(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003897
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B65F3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103244
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】山内 正輝
(72)【発明者】
【氏名】平田 裕起
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA05
3E024AA09
3E024BA01
3E024CA04
3E024DA01
3E024DB03
3E024DC01
(57)【要約】
【課題】樋周辺の部材の互換性が高い塵芥収集車を提供することを課題とするものである。
【解決手段】塵芥収容箱と、塵芥投入箱を有し、塵芥収容箱は、一端側に塵芥排出口を有し、内部に塵芥を収納する塵芥収納空間を備え、塵芥投入箱は、塵芥収納空間内に塵芥を押し入れる積込装置を備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の塵芥排出口側に取り付けられており、塵芥投入箱によって塵芥排出口が開閉される塵芥収集車において、塵芥収容箱と塵芥投入箱の間にあって両者の隙間を封止するシール部材と、塵芥投入箱側にあって前記シール部材を保持するシール保持部材と、塵芥収容箱と塵芥投入箱の間から漏れ出る水を受ける樋を有し、当該シール保持部材に前記樋が設けられていることを特徴とする塵芥収集車。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、塵芥投入箱を有し、
塵芥収容箱は、一端側に塵芥排出口を有し、内部に塵芥を収納する塵芥収納空間を備え、
塵芥投入箱は、塵芥収納空間内に塵芥を押し入れる積込装置を備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の塵芥排出口側に取り付けられており、塵芥投入箱によって塵芥排出口が開閉される塵芥収集車において、
塵芥収容箱と塵芥投入箱の間にあって両者の隙間を封止するシール部材と、塵芥投入箱側にあって前記シール部材を保持するシール保持部材と、塵芥収容箱と塵芥投入箱の間から漏れ出る水を受ける樋を有し、当該シール保持部材に前記樋が設けられていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
樋は、塵芥収容箱及び塵芥投入箱底部から独立した二つの縦壁と、前記縦壁に挟まれた底部を備えた受水部を有することを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥を収集して運搬する塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭から排出される一般ごみや、飲食店等から排出される生ゴミ等を収集する装置として、塵芥収集車200が知られている。塵芥収集車200は、
図9(a)の様に車両10に塵芥収集装置201を搭載したものである。
塵芥収集装置201は、塵芥を収容する塵芥収容箱202と、塵芥投入箱203によって構成されている。塵芥収容箱202は、
図9(b)の様に車両10の後端側に塵芥排出口208が開口した箱であり、他方の塵芥投入箱203は、塵芥収容箱202の開口部分(塵芥排出口208)を覆う位置にある。即ち塵芥投入箱203は、
図9(a)(b)の様に塵芥収容箱202を蓋するものであり、塵芥収容箱202と塵芥投入箱203とによって、略密閉された塵芥収納空間205が形成される。
そして塵芥投入箱203には、
図10の様に塵芥が投入される塵芥投入空間206と、塵芥投入空間206に投入された塵芥を塵芥収容箱202内の塵芥収納空間205に押し入れる積込装置207が内蔵されている。
【0003】
積込装置207の一つとして回転板式積込装置と称される構造のものがある。
回転板式積込装置207は、
図10の様に揺動式の押し込み板210と、回転板213とが組み合わされた構造のものである。
即ち回転板式積込装置207では、塵芥投入空間206内に回転板213がある。当該回転板213は、水平軸215を中心として回転する。
また押し込み板210は、回転板213の上部であって、塵芥投入箱203の後端側に設けられている。押し込み板210は、水平軸218を中心として、車両10の前後方向に揺動する。
【0004】
回転板式積込装置207では、
図10(a)の様に回転板213を回転させることによって、
図10(b)の様に塵芥投入空間206に投入された塵芥220を一定の高さにすくい上げる。そして
