(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003898
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】環境試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240109BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240109BHJP
F25B 7/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01N17/00
F25B1/00 101E
F25B7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103245
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 治樹
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕太
(72)【発明者】
【氏名】渡部 克彦
(72)【発明者】
【氏名】岡留 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】臼井 拓巳
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050EA01
2G050EA02
2G050EC03
(57)【要約】
【課題】圧縮機のモータの過度の発熱等を抑制することができる環境試験装置を提供することを目的とする
【解決手段】試験室と、加熱手段8と、冷却手段7を有し、試験室内に所定の環境を創出することができる環境試験装置であって、冷却手段7は、圧縮機35と、凝縮器28と、膨張手段38と、蒸発器40を有していて相変化する冷媒が循環する冷凍回路21を有し、冷凍回路21は、凝縮器28の吐出側と圧縮機35の吸い込み側をつなぐ第1バイパス流路42を有し、第1バイパス流路42に第1流量制御手段51が設けられており、圧縮機35の温度を測定する温度測定手段82と、制御手段と、を有し、制御手段は、試験室内を所定の環境に制御するとともに、温度測定手段82の検出値に応じて、第1流量制御手段51の実質的な開度が制御される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験物を配置するための試験室と、加熱手段と、冷却手段を有し、前記試験室内に所定の環境を創出することができる環境試験装置であって、
前記冷却手段は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器を有していて相変化する冷媒が循環する冷凍回路を有し、
前記冷凍回路は、前記凝縮器の吐出側と前記圧縮機の吸い込み側をつなぐ第1バイパス流路を有し、当該第1バイパス流路に第1流量制御手段が設けられており、
前記圧縮機の温度を測定する温度測定手段と、
制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記試験室内を所定の環境に制御するとともに、前記温度測定手段の検出値に応じて、前記第1流量制御手段の実質的な開度を制御することを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
前記圧縮機は、密閉容器内にモータと圧縮手段が内蔵された密閉型圧縮機であり、前記密閉容器内に潤滑油が内蔵されており、前記温度測定手段は、前記密閉容器の外面であって前記潤滑油が内蔵された領域に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
前記圧縮機は、密閉容器内にモータと圧縮手段が内蔵された密閉型圧縮機であり、前記密閉容器内に潤滑油が内蔵されており、前記圧縮機は冷媒が導入される冷媒吸い込み口を有し、
前記温度測定手段は、前記密閉容器の外面であって、前記冷媒吸い込み口の垂直断面を含む仮想平面Aと平行であって前記密閉容器の中心を含む仮想平面Bよりも前記冷媒吸い込み口に対して反対側の領域に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項4】
前記冷凍回路は、前記凝縮器の吐出側と前記圧縮機の吸い込み側をつなぐ第2バイパス流路を有し、当該第2バイパス流路には、前記圧縮機に導入される冷媒温度によって実質的に開度が変化する第2流量制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項5】
前記冷凍回路は、一次側冷凍回路と二次側冷凍回路を備えた二元冷却構造を持ち、
前記一次側冷凍回路は、高温側圧縮機と高温側凝縮部と高温側膨張手段とカスケードコンデンサの一次側が順次環状に配管されていてその中に相変化する冷媒を循環させるものであり、
