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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038967
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ジャケット構造体
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20240313BHJP
   E02D 27/16 20060101ALI20240313BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20240313BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D27/16
E02D27/32 Z
E02D27/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206627
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2022142966の分割
【原出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】風野 裕明
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】森下 和帆
(72)【発明者】
【氏名】松井 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】福田 渚
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄太
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
(72)【発明者】
【氏名】舟竹 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】入江 敬
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA14
2D046CA01
2D046CA07
2D046CA08
2D046DA05
2D046DA62
(57)【要約】
【課題】施工性を向上させ、かつ、補強の効果を十分に保つことができるジャケット構造体を提供する。
【解決手段】洋上風車200を支持し、且つ、管状である第1レグ21と、一端部が第1レグ21の所定部分LCに当接し、且つ、管状であるブレース50と、を含むジャケット構造体100であって、ブレース50は、第1ブレース51と、第2ブレース52と、を備え、第1ブレース51の管軸と第2ブレース52の管軸と第1レグ21の管軸とが、一点で交わる状態を交わり状態とし、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1ブレース51と第2ブレース52との距離が、交わり状態における距離より、大きくなるよう、配置されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状である第1レグと、
一端部が前記第1レグの所定部分に当接し、且つ、管状であるブレースと、
を含むジャケット構造体であって、
前記ブレースは、第1ブレースと、第2ブレースと、を備え、
前記第1ブレースの管軸と前記第2ブレースの管軸と前記第1レグの管軸とが、一点で交わる状態を交わり状態とし、
前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、前記第1ブレースと前記第2ブレースとの距離が、前記交わり状態における前記距離より、大きくなるよう、配置される、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記第1ブレースの管軸と前記第2ブレースの管軸とが成す角度は、鉛直方向に沿って見て、略90度である、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
前記ブレースは、前記所定部分に接続され、且つ、管状である第1水平ブレース、
を更に備え、
前記第1水平ブレースの一端部は、前記所定部分に当接しており、
前記第1水平ブレースの管軸と、前記第1レグの管軸と、は、交わる、
ことを特徴とする請求項1記載のジャケット構造体。
【請求項4】
海底に打設される、複数の鋼管杭と、
前記第1レグと、前記第1レグに対応する前記鋼管杭とを接続する接続部材と、
前記接続部材に含まれる上フランジと、
前記接続部材に含まれる下フランジと、
を更に備え、
前記所定部分は、前記上フランジと、前記下フランジとに挟まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記ブレースは、前記所定部分に接続され、且つ、管状である第1水平ブレース、
を更に備え、
前記鋼管杭又は前記第1レグ、前記第1ブレース、及び、前記第1水平ブレースそれぞれの外径は、この順で、小さくなる、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、前記第1レグの管軸と交わらない、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記第1ブレース及び前記第2ブレースの管軸は、交わる、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
管状である第2レグ、
を更に備え、
前記第1ブレースの他端部は、前記第2レグに当接しており、
前記第1ブレースの管軸と、前記第2レグの管軸とは、交わらない、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、交わらない、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記第1ブレースの管軸と、前記第2ブレースの管軸とは、前記第1レグの管軸を基準とし、前記第1レグの長手方向に沿って見て、線対称である、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、前記第1レグの長手方向に沿って見て 、交わる、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