図10(c)の様に押し込み板210を揺動させ、押し込み板210の先端で回転板213の表面を拭い、塵芥220を塵芥収容箱202内の塵芥収納空間205内に押し入れる。
【0005】
塵芥投入箱203は、
図9の様に、塵芥収容箱202にヒンジ230を介して取り付けられている。また塵芥投入箱203と塵芥収容箱202の間にはシリンダ231が取り付けられている。
塵芥収集車200は、
図9の様に、シリンダ231を伸縮することにより、塵芥投入箱203を揺動させて塵芥収容箱202の一端の塵芥排出口208を開閉することができる。
【0006】
塵芥収容箱202内の塵芥収納空間205内に、ごみ等が収容される。ここで、塵芥収集車200では、塵芥収容箱202と塵芥投入箱203が別体であり、塵芥投入箱203は、ヒンジ230を中心として揺動するものである。塵芥収容箱202の塵芥排出口208と、塵芥投入箱203の間にはシール部材が配されているが、塵芥投入箱203を閉じた状態であっても、塵芥収容箱202の塵芥排出口208と、塵芥投入箱203の間のわずかな隙間から、塵芥に由来する汚水が塵芥排出口208との間の隙間から漏れ出る。
【0007】
そこで特許文献1には、
図12の様に、塵芥収容箱202と塵芥投入箱203の合わせ部分の下に樋300を設け、合わせ部分から漏れ出る汚水を樋300で受ける構成が採用されている。また塵芥投入箱203の下部に汚水タンク302があり、樋300で受けられた汚水が汚水タンク302に貯留される様に配管されている。
特許文献1に開示された塵芥収集車では、
図12の様に塵芥投入箱203に直接的に樋300が接続されている。
特許文献1に開示された塵芥収集車では、塵芥投入箱203の外壁が樋300の縦壁を兼ねている。そのため、塵芥投入箱203の外壁の一部が長時間に渡って汚水に触れ、塵芥投入箱203の外壁が錆びることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
塵芥収集車の業界においては、要求仕様が需要者ごとに異なる場合がある。製造者はその要求に応えるために品ぞろえを豊富にする必要がある。その一方、製造業者としては、部品の互換性を高めて、部品の種類や、在庫を減らしたいという思いがある。
そこで仕様の異なる複数種類の塵芥収容箱を製造する製造能力と、仕様の異なる複数種類の塵芥投入箱を製造する製造能力を養い、需要者の要求に応じて、特定仕様の塵芥収容箱と、特定仕様の塵芥投入箱を選択し、両者を組み合わせて需要者の要求を満足する塵芥収集車を完成させる方策が採用される場合がある。
【0010】
ここで部品の標準化により、選択された塵芥収容箱に選択された塵芥投入箱を接続することができるが、接合部分の細かな部材については、個別に設計する必要があった。
特許文献1では省略されているが、樋の周辺は、シール部材と、シール部材を保持するシールブラケットと、樋によって構成される。
【0011】
前記した様に、選択された塵芥収容箱に、選択された塵芥投入箱を接続することができるが、従来技術においては、シール部材と、シールブラケット及び樋を個別に設計し、特定の位置に取り付ける必要が生じる場合があった。
即ち、樋300は、
図12の様に塵芥投入箱203の塵芥投入空間206を構成する塵芥投入槽303の外側に取り付けられるが、塵芥投入槽303の容積が仕様によって異なり、塵芥投入槽303の外面の曲面のカーブ等が塵芥投入箱203によって異なる。
そのため樋300が取り付けられる塵芥投入箱203の位置から、塵芥収容箱202と塵芥投入箱203の合わせ面までの距離が、選択された塵芥収容箱202と塵芥投入箱203の組合せによって変わってしまう。
そのため樋300の形状等を、塵芥収容箱202と塵芥投入箱203にあわせて新たに設計する必要があった。
【0012】
本発明は、上記した課題を解決するものであり、樋周辺の部材の互換性が高い塵芥収集車を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するための態様は、塵芥収容箱と、塵芥投入箱を有し、塵芥収容箱は、一端側に塵芥排出口を有し、内部に塵芥を収納する塵芥収納空間を備え、塵芥投入箱は、塵芥収納空間内に塵芥を押し入れる積込装置を備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の塵芥排出口側に取り付けられており、塵芥投入箱によって塵芥排出口が開閉される塵芥収集車において、塵芥収容箱と塵芥投入箱の間にあって両者の隙間を封止するシール部材と、塵芥投入箱側にあって前記シール部材を保持するシール保持部材と、塵芥収容箱と塵芥投入箱の間から漏れ出る水を受ける樋を有し、当該シール保持部材に前記樋が設けられていることを特徴とする塵芥収集車である。