前記二次側冷凍回路は、低温側圧縮機とカスケードコンデンサの二次側と低温側膨張手段と低温側蒸発器が順次環状に配管されていてその中に相変化する冷媒を循環させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の環境試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験室内に特定の環境を作り出し、被試験物を所望の環境にさらすことができる環境試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品や部品等の性能や耐久性を調べる試験として、環境試験が知られている。環境試験は、環境試験装置と称される設備を使用して実施される。
一般に環境試験装置は、試験室と空調部を有している。空調部は、送風機、加熱装置、冷却装置等の空調機器を備えている。
試験室と空調部は、例えば一連の循環風路を構成しており、試験室内の空気が空調部に導入されて温度や湿度が調整され、調整後の空気が試験室内に戻されることによって試験室内に所望の温度環境や湿度環境が創出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境試験装置は、長時間にわたって連続運転される場合がある。また連続運転の間、環境試験装置の冷却装置が一時的に過酷な条件で運転されることとなる場合がある。
そのため、従来技術の環境試験装置は、運転中に圧縮機を駆動するモータが発熱する場合があり、モータの巻線の焼損、オイルの粘度の低下や早期の劣化、これらに起因する圧縮部の損傷などを来す懸念があり、環境試験装置の信頼性を低下させる要因となっている。
【0005】
本発明は、従来技術の上記した課題を解決するものであり、圧縮機のモータの過度の発熱等を抑制することができる環境試験装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための態様は、被試験物を配置するための試験室と、加熱手段と、冷却手段を有し、前記試験室内に所定の環境を創出することができる環境試験装置であって、前記冷却手段は、圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、蒸発器を有していて相変化する冷媒が循環する冷凍回路を有し、前記冷凍回路は、前記凝縮器の吐出側と前記圧縮機の吸い込み側をつなぐ第1バイパス流路を有し、当該第1バイパス流路に第1流量制御手段が設けられており、前記圧縮機の温度を測定する温度測定手段と、制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記試験室内を所定の環境に制御するとともに、前記温度測定手段の検出値に応じて、前記第1流量制御手段の実質的な開度を制御することを特徴とする環境試験装置である。
【0007】
ここで、「第1流量制御手段の実質的な開度を制御する」とは、例えばモータ等のアクチェータによって実際の弁の開度を増減する制御の他、開閉弁の開閉間隔や開閉の時間を制御して、開状態の時間と、閉状態の時間を変化させる制御を含む趣旨である。
本態様の環境試験装置が採用する冷凍回路は、凝縮器の吐出側と圧縮機の吸い込み側をつなぐ第1バイパス流路を有し、第1バイパス流路に第1流量制御手段が設けられている。そのため、第1流量制御手段を開くと、凝縮器で凝縮された冷媒の少なくとも一部が第1バイパス流路を経由して圧縮機に導入される。ここで第1バイパス流路を通過する冷媒は、液相又は気液混合状態の冷媒であり、高い冷却能力を保持している。
そのため、第1流量制御手段が開かれて液相又は気液混合状態の冷媒が圧縮機に導入されると、冷媒の冷却能力によって圧縮機が冷却される。
本態様の環境試験装置では、圧縮機の温度を測定する温度測定手段を有し、温度測定手段の検出値に応じて第1流量制御手段の開度が制御される。具体的には、圧縮機の温度が上昇すると、第1流量制御手段が開くか、或いは第1流量制御手段の開度が実質的に拡大し、第1バイパス流路を流れた冷媒が圧縮機に導入されてモータ等が冷却される。
【0008】
上記した態様において、前記圧縮機は、密閉容器内にモータと圧縮手段が内蔵された密閉型圧縮機であり、前記密閉容器内に潤滑油が内蔵されており、前記温度測定手段は、前記密閉容器の外面であって前記潤滑油が内蔵された領域に取り付けられていることが望ましい。
【0009】
密閉型圧縮機では、内部の潤滑油の温度とモータの発熱との間に相関関係がある。本態様の環境試験装置では、温度測定手段が、密閉容器の外面であって潤滑油が内蔵された領域に取り付けられているので、潤滑油の温度や温度変化を温度測定手段で知ることができ、モータの発熱状況を的確に検知することができる。
【0010】
上記した態様において、前記圧縮機は、密閉容器内にモータと圧縮手段が内蔵された密閉型圧縮機であり、前記密閉容器内に潤滑油が内蔵されており、前記圧縮機は冷媒が導入される冷媒吸い込み口を有し、前記温度測定手段は、前記密閉容器の外面であって、前記冷媒吸い込み口の垂直断面を含む仮想平面Aと平行であって前記密閉容器の中心を含む仮想平面Bよりも前記冷媒吸い込み口に対して反対側の領域に取り付けられていることが望ましい。