管状である第2レグ、
を更に備え、
前記第1ブレースの他端部は、前記第2レグに当接しており、
前記第1ブレースの管軸と、前記第2レグの管軸と、は、交わる、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記第1ブレースの一端部及び前記第2ブレースの一端部それぞれの位置は、水平方向に沿って見て、異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの一端部は、前記交わり状態において、重なる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
前記第1レグ、前記第1ブレース、及び、前記第2ブレースのそれぞれは、直線状である、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車等をはじめとする構造物を洋上に配置するために、鋼管を組み合わせたジャケット構造体を用いることがある。
特許文献1では、鋼管同士の接合部の応力集中を緩和する構造について、径の異なる鋼管をオーバーラップさせた接合部を形成し、グラウトを打設する構造が開示されている。
特許文献2では、洋上構造物である護岸構造の鋼材量を低減するために、杭列に矢板を配置して壁体を構成し、裏込材を充填した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-55045号公報
【特許文献2】特開2004-308328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジャケット構造体を補強するために、ジャケット構造体のレグ同士を接続するブレースが設けられる。レグとブレースとは、例えば、溶接により接合される。1つのレグに対して複数のブレースを溶接するとき、複数のブレースそれぞれの接合部同士が干渉すると、施工性が低下する課題がある。これに対し、ブレースの外径を小さくすることで前記接合部同士の干渉を避けようとすると、ブレースによるジャケット構造体の補強の効果が低下する、または、ブレース自体の強度が不足する課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、施工性を向上させ、かつ、補強の効果を十分に保つことができるジャケット構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、管状である第1レグと、一端部が前記第1レグの所定部分に当接し、且つ、管状であるブレースと、を含むジャケット構造体であって、前記ブレースは、第1ブレースと、第2ブレースと、を備え、前記第1ブレースの管軸と前記第2ブレースの管軸と前記第1レグの管軸とが、一点で交わる状態を交わり状態とし、前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、前記第1ブレースと前記第2ブレースとの距離が、前記交わり状態における前記距離より、大きくなるよう、配置されることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第1ブレース及び第2ブレースそれぞれの管軸は、第1ブレースと第2ブレースとの距離が、交わり状態における前記距離より、大きくなるよう、配置される。これにより、第1レグと第1ブレースとの溶接部(以下、第1溶接部)と、第1レグと第2ブレースとの溶接部(以下、第2溶接部)と、が、交わり状態よりも干渉し難くすることができる。よって、第1レグと第1ブレース及び第2ブレースとの溶接の作業を容易にすることができる。よって、施工性を向上させることができる。よって、溶接の信頼性を向上させることができる。また、費用を抑えることができる。
【0008】
上述の態様とすることで、例えば、交わり状態を保ちつつ、第1ブレース及び第2ブレースの径を小さくすることによって、第1溶接部と第2溶接部とが干渉しないようにした場合と比較して、第1ブレース及び第2ブレースによるジャケット構造体の補強の効果を十分に保つことができる。
【0009】
<2>本発明の態様2に係るジャケット構造体は、態様1に係るジャケット構造体において、前記第1ブレースの管軸と前記第2ブレースの管軸とが成す角度は、鉛直方向に沿って見て、略90度であることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、第1ブレースの管軸と第2ブレースの管軸とが成す角度は、鉛直方向に沿って見て、略90度である。これにより、例えば、ジャケット構造体がレグを4つ備える場合に、ジャケット構造体が平面視において正方形状となるようにすることができる。よって、ジャケット構造体を安定した構造にすることができる。
【0011】
<3>本発明の態様3に係るジャケット構造体は、態様1又は2に係るジャケット構造体において、前記ブレースは、前記所定部分に接続され、且つ、管状である第1水平ブレース、を更に備え、前記第1水平ブレースの一端部は、前記所定部分に当接しており、前記第1水平ブレースの管軸と、前記第1レグの管軸と、は、交わることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、第1水平ブレースの管軸と、第1レグの管軸と、は、交わる。ここで、ジャケット構造体の構造解析は、梁モデル、つまり、各構成の中立軸のみ抽出して簡素化したモデルによる解析が好適に用いられる。このため、ジャケット構造体は、より解析の条件と近い構造とするため、ジャケット構造体を構成する各管状部材は、それぞれの管軸が交わる構造であることが好ましい。これに対し、第1水平ブレースの管軸と、第1レグの管軸と、は、交わる。このような態様とした場合は、よりジャケット構造体の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
【0013】