【0014】
本態様の塵芥収集車では、シール保持部材に前記樋が設けられている。
シール保持部材は、シール部材を保持する部材であり、シール部材は塵芥収容箱と塵芥投入箱の合わせ面に設置される。従って、シール保持部材は、塵芥収容箱と塵芥投入箱の合わせ面の近傍に取り付けられる。そのため塵芥収容箱と塵芥投入箱の組合せが変わっても、シール保持部材と合わせ面の距離は大きく変わらない。
本態様の塵芥収集車では、シール保持部材に前記樋が設けられているので、樋を共通化することができる。
【0015】
上記した態様において、樋は、塵芥収容箱及び塵芥投入箱底部から独立した二つの縦壁と、前記縦壁に挟まれた底部を備えた受水部を有することが望ましい。
【0016】
本態様によると、樋が塵芥収容箱及び塵芥投入箱に対して独立しているので、取り付けやすい。
また樋が塵芥収容箱及び塵芥投入箱底部に対して独立しているので、樋に錆が生じても塵芥収容箱や塵芥投入箱に錆が広がらず、塵芥収容箱や塵芥投入箱を傷めない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の塵芥収集車は、樋周辺の部材の互換性が高く、各種仕様の塵芥収集車に同じ形状の樋を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態の塵芥収集車の側面図である。
【
図2】
図1の塵芥収集装置の塵芥投入箱を接合面側から観察した斜視図である。
【
図3】
図1の塵芥収集装置の塵芥収容箱と塵芥投入箱の接合部の断面図である。
【
図4】
図3の拡大図であり、塵芥収集装置の塵芥収容箱と塵芥投入箱の接合部の下部領域の断面図である。
【
図5】塵芥投入箱の接合面及び接合面に設けられたシール構造体の断面斜視図である。
【
図9】従来技術の塵芥収集車の側面図であり、(a)は、塵芥収容箱の塵芥排出口を塵芥投入箱で塞いだ状態を示し、(b)は、塵芥投入箱を揺動させて塵芥収容箱の塵芥排出口を開いた状態を示す。
【
図10】従来技術及び本発明の塵芥収集車の壁板と押し込み板及び回転板周辺の要部断面図であり、(a)は回転板が準備姿勢であり、且つ押し込み板の下端側が後端側に退避している状態を示し、(b)は回転板が回転して塵芥をすくい上げ、押し込み板の下端側が後端側に退避している状態を示し、(c)は、押し込み板の下端側が前方に移動し
【
図11】従来技術の塵芥収集車のスライド板と押し込み板周辺の要部断面図であり、(a)はスライド板を降下した状態を示し、(b)はスライド板を塵芥投入空間に差し入れて押し込み板を回動し塵芥をすくった状態を示し、(c)はスライド板を引き上げて塵芥を塵芥収容箱側に押し込んだ状態を示す。て塵芥を塵芥収容箱側に押し込んだ状態を示す。
【
図12】特許文献1の
図5であって、附番を変えて転載した従来技術の塵芥収集車の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお以下の説明において、前後の関係は、車両の前後に合わせ、運転席が前であり、塵芥投入箱13側が後ろである。また上下の関係は、各部材が正規の位置に取り付けられ、且つ塵芥投入箱13によって塵芥収容箱12の塵芥排出口15が封鎖されている姿勢を基準とする。
本実施形態の塵芥収集車1の基本構成は、従来技術と何ら変わるものではない。即ち本実施形態の塵芥収集車1は、
図1の様に、車両10に塵芥収集装置11が搭載されたものである。塵芥収集装置11は、従来技術と同様に、塵芥を収容する塵芥収容箱12と、塵芥投入箱13によって構成されている。
塵芥収容箱12は、
図3の様に、後端側が開口した箱である。即ち塵芥収容箱12は、後端に大きな塵芥排出口15があり、当該塵芥排出口15を除く5面が頑丈な鋼板によって覆われた構造をしている。本実施形態では、塵芥収容箱12の中に塵芥収納空間16が形成されている。
【0020】
塵芥投入箱13は、
図1の様に、塵芥収容箱12の後端にヒンジ8によって取り付けられており、シリンダ20によって、従来技術で説明した
図9(a)の様な塵芥排出口15を蓋した姿勢と、
図9(b)の様な塵芥排出口15を開放する姿勢をとることができる。
【0021】
本実施形態で採用する塵芥投入箱13は、回転板式積込装置18を採用するものである。回転板式積込装置18の構造および機能は、
図10に示す従来技術のものと同じであり、
図3の様に内部に揺動式の押し込み板23と、回転板27と、塵芥投入槽(塵芥投入空間)32を有している。
【0022】
塵芥投入箱13は、左右に側壁部材21が設けられている。そして
図1の様に、当該側壁部材21にブラケット(接続部材)25が取り付けられ、ブラケット25にシリンダ20のロッド26が接続されている。
【0023】