【0011】
本態様の環境試験装置では、温度測定手段が、冷媒吸い込み口の垂直断面を含む仮想平面Aと平行であって、密閉容器の中心を含む仮想平面Bよりも前記冷媒吸い込み口に対して反対側の領域に取り付けられている。即ち、本態様の環境試験装置では、温度測定手段が、冷媒吸い込み口から遠い位置に取り付けられている。そのため、本態様によると、温度測定手段が冷媒吸い込み口から導入される冷媒の冷熱の影響を受けにくい。そのため、温度測定手段は、より正確に圧縮機の温度を検知することができる。
【0012】
上記した態様において、前記冷凍回路は、前記凝縮器の吐出側と前記圧縮機の吸い込み側をつなぐ第2バイパス流路を有し、当該第2バイパス流路には、前記圧縮機に導入される冷媒温度によって実質的に開度が変化する第2流量制御手段が設けられていることが望ましい。
【0013】
本態様の環境試験装置は第2バイパス流路を有し、当該第2バイパス流路に設けられた第2流量制御手段は圧縮機に導入される冷媒の温度によって実質的に開度が変化する。具体的には、高温状態の冷媒が圧縮機に戻った場合に、第2流量制御手段が開くか、或いは第2流量制御手段の開度が実質的に拡大し、第2バイパス流路を流れた冷媒が圧縮機に導入されてモータ等が冷却される。
【0014】
上記した態様において、前記冷凍回路は、一次側冷凍回路と二次側冷凍回路を備えた二元冷却構造を持ち、前記一次側冷凍回路は高温側圧縮機と高温側凝縮部と高温側膨張手段とカスケードコンデンサの一次側が順次環状に配管されていてその中に相変化する冷媒を循環させるものであり、前記二次側冷凍回路は、低温側圧縮機とカスケードコンデンサの二次側と低温側膨張手段と低温側蒸発器が順次環状に配管されていてその中に相変化する冷媒を循環させるものであってもよい。
【0015】
本態様の環境試験装置は、二元冷却構造の冷凍回路を備えている。
一般に、二元冷却構造の冷凍回路を備えた環境試験装置は、試験室内に相当の低温環境を創出することができる。しかしその反面、二元冷却構造の冷却手段は、過酷な運転状況となる場合もある。
本態様の環境試験装置は、二元冷却構造の冷凍回路を備えており、試験室内に相当の低温環境を創出することができる。また本態様の環境試験装置は、圧縮機に適宜冷却能力を備えた冷媒が導入されてモータが冷却されるので、モータの焼損等が発生しにくい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の環境試験装置は、冷却能力を有する冷媒が適宜圧縮機に導入され、圧縮機のモータの過度の発熱等を抑制することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の環境試験装置の断面図である。
【
図2】
図1の環境試験装置に搭載されている冷却装置の作動原理図である。
【
図3】
図2の冷却装置の低温側冷凍回路で使用されている密閉型圧縮機の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の環境試験装置1は、
図1に示すように断熱壁2によって覆われた断熱槽3を有している。そして当該断熱槽3の一部に試験室5が形成されている。試験室5は、被試験物100を設置する空間である。
環境試験装置1は、さらに加湿装置6、冷却装置(冷却手段)7、加熱ヒータ(加熱手段)8、及び送風機10を備えている。
環境試験装置1には、試験室5と連通する空気流路15があり、当該空気流路15に前記した加湿装置6と、冷却装置7と、加熱ヒータ8、及び送風機10が設けられている。
また空気流路15の出口側に、温度センサー(槽内温度検知手段)12と湿度センサー13が設けられている。環境試験装置1では、前記した空気流路15内の部材と、温度センサー12及び湿度センサー13によって空気調和装置17が構成されている。空気調和装置17は、制御装置(制御手段)16によって制御される。
環境試験装置1は、制御装置16に制御される空気調和装置17によって、試験室5内に所望の温度・湿度環境を作ることができる。即ち、制御装置16は、試験室5内を所定の環境に制御するものである。
【0019】
本実施形態の環境試験装置1で採用する冷却装置7は、
図2に示されるような冷凍回路18を備えている。
以下、冷却装置(冷却手段)7の冷凍回路18について説明する。
冷却装置7は、一次側冷凍回路20と二次側冷凍回路21を備えた二元冷却構造を持っている。
一次側冷凍回路20は、高温側圧縮機25の冷媒吐出口32と、高温側凝縮器26と、高温側膨張手段27と、カスケードコンデンサ28の一次側流路30と、高温側圧縮機25の冷媒吸い込み口33が順次環状に配管されたものである。
そして上記した一次側冷凍回路20内に相変化する高温側冷媒が封入されている。一次側冷凍回路20は、公知のそれと同様に冷凍サイクルを実現するものである。
【0020】