<4>本発明の態様4に係るジャケット構造体は、態様1から態様3のいずれか1つに係るジャケット構造体において、海底に打設される、複数の鋼管杭と、前記第1レグと、前記第1レグに対応する前記鋼管杭とを接続する接続部材と、前記接続部材に含まれる上フランジと、前記接続部材に含まれる下フランジと、を更に備え、前記所定部分は、前記上フランジと、前記下フランジとに挟まれることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、所定部分は、接続部材の備える上フランジと下フランジとに挟まれる。つまり、接続部材の上フランジと下フランジとの間において、第1ブレース及び第2ブレースそれぞれの管軸は、第1ブレースと第2ブレースとの距離が、交わり状態における前記距離より、大きくなるよう、配置される。これにより、接続部材の上フランジと下フランジとの間において、第1溶接部と第2溶接部とが干渉しないようにすることができる。よって、接続部材の上フランジと下フランジとの間において、第1レグと第1ブレース及び第2ブレースとの溶接の作業を容易にすることができる。
【0015】
<5>本発明の態様5に係るジャケット構造体は、態様3又は4に係るジャケット構造体において、前記鋼管杭又は前記第1レグ、前記第1ブレース、及び、前記第1水平ブレースそれぞれの外径は、この順で、小さくなることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、鋼管杭又は第1レグ、第1ブレース、及び、第1水平ブレースそれぞれの外径は、この順で、小さくなる。つまり、ジャケット構造体の各構成のうち、鋼管杭又は第1レグが最も太く、第1水平ブレースが最も細い。このような構造とすることで、ジャケット構造体に必要な強度を保ちつつ、経済性を向上させることができる。
【0017】
<6>本発明の態様6に係るジャケット構造体は、態様1から態様5のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、前記第1レグの管軸と交わらないことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、第1ブレース及び第2ブレースそれぞれの管軸は、第1レグの管軸と交わらない。このような構造とすることで、第1ブレース及び第2ブレースの位置を、交わり状態における第1ブレース及び第2ブレースの位置からジャケット構造体の外側に向けて平行移動させた位置とすることで、第1溶接部と第2溶接部とが干渉しないようにすることができる。これにより、例えば、第1ブレース及び第2ブレースの外径を大きくしても、第1溶接部と第2溶接部とが干渉しないようにすることができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースによるジャケット構造体の補強の効果を向上させることができる。
【0019】
<7>本発明の態様7に係るジャケット構造体は、態様1から態様6のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記それぞれの管軸は、交わることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、第1ブレース及び第2ブレースそれぞれの管軸は、交わる。これにより、第1ブレース及び第2ブレースの位置を、交わり状態における第1ブレース及び第2ブレースの位置からジャケット構造体の外側に向けて平行移動させた位置とした場合において、第1レグの長手方向に沿って見て、第1ブレース及び第2ブレースを線対称に設けることができる。よって、ジャケット構造体の構造を単純なものとすることができる。
【0021】
<8>本発明の態様8に係るジャケット構造体は、態様1から態様7のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記洋上風車を支持し、且つ、管状である第2レグ、を更に備え、前記第1ブレースの他端部は、前記第2レグに当接しており、前記第1ブレースの管軸と、前記第2レグの管軸とは、交わらないことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、第1ブレースの他端部は、第2レグに当接しており、第1ブレースの管軸と、第2レグの管軸とは、交わらない。これにより、例えば、第1ブレースの位置を、交わり状態における第1ブレースの位置からジャケット構造体の外側に向けて平行移動させた位置としたとき、第2レグと第1ブレースとの位置関係を、第1レグと第1ブレースとの位置関係と同様にすることができる。よって、ジャケット構造体の構造を単純なものとすることができる。
【0023】
<9>本発明の態様9に係るジャケット構造体は、態様1から態様8のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、交わらないことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、第1ブレース及び第2ブレースそれぞれの管軸は、交わらない。このような構造とすることで、例えば、第1ブレースの位置を、交わり状態における第1ブレースの位置から、第1レグの中心軸と第1ブレースの中心軸との交点を、第1レグの中心軸に沿って移動させた位置とすることで、第1溶接部と第2溶接部とが干渉しないようにすることができる。
【0025】
したがって、交わり状態における第1レグの中心軸と第1ブレースの中心軸とが存在する平面状の空間内に、第1ブレースの中心軸が位置するように配置することができる。第2ブレースも、同様にして配置することができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースの端面を第1レグの外周面に合わせて加工する際、第1ブレース又は第2ブレースそれぞれの中心軸を基準として線対称にすることができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースの端面の加工を容易にすることができる。また、第1ブレースの中心軸及び第2ブレースの中心軸が、それぞれ第1レグの中心軸と交わった構造とすることで、上述のように、よりジャケット構造体の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
また、例えば、第1ブレース及び第2ブレースの外径を大きくしても、第1溶接部と第2溶接部とが干渉しないようにすることができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースによるジャケット構造体の補強の効果を向上させることができる。