本実施形態の塵芥収集車1では、シリンダ20を伸ばして塵芥投入箱13を押し、ヒンジ8を中心として塵芥投入箱13を回動させることによって、塵芥収容箱12の塵芥排出口15を開くことができる。
通常時は、
図1の様に塵芥投入箱13によって塵芥収容箱12の塵芥排出口15が封鎖される。また塵芥排出口15が不用意に開かないように、塵芥収容箱12と塵芥投入箱13の下部同士が、
図1の様にフック17で接続される。
塵芥収容箱12と塵芥投入箱13の接合面(以下、単に接合面と言う場合がある)には
図2の様にシール部材30が設けられ、接合面の水密が図られている。シール部材30は、
図2の様に、塵芥投入箱13側の開口端の下辺部35と、左右の縦辺部36に設けられている。また接合面の下辺部35の下には樋31が設けられている。
以下、接合面の近傍の構造について説明する。
【0024】
本実施形態では、塵芥投入箱13の開口端の縦辺部36には
図5の様に、縦部シール構造体37が取り付けられており、開口端の下辺部35には、下辺部シール構造体38が取り付けられている。
塵芥投入箱13側の開口端の縦辺部36における縦部シール構造体37は、
図5、
図6の通りであり、シール部材30と、シールブラケット(シール保持部材)41によって構成されている。シール部材30は、
図6の様に、さらにシール本体42と、レール状部材45によって構成されている。
シール本体42は、弾性を有するゴム又は樹脂で作られた長尺物であり、座部46と、凸条部47を有している。凸条部47は、断面形状が略四角形であり、先端部に長手方向にのびる突起57が複数列、形成されている。
レール状部材45は、開口部がやや狭まった溝状の部材であり、底壁部50と、左右の保持壁51a、51bを有する長尺部材である。即ち、レール状部材45は、底壁部50と、左右の保持壁51a、51bで囲まれた溝状部52を有している。
【0025】
シール部材30は、シール本体42が、レール状部材45に装着されてなる。即ち、シール本体42の座部46がレール状部材45の溝状部52に保持され、凸条部47がレール状部材45の溝状部52から突出している。
シール部材30の構造や形状は、本実施形態に限定されるものではない。例えばシール本体42の断面形状は、円形であってもよく、角形であってもよい。
【0026】
シールブラケット41は、金属で作られた断面形状が「L」状の部材であり、側壁部53と、シール取付け部55を備えている。
シール部材30は、シール取付け部55に固定されている。即ち図示しない接合手段によってレール状部材45の底壁部50がシールブラケット41のシール取付け部55に固定されている。
縦部シール構造体37は、シールブラケット41が図示しない締結手段によって、塵芥投入箱13側の開口端の縦辺部36に固定されている。
【0027】
次に下辺部シール構造体38について説明する。
下辺部シール構造体38は、
図7の様に、下部側シール部材58と、シールブラケット(シール保持部材)60と、樋31が組み合わされたものである。
下部側シール部材58の構造は、前記した縦部シール構造体37のシール部材30と同じであり、
図8の様に、シール本体42と、レール状部材45によって構成されている。
下部側シール部材58のシール本体42とレール状部材45に構造は、シール部材30のものと同じである。
シールブラケット(シール保持部材)60は、
図7、
図8の様に、固定部61と、シール取付け部62によって構成されている。
固定部61は、
図7、
図8の様に、二枚の板が接合され四角形を構成したものである。
即ち固定部61は、外板片63と、内板片65によって構成されている。外板片63は、断面形状が「L」状の板である。内板片65は、断面形状が段状の板であり、下側水平壁67と、垂直壁68及び上側水平壁70を有している。
固定部61は、
図7、
図8の様に、外板片63と内板片65が向き合わせに配置されて接合され、外板片63と内板片65によって断面形状が四角形の部位が作られたものである。
【0028】
シール取付け部62は、
図7、
図8の様な板であり、大面積の本体部71を有し、その上下の辺に接合しろ72、73がある。
上部側の接合しろ72は、前方に向かって折り返されている。下部側の接合しろ73は、後方斜め下に向かって折り返されている。
シールブラケット(シール保持部材)60は、固定部61の下部にシール取付け部62が一体的に固定されたものである。具体的には、固定部61の内板片65に上部側の接合しろ72が溶接されたものである。
【0029】
樋31は、
図7、
図8の様に、塵芥投入箱13及び塵芥収容箱12から独立した溝状の部材であり、底部75と、二つの縦壁76a、76bによって構成されている。本実施形態では、二つの縦壁76a、76bは、やや傾斜している。