二次側冷凍回路21は、低温側圧縮機35の冷媒吐出口73と、カスケードコンデンサ28の二次側流路37と、低温側膨張手段38と、低温側蒸発器(冷却器)40と、低温側圧縮機35の冷媒吸い込み口75が順次環状に配管されたものである。なおカスケードコンデンサ28は、二次側冷凍回路21の凝縮器として機能する。
低温側蒸発器(冷却器)40は、
図1の様に、空気流路15内に設置されている。
低温側膨張手段38は、膨張弁であり、モータ等のアクチェータによって開度を調節することができるものである。
【0021】
上記した二次側冷凍回路21内に相変化する低温側冷媒が封入されている。二次側冷凍回路21内に封入された冷媒は、例えば-70℃の低温を作ることができるものである。
二次側冷凍回路21は、公知のそれと同様に冷凍サイクルを実現するものである。
そして公知の二元冷却構造と同様に、一次側冷凍回路20のカスケードコンデンサ28の一次側流路30で一次側冷凍回路20の冷媒を蒸発させて、カスケードコンデンサ28を温度降下させる。
この時に発生した低温によって、二次側冷凍回路21のカスケードコンデンサ(凝縮器)28を通過する冷媒を凝縮させる。
【0022】
また二次側冷凍回路21には、3列のバイパス流路42、43、45がある。
第1バイパス流路42は、カスケードコンデンサ(凝縮器)28と低温側膨張手段38との間から分岐され、低温側蒸発器40と低温側圧縮機35の冷媒吸い込み口75の間に繋がる流路である。即ち、第1バイパス流路42は、カスケードコンデンサ(凝縮器)28の吐出側と低温側圧縮機35の吸い込み側をつなぐ流路である。
【0023】
第1バイパス流路42には、第1バイパス用膨張手段51が設けられている。第1バイパス用膨張手段51は、モータ等のアクチェータを備え、電気信号によって開度を任意に変更することができる制御弁である。第1バイパス用膨張手段51は、全閉状態にすることもできるものであることが望ましい。
【0024】
本実施形態では、低温側圧縮機35に温度検知手段82が取り付けられており、制御装置16は、温度検知手段82の検知温度に応じて第1バイパス用膨張手段51の開度を調節する。具体的には、制御装置16は、温度検知手段82の検知温度が高くなると、第1バイパス用膨張手段51の開度を増大させ、検知温度が低くなると当該開度を低下させる。
例えば第1バイパス用膨張手段51は通常全閉状態であり、温度検知手段82の検知温度が一定の閾値を超えると開状態となる。そして検知温度の上昇にともなって第1バイパス用膨張手段51の開度が大きくなってゆく。
【0025】
第2バイパス流路43も、第1バイパス流路42と同様に、カスケードコンデンサ(凝縮器)28と低温側膨張手段38との間から分岐され、低温側蒸発器40と低温側圧縮機35の冷媒吸い込み口75の間に繋がる流路である。即ち、第2バイパス流路43は、カスケードコンデンサ(凝縮器)28の吐出側と低温側圧縮機35の吸い込み側をつなぐ流路である。
第2バイパス流路43には、第2バイパス用膨張手段52が設けられている。
【0026】
第2バイパス用膨張手段52は、いわゆる温度式膨張弁である。温度式膨張弁は、温度自動膨張弁又は感熱式膨張弁とも称されるものであり、感温筒55を備える。温度式膨張弁は、内部にプランジャを持ち、感温筒55の温度と第2バイパス用膨張手段52の出口近傍の温度に応じてオリフィスの開度が変化する。即ち、感温筒55の内部にはチャージ媒体が封入されており、感温筒55の温度に応じてチャージ媒体が膨張・収縮する。そして感温筒55の圧力は、フランジ等を介してプランジャに作用し、結果的に感温筒55の検知温度に応じて温度式膨張弁内のプランジャに力が作用する。一方、オリフィスの出口側の冷媒圧力についてもフランジ等を介してプランジャに作用する様に構成されているので、オリフィスの出口側の冷媒温度に応じてもプランジャに力が作用する。そして両者がつりあったところでオリフィスが停止するので、結果的に第2バイパス用膨張手段52は、感温筒55周辺の温度と、第2バイパス用膨張手段52の近傍の温度に基づいて制御される。そして第2バイパス用膨張手段52は、感温筒55の温度と第2バイパス用膨張手段52の出口近傍の温度の差が所定の温度となる様に開度が変化する。
【0027】
第2バイパス用膨張手段52についても、全閉状態にすることもできるものであることが望ましい。例えば第2バイパス用膨張手段52は通常、全閉状態であり、感温筒55の検知温度が一定の閾値を超えると開状態となる。そして検知温度の上昇にともなって開度か大きくなってゆく。
【0028】
本実施形態では、
図2の様に、感温筒55は低温側圧縮機35の冷媒吸い込み口75の近傍に配置されており、感温筒55は、低温側圧縮機35に導入される冷媒温度を感知する。従って、第2バイパス用膨張手段52は、低温側圧縮機35に導入される冷媒温度に応じて開度が調節される。
具体的には、低温側圧縮機35に導入される冷媒の温度が上昇すると第2バイパス用膨張手段52の開度が増大し、検知温度が低くなれば開度が低下する。
【0029】
