の裏面にはバック接合が形成されているため、基板100の裏面が平坦な形態を有するように設定し、第2トンネル層130と基板100の裏面をより緊密に接合させることができ、PN接合で発生した光生成キャリアを基板100に円滑に輸送することができ、キャリアの輸送効率をさらに高めることができる。
【0074】
いくつかの実施例では、基板100はP型半導体基板で、第1ドーピング導電層120はP型ドーピング導電層で、第2ドーピング導電層140はN型ドーピング導電層であってもよい。
【0075】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層120の材料は炭化ケイ素、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層140の材料は炭化ケイ素、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。
【0076】
いくつかの実施例では、さらに第1電極170を含み、第1電極170は金属パターン領域に設けられ、第1ドーピング導電層120と電気的に接続される。基板100の裏面に形成されるPN接合は入射光を受光して光生成キャリアを生成するために使われ、生成された光生成キャリアは基板100から第1ドーピング導電層120に輸送され、さらに第1電極170に輸送され、第1電極170は光生成キャリアの収集に使われる。第1ドーピング導電層120のドーピング元素のタイプは基板100のドーピング元素のタイプと同じであるため、第1電極170と第1ドーピング導電層120の間の金属接触再結合損失を減らし、さらに第1電極170と第1ドーピング導電層120の間のキャリア接触再結合を低減し、短絡電流および太陽電池の光電変換性能を高めることができる。
【0077】
いくつかの実施例では、さらに拡散領域190を含み、拡散領域190は金属パターン領域が向かう基板100に位置し、拡散領域190のトップは第1トンネル層110と接触し、拡散領域190のドーピング元素濃度が基板100のドーピング元素濃度より大きい。拡散領域190はキャリア輸送経路とすることができ、金属パターン領域が向かう基板100にのみ拡散領域190を形成するため、基板100中のキャリアは拡散領域190を通じてドーピング導電層に容易に輸送され、つまり、拡散領域190はキャリア輸送経路として機能する。さらに、金属パターン領域が向かう基板100にのみ拡散領域190を設けるため、基板100中のキャリアが拡散領域190に集中して輸送され、さらに拡散領域190を介して第1ドーピング導電層120に輸送され、第1ドーピング導電層120中のキャリア濃度を大幅に高めることができる。なお、本願の実施例では、非金属パターン領域が向かう基板100に拡散領域190を設けず、非金属パターン領域が向かう基板100の前面のキャリア濃度が大きすぎないようにし、非金属パターン領域が向かう基板100の前面でキャリアがひどく再結合する問題を防ぐことができる。また、基板100中のキャリアが非金属パターン領域の向かう基板100の前面に輸送されることを防ぐことができ、さらに非金属パターン領域が向かう基板100の前面にキャリアが成長することによって非金属パターン領域が向かう基板100の前面に「デッド層」が生じて、キャリアが再結合しすぎるという問題を避け、太陽電池の光電変換性能を全体的に高めることができる。
【0078】
いくつかの実施例では、さらに第2電極180を含み、第2電極180は基板100の裏面に位置し、第2電極180は第2パッシベーション層160を貫通して第2ドーピング導電層140と電気的と接触している。
【0079】
上記の実施例で提供された太陽電池では、基板100の前面の金属パターン領域において、寸法が大きな第1ピラミッド構造11の占める割合が大きくなるように設定し、これによって、非金属パターン領域におけるピラミッド構造に比べて、金属パターン領域におけるピラミッド構造の寸法均一度が高くなる。このように、実際に第1トンネル層110と第1ドーピング導電層120を成長する工程において、成長された第1トンネル層110及び第1ドーピング導電層120の厚さ均一性を向上させ、第1トンネル層110と基板100の前面境界部の界面欠陥を低減し、基板100中のキャリアの第1ドーピング導電層120への移動度を高めることができる。また、非金属パターン領域において、寸法が大きな第3ピラミッド構造13の占める割合が小さいため、非金属パターン領域で単位面積当たりの第3ピラミッド構造13と第4ピラミッド構造14の数が多く、入射光に対する反射率が低く、且つ非金属パターン領域が向かう基板100の表面に第1ドーピング導電層120が設けられていないため、非金属パターン領域の入射光に対する吸収を大幅に増やすことができる。
【0080】
それに応じて、
図7に示すように、本願の別の実施例では、光起電力モジュールがさらに提供され、当該光起電力モジュールは、前記実施例で提供する太陽電池101を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層102と、封止層102のセルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレート103と、を含む。太陽電池101は、全体または複数の分割の形で電気的に接続されて複数のセルストリングを形成し、複数のセルストリングは直列および/または並列の形で電気的に接続される。
【0081】
具体的には、いくつかの実施例では、複数のセルストリング間は導電テープ104を通じて電気的に接続されてもよい。封止層102は、太陽電池101の前面及び裏面を覆い、具体的には、封止層102は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム、ポリオレフィンエラストマー(POE)フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例では、カバープレート103はガラスカバーレート、プラスチックカバーレートなどの光透過機能を有するカバープレート103であってもよい。具体的には、カバープレート103の封止層102に向かう表面は凹凸表面であってもよく、入射光の利用率を高めることができる。
【0082】
本願は、一部の実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本願の構想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって規定される範囲に従うべきである。
【0083】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
基板と、第1ピラミッド構造および第2ピラミッド構造と、第3ピラミッド構造および第4ピラミッド構造と、第1トンネル層及び第1ドーピング導電層と、第2トンネル層及び第2ドーピング導電層と、を含み、
前記基板の前面に金属パターン領域と非金属パターン領域があり、
前記第1ピラミッド構造と前記第2ピラミッド構造が前記基板の前面に設けられ、かつ前記金属パターン領域中に位置し、前記第1ピラミッド構造のボトム寸法が前記第2ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、
前記第3ピラミッド構造と前記第4ピラミッド構造が前記基板の前面に設けられ、かつ前記非金属パターン領域中に位置し、前記第3ピラミッド構造のボトム寸法が前記第4ピラミッド構造のボトム寸法より大きく、ここで、前記第1ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合は、前記第3ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合よりも大きく、
前記第1トンネル層及び前記第1ドーピング導電層は前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分にのみ位置し、かつ前記基板から離れる方向に沿って設けられ、
前記第2トンネル層及び前記第2ドーピング導電層は前記基板の裏面に位置し、かつ前記基板から離れる方向に沿って設けられる、
ことを特徴とする太陽電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記第1ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合は、前記第2ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記第1ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合は80%~90%であり、前記第2ピラミッド構造の前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合は10%~20%である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記第1ドーピング導電層は活性化された第1ドーピング元素を含む。
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記第3ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合は、前記第4ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
前記第3ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合は50%~70%であり、前記第4ピラミッド構造の前記非金属パターン領域中の前記基板の前面部分に占める面積割合は30%~50%である、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
前記非金属パターン領域中の前記基板の前面部分の反射率は0.8%~2%である、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【手続補正8】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
第1パッシベーション層をさらに含み、前記第1パッシベーション層の第1部分は前記第1ドーピング導電層の前記基板から離れた表面に位置し、前記第1パッシベーション層の第2部分は前記非金属パターン領域中の前記基板の前面部分に位置する、
ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項16
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項16】
拡散領域をさらに含み、前記拡散領域は前記金属パターン領域中の前記基板の前面部分に位置し、前記拡散領域のトップは前記第1トンネル層と接触し、前記拡散領域のドーピング元素濃度が前記基板のドーピング元素濃度より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正10】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項18
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項18】
前記基板はN型基板である、
ことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池。