即ち樋31は、底部75と、その前後に傾斜姿勢で設けられた縦壁76a、76bと、接合しろ78を有している。
本実施形態では、底部75の両側に底部75の辺に沿って前後の縦壁76a、76bがあり、底部75と縦壁76a、76bによって溝状の受水部80が形成されている。受水部80の側壁を構成する前後の縦壁76a、76bは上向きに広がっている。
そして後方の縦壁76bの延長上に接合しろ78が設けられている。接合しろ78は、内側に向かって傾斜する傾斜壁81と、垂直壁82によって構成されている。
【0030】
下辺部シール構造体38は、前記した様に、シール部材58と、シールブラケット(シール保持部材)60と、樋31が組み合わされたものである。
具体的には、シールブラケット60のシール取付け部62にシール部材58が取り付けられている。またシールブラケット60の下部に樋31が取り付けられている。樋31の接合しろ78が、シールブラケット60の下部側の接合しろ73に重ねられ、溶接等によって一体化されたものである。
【0031】
下辺部シール構造体38は、シールブラケット60が図示しない締結手段によって、塵芥投入箱13側の開口端の下辺部35に固定されている。本実施形態では、
図3、
図4の様に、シールブラケット60の固定部61が塵芥投入槽32の外側に取り付けられている。
本実施形態では、
図4の様に、シールブラケット60の固定部61が塵芥投入箱13に接合されており、シールブラケット60のシール取付け部62は、塵芥投入箱13の下辺部には接合されていない。シール取付け部62は、固定部61から片持ち状に垂下されており、シール取付け部62と塵芥投入箱13の間には隙間がある。
そのため、塵芥投入箱13によって、塵芥収容箱12の塵芥排出口15が閉じられた際、シール取付け部62の弾性によっては、シール部材58が塵芥収容箱12の下辺部86に押し付けられ、水密性が確保される。
【0032】
本実施形態においては、樋31の受水部80の上部に接合しろ78があるので、樋31の水を受ける部位は、シールブラケット60から距離を置いて下に位置する。
樋31の受水部80の断面形状は、上向きに広がっており、且つ受水部80は、塵芥収容箱12と塵芥投入箱13の接合面の真下の位置にあるから、接合面から漏れ出た汚水をこぼさずに受けることができる。
【0033】
ここで、樋31によって汚水が受けられるから、樋31は汚水に触れて錆びることがある。しかしながら、本実施形態では、樋31を構成する底部75と二つの縦壁76a、76bが塵芥投入箱13や塵芥収容箱12とは別部材であり、塵芥投入箱13や塵芥収容箱12から独立していて塵芥投入箱13や塵芥収容箱12から離れている。そのため、本実施形態によると、塵芥投入箱13や塵芥収容箱12の外面に汚水が停留することがない。そのため、塵芥投入箱13や塵芥収容箱12の外面に錆が広がりにくい。
樋31は、
図3の様に、配管87によって汚水タンク85に接続されており、樋31で受けられた汚水は汚水タンク85に収容される。
【0034】
下辺部シール構造体38は、
図3の様に、塵芥投入槽32部分に取り付けられるものであり、曲面に取り付けられる場合があるから、シールブラケット60の固定部61の外形を選択された塵芥投入箱13にあわせて個別に設計する必要がある。また下辺部シール構造体38のシール部材58は、塵芥収容箱12の塵芥排出口15の端面88に当たる必要があるから、シールブラケット60のシール取付け部62の大きさや、シール部材58を取り付ける位置は、選択された塵芥収容箱12にあわせて個別に設計する必要がある。
【0035】
しかしながら、シールブラケット60から垂下される樋31は、いずれの塵芥投入箱13及び塵芥収容箱12が選択されても問題なく使用することができる。
即ち、各種仕様の塵芥収集車に同じ形状の樋を取り付けることができる。
【0036】
以上説明した実施形態では、下辺部シール構造体38等を塵芥投入箱13に取り付けたが、下辺部シール構造体38等を塵芥収容箱12に取り付けてもよい。
【0037】
以上説明した実施形態では、積込装置207の一つとして回転板式積込装置を例示したが、本発明は、積込装置の構造を限定するものではない。積み込み装置の一つとして、
図11の様な「プレス式積込装置」と称されるものもある。プレス式積込装置は、
図11の様に、スライド板209と、押し込み板251とが組み合わされた構造のものである。
プレス式積込装置を備えた塵芥収集車にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 塵芥収集車
12 塵芥収容箱
13 塵芥投入箱
15 塵芥排出口
16 塵芥収納空間
18 回転板式積込装置
31 樋
58 下部側シール部材
60 シールブラケット(シール保持部材)
76a 縦壁