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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038964
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】太陽電池および光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0745 20120101AFI20240313BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01L31/06 450
H01L31/04 440
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175938
(22)【出願日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】202211098333.3
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】毛傑
(72)【発明者】
【氏名】ワウ ショウ
(72)【発明者】
【氏名】鄭霈霆
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151AA04
5F151AA05
5F151AA16
5F151BA16
5F151CB20
5F151FA06
5F151FA13
5F151FA15
5F151HA07
5F251AA02
5F251AA03
5F251AA04
5F251AA05
5F251AA16
5F251BA16
5F251CB20
5F251FA06
5F251FA13
5F251FA15
5F251HA07
(57)【要約】
【課題】本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池および光起電力モジュールに関する。
【解決手段】太陽電池は、対向する表面及び裏面を有するベースと、金属パターン領域と位置合わせされたベースの表面に位置しかつベースから離反する方向に順に設けられた、第1トンネル層及び、ドーピング元素の種類がベースのドーピング元素の種類と同じである第1ドープ導電層と、ベースの裏面に位置しかつベースから離反する方向に順に設けられた、第2トンネル層及び、ドーピング元素の種類が第1ドープ導電層のドーピング元素の種類と異なる第2ドープ導電層と、を備え、第1ドープ導電層のラマンスペクトルにおける第1ピーク付近の半値幅が、第2ドープ導電層のラマンスペクトルにおける第1ピーク付近の半値幅よりも大きくない。本願の実施例は、太陽電池の光電変換効率を向上するのに有利である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する表面及び裏面を有するベースと、
金属パターン領域と位置合わせされたベースの表面に位置しかつ前記ベースから離反する方向に順に設けられた、第1トンネル層及び、ドーピング元素の種類が前記ベースのドーピング元素の種類と同じである第1ドープ導電層と、
前記ベースの裏面に位置しかつ前記ベースから離反する方向に順に設けられた、第2トンネル層及び、ドーピング元素の種類が前記第1ドープ導電層のドーピング元素の種類と異なる第2ドープ導電層と、
を備え、
前記第1ドープ導電層のラマンスペクトルにおける第1ピーク付近の半値幅が、前記第2ドープ導電層のラマンスペクトルにおける前記第1ピーク付近の半値幅よりも大きくない、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1ピークは、520cm-1であり、
前記第1ドープ導電層の520cm-1付近における半値幅は、2cm-1~6cm-1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1ピークは、520cm-1であり、
前記第2ドープ導電層の520cm-1付近における半値幅は、2cm-1~8cm-1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1ドープ導電層の厚さは、前記第2ドープ導電層の厚さよりも大きくない、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1ドープ導電層の厚さは、20nm~300nmである、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ドープ導電層は、第1ドーピング元素を含み、
前記第1ドーピング元素はアニールにより活性化され、活性化された第1ドーピング元素が得られ、
前記活性化された第1ドーピング元素の濃度は、1×1020atom/cm~6×1020atom/cmである、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第2ドープ導電層の厚さは、50nm~500nmである、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2ドープ導電層は、第2ドーピング元素を含み、
前記第2ドーピング元素はアニールにより活性化され、活性化された第2ドーピング元素が得られ、
前記活性化された第2ドーピング元素の濃度は、4×1019atom/cm~9×1019atom/cmである、
ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1ドープ導電層の結晶粒サイズは、前記第2ドープ導電層の結晶粒サイズよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記ベースは、N型ベースであり、
前記第1ドープ導電層は、N型ドープ導電層であり、
前記第2ドープ導電層は、P型ドープ導電層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1ドープ導電層のドーピング元素は、リン元素を含み、
前記第2ドープ導電層のドーピング元素は、ホウ素元素を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1ドープ導電層および前記第2ドープ導電層の材料は、炭化ケイ素、微結晶シリコン、またはポリシリコンの少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項13】
第1パッシベーション層をさらに備え、
前記第1パッシベーション層の第1部分が、前記第1ドープ導電層の前記ベースから離れた面に位置し、前記第1パッシベーシヨン層の第2部分が、非金属パターン領域と位置合わせされた表面に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記第1パッシベーシヨン層の第1部分の頂面と、前記第1パッシベーシヨン層の第2部分の頂面とは面一ではない、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記第1パッシベーション層の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、または酸窒化シリコンのうちの少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記金属パターン領域上に設けられ、前記第1ドープ導電層と電気的に接続された第1電極をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記金属パターン領域と位置合わせされた前記ベース内に位置し、頂部が前記第1トンネル層と接触し、ドーピング元素の濃度が前記ベースのドーピング元素の濃度よりも大きい拡散エリアをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項18】
第2ドープ導電層のベースから離れた面に位置する第2パッシベーション層をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項19】