本実施形態では、カスケードコンデンサ28と低温側膨張手段38との間に分岐部56があり、さらにその先が第1バイパス流路42と第2バイパス流路43に分かれている。
また第1バイパス流路42と第2バイパス流路43が合流した流路が、低温側蒸発器40と低温側圧縮機35の冷媒吸い込み口75の間に至る流路に接続されている。
バイパス流路の流路構成は、
図2の構成に限定されるものではなく、カスケードコンデンサ28と低温側膨張手段38との間に分岐部が複数あり、分岐部の一つが第1バイパス流路42の起点となり、他の分岐部が第2バイパス流路43の起点となっている構成であってもよい。
第1バイパス流路42と第2バイパス流路43の末端側についても同様であり、低温側蒸発器40と低温側圧縮機35の冷媒吸い込み口75の間に複数の合流部があり、一つの合流部に第1バイパス流路42が繋がり、他の合流部に第2バイパス流路43が繋がる構成であってもよい。
【0030】
第1バイパス流路42及び第2バイパス流路43を流れる冷媒は、液相又は気液混合状態であるので、十分に冷却能力を有している。そのため、第1バイパス流路42及び第2バイパス流路43は、低温側圧縮機35の温度を低下させる冷媒冷却手段としての機能を果たすことができる。
【0031】
第3バイパス流路45は、カスケードコンデンサ28と低温側膨張手段38との間から分岐され、低温側圧縮機35の中間冷却口47に至る流路である。第3バイパス流路45には、第3バイパス用膨張手段58が設けられている。第3バイパス用膨張手段58は、モータ等のアクチェータを備え、電気信号によって開度を任意に変更することができる制御弁である。第3バイパス用膨張手段58は、全閉状態にすることもできるものであることが望ましい。
第3バイパス用膨張手段58は、開度調整する機能を有する構成に限定されるものではなく、キャピラリーチューブと電磁弁の組み合わせの様に、弁自体の開度を調整する機能を持たないものであっても良い。この場合、電磁弁の開閉間隔を制御することで冷媒流量を調整する。この結果、実質的に第3バイパス用膨張手段58の開度が調整されることとなる。
第3バイパス流路を流れる冷媒も、液相又は気液混合状態であり、十分に冷却能力を有している。
【0032】
本実施形態で採用する低温側圧縮機35は、密閉型圧縮機であり、低温側圧縮機35の密閉容器70内に、圧縮機構(圧縮手段)71とモータ72及びオイルポンプ(図示せず)が内蔵されたものである。
そして図示しない給電部から密閉容器70内のモータ72に給電され、密閉容器70内でモータ72が回転する。モータ72の回転軸に、圧縮機構71が接続されており、モータ72が回転することによって密閉容器70内の圧縮機構71が駆動する。
圧縮機構71の形式は限定されるものではなく、例えばレシプロ式、ロータリー式、スクロール式等であってもよい。
高温側圧縮機25は、低温側圧縮機35と同様に、高温側圧縮機25の密閉容器内に圧縮機構(圧縮手段)とモータ及びオイルポンプ(図示せず)が内蔵されたものである。
【0033】
密閉容器70には、冷媒吸い込み口75と冷媒吐出口73と、中間冷却口47が開口している。
冷媒吸い込み口75は、密閉容器70の内外を連通する管路である。冷媒吐出口73は、圧縮機構71の吐出部と外部を繋ぐ管路である。
中間冷却口47は、密閉容器70の内外を連通する管路であり、圧縮機構71の外郭部の近傍に開いている。
【0034】
冷媒は、冷媒吸い込み口75から密閉容器70内に導入される。冷媒は、密閉容器70内で拡散する。そしてモータ72を駆動することによって圧縮機構71が駆動し、密閉容器70内の冷媒を吸引して圧縮し、冷媒吐出口73から冷媒が排出される。
また、第3バイパス流路45から導入される冷媒は、中間冷却口47から圧縮機構71に噴射され、圧縮機構71を冷却する。
【0035】
密閉容器70内には、
図3に示す様に油槽部81があり、当該油槽部81に潤滑油80が貯められている。密閉容器70内には、図示しないオイルポンプがあり、モータ72を回転させると、オイルポンプが回転し油槽部81の潤滑油80を吸引して、密閉容器70内の各部に潤滑油80を供給する。各部に供給された潤滑油80は、油槽部81に戻る。即ち潤滑油80は、密閉容器70内で循環する。
【0036】
本実施形態で採用する低温側圧縮機35は、密閉容器70の外面に、温度検知手段82が取り付けられている。
温度検知手段82は、例えばサーミスタや熱電対である。
温度検知手段82の取り付け位置は、高さ方向には油槽部81に相当する高さの位置である。
即ち、温度検知手段82の取り付け位置は、密閉容器70において、潤滑油80が溜まる高さである。
【0037】
潤滑油80の液面は、オイルポンプを駆動することによって変化するが、少なくとも、オイルポンプを停止し、潤滑油80の大半が下に溜まった状態における油面の高さ(以下、最高高さHという)以下の高さに、温度検知手段82の検温部の少なくとも一部がかかる位置であることが望ましい。より望ましい高さは、温度検知手段82の検温部の全てが、最高高さH以下である。