【0026】
<10>本発明の態様10に係るジャケット構造体は、態様1から態様9のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1ブレースの管軸と、前記第2ブレースの管軸とは、前記第1レグの管軸を基準とし、前記第1レグの長手方向に沿って見て、線対称であることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、第1ブレースの管軸と、第2ブレースの管軸とは、第1レグの管軸を基準とし、第1レグの長手方向に沿って見て、線対称である。これにより、ジャケット構造体の構造を単純なものとすることができる。よって、例えば、設計検討の効率を向上させることができる。ジャケット構造体の製作の効率を向上させることができる。
【0028】
<11>本発明の態様11に係るジャケット構造体は、態様1から態様10のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの管軸は、前記第1レグの長手方向に沿って見て、交わることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、第1ブレース及び第2ブレースそれぞれの管軸は、第1レグの長手方向に沿って見て、交わる。これにより、第1ブレースの中心軸及び第2ブレースの中心軸が、それぞれ第1レグの中心軸と交わった構造とすることができる。
【0030】
<12>本発明の態様12に係るジャケット構造体は、態様1から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記洋上風車を支持し、且つ、管状である第2レグ、を更に備え、前記第1ブレースの他端部は、前記第2レグに当接しており、前記第1ブレースの管軸と、前記第2レグの管軸と、は、交わることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、第1ブレースの管軸と、第2レグの管軸と、は、交わる。これにより、例えば、第1ブレースの位置を、交わり状態における第1ブレースの位置から、第1レグの中心軸と第1ブレースの中心軸との交点を、第1レグの中心軸に沿って移動させた位置としたとき、第2レグと第1ブレースとの位置関係を、第1レグと第1ブレースとの位置関係と同様にすることができる。よって、ジャケット構造体の構造を単純なものとすることができる。
【0032】
また、第1ブレース及び第2ブレースの端面を第2レグの外周面に合わせて加工する際、第1ブレース又は第2ブレースそれぞれの中心軸を基準として線対称にすることができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースの端面の加工を容易にすることができる。また、第1ブレースの中心軸及び第2ブレースの中心軸が、それぞれ第2レグの中心軸と交わった構造とすることで、上述のように、よりジャケット構造体の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
【0033】
<13>本発明の態様13に係るジャケット構造体は、態様1から態様12のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1ブレースの一端部及び前記第2ブレースの一端部それぞれの位置は、水平方向に沿って見て、異なることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、第1ブレースの一端部及び第2ブレースの一端部それぞれの位置は、水平方向に沿って見て、異なる。つまり、第1レグと第1ブレースとの接点と、第1レグと第2ブレースとの接点との位置が、上下方向に異なった位置にある。このような構造とすることで、交わり状態における第1レグの中心軸と第1ブレースの中心軸とが存在する平面状の空間内に、第1ブレースの中心軸が位置するように配置することができる。第2ブレースも、同様にして配置することができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースの端面を第1レグの外周面に合わせて加工する際、第1ブレース又は第2ブレースそれぞれの中心軸を基準として線対称にすることができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースの端面の加工を容易にすることができる。また、第1ブレースの中心軸及び第2ブレースの中心軸が、それぞれ第1レグの中心軸と交わった構造とすることで、上述のように、よりジャケット構造体の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
【0035】
<14>本発明の態様14に係るジャケット構造体は、態様1から態様13のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1ブレース及び前記第2ブレースそれぞれの一端部は、前記交わり状態において、重なることを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、第1ブレース及び第2ブレースそれぞれの一端部は、交わり状態において、重なる。つまり、第1ブレース及び第2ブレースの外径は、交わり状態とすると、第1溶接部と、第2溶接部とが干渉する条件にある。これにより、第1ブレース及び第2ブレースの外径を十分なものとすることができる。よって、第1ブレース及び第2ブレースによるジャケット構造体の補強の効果を確保することができる。
【0037】
<15>本発明の態様15に係るジャケット構造体は、態様1から態様14のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1レグ、前記第1ブレース、及び、前記第2ブレースのそれぞれは、直線状であることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、第1レグ、第1ブレース、及び、第2ブレースのそれぞれは、直線状である。これにより、例えば、第1レグ、第1ブレース、及び、第2ブレースのそれぞれが曲線状である場合と比較して、構造を単純にすることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、施工性を向上させ、かつ、補強の効果を十分に保つことができるジャケット構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ジャケット構造体の正面図である。