ベースの裏面に位置し、前記第2ドープ導電層と電気的に接触している第2電極をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆う封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れた面を覆うカバープレートと、を備える、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の分野に関し、特に太陽電池および光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、良好な光電変換能力を有しており、通常、太陽電池におけるベースの表面のキャリア再結合を抑制し、ベースに対するパッシベーション効果を向上させるために、ベースの表面にトンネル酸化層およびド一プ導電層を作製することが一般的である。そのうち、ド一プ導電層にドーピング元素がある。
【0003】
ド一プ導電層は、フィールドパッシベーション作用を奏するものであり、ド一プ導電層におけるドーピング元素は、ベースの表面にエネルギーバンドベンディングを形成するために使用可能であり、ド一プ導電層のパッシベーション効果に重要な役割を果たし、太陽電池の光電変換性能に影響を与える。しかしながら、従来の太陽電池は、光電変換効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、少なくとも太陽電池の光電変換効率の向上に有利な太陽電池および光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例により提供される太陽電池は、対向する表面及び裏面を有するベースと、金属パターン領域と位置合わせされたベースの表面に位置しかつ前記ベースから離反する方向に順に設けられた、第1トンネル層及び、ドーピング元素の種類が前記ベースのドーピング元素の種類と同じである第1ドープ導電層と、前記ベースの裏面に位置しかつ前記ベースから離反する方向に順に設けられた、第2トンネル層及び、ドーピング元素の種類が前記第1ドープ導電層のドーピング元素の種類と異なる第2ドープ導電層と、を備え、前記第1ドープ導電層のラマンスペクトルにおける第1ピーク付近の半値幅が、前記第2ドープ導電層のラマンスペクトルにおける前記第1ピーク付近の半値幅よりも大きくない。
【0006】
また、前記第1ピークは、520cm-1であり、前記第1ドープ導電層の520cm-1付近における半値幅は、2cm-1~6cm-1である。
【0007】
また、前記第1ピークは、520cm-1であり、前記第2ドープ導電層の520cm-1付近における半値幅は、2cm-1~8cm-1である。
【0008】
また、前記第1ドープ導電層の厚さは、前記第2ドープ導電層の厚さよりも大きくない。
【0009】
また、前記第1ドープ導電層の厚さは、20nm~300nmである。
【0010】
また、前記第2ドープ導電層は、第2ドーピング元素を含み、前記第2ドーピング元素はアニールにより活性化され、活性化された第2ドーピング元素が得られ、前記活性化された第2ドーピング元素の濃度は、4×1019atom/cm~9×1019atom/cmである。
【0011】
また、前記第2ドープ導電層の厚さは、50nm~500nmである。
【0012】
また、前記第1ドープ導電層は、第1ドーピング元素を含み、前記第1ドーピング元素はアニールにより活性化され、活性化された第1ドーピング元素が得られ、前記活性化された第1ドーピング元素の濃度は、1×1020atom/cm~6×1020atom/cmである。
【0013】
また、前記第1ドープ導電層の結晶粒サイズは、前記第2ドープ導電層の結晶粒サイズよりも大きい。
【0014】
また、前記ベースはN型ベースであり、前記第1ドープ導電層はN型ドープ導電層であり、前記第2ドープ導電層はP型ドープ導電層である。
【0015】
また、前記第1ドープ導電層のドーピング元素は、リン元素を含み、前記第2ドープ導電層のドーピング元素は、ホウ素元素を含む。
【0016】
また、前記第1ドープ導電層および前記第2ドープ導電層の材料は、炭化ケイ素、微結晶シリコン、またはポリシリコンの少なくとも一つを含む。
【0017】
また、第1パッシベーション層をさらに備え、前記第1パッシベーション層の第1部分が、前記第1ドープ導電層の前記ベースから離れた面に位置し、前記第1パッシベーシヨン層の第2部分が、非金属パターン領域と位置合わせされた表面に位置する。
【0018】
また、前記第1パッシベーシヨン層の第1部分の頂面と、前記第1パッシベーシヨン層の第2部分の頂面とは面一ではない。
【0019】
また、前記第1パッシベーション層の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、または酸窒化シリコンのうちの少なくとも一つである。
【0020】
また、前記金属パターン領域上に設けられ、前記第1ドープ導電層と電気的に接続された第1電極をさらに備える。
【0021】
また、前記金属パターン領域と位置合わせされた前記ベース内に位置し、頂部が前記第1トンネル層と接触し、ドーピング元素の濃度が前記ベースのドーピング元素の濃度よりも大きい拡散エリアをさらに備える。
【0022】
また、第2ドープ導電層のベースから離れた面に位置する第2パッシベーション層をさらに備える。
【0023】
また、ベースの裏面に位置し、前記第2ドープ導電層と電気的に接触している第2電極をさらに備える。
【0024】
これに応じて、本願の実施例は、上記のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆う封止層と、封止層のセルストリングから離れた面を覆うカバープレートと、を備える光起電力モジュールをさらに提供する。
【発明の効果】
【0025】
本願の実施例により提供される技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0026】
本願の実施例により提供される太陽電池の技術案では、第1ド一プ導電層の結晶粒サイズが第2ド一プ導電層の結晶粒サイズよりも小さくならないように、表面に位置する第1ド一プ導電層の半値幅を第2ド一プ導電層の半値幅以下とし、第1ド一プ導電層の結晶粒サイズが大きいほど、入射光線に対する第1ド一プ導電層の吸収能力が弱くなるので、第1ド一プ導電層の表面入射光線に対する寄生吸収を小さく保つことができ、ドーピングベースによる入射光線の吸収利用率が向上し、太陽電池の光電変換性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。
図1図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の断面構造を示す図である。
図2図2は、第1ドープ導電層のラマンスペクトル特性図である。
図3図3は、第2ドープ導電層のラマンスペクトル特性図である。
図4図4は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の断面構造を示す図である。
図5図5は、本願の他の実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
背景技術から分かるように、従来の太陽電池は光電変換効率が低いという問題がある。
【0029】
分析したところ、従来の太陽電池の光電変換効率が低い要因の一つは、以下のことにあることが分かった。第一に、現在、ベースの表面では、一般的に拡散プロセスによりベースの一部をエミッタに転換し、エミッタにはベースと異なるタイプのドーピングイオンを有するので、拡散していないベースとPN接合を形成する。しかしながら、この構造では、ベース表面の金属パターン領域のキャリア再結合が大きくなり過ぎ、太陽電池の開放電圧および変換効率に影響を及ぼす。第二に、太陽電池の表面および裏面については、通常、入射光線の受光度合いが一致しないため、太陽電池の表面に位置するドープ導電層および太陽電池の裏面に位置するドープ導電層については、適応的な設計を行い、太陽電池の光電変換性能を全体的に向上させる必要がある。