またオイルポンプを駆動すると油面が低下するが、当該オイルポンプを駆動時の油面の高さ(以下、最低高さLという)以下の高さに、温度検知手段82の検温部の少なくとも一部がかかる位置であることが望ましい。より望ましい高さは、温度検知手段82の検温部の全てが、最低高さL以下である。
【0038】
また、温度検知手段82の取り付け位置は、円周方向には、冷媒吸い込み口75に対して反対側の領域であることが望ましい。
即ち、温度検知手段82の円周方向の取り付け位置は、
図3、
図4の様に、冷媒吸い込み口75の垂直平面Cを含む仮想平面Aを想定し、当該仮想平面Aと平行であって密閉容器70の中心76を含む仮想平面Bよりも、冷媒吸い込み口75に対して反対側の領域であることが望ましい。仮想平面Aは、低温側圧縮機35を水平な床面に設置した際に垂直面となる平面であり、冷媒吸い込み口75の垂直平面Cを含む。仮想平面Bは、低温側圧縮機35を水平な床面に設置した際に垂直面となる平面であり、冷媒吸い込み口75の垂直平面Cと平行であって、密閉容器70の中心76を通過する。
温度検知手段82の円周方向の取り付け位置は、仮想平面Bよりも冷媒吸い込み口75に対して反対側の領域であることが望ましい。
【0039】
言い換えると、冷媒吸い込み口75の位置を時計の12時としたとき、3時から9時までの領域であることが望ましい。角度に換算すると、冷媒吸い込み口75の位置を原点として、90度から270度の範囲である。
より推奨される範囲は。5時から7時の位置である、角度に換算すると、冷媒吸い込み口75の位置を原点として、150度から210度の範囲である。
【0040】
低温側圧縮機35が駆動すると、前記した様に密閉容器70内で潤滑油80が循環する。潤滑油80は、モータ72にも流れ込むので、潤滑油80の温度はモータ72の温度と高い相関性がある。そのため、潤滑油80の温度は、モータ72の温度を反映したものとなる。
本実施形態では、温度検知手段82が、密閉容器70の外面であって、潤滑油80が溜まる高さの位置に設置されているから、温度検知手段82は、密閉容器70内の潤滑油80の温度を検知することとなる。潤滑油80の温度は、モータ72の温度を反映するから、温度検知手段82の検知温度は、モータ72の温度と相関が高いものである。
【0041】
本実施形態では、温度検知手段82が取り付けられた円周方向の位置は、冷媒吸い込み口75に対して反対側の領域である。そのため、温度検知手段82の検知温度は、密閉容器70に導入される冷媒の影響を受けにくい。
即ち、密閉容器70に導入される冷媒は、一般に温度が低い。そのため、温度検知手段82が冷媒吸い込み口75に近い位置にあると、導入された冷媒の影響を受けて低い温度を検知してしまう可能性があり、モータ72の温度との相関関係が低下する。
本実施形態では、温度検知手段82の取り付け位置が、冷媒吸い込み口75から離れているので、冷媒の影響を受けにくく、モータ72の温度と相関の高い温度を検知することができる。
【0042】
次に、冷却装置7の機能について説明する。
冷却装置7は、一次側冷凍回路20の高温側圧縮機25と、二次側冷凍回路21の低温側圧縮機35を起動して運転する。
一次側冷凍回路20では、高温側圧縮機25で冷媒が圧縮され、当該冷媒が、高温側凝縮器26で冷却されて凝縮する。そして液化した冷媒が、高温側膨張手段27の狭い空隙を通過してカスケードコンデンサ28の一次側流路30に入って気化し、カスケードコンデンサ28の温度を低下させる。カスケードコンデンサ28の一次側流路30から排出された冷媒は、高温側圧縮機25に戻って再度圧縮される。
【0043】
二次側冷凍回路21では、低温側圧縮機35で冷媒が圧縮され、当該冷媒が、カスケードコンデンサ(凝縮器)28の二次側流路37で冷却されて凝縮する。そして液化した冷媒が、低温側膨張手段38の狭い空隙を通過して低温側蒸発器(冷却器)40に入って気化し、低温側蒸発器(冷却器)40の温度を低下させる。低温側蒸発器(冷却器)40から排出された冷媒は、低温側圧縮機35に戻って再度圧縮される。
【0044】
冷却装置7は、制御装置16によって制御され、試験室5内の温度が設定温度を維持するように運転される。本実施形態では、低温側膨張手段38は、制御装置16によって試験室5内の温度が設定温度に近づくように制御される。即ち、低温側膨張手段38は、試験室5内の温度と設定温度の差が大きい場合に開度が大きくなり、試験室5内の温度が設定温度に近づいて冷凍負荷が減少すると、開度が小さくなるように制御される。
【0045】
本実施形態では、低温側圧縮機35内が過度に高温になった場合や、過度に高温になる懸念がある場合に、第1バイパス流路42や第2バイパス流路43から冷却能力を有する冷媒が低温側圧縮機35に供給され、モータ72の過負荷運転や、コイルの焼損、潤滑油の粘度低下や潤滑油の劣化が防がれる。
【0046】
低温側圧縮機35内が過度に高温になる原因として次の2例があげられる。
(1)過負荷運転の場合
環境試験装置1は、試験室5内に高温環境や低温環境を作り出すことができる。