図2図1に示すジャケット構造体の接続部材の拡大図である。
図3】レグの長手方向に沿って見た、所定部分の一部の断面図である。
図4】交わり状態における所定部分の拡大図である。
図5】所定部分の第1形態の拡大図である。
図6】レグの長手方向に沿って見た、所定部分の第1形態に係る所定部分の一部の断面図である。
図7】所定部分の第2形態の拡大図である。
図8】レグの長手方向に沿って見た、所定部分の第2形態に係る所定部分の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(ジャケット構造体100の構成について)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るジャケット構造体100を説明する。図1に示すように、ジャケット構造体100は、洋上風車200を支持する。
図1に示すように、ジャケット構造体100は、トランジションピース10と、レグ20と、鋼管杭30と、接続部材40と、ブレース50と、を備える。
【0042】
トランジションピース10は、ジャケット構造体100の上部に位置する。トランジションピース10には、洋上風車200の下端部が接続される。
レグ20は、トランジションピース10を支持する。このことで、レグ20は、洋上風車200を支持する。レグ20は、管状の部材である。ジャケット構造体100において、レグ20は複数設けられる。本実施形態において、レグ20は、4つ設けられる。
【0043】
鋼管杭30は、下端が海底に打設される。鋼管杭30は、上端がレグ20の下端に接続される。これにより、鋼管杭30は、レグ20を支持する。鋼管杭30は、レグ20の数に対応して複数設けられる。鋼管杭30の上端とレグ20の下端とは、接続部材40によって接続される。
【0044】
接続部材40は、レグ20と、レグ20に対応する鋼管杭30と、を接続する。接続部材40は、図2に示すように、上フランジ41と、下フランジ42と、スリーブ43と、を含む。
上フランジ41及び下フランジ42は、それぞれスリーブ43の上部及び下部に配置される板状の部材である。上フランジ41及び下フランジ42は、例えば、それぞれ水平に配置される。図2に示すように、上フランジ41及び下フランジ42は、それぞれレグ20の下端に取り付けられる。このため、レグ20は、下端付近に屈曲部20Bを備えることが好ましい。これにより、レグ20の下端は、鉛直方向に平行に延びることが好ましい。
【0045】
スリーブ43は、鉛直方向に沿って配置される筒状の部材である。スリーブ43の上端及び下端には、図2に示すように、それぞれ上フランジ41及び下フランジ42に取り付けられる。スリーブ43には、内部に鋼管杭30が挿入される。これにより、接続部材40によって、レグ20と鋼管杭30とを接続する。
【0046】
ブレース50は、ジャケット構造体100に複数設けられたレグ20のうち、ジャケット構造体100の周方向に隣り合うレグ20同士を接続する。これにより、ブレース50は、ジャケット構造体100を補強する。ブレース50は、第1ブレース51と、第2ブレース52と、第1水平ブレース53と、を含む。これらを区別しない場合は、ブレース50という。
なお、以下の説明において、ジャケット構造体100に複数設けられたレグ20のうちの1つを第1レグ21という。ジャケット構造体100の周方向において、第1レグ21の隣に位置するレグ20を、第2レグ22という。第1レグ21及び第2レグ22における、ブレース50が当接する部位を、所定部分LCという。
【0047】
第1ブレース51は、一端部が第1レグ21の所定部分LCに当接する。第1ブレース51は、他端部が第2レグ22の所定部分LCに当接する。第1ブレース51は、管状の部材である。
第2ブレース52は、一端部が第1レグ21の所定部分LCに当接する。第2ブレース52は、他端部が第2レグ22の所定部分LCに当接する。第2ブレース52は、管状の部材である。
【0048】
本実施形態において、第1ブレース51と第2ブレース52とは、図1に示すように、X字状となるように配置される。ジャケット構造体100において、前記X字状は、上下方向に2段設けられる。
ここで、上述のように、レグ20は4つ設けられる。このとき、本実施形態において、図3に示すように、第1ブレース51の管軸と第2ブレース52の管軸とが成す角度は、鉛直方向に沿って見て、略90度である。本実施形態において、略90度とは、65度以上115度以下の範囲をいう。
以下の説明において、ジャケット構造体においてX字状に配置されるブレース50について、第1ブレース51及び第2ブレース52等の区別をしない場合には、斜めブレースということがある。
【0049】
第1水平ブレース53は、所定部分LCに接続される。第1水平ブレース53は、一端部が第1レグ21の所定部分LCに当接する。第1水平ブレース53は、他端部が第2レグ22の所定部分LCに当接する。第1水平ブレース53は、管状の部材である。
本実施形態において、レグ20とブレース50とは、溶接により接合される。
【0050】
本実施形態において、鋼管杭30又は第1レグ21、第1ブレース51及び第2ブレース52、及び、第1水平ブレース53それぞれの外径は、この順で、小さくなる。つまり、ジャケット構造体100において、鋼管杭30又は第1レグ21の外径が最も大きく、第1水平ブレース53の外径が最も小さい。また、第1ブレース51と第2ブレース52との外径は等しい。本実施形態において、第1レグ21、第1ブレース51、第2ブレース52、及び、第1水平ブレース53のそれぞれは、直線状である。
【0051】
(レグ20とブレース50との接合について)
次に、本実施形態に係るジャケット構造体100におけるレグ20とブレース50との接合について説明する。まず、以下の各説明における前提について説明する。なお、以下の説明において、特に記載する場合を除き、第1レグ21と第1ブレース51及び第2ブレース52との接合について説明するが、ジャケット構造体100におけるレグ20と斜めブレースとの接合については、いずれの部位も同様である。