【0030】
本願の実施例により提供される太陽電池では、第1ド一プ導電層の結晶粒サイズが第2ド一プ導電層の結晶粒サイズよりも小さくならないように、表面に位置する第1ド一プ導電層の半値幅を第2ド一プ導電層の半値幅以下とし、第1ド一プ導電層の結晶粒サイズが大きいほど、入射光線に対する第1ド一プ導電層の吸収能力が弱くなるので、第1ド一プ導電層の表面入射光線に対する寄生吸収を小さく保つことができ、ドーピングベースによる入射光線の吸収利用率が向上し、太陽電池の光電変換性能を向上させる。
【0031】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、または以下の各実施例に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0032】
図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の断面構造を示す図である。
【0033】
図1を参照して、太陽電池は、対向する表面及び裏面を有するベース100と、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面に位置しかつベース100から離反する方向に順に設けられた、第1トンネル層110及び、ドーピング元素の種類がベース100のドーピング元素の種類と同じである第1ドープ導電層120と、ベース100の裏面に位置しかつベース100から離反する方向に順に設けられた、第2トンネル層140及び、ドーピング元素の種類が第1ドープ導電層120のドーピング元素の種類と異なる第2ドープ導電層150と、を備え、第1ドープ導電層120のラマンスペクトルにおける第1ピーク付近の半値幅が、第2ドープ導電層150のラマンスペクトルにおける第1ピーク付近の半値幅よりも大きくない。
【0034】
ベース100の表面に入射する入射光線がベース100の裏面よりも多いため、本願の実施例では、第1ドープ導電層120がベース100の表面に位置し、且つベース100の表面に入射する入射光線が多いという特徴について、第1ドープ導電層120の結晶粒サイズが第2ドープ導電層150の結晶粒サイズよりも小さくならないように、第1ドープ導電層120の半値幅が第2ドープ導電層150の半値幅よりも大きくならないように設定することが理解できる。一方で、第1ドープ導電層120の、ベース100の表面への入射光線に対する寄生吸収が小さく抑えられ、ベース100の入射光線に対する利用率を高めることができる。そして、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面にのみ第1ドープ導電層120を設けることで、非金属パターン領域への入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収を大きく減少させることができ、入射光線に対する利用率を極めて高くすることができる。金属パターン領域は、電極領域として定義され、非金属パターン領域は、ベース100の表面における金属パターン領域以外の領域である。
【0035】
一方、第1ドープ導電層120の結晶粒サイズが大きいほど、第1ドープ導電層120のパッシベーション効果が顕著に向上する。これは、第1ドープ導電層120における結晶粒サイズが大きいほど、第1ドープ導電層120における結晶粒界の数が少なくなり、また、結晶粒界の数が少ないほど、第1ドープ導電層120におけるキャリアの結晶粒界での再結合が少なくなるため、キャリアの再結合が低減され、キャリア濃度が増加するためである。第1ドープ導電層120は、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面にのみ設けられることにより、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面にバンドベンディングを形成し、金属パターン領域と位置合わせされたベース100にキャリアが集まるようにする。このため、ベース100表面のパッシベーション性能は、ベース100の裏面と比較してある程度弱められる。したがって、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面でのキャリアの再結合を改善するためには、第1ドープ導電層120のパッシベーション性能をより良くする必要がある。これにより、多くのキャリアがベース100の表面で再結合することを防止でき、ベース100の表面のパッシベーション性能が大幅に低下することはない。さらに、入射光線に対するベース100表面の利用率を高く保ちつつ、短絡電流および開放電圧を増大させることができ、太陽電池の光電変換性能を向上させることができる。
【0036】
具体的には、いくつかの実施例において、第1ドープ導電層120の第1ピーク付近における半値幅は、第2ドープ導電層150の第1ピーク付近における半値幅に等しくてもよく、これにより、第2ドープ導電層150の結晶粒サイズと第1ドープ導電層120の結晶粒サイズとが同じになる。つまり、第2ドープ導電層150の結晶粒サイズも小さく、第2ドープ導電層150のパッシベーシヨン性能を良好に保つことができるが、第2ドープ導電層150がベース100とPN接合を形成する、すなわち、第2ドープ導電層150が光生成キャリアを生成させるために用いられるので、第2ドープ導電層150のパッシベーシヨン性能を良好に保つことは、ベース100の裏面での光生成キャリアのキャリア再結合を低減し、光生成キャリアの移動度を向上させ、さらにベース100内のキャリア濃度を高くすることができる。
【0037】
他のいくつかの実施例において、第1ドープ導電層120の第1ピーク付近における半値幅は、第2ドープ導電層150の第1ピーク付近における半値幅よりも小さくてもよい。即ち、第1ドープ導電層の結晶粒サイズが第2ドープ導電層150の結晶粒サイズよりも大きい。このように、第2ドープ導電層150に比べて、第1ドープ導電層120の入射光線に対する寄生吸収能力が弱く、第1ドープ導電層120の入射光線に対する寄生吸収を低減することができる。ベース100の裏面よりもベース100の表面でより多くの入射光線が受光されるので、第1ドープ導電層120の入射光線に対する寄生吸収を設けることは、太陽電池全体の入射光線に対する利用率を高める上で重要な意味を持つ。
【0038】
ベース100は、入射光線を受光して光生成キャリアを生成するためのものであり、いくつかの実施例において、ベース100は、シリコンベースであってもよく、シリコンベースの材料は、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの少なくとも一種を含み得る。他のいくつかの実施例において、ベース100の材料は、炭素ケイ素、有機材料、または多価化合物であってもよく、多価化合物は、ペロブスカイト、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウム等を含み得るが、これらに限定されない。
【0039】
いくつかの実施例において、ベース100内には、ドーピング元素を有し、ドーピング元素の種類は、N型またはP型であり、N型元素は、リン(P)元素、ビスマス(Bi)元素、アンチモン(Sb)元素または砒素(As)元素のようなV族元素であってもよく、P型元素は、ホウ素(B)元素、アルミニウム(Al)元素、ガリウム(Ga)元素またはインジウム(In)元素のようなIII族元素であってもよい。例えば、ベース100がP型のベースである場合、その内部のドーピング元素の種類は、P型である。あるいは、ベース100がN型のベースである場合、その内部のドーピング元素の種類は、N型である。
【0040】