例えば、制御装置16は、試験室5内の温度が高い状態のときに、より低い設定温度に変更する指示を受けると、冷却装置7を起動する。そして、試験室5内の温度を一気に低下させる場合には、低温側圧縮機35内が過度に高温になることがある。即ち、試験室5内の温度が高いので、低温側蒸発器(冷却器)40に導入された液体状の冷媒が直ちに気化し、さらに試験室5の熱を受けて冷媒の気体温度が上昇した状態で、当該冷媒が低温側圧縮機35に戻る。そのため、低温側圧縮機35内が過度に高温になる場合がある。
【0047】
(2)冷却負荷が小さい場合
試験室5内の温度が低温状態で安定し、冷却負荷が小さくなると、制御装置16からの信号によって低温側膨張手段38の開度が絞られ、低温側蒸発器(冷却器)40に供給される冷媒の量が減少する。
その結果、低温側圧縮機35を冷却する冷熱量が減少する。その一方で、モータ72は回転し続けているので、モータ72の発熱が、密閉容器70に蓄積され、低温側圧縮機35内の温度が上昇する。
なお、ここで、低温状態とは、例えば-70℃から-40℃、-40℃から-20℃又は-20℃から+30℃の範囲を含む。
【0048】
次に、第1バイパス流路42及び第2バイパス流路43の機能について説明する。
(1)過負荷運転の場合
前記した様に、過負荷運転の状態になると、冷媒は、高い温度の状態で低温側圧縮機35に戻る。
本実施形態の冷却装置7では、第2バイパス用膨張手段52の感温筒55が、低温側圧縮機35の冷媒吸い込み口75の近傍に配置されており、感温筒55は、低温側圧縮機35に導入される冷媒温度を感知する。そして低温側圧縮機35に戻る冷媒の温度が高くなると、その温度が感温筒55で検出され、第2バイパス用膨張手段52の開度が大きくなる。その結果、第2バイパス用膨張手段52の開度が増大し、第2バイパス流路43に冷却能力を有する冷媒が流れ、当該冷媒が密閉容器70に導入されて低温側圧縮機35の温度上昇を抑制する。
なお第2バイパス用膨張手段52の開度が大きくなる段階では、第1バイパス流路42から低温側圧縮機35への冷媒の供給は無いか、あったとしても少ない。
【0049】
(2)冷却負荷が小さい場合
前記したように試験室5内の温度が低温状態で安定し、冷却負荷が小さい場合は、低温側膨張手段38の開度が小さくなる。その結果、低温側蒸発器(冷却器)40から低温側圧縮機35へ戻ってくる冷媒の量が少ないものとなるが、戻ってくる冷媒の温度自体は低い。この場合、感温筒55が検知する温度は低く、第2バイパス用膨張手段52は開度が小さい状態又は閉じたままの状態となる。そのため、第2バイパス流路43から密閉容器70への冷媒流入は期待できない。
本実施形態の環境試験装置1では、冷却負荷が小さい場合は、第2バイパス流路43に代わって、第1バイパス流路42から密閉容器70へ冷媒が導入される。
即ち、本実施形態では、密閉容器70の外面に温度検知手段82が取り付けられており、温度検知手段82は、密閉容器70内の潤滑油80の温度を実質的に監視している。そして、温度検知手段82が高温を検知すると、制御装置16は、第1バイパス用膨張手段51の開度を増大させる。その結果、感温筒55が検知する温度が低く第2バイパス流路43が開かない場合であっても、第1バイパス流路42に冷却能力を有する冷媒が流れ、当該冷媒が密閉容器70に導入されて低温側圧縮機35の温度上昇が抑制される。
【0050】
つまり、本実施形態の環境試験装置1では、制御装置16(制御部)は、試験室5内が安定状態にある場合において、温度検知手段82の検出値に応じて、第1バイパス用膨張手段51の開度を制御する。ここで、安定状態の一例としては、試験室5内の温度が、設定温度又は設定温度の所定の許容幅に到達した状態を含む。また、安定状態の別の例としては、制御装置16が演算する加熱ヒータ8の出力値又はその変化量が所定範囲内になった状態や、制御装置16が演算する冷却出力値又はその変化量が所定範囲内になった状態や、制御装置16が演算する低温側膨張手段38の開度又はその変化量が所定範囲になった状態を含む。
【0051】
以上の様に、本実施形態の冷却装置7は、試験室5内の温度を急降下させる様な過負荷運転を強いられる場合には、第2バイパス流路43が開いて、低温側圧縮機35の温度上昇を抑制する。
また本実施形態の冷却装置7は、冷却負荷が小さい場合の様に、戻ってくる冷媒の量が少ない場合には、第1バイパス流路42が開いて、低温側圧縮機35の温度上昇を抑制する。
この様に本実施形態の環境試験装置は、想定される使用状態のいずれの局面であっても低温側圧縮機35の過度の温度上昇が抑制され、モータ72の過負荷運転や、コイルの焼損、潤滑油の粘度低下や潤滑油の劣化が防がれる。
【0052】
また本実施形態の環境試験装置1は、第3バイパス流路45を有し、当該第3バイパス流路45から、低温側圧縮機35の中間冷却口47に冷媒が供給されるので、中間冷却口47から供給される冷媒によっても、密閉容器70内が冷却される。
【0053】