【0052】
第1レグ21と第1ブレース51との溶接部を、第1溶接部W1という。第1レグ21と第2ブレース52との溶接部を、第2溶接部W2という。これらを区別しない場合に、溶接部という。
本実施形態において、所定部分LCは、図1に示すように、レグ20の上端と、レグ20の中間部と、レグ20の下端に位置する。以下の説明では、特に接続部材40の上フランジ41と下フランジ42とに挟まれている所定部分LCについて説明する。特に記載する場合を除き、以下の態様は、レグ20に位置するいずれの所定部分LCにおいても同じである。
【0053】
本実施形態の所定部分LCの説明にあたり、まず、交わり状態について説明する。
図4に示すように、第1ブレース51の管軸と、第2ブレース52の管軸と、第1レグ21の管軸と、が一点で交わる状態を、交わり状態という。第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの一端部は、交わり状態において、重なる。図4に示すように、第1レグ21、第1ブレース51、及び、第2ブレース52の外径は、交わり状態となるようにジャケット構造体100を構成した時、第1溶接部W1と、第2溶接部W2と、が干渉する条件にある。つまり、第1溶接部W1の輪郭と第2溶接部W2の輪郭とが重なる条件にある。
【0054】
(所定部分LCの第1形態)
所定部分LCの第1形態では、図5および図6に示すように、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1ブレース51と第2ブレース52との距離が、交わり状態における第1ブレース51と第2ブレース52との距離より、大きくなるよう、配置される。本実施形態において、第1ブレース51と第2ブレース52との距離とは、第1ブレース51と第2ブレース52との、最も近接した部位同士の距離である。本実施形態において、第1ブレース51と第2ブレース52とは、交わり状態とならないように配置される。これにより、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにする。このような形態とする場合、所定部分LCの長さは、交わり状態の場合と同じになる。
【0055】
図6に示すように、第1ブレース51の管軸と、第2ブレース52の管軸とは、第1レグ21の管軸を基準とし、第1レグ21の長手方向に沿って見て、線対称である。
所定部分LCの第1形態において、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1レグ21の管軸と交わらない。つまり、図5及び図6に示すように、第1ブレース51及び第2ブレース52は、図3及び図4に示す交わり状態における第1ブレース51及び第2ブレース52の位置から、ジャケット構造体100の外側に向けて平行移動させた部位に位置する。これにより、第1ブレース51の管軸及び第2ブレース52の管軸は、レグの長手方向から見て、交わり状態における第1ブレース51の管軸及び第2ブレース52の管軸と平行に位置する。この場合における移動代は、例えば、第1溶接部W1と第2溶接部W2との最小距離が50mm以上となる程度であることが好ましい。このことで、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにする。
【0056】
図5及び図6に示すように、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、交わる。また、図5に示すように、第1水平ブレース53の管軸と、第1レグ21の管軸と、は、交わる。
ここで、上述のように、第2レグ22と第1ブレース51及び第2ブレース52との接合については、第1レグ21と第1ブレース51及び第2ブレース52との接合と同様である。つまり、所定部分LCの第1形態において、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第2レグ22の管軸と交わらない。
【0057】
(所定部分LCの第2形態)
次に、所定部分LCの第2形態について説明する。以下においては、第1形態と異なる内容についてのみ説明する。その他の内容については、第1形態と同じである。
第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、交わらない。つまり、図7に示すように、第1ブレース51の位置を、図3及び図4に示す交わり状態における第1ブレース51の位置から、第1レグ21の中心軸と第1ブレース51の中心軸との交点を、第1レグ21の中心軸に沿って移動させた位置とする。つまり、第1ブレース51の一端部及び第2ブレース52の一端部それぞれの位置は、水平方向に沿って見て、異なる。この場合における移動代は、例えば、第1溶接部W1と第2溶接部W2との最小距離が50mm以上となる程度であることが好ましい。このことで、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにする。このような形態とする場合、所定部分LCの長さは、交わり状態の場合よりも長くなる。
【0058】
第2形態においては、図7に示すように、第1ブレース51の管軸と第1レグ21の管軸、及び第2ブレース52の管軸と第1レグ21の管軸とは、それぞれ交わる。このため、図8に示すように、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1レグ21の長手方向に沿って見て、交わる。
ここで、上述のように、ジャケット構造体100におけるレグ20と斜めブレースとの接合については、いずれの部位も同様である。つまり、所定部分LCの第2形態において、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第2レグ22の管軸と交わる。
以上の点で、所定部分LCの第2形態は、第1形態と異なる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体100によれば、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1ブレース51と第2ブレース52との距離が、交わり状態における前記距離より、大きくなるよう、配置される。これにより、第1溶接部W1と、第2溶接部W2と、が、交わり状態よりも干渉し難くすることができる。よって、第1レグ21と第1ブレース51及び第2ブレース52との溶接の作業を容易にすることができる。よって、施工性を向上させることができる。よって、溶接の信頼性を向上させることができる。また、費用を抑えることができる。