ベース100の表面および裏面は、いずれも入射光線または反射光線を受光するために用いられることができる。いくつかの実施例において、ベース100の表面は、入射光線に対するベース100の表面の反射率が小さくなるようにピラミッドテクスチャーとして設けられることができ、これにより、光線に対する吸収利用率が大きくなる。ベース100の裏面は、例えば積層した段差模様のような非ピラミッドテクスチャーとして設けられてもよく、これにより、ベース100の裏面に位置する第2トンネル層140が高い緻密さおよび均一性を有し、第2トンネル層140がベース100の裏面に対して良好なパッシベーション効果を有する。
【0041】
ベース100の表面における第1トンネル層110と第1ドープ導電層120は、ベース100の表面のパッシベーションコンタクト構造を形成するために使用され、ベース100裏面における第2トンネル層140と第2ドープ導電層150は、ベース100の裏面のパッシベーションコンタクト構造を形成するために使用され、ベース100表面および裏面にはパッシベーションコンタクト構造が設けられることで、太陽電池が両面TOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化層パッシベーションコンタクト)電池を構成する。このように、ベース100の表面および裏面に位置するパッシベーションコンタクト構造は、ベース100の表面および裏面のいずれに対してもキャリア再結合を低減する役割を果たすことができ、ベース100の一方の表面のみにパッシベーションコンタクト構造を形成するよりも、太陽電池のキャリア損失を大幅に低減して、太陽電池の開放電圧および短絡電流を高めることができる。本願の実施例では、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面のみに第1トンネル層110と第1ドープ導電層120を設けることで、入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収を小さくし、入射光線に対する非金属パターン領域の吸収利用率を高めることができる。
【0042】
パッシベーションコンタクト構造を形成することにより、ベース100の表面でのキャリアの再結合を低減することができ、これにより、太陽電池の開放電圧が上昇し、太陽電池の光電変換効率が向上する。いくつかの実施例において、第1トンネル層110と第2トンネル層140の材料は、誘電体材料であってもよく、例えば、酸化シリコン、フッ化マグネシウム、アモルファスシリコン、ポリシリコン、炭化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、または酸化チタンのいずれであってもよい。
【0043】
第1ドープ導電層120と第2ドープ導電層150は、フィールドパッシベーション作用を奏するためのものであり、具体的には、ベース100の界面にビルトイン電界を形成することで、ベース100の界面における電子または正孔の濃度を低減し、表面パッシベーションの効果を奏する。
【0044】
いくつかの実施例において、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150に対するラマンスペクトルの試験原理は、レーザ一によって放出した単色レーザー光をバンドパスフィルターとビームスプリツターを通過させた後、対物レンズを介して集光して第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150の表面に照射し、レーザ一光子と第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150内の原子との衝突によってレーザ一光子を散乱させることである。そのうち、非弾性衝突したビームは、ビームスプリッターと反射フィルターを通過した後、サウンドスペクトログラフに集光されて、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150のラマンスペクトルのピークを形成する。
【0045】
上記の分析から、第1ピークは、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150自体の物性に関係しており、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150に対して実際にラマンスペクトルのテストを行う過程に、ピーク値は第1ピーク付近でジッターしていたため、ここでは第1ピーク付近で限定している。具体的には、いくつかの実施例において、第1ピークの値のジッタ範囲は、-10cm-1~10cm-1であってもよい。
【0046】
ラマンスペクトルの半値幅は、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150の内部の結晶粒サイズを表すことができ、ラマンスペクトルにおける第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150の半値幅が大きいほど、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150における結晶粒サイズが小さいことを示し、逆に、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150における結晶粒サイズが大きいことを示す。
【0047】
いくつかの実施例において、第1ドープ導電層及び第2ドープ導電層150の材料は、炭化ケイ素、微結晶シリコン、またはポリシリコンの少なくとも一種を含む。炭化ケイ素、微結晶シリコン、及びポリシリコンは、製造が簡単で、製造コストが安いという利点があり、太陽電池の生産効率及び生産高を大きく向上させることができる。
【0048】
第1ピークは、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150自体の材料に関係しており、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150の材料が、それぞれ炭化ケイ素、微結晶シリコン、またはポリシリコンである場合、異なる値を取り得ることが理解できる。
【0049】
図2を参照して、具体的には、幾つかの実施例において、第1ドープ導電層120と第2ドープ導電層150の材料が同じであり、いずれもポリシリコンである場合、第1ピークは520cm-1であってもよく、第1ドープ導電層120の520cm-1付近における半値幅は、2cm-1~6cm-1であってもよく、例えば、2cm-1~2.5cm-1、2.5cm-1~3cm-1、3cm-1~3.3cm-1、3.3cm-1~3.4cm-1、3.4cm-1~3.5cm-1、3.5cm-1~3.7cm-1、3.7cm-1~4cm-1、4cm-1~4.5cm-1、4.5cm-1~5cm-1、5cm-1~5.5cm-1又は5.5cm-1~6cm-1であってもよい。この範囲では、第1ドープ導電層120の半値幅が比較的小さく、且つ、第1ドープ導電層120の結晶粒サイズが比較的大きいので、入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収能力が弱く、入射光線の吸収利用率を高めることができる。そして、この範囲では、第1ドープ導電層120のパッシベーシヨン性能を優れたものとすることができ、このように、ベース100の表面への入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収を低減できるだけでなく、第1ドープ導電層120によるベース100の表面のパッシベーシヨン性能をも改善でき、第1ドープ導電層120が、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面に強い静電界を形成するため、ベース100の表面におけるキャリアの移動速度を増加させることができ、第1ドープ導電層120のフィールドパッシベーション効果を著しく高めることができる。
【0050】