第3バイパス流路45の第3バイパス用膨張手段58は、モータ72の負荷が大きくなった場合に実質的に開度が大きくなる。
【0054】
図1に示す環境試験装置1は、本発明の一例に過ぎず、レイアウトや機器の有無は限定されるものではない。
例えば、試験室5の下部に空気調和装置17があってもよい。もっぱら温度環境を作ることを目的とするものであれば、加湿装置6や湿度センサー13は無くてもよい。
【0055】
以上説明した実施形態は、主として高温環境や低温環境に被試験物をさらす用途に使用される環境試験装置であるが、本発明は、このタイプの環境試験装置に限定されるものではなく、冷熱衝撃試験装置や熱サイクル試験装置と称される環境試験装置に本発明を適用することもできる。
【0056】
以上説明した実施形態では、第1流量制御手段として、電気信号によって開度を任意に変更することができる電子制御弁を採用した。しかしながら本発明は、第1流量制御手段を電子膨張弁に限定するものではない。
例えばキャピラリーチューブ等の絞り部材と電磁弁等の開閉弁を組み合わせたものを、第1流量制御手段としてもよい。この場合は、電磁弁の開閉の時間間隔を制御して、実質的な開度を制御する構成が考えられる。
キャピラリーチューブ等の絞り部材を複数、並列に配管したサブバイパス流路を設け、各サブバイパス流路に開閉弁を設けて第1流量制御手段とすることもできる。この場合は、開状態の開閉弁の数を変化させることによって、サブバイパス流路全体の実質的な開度が制御される。
第3流量制御手段についても同様であり、キャピラリーチューブ等の絞り部材と電磁弁等の開閉弁を組み合わせたものや、キャピラリーチューブ等の絞り部材を複数、並列に配管したサブバイパス流路を備えたものであってもよい。
【0057】
以上説明した実施形態では、第1バイパス流路42に加えて第2バイパス流路43と第3バイパス流路45を備えている。しかしながら、第2バイパス流路43と第3バイパス流路45は必須ではなく、第2バイパス流路43と第3バイパス流路45の何れか一方がなくても良い.また第2バイパス流路43と第3バイパス流路45の両方がなくても良い。
【0058】
前記した様に、環境試験装置1では、制御装置16(制御手段)は、試験室5内が安定状態にある場合において、温度検知手段82の検出値に応じて、第1バイパス用膨張手段51の開度を制御する。
ここで、試験室5内が安定状態にあるか否かの判定手段を設け、当該判定手段が安定状態であることを判断したことを条件として、温度検知手段82の検出値に応じて、第1バイパス用膨張手段51の開度を制御する構成を採用してもよい。
また判定手段を設けることなく、第1バイパス用膨張手段51を動作させるものであっても良い。
【0059】
温度検知手段82の取り付け位置は、高さ方向には油槽部81に相当する高さの位置であり、円周方向には、仮想平面Bよりも冷媒吸い込み口75に対して反対側の領域であることが望ましいが、本発明は、温度検知手段82の取り付け位置をこの位置に限定するものではなく、いずれの位置に温度検知手段82があってもよい。
【0060】
以上説明した環境試験装置1は、二元冷却構造の冷却装置(冷却手段)7を採用しているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、一元冷却構造の冷却装置(冷却手段)を採用するものであってもよい。
代表的な一元冷却構造の冷却装置は、一台の圧縮機と、一つの凝縮器と、一つの膨張手段と、一つの蒸発器を有していて相変化する冷媒が循環するものである。本発明を採用する一元冷却構造の冷却装置は、凝縮器の吐出側と圧縮機の吸い込み側をつなぐ第1バイパス流路を有し、当該第1バイパス流路に第1流量制御手段が設けられている。前記一台の圧縮機には温度測定手段が設けられており、当該温度測定手段の検出値に応じて、前記第1流量制御手段の実質的な開度が制御される。
また本発明を採用する一元冷却構造の冷却装置は、第1バイパス流路に加えて第2バイパス流路と第3バイパス流路を備えていることが望ましい。
また、本発明を採用する一元冷却構造の冷却装置において、温度測定手段が圧縮機に取り付けられる位置は、本実施形態の二元冷却構造の冷却装置(冷却手段)7の低温側圧縮機35の場合と同様の位置であることが望ましい。
【符号の説明】
【0061】
1 環境試験装置
5 試験室
7 冷却装置(冷却手段)
16 制御装置(制御手段)
18 冷凍回路
20 一次側冷凍回路
21 二次側冷凍回路
28 カスケードコンデンサ(凝縮器)
35 低温側圧縮機
38 低温側膨張手段
40 低温側蒸発器(冷却器)
42 第1バイパス流路
43 第2バイパス流路
45 第3バイパス流路
45 バイパス流路
51 第1バイパス用膨張手段(第1流量制御手段)
52 第2バイパス用膨張手段(第2流量制御手段)
55 感温筒
58 第3バイパス用膨張手段
70 密閉容器
71 圧縮機構(圧縮手段)
72 モータ
73 冷媒吐出口
75 冷媒吸い込み口
80 潤滑油
82 温度検知手段(温度測定手段)
100 被試験物
A 仮想平面
B 仮想平面