【0060】
上述の態様とすることで、例えば、交わり状態を保ちつつ、第1ブレース51及び第2ブレース52の径を小さくすることによって、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにした場合と比較して、第1ブレース51及び第2ブレース52によるジャケット構造体100の補強の効果を十分に保つことができる。
【0061】
また、第1ブレース51の管軸と第2ブレース52の管軸とが成す角度は、鉛直方向に沿って見て、略90度である。これにより、例えば、ジャケット構造体100がレグ20を4つ備える場合に、ジャケット構造体100が平面視において正方形状となるようにすることができる。よって、ジャケット構造体100を安定した構造にすることができる。
【0062】
また、第1水平ブレース53の管軸と、第1レグ21の管軸と、は、交わる。ここで、ジャケット構造体100の構造解析は、梁モデル、つまり、各構成の中立軸のみ抽出して簡素化したモデルによる解析が好適に用いられる。このため、ジャケット構造体100は、より解析の条件と近い構造とするため、ジャケット構造体100を構成する各管状部材は、それぞれの管軸が交わる構造であることが好ましい。これに対し、第1水平ブレース53の管軸と、第1レグ21の管軸と、は、交わる。このような態様とした場合は、よりジャケット構造体100の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
【0063】
また、所定部分LCは、接続部材40の備える上フランジと下フランジとに挟まれる。つまり、接続部材40の上フランジと下フランジとの間において、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1ブレース51と第2ブレース52との距離が、交わり状態における前記距離より、大きくなるよう、配置される。これにより、接続部材40の上フランジと下フランジとの間において、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにすることができる。よって、接続部材40の上フランジと下フランジとの間において、第1レグ21と第1ブレース51及び第2ブレース52との溶接の作業を容易にすることができる。
【0064】
また、鋼管杭30又は第1レグ21、第1ブレース51、及び、第1水平ブレース53それぞれの外径は、この順で、小さくなる。つまり、ジャケット構造体100の各構成のうち、鋼管杭30又は第1レグ21が最も太く、第1水平ブレース53が最も細い。このような構造とすることで、ジャケット構造体100に必要な強度を保ちつつ、経済性を向上させることができる。
【0065】
また、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1レグ21の管軸と交わらない。このような構造とすることで、第1ブレース51及び第2ブレース52の位置を、交わり状態における第1ブレース51及び第2ブレース52の位置からジャケット構造体100の外側に向けて平行移動させた位置とすることで、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにすることができる。これにより、例えば、第1ブレース51及び第2ブレース52の外径を大きくしても、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにすることができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52によるジャケット構造体100の補強の効果を向上させることができる。
【0066】
また、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、交わる。これにより、第1ブレース51及び第2ブレース52の位置を、交わり状態における第1ブレース51及び第2ブレース52の位置からジャケット構造体100の外側に向けて平行移動させた位置とした場合において、第1レグ21の長手方向に沿って見て、第1ブレース51及び第2ブレース52を線対称に設けることができる。よって、ジャケット構造体100の構造を単純なものとすることができる。
【0067】
また、第1ブレース51の他端部は、第2レグ22に当接しており、第1ブレース51の管軸と、第2レグ22の管軸とは、交わらない。これにより、例えば、第1ブレース51の位置を、交わり状態における第1ブレース51の位置からジャケット構造体100の外側に向けて平行移動させた位置としたとき、第2レグ22と第1ブレース51との位置関係を、第1レグ21と第1ブレース51との位置関係と同様にすることができる。よって、ジャケット構造体100の構造を単純なものとすることができる。
【0068】
また、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、交わらない。このような構造とすることで、例えば、第1ブレース51の位置を、交わり状態における第1ブレース51の位置から、第1レグ21の中心軸と第1ブレース51の中心軸との交点を、第1レグ21の中心軸に沿って移動させた位置とすることで、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにすることができる。
【0069】
したがって、交わり状態における第1レグ21の中心軸と第1ブレース51の中心軸とが存在する平面状の空間内に、第1ブレース51の中心軸が位置するように配置することができる。第2ブレース52も、同様にして配置することができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52の端面を第1レグ21の外周面に合わせて加工する際、第1ブレース51又は第2ブレース52それぞれの中心軸を基準として線対称にすることができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52の端面の加工を容易にすることができる。また、第1ブレース51の中心軸及び第2ブレース52の中心軸が、それぞれ第1レグ21の中心軸と交わった構造とすることで、上述のように、よりジャケット構造体100の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