図3を参照して、幾つかの実施例において、第1ピークは520cm-1であり、第2ドープ導電層150の520cm-1付近における半値幅は、2cm-1~8cm-1であり、例えば、2cm-1~2.5cm-1、2.5cm-1~3cm-1、3cm-1~3.3cm-1、3.3cm-1~3.5cm-1、3.5cm-1~3.7cm-1、3.7cm-1~3.9cm-1、3.9cm-1~4.5cm-1、4.5cm-1~5cm-1、5cm-1~5.5cm-1、5.5cm-1~6cm-1、6cm-1~6.5cm-1、6.5cm-1~7cm-1、7cm-1~7.5cm-1または7.5cm-1~8cm-1であってもよい。この範囲であれば、第2ドープ導電層150の半値幅を第1ドープ導電層120の半値幅よりも大きくするので、第1ドープ導電層120の結晶粒サイズを第2ドープ導電層150の結晶粒サイズよりも大きくして、入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収能力を弱くすることができ、太陽電池全体の入射光線に対する吸収利用の向上に有利となる。また、この範囲では、第2ドープ導電層150の半値幅と、第1ドープ導電層120の半値幅との差が大きくなり過ぎない、すなわち、第2ドープ導電層150の結晶粒サイズが、第1ドープ導電層120の結晶粒サイズに比べて大きくなり過ぎない、ということを見出すことは難しくない。このように、第1ドープ導電層120による入射光線への寄生吸収がより少ないままで、第2ドープ導電層150に形成される粒界数も少なくすることで、第2ドープ導電層150におけるキャリアの再結合が少なくなり、ベース100の裏面のキャリア濃度を高くすることができ、太陽電池全体の開放電圧および短絡電流を向上させ、太陽電池の光電変換性能を向上させることができる。
【0051】
いくつかの実施例において、第1ドープ導電層の厚さは、第2ドープ導電層150の厚さよりも大きくないように設定される。具体的には、いくつかの実施例において、第1ドープ導電層120の厚さは、第2ドープ導電層150の厚さよりも大きくてもよい。第1ドープ導電層120の結晶粒サイズは、第2ドープ導電層150の結晶粒サイズよりも小さくないため、いくつかの実施例では、第1ドープ導電層120の結晶粒サイズがまた第2ドープ導電層150の結晶粒サイズよりも大きく、さらに、実際に第1ドープ導電層120を作製する工程において、第1ドープ導電層120におけるドーピング元素の拡散速度が低いため、第1ドープ導電層120のドーピング元素の濃度が低く、このように、第1ドープ導電層120のシート抵抗が大きくなり、第1ドープ導電層120の金属接触再結合損失が大きいという問題が発生する可能性がある。そこで、第1ドープ導電層120の光吸収能力を低減しつつ、第1ドープ導電層120のシート抵抗を向上させるために、第1ドープ導電層120の厚さを第2ドープ導電層150の厚さより小さく設定することで、第1ドープ導電層120におけるドーピング元素がより集中し、さらに第1ドープ導電層120におけるドーピング元素の濃度を高くし、第1ドープ導電層120のシート抵抗を小さくすることができる。そして、第1ドープ導電層120の厚さを薄く設定することにより、入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収能をさらに低減することができる。
【0052】
また、第2ドープ導電層150の厚さをより大きくすることにより、第2ドープ導電層150のパッシベーシヨン作用を強めることができる。これは、第2ドープ導電層150における結晶粒サイズが小さいため、実際に第2ドープ導電層150を作製する過程において、第2ドープ導電層150におけるドーピング元素の拡散速度が大きく、このように、第2ドープ導電層150におけるドーピング元素の濃度が大きくなりすぎて、第2ドープ導電層150のパッシベーション性能が低下するという問題があるためである。また、第2ドープ導電層150はベース100と共にPN接合を形成するため、第2ドープ導電層150のパッシベーション性能を良好にする必要があり、これにより、光生成キャリアの再結合を低減し、ベース100内のキャリア濃度を高めることができる。これに基づいて、第2ドープ導電層150の厚さをより大きくすることで、第2ドープ導電層150に拡散されたドーピング元素について拡散経路を長く取ることができ、第2ドープ導電層150におけるドーピング元素が集中し過ぎることに起因して第2ドープ導電層150におけるドーピング元素濃度が過大になるという問題を回避できる。
【0053】
他の幾つかの実施例において、第1ドープ導電層120の厚さは、第2ドープ導電層150の厚さと等しくてもよい。
【0054】
具体的には、幾つかの実施例では、第1ドープ導電層の厚さは、20nm~300nmであり、例えば、20nm~50nm、50nm~80nm、80nm~130nm、130nm~150nm、130nm~180nm、180nm~230nm、230nm~260nm、又は260nm~300nmであってもよい。この範囲では、第1ドープ導電層120の厚さを薄くすることにより、第1ドープ導電層120におけるドーピング元素がより集中し、さらに、第1ドープ導電層120におけるドーピング元素の濃度がより大きくなり、これにより、第1ドープ導電層120のシート抵抗を下げることができ、第1ドープ導電層120における金属接触再結合損失を低減し、キャリアの収集能力を向上させるのに有利である。そして、この範囲では、第1ドープ導電層120はより薄い厚さを有するので、入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収をさらに低減することができ、入射光線の吸収利用率を高めるとともに、キャリアの収集能力を高め、開放電圧および短絡電流を高めることができる。
【0055】
第2ドープ導電層150の厚さは、50nm~500nmであり、例えば、50nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nm、250nm~300nm、350nm~400nm、400nm~450nm、または450nm~500nmであってもよい。この範囲では、第2ドープ導電層150の厚さが厚くなるため、第2ドープ導電層150に拡散されるドーピング元素の拡散経路を増やすことができ、第2ドープ導電層150におけるドーピング元素が第2ドープ導電層150に多く堆積して第2ドープ導電層150におけるドーピング元素の濃度が高くなり過ぎるのを防止し、第2ドープ導電層150のパッシベーション性能を良好に保ち、第2ドープ導電層150によって生成された光生成キャリアのベース100への移動度を高めるのに有利である。
【0056】
第1ドープ導電層120の厚さを20nm~300nmの範囲内とし、第2ドープ導電層150の厚さを50nm~500nmの範囲内とすることにより、入射光線への寄生吸収を低減しつつ、第1ドープ導電層120のシート抵抗を低減し、第1ドープ導電層120におけるキャリアの収集率を向上できるとともに、ベース100の裏面で生成される光生成キャリアの移動度を高め、さらに、太陽電池の光電変換性能を全体的に向上させることができる。
【0057】
いくつかの実施例において、第1ドープ導電層は、第1ドーピング元素を含み、第1ドーピング元素はアニールにより活性化され、活性化された第1ドーピング元素が得られ、活性化された第1ドーピング元素の濃度は、1×1020atom/cm~6×1020atom/cmであり、例えば、1×1020atom/cm~2×1020atom/cm、2×1020atom/cm~3×1020atom/cm、3×1020atom/cm~4×1020atom/cm、4×1020atom/cm~5×1020atom/cm、または5×1020atom/cm~6×1020atom/cmであってもよい。第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150において、活性化されたドーピング元素はドナー不純物となり得るため、第1ドープ導電層120及び第2ドープ導電層150はフィールドパッシベーション効果を発揮することが理解できる。この範囲内では、第1ドープ導電層120における活性化された第1ドーピング元素の濃度を高い濃度にし、一方で、第1ドープ導電層がベース100の表面に強い静電界を形成することができ、第1ドープ導電層120のフィールドパッシベーシヨン作用の増強に有利である。一方、この範囲であれば、第1ドープ導電層120のシート抵抗をより小さくすることができ、第1ドープ導電層の金属接触再結合損失を低減するのに有利であり、キャリアの収集効率を向上させることができる。
【0058】
いくつかの実施例において、第2ドープ導電層は、第2ドーピング元素を含み、第2ドーピング元素はアニールにより活性化され、活性化された第2ドーピング元素が得られ、活性化された第2ドーピング元素の濃度は、4×1019atom/cm~9×1019atom/cmであり、例えば、4×1019atom/cm~5×1019atom/cm、5×1019atom/cm~6×1019atom/cm、6×1019atom/cm~7×1019atom/cm、7×1019atom/cm~8×1019atom/cm、または8×1019atom/cm~9×1019atom/cmであってもよい。この範囲では、第2ドープ導電層150における活性化される第2ドーピング元素の濃度が高くなりすぎないため、第2導電層のオージェ再結合を低減し、ベース100の裏面におけるキャリア再結合を低減し、第2ドープ導電層150で発生したキャリアのベース100への移動度を向上させることができる。
【0059】
また、活性化された第1ドーピング元素の濃度が1×1020atom/cm~6×1020atom/cmであり、且つ活性化された第2ドーピング元素の濃度が4×1019atom/cm~9×1019atom/cmであれば、ベース100の表面に位置する第1ドープ導電層120における第1ドーピング元素の濃度は、ベース100の裏面に位置する第2ドープ導電層150における第2ドーピング元素の濃度よりも小さく、これにより、ベース100の表面における金属接触再結合損失を低減しつつ、ベース100の裏面における光学キャリアの移動度を向上させることができ、さらに、太陽電池の光電変換性能を全体的に向上させることができる。
【0060】
いくつかの実施例において、ベース100は、N型ベースであり、第1ドープ導電層120は、N型ドープ導電層であり、第2ドープ導電層150は、P型ドープ導電層である。
【0061】
他のいくつかの実施例において、ベース100は、P型シリコンベースであってもよく、第1ドープ導電層120は、P型ドープ導電層であり、第2ドープ導電層150は、N型ドープ導電層である。
【0062】
いくつかの実施例において、ベース100がN型ベースであり、第1ドープ導電層120がN型ドープ導電層であり、第2ドープ導電層150がP型ドープ導電層である場合、第1ドープ導電層のドーピング元素はリン元素を含み、第2ドープ導電層150のドーピング元素はホウ素元素を含むように設定することができる。
【0063】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層170をさらに備え、第1パッシベーション層170の第1部分が、第1ドープ導電層120のベース100から離れた面に位置し、第1パッシベーシヨン層170の第2部分が、非金属パターン領域と位置合わせされた表面に位置する。
【0064】
第1パッシベーション層170は、ベース100の表面に対して良好なパッシベーション効果を奏することができ、例えば、ベース100の表面のダングリングボンドに対して良好な化学的なパッシベーションを行い、ベース100の表面の欠陥状態密度を低減し、ベース100の表面のキャリア再結合を良く抑制することができる。第2部分の第1パッシベーシヨン層170は、ベース100の表面に直接接触しているので、第2部分の第1パッシベーシヨン層170とベース100との間に第1トンネル層110および第1ドープ導電層120を有していなく、このように、入射光線に対する第1ドープ導電層120の寄生吸収の問題を低減することができる。
【0065】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層170の第1部分の頂面は、第1パッシベーション層170の第2部分の頂面と面一ではない。具体的には、第1パッシベーション層170の第1部分の頂面は、第1パッシベーション層170の第2部分の頂面よりも高くてもよく、これにより、ベース100の表面に位置する第2部分の厚さが厚くなり過ぎず、第2部分の厚さが大きいことでベース100の表面に応力損傷が生じ、ベース100の表面に界面準位欠陥が多く発生してキャリア再結合中心が多く発生してしまうという問題が防止される。
【0066】
いくつかの実施例において、第1パッシベーション層170は、単層構造であってもよいし、他のいくつかの実施例において、第1パッシベーション層170は、多層構造であってもよい。いくつかの実施例において、第1パッシベーション層170の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、または酸窒化シリコンのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0067】
いくつかの実施例において、金属パターン領域上に設けられ、第1ドープ導電層120と電気的に接続された第1電極160をさらに備える。
【0068】
ベース100の裏面に形成されたPN接合は、入射光線を受けて光生成キャリアを生成するために用いられ、生成された光生成キャリアは、ベース100から第1ドープ導電層120に伝送し、さらに、光生成キャリアを収集するための第1電極160に伝送する。第1ドープ導電層120のドーピングイオンの種類がベース100のドーピングイオンの種類と同じであるため、第1電極160と第1ドープ導電層120との間の金属接触再結合損失が低減され、さらに、第1電極160と第1ドープ導電層120との間のキャリア接触再結合を低減し、短絡電流および太陽電池の光電変換性能を向上することができる。幾つかの実施例において、第1電極160は、金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面側に配置される。第1電極160は、第1パッシベーション層170を貫通して第1ドープ導電層120と電気的に接触する。
【0069】
図4を参照して、いくつかの実施例において、金属パターン領域と位置合わせされたベース100内に位置し、頂部が第1トンネル層110と接触し、ドーピング元素の濃度がベース100のドーピング元素の濃度よりも大きい拡散エリア130をさらに備える。
【0070】
拡散エリア130は、キャリア輸送チャネルとすることができ、金属パターン領域と位置合わせされたベース100にのみ拡散エリア130を形成することで、ベース100内のキャリアを拡散エリア130を介してドープ導電層に容易に輸送できる、すなわち拡散エリア130がキャリア輸送チャネルとして機能する。そして、拡散エリア130は、金属パターン領域と位置合わせされたベース100内にのみ設けられているため、ベース100内のキャリアを拡散エリア130に集中して輸送し、拡散エリア130を介して第1ドープ導電層120に輸送することができ、これにより、第1ドープ導電層120におけるキャリア濃度を大きく向上させることができる。なお、本願実施例では、非金属パターン領域と位置合わせされたベース100に拡散エリア130を設けないことにより、非金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面におけるキャリア濃度が大きすぎることはなく、非金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面で深刻なキャリア再結合の問題が発生することを防止する。また、非金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面にベース100内のキャリアが輸送されてしまうのを防ぐこともでき、さらに、非金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面にキャリアが堆積して非金属パターン領域と位置合わせされたベース100の表面に「デッドレイヤー」が発生して過剰なキャリアが再結合するという問題を回避することができ、太陽電池の光電変換性能を全体的に向上させることができる。