また、例えば、第1ブレース51及び第2ブレース52の外径を大きくしても、第1溶接部W1と第2溶接部W2とが干渉しないようにすることができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52によるジャケット構造体100の補強の効果を向上させることができる。
【0070】
また、第1ブレース51の管軸と、第2ブレース52の管軸とは、第1レグ21の管軸を基準とし、第1レグ21の長手方向に沿って見て、線対称である。これにより、ジャケット構造体100の構造を単純なものとすることができる。よって、例えば、設計検討の効率を向上させることができる。ジャケット構造体100の製作の効率を向上させることができる。
【0071】
また、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの管軸は、第1レグ21の長手方向に沿って見て、交わる。これにより、第1ブレース51の中心軸及び第2ブレース52の中心軸が、それぞれ第1レグ21の中心軸と交わった構造とすることができる。
【0072】
また、第1ブレース51の管軸と、第2レグ22の管軸と、は、交わる。これにより、例えば、第1ブレース51の位置を、交わり状態における第1ブレース51の位置から、第1レグ21の中心軸と第1ブレース51の中心軸との交点を、第1レグ21の中心軸に沿って移動させた位置としたとき、第2レグ22と第1ブレース51との位置関係を、第1レグ21と第1ブレース51との位置関係と同様にすることができる。よって、ジャケット構造体100の構造を単純なものとすることができる。
【0073】
また、第1ブレース51及び第2ブレース52の端面を第2レグ22の外周面に合わせて加工する際、第1ブレース51又は第2ブレース52それぞれの中心軸を基準として線対称にすることができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52の端面の加工を容易にすることができる。また、第1ブレース51の中心軸及び第2ブレース52の中心軸が、それぞれ第2レグ22の中心軸と交わった構造とすることで、上述のように、よりジャケット構造体100の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
【0074】
また、第1ブレース51の一端部及び第2ブレース52の一端部それぞれの位置は、水平方向に沿って見て、異なる。つまり、第1レグ21と第1ブレース51との接点と、第1レグ21と第2ブレース52との接点との位置が、上下方向に異なった位置にある。このような構造とすることで、交わり状態における第1レグ21の中心軸と第1ブレース51の中心軸とが存在する平面状の空間内に、第1ブレース51の中心軸が位置するように配置することができる。第2ブレース52も、同様にして配置することができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52の端面を第1レグ21の外周面に合わせて加工する際、第1ブレース51又は第2ブレース52それぞれの中心軸を基準として線対称にすることができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52の端面の加工を容易にすることができる。また、第1ブレース51の中心軸及び第2ブレース52の中心軸が、それぞれ第1レグ21の中心軸と交わった構造とすることで、上述のように、よりジャケット構造体100の構造を構造解析の条件と近いものとすることができる。よって、より構造解析の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、第1ブレース51及び第2ブレース52それぞれの一端部は、交わり状態において、重なる。つまり、第1ブレース51及び第2ブレース52の外径は、交わり状態とすると、第1溶接部W1と、第2溶接部W2とが干渉する条件にある。これにより、第1ブレース51及び第2ブレース52の外径を十分なものとすることができる。よって、第1ブレース51及び第2ブレース52によるジャケット構造体100の補強の効果を確保することができる。
【0076】
また、第1レグ21、第1ブレース51、及び、第2ブレース52のそれぞれは、直線状である。これにより、例えば、第1レグ21、第1ブレース51、及び、第2ブレース52のそれぞれが曲線状である場合と比較して、構造を単純にすることができる。
【0077】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1ブレース51と第2ブレース52とによるX字状は、上下方向に2段設けられると説明したが、前記X字状は、上下方向に1段のみ設けられてもよいし、3段以上設けられてもよい。
鋼管杭30又は第1レグ21、第1ブレース51及び第2ブレース52、及び、第1水平ブレース53それぞれの外径は、この順で小さくなると説明したが、第1水平ブレース53の外径は、第1ブレース51及び第2ブレース52の外径より大きくてもよい。また、鋼管杭30と第1レグ21との大小関係は逆であってもよい。つまり、第1レグ21の外径は、鋼管杭30の外径より大きくてもよい。
ジャケット構造体100において、レグ20は4つ設けられると説明したが、3つであってもよいし、5つ以上設けられてもよい。これに対応して、ジャケット構造体100において、鋼管杭30は3つであってもよいし、5つ以上設けられてもよい。
【0078】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
LC 所定部分
10 トランジションピース
20 レグ
21 第1レグ
22 第2レグ
30 鋼管杭
40 接続部材
50 ブレース
51 第1ブレース
52 第2ブレース
53 第1水平ブレース
100 ジャケット構造体
200 洋上風車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8