【0071】
いくつかの実施例において、第2ドープ導電層150のベース100から離れた面に位置する第2パッシベーション層180をさらに備える。第2パッシベーション層180は、ベース100の裏面に対して良好なパッシベーション効果を奏し、ベース100の裏面の欠陥状態密度を低減して、ベース100の裏面でのキャリア再結合を良く抑制するために用いられる。ベース100の裏面におけるテラス突起構造の凹凸の程度が小さいため、ベース100の裏面に蒸着された第2パッシベーション層180が高い平坦性を有し、第2パッシベーション層180のパッシベーション性能を向上させることができる。
【0072】
いくつかの実施例において、第2パッシベーション層180は、単層構造であってもよいし、他のいくつかの実施例において、第2パッシベーション層180は、多層構造であってもよい。いくつかの実施例において、第2パッシベーション層180の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、または酸窒化シリコンのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0073】
いくつかの実施例において、ベース100の裏面に位置し、第2ドープ導電層150と電気的に接触している第2電極190をさらに備え、具体的には、第2電極190は、第2パッシベーション層180を貫通して第2ドープ導電層150と電気的に接触してもよい。
【0074】
上記の実施例に係る太陽電池では、第1ド一プ導電層120の結晶粒サイズが第2ド一プ導電層150の結晶粒サイズよりも小さくならないように、表面に位置する第1ド一プ導電層120の半値幅を第2ド一プ導電層150の半値幅以下とし、第1ド一プ導電層120の結晶粒サイズが大きいほど、入射光線に対する第1ド一プ導電層120の吸収能力が弱くなるので、第1ド一プ導電層120の表面入射光線に対する寄生吸収を小さく保つことができ、ドーピングベース100による入射光線の吸収利用率が向上し、太陽電池の光電変換性能を向上させることができる。
比較例
【0075】
比較例は、一種の太陽電池をを提供する。比較例における太陽電池の構造は、本願実施例に提供される太陽電池の構造と同じであるが、違いは、本願実施例に提供される太陽電池の第1ドープ導電層120の、ラマンスペクトルにおける半値幅が、比較例の太陽電池のベース100の表面におけるドープ導電層の、ラマンスペクトルにおける半値幅よりも小さいことにある。具体的には、本願実施例に提供される太陽電池、第1ドープ導電層120の、ラマンスペクトルにおける半値幅は、3.7cm-1であり、比較例の太陽電池のベース100の表面におけるドープ導電層の、ラマンスペクトルにおける半値幅は、10.1cm-1である。比較実験により、本願実施例と比較例との間のパラメータ対比が表1に示す通りであることが分かった。
【0076】
[表1]
【0077】
表1から、本願実施例における太陽電池は、比較例に比べて、開放電圧および変換効率が高いことが分かる。これは、本願実施例において、ベース100の表面に位置する第1ドープ導電層120の半値幅がより小さくなるように設定することで、第1ドープ導電層120による入射光線への寄生吸収を小さくしつつ、第1ドープ導電層120のパッシベーション性能を良好に保ち、太陽電池の光電変換性能を全体的に向上させるためである。このことから、ベース100の表面に位置するドープ導電層の半値幅を小さく設定することで、太陽電池の光電変換効率を効果的に向上できることが分かる。
【0078】
これに応じて、本願実施例の別の態様は、光起電力モジュールをさらに提供する。図5を参照して、光起電力モジュールは、上記の実施例により提供される太陽電池101を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層102と、封止層102のセルストリングから離れた面を覆うためのカバープレート103と、を備える。太陽電池101をモノリシックまたはマルチフラグメントで電気的に接続して複数のセルストリングが形成され、複数のセルストリングが直列および/または並列に電気的に接続される。
【0079】
具体的には、いくつかの実施例において、複数のセルストリング間は、伝導バンド104によって電気的に接続されていてもよい。封止層102は、太陽電池101の表裏面を覆っており、具体的には、封止層102は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレンオクテン-エラストマー(POE)接着フィルム、またはポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルム等の有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例において、カバープレート103は、ガラスカバープレートやプラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレート103であってもよい。具体的には、カバープレート103の封止層102に向かう面は、凹凸面であってもよく、これにより、入射光線の利用率を高める。
【0080】
本願は、好ましい実施例で上記のように開示しているが、請求の範囲を限定するものではなく、いずれの当業者は、本願の構想を逸脱しない限り、若干の可能な変動、修正を加えることができる。よって、本願の保護範囲は、本願の請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
【0081】
当業者であれば、前記各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
対向する表面及び裏面を有するベースと、
電極が設けられた領域と位置合わせされたベースの表面に位置しかつ前記ベースから離反する方向に順に設けられた1トンネル層及び第1ドープ導電層であって前記第1ドープ導電層が、前記電極が設けられた領域と位置合わせされたベースの表面にのみ設けられ、前記第1ドープ導電層のドーピング元素の種類が前記ベースのドーピング元素の種類と同じである第1トンネル層及び第1ドープ導電層と、
前記ベースの裏面に位置しかつ前記ベースから離反する方向に順に設けられた2トンネル層及び第2ドープ導電層であって前記第2ドープ導電層のドーピング元素の種類が前記第1ドープ導電層のドーピング元素の種類と異なる第2トンネル層及び第2ドープ導電層と、
を備え、
前記第1ドープ導電層のラマンスペクトルにおけるピーク値の半値幅が、前記第2ドープ導電層のラマンスペクトルにおける前記ピーク値の半値幅よりも大きくない、
ことを特徴とする太陽電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記第1ドープ導電層のラマンスペクトルにおけるピーク値の半値幅は、2cm-1~6cm-1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記第2ドープ導電層のラマンスペクトルにおけるピーク値の半値幅は、2cm-1~8cm-1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
第1パッシベーション層をさらに備え、
前記第1パッシベーション層の第1部分が、前記第1ドープ導電層の前記ベースから離れた面に位置し、前記第1パッシベーション層の第2部分が、電極が設けられていない領域と位置合わせされた表面に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
前記第1パッシベーション層の第1部分の頂面と、前記第1パッシベーション層の第2部分の頂面とは面一ではない、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項16
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項16】
前記電極が設けられた領域設けられ、前記第1ドープ導電層と電気的に接続された第1電極をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。

【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項17
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項17】
前記電極が設けられた領域と位置合わせされた前記ベース内に位置し、頂部が前記第1トンネル層と接触し、ドーピング元素の濃度が前記ベースのドーピング元素の濃度よりも大きい拡散エリアをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。

【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、第1パッシベーション層をさらに備え、前記第1パッシベーション層の第1部分が、前記第1ドープ導電層の前記ベースから離れた面に位置し、前記第1パッシベーション層の第2部分が、非金属パターン領域と位置合わせされた表面に位置する。

【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、前記第1パッシベーション層の第1部分の頂面と、前記第1パッシベーション層の第2部分の頂面とは面一ではない。

【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
具体的には、いくつかの実施例において、第1ドープ導電層120の第1ピーク付近における半値幅は、第2ドープ導電層150の第1ピーク付近における半値幅に等しくてもよく、これにより、第2ドープ導電層150の結晶粒サイズと第1ドープ導電層120の結晶粒サイズとが同じになる。つまり、第2ドープ導電層150の結晶粒サイズも小さく、第2ドープ導電層150のパッシベーション性能を良好に保つことができるが、第2ドープ導電層150がベース100とPN接合を形成する、すなわち、第2ドープ導電層150が光生成キャリアを生成させるために用いられるので、第2ドープ導電層150のパッシベーション性能を良好に保つことは、ベース100の裏面での光生成キャリアのキャリア再結合を低減し、光生成キャリアの移動度を向上させ、さらにベース100内のキャリア濃度を高くすることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
図2を参照して、具体的には、幾つかの実施例において、第1ドープ導電層120と第2ドープ導電層150の材料が同じであり、いずれもポリシリコンである場合、第1ピークは520cm-1であってもよく、第1ド-プ導電層120の520cm-1付近における半値幅は、2cm-1~6cm-1であってもよく、例えば、2cm-1~2.5cm-1、2.5cm-1~3cm-1、3cm-1~3.3cm-1、3.3cm-1~3.4cm-1、3.4cm-1~3.5cm-1、3.5cm-1~3.7cm-1、3.7cm-1~4cm-1、4cm-1~4.5cm-1、4.5cm-1~5cm-1、5cm-1~5.5cm-1又は5.5cm-1~6cm-1であってもよい。この範囲では、第1ド-プ導電層120の半値幅が比較的小さく、且つ、第1ド-プ導電層120の結晶粒サイズが比較的大きいので、入射光線に対する第1ド-プ導電層120の寄生吸収能力が弱く、入射光線の吸収利用率を高めることができる。そして、この範囲では、第1ド-プ導電層120のパッシベ-ション性能を優れたものとすることができ、このように、ベ-ス100の表面への入射光線に対する第1ド-プ導電層120の寄生吸収を低減できるだけでなく、第1ド-プ導電層120によるベ-ス100の表面のパッシベ-ション性能改善でき、第1ド-プ導電層120が、金属パタ-ン領域と位置合わせされたベ-ス100の表面に強い静電界を形成するため、ベ-ス100の表面におけるキャリアの移動速度を増加させることができ、第1ド-プ導電層120のフィ-ルドパッシベ-ション効果を著しく高めることができる。

【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
また、第2ド-プ導電層150の厚さをより大きくすることにより、第2ド-プ導電層150のパッシベ-ション作用を強めることができる。これは、第2ド-プ導電層150における結晶粒サイズが小さいため、実際に第2ド-プ導電層150を作製する過程において、第2ド-プ導電層150におけるド-ピング元素の拡散速度が大きく、このように、第2ド-プ導電層150におけるド-ピング元素の濃度が大きくなりすぎて、第2ド-プ導電層150のパッシベ-ション性能が低下するという問題があるためである。また、第2ド-プ導電層150はベ-ス100と共にPN接合を形成するため、第2ド-プ導電層150のパッシベ-ション性能を良好にする必要があり、これにより、光生成キャリアの再結合を低減し、ベ-ス100内のキャリア濃度を高めることができる。これに基づいて、第2ド-プ導電層150の厚さをより大きくすることで、第2ド-プ導電層150に拡散されたド-ピング元素について拡散経路を長く取ることができ、第2ド-プ導電層150におけるド-ピング元素が集中し過ぎることに起因して第2ド-プ導電層150におけるド-ピング元素濃度が過大になるという問題を回避できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
いくつかの実施例において、第1ド-プ導電層は、第1ド-ピング元素を含み、第1ド-ピング元素はアニ-ルにより活性化され、活性化された第1ド-ピング元素が得られ、活性化された第1ド-ピング元素の濃度は、1×1020atom/cm~6×1020atom/cmであり、例えば、1×1020atom/cm~2×1020atom/cm、2×1020atom/cm~3×1020atom/cm、3×1020atom/cm~4×1020atom/cm、4×1020atom/cm~5×1020atom/cm、または5×1020atom/cm~6×1020atom/cmであってもよい。第1ド-プ導電層120及び第2ド-プ導電層150において、活性化されたド-ピング元素はドナ-不純物となり得るため、第1ド-プ導電層120及び第2ド-プ導電層150はフィ-ルドパッシベ-ション効果を発揮することが理解できる。この範囲内では、第1ド-プ導電層120における活性化された第1ド-ピング元素の濃度を高い濃度にし、一方で、第1ド-プ導電層がベ-ス100の表面に強い静電界を形成することができ、第1ド-プ導電層120のフィ-ルドパッシベ-ション作用の増強に有利である。一方、この範囲であれば、第1ド-プ導電層120のシ-ト抵抗をより小さくすることができ、第1ド-プ導電層の金属接触再結合損失を低減するのに有利であり、キャリアの収集効率を向上させることができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
いくつかの実施例において、第1パッシベ-ション層170をさらに備え、第1パッシベ-ション層170の第1部分が、第1ド-プ導電層120のベ-ス100から離れた面に位置し、第1パッシベ-ション層170の第2部分が、非金属パタ-ン領域と位置合わせされた表面に位置する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
第1パッシベ-ション層170は、ベ-ス100の表面に対して良好なパッシベ-ション効果を奏することができ、例えば、ベ-ス100の表面のダングリングボンドに対して良好な化学的なパッシベ-ションを行い、ベ-ス100の表面の欠陥状態密度を低減し、ベ-ス100の表面のキャリア再結合を良く抑制することができる。第2部分の第1パッシベ-ション層170は、ベ-ス100の表面に直接接触しているので、第2部分の第1パッシベ-ション層170とベ-ス100との間に第1トンネル層110および第1ド-プ導電層120を有していなく、このように、入射光線に対する第1ド-プ導電層120の寄生吸収の問題を低減することができる。